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誤字報告、誠にありがとうございますNakaya0106さん!
今度の作戦で一番の脅威はナイトメアだ。
ナオトさんの言った通り、藤堂ほど観察力から生じる情報を元に戦略を練る能力が無ければナイトメアはナイトメアでしか対抗できない。
よってナイトメアを奪取する際、敵側には必ずナイトメアが同行している。
だから俺は出来るだけ敵側が不利で、レジスタンス側が有利な状況が訪れるのを待っていた。
そして俺は『日本
展示品用ならば廃棄寸前のものだからブリタニアにとっては重要性が低い。
護衛もその分、質も数も練度も低いと踏んだからだ。
それに、『日本侵略に使った機体をそのままそっくり対ブリタニア運動に使う』なんて最高だと思わないか?
如何にも
第二次世界大戦の後半で大活躍した空挺兵だ。
ガンホー、ガンホー、ガンホー。
あ、違った。
“ガンホー”は海兵隊だったな確か。
レジスタンスだと“ビバ・ラ・ヤーパン”だっけ?
……なんかそれも違う。
俺はそうおぼろげに考えながら、作戦中に使っていた火薬使用型対KMFライフルのことに思考を切り替える。
今日は上手くいったが、やはり改良の余地があることを実感する。
まずは反動軽減システムの見直し、弾丸を直接銃に込めるスタイルから箱型弾倉にチェンジ、音量軽減のためサプレッサーの強化。
それと弾丸の量産の目途。
一発一発が(薬莢含めて)手作りだから、慎重に撃たないといけないしもうそれだけで一種の内職だ。
どこかに兄想いの弟か妹はいねがぁー?
え? 『ナナリーなら手伝ってくれんじゃね』、だと?
ナナリーに
そもそも咲世子さんが忍者技術の関係で『火薬の製造だ』ってバレて俺が死ぬわ! 物理的に!
考えてもみろ。
いつの間にか背後に回った咲世子さんが至近距離で顔だけ笑いながらその背後に浮かぶ鬼の仮面がががががガガガガガガガがががガガ。
…………思い浮かべるだけで
日本人だけど。
生徒会なんて『ニーナ』という地雷が巻き込まれてすぐにたどり着かれてしまうからアウト。
アリス? あいつはどこか悪い予感がするから却下。
毒島とアンジュリーゼはそういう細かいことは苦手というか……危なっかしい。
特にアンジュリーゼは初めてのものを作ると、なぜか毎回『謎の物体X』に変質してしまう。
となると、自然と俺一人とカレンで作業をすることとなる。
まぁ、それは今置いとくとして。
一応ここでも話しておくがカレンにも言った通り、ナイトメアが敵にいて味方にいないことは様々な面で非常に厄介だ。
『戦車と同等の火力を持ち、ヘリのような機動力を誇り、斥候並みの索敵能力を保持している』。
これらは全て事実と原作で見た情報に基づいている。
だが同時にどのような兵器にも
『完全無欠な兵器』なんてものは存在しない。
技術的な面でも現実的な面でも、敵に利用されたり寝返られたりされると止める術がないからだ。
『戦車と同等の火力を持つ』? 『ヘリのような機動力を誇る』? 『斥候並みの索敵能力を保持している』?
