誤字報告、お手数をおかけしております!
そしてお待たせいたしました、少々長めの次話です!
楽しんでいただければ幸いです!
オッス、おらスバル!
もしくはEU風にシュバール!
ブリタニア風だとスヴェン!
で、日本名は昴!
なんかややこしくなってきてるけど堪忍なぁ~。
「どうなってんのよ、これ────?!」
ちなみにだが今の俺は、かつての河口湖ホテルジャック後のアッシュフォード陣営から同じ仕打ちを食らって……はいなかった。
「────落ち着けってアヤノ────」
最初はワイバーン隊から若干避けられていたが、ワイバーン隊の華というか15歳のアヤノが歳に似つかわしくない身体つきの所為で、酔ったEUの士官たちからのキャットコーリングを受け、彼女は勿論だがアヤノを妹のように思っているリョウたちは爆発寸前だったところを、俺が相手のメンツも物理的にも合法的に潰した。
『どうやってか』って?
どこの軍基地でもある、『アングラボクシングアリーナ』でだよ。
何せ見た目でいえばブリタニア人だからな、俺。
しかもイケメンの部類に入るし、俺の顔を殴りたい野郎はいるだろうし、挑発したらすんなりと喧嘩を売ってきたヨ?
「────もう一か月
それもあってか、ワイバーン隊の皆と
「お? 見ろよ、噂のイレヴンたちだぜ~?」
「最前線で俺たちの代わりに死んじゃってよねぇ~?」
「活躍して死ねば、イレヴンも記事に取り上げられるかもしれねえぜぇ~?」
そしてネチネチとした、下っ端を使った嫌がらせを受けている。
ゲラゲラと笑う正規軍の投げた空き缶を(こめかみに血管を浮かばせた)アヤノが空中でキャッチしては投げ返す。
ストラ~イク! バッターアウトォォォ!!!
う~む、そしてアヤノさん?
立派なお餅をお持ちですな!♡
ムホホホホ~♡ 揺れる揺れる、どこぞの種アニメのオープニングのように揺・れ・る~♪*1
スロニムでの一件後、ワイバーン隊は進軍したEUの連合軍と合流……というか、前線に行きたくない士官たちが『ワイバーン隊の護送』を口実に、ワルシャワ駐屯地まで一緒に護送された。
そして連合軍は『亡国のアキト』通りに呆気なく、ユーロ・ブリタニアに敗北。
もう本当に使えねぇな、EUは。
EUオワタね。
「アンタは怒らないんだな?」
「まぁな。 ある程度は予想していた。」
「そうか。」
そして、隣のアキトがほかのよそよそしくする連中と違って以前と変わらず接しながら(俺の真似で支給品に手を加えた)ハンバーグを頬張る。
『あの後のレイラはどうした』かって?
アレクサンダ・スカイアイが倒れて、すぐにコックピットから出ては、土色に顔を変えたまま近くの住居に飛び込みましたが?
多分、以前ナリタでアンジュが見せた『口からキラキラ虹色オロロロ~』*2だろう。
医者たち曰く、『
怖ッ!
誰のせいだよ!
……俺のですか、そうですか。
ちなみにレイラにはもうこれ以上ない程なまでに謝ったぞ?
『どうやって』かって?
あれだよ、あれ。
床に跪いて掌と額を地に付ける、いわゆる
体中の関節痛と筋肉痛と頭痛を無視して、人生で数少ない土下座をしたとき周りはレイラも含めて慌てていたな。
まぁ、内部出血で皮膚の色が青くなったら慌てるか。
あれからボ~っと医務室で寝たまま、コードギアスでもモブが十分可愛く見えるミニスカナース服を横目で追って癒し成分を補充しながら、スロニムでのことを思い返した。
いや、
ハッキリと覚えていないというか……こう、まるで『自分の体が行うことを第三者のような気持ちで見ている』気分といえば通じるかな?
多分だが……あれは『亡国のアキト』でのBRSによるモノか、その影響だろう。
変だな、ソフィには『測定不能』って調査結果が返ってきたのに……
だが『影響される』ということは、逆も然り……の筈だ。
ヴァイスボルフ城に戻ったら、そっち方面で新機体を開発だぜヒャッホウ~!
