小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第101話 非日常に戻るための日々

 以前、wZERO部隊のアレクサンダは、従来のナイトメアとは違って人型の二足歩行から四足歩行形態への変形機構を備えているといったが、特徴はそれだけではない。

 

「ジョウ・ワイズ、ニューロデバイスからのデータ転送は順調かしら?」

 

 アンナたちとは違う地下研究所に、ソフィと彼女の部下であるジョウは薄暗い室内でコンソールと向き合っていた。

 

「あの志願してきた子たちでしたら、意外なことに順調ですよ~。」

 

 実はアレクサンダには他のどのナイトメアにもない、特殊な機能が備わっている。

 その名も『BRS』────通称『ブレインレイド(脳波同調)システム』。

 理論上のそれは簡単に言葉にすると、『パイロットの脳波を増幅し、ダイレクトに受信できるモノたち(機械とパイロット)に同調させる』といった、コードギアスの世界でもSF染みた理論に基づいた技術で、アレクサンダの機動性をさらに上昇させる。

 

 それこそ、最先端技術を使ったランスロットのような機動性を可能させるほどに。

 

 ただこのシステムを組み込むために、ブリタニアのナイトメアにあるような脱出装置は省かれているが。

 

「そうなの?」

 

「適性は3人共、アキト以来のトリプルAです。 しかもそのアキトとの相性もいいです。」

 

「……その四人で、BRSの成功確率はどのくらいなの?」

 

「シミュレーション上では、ビックリの8割ほどですよランドル博士────」

「────兄弟でも何でもないのに?!」

 

 ソフィは『8割』と聞いては思わず目を見開いてしまう。

 

 上記でもいったようにBRSは脳波を増幅し、同調させる。

 例え話も入れると、人は一昔前の低出力なラジオのように常時脳波を出していて、例えばラジオのように様々な周波数でそれらを発している。

 親族ならば、ある程度一緒にいた年月の関係で周波数はある程度近くなり、ある程度の干渉も可能となる。

 

 俗にいう、『虫の知らせ』や親しいものに対しての『勘』も、これに由来されていると脳科学者たちは仮説を立てている。

 

 そして上記での『BRSの成功確率』とは『どのぐらいの確率でアキトたちは互いと同調できるのか』で、8割は『ほぼ成功できる』と言っていい数字だった。

 

「そうなんですよねぇ~。 あの元日本人のアイデアはかなりいいと思います。」

 

 ちなみにBRSのことを、スバルは勿論知っていた。

 

 というか、『亡国のアキト』に介入した理由の一つがBRSだったのは、彼以外に誰も知らないだろうが。

 

 原作ではスマイラス将軍の誘拐未遂のおかげで、ほとんど徴兵制度のようにwZERO部隊にリョウたちは入隊された。

 しかし今作ではそれがなかった為、三人はアレクサンダに搭載されたBRSに必要なニューロデバイスの埋め込みを頑なに断っていた。

 

 ちなみに三人のリアクションは以下のとおりである。

 

『あ゛?! 脳ミソをいじるようなものはお断りだ!』

『そうだよ! それなら頑張って操縦したほうがマシ!』

『リョウたちの考えていることを知れるという可能性は面白そうだけれどね♪』

『『え。』』

 

 そこでスバルが提案したのはニューロデバイスを『埋め込む』のではなく『かぶる』といったアイデアだった。

 

 無論、直接脳からの信号を受け取っていない為に当初は『出来ない』と判断されていたのだが、そこでさらにスバルはこう言った。

 

『使用者の脳波をサンプリングし、それに特化した検知機に変えればいいのでは?』、と。

 

 本来、ソフィのBRSに投資したのが軍だったことと、最初は何十人といたワイバーン隊一人一人にオーダーメイドのBRSを作れるわけもなく、『万人の使用』を前提に開発は進んでいた。

 

 だが、多くの死者が出て少数となった今では話が違ったことに気付かされたソフィたちには、まさに『目から鱗』が落ちたような状態だった。

 

 まさか彼女たちも、スバルが呑気に『強化人間っぽく埋め込むんじゃなくて、外部型のモノに変えればええやん。 え? 電波が届かない? ならその周波数用にすれば済むことなんじゃね?』からの軽~い一言とは夢にも思ってもいないだろうが。

