小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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大変長らくお待たせいたしました、コロナ中ですが病状がかなりマシになっているのでコツコツと書き上げた次話です。

アンケートへのご協力してくださった皆様に、心の奥から再度感謝の言葉を送りたいと思います。
誠に、ありがとうございます。 m(_"_)m

楽しんでいただければ幸いです。


第126話 『宇宙』のかたわらで語られる

 ここで時間をほんの少しだけ遡らせたいと思う。

 

『き、来ました!』

『慌てるな! 訓練の通りに撃ってから身を隠せ!』

『我々で、ここを死守するんだ!』

 

 具体的には、ユーロ・ブリタニアのナイトメアと歩兵混成部隊が別方向から防御壁を登ろうとして、電磁パルスに当てられた直後。

 

 ハメルたち警備隊は、城の中心近くにまで侵入したシンのヴェルキンゲトリクスの相手をしているアキト達に代わって、城の防衛戦に回っていた。

 

 生粋の軍人ではなく警備隊の彼らにすれば、荷は重いが取った行動は及第点である。

 

 だが彼らが予想だにしていなかったのは、彼らが対処している部隊も『成功すれば御の字』といえるような大きな作戦の一部だけであり、複数の混成部隊が一度にタイミングを合わせてヴァイスボルフ城の防壁を超えてくることだった。

 

「敵部隊、北西の城壁も乗り越えてきます!」

 

「ここにまで来て(やっこ)さんたち、部隊を広く展開したのかよ!? 正気か?!」

 

 とある混成部隊はかつてスバルとアキト達がともに汗を流して掘った墓地の上を走り、とある歩兵部隊は『ハー〇マン軍曹式虐待訓練』が行われたグラウンドを駆け抜け、とあるナイトメアはかつてレイラがスマイラスに呼ばれてパリに旅立った滑走路をランドスピナーで移動する。

 

「(本来ならそうでしょうが、相手があのシャイング卿ならやるでしょう! ですがそのために城内の戦力を残していたのです!)」

 

 雪で覆われた城内の固定砲台がすべて起動し、地面から出現したドローンたちはレイラの操作もあってか、アキト達から離れてハメルたちの元へと向かっていたタカシとイサムたちとともに見事なまでの連携で、ユーロ・ブリタニアのナイトメアとの拮抗状態を維持できていた。

 

 だが流石の彼ら彼女たちでも『固定観念』という敵に縛られてか、敵の歩兵部隊を『ナイトメアへの脅威』として見ていなかったことが仇となる。

 

 それまで『敵のナイトメアの進軍阻止』に専念していたドローンや固定砲台たちが、敵の投げたボーラ状の対戦車手榴弾に爆破されたり、肉弾戦のような至近距離のロケットランチャーや元々()()()多めに輸送されていた爆薬を靴下に詰め込んでナイトメアの関節の可動摩擦面に使うようなグリスや油を表面に塗りたくった『即席粘着手榴弾』で大破させていく。

 

 皮肉にも、それらは彼ら聖ミカエル騎士団が『魔女の森』での()()からの、ぶっつけ本番リベンジのような戦法だった。

 

『マズイよイサム! 敵の歩兵もこっちのナイトメアを────うわぁ?!』

 

 イサム機がタカシ機を見れば、ちょうど腕と足が敵のソードマンによって切り落とされるところであり、彼は咄嗟にリニアライフルを撃つ。

 

『タカシ! こなクソォォォ!』

 

 ソードマンは標的を戦闘不能になったタカシ機から、自分を撃つイサム機に注意を向けて距離を詰める。

 

 タカシは内心の焦りが表面化しつつも、素早くアレクサンダを自立行動(オートモード)にしてからコックピットを飛び降りる。

 

 

 

『ブロンデッロ卿!』

 

 ソードマンが一心不乱にライフルを撃つイサム機(厳密にはドローン化したイサム機)を切り伏せると、部下の焦る声にブロンデッロが横目で見たのは背筋をゾッとさせる“光”だった。

 

