お読みいただきありがとうございます、楽しんで頂ければ幸いです!
えらいこっちゃ。
えらいこっちゃ。
えらいこっちゃ。
えらいこっちゃ。
えらいこっちゃ。
え? 『今絶対に原作ニーナの顔芸になっているだろw』だと?
知らんがな。
だって、ちょっと、え?
待って待って待って超待って。
『オズ』の『タレイランの翼』(“さっきの放送を聞いて思い出したんか草”とか言わないでくれ)ってミルベル博士を首謀者に立ち上げられたはずだ。
だからこれからは『当事者としてではなく、友軍の充実化を行って徐々に任せていく』の一環としてミルベル博士と彼の妻を調略したら何故かラビエ親子という思いがけないオマケも『おいでませアマルガム♪』になったワケだけど……
どう考えてもおかしいよね、これ?!
いくら反ブリタニアや反シャルルの理念を持ったグループが居たとしてもマリーベルとカリーヌとオデュッセウスの皇族三名が集まって対テロ組織が通常のナイトメアじゃなくて競技用のチューンダウンされた機体に乗っているとして────あ゛。
冷静にそう考えたら、理由がジャンジャンあるな。
でも原作ではタレイランの翼の残存兵たちがこのテロ活動を行っているわけだからそう長くは続かないだろうさ。
何せミルベル博士との衝突が無かったからグランベリーや搭載機の状態は万全の筈だし……
なんと言っても、ペンドラゴンの近くだ。
よし、そう考えると少し前向きになれる。
さて、そうと決まればこの騒動を利用して────
『────なぁ聞いたか? “グランベリーは発進するな”って話の理由?』
ん?
“胃の中がムカムカする”を通り越して荒れ狂う胃痛が無くなっていく俺の耳に、さっきの放送を聞いた整備士たちの話し声が聞こえてくる。
『なんか海の方はヤベェって聞いたが……』
『噂だが、どうやら警備騎士団が帝都の警備強化のためにバミューダ軍事要塞島から呼び寄せた航空部隊がクーデターを起こす為、周辺の海軍を壊滅させて大半の防衛部隊はそっちに気を取られているみたいだ。』
『それが何で俺らのグランベリーに────?』
『────これは緘口令が敷かれる前の知人に送られた情報なんだが、敵は飛行型のKMFを中心にしているらしい。』
『ちょっと待て、それだと通常艦隊の海軍は────?!』
『────多分、負けているだろうな。 だからグランベリーはさっきのタレイランの翼とクーデター部隊に対しての切り札にしておきたいらしい。』
なんですと?
い、いや何で増加戦力がタレイランの翼に……………………………………
もしかしてもしかしたらもしかするのか?
『ミルベル博士が反旗を翻さなかったから、その分の戦力も今この時に便乗した』とか?
えええええええええ。
うそ~ん。
う?!
さっき収まりかけた胃がまた……
はやく胃薬────って持ってきてねぇ?!
どうしょうどうしょうどうしょうどうしょうどうしょうどうしょう。
いやな汗が身体中噴き出てはべっとりと変装した肌に密着させ、頬を汗が伝う俺の目に
俺が見たのはランスロット……によく似ていて同じ第七世代KMFとカウントされているRPI-212、『ヴィンセント』だった。
『ランスロット量産計画』の過程でデータを集める為にランスロットをコストダウン化させて作られたランスロット・トライアルが余りにもピーキー過ぎて今スタジアムで展示品とされている一機や、パイロットスキルが(
そこで『一般兵士でも扱えるものにしろ!』と言われて更にコストダウンさせられて新たに作られてのが『ヴィンセント』だ。
そして初めてのお披露目は『R2』のバベルタワーだった、少なくとも原作アニメでは。
少々ここで種明かしをすると、原作『オズ』ではウィルバー・ミルベルと『タレイランの翼』のテロ活動によりオルドリンの近接戦闘特化型ランスロット・グレイルが他のグリンダ騎士団の機体同様に中破してしまった為、元々データ取集の為に設立から間もなく人材も機体不足だったグリンダ騎士団に送られてきたヴィンセントを解体し、パーツをグレイルに使って修理していた。
無論、元々の用途から途方もなく外れた使い方をされて良いワケが無いのだが……原作のマリーベルの活動で有耶無耶になっていたと記入したい。
つまり今スバルが目にしているのは『原作で中破したグレイルの生贄パーツとして使われたヴィンセント』である。
「おい! そこの若いの! 呆けている時じゃないぞ! 機体がいつでも出せるように手伝え!」
う~む。
