小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第114話 エンドレスじゃないワルツ

『ガリア・グランデ』内部でワイバーン隊がアフラマズダと無人機のサザーランドと交戦していくうちに、足場は次々と無くなっていき『ガリア・グランデ』も少なくはないダメージを受ける。

 

 だが止まらない。

 

 アフラマズダが撃つ銃弾が雨霰のようにアキトたちのアレクサンダを襲い、彼らはそれに応戦する。

 

 アレクサンダのリニアライフルが直撃しても、アフラマズダの装甲はシュロッター鋼を使っている為せいぜい目くらまし。

 狙撃担当のユキヤ機が遠距離かつ最も貫通力の高いライフルを使っても、アフラマズダがよろける程度。

 だが接近さえ、白兵戦に持ち込めば勝機はある。

 

 半面、アフラマズダの弾丸を『数発程度』受けてもアキトたちの乗る機体に大したダメージは与えられないが、『数発以上』さえ当てれば致命傷となる。

 

 この微妙な均衡状態が崩れたのは────

 

 ガァン

 

「ぅ?! (野郎! 右腕のガトリングガンを?!)」

 

 ────サザーランドたちの数がほかでもないアシュレイの手で減らされ、余裕ができたリョウたちはシュロッター鋼が使われていない部位を狙い始めたところから始まった。

 

 そして、アフラマズダはガトリングガンの短所である『弾切れ』を克服するため、予備のマガジンを背負っているが『有限』であることに変わりはなく、このことを勝機と見たアキトは単騎で直進していく。

 

 アフラマズダはただの鉄の塊となったガトリングガンを捨て、腰から予備の二連装大型リボルバーを両手に持っては撃ち始める。

 

 ガトリングガンより口径が大きいそれらは、今度はこれまでのダメージを蓄積していたアキト機の装甲を破り始めていく。

 

死ね。

 

「ウッ?!」

 

 アキトの脳内に、シンから受けた呪い(ギアス)が身に迫る危険に乗じて発現すると、アキト機は装甲をはがされていく中で突撃するスピードが加速する。

 

「なんなんだよ、テメェは?!」

 

『死兵。』

 

 そうアシュレイは口にしたが、目の前のアキト機の様子からぴったりな単語が浮かび上がると嫌な汗が増して、敵のトンファを大型リボルバーで受け止め、重量と出力で勝るアフラマズダでアレクサンダをつかんで一気に足場から共に飛び降りる。

 

 いくら装甲の性能が良くても、もしアレクサンダがアフラマズダの下敷きなどになれば、質量の差で平気ではすまない。

 

「アキト!」

 

 アヤノは先ほどアフラマズダの注意を引くために少々無理をしてほかの者たちより接近していたため、この様子を見て思わず彼の名を口にする。

 

 死ね。

 

「ッ……今のは────?」

 

 

 ドガァン!

 

 アフラマズダの重量と機動力のなさは予想を超えていたのか、途中で『ガリア・グランデ』の内部に数ある鉄骨に衝突してしまい、アキト機とアフラマズダは強制的に互いから引きはがされる。

 

 アシュレイは無理やり取り付けた剣を抜いて応戦するが、アフラマズダは元々火力特化させた動く砲台でアレクサンダの動きについていけるわけがなく、どんどんと追い込まれていく。

 

 剣を振るうより早く頭部(メインセンサー)を蹴られて損傷し、トンファで胴体を叩かれ、機体が誇るパワーを上手く活かせないままアシュレイは追い込まれていく。

 

 精神的にも、物理的にも。

 

 ようやくアフラマズダはサクラダイトを輸送するためのコンパートメントブロックに落ちてしまい、背中を壁に預けるように立ち上がったところでアキト機が襲う。

 

 ジワジワと、まるで抵抗する獲物をいたぶるかのようにアフラマズダの武器を破壊してから、手首、肘、腕とアキト機が引き千切っていく。

 

 各部に異常を報告するアラームはアフラマズダだけでなく、無茶な機動を描いていたアキト機でも鳴っていた。

 

「さぁ、俺を早く殺せよ────!」

 『────死ね。────』

「────でないと、テメェが死ぬんだぞぉぉぉぉ?!」

 

「ヤッッッロウゥゥゥゥゥ!」

 