 彼は考えるより先にソードマンのエマージェンシーレバーを引くと、その閃光の正体────MPA砲が彼のソードマンと向こう側にあった防壁ごと撃ち抜く。

 

「なんという威力! だが、司令塔を押さえれば────!」

 

 ブロンデッロは思わず感心しながらも、コックピット内から出ては歩兵部隊とともに、敵の指揮官たちがいるはずの塔へと駆け寄る。

 

 

 

 作戦室にいたレイラは、さっきまで外の状況をリアルタイムで送り返していたドローンたちの信号途絶に戸惑っていた。

 

「全機のドローンからの信号(シグナル)が────?」

「────敵さん、ひょっとして『対ナイトメア戦』を()()()()から習ったんですかねぇ?!」

 

 クラウスは皮肉っぽい嫌味を口にして自分を安心させながら、護身用の拳銃のセーフティを解除する。

 

 あながち、彼が口にしたことは間違っていないのは彼自身も知る由もないが。

 

「ジョウ・ワイズ! ちゃんとデータ取れている────?!」

「────それどころじゃないっすよ博士! シュバールさんだけじゃなく今度はアキト達まで────!」

「────わかっている! けれどこんなにはっきりとしたアノマリー(計測不能)の事態なんて、滅多に居合わせられないわ!」

 

 レイラは思わず『こんな時でもランドル博士は研究第一ね』と思ったところで、サラが次の言葉を口にしたことで、作戦室の中にいた皆が思わず呆気に取られてしまう。

 

「アキト機たちの信号座標がエラーを返しています! こ、これではまるで消えたみたいです! 」

 

「「「「「……は?」」」」」

 

「まさか、特異点現象?! こうもはっきりと目に見える効果まで?! ああ、その場にいないことが惜しいわ────!」

「────どういうことです、ランドル博士?」

 

 その中でもソフィはブツブツと独り言のように言を並べていたことで、レイラは平然を装いながらもそう彼女に問いかける。

 

「“世界は観測者が観測することで初めて確定する”。 つまり、私たちが『認知している世界』は脳が観測することで創造されて、脳は世界によって創られる。」

 

「それは……」

 

 “卵か鶏か”。

 そのような哲学的な因果性のジレンマの例えが、レイラの脳内に浮かび上がる。

 

 スケールも話の次元も何もかもが根本から違うが、純粋な探求心をレイラはくすがれて問わずにはいられなかった。

 

「では今のアキト達に起きた現象が、“観測が現実世界にまで干渉している”と言いたいのですか?」

 

 レイラの質問に、苦笑いを隠せないソフィは大粒の汗がにじみ出る額に引っ付いた髪を後ろへと流す。

 

「少なくとも、BRSを使って複数の人間の脳を同調させれば、『より強い観測が一時的にできる』ということは理論上可能だった……けれど今まで実証されたことも、記録されたことはないし、一番近い『例』はスロニムでノイズが混じって上手くレコードが出来なかった────」

 

 ────ビィー! ビィー! ビィー!

 

 作戦室内にけたたましいアラーム音が発生し、サラとオリビアはサブマシンガンの最終チェックをしながらコンソールを操作すると、司令塔になだれ込む敵の歩兵部隊を見る。

 

「侵入者が最終警戒ラインを突破しています!」

 

 レイラはハッとして自身のコンソールを外の通路にあるカメラに表示を移すと、ユーロ・ブリタニアの歩兵がすぐ作戦室外に集まっているのを見る。

 

 否、見てしまう。

 

 壁を壊すための爆弾設置が終えた瞬間を。

 

 ここでレイラは二つの選択が瞬時に浮かび上がる。

 

 一つ、(例え『本能』が『絶対に間に合わない』と叫んでいても)隣の指揮所に作戦室の皆を退避させること。

 

 もう一つは、一番距離的に近い自分が指揮所に駆け込むこと。

 そうすれば自分だけでも助かり、外のハメルたちと連絡を取れば城の制御を担う作戦室を奪還できる。

 

『理性』が決して後者の選択を許さないので、実質選択肢は一つだけだった。

 

「総員、指揮所へ────!」

 

 ────ボン!