 

「それにしても、あの元日本人自身の適性が()()ではねぇ~……」

 

 飴をしゃぶりながら遠い目をするジョウを、ソフィが複雑な気持ちになりながらアキトたち四人のBRSシミュレーションを見る。

 

「(タケル……もしもこの『脳波のサンプリング』をしていれば、貴方のこと(現状)も違っていたのかしら?)」

 

 ソフィは神妙な心になりながらも、ジョウとともに深夜まで作業を進めた。

 

 次に必ず来たる戦いに備え、頼まれた生存率の上昇を間に合わせられるように。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 時を同じくして、場はどこかの執務室へと変わる。

 

 部屋の中には書類や教本に報告などが散らかっており、壁には執務室には数々のきわどいポーズをしたグラビアモデルのポスターが貼られていた。

 

「イレヴン────いや、あの旧日本人たちをこのままにしておいて良いのでしょうか中佐?」

 

「ん~……何か問題でもあるの、ハメル少佐? マルカル司令が“採用したい”って言ったし、本人たちの能力も検査の結果、かなり良いんでしょ? コーヒー、飲む?」

 

 部屋の中では難しそうな顔をしたハメルの向かいに、部屋の主らしきクラウスが黙々と湯気を出すブラックコーヒーの中に、フラスクに入れていたウィスキーをたんまりと混ぜながら、のほほんとハメルに答えながらマグカップを差し出す。

 

「いえ、勤務中ですので。」

 

「相変わらず固いねぇ~……で? 問題でもあるの?」

 

「もし、彼らが敵対行動を起こした場合────」

「────まさかハメル少佐、ご自分の警備隊に自信がないのかい────?」

「────私が危険視しているのはあの傭兵です。」

 

 クラウスのコーヒーの入ったマグカップを握る手がピクリと反応する。

 

「彼の行いは、あまりにも『傭兵』の枠からかけ離れています! それに、誰もが彼があくまで『部外者』だという認識を持ち合わせていないような振る舞いに────」

「────なるほどねぇ~。 つまり、『シュバール(スバル)が周りから慕われていることが気にいらない』ということかい?」

 

 余談だがEUの標準語のなまりからか、『スバル』のことをたまに『シュバール』と間違えて呼ぶときもある。

 最初こそこれを避けるためにスバルのことを『彼』、『傭兵』、『雇われた奴』など称していたが、あとから気になったスバルがその呼び方の理由を聞いて『別段気にしていない』といったことから、スバルに新たなあだ名が出来ていた。*1

 

 それもあってか、警備長のハメルが気にするほどスバル(部外者)は親しくなっていった。

 

「……」

 

「ま、少佐の懸念する理由は大方想像できますよ。 “部外者で新参者のクセ、余りにも馴染みすぎて怖い”ってところでしょう?」

 

「クラウス中佐もわかっているのなら────!」

「────でも彼、傭兵なんでしょ? ここにはうってつけじゃない? 『居なくなっても誰からも苦情が出ない人間』に変わりはないんだし。」

 

「……………………………………」

 

 ぐびぐびとウィスキー入りコーヒーをお預け状態だったクラウスは飲み、ハメルは気まずく目をそらす。

 

 ここ、ヴァイスボルフ城にいる殆どの者たちは、クラウスの言ったように『世間から嫌われている者たちの留場』であり、半ばEUの『厄介者払い』の終着点と化していた。

 

 部屋にいる二人を例に挙げると、クラウスは借金まみれの片足アル中軍人で、見せしめに職務放棄を脅されてwZERO部隊へと転属。

 法律や決め事に厳しいハメルは腐敗緩~い雰囲気に浸っていたEU軍からは堅物と印を押され、彼のように『ちゃんとし過ぎる軍人たち』とともに名だけの『警備隊』に組み込まれ、ヴァイスボルフ城へと左遷されていた。

 

 そもそも部隊名から、いかにEUがヴァイスボルフ城に居る彼らのことをどう思っているのかが明け透けすぎる。

 

 wZERO部隊の『w』はワイバーンの頭文字。

『ZERO』は『正規軍ではない』ことを意味していた。

 