 まさに背水の陣という状況でもアシュレイは諦めず、気迫からくるがむしゃらな抗いで頭突きをアキト機に食らわせてフェイスカバーを砕かせる。

 

「そうだ! 俺を殺せ! 殺せよ!」

 

 だがアキトの胸は逆に高ぶった。

 

 ()()()()()()()()()()()()という興奮から。

 

「フ、フフ……フフフフフフフフフフフフフフフ!」

 

 コックピットを開けてから、アキトは殺す(死ぬ)ため得意な(死にやすい)接近戦を挑むのか、トンファと備え付けられたパイルバンカーでアフラマズダを襲う。

 

 パイルバンカーを以前に見たことがあるのでアシュレイはそれを警戒して躱し、トンファも無理やり弾く。

 

「死ねぇ────!」

「────機体のハッチを開いただと?! (違うそうじゃねぇだろ俺! 腕からの仕込みナイフが────!)」

 

 だがトンファが弾かれた腕から伸びたウルナエッジ(手首の仕込みナイフ)は原作と違って初見のため、躱すどころか一瞬の戸惑いからくる硬直でアキト機を見ていた。

 

『『『『アキトォォォォォ!』』』』

 

 リョウ、アヤノ、そしてほかのワイバーン隊からくる通信越しの叫びとBRSを経由した本心からの感情(思いやり)がアキトの中に流れ込んでくると、アシュレイのいるコックピットブロックを狙った刃は軌道を変えて当たる。

 

「ぐぁ?!」

 

 限界を超えたアフラマズダが倒れた拍子に、シートハーネスを着用していなかったアシュレイは、開かれた空き缶のようなコックピットから外へと放り出される。

 

「グ……この……テメェの所為で、ヨハネは────!」

 

 死ななかったものの、重症のまま彼は立ち上がってはリボルバーを構えては何発も撃つ。

 

 ケガと衝動的な行動ゆえに、ハッチを開いたままにしていたアキトに当たらず、アレクサンダの装甲に弾かれていく。

 

 アシュレイはようやくこのことに気付いたのか、リボルバーに内蔵されたレーザーサイトにスイッチを入れて、今度はアレクサンダ内から露出したアキトの頭を狙ってから引き金を引く。

 

 カチン!

 

 引き金を引いたリボルバーから、撃鉄が空の薬室を打つ音が辺りに響くと、アシュレイの維持していた緊張感は一気に薄れていく。

 

『戦で一番大事なのは“運”』と思うアシュレイは、アキトに対して『運』でも負けてしまったことに、その場でよろけそうになった体で座り込む。

 

「……ついていなかったのは、俺か。」

 

 操縦技術、機体、そして運でも負けたことに、アシュレイはいっそう清々しいまでの心境を感じていた。

 

 そんな時、アフラマズダから発される信号がなくなったことで『ガリア・グランデ』の各部で仕掛けられていた爆弾が一斉に爆発した。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 時間を少し巻き戻そう。

 

「司令! 軍統合本部から緊急通信です!」

 

 ちょうど、ワイバーン隊が『ガリア・グランデ』に降下し始めた時にまで。

 そして、スバルが『自分の機体の様子を見てくる』と言って退室したタイミングで、wZERO部隊にやっと軍の上層部から連絡が来たことに、ヴァイスボルフ城の作戦室はざわめいた。

 

「統合本部? いったい誰からですか?」

 

「スマイラス将軍から直接回線です!」

 

 「え────」

 「ウソ────」

 「誰かまだいたんだ────!」

 「よかったぁ~────」

「────ッ。 メインスクリーンへ!」

 

 室内のそこかしこから聞こえてくる、安心するような子声にレイラも同意しそうになるが『自分は指揮官』ということを思い出して職務に見合う言動を続けた。

 

 高々度観測気球からほぼリアルタイムで送られてくるワイバーン隊と『ガリア・グランデ』を映し出していた作戦室の巨大スクリーンが、疲れた様子のスマイラスを映し出す。

 

「ご無事でしたか、スマイラス将軍。」

 

『私はな。 だがもはや政府も軍も機能していなく、パリでさえも騒乱状態だ……だが私は逃げない。』

 

 さっき安心し始めた皆はスマイラスの言ったことに、冷たい何かが胸に入ってくるような感覚を感じ始めたのを悟ったのかスマイラスの言葉にホッとする。

 

