前話が短かったのが気になったので少々早めの次話投稿です。
お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。 <(_ _)>
あの出来事から、アンジュリーゼは『悪役令嬢』らしい言動は辞めた。
「ごめんなさい!」
と言うか180度に態度が変わって、次の日から彼女は親身になりながら今まで悪い態度をしていた生徒会の皆に腰を折って深~くお詫びした。
皆の分を焼いたクッキー(形はアンジュリーゼが整えた)が入った袋を差し出しながら。
と言うか後ろに立っている俺に見えちゃうだろうが超ミニスカがオイバカやめろ黒のヒラヒラレースががガガガががががががガガガがが。
………………………………………………………………………………………………………………いや、これも俺が『誠心誠意を持って謝れ』ってアドバイスをした所為だが、まさかのまさかでそれを当日と次の日に実行へ移すとは思わなかった。
『クロスアンジュ』で見た、周りを気にせず我が道を歩むアンジュだ。
「………………ううん、気にしていないよ! 何か理由、あったんでしょ? でもこうやって向き合ってくれようとしているからちょっとだけ許しちゃう!」
ルルーシュやリヴァルにニーナはポカンと未だにしていたが、流石はシャーリー・フェネットだ。
『ちょっとだけ』だが。
原作では明るく活発で非常に心優しい女性。
彼女は原作でも『ゼロ』として覚悟を決めていたルルーシュの拠り所になっていた描写が数々ある。
そして…………原作の二期では彼女が殺されたことで、ルルーシュの良心や遠慮は完全に折れた。
あと腐れもなく、完膚なきまでの粉々に散って。
それこそ、それまでの修羅場を首皮一枚で何とか潜り抜け、一度は反逆に失敗したことで目をつけられ、慎重に慎重を重ねることに徹していたルルーシュに号泣させるほど。
その直後、無我夢中の子供のように怒りをぶつけて全面戦争をブリタニアへ仕掛ける程に。
一人の女性の死が、ルルーシュを拡大自殺者のごとく行動させるほどのきっかけとなるような存在になっていたのだ。
だから、俺は────
「────それでぇ~? アンジュリーゼちゃんのあの変わり様、スヴェンのおかげなんでしょう?」
俺の考えを近くまで来てニヤニヤしていたミレイが遮り、俺は人当たりの良い笑みを向ける。
「いえいえ、私は何もしていませんよ。 恐らく、何か
ミレイはまたも邪悪な笑みを浮かべて小声で話しかける。
「“吹っ切れた”、ということは
凌いだ? 何を?
というか“言い訳”?
ナニソレ?
「???」
「え? 何その顔? だって、アンジュリーゼちゃんから聞いているんでしょ? “
……………………………………………………………………………………はぇ?
「昨日のこと、聞いたわよ? 彼女が租界に一人で出たって聞いたらどこかの誰かさんが騎士のように颯爽と飛び出たことを。 しかも帰って来たのは夜遅くだとか? それって、しつこく付き纏う相手から────」
「────ちょっと待ってください。 夜遅くに戻ってきたのは、彼女を探すことに手間取っただけです。」
さっきミレイは何て言った?
社会の対応?
アンジュリーゼが?
“しつこく付き纏う相手”?
え?
なぜに?
なんだこれ?
「え? じゃあ、スヴェンは今まで彼女の
相談?
なんの?
「いえ、ですから彼女の
「え?! まさか、そこまでしていたの?!」
……んんんんんん?
何か変だぞ?
「私って、てっきりスヴェンがアンジュリーゼちゃんに自立や生活力のノウハウや、彼女にお見合いとかからの断り方とか逃げ方を教えたりしていたとてっきり思っていたのだけど……道理で……」
んんんんんん?
致命的なまでに話が噛み合っていないような気がするぞ?
