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自爆による大きな爆発の音はヴァイスボルフ城周辺にいた誰の耳にも届き、近くの木に積もった雪が落ちていく。
城の防御壁の配線が連結していたのか、一部が真っ二つに割れてから自動機銃は沈黙化して、辺りが静けさが戻っている間に、ミカエル騎士団のナイトメアたちが次々と身を潜めていた場所から出ては城内に乗り込もうと姿を現す。
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!
『な────?!』
『これは────?!』
『リバプールが────!』
まるでそのタイミングを見計らっていたかのように、リバプールたちの銃口や機銃が、標的先を今まさに身を乗り出そうとしたミカエル騎士団のナイトメアや歩兵部隊に変えたのだった。
「う~ん、ネットバンクから金をかすめ取るよりはハードルが高かったけれど……やろうと思えばなんてことなかったね。」
上記の様子を、ユキヤは城外にいると思われるリバプールたちの視点から平然と見ながらそう言った。
原作でのユキヤは大怪我をして機体を大破させたことによって参戦はかなり後となっていたのだが、少々の介入によりスバルが持ち込んだ電子戦技術を施された『アレクサンダタイプ02』に改良と強化を施した『アレクサンダ・ヴァリアント・イーグルアイタイプ』のモニターを介して、無人機であるリバプールたちが通信機器の効果範囲に入ったことで、事前にプログラムされていた『敵味方識別』の標的を入れ替えた。
つまりリバプールたちの『友軍』であったミカエル騎士団が、今は『敵』として認定されていた。
言葉にすれば単純だが、ユキヤが長年に渡って磨き続けていたハッキングスキルと、スバルがwZERO部隊に『傭兵』として就いて初期に持ち込んだ『スカイアイ』の技術の応用で初めて成せた神業であった。
「うわ、エグイなユキヤ。」
「まだまだだね。 こういうのよりも、もっとスゴイのを今プログラム中だから期待していてよリョウ。」
「お喋りはそこまでだ、そろそろ出撃されてもおかしくはない。」
「ブツブツブツブツ急に真剣になってブツブツブツブツブツ」
「チィ! あの女か!」
シンはヴェルキンゲトリクスを使って、後方からミカエル騎士団を撃っていたリバプールを切り伏せていく。
『後方に構うな! 総員、乗り込め!』
これを見たジャンは更なる命令を出し、彼女自身もヴァイスボルフ城の壁だった残骸を他の者たちと一緒に乗り超えていく。
ボボボォォン!
ヴァイスボルフ城内の道をランドスピナーで高速移動していると、次々と城内グラウンドに散りばめられた地雷が爆発して、ミカエル騎士団のサザーランド達の足などを吹き飛ばしていく。
『城内に地雷原だと?!』
『正気か?!』
「敵の動きが旧門周りで止まりました!」
「第二の地雷原をマニュアルで起動! ハメル少佐とワイバーン隊に出撃の通信を入れてください!」
作戦室内にいるオリビアは、ミカエル騎士団が移動を止めたあたりの建物や壁に埋められた地雷を爆発させる。
『クソ!』
『このまま進むしかない!』
『立ち止まるな!』
第一と第二の地雷を生き残ったミカエル騎士団のサザーランドたちが移動すると、地面から数々の釘状の柱がサザーランドを串刺してからワイヤーを互いに連結させる。
見た目だけで言うと、旧日本の『罪人を追い込んで苦しめる地獄』に存在するとされている『針の山』のようだった。
あるいは場所が
『通路がふさがれた?!』
『狼狽えるな! ワイヤーを切って進め! 我らの目的は敵の司令塔のみだ!』
次々へと発動される悪質な『通せんぼ』のような出来事を前に部下たちと同じように戸惑いを見せそうになるものの、ジャンの掛け声にミカエル騎士団のサザーランドたちが背負っていた対KMF用斧を展開させてワイヤーを切っていく。
『いまだ! 撃てぇぇぇぇ!』
ドン、ドドン、ドン、ドン!