「将軍、今回の騒乱の原因となった映像などは、恐らくユーロ・ブリタニアが仕組んだ謀略です。」

 

『証拠はあるのかね?』

 

「未確認の飛行物体に現在、ワイバーン隊が突入作戦を実行中です。 敵ナイトメアも確認していますが、飛行物体自体に戦力や脅威は確認されていません。 このことを、市民に伝えれば────」

『────レイラ。 人は常に不満を吐き出すきっかけを待つ生き物、人の性だ。 いまさら事実を伝えても聞き入れてもらえるかどうか……』

 

「ですが、可能性はまだ残されているはずです! 諦めては変わるものも変わりません!」

 

 スマイラスは目を閉じて、考えに耽りながら腕を組みこと数秒間後に彼は口を再び開けた。

 

『…………………………君ならば可能かもしれない。 いや、()()()()()()可能だ。』

 

「「「「「え?」」」」」

 

 レイラ本人も、作戦室にいたwZERO部隊の者たちもキョトンとする。

 

『私の親友、そして君の父であるブラドー・フォン・ブライスガウは、亡くなって10年経った今なおも人々から慕われている。』

 

 驚愕するような事実がポロっと暴露されたことで、作戦中だというのに、wZERO部隊の者たちはコンソールから視線をレイラへと移す。

 

「しょ、将軍────」

『────“レイラ・マルカル中佐”ではなく、“レイラ・フォン・ブライスガウ”としての言葉なら……人々に届くはずだ。』

 

 ……

 …

 

 世界でも、ブリタニアの古き首都ペンドラゴンより近代化してなお同等の美しさを誇るパリは、暴動で地獄絵図と変わっていた。

 

 暴徒化した市民や公安はそれぞれ好き勝手に、各々の欲望や願望のまま振舞っていた。

 

 そんなパリの各地で設置されていた公共広告用の巨大スクリーンは『政府からの報道をお待ちください』からレイラへと変わる。

 

『ユーロピアの市民の方々に、お伝えしたいことがあります。 ユーロ・ブリタニアの情報操作に乗って、騒乱を行うことの愚かしさに気付いて下さい。

 私たちは秘密裏にユーロ・ブリタニアと戦っている特殊部隊です。』

 

 最初はこの変わりように暴徒たちは興味を示さなかったが、彼女の容姿と画像が次第に公共広告用の巨大スクリーンだけでなく、携帯や無線機にラジオなどの機器を通してEU全域に広がっていったことで注目を浴び始める。

 

『しかも、兵士として最前線で戦っているのは私たちがイレヴンと呼んで強制的に隔離している日本人たちなのです────』

 

 レイラの放送に耳を傾けながらも暴走を続けたい者たちは、日系人たちがいるはずの強制収容所を思い出してそこを目指し始める。

 

『────私たちは、仮想敵であるブリタニアに対する恐怖から自らの意思で日本人の自由を奪っています。 ブリタニアは同じ恐怖で市民を支配し、混乱に便乗して軍事侵攻占領しようとしているのです────』

 

 暴徒たちはようやく日系人たちがいるはずの収容所()にたどり着き、頑丈に絞められた扉を無理やりこじ開けようと重工器具を使い始める。

 

『────映像で見た飛行兵器は存在しません。 それどころか、洋上発電所は無事です。 この混乱の元凶である映像は巧妙に捏造されたものです。 なぜこんなことで傷つけ合うのですか? 人間とは、こんなにも悲しいものなのでしょうか?』

 

 ……

 …

 

「そうだよ。 人間とはどうしようもなく、愚かしき生き物なのだよ。レイラ・フォン・ブライスガウ。」

 

 そんなレイラの心からくる真摯な演説を、比較的に被害や遺体が少ないパリのチュイルリー公園の中で立ちながら見ていたとある男が、ナルシズム満載の口調で会話をしているかのように独り言を言い放つ。

 

「心優しき乙女である君は私の花嫁とは違うが、やはり見目は良いものだな。」

 

 ……

 …

 

『憎しみに支配されてはいけません、私たちは何ものからも“自由”であるべきです。 ですが責任が伴うのも忘れてはいけません。 “人”が“人らしくある為”に、この世界をより良きものにする為に。

 それが、EUの掲げる“自由”だと、私の父、ブラドー・フォン・ブライスガウは信じて皆様に伝えていました。』

 

「ブライスガウ議員の娘が────」

「────生きている────?」

「────あんなに大きくなって────」

「────本当に?」

 

 ここでようやくレイラが誰なのかを(ほの)めかしたことで、ほとんどの市民たちの注目が一気に『願望』や『欲望』などから離れていき、近くの通信機器に魅入られる。

 

『今こそ────いいえ、今だからこそ“真の自由を”私たちは手にしなければならないのです! 私は諦めも逃げもしません! 