「あ。 もしかして、アンナちゃんたちと馴れ馴れしいから彼のことが嫌いなの、少佐?」

 

 ギクッ。

 

 「ソソソソンナコトハ無いゾ?」

 

「おたくも案外、分かりやすくていいねぇ~♪」

 

 ピピー♪

 

 クラウスはクツクツと笑いながら明らかに動揺するハメルから視線を外し、空になったマグカップに今度はウィスキーとお湯をミックスしていると電子音がする。

 

「ん? ……ウゲッ、マジか。」

 

 パソコンを操作して電子音の原因であるメールの内容をクラウスは読んでいるうちに嫌そうな顔をする。

 

「どうしたのです、クラウス中佐?」

 

「ん~、次の作戦が本部から来たんだけれど……いつも以上にえげつないヤツだからねぇ~。 っと、マルカル司令に連絡するか。」

 

 クラウスは机の上に散らばった酒瓶などをどけて、電話を手に取ってボタンを押す。

 

「司令、夜分恐れ入ります。 もうお休みになられるところでしたか?」

 

『いいえ、大丈夫です。 ちょうど夜食を取りに食堂から帰ってきましたから。』

 

「そうですか……ちなみに今回の夜食はなんでしたか?」

 

『スパゲティを旧日本風にした“ナポリタン”か“ウードン(うどん)”でした。』

 

「おお、麺類なら期待できそうだ! っとと、脱線してしまいました。 つい先ほど、統合本部から作戦命令書が届きました。 今からそちらにお持ちします。」

 

 クラウスはハメルの眼鏡越しのジト目を、出来るだけ無視しようとしたそうな。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「…………………………」

 

 レイラの執務室では、部屋の主である少女は頭痛がしていたのか頭を抱えていた。

 

「んまぁ、いつものことですよねぇ~。 ()()も。」

 

 彼女の向かいに座っていたクラウスは逆に愉快そうな態度のまま、ため息交じりに作戦命令書に目を移す。

 

「自分的に、ここが一番好きですよ。 『wZERO部隊の能力を見込んでの決死の判断の末に────』」

 

 ────ダン!

 

「だからと言って、人員の補充もなくまた“前線から孤立した敵地の中に降下しろ”と?!」

 

 クラウスは悔しそうに怒りで震えるレイラに片目をよこしてから、フラスクから一口飲んでから口を開ける。

 

「おそらくこの前の世論調査の結果で焦っているんじゃないですかね、政府のお偉いさん方は?  市民の関心が外部へと向いている間はとりあえず、安心できますからね。 彼らに取っちゃ、市民もただの数字ですよ。」

 

「人を……なんだと思っているんですか?!」

 

「ま、イレヴンたちはその数字ですらないですからね。 捨石ですよ、捨石────ッ。」

 

 レイラの人をも射殺せるような睨みにクラウスは黙り込む。

 

「クラウス中佐、本部に“ワイバーン隊は、作戦実行に必要な人員を────”」

「────ん~、ぶっちゃけて申し上げてもいいですか司令? 正論で命令拒否はできないんじゃないですかね? 逆に『叛逆の意志あり』とかなんかで、新たに上官が送られてきちゃいますよ?」

 

「……クラウス中佐は、何か考えはありますか?」

 

 レイラの問いに、クラウスはニヒルな半笑いを返しながら肩をすかす。

 

「さぁ? あのイレヴンたちを生還させる方法を考えるのが、『司令』のお役目じゃないですかねぇ?」

 

 レイラはさっき熱のこもった反論するときに乗り出しそうだった身を椅子に戻し、考え込み始める。

 

『今のwZERO部隊に、作戦を実行させる人員が足りない。 ならば、どうやってそれを補うか』を。

 

「……クラウス中佐。 明日、アンナは別に何も予定は入っていなかったわよね?」

 

「ん~……自分は彼女の休暇や外出の申請を受けていないですね。」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 次の日、以前からのプロジェクトの(はかど)り具合を聞きに、レイラは朝一でアンナを訪ねていた。

 

「アンナ、ナイトメアのドローン化はどの程度進んでいる?」

 

