小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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投稿時間が遅れて申し訳ございません、次話です。

お読みいただきありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第135話 体の不調と騎士と怪しい瞳

「フゥ~。」

 

 その日の試合が終わり、スタジアムから俺はアンジュと合流したマーヤと一緒に出口に向かう。

 

「ウキウキしていますね?」

 

「すっっっっっっっっごく面白かったから! こう……“バーン!” “ドカーン!”って!」

 

「それは良かったですね。」

 

「……なーんか刺々しい言い方ね?」

 

「そうかしら?」

 

「う。」

 

 そして完全に偵察の事を忘れたアンジュはマーヤの静かな『お前なにやってんねん』の空気に当てられてどんどんとタジタジになる。

 

 ここに来たのは『グリンダ騎士団との接触』と言ったがイベントの中心にある彼らにそう易々と一般の者たちが会えるわけがないので今は本当に目の保y────ゴホン! 本当に会場の偵察に来ている。

 

 原作通りだと当日は多分、皇族がマリーベル以外に何人か来ている筈だから彼らの周りは封鎖されて偵察どころではないだろうし。

 

 戦いとか襲う予定は無いが、一応念のためだ。

 

 そう思いながら、俺たちはスタジアムの駅のリニアカーに乗り込む。

 ……やっぱりピークタイムだけあって、ちょっと人が多いな。

 

「少し混んでいるわね。」

「アン(ジュ)さん、もう少し寄れます────?」

「────ちょちょちょっと押さないで?!」

 

「おっと。」

 

 予期せぬ込み具合にアンジュが倒れそうになり、自動(反射神経)で彼女の身体を支える。

 

「あ、ちょ……」

 

 さて、『オズ』についておさらいをしようか。

 何せ今ではほぼうろ覚えだからな……

 

 まずは反ブリタニアテロ支援組織の『ピースマーク』。

『テロ組織』とブリタニアに認定されているが、正式には『民間の傭兵部隊』。

 

 ただ依頼が『反ブリタニア』のモノばかりに偏っているだけだ(主にオルフェウスの所為で)。

 

 で、大雑把にだがこのピースマークはブリタニアと何らかの関係を持っている人物たちが所属している。

 

 まずオルフェウスだが、ギアスの事から察せる様に元はギアス嚮団で同じ実験体だった 少女と恋に落ち、恋人と逃げたがVVが差し向けたプルートーンによって恋人や彼らを匿った村を丸ごと焼かれている経歴から、『ブリタニアへの復讐鬼』となっている。

 

 「あの……手がまだ背中に……」

 

 次に『ズィー・ディエン』はよくオルフェウスと一緒に組む、『相棒』とも呼べる中華連邦人だ。

 確か裏社会のKMFファイトで無敗のチャンピオンをやっていて、路銀が無くなったオルフェウスと対峙してブリタニアの保安局が試合に乱入したんだっけ?

 

 おっとリニアカーがカーブを曲がっている。

 

 「ひゃ?! ちょちょちょちょちょちょっと……」

 

 で、『インド出身の銭ゲバ』という事で覚えていた『ガナバティ』はまさに、『金さえあれば修理から解体に完全整備までなんでも請け負います』的な技術屋兼商人。

 

 地味にラクシャータが彼を知っていたのはびっくりにしたが、そう驚くこともないか。『オズ』でも彼を通して依頼される描写はあったし。

 

 そして最後で、俺の予測(というか疑惑)が間違っていなければ一番描写が少ない割に、かなり重要な『ミス・エックス』だ。

 

 ピースマークが受けた依頼をオルフェウスに伝える仲介人(ブローカー)兼エージェントで医師免許を持ったり、潜入や変装はプロ並みだというのに(彼女が『オズ』の原作で言っていたことを真に受けるのなら)オルフェウスやオルドリンより年下。

 

 ちなみに、俺の予測(疑惑)は────

 

 ────グイイィィィィ!

 

 ふおぉぉぉぉ?!

 

「神────兄さん? 駅を乗り過ごすところでしたよ? アン(ジュ)さんも呆けてないでちゃんとしていてください。

 

「……………………ひゃい。」

 

「ああ、すm────ワリィ、ちょいと考え事しててさぁ。」

 

「ププ……」

 

 俺は(自分で考えた)設定が憎いでゴザル。

 

 ともかく、(偽名で)借りているホテル近くの駅ならここから殆んど一直線だ。

 

 ええええっと? どこまでおさらいをしたっけ?

