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世界の三分の一を武力で牛耳りながらもずば抜けた戦闘力を保有するブリタニア帝国の本土ブリタニア帝国皇帝陛下直属のナイトオブラウンズ────通称『ラウンズ』。
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なぜならば事実上、皇族の身ではないものが『宰相ギリギリ未満』という地位と名誉があるから……っと以前にも記入したと思うが、簡潔な説明はここまでにするとしよう。
日本最後の首相である枢木ゲンブの実子。
今までも最大の反ブリタニア蜂起と呼ばれている『ブラックリベリオン』時に黒の騎士団のリーダー、自らを『ゼロ』と名乗っていた者の捕縛。
この二つ以外にも、単機での活動なども重なってかラウンズの第七席のナイトオブセブンにはブリタニアの長い歴史でも異例になる、名誉ブリタニア人が任命されていた。
だが表の体面とは違い、ナイトオブセブンである枢木スザク本人はこの地位や待遇を望んでいなかった。
元々、ブラックリベリオンの発端となった『行政特区』の式典会場に集まった日本人の虐殺を止める為に────否。 『自分を嫌わないで』と、始めて裏表なく自分を人間として接してくれたユーフェミアを騎士として守るためにスザクは行動を起こした。
だがあろうことか彼女は
そんなことが起きている間、スザクはアヴァロンの中でただただ泣き続けた。
そんなところに『VV』と名乗る少年が現れ、スザクに『ギアス』という超能力的な力と、今回の事件にギアスを使えるものが関わっていることを教えた。
『ゼロ』がそれを使って今までの『奇跡』や『人が変わった』と呼ぶしかない現象を起こしていたことも。
皮肉にも、『生きろ』というギアスをかけられて『人が変わった』様な振る舞いをした自分だった。
更に、VVは聞き捨てならないことを口にした。
“ゼロの件にはルルーシュも深く関わっている”、と。
ギアスだけでも突拍子もないかつ疑う要素満載な話なのに、ここで『ルルーシュはゼロと関係がある』など聞いてしまったスザクは、弱った心のまま確かめるためにゼロを追うことを決めた。
完全に『ゼロを問い詰める』ことに専念していた為、自分が何をどうしたのかスザクはよく覚えていなく、はっきりと出来事を思い出せたのは神根島の遺跡に入ってゼロに拳銃を構えてやっと一息を付けたときだった。
いや……正確には『とある考え』が浮かんできたから、彼は考えないようにしたかもしれなかった。
『ゼロ=ルルーシュなのでは?』、という可能性を。
そうすると様々な辻褄が合ってしまう。
子供の頃からあれほど弱愛していた妹から長い間、離れるなどありえない。
それこそ
そして、ゼロはギアスという単語に動揺を隠せずに反応した隙に、ゼロの仮面を撃ってそれが外れるとその下にはルルーシュがいた。
信じたくはなかった事実が現実になったことで、色んな感情が互いを相殺したのかスザクの思考は冷静な怒りを覚え、点と点を自分なりに繋げては疑問をルルーシュに問うと彼は『困った時や図星の時にする』特有の『だんまり』をしたことで確信に変わった。
しかも、その場に居合わせたカレンに命令してまで
戸惑うカレンを見てルルーシュは拳銃を構え、彼と一触即発の状態となってもスザクは引き金を引くことはできなかった。
心の中で、未だに迷う自分を余所に第三者がカレンとルルーシュを撃ったからだ。
『撃たれたルルーシュを捕縛すれば助かる』と思い、スザクは彼を連行した。
するとどこからかその話を聞いたシュナイゼルが
最初は断っていたが、『ラウンズの頂点とされているナイトオブワンになれば皇帝陛下より
勿論、予想していた反発もあったが……それ以前に、スザクのとある記憶が『夢』として再現されては彼の精神を蝕んでいた。
『スザク、信じてくれ! 俺じゃない! 俺はユフィにギアスを使ってはいない!』
皇帝の宮殿に命じられるがまま、拘束衣に身体の自由を奪われたルルーシュが口の拘束を必死な足掻きの末に解いて出た叫びは