っとその前に先日、連絡があったな。
よりにもよってオルフェウスから。
『プルートーンがシャイング卿と接触した模様』って……どういうことやねん?
「香坂。」
ここでアキトが口を開けてアヤノの名前を呼ぶ。
お? 始まるか? 始まるのか?
「な、なによ?」
「毎日怒る度に言うが、バタバタしても何も変わらないぞ。」
「あんたは今の状況が良いの?!」
「お前の
余談だが、“アヤノはパイロットスーツを大開きにしている”と追記しよう。
そして『パイロットスーツの補助効果を最大限生かせるためにその下は全裸』とも。
そして日課の『アヤノを天然で弄るアキトのダジャレ漫才からの追いかけっこ』、はーじまーるよ~♪
そういや、『ワルシャワ』で何か忘れているような気が……
ああ、ジプシーである老婆たちの事じゃなくて別の何かだぞ?
なんだろう?
いや、それよりも今はレイラ&ワイバーン隊の関係だな。
………………タイミング的には
なお、のほほんと癒し成分を補充していたスバルは知らない。
レイラを危険から遠ざけるために、最も生還する確率が高い者が機体の操縦ができるように、わざわざアレクサンダ・スカイアイを複座式にしたのに、彼の活躍の所為でレイラが重傷の身になったことを報告で聞いたアンナが、泡を吹きながら気絶したことを。
しかも目覚めた後に送られたデータを見ると、アキト並の機動性をアレクサンダ・スカイアイで出していたことに、またも気絶したとか。
そしてオルフェウスの連絡は確かにスバルが頼んだ類であるが……過去からそのプルートーンと因縁がある彼がただの報告で済ませるわけがなく、スバルが前もって考えていた『オルフェウスと接触の口実』が早くも功を奏しこととなる。
それ等によって引き起こされる事件は、また(少し)後での話となる。
…………
………
……
…
「……………………………………(また、『前線の部隊の優先』からの『承諾待ち』。)」
先日退院したレイラは、今日も通信経由でワイバーン隊の帰還用移動手段の確認をしてから、今度は『重要度:高』を示す
この頃の彼女は初めて出撃した時を思い返しながら、次の作戦時の為に反省点などを探しては対策などを考えていた。
「(『アポロンの馬車』から着陸してそれほど時間が経たずに敵の砲撃が起きたということは、何らかの対策を取っている……ということは、相手もワイバーン隊を意識するようになったのですね。 そして今考えれば砲撃も私たちをスロニムに誘導するためのものと仮定し、待ち伏せされていたことにも辻褄が合う────)」
『────オレは! 死ぬわけにはいかないんだ!』
そう考えているうちに、先日
いつも冷静沈着な
『今思うと、あれはもしかしてワイバーン隊の危機から叫んでいた言葉なのではないのだろうか?』、と。
確かにワイバーン隊は襲撃された当時、ドローンなどから得た情報を基にすると少数の敵に圧されていた。
データを見る限り、ユーロ・ブリタニアの『騎士団規模未満の精鋭部隊』なのだろうが、急にアキト、リョウ、ユキヤ、アヤノたち四人による、
なりつつではあったが────
「(────もしそれが一時の、『
それを思ったレイラはゾクリと、背筋を冷たい何かが伝ったかのように身震いしてしまう。
戦場で最も危惧すべきなのは『敗北』ではなく、『油断』や『勢い任せ』に『戦場の読み間違い』などである。
『敗北』ならば、生存本能から来る『敗走』で生き残る確率は上がるし所詮は『結果』。
だが『調子付いた』、あるいは『油断したまま敵を深追い』などすれば、引き返せない状況に陥りそのまま『壊滅』や『全滅』ということもあり得る。
現にワルシャワ駐屯軍は上記と同じ原理でユーロ・ブリタニアに先日敗北をし、スロニムを再奪還されてしている。
それに
「(ならそれに伴う認識力や直感力から部隊状況を感じ、『敵の首領を討つ』という短期決戦の手段を取ったのでしょうか?)」
そう考えると喉の奥に何かが引っかかったような感覚がスッと消えるように、違和感が無くなってしてしまう。
「(ソフィたちから聞いた、日本で深い謝罪を表する『
スバルが
ここの“ヒュウガ”とアキトの“日向”が同じだったことをレイラが追及すると、シンがアキトの実の兄であると説明した。
『敵国の幹部格がアキトの兄』、
どれほどかというと────
「マルカル司令、少しいいですか?」