ちょうどミカエル騎士団が『針の山』通路を半分進んだところで、ハメルたち警備隊のアレクサンダが、スバルが『電磁砲ライフル』を作るために試行錯誤で出てきた副産物を再利用した銃をビルの屋上から撃っては身を隠す。
ハメルたちが撃った銃からは散弾のようにフレシェット弾が飛び出ては、サザーランドの装甲がカバーしていない関節部やランドスピナー、運の悪い場合は『装甲をすり抜けて直接パイロットに突き刺さる』こともあった。
結局どれだけ訓練をしたといっても、今まで『警備隊』として一度も実戦を経験していない彼らは、比較的にハードルが低い『ヒット&アウェイ』を中心にしたゲリラ戦に徹していた。
そして武装も『狙い撃つ』というよりは『大体これで合っているだろ?』や二次効果のあるモノを主に使っていた。
例えば上記のフレシェット弾なら、外しても地面に刺さっている間は
なお余談だが、もしこの場でカレンの兄であるナオトがいれば『まるで
その間、まるでミカエル騎士団の前から姿を消すハメルたちと入れ替わるようにワイバーン隊の個性に合わせた専用機に、もともとアキト機になる予定だった『アレクサンダ・レッドオーガ』に乗ったアシュレイたちが左右の建物の陰から出てくる。
姿形と時代と技術は違えど、その景色はまさしく中世で行われていた攻城戦そのものだった。
『よっしゃー! 行くぜ野郎ども!』
『なんでお前が仕切るんだよ?!』
『どうでもいい、どちらにせよ敵の殲滅に変わりはない。』
『アキトも言うようになったね。』
『それは……お前が……』
『え? ごめん、なんて?』
『いや、これが終わったら言い直す。』
“上記の通信がなければ”、という前提付きだが。
「(これが実戦を味わった者たちの余裕なのか?!)」
そうハメルが内心で思うのも仕方がなかったほどまでに、ワイバーン隊は奮闘していた。
急ピッチとはいえ、彼ら彼女らがアレクサンダタイプ02の改良型である『ヴァリアント』に乗っていて、しかもそれぞれ一つ一つが専用機に仕立て上げられていることは承知していても、警備隊たちの眼前で行われている機動戦はとても『ナイトメア』とは思えないほど目まぐるしいものだった。
元々の原作でも『鬼に金棒』ならず『鬼に斬艦〇』であり、その上接近戦を得意とする者たちは、スバル機のように取り付けられた噴射機でブーストをかけて一騎当千の働きをしていた。
特にアシュレイとアキト機はランドスピナーを急加速の第一段階としてだけ使い、脚の代わりに噴射機を移動手段に使ってはその勢いのまま敵を武器ごと切断していく。
アシュレイは器用にソードマン時と同じ二刀流式の戦い方で。
アキトは日本刀状の大型ブレードに、ブリタニア製のナイトメア以外では初となるブレイズルミナスの盾から繰り出すシールドバッシュなどを巧みに使った。
『待ち伏せだ!』
『シールドを持った奴が前に出ろ!』
『撃て! 撃ちまくれ!』
だが伊達に騎士団を名乗っている上に『魔女の森』を生き残ったわけでもなく、サザーランドの対応は素早かった。
元々カンタベリーの護衛の為に持っていたタワーシールドを手にした機体たちがペアを組み、二体で一機の動きをし始めたその時にシンのヴェルキンゲトリクスが乱入し────
『────シャイング卿────!』
『────邪魔だぞ、アシュレイ────』
『────この、ふざけんな!』
────アシュレイのレッドオーガを
『兄さん────!』
『────そう言えば雰囲気が変わったな、アキト。 貴様も“
ヴェルキンゲトリクスのハルバードを、アキト機であるアレクサンダ・リベルテの日本刀が
『兄さん、もうやめてくれ!
バチバチと火花が飛び合う中、アキトはそんな声をかける。
実は先日のアシュレイから聞いていた生い立ちの中で出てくる『シン・ヒュウガ・シャイング』に、時々『昔の兄』の言動が見え隠れしていたことに一種の希望を見出していた。
それが例え、数年前に『次期聖ミカエル騎士団総帥候補』となってから、急激に人柄がガラリと現在の別人のようなモノに変わったとしても。
『こんな戦いをして、世界を滅茶苦茶にして何になる?!』
『貴様なら分かるだろう? 私たちのような人間はこの世界に相応しくない。』
『だからといって、全部壊すのはダメなんだ! それなら、俺が! 俺たちが、兄さんを止める!』
そんなアキトに応えるかのように、アシュレイ、リョウ、そして
『そうだ、貴様らの亡骸を
だがさすがというべきか、シンは普通のナイトメアより一回り大きいヴェルキンゲトリクスで彼ら四人の猛攻を受け流したり、躱しながらも飄々とした態度のまま会話をする余裕を持っていた。
『フフフ……フフフフフフフフフフフフフフフ。』
否。
シンは“余裕を持っている”のではなく、まるでこの戦いに“
「23区での戦闘、未だに続行中です!」
オリビアの報告に、レイラはヒルダを見る。
「アキト、リョウ、アシュレイ、アヤノ機共にフルパワーね……このままだといつ限界を超えるか分からないわ!」
確かにアレクサンダはEUだけでなくコードギアスの世界でも、EUという大国が『特殊作戦用ナイトメア』を目的に(極秘の為も含めて一部だけとはいえ)全力で開発された異例の機体である。
それに追加装備や改良がされても機体ベースはアレクサンダのままであるのは変わらず、内蔵されているジェネレータや機体のフレームはそのまま。
例えるのなら『パッと見だけは見栄えしないどこぞのハチロクに搭載されたモンスターエンジンを別のマシーンに移植した』……になるのか?