それだけならば、『ゼロとして他人の弱みに付け込もうとした』と無理やり屁理屈を言えたかもしれないが……それとは別の夢で見る光景がスザクを苦しめていた。
その夢とは────
「────ユフィ!」
スザクは暗い室内の中で天井へと伸ばしていた自分の腕を見ては自分が
ジワリと汗で濡れたシーツから逃げるように、彼はガバッと起き上がって部屋のカーテンを開けてゴトンゴトンと微かな音と共に過ぎ去る北欧の景色を見ながら、先ほどの夢について考える。
「(ユフィ……君が生きていたら、夢のように泣いているのだろうか……)」
スザクはシュナイゼルではなく、皇帝の命令に従ってユーロ・ブリタニアの、ペテルブルグへと移動していた。
命令の内容はいたってシンプルなもので、『ユーロ・ブリタニアに派遣するブリタニア帝国、屈指の軍師の護衛』というモノだった。
「(屈指の軍師って、いったい誰なんだろう?)」
そうスザクが思っているとシャルルは察したのか、“委任権の象徴であるインペリアル・セプターを託している者だ”と追記したことで、その人物がシャルルにとってシュナイゼル以上(あるいは同等)の信頼を寄せているとのことで、その場での追求をやめた。
スザクはただ過ぎ去る景色の上で輝く星が散りばめく夜空を、北欧の鉄道を走る皇族専用列車の中から見上げていた。
胸ポケットにある、ラウンズとなった今では必要のない『騎士の証』に手を添えながら。
「Aの26のみに回線を変えると、制御系に障害が────」
「────ならば平行にRAMに前もってプログラムを────」
「────そうすると今使っているタイプ26の部品では処理が追いつけなくなるわ────」
「────その為のRAMなのにか────?」
「────ならGAUにサブプロセスを────」
う~む。
やっぱりヴァイスボルフ城の技術部だけあって、クロエとヒルダは伊達にアンナの助手じゃないな。
『亡国のアキト』での描写は少ないけれど二人とも優秀だ。
クロエは『カチューシャふんわり小型動物系』でヒルダは『眼鏡黒髪ロングパンスト委員長系』で見栄えもいいし♡
声が『鈴鹿〇前』と『メル〇リリス』だったのは流石に
ポーカーフェイスにか・ん・しゃ・だ・ze☆。
……うん、かなり焦っていたのはこれでわかるだろう。
あと名残惜しいけれど、今では差し入れとお茶会(という名の交友会&休憩)でしか会えなくなった、脳科学の研究しているソフィの部下であるケイトとフェリッリなんて、『ポニテ超ミニ短パンサイハイソックス活発学者系』に『ボンヤリショートカットショートスカート不思議ちゃん系』で実にイイネ♪
目(と心)の保養にええわぁ~♡
あとは皆、日本にスゲェ興味持っているから話を聞きに来るから堂々と話せるし。
ただ凄い『偏見』というか『ステレオタイピング』を持っていたよ。
“お寿司が普通”、“皆が何かしら武術の達人”、“室内では靴を履かない”、等々。
まぁ素直に訂正しながら話して一番面白かったのは屋台のおでん屋とか串カツだったな。
“道でそのまま食べるの?!”ってビックリされたけどそれがまた美味しいねん。
特にちょっと肌寒い時に注文して食べながら熱燗を飲むなんていいと思うね────ってカレンか俺は?!
ぶっちゃけると、こういった『のんびりな時間』や『亡国のアキト』の設定資料とかでも追及されていない部分まで知ることが純粋にスゲェ癒しになる。
例えばオペレーター役をしている『紫の髪&褐色超ミニ軍服』のサラなんてイメージ的にちょっと堅いけれど、周りへの気遣いができる姉御肌持ちとか。
『金髪の三つ編みお下げそばかす』のオリビアはサラと同じく元々軍人で、ちゃんと訓練を受けている数少ない人員だとか。
あとはハメルたち警備隊もEUでは珍しく、軍務に忠実なモノの集まりだったのもちょっとびっくりしたな。
EUって、『中華連邦以上にロクな奴がいない』という酷い描写がコードギアスでも印象的だったし。
それにしてもプログラミングと機械いじりって、やっぱりハマるとた・の・し・い~♪
一度始めたら没頭して食事をとるのを忘れちゃうなんて無理はないからなぁ~♪
あれと同じだ。
『一話だけ観ようと思っていたらいつの間にか全話マラソンして二日の休日が潰れた』的なあれだ。
え? 『そんなことはない』、だと?