『棚から牡丹餅』ならぬ『触らぬ神に祟りなし』。
と、言いたいところだがどうやら原作以上に『タレイラン・チルドレン』ならぬ『タレイランの翼』はパワーアップしているらしいしスタジアムにはマーヤもアンジュもいるだろうし何よりここで
ナナリーに対してクソガキムーヴをしたカリーヌはどうでも良いとして、マリーベルは実力で生き残れるが、特に気掛かりなのは『髭のおっさん〇リコン疑惑持ち』のオデュッセウス。
原作アニメしか見ていない場合だと『パッと冴えなくてウジウジして場に流されるおっさん』の側面やシュナイゼルに頼り切る場面しか見えないが、外伝などで彼は彼なりに結構活躍している。
例えば前世で『更生保護』に値するシステムを、彼はブリタニアの領地内で実行させようとしている。
そのシステムを取り入れるかどうかはエリアの総督や領主に一任されているが、実際にそれを取り込んでいるエリアは比較的治安が良く、帝国へのスタンスも協力的でどれもが『平定エリア』、『部外者でも受け入れられる観光地』と認知されている。
それだけでも『実はすごいんじゃね?』と疑惑を与えるのに彼は本編でも外伝などでも見ない、『皇族が国民や名誉ブリタニア人と分け隔てなく触れ合うアピール』などをしている。
多分……というか十中八九、『世間に対してのプロパガンダ』だろう。
だがこの世界に転生して放送や生中継を見ていると本人はいつでもニコニコしているし、周りも最初こそ『コウゾクキタビクビク』と余所余所しい態度を見せているが時間が流れるにつれて愛想笑いなどではなく自然な笑顔を周りは浮かべている。
実際に会ったことは無いが、俺も『優男』などの仮面を維持しているからなんとか分かる程度の変化だが、これは大きい変化だ。
20世紀未満時代で世界が主に『開発途上国支配主義者』だらけの状態であるコードギアスの皇族(というか殆んどの貴族)としては『異端』として嘲笑われるが、俺の前世からすればかなりの人材だ。
どれほどかというと、ファンの間で『オデュッセウスが皇帝になっていればいずれブリタニアは良い方向に変われたんじゃね?』という説が上がってもなんら不思議でもないほど。
そんな人が後に、『フレイヤ』という無差別の核攻撃に巻き込まれて大勢の人と一緒に呆気なく死ぬ。
つまり何が言いたいかというと、『オデュッセウスは完全に生まれる時代と国家を間違えた不運な人』だ。
俺は『転生ヤッタちょっと待ってブリタニア貴族やんけフレイヤヤダァァァァァ!』と考えて行動したからフレイヤの開発フラグをバンバンへし折ったからまぁ……大丈夫だとは思いたいが……
キリキリキリキリキリキリキリ!
胃、胃がとてつもない悲鳴を上げているでゴザル。
だが、もしこれが色々と俺が変えた所為で成り立った事柄ならば『キュウシュウ戦役で生き残った片瀬少将』と何ら変わりはない。
…………………………よし。
スタジアム内に突然現れたナイトポリスに警備用のグラスゴーなどの出現によって試合は中断され、観客たちはこの展開と先ほどの宣言に『相手を刺激しまい』という危機感や恐怖、あるいは思考がフリーズしたことによりどよめきながらも席から動かずに座ったまま周りの出来事を静観していた。
特等席にいたオデュッセウスに彼のSPは別ルートで避難を試みたが、既にアルハヌスの部下たちと遭遇しては銃撃戦を行っていた。
カリーヌは『異変が起きた』と察知しては一足先に席を立って既に
展示品の作動キーをポケットから取り出して。
……
…
ランスロット・トライアルが展示されているホールでは『来客へのアピールの為にラウンズとグリンダ騎士団の騎士たちが居る』という事前情報によって『ラウンズに失礼があってはならん』という体から警備のグラスゴーと、警備の騎士たちが近くに待機されていた。
「そのまま手を頭上に乗せろ!」
「急な動きをすれば引き金を引くぞ!」
「(う~ん、参ったねこりゃ。 まさかその警備騎士団が丸ごと敵になるとはねぇ~。)」
ノネットはそう思いながら手を上げたティンクやレオンを横目で見る。
「(小僧たちだけならば、まだしもやりようは幾らかあるけれど────)」
そこで彼女は反対側にいる
「(────ここでアンタたちが行動を先に起こせば、根が生真面目なレオンハルトの事だから報告されちゃうよ? だからきっかけがあるまで
「(ええ、分かっているわ。 行動は『貴方の後で』という事で……)」
「(え? 何でこっちを見るの?)」
ドォオン!!!