ならばそれらの長所と思われる点を最小限に抑えるか逆手にとりつつ、弱い方面を最大に引き出せる状況を作ればいい。
通常時カメラの視界が巻き上がった土煙で悪く、友軍が参加している乱戦に火力をむやみやたらに撃てぬように戸惑うように敵を誘導すればいい。
それに『戦車並みの火力』と言っても、『装甲も戦車並み』というわけではない。
この世界の銃や武装は全てサクラダイトの応用で電磁力を使っている、故に装甲等は電磁力を使った武装相手を想定しているから前世と比べると
これは別に『武装の貫通力が弱いから』だとかじゃなく、単純に電気モーターは化石燃料エンジンのように爆発的なトルクが一気に出せない欠点を補うための軽量化だ。
現に日本が攻められた時、日本軍が使っていた戦車は装甲を分厚くしたまま身動きが取れず圧倒的な機動力でナイトメアに急所を次々と突かれて翻弄された。
機動力が活かせることのできない
それに適度なビルや利用できる地形が無ければ、ヘリが厄介な最大の理由である上下を自由自在に動くことはできなくなる。
現在でのランドスピナーでは建物の間に足を、つっかえ棒のようにくっつける必要があるからな。
眼前で
『眼前で戦闘が起きているのにわざわざファクトスフィアを展開して機動力を下げることは無い』と言う優位性から来る理論を逆手に取る。
結果、敵は
よって作戦は
「
「ダメ! 展示品用だからか、作動キーを入れてもうんともすんともしない! もしかして、エナジーフィラーが────?」
「────ならクレーンだ! クレーンを使え! 早くしろ!」
今いるのは
「おい、しっかりしろ!」
「う……うぅぅぅ……」
「い、いてぇよぉ……」
「俺の……俺の腕……どこだ?」
「誰か……明かりを点けてくれないか? 暗すぎて何も……何も、見えない。」
そこかしこから聞こえてくるのは銃撃戦を生き残って負傷した者たちのうめき声と、彼らを介護しようと努力する者たちの声。
作戦の実行部隊の参加者70人のうち、トレーラー奪還に便乗して生還者が38人。
そしてその38人中、24名が命に係わる重傷を負っていた。 病院にでも今すぐ連れて行かないと、恐らく朝まで持たないだろう。
ほかの残り14名も怪我はしているが、
状況をできるだけ自分たちに有利にセット出来たのに、この損害。
さすがは腐っても訓練を受けた軍人、差があり過ぎる。
「そっか……そんなにか……」
残りの14名の中に、ナオトさんがいたことは正直嬉しかった。
報告をまとめた俺が言うのもなんだが。
「ナオトさんは立派にやりました。」
「昴にそういわれると、頑張った甲斐があったよ────」
バババババババ!
その時外から発砲音が聞こえ、さらに騒がしくなったことでナオトさんは座ったまま上着を着直す。
「────ナオト、大変だ! いつの間にか警察がこっちに気付いて発砲してきた! すぐにでも包囲されるぞ!」
突然部屋に焦りながら入ってくる扇たちに対してナオトさんは平常心を保つ。
「どうしてこんなに早く居場所が相手にバレたの?!」
「というか警告も何も無しかよ?! あれでも一応、警察だろうが!」
「落ち着けよ、井上に玉城。 これぐらいは予想できていたことだ。 多分、奪ったトレーラーに取り付けた探知機でも追跡したんだろうさ、それに奴らも焦っているんだろう……肝心のグラスゴーの調子は?」
「今すぐにでも動かせる様子じゃないから、前もって準備したクレーンで載せ換えをしている。 それよりも────!」
パパパパァァァン!
『────きゃああああ!』
『────う、撃たないでくれ! 私たちはただ────!』
────パパァァァン!
「「「「ッ。」」」」
外からさらに発砲音と、無関係な人たちの悲鳴が聞こえたことで扇達が身構えるがナオトさんは声を荒げずにただ平然と喋りだした。
「今すぐに動ける奴らは全員、簡単なバリケードを内側に張ってから予定通り旧地下鉄を使って脱出の用意をしろ。 バリケードはすぐに破られるようなものでもなんでもいい、足止めが目的だ。
それと、助かりそうにない負傷者たちの間で銃をまだ撃てる奴には銃を持たせろ。」
ナオトさんの最後の言葉に、扇達がギョっとする。
「まさかナオトお前……負傷者たちに“時間稼ぎをしろ”って言うのか────?」
「────奴らは俺たちを皆殺しにするつもりだ。 たかがレジスタンスがナイトメアを奪うだけじゃなく、二機もやっつけたんだ。
良くてその場で射殺、最悪でなぶりものにされて情報を吐き出させてからプロパガンダ用途で公開処刑されるのがオチさ。
ならここは動ける奴らに“後のことを託す”と動けない奴らに伝えれば、否が応でも了承するはずだ。 何せ
「ナオト、お前は?」
「俺はちょっとそこにいる昴と話すことがある。 すぐに追いつく。」
「……分かった、一つ先の旧地下鉄駅で待っているからな!」
扇さん、何か不安そうに俺を見たな。
なんでだろう?