 オルフェウスのいるピースマークは終わったような気がするから、グリンダ騎士団か。

 

 まずは発案者の『マリーベル』。

 確か……子供の頃にテロで母と妹を失ってシャルルに犯人を探すように訴えたけど聞き入れられなくて乱心して、剣で切りかかったんだっけ?

 で、皇位継承権をはく奪されて幼馴染のオルドリン・ジヴォンの家の世話になって百r────レz────ええええええっと……『マリーベル持病の同性愛に近い依存症』になって自力で実力をシュナイゼルに目を付けられて皇位継承権が(第87位であるナナリーより後の第88位だから実質的には名前だけ)戻されて『皇族個人の部隊の運用』という抜け穴を使って『グリンダ騎士団』が誕生した……と思う。

 

『対テロ組織』で『試作機のモルモット部隊』……『試作機の整備と補給』……

 

『一体どれだけ?』と聞きたいが、スポンサーはあのシュナイゼルだからなぁ……

 

 ま、まぁそれは別に置いて。

 

 次に『レオンハルト・シュタイナー』。

 確かラウンズのジノの実家、ヴァインベルグ家に仕える騎士家系の出身だからかジノからは『弟』と扱われている。

 ただ、本来なら『ヴァインベルグ家を守る』側の家系なのにレオンハルトは周りから期待されていた『騎士』とは違い、『学者』の要職を望んで反発した。

 だが第二の子に恵まれなかったシュタイナー家は無理やり『騎士としての修行』をレオンハルトにさせただが、彼の身体能力はもやし(ルルーシュ)と同等ぐらいで守る筈のジノの相手にもならなかった。 そのおかげで、『シュタイナー家は名前だけのお飾り騎士家』とバカにされ、『シュタイナー・コンツェルン』として生まれ変わって『癖が強いが実力は確か』と有名なソレイシィ家との繋がりを持つためにマリーカ・ソレイシィが許嫁になった。

 

 ちょっと長くなった、すまん。

 

 えええと、『ティンク・ロックハート』か?

 大柄な体格をした男で、テストパイロットとしての後遺症から身体の3割ぐらいがサイバネティック化されているんだっけ?

 

 性格は飄々としているから『アイルビーバック』の可能性はないが、サングラスをかけたら似合いそう。

 

 で、臀部が立派で広告に出ていた『ソキア・シェルパ』。

 孤児だったからか非常に明るいムードメーカーで、元KMFリーグのスタープレイヤーだからか状況分析能力が高い。

 そして『相手の機体も、自機もクラッシュ(大破)させる』から付いたあだ名が『ザ・クラッシャー』だとか。

 

 ………………………………何で修理代と整備の必要性が100%ハネ上がるような奴をグリンダ騎士団に?

 あ、そう言えばソキアって志願したんだっけ?

 

 最後に、『オズ』ではもう一人のキーパーソンである『オルドリン・ジヴォン』。

 マリーベルの幼馴染で、筆頭騎士で、百r────『マリーベル持病の同性愛に近い依存症』の()()担当。

 名門家であるジヴォン家の出だけに『騎士道』に乗っ取った気高さの元に、『力を持たない民衆を守る剣』の誓いで『理不尽な暴力を振るうテロ』を毛嫌いするマリーベルに忠義を誓っている。

 

 ただ『オズ』の物語が進んでいく都度に、マリーベルがテロに対して感じる憎悪と憎しみは暴走して拡大化し、やがては『反ブリタニアの芽は全て容赦なく断罪されるべき悪』と歪んで…………………………………………………………

 

 望みは薄いが、やっぱり何かしたい。

 

 でないとおr────じゃなかった────『アマルガム』が危ない。

 

 だが『オズ』による悲劇が始まるのはマリーベルの暴走の加速と、オルドリンとオルフェウスが互いを嫌う本能的な衝動、そして()()()()()絡みだ。

 

『マリーベルの暴走』だけは別問題で確かにハードルは高いが、二つ目と三つ目は直結していてさらに複雑化している。

 

 実はグリンダ騎士団の中枢近くに、監視役のギアス能力者が長年────

 

 ────プアァァァァァ

 

 ぐい!

 

「グェ。」

 

 横から自動車のクラクションと同時に、俺の腰に誰かが腕を回して背後へと力任せに引かれると目の前を自動車がハイスピードで通り過ぎる。

 

 おぅふ。

 

 ボーっとしながら歩くのは要注意事項。

 当たり前田のクラッカーだが。

 

考え事はホテルに戻ってからの方がよろしいのでは、兄さん?