ノネットのアイコンタクトにマーヤは小さくうなずき、アンジュはハテナマークを出したその時に、会場内部の競技場から爆発音が響いては警備騎士団員たちの注意がそちらに一瞬だけ向けられる。
「な、なんd────?」
────ヒュッ!
ゴキッ!
ノネットは注意が逸れた近くの警備員の首に蹴りを入れると、まるで太いセロリが無理やり折られるような音がする。
ザクッ!
ほぼ同時と思うほどのタイミングで、マーヤは丈の長いドレスの下の立派なガーターストッキングで覆われた美脚と太股の上に装着された暗器を投げては数人の警備員のこめかみや額にそれらが命中し────
ガチャ、ガコン。
ダダダダダダダダダ!
────その隣にいたアンジュは持っていたスーツケースのハンドルを強く握ると、バネ式のビックリ箱のようにサブマシンガンへと変えたソレを彼女は構えてマーヤが攻撃しなかった警備騎士団を撃っていく。
このスーツケースは、以前にスバルがアンジュの家騒動で『万が一の為』と用意したハンドル付きの工具箱の開発で作られた副産物だった。*1
あの時に使用はされなかったが、いわゆる『折りたたみ式の銃』に部類される暗器であり、コードギアスの世界でも所持品のチェックは行われる。
だがこの世界での銃は主に『電力式』であるため、手荷物検査時には『金属』や『サクラダイト』などが引っ掛かる。
よって『非金属』であるセラミックに強化プラスチックや、『電力式』ではない火薬など感知されない。
勿論のことだが、先ほどの爆発音より近くの発砲音に警備のグラスゴーは注意を瞬時に戻して対人機銃を作動する。
『と、とま────!』
────ドォン!
マーヤがスカートの内側に分散して取り付けたボーラ状の爆弾がグラスゴーの片足に引っ付き、それをアンジュが撃つと爆発してグラスゴーは転倒し、ノネットは警備騎士団が反旗を翻す直前に装備した手榴弾を死体から拝借してはピンを外してからコックピットブロックに投げる。
ドォン!
コードギアスではまだまだなじみが無い火薬やプラスチック爆薬の発する硝煙の匂いが爆風に乗って辺りに吹き荒れる。
「いやぁ~、流石というか何というかアッハッハッハ────」
「────ティンクは何でそんなに呑気でいられるのですか?! そもそも何故一般人の筈である彼女たちがエニアグラム卿並みの────?!」
「────あー、それは彼女たちは私が
そこにノネットの言葉にレオンが固まる。
「……はい────?」
「────けどどうしたものかね。」
ノネットは複雑そうな顔をしながらレオンハルトの追及を濁し、ランスロット・トライアルを見上げる。
「その様子ですと、エニアグラム卿は作動キーをお持ちになっていないのですか?」
「(相変わらずマーヤの『アドリブ』を凌駕する『思考機転』は凄いわね。 どういうカラクリなのかしら? さも当然のように『以前からの知り合い感』も出しているし。)」
「うん? まぁね、表向きの私は『来客の挨拶』だったから作動キーは……ま、別の人が預かっているさ。」
「(なるほど……)」
ノネットの洞察力に警戒するマーヤは表向きに態度や表情を変えず、元々スバルに頼まれた『展示品の観察とデータ収集』を思い浮かべる。
「(では上手くやれば、私たちにも強奪のチャンスがあるという事ね。)」
そしてマーヤは彼の頼みをそれ以上の意味合いを見出す。
……
…
セントラル・ハレー・スタジアムが設置されている高層ビルの周りをブリタニアの駐留軍は包囲陣を組み『タレイランの翼』のナイトメアと交戦していた。
「主義者共にスタジアムと、ビルの周辺を占拠されている。 敵の哨戒部隊から抵抗を受けているが、幸い敵は好戦的ではない。 だが追撃に送ったナイトメアと歩兵部隊は前進しすぎたところを狙われている為、こちらの被害も大きくなっています。」
駐留軍の指揮官たちらしき者たちが急遽指令所と変えた装甲車近くのスクリーンのついたテーブルの周りに座り、事態の把握を行っていた。
「うーむ……スタジアムには皇族の方々がいる。 一気に追い込めば主義者共を刺激しかねん────」
「────だがそんな悠長にしていてはそれこそ主義者共に付け上がらせるだけだ! ここはやはり空挺部隊に────」
「────彼らは今、バミューダ要塞島から来たクーデター派の鎮圧に向かっている。 とてもではないがこちらに援軍が来るとは思えん────」