……ほっとけ。
今の話に戻るが、仮想空間のシミュレーションじゃなくて実際のアレクサンダタイプ02試作機に反映されるから改良した結果がすぐに分かるし~♪
「でも意外ですね。 傭兵なのにこんなことが出来るなんて、まるで技術者か
ギクッ。
クロエの一言に思わず心臓がドキリとしてしまう。
「一人で色々なことが出来るから“便利屋”とか!」
ヒルダのその話、乗ったぁぁぁぁぁ!
「そうだな。 “傭兵”と名乗ると聞こえが悪いから、たまに“何でも屋”と名乗ったこともあるな。」
「“何でも屋”かぁ~……」
「納得♪」
「それでお菓子────料理もできるんですねぇ~。」
うむ。
二人ともチラチラと空になりそうなチョコクッキー袋を見るのは良いが、隣の包装を見るな。
明らかに期待しているのがバレちゃうぞ☆
「ブツブツブツブツブツブツブツブツ。」
そして別の場所では俺たち以上に没頭しながら独り言&徹夜を続けているアンナが別のナイトメアの開発を続けていた。
彼女の操作するコンソールと繋がっていたのは俺の持ってきた機体とここのアレクサンダをくっつけたような代物だ。
頭部以外は殆んどよく見る人型だが、頭部は円盤状になっている。
元々はファクトスフィアに頼らない索敵や電子戦システムなどを追求したことで『なんちゃってD-3』的な機体が出来上がった。
ちょっ~~~~と時空的に早いが、コードギアスの『オズO2』で出てくる『サザーランド・アイ』っぽい機体だ。
ファクトスフィアは通常の物から小型無人機から得たデータ処理特化で、サザーランド・アイと違ってVARISはないが。
そしてアンナはこの『アレクサンダ・スカイアイ』にここのところ連日の時間を費やしている。
恐らくだが、原作の『亡国のアキト』時空的に次の作戦に間に合わせる為だろう。
それは『ガンマ作戦』と呼ばれ、『ワルシャワ駐屯軍が進軍するタイミングに合わせ、ユーロ・ブリタニアの後方に降りて撹乱する』と言った、EUにとってどのような結果になっても痛くも痒くもない無理難題作戦だ。
コードギアスファンなら、『スロニムのバトル』あるいは『レイラ、初の出撃』と言えば分かるだろうか?
しかし原作とは違って俺の機体の影響もあってか、アンナはレイラ専用機のアレクサンダタイプ02に『ドローン操作システム』だけでなくコックピットを複座機に改良している。
他人思いのアンナの事だから恐らく、数少ない親友であるレイラの生還率を高めるためだろう。
『複座機にしてレイラがドローン化したアレクサンダを操り、もう一人が本機の操作をする役割分担』と言ったところか。
そう考えると、やはり原作カップリング的に『レイラ+アキト』になるのだろうか?
それはそうとして、
『後に俺の予想は当たっていたが、外れていた』とだけ言おう。
………………
……………
…………
………
……
…
「今回の
数日後にワイバーン隊全員が作戦室に召集され、クラウスがやはりやる気なしな態度のまま俺の予想していた作戦を語り始める。
作戦とは『ワルシャワに駐屯しているEU軍本隊の援護』。
そして『ワイバーン隊が敵後方に
「敵のど真ん中に降下しろってか?」
「
「ちょ、ちょっとユキヤ……」
リョウとユキヤは皮肉たっぷり入った口調と言葉が視線を集め、アヤノがタジタジになる。
「そんなに悲観することはないぞ新入りたち。 ワイバーン隊が錯乱中、進撃してくるEU軍と合流できればその時点で作戦終了な訳だ。」
「で? 僕たちの何割が死ぬんだい?」
ユキヤお前、空気読めよ……せっかくクラウスが彼なりの気遣いをしていたのに。
「成瀬准尉、奇襲作戦で最も重要なことはなんだと思いますか?」
お? レイラがここで口を開けた?
