誤字報告、誠にありがとうございます。
お手数をおかけしております。 <(_ _)>
楽しんで頂ければ幸いです。
「フム……君が“スヴェン・ハンセン”という子かい?」
ミルベル博士が見ている。
い、いや落ち着け
俺の前になぜミルベル博士+その他が居るかは別にするんだ。
落ち着いて素数を数えるんだ。
素数は孤独な数字で、思考を別のことに専念させるに丁度よくて、時とともに落ち着きを戻せる。
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、喜べ、少年!
って
渇かず飢えず無に還れやぁぁぁぁぁぁ!
……………………ふぅ。
良し。
内心で叫んだことで自分の気持ちにリセットを(多分)掛けられたぞ。
順を追って思い出そうぜよ、俺よ。
1、 毒島から話を聞いて安心しながら寝た
2、 (恐らく)爆睡中
3、 起きたら何日間か経っていた
4、 “食い物を持ってきてくれ”でひたすら食べる
5、 『避難した旧日本人たちとマーヤたちが到着した』と聞いて窒息死未遂になる
6、 予備のワイバーン隊の軍服に着替えると、何故かwZERO部隊の何人かが俺を見るなり赤面してそっぽ向く
7、 そのまま会議室に入ると、元イレギュラーズのマオ(女)にタックルを食らう
8、 叫ぶのをポーカーフェイスの維持と腹筋を引き締めることで何とか乗り越えると、ニコニコしているマーヤをマオ(女)が見て、部屋からの退却時にほかの元イレギュラーズをチラッと見る
9、 会議室にはwZERO部隊の面々に、ミルベル博士と彼の妻らしき人と後見知らぬ二人(男女の親子で一人は車いす)がいて、冒頭の場面へと繋がる
10、 完
いやここで終わらせるわけにはいかない。
と言うわけで、久しぶりに『優男仮面』を着用!
「ウィルバー・ミルベル博士ですね。 噂はかねがね伺っております。」
「そうか……まずは私と、私の妻の保護の為に人を派遣してくれたことに感謝を。 ありがとう。」
“ありがとう”言いながらも値踏みヤメテ。
「いえいえ、私は
「………………………………」
うん?
なんだろう? さっきからミルベルだけじゃなく、車椅子の男に値踏みされているような気がするし、隣の俺やマーヤと同い年ぐらいのふんわりっぽい髪の毛をした女性も────
「────ねぇねぇ? えっと、スヴェン君だっけ?」
その女性が話すと、なぜだか一瞬『セシル・クルーミー』と『仮面ライ〇ー』を連想してしまったぞ?
というか『君付け』なんて、何気に懐かしいな。
そしてこの猛烈な『嫌な予感』と『どこかで見たことあるぞ!』がごちゃ混ぜになる心境は、以前に『ナイトメア・オブ・ナナリー』の発覚以来だな。
……取り敢えず生返事だけ返そう。
「あ、はい?」
「マーヤちゃんたちから聞いたんだけれど……私たちのこと、知っている?」
聞いたってなにがじゃい。
全く知らんがな。
とは言えないので、さっきの『見たことあるぞ!』の感覚を思い出すんだ俺!
ヒントはある筈だ!
思い出して神経を集中させて、脳裏で連想したものをもう一度思い浮かべろ!
確か……『セシル・クルーミー』と『仮面ライ〇ー』だっけ?
あと『ナイトメア・オブ・ナナリー発覚時に似た嫌な予感』と、彼女の隣にいる車椅子に座った髭と眼鏡の男だ。
彼の使っている車椅子は、ナナリーや足が不自由な人たちなどが使うタイプだ……ということは、下半身が動かない?
『下半身麻痺者』ということか?
でもそんな奴、俺は知ら────ちょいまち。
『セシル・クルーミー』。
『仮面ライ〇ー』。
『下半身麻痺者』。
そしてマーヤたちに頼んだ『ミルベルの家族の保護』と、『同い年に見えるマーヤに“ちゃん付け”が出来る姉っぽい女性』。
それらの点が一つの大きなモノへと結びつくような感覚の中、俺は
“外していても最悪俺だけが恥をかくだけ”、という覚悟もしていたが、首から上の肌から無理やり嫌な汗が噴き出すのを気合で止めて。
「
このどこか原作セシルに似ている女性の言葉に俺がポーカーフェイスを維持しながら上記で答えると、マーヤと毒島を除いたミルベルたちがギョッとする。
そしてその行動が、『俺の願い』というか『期待』が外れたことを肯定してしまう。
いやまだだ!
まだ終わらんよ!