どちらにせよ、アキト達が乗っている機体は基本的に短期決戦を目的として作られているのは原作でも変わらないが、そこに『追加
何せ『チェックしていなかったせいで機体が強制冷却の為にシャットダウンして撃墜されたヨ♪』など、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
『多段弾頭に砲弾を変えろ!』
『カンタベリーの再装填、完了!』
『ぶっ放せぇ!』
静かになった防御壁の外から、先ほどリバプールカンタベリーたちが砲撃をし始め、放たれた砲弾は円を描くように壁を乗り越えて、ヴァイスボルフ城の至る所にまるで爆撃のように着弾していく。
余談だが、次々と爆発が起きて被害に合うのは
「25区周辺に敵の砲撃です!」
「敵部隊、13区に侵入してきます!」
『ザザ……るかザザ……』
「え?」
「ランドル博士、
作戦室のスピーカーから酷いノイズが混じった通信にサラが反応し、ジョウ・ワイズがソフィのいる方を向く。
「オリビア、みんなも!」
軍属のサラやオリビアにクラウスはサブマシンガンを机の下から取り出す、ほかの者たちは防弾ベストを服の上から着こみ始める。
『軍属ではない』といっても、この場が戦場の一部である限り『敵に撃たれない』という確証はなかった。
それでも────
「────例の武器を発動! それからドローンたちの制御を私の方に回してください!」
レイラの命令に、以前に彼女がスロニムで扱ったドローン操作画面が浮き出ると、同時に防御壁を別方向から乗り越えようとしたサザーランドたちの反対側に、固定砲台にレーダー板のようなモノを無理やり取り付けた別の何かが地面から飛び出て、風もないのに爆風のようなものが大気を震わせる。
『な、なんだ────?!』
『機体が動か────?!』
クライミングしていたサザーランドたちのスクリーンにノイズが走った瞬間すべての電気機器がショートし、電力が落ちたサザーランドたちは動きを止めるどころか急な止まり方で次々とクライミングの支えにしていたスラッシュハーケンが抜け、後から壁を登り始めた歩兵たち数人と共に地面へと落ちていく。
「小型電磁パルスジェネレータ、充電まで140秒────!」
「────城内の固定砲台をすべて起動! ドローンとともに、私も時間を稼ぎます!」
………
……
…
地上で激しい攻防戦が行われている間、『アポロンの馬車』がある地下の発射場には似つかわしくない大量の爆弾とともに半開きのグラックスがあり、ジャンが近くのコンソールを手探りで操作していた。
「ヒュウガ様、輸送機の発射場です。 プログラムの書き換えに少々時間がかかりそうです。」
『そうか。 準備ができ次第、距離の近いペンドラゴンに座標を合わせて発射しろ。 確認をとる必要はない。』
「……………………」
『さぁ、“
シンの平然とした態度と狂気に満ちた声にジャンの手が止まり、戦場だというのにもやもやとする感情の誘惑のまま、珍しく考えに耽ってしまう。
「(これで……本当にいいのだろうか? ヒュウガ様は……ヒュウガ様は────)」
『────はーい、そこ動かなーい。』
「ッ?! (しまった!)」
ジャンは横からくる、陽気なユキヤの声に固まる。
ユキヤは他の者たちと違って乱戦にあまり向いていないため、城の地下においてある『スカイアイ』に機体を繋げて“
だが地下にジャンのグラックスが単騎で、しかも遅いスピードで侵入したことに警戒し、彼女が『アポロンの馬車』を狙っていたところに駆けつけていた。
『動けばコクピットを狙って撃つからね~? まずは手を頭の上に乗せてナイトメアから出てもらおっか?』
ジャンは頭を動かさず、横目でチラッといまだに搭載していない爆弾を見てから口を開ける。
「別に撃っても構わないが、お前の銃弾の威力は知っている。 果たして、私だけを狙って撃てるかな? 誘爆すれば、お前も死ぬぞ?」
『アッハハハハ! 本当にアシュレイの言ったとおりだね、君……でもね? それは些細なことなんだよ、アキトのお兄さんである“シン・ヒュウガ・シャイング”に比べるとね? 彼は色々とやばいよ。 見せようか?』
ユキヤは通信の続きといわんばかりに、ジャンの機体に様々な情報や映像を無理やり送る。
その一つ一つがどれだけシンがEUとブリタニア、そして中華連邦の三大国だけなく周辺の小国まで内通していた様子を見せ、聡いジャンはシンの思惑を予想はできたが許容することはなかった。
ジャンは怒りか、拒否からかユキヤ機を向いて睨む。
「貴様に何がわかる────!」
バシュゥ!