 

 『マーヤが怒っている。』

 というようなテロップが見えそうな感じで、俺を無理やり引いて顔を引きつらせたマーヤがいた。

 

 どうやら、EUでの活躍からずっと引きずっていた疲労がKMFリーグの興奮から来るカラ元気が今更ながらに上回ったようだ。

 

「ああ、すまんな()ーヤ。」

 

()ーヤです。 (ニッコリ)」

 

 マーヤが超怒っていらっしゃる。

 

「ねぇ、いつまで抱き着いているの?」

 

「いやですね、これは支えているのです義姉さん(アンジュ)。 だって兄さん(スヴェン)、フラフラじゃないですか。」

 

 ……………………なるほど?

 どうやら気づいていないうちに俺はフラフラしていたのか。

 

 確かにそう考えると、確かに身体の動きが鈍いな。

 

 あと吐き気。

 

 頭痛も。

 

 あ、あかんヤツや。

 

「すまん、ちょっと休めるところはないか?」

 

「「え?」」

 

「気分が悪い……うっぷ。」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 幸い、ホテル近くの公園にいたことで急遽ベンチに俺を座らせてから、アンジュたちは飲み物と薬を取りに行った。

 

 と言う訳で、ロンリーボーイ状態の俺はボーっと天を仰いでいる。

 

 しかし参ったな、『亡国のアキト』エンド時から時間がたっているのにまだ回復していないなんて想定外だ。

 

 以前の『対スザク』でも『対ノネット』に『ブラックリベリオン時』でも、同じぐらいの時間経過では普通に歩き回れるぐらいは出来たのに……

 

『何か違いがあるのか?』と考えだしても、要因がありまくりで何がどう関与しているのか分からんから『変だなぁ~』というところで思考を止めている。

 

 やっぱ、あの時の一発だけじゃ足りなかったな。

 

 また『時空の調停者』に会えるかどうかは分からんが、今度は100発ぐらい入れてやろうと思う。

 

 あれだ、『左の拳か右の拳か当ててみろや』のヤツだがオレの場合は、問答無用の『叫びながら殴る』だ。

 

 ああ~、やっぱ何か調子が悪い。 脈が全くない現実逃避と脱線をしすぎている。

 

 ピトッ。

 

 「↑ふうおぉぉぉ?!」

 

 空を仰いでいるいる俺のあごに、冷たい何かが当てられてな素っ頓狂な声が俺の口から出てしまう。

 

 「アッハッハッハ! なんだいその声は?」

 

 この声とズケズケとした物言いはもしかしてもしかすると────

 

「ん? なんだい少年?」

 

 ────もしかした。

 

 メノマエニ(目の前に)サギョウフクスガタノ(作業服姿の)ノネットガイタ(が居た)

 

 …………………………………………………………………………なんでじゃい?!

 

『オズ』になんでいるの?!

 

「しかし、こんなところで会うなんて奇遇だね!」

 

 おい待て。 俺は今、変装中だ。

 髪の毛も金髪だし、目の色も変えている。

 

 どうやって確信した?!

 

「い、いや~。 人違いじゃないっすか────?」

 「────何だ、その鳥肌が立つ気持ちの悪い喋り方は?」

 

 そしてドン引きするノネット。

 

 俺が知りてぇよ!

 潜入時の設定を考えていたら『せや今までやったことのない奴にしよう!』ってなって『チャラ男』がポンとキタんだよ!

 

「正直、私的に少年のもう一つの趣味(女装)の方が────」

 「────ですから違います。」

 

 おっと『ポーカーフェイス』から学園で使っていた『優男』の仮面にチェンジだ。

 

「お! やっと戻ったな! どうだい、炭酸はイケるかい? 疲れた体に効くよ?」

 

「もらっておきます。」

 

 渡された炭酸水を飲んでいくと独自のシュワっとする喉越しとレモンの匂いが前世のスプラ〇トを思い出させる。

 

「それで? 少年はバカンスかい?」

 

「そんなところです。 エニアグラム卿は?」

 

「ん~……『卿』はいいかな? 今の私はただの『運び屋』さ。」

 

 運び屋?

 はて…………………………あ!

 

 ランスロットの量産試作機の『ランスロット・トライアル』か?