「??? シュバールさん? どうぞ。」
「ワルシャワ市に買い出しに出るのですが、何か不足していると感じているものはないか?」
────おそらくワイバーン隊で一番レイラと顔が合わせにくいスバルが尋ねるほどである。
「へ?」
「支給品を工夫して抑えていたが、そろそろ部隊のフラストレーションが限界にくる。」
「……シュバールさんはいいですね。」
「??? どういう意味だ?」
「そうやって、隊の皆と名前で呼び合えることが。」
「……」
「アンナたちにだって、気軽に────」
「────言葉を遮るようですまないが一つ、いいか?」
「何でしょう?」
「スロニムでは言いかけていたが、別に名前呼びでいいのならするが……この際、部隊の皆と仲良くなる方法を提案していいか?」
「“皆と仲良くなる方法”?」
「さっき俺は“買い出しに行く”と言ったが……それを司令の提案として繰り出し、その上で会計の肩代わりも申し出るのです。」
「ですが、それではただ私が施しをしたと思うかも────」
「────そこは俺がフォローするし、会計も俺の口座から引いてくれて構わない。 その……なんだ。 迷惑をかけたからな。」
…………
………
……
…
さて、スバルの『何か忘れている』の正体を明かそう。
「補給用のトレーラーの手配はまだ────」
「集計表はコピーできていますが────」
「予算を超過していますよ、もう一度見直しをしてから新たに申請を────」
「司令官のサインが抜けていますので承諾しかねます────」
場所を、慌ただしいワルシャワ支局の補給部隊へと移そう。
誰もが眠気覚ましにコーヒーや紅茶に栄養剤を片手に事務作業を行う。
『巨大なコールセンター』と呼べばそれで済むのだが、最前線に近いここは片足を戦場に浸かっていると言っても過言ではなかった。
「この申請書、“書式が違う”と言っただろうが! 同じコピーを申請するとは良い度胸だ!」
その補給部隊の中でもかなりの大声で電話の相手に怒鳴る、指揮官らしき男がいた。
「細かいなぁ、あの中佐……適当で良いじゃん────」
「────シ! 聞こえるって! 仕事を押し付けられるぞ!」
そしてその男は、明らかに部下である筈の補給部隊に煙たがられていた。
「貴様はバカなのかぁ!? マニュアルを読み直せこのバカが! あ? 私の名前か? いいとも、教えてやる……私は103補給部隊の司令官、ピエル・アノウ中佐だぁぁぁぁ!!!」
ガチャン!
目の下にはクマが出来ており、見た目は以前よりやせ細り、白髪もかなり据えていたが、その男は確かにwZERO部隊の前指揮官だった、ピエル・アノウだった。
「おい、お前ら! 何をボーっと見ている?! トロトロやってんじゃない、残業させられたいのか?!」
怒りからかストレスからか、アノウの血走った眼は自分を嫌う部下たちを睨んでいた。
「全くどいつもこいつも……ゴクゴクゴ────グブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ?!」
彼は空になりそうだった何本か目の栄養剤を飲み干しながら、次の『重要度:高』とラベルされている申請を見ては吹き出してしまう。
申請書には『wZERO部隊』、そしての差出人の人物欄には『レイラ・マルカル中佐』の筆記とサイン。
「フ………………フフフ………………………………フヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
アノウが
「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!! (まさかこいつとこんなところで巡り合うとは! そうだ! 今の状況も、待遇も、禁酒の定期的調査もぜんッッッッッッッッッッッッッぶ、こいつが悪い!)」
アノウは都合よく自分が傭兵を雇ったことを棚に上げ、自分の『不幸』を全て年若い
「フヒ! フヒヒ! フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!」
…………
………
……
…
「やば~い!♡」
ワルシャワの駐屯地外にあるバザーの一角に、アヤノの年相応なきゃぴきゃぴとした声が響き渡る。
「やばいやばいやばいやばい! やばすぎるよ~!♡」
彼女が目をキラキラ光らせて手に取っていたのは、ドレスなどの女性用の服だった。