「────わかっちゃうんだよねぇ~、そ・れ・が。」
ユキヤは手に遠隔操作用のレバーを握りながら、コックピットを開けるとジャンは好機とみて拳銃を手に取って構えるが────
「────貴様?! それは────?!」
「────ハンドメイドだけど立派な威力を持った小型爆弾たちさ♪ 僕を撃ったら爆発して、君がご丁寧に持ってきた爆弾に引火しちゃうかもね♪」
「……それではお前も死ぬぞ────!」
「────僕は他の皆と違って“イレヴン”だとか“ユーロ・ブリタニア”とか“EU”とかどうでもいいんだよ。 僕からすれば“同じ穴の
君が、
「呼び捨てるのか?!」
ユキヤは一瞬だけジャンが動揺するのを見逃さず、アシュレイから聞いた『ジャン』とやらが自分の想像していたように『根はアヤノに似ている』とほぼ確信した。
「確か、彼は世界を壊したいんだよね? でもそんな壊れた世界で、果たして彼は幸せになれるのかな?」
「そ、それは────」
「────それとも、そんな世界で本当に君は彼と幸せになれると思うの?」
「…………………………………………」
地下である為、静寂な数秒間がジャンとユキヤの間にただ流れていく。
『な、なんだ────?!』
『────後方から、別動隊が戻っt────?』
『────うわぁ────?!』
『────背後からの攻撃だと────?!』
『────
ジャンが思わず戦域の地図を映し出している画面を見ると、ヴァイスボルフ城に近づくカンタベリー部隊のシグナルが『
「それに、僕たちには怖~い
「死ねるか……死ねるか……」
『オレ』はそうブツブツと独り言のように言いながら、城の外にいるカンタベリーたちを背後から接近し、スピードを落とさないかつカンタベリーの下を通る為、雪の上で横に倒れてスライディングしながらカンタベリーの腹にアレクサンダ用のリニアライフルをありったけ撃ち込む。
ビィー!
バキン!
カンタベリーの下をすり抜けざまに『残弾数:ゼロ』のアラートと同時にボロボロの機体を起き上がらせると、大きなヒビが入っていた右の画面から表示が消え、パネルから液体が漏れ出しては、敵の弾丸が貫通した穴の中へと吸われていく。
機体の複合装甲は『強力』だが、『無敵』ではない。
機体に無茶をさせたり、何発も攻撃が当たればヒビも入るし脆くなる。
敵の攻撃にコックピット内を飛んだ機体やガラスの破片で俺の体は至るところに傷ができているが、空気が乾燥している所為か血が凍り、体を動かせば完璧に塞がれていない傷からまた血が流れだす。
今着ている黒いワイバーン隊のパイロットスーツをよく見れば多分、赤が滲んでいると思うがそんなものは二の次だ。
そのまま城内へと地面を走り、ミカエル騎士団のサザーランドと思われる機体の隊列をできるだけ撹乱して中央へと向かう。
それよりも、何とか『オレ』を
ハメルたちはゲリラ戦に徹しているし、アヤノ機がいる。
ということは、誰がジャンの説得を────それは今いい。
もっと大事なのは────いた。
「敵の指揮官!」
司令塔の近くにあるビルの上に、ヴェルキンゲトリクスの特徴である金色の装甲が光を反射しながらアキトと対峙するのを、ノイズがさっきから走るモニターで何とか捉える。
あ、そのモニターも死んだ。
次々と長時間酷使した機体が文字通りに壊れていき、バチバチとスパークが周りで飛ぶ様をヒヤヒヤしながら────いや、待てよ。
司令塔を見ると、敵兵っぽい奴らがが昇って────ってまずい!