「あの、ミレイ会長……………………私はそのことに関して、全くの初耳なのですが?」
「えええ?! だだだだだって、スヴェンはもうすでにカレンちゃんの世話をしているじゃない?! いくら私でも“そこまで面倒を見なさい”なんて言わないわよ!」
“いくら私でも”ってことは、人使いが荒いことをある程度は自覚しているという事かいな。
いや違う。
違うだろ、俺。
今注目すべきところはそこじゃないだろ、俺?
言い方からだと、ミレイはまるで一度も俺に………………………………
そう言えば
『と、言う訳でぇ~! アンジュリーゼさんの知り合いであるスヴェンくん、
今考えると最初のこれはただ単にエスコートをお願いしているな、寮までの。
『あら? あの子に口が利けるのって、貴方ぐらいよ? あとは
そして俺が世話を見始めたところに“いつまで世話を見させる気だ?”と言う問いの答えが上記のこれか。
ん?
そう言えば何故ここで
彼がアンジュリーゼの世話をする訳が……………………………………………………
もしかして、もしかしたら、もしかするのか?
「ミレイ会長? そう言えば以前、私が“いつまで”の問いをしたときに確か理事長を出しましたね? あれはどういう意味ですか?」
「え? だからさっきも言ったように、おじいちゃんは“婚約の話の対応や相談を時間の空いているときにならしてもいい”って言ったって私に伝えていたわよ?」
………………………え?
え?
え?
「で、ですが確か! “
そこでまたもミレイの言葉が脳内に浮かんで、俺は重大なことに気が付いた。
『
『箱入り過ぎるから~。』
あれはもしや……
『箱入り過ぎるから~。』
もしや、『従者見習い』≠『世話係』?
そして確かに『従者見習い』であればある程度の生活力を教えたり、婚約などの社交的な相談に乗ったりなどするが、『世話係』と違ってそこまで親身になってまでアレコレしたりは……
それに
え?
……………………ま、まさか────
「────今までは、
_| ̄
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……」
────思わず公衆の前でがっくりと膝と手を地面に着きながら項垂れるのを俺は、顔を両手で覆いながらかつて出したことのない程の長~いため息を出すだけに何とか押し留める。
「ゴ、ゴゴゴゴゴゴゴメンねスヴェン?! ほ、ほ、ほ、本当に! 貴方はカレンちゃんのこともあったし、まさかそこまでするまで話がズレていただなんて私思わなくてッ!!!」
あと、何か慌てた様子のミレイから(原作を含めて)今まで聞いたことのない、真剣な謝罪の言葉を聞いたような気がした。
ガジガジガジガジガジ。
アーサー、足を噛まないでくれ。
割と痛い。
余談かもしれないが、『一日水着で学園生活』の際には俺一人だけ朝一でこっそりとクラブハウスに呼び出してはモジモジしながら『お、お詫び的なサプライズ?』と消え入りそうな声と共に頬と耳を紅潮させながら上着を脱いだらスリングショット水着姿のミレイが居た。
な、何を言っているのか分からないと思うが……俺も何をされたのか分からなかった。
………………………………いや、グッとは来たよ?
刺さったよ?
主に心臓。
『殆んどヒモじゃねぇか!』と叫びたい衝動をこらえたよ?
流石の彼女も恥ずかしかったのか、俺が固まっている間に彼女はビキニタイプへと早着替えをしてその一日を過ごしたが。
あと他の生徒会の女性陣にビキニタイプを見繕ったのはナイスなのですが……
アリスはともかくナナリーにビキニなど言語道断だ。
しかもそこで折れたと見せかけて次に出したのが青のスク水とはどういう訳だ。
更に旧スクタイプで胸の名札にはご丁寧に『ななりー』が書かれているとは。
ガジガジガジガジガジ。
アーサーよ、足を噛んでくれてありがとう。
おかげで仮面を維持できたよ。
そして色々な意味で
……………………………………あと全部脳内フォルダに永久保存しました、ハイ。
次回予告:
『そのグラスゴー、赤でもらい受ける』。
余談:
次話から元の長さに戻せれると思います、大変ご迷惑をおかけしました。
ではおやすみなさいです。