 

 よってレイラは一瞬の戸惑いの後に口を開けるが次の瞬間、作戦室の壁が爆破されてから彼女は周りがまるでスローモーションに流れるかのように次の景色が流れる。

 

 爆破された壁のすぐ横にいたクロエを庇うように抱き着いたヒルダが共に倒れ、地面へ落ちる前に銃弾まみれになっていく。

 

 これを見たサラとオリビアがサブマシンガンで応戦しようと動きながら逆に撃たれ、倒れながら引き金を引くが虚しく銃弾は作戦室の天井へと撃ち出される。

 

 ジョウ・ワイズは恐れから拳銃を手放したケイトとフェリッリの(文字通り)肉壁()となろうとして、撃ち抜かれて守ろうとした彼女たちのように倒れていく。

 

 ソフィは『敵意はない』と見せたかったのか、手を挙げて何か言おうとして口を開けるが無慈悲にも敵に撃たれ、近くにいたアンナは自分の顔に飛び散った血肉の感触に固まっていたが、同様に撃たれる。

 

 そして────

 

 「司令!」

 

 ────予想外にも、クラウスはレイラを庇っては銃弾を代わりに受けて、地面に落ちるまでに彼の眼からハイライト(生気)はすでに消えつつあった。

 

 ダダダダ!

 

「ぁ……ぇ……」

 

 レイラは目の前で起きた惨状の『理解』を『拒否』しようとして目を白黒させていると、先ほどの爆破が原因か、周りの音が耳鳴りとともにぼんやりと聞こえる。

 

 「ま、待て! 相手はほとんどが女子供だ! 撃つな────!」

 「────知るか! 仲間が何人殺されたと思う?!」

 「────死ね死ね死ねぇぇぇぇ!!!」

 「────このぉぉぉぉぉ!!!」

 

 さっきまで、会話をしていた者たちが怒りと憎しみに身を任せた敵兵によって何も言わ(息をし)ない()()へと変り果てるまでほんの一瞬だった。

 

 否、何人かの敵兵は息をしているかいないかにも関わらず、ただ倒れた体に追い打ちをかけるように銃弾を撃ち続けていた。

 

 眼前の景色が10年前の出来事と重なると走馬灯のように、父のブラドーごと演説舞台が爆破テロで木っ端みじんになるところから、最終的に餓死状態のまま『森の魔女』と会うところまでが映り出し、レイラに様々な情報と感情が自分の中へと流れ込み始める。

 

『兄さん!』

『アキト!』

 

 シンとアキト達は、どこともわからない空間のような場所(?)で未だに攻防を続けていた。

 

 それは流れる動作で、その場にいた者たちが内に秘める荒々しい怒りや悲しみなどの感情とは裏腹に、まるで芸術的な『踊り』をしているかのようだった。

 

 そしてようやくアキトにもシンの脳が同調し始めたのか、アキトは兄からの視点での『人生』内で大きな影響を与えた記憶(思い出)を見始めた。

 

 幼くから周りの大人たちと同等に(あるいはそれ以上)聡いシンが『アキトは異父兄弟』と実父同様に見抜き、『愛している』と口では言いながらも裏では互いを苦しめ合う両親を見て理解できなかった。

 

 その理由を聞こうとして、自分を殺そうとした父を逆にシンが殺めた。

 

 どこからか男の声がして『()()()()()()()()に自害を強制できる力』を得て、ふとした出来心から一族に自害を命じたシン。

 

 自虐的になっていたシンをマンフレディ卿が拾い、名門のシャイング家に養子として引き取られてから、久しく感じていなかった穏やかな時間を許嫁であるアリス・シャイングと過ごす日々。

 

 普通なら『日系人』とだけで見下される社会で、シャイング家は逆に日本の文化を聞きたがったことに戸惑いながらも、昔得意だった名残である折り紙に草笛や笹船などのはっぱを使った遊びを前に、アリスは年相応の少女のようにキャッキャッと心から楽しむ様子。

 