「ん~……タイミング?」
「それもそうですが奇襲作戦は必要な兵力を投入しなければ大した効果もなく、生還率も低くなります。 よって、この作戦では無人機化したナイトメア────ドローンも実戦導入します。」
「……なるほどねぇ。」
おいユキヤ、なんでそこで俺を見る?
普通に嫌な寒気が背中を走るのだが?
「ですが現在の開発具合からドローンにはオペレーターが必要という事で、私も共に出撃します。」
アンナたち技術部やクラウス+俺以外の者たちにどよめきが走る。
無理もないか。
いきなり新兵同然のレイラが『一緒に戦いますよ~』的な宣言をしたからな。
「私はもうこれ以上、誰も死なせません。」
画面越しとは違い、ちょっとしんみりするシーンだなぁ~。
だけどレイラの言ったことに、俺も同意しよう。
その為に俺はEUに来たのだから。
………………
……………
…………
………
……
…
さて。
ワイバーン隊がどうやって出撃するか、その都度どうやって敵陣の背後に現れているかネタバレをしよう。
その方法とは恐らく、コードギアスの世界でも唯一稼働している大気圏離脱式超長距離輸送機────通称『アポロンの馬車』がそのトリックの種である。
地表から発射したロケットの内部に折りたたまれたナイトメアを収納し、多段式ロケットで大気圏を突破。
地球をぐるりと一周してナイトメアが搭載されたカプセルを再度大気圏に突入させる。
要するに
元々は、広大になり過ぎたEUの土地でも辺境の植民地に物資を送り届ける輸送システムだったのだがコストパフォーマンスがあまりにも
これが『突如としてどこにでも現れるワイバーン隊』の秘密であり、なぜアレクサンダに複雑+コストがかさばる変形機能を備えているかの理由である。
『打ち上げ8分前になりました。』
『全システム、正常です』
通信越しにオペレーターであるサラとオリビアの声を聞きながら、
今の俺はいつものライダースーツではなく、ワイバーン隊のパイロットスーツを着込んでいる。
というのも、今回使用する『アポロンの馬車』はさすがにライダースーツでは『性能不足だ』という事で着替えざるを得なかった。
『全システム、電源外部から内部へと切り換えました。』
忘れがちだが、コードギアスのパイロットスーツほぼ例外なく反応性や動き易さにパイロットの生存を考えて肌に密着するタイプである。
全裸の上からスーツを着るのが男女の性別関係なく基本で上記で察せる様に、ボディラインがはっきりとするタイプである。
つまり何が言いたいかと言うと、“正直目のやり場に困るがな”という事だ。
確かにワイバーン隊のスーツは身体のラインがほとんど見えてしまうが……ブリタニアの物よりはるかにましだということを思うと胃が痛くなる。
ワイバーン隊のは手足や手首まで覆っているが、『オズ』なんて女性用のスーツは露出度が半端なく高い。
肩より先の布はないで肩は丸出しだわ、下半身は滅茶苦茶食い込み具合のハイレグっぽい謎のデザインだわ、上半身はぴっちり水着みたいだわで────
『打ち上げ1分前です。』
────サラの通信に、俺の背後で
「スゥー……ハァー……大丈夫。 シミュレーションも十分したし、理論上には問題はない筈……」
……………………うん。
もうぶっちゃけよう。
なんでこうなった。
指がトリッガーを引き、弾倉が回り、撃鉄の音が続く。
撃針が薬室を撃ち、予想していたより虚しい音を立てると皮肉にも『生』の充足が心身ともに震わせ、安堵が息として外部に溢れ出す。
まさに命運を天秤にかけた危険な遊戯、ロシアンルーレット。
果たして、これ以上の『命運を賭けた運試し』はあるのだろうか?
“弾倉が回れば、リスクが上がるのは当たり前。”
ならばリスクを下げる方法はあるという事か?
次回予告:
『逆たまやでおいでませ、スロニムへ♪』
『運は天にあり』というのなら、その天とやらに近づけばいいのではないのだろうか?
久しぶりに次回予告ができました。 (汗
次話では『あの人(?)』が登場する予定です。 (汗汗汗
あと何気にスザク登場しました。 (汗汗汗汗汗