最後に扇が出るのを確認してからナオトさんが俺に向く。
「昴、カレンの様子は?」
「……初めて身近な人達の損傷を見て、顔色を悪くしていた。」
実際は吐いていたが、それを言うとナオトさんにいらぬ心配をさせるだけだ。
無理もないか。 日本の戦後とは状況が違う。
あの時は殆どが見知らぬ人たちだったし、幸いにも丸焦げになって真っ黒いマネキン状態だったからな。
でも今度はつい数時間前まで楽しく、何気ない話をしていた顔見知りたちがげっそりしながら足や腕などを失くした状態で帰ってきたんだからな。
しかもそれはまだマシな方な者たちだ。
失明、顎の半分を吹き飛ばされた者たちや明らかに痛々しくて酷い怪我なのに生きている状態。
それだけで本人も、
「そっか……そうだよな、あいつにこんな惨状を今まで見せたくなかったのが仇になったな……」
ナオトさんの顔色がさらに悪くなったような気がした。
「昴、実は頼みが────」
「──── “もしオレが死んだらリーダー役を引き継げ”以外なら聞こう。」
ナオトさんの目が点になり、数秒過ぎてから彼は苦笑いをする。
図星かよ。
「ったく、お前は……じゃあさ、代わりに
………………“カレンを頼む”?
“カレンを頼む”って多分、
だから普通は『カレン
どっちにしろ、俺の答えが変わるわけがないが。
「ああ、頼まれた。」
俺の答えに、ナオトさんがキョトンとしてから乾いた笑いを出す。
「……はっはっは! それも即答かよ? 相変わらずお前らしいというか……なぁ、昴?
ああ、知っているさ。
原作でも数々の描写はあったからな。
「だから、頼む。 あいつには、普通の人生を歩ませたい。
ナオトさん、その頼みはナイトメア・イン・ヘルモードより高いです。
あんたがギブアップした、かつての『忍者の外伝』以上だ。
「お前のことだ。 もう、察していると思うが、
……やっぱりか。 それでも……
それでも、俺は────
「────ナオトさん、俺に“残れ”と言ってくれ────」
「────ダメだ。 後の作戦に使う予定のグラスゴーがお前には控えているだろう? お前が学園で
「ッ。 あれは……趣味だ。
「そうか?」
「ああ。」
嘘はついていない。
確かに、俺はアッシュフォード学園に置いてある
だがそれはあくまでこれから来るであろうイベントで『自分は整備が本業ですよ~』とアピールし、前線から身を遠ざける為にしていたことだ。
バン! ババン! バン!
『この、ブリキ野郎どもがぁぁぁぁぁ!』
パパパパパパパパァァァン!
「手を出してくれ、昴。」
外から聞こえてくる発砲音は音量を増していき、ナオトさんはいつも着けている赤いヘッドバンドを外してそれを俺に手渡す。
「お前がリーダーをやりたくないのなら、これを扇に渡してあいつの補佐をしてくれ。 あいつは感情的になりやすく、優柔不断だが人望を集めるのが得意だからな。 足りない部分はお前が補ってくれ。」
「……」
『それはできない』と言いたくなるが、俺は敢えて返事をせずにヘアバンドをただ受け取る。
パパパパパパパパァァァン!
「さぁ、行けよ。」
部屋のすぐ外で激しい銃撃音が聞こえ、ナオトさんは俺を押す。
「ナオト
それを最後に俺は背を向けて走り出す。
よってナオトさんの顔はわからない。
多分、俺が紅月家に送られてから俺の
そんな気がする。
俺の気のせいかもしれない。
「お前になら……任せられる。」
だから、去り際の消え入りそうな声もただの空耳かもしれない。
次回予告:
『センチメンタルブルー』。