「
「あ、えっと、あの……はい?」
「そうだよね!♪」
「……」
「ねぇ
「
「ん? 『ゆるキャラ』って奴だよ?」
「は、はぁ……」
「よぉ
「あ、はい?」
「だな! というわけでオヤジ! 大量に買うから安くしてくれ!」
レイラは上記のように、アヤノたちの態度の急変ぶりに目を点にして、どう接すればいいのか困惑するほどショックを受け、思わず頭を抱えながら呻くことを我慢していた。
「私が悩んでいたことが……こうもあっさりと……」
「「ドンマイです、司令。」」
「hy────アキトに、シュバールさん……ってなんですその手に持ったものは?」
「「旗。」」
「見、見ればわかります……ですが、大きすぎません? よくそんなものがバザーに置いてありましたね?」
「ビルの外に飾ってあった奴を────」
「────今すぐ戻してきなさい、日向中尉。」
「俺は単純にバザーで売っていた旗にポールを繋げただけだ。 レイラ中佐がこれを持ちながら敵を────ああいや、なんでもない。」
余りにもことがトントン拍子に進んだことに、スバルは思わず
「ハァ……なんだか私が悩んでいたのがバカみたい。」
「そうでもない。 レイラ中佐の悩みは年相応の、ごく普通なモノだ。 むしろいつもとは違って、かw────ング。」
スバルは自分が浮かれ、思わず思っていたことを言葉に出してしまいそうになり口をつぐんだ。
「“むしろ”……なんです?」
「(やべ。 口が滑った。)」
「司令はむしろを知らないんですか? 昔のマットレスの事ですよ。」
「(流石はKYアキト!) その通りだ、さすがだな。」
「ドヤァ~。」
「そこは何も言わなくていいぞ?」
「そうか。」
「そうだ。」
「
「後で買おう。」
「…………………………なんだかはぐらかされたような────」
「────気の────」
「────所為────」
「「────だ。」」
バシン!
「……………………」
「うわ、またあのノリをやってるよあの二人。」
「司令、気にしないでください。 僕たちもからかわれていますから────」
「「────特にアヤノ。」」
アキトとスバルがポーカーフェイスのまま、ハイタッチを交わす姿をレイラは複雑な心境をし、それを察したイサムとタカシが慰めの言葉をかける。
そしてその時は来た。
バザーでめぼしいものを集めてから会計しようと、店のレジにクレジット機能の付いたIDをスキャンすると────
ビィー!
『
────の文字が浮かび上がる。
バザーの人も何度かレイラ、そしてスバルのIDをかざしても同じ結果が出て店の物から冷やかしと思われて叩きだされ、今度は駐屯地に入ろうとすると同じようなことが起きて入場できずにいた。
「あの野郎! 道であったらぶん殴ってやるぜ!」
リョウは近くのゴミ箱……ではなく、その横にある壁を蹴った。
結局ワイバーン隊は駐屯地に戻られず、仕方なくバザーの近くにあるビルの階段にて路頭に迷っていた。
「暴力はいけません、佐山准尉────」
「────俺はテメェらの分まで頭に来てんだよ! なんだよあの型に入った対応はよぉ?!」
「(あ~、そういやア
ちなみにこの時のスバルはこのような場面を
「しょうがないですよ。 軍は、規律を順守するモノですから……」
「せっかくのムードが台無しだよ。」
「まぁ……初めてじゃないけどな、こういう扱い。」
「ハァ~……
「ぬいぐるみ、事故を装って燃やせばよかった。」
「「「「「……………………」」」」」
ワイバーン隊が愚痴を次々と出す都度に、レイラは肩身が狭くなる思いをした。
確かにきっかけはスバルだが、あの提案にレイラは『全額を自分が持つ』と宣言していた。
何せ彼女は仮にも令嬢で軍の中佐、口座には全く手を付けていない100万ブルゥゾフ*3が眠っていて、使いどころをようやく見つけたと思っていた。
そしてその自信満々なレイラは、自分のIDが通用しないことにかなりのショックを受けていた。
その気持ちは分からないでもないが。*4
「……少しここで待っていろ。」
「「「「「「え?」」」」」」
レイラたちは、スバルが上記の言葉を口にしながら立ち上がっては、歩き出して角を曲がる姿を見送った。
やべぇ。 スゲェ悪いことをしちまった感じで罪悪感が半端ねぇ。
いや、今更かもしれないがアノウの事はすっかり割とマジで忘れていたよ?