 これ等を見て、困った顔と苦笑いだけをするマンフレディにマリアとあまりにも笹船がかわいい&斬新なもので夢中に冷たい水によって冷たくなったアリスの手を、紳士の象徴とも言える手袋を外したシンが両手で直に温める。

 

 その中でのシンは、昔アキトに見せていた『兄』としての気遣いと優しい顔に、()()()()()()を噛み締めていた。

 

『兄さん! やっぱり今の兄さんはどこか変だ!』

 

『貴様! 人の記憶に土足で踏み込むな!』

 

『思い出してくれ!』

 

『思い出すことなどない!』

 

 アキトは純粋に『昔の(シン)』を追い求めていて、命の危険から本気を出しそうになる気持ちを抑えてシンを殺そうとしてはいなかった。

 それらをBRS経由で感じたリョウ、アヤノ、アシュレイたちはわざと決定打を控えていた。

 

 その反面シンは邪魔であるアキトを『殺そう』としながらも、正体不明で小さな声がひっきりなしに『生かせ』と自身に訴える矛盾をシンは抱きかかえながら対峙していた。

 

「……………………」

 

 双方の思いやりや思惑をレイラは直に感じ取ると、やがて途方もないほどの悲しみが自分の中で広がっていくのを感じた。

 

 カチリ。

 

「……は?」

 

 レイラは何かのスイッチ、あるいはパズルのピースがはまりあうかのような音が耳朶に来ると同時に、周りの景色ががらりと変わったことに戸惑いを隠せずにいられなかった。

 

「え?!」

 

 先ほどまでいた作戦室とも、アキト達とシンのいた『空間』とも違う、水面のような一面の上にレイラは立っていた。

 

 そして上を見ると、風がないのにはるか彼方では雲が星空を背景にして緩やかに流れていく。

 

 見た目だけで判断すれば幻想的な絵面で、思わずそのまま魅入られてしまいたい衝動に襲われながらも、理論的に不可解である展開だったことに好奇心と同等の畏怖を覚えた。

 

「ここは、一体────?」

 

【────“人間は知能と本能のバランスが悪くて、判断などを鈍らせる。” レイラも、そう思うでしょ?】

 

 中性的な声の元をレイラが見ると、見慣れない女性が面白おかしく自分を見ていた。

 

「あなたは、誰?」

 

【人間にとっては“在る”と同時に“無い”存在。 でも見える者には見えるし、聞こえる者には聞こえる。】

 

 そう言われてレイラの脳裏をよぎるのは、ワルシャワの大婆の“占い”で『幼い子供が餓死状態で見た夢』ではなく『朦朧とした意識下での記憶』として出会った『森の魔女(CC)』だった。

 

「……彼女と、同じ?」

 

 このようなハプニングを前に、レイラは自分がどれだけ意外と冷静だったかに気付くことなく質問をすると、見慣れない女性が笑いを殺しながらも明らかに楽しんでいるような表情をする。

 

【彼女はまだ貴方と同じく人間よ。】

 

「???」

 

【そうね……こう言えば理解しやすいかな? 私たちは“意識の集合体”。  ああ。 それとも、“時空の管理者”と言えばしっくりくるかな?】

 

「まるで古代ギリシアの『アイオーン』ですね。」

 

 レイラに言われた自分の例え方に、“意識の集合体”は目をさらに細める。

 

【ふぅ~ん? ……やっぱり面白いね。 君も、あの子も。】

 

「“あの子”?」

 

【あの子と言え────バハァァァ?!】

 

『意識の集合体』(または『時空の管理者』)と自称した色白の女性は、我慢していたからか頭が赤から青へと変わると歯を食いしばり、目をむき出しにして口を両手で覆うとさらに青から土色に変色して、その場でプルプルと小刻みに震えながら(うずまく)る。

 

「(“まるで信号みたいですね”と言わないほうがいい空気ね。) あの……大丈夫ですか?」

 

【……モ……モ……………………モン…………………………ダイ……ナイヨー。】

 

 サスサスサスサスサス。

 

 “問題ない”と口にしながらも今にも吐きそうな様子の『意識の集合体』の背中を、レイラがしゃがみながら優しく擦る。

 

「は、はぁ……(とてもそうは思えないけれど。)」

 

 サスサスサスサスサス。

 

【ヒトの優しさが染みる……………………………………】

 

 このような状況下でも、他者(?)への気遣いを忘れないレイラだった。

 

 

 


 

 

 

 行動や行為も含まれるのか?