 私の名は、レイラ・ブライスガウです!

 私は、皆さんと共にあります! ですから────!』

 

 ────ブツン。

 

 急にレイラの放送が途切れてノイズに代わると、彼女の言葉に耳を傾けて落ち着きを取り戻しつつあった市民たちに動揺が走る。

 

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「私の名は、レイラ・ブライスガウです!  私は、皆さんと共にあります! ですから、諦めないでください! 恐怖や不安などから逃げるために、自由を手放さないでください!」

 

『ありがとう、レイラ。』

 

「……ふぅー。」

 

 スマイラスとの通信が切られると同時にEUへの通信が終わる合図となり、レイラは人生で初めて大衆に向けた演説から精神的疲労がたまったのか、思わず長いため息を吐き出す。

 

「敵ナイトメア部隊、沈黙!」

 

「あとは『箱舟』を────」

 

 ────ビィー!

 

 やっと一息ついたと思えば、今度はアラート音が響いてワイバーン隊のアレクサンダとパイロットスーツからの反応と生命反応が消える。

 

「え?!」

「シグナル消えました!」

「『箱舟』も同時に消えた模様! 再スキャンします!」

「ま、まさか……自爆?」

 

 サラたちが狼狽えながらも職務に励んでいると、気弱のジョウ・ワイズが脳裏をよぎった考えを口に出しそうになる。

 

 ある者は必死にキーボードを打ち続け何度も生存の確認を行い、ある者は死んだと思い悲しみ涙し、ある者は手を止めて現状を見つめる。

 

「チッ。」

 

 そんな中、クラウスは舌打ちをした。

 

 彼は元々『やる気ゼロ、関心ゼロ、常にある程度の酔いに浸っている』というわけもあって左遷先がwZERO部隊だったが、アキトたちとの付き合いも長くなった上に酒を『不味い』と感じた彼は情が移っていた。

 

 あまり頻繁にかかわろうとしなかった為に『友』と呼べないほどにしろ、『知り合い』という程度だが。

 

 作戦室の入り口で、いつでも動けるように待機していたハメルでさえも『信じられない』という表情を浮かべながら固まっていた。

 

 誰が見ても、堅物である彼が少なからず仲間意識をリョウたちにも持っていたことが伺えた。

 

 レイラの足が諤々として力が抜けそうになるが────

 

『────司令、こちら森の中にいるシュバールだ。 敵のナイトメアが一直線にそちらへ向かっている────』

 

 ────そして、シュバール(スバル)の通信から数秒後に先ほど消したアラーム音が再びなると同時に、作戦室のモニターはヴァイスボルフ城周辺の森を映し出す。

 

「ぁ────警戒ラインを突破した識別不明機が────!」

「────こっちに向かってくるのか?!」

 

 オリビアの焦る声にクラウスが思わず()()()()()反応してしまう。

 

「は、はい! 恐らく、ブリタニアの偵察かと────!」

『────こちらシュバールだ。 見えている敵ナイトメアは二機。 一機はスロニ厶で見た四脚の奴と、もう一つは大型キャノン砲らしい武装をしている。』

 

「ぁ……ぇ────」

 「────何ボサっとしてんだマルカル司令?! 敵が来た、指示を出せ! あんたにはその責任があるだろうが?!」

 

 本来司令が反応できない状態に陥れば副官が代わりに指示を出すものだが、クラウスはレイラと自分では雲泥の────否、月と亀ほどの差があるのは否が応でも理解している。

 

 クラウスはタジタジとするレイラを睨んで叫ぶと、彼女はハッとして固まっ(フリーズし)ていた思考を巡らせる。

 

「て、敵は二機ですか?! 距離と位置は?!」

 

「センサーでとらえられているのはやはり二機だけです!」

「位置は北東、時速140キロでなおも森を通っています!」

 