「すご~い! 本当に私たちのことも知っていたんだ?!」
次のことは特に外れてほしい。
「ええ。 “体の不自由を補う装備”という思想には、私も共感できますから。」
「ですから言ったでしょう、マリエルさん?」
「もう! “エルで良い”って言っているじゃん! さん付けするには歳もそんなに離れていないでしょ?!」
そこにマーヤ&マリエルの会話がトドメになりそうで、俺は貧血になったかのように目の前が真っ白になっていく。
えるしっているか
にんげんってきゃぱおーばーすると『めのまえがまっしろ』になるんだぜ*1
「まさか、マーヤ君の言った通りとは────」
「う~ん、こうやって見事に初見で言われると────」
「────ですから言った筈ですよ皆さん? “私などが考え得ることなど彼の想定内でしかない” と。」
「ああ、“私たちが彼と同等”など特にだ。」
最後のどういう意味、マーヤンに
勝手に話を進めている彼ら彼女らのことはいい。
それよりもこのおニューな二人、『ラビエ博士親子たち』のことだ。
俺の記憶が間違っていなければ、確かラビエ親子は『反攻のスザク』という漫画で出てきているオリキャラの筈だ。
しかも『反攻のスザク』は全二巻しかなく、五巻しかなかった『ナイトメア・オブ・ナナリー』以上に短い(マイナーな?)漫画だった……筈。
しかも『人型機械兵器』、つまり『ナイトメアというロボットが無いコードギアス』だ。
そしてタイトルから察せるように、メインキャラはルルーシュではなくスザク。
作中の特派では『セシル・クルーミー』の代わりに目の前の女性────『マリエル・ラビエ』が登場している。
彼女は年若いが大学をすでに卒業していて、ちゃんとした『博士号』を既に持つほどの天才。
とすると、彼女の隣にいる車椅子の男は、恐らく彼女の父親である『レナルド・ラビエ』か。
彼も『反攻のスザク』では、下半身麻痺者になる前までは『特派ではロイドの上司』として活躍していた……と思う。
つまり、俺が何を言いたいかというと『コードギアス本編』に『ナイトメア・オブ・ナナリー』に『ロストカラーズ』に『双貌のOZ』に『反攻のスザク』ってもうどうすればええねんダレカタスケテクレメンス。
これだけのコードギアス作品が絡むなんて、どういう『コード・オブ・闇鍋ギアス』?
ナニソレ、おいしいの?
キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ!
ウ゛?!
か、考えただけでまた胃がはち切れそうだ!
なお毒島の『
マジでどうしよう?
キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ!
素数、素数は……
無理だ、そこまで深く考えれる余裕がない!
あれだ!
あれしかない!
秘儀、『今考えられる単語や要因を思い浮かべてみる』!
『wZERO部隊』、『ほぼ軍事施設が半壊したヴァイスボルフ城』、『BRS』、『脳科学で日本マニアたち』、『コードギアス5作とか聞いていない助けて』、『ミルベル博士』、『フロートシステム』、『胃が痛い』、『マリエル・ラビエ』、『なんちゃって戦術機』、『ゲロ吐きそう』、『反攻のスザク』、『ランスロット仮面』、『毒島冴子』、『武家』────あ!
せや! ランスロット型強化スーツとかBRSの応用した、
そしてそれをマーヤや毒島たちなどに着させるのだ!
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
あ、勿論着せた暁には、ちょっとだけ彼女たちの見た目を整えるゾ?
そして男性用とイレギュラーズ分も含めて別デザインにする。
今まで彼女たちはブリタニア軍時代からの『全身旧スク水っぽいデザイン』のヤツで我慢してくれているが……流石にそのままだと(特に
『マーヤたちだけ不公平』、だと?
ワイは癒しが欲しいんじゃい!
というかマーヤなら平然と(というか喜んで)着るところが容易に想像できてしまう。
『
アンジュ?
あいつには『クロスアンジュ』で出てくる『手足はちゃんとカバーされるのに胴体だけはビキニパイロットスーツ』を既に試作────ああ。
そういえばアッシュフォード学園に置いてきたままだったな。
今度はちゃんとパイロットスーツ機能つけたものを新しく作らせるか。
そう考えるとラビエ博士親子たちの事は、『空中戦を熟知しているミルベル博士の確保で意外な方面でのオマケも付いてきた』とも思えるな。
それにミルベル博士は確か、『双貌のOZ』の設定で可変型ナイトメア開発の主任だったはずだから、いざとなれば俺の考えている『パイロットスーツデザインの変化』は機体の所為に出来る……
よし、そう思うと少しだけ気が楽になったぞ。
………………ムフ♪
『双貌のOZ 』で出てくるグリンダ騎士団の『アームカバーとサイハイブーツにエグイ食い込みハイレグレオタード』も大変見た目は
グフグフグフグフグフフフフフフフフフ♡
*注*上記のこれは『とある白兵戦用機体』の事ではなくただスバルが内心で笑っているだけです
今までかつてないほどのストレス上昇速度に現実逃避とエロい純度100%の思春期な妄想に全力で走った結果、スバルの顔は微妙なニヤケ顔を浮かべていた。
その様子に、ほとんどの者たちは気付かないままそれぞれが別々の話などで盛り上がるが────
「(────やはりラビエ親子のことも既に把握していたとは! やはり冴子の言っていたことの信憑性が……ああ、神はどれだけ
マーヤはそう思いながら胸の中で高まる高揚感に浸っていたが、次のことでその場にいた者たちも似たような高揚感に包まれていくこととなる。
「ところでミルベル博士────」
「────ん? なんだね
「陸と空を自由に行き来できる
カッ!