 その『以前からのプロジェクト』とは、『ナイトメアの無人機化』だった。

 

「あ、実はそのことでレイラに言いたかったことがあるの。 この間、シュバールの機体を解体しちゃったでしょ? その時の小型無人機からのデータを応用してかなり進んだわ!」

 

 ネガティブ思考に落ちやすいアンナにして珍しく、ウキウキしていた彼女と一緒にレイラは歩き出す。

 

「なら、ドローンは実戦投入可能かしら?」

 

「うーん……あと一年……ううん。 実戦データも入れれば、半年ぐらいで────」

「────一週間以内は、無理かしら?」

 

 レイラの質問にアンナの目が点になり、次第に状況を理解し始めたのか申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「確かに……危険性の高い作戦に使う兵器は、無人の方がいいと思うわ。 だけど、ネックなのは人工知能のほうよ。」

 

「人工知能……AIのことね。」

 

「うん。 今ある人工知能じゃ簡単な作業や判断はできても、対象や状況に応じて即座に反応できないとダメなのでしょ?」

 

「ええ……」

 

「えっと……レイラ、大丈夫?」

 

 アンナの言葉に同意したレイラはいつも以上に暗い空気を発していたのか、いつもとは違うレイラをアンナが気遣るような声をかける。

 

「今度の作戦……かなりやばいの。」

 

「レイラ……それって、前回よりも酷いの?」

 

「ええ。」

 

 レイラの即答に、アンナは口に指をつけて考えるそぶりをした。

 

「………………………………ねぇレイラ? 貴方、ナイトメアの操縦を習っていたわよね?」

 

「ええ。 士官になるとき、一通りの訓練スケジュールに含まれたクラス以来だけれど。」

 

「少なくとも、私よりは上手でしょ?」

 

「「…………………………………………」」

 

 黙り込む二人の頭上に浮かび上がるのは、アンナが一歩前に進もうとしてナイトメアの足を上げた瞬間、バランスを崩して後ろに転倒しては、慌てたアンナのおかげで訓練用ナイトメアが暴れだした事件だった。

 

「……ええ、まぁ……()()。」

 

 グサッ。

 

「ウっ。」

 

 レイラは知らない。 彼女の気遣う言葉と空いた間が逆にアンナの心をえぐったことを。

 

「……………………………………そ、そこでレイラに提案があるのだけれど────」

 

 

 


 

 

 はぁ~。

 

 (スバル)は内心に留めたため息をしながら、ジッとオーブンの中でこんがりと焼け始めるミートローフを見つめていた。

 

 まぁ……ミートローフなんて元々はフランスのリエットやパテから発祥したアメリカの料理だし、EUの者たちからすればゲテモノでしかないが味はいいし、何より大量に作れる。

 

 はぁ~。

 

 と、そんなことに現実逃避しかけていた俺はまた内心でのため息をした。

 

 え? 『なんでため息しているんだ?』って?

 

 元々俺がEUに来たのは『亡国のアキト』への介入と、マーヤたちに頼んだ『ミルベル博士の保護』が万一にも失敗したら、地理的に近くいられるからだ。

 

 後はうろ覚えだけど『OZ』にも介入する……と思う。

 

 はぁ~。

 

 あ、脱線したか? すまん。

 話を戻すとwZERO部隊にはアマルガムに必要な人材がいるからだ。

 

 タイトルに入っているアキトなんて『スザクといい勝負しそう』って話題に挙げられるほどの腕前をしているし、どのナイトメアの技術系統に入らないアレクサンダやその開発者であるアンナも優秀。

 

 そして、最後にはルルーシュや『亡国のアキト』のラスボス的なシンでさえも関心を持つほどの戦術家であるレイラ。

 

 とまぁ、宝の洞窟てんてこもりの部隊なんですわ。

 

 ……うん、もうぶっちゃけよう。

 俺が一番期待していたのは、wZERO部隊を代表するアレクサンダに搭載されたBRSだったんだ。

 

 だって世界が違っても、『脳波で機体を制御する』なんて要するに『サ〇コミュシステム』なんだぜ?!

 

 地味に憧れるじゃん?!

 

 夢に見るじゃん?!