 

「“なんでも”、って言ったよね?」

 

 そうか。

 ならば………………………………………………うん。

 

 とりあえずアレだな。

 

【ん? なんだ、君でもそんな風にニッコリとした良い笑顔が出来るじゃ────】

 

 ────ドゥンッ!

 

 (スバル)は考えるよりも先に『時空の管理者』の肩を掴み、カレン直伝の『鳩尾グーパン』をお見舞いさせる。

 

 さすがに本家(カレン)ほどではなく、目に見えての衝撃波で生じる『大気の震え』は無いが。

 それとどうやら気が付いていなかったが、俺は笑顔になっていた……らしい。

 

 どうでもいいが。

 

ゴハヲァァァァァァァァァァァァァァァ?!

 

 だが笑顔になっていたのならば、理由はある。

 

 多分。

 

 直感だが、俺をこの世界に転生させたのはこいつだ。

 

 多分。

 

 “さっきから憶測ばかりじゃねぇか”、だと?

 放っておけ、色々とフラストレーション(意味深)が溜まっているんだよ。

 

 それに何度か自分に言い聞かせていたことができてもうスッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッキリした! *1

 

 最高にハイな気分に近い。

 

カヒュ、ヒュゥゥゥ?!

 

『時空の管理者』は虫の息のまま謎の声を出し、鳩尾を抱えるよう両手で覆いながらその場でゴロゴロしながら両足をバタつかせる。

 

 どうよ、え? 肩と腰と脚力でブーストをかけた鳩尾パンチは効くだろう~?

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

【まったく……酷いな君は! さっきのは何だったのさ?! せっかく転生させてやったというのに?!】

 

 黙れ。 というかやっぱりお前だったか。

 

【殴る必要ある?! 私たち、何も悪いことしていないじゃん?!】

 

 ……正気か?

 

【そもそも私たちに“狂気”という概念すらないのだけれど正気だよ?! ……いや、あるのかな? まぁそれはいいや。 生命の欲求の根源は存在し続けることであって、君たちはすでに存在が終えたのだし、転生先が君の大好きなコードギアスの世界で良かったじゃん────】

 

 ────確かにコードギアスは好きだぞ。

 

 多分。

 

【“多分”って────】

 

 ────そもそも前世の、特に詳しい身の回りの詳細に関しての記憶があやふやなのは知っているだろう?

 

【ええええっと? ねぇ、なんでさっきから一言も喋らないの?】

 

 以前のお前は言った。

 “考えたことを読み取るのは意外と簡単”と。

 “ならば”とプロセスを省いているだけだ。

 

【で、でもほら? やっぱり好きなコードギアスなんだから、別に何も問題ナッシング────】

 

 ────それは『創作された話』を閲覧しているから楽しめるモノだ。 だが『当事者』になると全く笑えん。

 

 しかも本編アニメの『コードギアス』だけでなく、俺が確認できているだけでも『ナイトメア・オブ・ナナリー』、『双貌のオズ』に『ロストカラーズ』も混存している世界なんて、下手したら『死亡への片道超特急切符売り場の地雷原』以外の何物でもない。

 

【……いや、だからその埋め合わせとして特典が────】

 

 ────それももし、行き先が『コードギアス』と知っていれば()()()()()()()に決めていた。

 

【そ、そ、それに体も────】

 

 ────確かに身体能力は高い。

 だが『コードギアスのスザク』に『ロストカラーズのライ』の足元にも及ばない。

 そもそもラウンズ相手でも厳しいし、ナイトメア戦で俺は使()()()()()()()()()

 

【それでも、いろいろと動いている様子だけど?】

 