「────ならば皇女殿下のグランベリーはどうか? 確か停泊していると────」
「────なら卿は『皇女殿下直属の船を無断で指揮下に入れた』という責任を負えると?」
「「「「「…………………………………………」」」」」
最後の部隊長の言った言葉に誰もが黙り込む。
『こんな非常時に!』と思うかもしれないが実際問題、一度皇位継承権をはく奪されて末端とはいえマリーベルは皇女でグランベリーは彼女の私物。
そんなグランベリーを動かせるのは同じ皇族か、あるいはラウンズでなければ首が飛んでも何ら不思議が無いのが現状のブリタニア帝国である。
『隊長、グランベリーから急速接近する信号が────は、早い?!』
そこに包囲陣内へ一般人やマスコミなどを入れさせないため駐留軍が展開させた哨戒部隊から通信が入ってから一分未満ほど、部隊長たちの上空を紫と白が混じった物体が通り過ぎてはスラッシュハーケンらしきものをスタジアムが立つビルの側面に射出させ、脚と肩の先端部に仕込まれたランドスピナーを使ってきた勢いを崩さずに高層ビルを登っていく。
「「「…………………………」」」
「い、今のはなんだ?」
「『グランベリーから来た』という事は────」
「────
「「「「ハッ!」」」」
先ほどの見慣れない機体を『グリンダ騎士団のモノ』と知って希望が出てきた部隊長たちは苦戦を強いられながらも、高層ビル内に潜入していた『タレイランの翼』の大部分を釘付けにすることとなる。
『新たな機体がビルを登っている……だと?』
『識別反応なし!
逆に高層ビルの上空を飛び、近づくブリタニア駐留軍のヘリや戦闘機を落として制空権確保をしていた可変型グラスゴー・エア・プロトタイプ機はこの機体を見ては迎撃に向かう。
『可変型グラスゴー・エア・プロトタイプ』とはその名から察せる通り、可変型のグラスゴーでありシュタイナー・コンツェルンのブラッドーフォードからアイデアを取り、一般化させるプロジェクトの過程で比較的にメンテナンスもコストも抑えられるグラスゴーに飛行機能を取り付けたモノだった。
ただしフロートユニットやフロートシステムなどは搭載されておらず、通常のエンジンと翼で飛ぶため離陸時に滑走路やそのたぐいの地形は必要であるので、『それならば通常の戦闘機の方がコスパ的に良い』という理由で新たな機体製造は止まっているが。
グラスゴー・エア・プロトタイプたちはビルの横をすべるように上る紫色の機体に手の代わりに装備されたライフルを撃つが────
『────は?』
『き、機体が消えた?!』
『いや違う、上だ! 更に加速しやがったのか?!』
『バ、バカな?! 翼もエンジンもないナイトメアが、飛────?!』
…………
………
……
…
競技場でプライウェンに騎乗していたファイヤーボールズはタレイランの翼の機体達の脆い関節部を狙い、グリンダ騎士団はトト含めて敵のアサルトライフルを奪っては非対応ドライバーの警告とインストールを無理やり無視してマニュアル操作を行っていた。
『見事な手腕です、ソレイシィ卿!』
『トトさんも! 殿下とジヴォン卿はまだでしょうか?!』
『お嬢s────ジヴォン卿たちならば包囲網を突破してグランベリーを動かせるはずです!』
『ならば、出来るだけ相手の注意を────え?!』
マリーカは新たなアラート音を聞き、競技場の端を見ると今度は軍用のサザーランドも出てきたことに目を見開く。
『軍のサザーランド?!』
『ですがあのマーキングは、テロの────?!』
『────我らタレイランの翼の狙いはあくまで皇族であり、一般人に危害を加えるつもりは無い。 第88皇女マリーベル・メル・ブリタニア、その身を差し出さなければここにいる君の騎士団を手始めに粛清する────ん?』
巨大スクリーンに映ったアルハヌスの注意が何かに取られ、スタジアムの開いたままである天蓋から飛来する何かが四つの強化されたスラッシュハーケンで競技場に出たタレイランの翼の機体たちを攻撃して地面に降り立つ。
『あれは……』
『ジヴォン卿のランスロット・グレイル……ではないですね?』
スタジアム内に空から降り立ったのは、紫と白のカラーリングが施されたヴィンセント一機だった。
余談ですが、今話を書いている間に聞いていたイメソンはロスカラ版の『Previous Notice』でした。 (*ゝω・*)ノ-☆