「(もしシュバールさんの目撃情報を配慮すると、敵の指揮官が自ら強襲偵察……いえ、ここに到達すれば全滅も十分あり得る!) 防御システムを起動! 敵の侵入を全力で阻止します! シュバールさん、ヴァイスボルフ城にすぐ戻ってください!」

 

『ああ、今最後の仕掛けをし終えたところだ。 俺のことは構わず、全防衛システムを作動して()()()()をしてくれ。』

 

 この“時間稼ぎ”という単語に、ほとんどの者たちは気にせず自分たちのできることを実行に移していた。

 

「ッ。」

 

 数少ない例外のクラウスは、のどに小骨が引っ掛かったように眉毛をピクリと反応させて、偶然これを見たハメルはハテナマークを出す。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ヴァイスボルフ城の周辺に広がる森林地帯は地形的に地上兵器の侵入を拒むように大きな木々があり、そこかしこにはEUのナイトメアもどきとなる前のパンツァー・フンメルが自動砲撃台となっており、二段の備えである地雷原のセンサーと共にすべてが作動する。

 

 自動砲撃台のパンツァー・フンメルが砲撃を予想通りに開始する。

 

「自動砲の起動と射撃を確認しましたが……直撃なし?!」

「そんな馬鹿な?!」

「敵の速度が速すぎて自動照準が追い付いていません!」

「それどころか、次々と自動砲台が撃破されています!」

 

「うっそだろぉ~?」

 

 クラウスは驚愕が一周回って冷静に『おかしい』とまで感じながらも笑みをこぼしてしまう。

 

 敵は森林地帯で『ランダム』が売りである筈の自然が生やした木々をすり抜けるだけでなく、長距離砲撃を躱すだけでなく反撃までしていた。

 

 とても人間業とは思えない芸当に、クラウスは笑った。

 

「敵の速度落ちません!」

「地雷原への接近を確認!」

「敵の減速、いまだに見られません!」

 

「まさか、地雷が爆発するより早く移動をしている────?」

「────おいおいおいおいおいおい?! 完璧に化け物じゃねぇか?!」

 

「隔壁の展開時間まではあとどのぐらいかしら?! それと、シュバールさんの位置は?!」

 

「防御壁起動まであと180秒です!」

「シュバールさん、こちら作戦室です! ヴァイスボルフ城の敷地内まであとどのぐらいですか?!」

 

 先ほどシュバールが使ったチャンネルにサラが送り返すと、返信に彼の声と共にランドスピナーが展開されている音が聞こえてくる。

 

『こちらシュバール、今すぐにでも向かえばノータイムでは入れるが……それは敵も同じだろう? ()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

「へ?」

 

 シュバール(スバル)に隔壁のことを聞き返されて、サラはぽかんとして同じくびっくりしているハメルを見るが無理はなかった。

 

 何せそこにいる者たち含めてwZERO部隊には忘れがちだが、彼は『傭兵』で『契約している部外者』。

 ヴァイスボルフ城の設備は基本的に誰でも知っていいものばかりで、機密関係のものには触れさせていない。

 

 なお技術部はスバルの機体を勝手に分解してパーツや武装などをアレクサンダに応用したことで、やむなくある程度の公開はしていたし、脳科学部にはミーハー日本マニアの主任であるソフィがほぼ無理やり日本の話を聞くためにドナドナ連行されている。

 

 それにヴァイスボルフ城を自由に動き回れるようになったのも、ア()ウの嫌がらせによって結果的にジプシー老婆たちの世話になった後から帰ってきた後である。

 

 それも、新たな契約をしたのはごく最近であって、とてもではないが彼に隔壁などの特徴を説明する暇もないほど。

 

『……誤解がないように前もって言っておくが、これは俺が独自に調査した憶測で言っているだけだからな、誰の所為でも情報が漏洩したわけでもない。 だがその戸惑う様子を伺うと、展開まで少し時間があるようだな? レイラ中佐────』

「────え?! あ、ハイ?! なんでしょう────?!」

『────少し敵ナイトメアの足止めをする。 防壁展開のカウントダウン表示を送ってくれ。』




スバルの胃痛は次話でさらに増す予定です。 (汗

なお自分も近づいてくる年末に向けて胃薬服用しながら頑張ります。 (;´ω`)φイジイジ
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