 ……確かに俺は、それと“来るはずの出来事”に対して、なるべく多くの被害が出ないように立ち回ったが、それでも人は死んだ。

 死んだんだ。

 彼らの名前や素性は知らない。

 でも彼らは確かにこの世界にいて、亡くなった。

 それが果たして俺の所為なのか、()()()()()()()()()()かは二の次だ。

 

 

 そう思うと、まるで今まで蓋をしていたモノがどんどんと勢いを増しながら流れ出す行水のようにあふれ出て、手はただただ思いを浮かべていく。

 

 

【…………………………】

 

 今だから聞くがなぜ『俺』なんだ?

 そもそも『俺』とは一体なんなのだ?

『特典をくれた』と言うが、それの使用対価が分からない間は怖くて頻繁に使う気になれない。

 それに『大好きなコードギアスの世界への転生』ならば、なぜコードギアスに全く関係のない『HOTD』の毒島や『クロスアンジュ』のアンジュがいるのはなぜだ?

 

 分からない。

 まったくもって分からないことだらけだ。

 

【……………………………………………………】

 

 思わず佇んでいた俺の思っていることと気持ちが伝わったのか、『時空の管理者』────もう『自称神様』でいいか────が何とも言えないような顔をしながら、佇んでいた俺を真正面から見る。

 

【この世界にいるのは、彼女たち()被害者だから。】

 

 ん?

 

【それと、特典の対価についてだけど……君が欲しかった特典が何だったか、覚えているかな?】

 

 ああ、覚えているとも。

 

『事象の無効化』────

 

【────は私たちが却下したでしょ?】

 

 ああ。

 だからその代わりに『認識出来る現象の無効化』にして、お前はそれを承諾しただろう?

 

【そうだね。 確かに承諾して、君がそれをすぐに“自身への時無効化”に応用したときは正直少し寒心(かんしん)したよ。】

 

 関心(かんしん)、か。

 世辞はいい。

 

【それと『なぜ君』についてだけれど……君はギアスのことをどう思う?】

 

 これは『アレ』か、“人は生命としてはあまり優秀ではなくギアスは過ぎた力だ”のくだりか。

 

【そうだね、概ねそれだよ。 現に、ギアスを得た者たちは欲望のまま行動して『個人』ではありえない刺激を与えている。】

 

 だがそれは『ギアス』が有能な道具だから拡散されているだけであって、使う本人たちが原因だ。

 

 “道具の善悪も使い方次第”、ということだ。

 

【本当に面白いね、あの子たちと同様に……そろそろ時間ね。】

 

『時空の管理者』の水平線(のような)方向を見るしぐさに連れて俺も顔を向けると、光が増していた。

 

【ああ、それと最後にサービス。 ()()()()()()()()()()()()()()()。 少女の方を連れてね。】

 

「そうか、ありがとう。」

 

『時空の管理者』の言い回しで頭にピンときた俺が礼を口にした次の瞬間、半壊しつつ中を跳躍する『試作型蒼天型・村正一式、武蔵タイプ(仮)(撃震)』に戻っていた。

 

 

 


 

 

【…………………………“ありがとう”、か。】

 

『時空の管理者』と自称した少女は複雑そうな笑みを浮かべて水面上に立っていると、背後から新たな女性の声が聞こえてくる。

 

「はぐらかされたのにわざわざ礼を口にするなんて、やっぱり貴方と違って根は良い子じゃない。 とても同じエデンバイタルの────」

【────うるさいなぁ、ほぼ居候の身のクセに今出てきてさぁ。】

 

「彼が見たらびっくりするでしょ?」

 

【それで? どう思う?】

 

「彼なら、やれるんじゃないかしら?」

 

【そうだね。 だから気長に待っていようよ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()。】

*1
85話、及び99話より




( ゚д゚ )

だったら────

  • 何故コードギアスの世界?
  • この世界に毒島やアンジュがいるのは?
  • 俺の特典の対価はなんだ?
  • 俺はこの世界にとってなんだ?
  • 『俺』はいったい何だ?
  • (取り敢えず殴る)
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