 

「新型のナイトメアが展示されるのですか?」

 

 俺の言葉にノネットが一瞬目を見開からせて細める。

 

「……ふぅ~ん? どうしてそう思うんだい?」

 

 原作知識です。

 

「卿の様な身分の方がお忍びのような服装でここにいるということは余程の極秘事項に関連するものでしかなく、その上開催が予定されているイベント関係することから『ある程度操縦技術を要求する新型ナイトメアの展示品』とカマをかけただけです。」

 

「はぁ……たいしたもんだよ……ますます本気を見たくなったよ。

 

 だから原作知識です。 と言うかガチでやったら俺死にます。

 

『兄さ~ん!』

 

「おっと、じゃあ私は失礼するよ。 くれぐれも、秘密にな?」

 

「ええ。 卿も。」

 

 そこにマーヤの声が聞こえてくるとノネットは帽子をかぶり直して去ると丁度マーヤとアンジュが戻って来る。

 

「さっきの人は────?」

「────イベントの作業員の一人だ。 さて……少し回復した。 ホテルに戻って薬を飲んで俺は寝る。 夕食はテイクアウトか何かを自分で用意する。」

 

 さっきの炭酸で10SP(気力)回復した気になった俺はベンチから勢いよく立ち上がるが、結局フラついたのでマーヤたちに支えられながらホテルに戻った。

 

 言っておくが、部屋は男女別々だぞ?

 

 一応『婚約者の設定』だが、『輿入れ前の婚約者設定』だからな。

 

 

 

 


 

 

「どう思う?」

「少し危なっかしいわね。」

 

 スバルが自身の部屋に入ってベッドにもぐりこんだのを見届けたマーヤとアンジュは部屋の中で彼のことで話していた。

 

 尚部屋に設置されていた盗聴器は既に撤去済み&現在ジャミング中である。

 

「そうね……近くで見ていたから余計わかるけれど、今のスヴェンは殆ど気合で動いているような感じね。」

 

「あら? 試合に魅入られていただけとてっきり思っていたわ。 ちゃんと周りを見ていたのね?」

 

「フフン! このぐらい、夜会パーティなどで嫌と言うほど鍛えられたからね! ……でも本気で彼、いつ倒れてもおかしくないから私たちで何とかしなくちゃいけないわね。」

 

「そうね……今ここに来れてなおかつ発見されてもリスクが少ないのが私たちだけだし……」

 

あの子たち(イレギュラーズ)は……やっぱり無理ね。 チケットが人数分用意できなかったのが痛いわ。」

 

「それでも、元貴族であるコネは使えたわ。 ありがとうアンジュ。」

 

「……あなたも成長したわね。」

 

「は?」

 

「私の呼び方。 『雌犬』って────」

「────そうね。 『そう思っていても言うべきではない』と神様に学びましたから────」

 「────ちょっとコラテメェ表出ろや。」

 

 グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。

 

「「………………………………………………」」

 

 空腹を示す音に二人は黙り込み、静かにただルームサービスを呼んだ。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「お嬢様、ただいま戻りました。」

 

「あらトト、お帰り。」

 

 別の場所では、やっと退院できたオルドリンはジヴォン家の別荘で珍しく『傍を一時離れたい』と申し出た専属メイドであるトトを自室で迎えていた。

 

「すぐお嬢様のおぐしを────」

「────それで家族のみんなは元気だった?」

 

 オルドリンの言葉に、背を向けていたトトの体がピタリと止まる。

 

「久しぶりに連絡が来て会ったんでしょ?」

 

「……………………そうですね、『ちょっと元気過ぎる』様子でした。」

 

「確か会ったのは……()()()なんだっけ?」

 

「……ええ、まぁ。」

 

「いいなぁー! ()()()()()()だから…………………………あれ?」

 

 オルドリンの言葉に、トトはニッコリと笑顔を浮かべながら眼鏡を外す。

 

「あれ……私……一人っ子……え? だって、マリー(マリーベル)と一緒に庭の墓に、オルフェウスって名前が────」

「────お嬢様? こちらを見てもらいますか?」

 

 オルドリンがトトの方を見ると、彼女の左目が異様な色を浮かべていた。

 

「トト、その目……私、以前にも────」

「────私、トト・トンプソンは願います。 『オルフェウス・()()()()と庭の墓標は忘れて眠りなさい。』」




短くて申し訳ございません、予期せぬ徹夜をしていました。 (汗

破棄したいパソコンを、『動画で見たから』と言うだけで水につけるだけでいいと思うのはおかしいです…… 〇刀乙

実際、壊れたのはパソコンだけでハードディスク内にあるデータは保存されたままなのに…………………… ( ;∀;)

追伸:
上記の『パソコン水没事件』は、自分が勤めている会社にサポート依頼してくる『一昔前のままの会社』のことでした。

文章不足で申し訳ございませんでした。 (汗

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