このことを予期して持っていた現金は、駐屯地内にあるアレクサンダの中にあるし……
それに予定というか想定より早い。
アヤノが原作で叫んだのは『もう一ヶ月もここに足止めされているんだよ?!』だったから、てっきり“あと一週間か何日間かの猶予はあるだろ”と思ってしまったよ。
どないしよ────?
ドシッ!
────んあ?
なんだ────?
「────ぎゃああああああああ?! 痛いよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
誰かにぶつかったらと思ったら、相手は自ら盛大に転びながら叫んだ。
「大婆様ぁぁぁぁ!」
「足が擦りむけちまってるじゃないか! アンタどうしちゃくれるんだね?!」
えええええええ? うそ~ん。
「おい、どうした────ってスバル! テメェ、婆相手に何をした?!」
しかも叫び声にリョウたちも駆けつけてきた。
このタイミングで来るか、普通?
「大丈夫ですか────?」
「────ヒィィィ! 痛いよぉぉぉ! 痛いよぉぉぉ!」
レイラ、なぜ来た?!
「アンタの知り合いがぶつかってきたのさ!」
「え────?」
「────この擦り傷が元で死んでしまったらどう責任をとるんだね────?!
「────貧乏なアタシたちじゃ、医者になんかとても連れていけないよ!」
しかも今度はターゲットを俺から世間知らずっぽいレイラへと即座に変えやがった?!
この老婆ども、やりおる!
「せめて薬が買えるくらいのお金があればねえ────」
────チラッ。
露、露骨すぎる……
「なんだ、ただのタカリかよ。」
リョウ、火に油を注ぐな────
「────あああああ! なんて言いぐさだ!」
「────年を取るって悲しいねぇ!」
「────若いのにあんまりだぁ!」
「────乱暴されて泥棒扱い!」
おい。 言い方。
「ああああああああ! もう死んじゃうよ! 死んじまうんだねぇぇぇぇ?!?!?!」
“死ぬ死ぬ”と言っている割にくそ元気な叫び声だなオイ。
「あの……その、本当に申し訳ありません……」
なぜそこで申し訳なさそうに俺を見る?
いや、『幼いころに両親をテロで亡くしてマルカル家の養女として育てられて生真面目で心優しく、差別的な事柄を嫌って理想論と正論を先走らせたりする性格』なレイラのことだ。
多分『俺がぶつかって老婆を怪我をさせてしまい、老婆たちが本気で悲しんでいる』と思って罪の意識を感じていてもおかしくはない。
「レイラ、お前は勘違いをしているぞ、俺は加害者ではなく被害者だぞ────?」
「────あんまりだぁぁぁぁ!」
「────か弱い私たちを悪く言うなんて────!」
「────そのうえ年寄りを労わる気持ちがないなんて────!」
「────あぁぁぁんまぁぁぁりだぁぁぁぁ!」
お前らはどこぞの壁の男かよ?!
というかすごい音量の叫び声だ、耳鳴りがする……
「必死なところ悪いけど、アタシたち一文無しだよ?」
アヤノの言葉にぴたりと老婆たちの叫びもなく演技も止まる。
「そうそ、今夜寝るところも迷っているんだよ?」
「「「「「「何だってえー!?」」」」」
化けの皮がはがれたな。
「なんてこったい!」
「スカンピンだなんて……」
「しゃあねぇ……分かっているんだろうなお前さんたち?!」
いやわかんねぇよ。
ガシッ!
老婆たちが俺たちを取り囲んでは腕をつかみ、連れ去れていく。
ドナ~、ドナ~────
ムニ。
────うひぃぃぃぃぃ?!
「見た目通り、たくましい腹筋と尻だねぇ~♡」
ま、まさかの俺ぇぇぇぇぇぇ?!
ちょっと待ってぇや?! なんで俺やねん?!
自分をマクシミリアンと呼ぶ死神:いつから“自分はセクハラの対象外”と錯覚した?
作者:ええから『白黒世界』に帰れや。