「素晴らしい考えを持っているな、ハンセン君! いや、スヴェン君!」
スバルの言葉でウィルバーの目が見開かれては子供のようにキラキラし出し、彼の妻であるサリアが困ったような笑みをしては、昔から付き合いのあるラビエ親子が個人的な意見を付け足す。
「あらあら、ウィルの童心に火がついちゃったわね♡」
「だがそんなところにサリア君は惹かれたのだろう?」
「ウィルバーおじさん、見た目はいかついから余計にそのギャップ感がねぇ~。」
「可変ナイトメアの実用化を模索するには相当苦労したでしょう、博士────」
「────“苦労”なんてものではなかったぞ。 試作機を何機ダメにしてしまったか数えられない上に、当時まだ発展途上だったシュタイナー・コンツェルンも一時は経済難に陥った────」
「────やはり最初は簡易型の『可変機構』でスタートされたのですか? それともフロートシステムの補助を────?」
「────フロートシステムは確かに面白いものだが、未だによく理解されていない力場に頼りきった代物などより、昔から実績のある『翼』を活用しないのは馬鹿馬鹿しすぎる! そう何度もロイド君にも助言したが“あー! あー! マッド教授の説教みたいに僕聞こえなーい!”などと子供のようにいじけるのだ!」
既に誰も『なんでスバルが
ちなみにその時のスバルは『あー、
「あれ? フロートシステムの『よく知らない力場』って、『サクラダイトによるヒッグス場の限定的中和』のことですよね?」
「なにっぬ?!」
「ひゃ?!」
そこに意外な人物が口を挟んだことで、ウィルバーが首をグリンと回し、声の主であったアンナの体がびくりと跳ねてしまう。
「君……もしかしてフロートシステムの原理を理解しているのかね?!」
「あ……えっと、その────」
「────それだけではないぞミルベル博士。 そこのアンナはフロートシステムとブレイズルミナスを理解し、独自に実用化もさせている────」
「────なに────?!」
「────はぇあ?! シュ、シュ、シュバールさん────?!」
「────あと確か12歳でグラスゴーを解体したこともあるな。“なんか面白そうだから”とか言って────」
「────何でシュバールさんがそのことを知っているんですかぁぁぁぁ~~~~?!」
「…………………………フ。」
*注*“コードギアスの設定資料からです”とは言えないスバル
「え? アンナちゃんのその噂、本当だったの?」
「まぁこの際だからぶっちゃけると、
「うんうん! これで『兵器は好きじゃない』だから、すごいよね!」
「ク、クロエにヒルダ~?!」
人見知りなアンナが涙目になり、部下たちの自慢話がトドメになってしまったのか、恥ずかしい気持ちから、赤面した顔を両手で覆ってしまう。
「あー、なんか分かるかも。 私もお父さんと一緒に作っているスーツも、元々は体が不自由な人たちのために作っていたからな~。 軍は“コストダウンと一般兵士用のモノを作れ!”ってガミガミ一方的にうるさいだけだしねぇ~。」
「え? 貴方たちも???」
「そうそ♪ 私もお父さんも元々民間企業でね────?」
「────あら、そこは私たち脳科学部と同じなのね────?」
「────やはり君があのランドル博士だったのか。 君が過去に出した研究資料は私たちのスーツ開発に応用して────」
「────あら、それはそれで照れるわね────」
「────まぁ技術者たちの間では『旧日本マニア』として有名だったのだが────」
「────え?!」
ついにミルベル博士やラビエ親子たちだけでなく、とうとう話の輪にアンナやソフィを始め、ワイバーン隊も加わって話が盛り上がるまでそう時間は長くかからなかった。
やはり『共通の話題や役職や境遇』から来るコミュ力
あと、『近い歳同士』ということもあった。
「(まさか
シュバールさんのは“臨機応変”なんて生易しいものじゃないわ。 しかもこの戸惑いや不安を抱えることなく、むしろ楽しんでいるかのような態度……
これで本当にシュバールほどの人を、
レイラはどこか複雑な心境を持ったが、(一応)貴族令嬢としての
「(う~む、スバルが
毒島はそんなレイラの様子を見ては、彼女の内心出かけている気持ちを看破し、若干罪悪感を覚えた。
「(……どうしたものか。)」
毒島は悩んだ。
何せ珍しくスバルが単身で動き、これほどまでに『一つの勢力に肩入れする』など、黒の騎士団────否、より正確には『行政特区日本』の時以来。
何か理由があるに違いないと考えた彼女は、『理由は恐らく指揮官のレイラ、ブリタニアの技術を独自で解析したアンナと、そしてアヤノから聞いたアキトだろう』と当たりを付けていた。
最悪アマルガムへの勧誘が出来なくとも、協力的な関係であれば事足りるかも知れないが────
「(────
だが毒島は知らない。
彼女の悩みが解消されるまで、あと数時間という僅かな時であることを。
一気に高まった緊張感や注目などでストレスがマッハ上昇し、久しぶりに壊れかけたスバルでした。 (;´∀`)