 

 “行け、ファ〇ネル!”とかさぁ?!

 

 この際だからドラグー〇システムでもいい! いくら『大気圏内だから浮遊できない』でも!

 

 はぁ~。

 

 でも過去形の言葉から察せるだろう?

 

 ウハウハ色気と胸抜群白衣のお姉さん(ソフィ)曰く、“何度システムを作動しても測定不能(エラー)が返ってくるから無理なんじゃない?”らしい。

 

 俺だって、『ガ〇ダムが僕の動きについていけないのか?!』ってしてみたかったよパト〇ッシュゥゥゥゥゥ!

 

 はぁ~。

 何(内心で)言っているんだろ、俺。

 

 ジリリリリリリリリ!

 

「っと。」

 

 タイマーのベルが音を鳴らし、俺は無理やり現実逃避から引かれてオーブンミトンを両手につけてミートローフを出す────

 

 ────ガブッ!

 

 いでぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?

 

 ま、また! まただ!

 また足のすそをすり抜けて小さな牙がガガガガガガがががぁぁぁぁぁぁ?!

 

「あ、エリザ!」

 

 お、その声は『ゼロ距離射程で戦艦をミスるマリア』だ────ゲフンゲフン。 エンディングで紐パン着用を披露したレイラだ。

 

「ここまでくると、同じくエリザに嫌われているとしても同情するしか……」

 

 そして、今度はかなり性格が違うけど、どこかネガティブ思考が似ている初期の『ミコ〇』だぁ~。

 

  “私たち、出来っこない同士だ♪”とか、言ってくれないかなぁ~。

 

 ……………………あかん。

 自分で何を言っているのかわからないほどショックを受けているっぽいぞ。

 

「どうしてマルカル司令に()()()がここに────?」

「────ッ────?!」

「────ああ、それは────」

 

 あれ? レイラがビックリしている?

 ちょっと失礼だけどアンナの言っている言葉より、『宇宙の真理を見た猫』っぽく固まったレイラのほうに目が行ってしまう。

 

「────それでどうかな、シュバールさん?」

 

 ゲッ。

 

 全然アンナの話を聞いていなかった。

 

 どないしよ。

 

「??? 何か駄目でしょうか?」

 

 今更『ごめん、宇宙を漂う猫っぽいレイラに注目していて話を聞いていなかったから、もう一度説明してくれ』なんて言えん。

 

 えーと。

 ええええええーと。

 えーとーせーとーら~♪

 

 昭和っぽいのは放っといてくれ。

 

 とりあえずアンナの問だ。

 さきほどの言葉から、『イエス』か『ノー』の二択質問だろう。

 

 それに相手がアンナだと考えると、おのずと答えは出てくる。

 

「ああ、別に構わないぞ。」

 

「え?」

 

 あれ? 今度のレイラは『銀河を漂う猫』みたいに、目が点になったぞ?

 

「よかった~! 実はもうその方向で開発していたの! もし“嫌だ”とか言っていたら、一から組みなおさないといけなかったから助かるわ~!」

 

 “組みなおす”?

 何を?

 

「じゃあレイラ、試作機をクロエとヒルダたちと一緒に急ピッチで仕上げるから待っていてね?!」

 

 それを最後にアンナはルンルン気分で食堂を後にする。

 って、お腹空いていないんかい。

 

 どこか『夢中になったら周りと自分が見えないカレン』と一緒だな。

 

 そして朝ごはんを食べないまま家を飛び出て、ザリガニを取ってきたら急に『お腹空いたよ~!』って喚き出しては留美さん(カレンママ)も困った顔しながらも予想してか、作り置きのおにぎりで対応して。

 

 子供の頃が懐かしいなぁ~。

 

 っていかんいかん、なんか思考がネガティブか現実逃避方面に行きがちだ。

 

 よっぽどBRSの件から大打撃を受けたな。

 

 ……あとでヒルダたちにチョコクッキーを持っていくついでに、弁当をアンナ用に持っていこう。

*1
誠にありがとうございます、ちゅうんさん! (*ゝω・*)ノ




どこぞのピエロ:そろそろ次に行くか♠

作者:カエレ。 ( ;゚皿゚)ノ

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