このままだと作戦室の皆が殺されてしまう!
おい、『オレ』────!
「────殺気の元はあいつか!」
頼むから今は無視するな! このままじゃレイラたちが────
「────知るか!」
どうにか、どうにか体を俺が動かせないか?!
……………………だめだ!
“
頼む!
原作通りに事が進めばいいが────
「────自業自得だ!」
お・ま・え・なぁぁぁぁぁぁぁ?!
独り相撲をしている場合じゃないんだ! 頼むから────!
「────お前の言うことはすべて嘘だ!」
こ、こ、こ、このイノシシ頭がぁぁぁぁぁぁ!
『オレ』の言ったことに、今まで抑え込んでいた怒りが一気に爆発したような感覚が広がる。
すると何故だか“今ならいける”という感じのまま、両手を動かそうと全身全霊の念を送る。
まるで周りがスローモーションになったように、徐々にだがその念が届いたのか機体はシンとアキトがいるビルの屋上ではなく、司令塔に向けてスラスターを噴射させて跳躍する。
ボロボロだった機体の左足と右腕がもげ、ついに負担が許容を超えたのかメインとサブカメラ両方がイカれてコックピット内のモニターが死んで暗くなる。
すかさずハッチを開けると冬の冷たい空気が肌に当たり、ヒリヒリとした感触が体中を広がる。
見えた。
やはり敵の歩兵が作戦室に突入して────
────ん?
『周りが暗い』と認識したのは、ちょうど『体が痛くない?』と思った後だった。
次に感じたのは、不思議な浮遊感だった。
まるで『三半規管がついに逝ったか?』と思わせるほどに、『ここ』は上下左右が認識できなかった。
それだけでなく、さっきまでの荒ぶるような気持ちが嘘だったかのように薄れていく────
【やぁ、
誰だ、お前?
【もう私たちを忘れたの? 案外と短期記憶持ちなのね。】
いや、待てよ。
口があるかどうかは別として、俺はさっきの考えを口にしていない。
それにこの中性的な声、聞き覚えがある。
「お前は────ん?」
気が付くと、自分の声が耳に届く。
そして水面のような場所に
頭上にはゆっくりと流れる雲。
一言で表現するのなら『静』そのもの。
気持ちがさらに薄れていく。
「体がある。 いや、水の上? それに空が────」
「────この方が、君にとっては話しやすいかなと思ってね。」
横からくる声に向くと、一瞬だけCCと見違えるほど似ている顔を持った者がいた。
だがCCと違い、髪はまるで一時的に紫色に染めたものが地毛の黒に入れ替わるようなショートカットに、服装は黒ずくめでネックが緩めの長袖シャツにズボンだった。
「お前は、まさか────」
──── 『時空の管理者』。
皇帝シャルルが『ラグナレクの接続』に使うモノとは、正反対的な存在。
確か、『意識の集合体』だったな。
そう思うと、彼女が笑みを浮かべる。
このデジャヴ感が強まっていくと様々な情報がまるで散りばめられたパズルのピースがきっかけを得たかのように、カチカチとハマり合う。
……なるほど。
「考えはようやくまとまったかい?」
ああ。
だが、なぜこの局面で出てきた?
「ん? それはもちろん、ここまで到達した君への
ご褒美?
「と・い・う・わ・け・で、私たちが話す前に何でも質問する権利を与えようと思うんだ。」
……それのどこが『ご褒美』になるんだ?
「君は“質問が無い”と言いたいのかい? ああ、でもそれだと面白みがないから……そうだね。 『
なんだこの流れ?
……質問は何でもいいのか?
「そうだよ。」
行動や行為も含まれるのか?
「“なんでも”、って言ったよね?」
そうか。
アンケートに票を入れたい選択肢がない場合、メッセージも参考として受け付けております。 (;´ω`)ゞ
“感想欄ではハーメルンの規約違反に当たるかもしれません”ということで。 (;・ω・) ←前回指摘されるまで知らなかった作者
だったら────
-
何故コードギアスの世界?
-
この世界に毒島やアンジュがいるのは?
-
俺の特典の対価はなんだ?
-
俺はこの世界にとってなんだ?
-
『俺』はいったい何だ?
-
(取り敢えず殴る)