小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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キリのいいところまでと思いながら書いた少々長めの次話です。

お読みいただきありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。 m(_ _)m


第140話 アイ・キャン・フラーイ(笑)

『なに────?』

「────お?! 少し遅かったね!」

 

 トトとマリーカが身体を張って、競技場から逃がしたマリーベルとオルドリンは展示品のあるホールへと着くとそこで息絶えていた警備騎士団や大破したナイトポリスを見て、近くにいたノネット達を見る。

 

『レオンにティンクも、無事でよかったわ。』

 

「やはり外のゴタゴタはテロでしたか。」

 

『ええ、警備騎士団が丸ごとテロに加担しているみたい。 やっぱり、これは────??』

「────ええ、エニアグラム卿のおかげで怪我をせずに済みました。 ねぇレオン?」

 

「あ、ああ……」

 

「( “流石はラウンズ”、と言ったところかしら。)」

 

 ティンクはニコニコしながら、歯切れの悪いレオンへと話題を振るい、マリーベルはナイトポリス(払い下げグラスゴー)とはいえ生身でそれを大破させたノネットを横目で見る。

 

「エニアグラム卿、ランスロット・トライアルの作動キーをお持ちですか?」

 

「いんや? 私がここにいるのはあくまで『来客へのアピール』だったからね、警備が良い顔をしなかったのさ。 結局、カリーヌ皇女殿下に預けて何とかその場をやり過ごしたけれど今考えると私を始末するか見せしめにするハラだったんだろが────」

 

 ノネットの笑みが少々深めのモノに変わり、彼女の表情を見た者たちは一瞬だけ『猛獣と同一』とという感想を連想させた。

 

「────殺す気があるんなら、当然殺される気もあるってことを経験しただけさ。 代償は自らの命だけれどね。」

 

「グ、グリンダ騎士団?」

 

 そこに息を切らしながら作動キーを手にしながら、現れたのはカリーヌだった。

 

「カリーヌ……それ(作動キー)をどうするつもり?」

 

「それは勿論、事態の終息の為にエニアグラム卿に────」

「────皇女殿下、私を高く評価しているのは光栄ですがそれだと一般人に被害が出ないとも言えませんよ────?」

「────それに、彼らが名指ししたのは(マリーベル)です、カリーヌ────」

 「────それじゃアンタは確実に殺されるだけじゃない?! そんなのは嫌よ!」

 

 カリーヌがいつものマセたお嬢様口調ではなく、荒々しいものに変わって放たれた言葉に誰もが自己の耳を疑った

 

「カリーヌ、貴方まさか────」

 「────勘違いしないでよ! “英雄皇女”が討たれたら、反乱分子が一気に勢いづいて経済が傾くからよ! そうなったら私やギネヴィア姉さまの努力が水の泡なんて御免だからよ?!」

 

「「「「…………………………」」」」

 

 カリーヌの照れ隠しにも似た叫びに、黙り込む中でノネットは気まずそうに苦笑いを浮かべる。

 

「あー、もしかしてカリーヌ皇女殿下は知らないかな?」

 

「……何をです、エニアグラム卿?」

 

「シミュレーター上のマリーベル皇女殿下は、オールA+だってことを。」

 

 「「「「え。」」」」

 

 皆が固まる中でマリーベルはカリーヌの手から作動キーに手を伸ばす。

 

「テロリスト共が名指しをした私が出れば、勿論彼らの狙いは私に定められるでしょう。」

 

 ググググ。

 

「……実戦経験はおありで?」

 

「貴方と一緒で無いわ。」

 

 ググググ。

 

「死ぬわ。 被害も出るわ。」

 

「エニアグラム卿が出ても“そうではない”、とも限らないでしょう?」

 

「……何で?」

 

「だって、ここには腹違いとはいえ兄妹が居るんですもの。」

 

「はえ?」

 

 ここでようやく唖然とするカリーヌの手に合った作動キーをマリーベルは掴み取ったそうな。

 

 

 ……

 …

 

『ランスロットだ!』

『でもなんだか形が違くないか?』

『新型だ! そうに違いない!』

 

 競技場内に、新たに姿を表せた紫と白のカラーリングをしたヴィンセントの登場と手首と腰に備えられているスラッシュハーケンで警備騎士団の機体を撃破していく活躍に、虚脱状態だった会場の観客たちの胸は高鳴り初め、彼らはその出現した機体(きたい)期待(きたい)を寄せた。*1

 

『あれは、グランベリーにデータ収集の為に配属されたヴィンセント? という事は味方でしょうか?』

『識別反応は確かに“友軍”と出ていますが、いったい誰が────?』

『────もしかして、ジヴォン卿────?』

『────いえ、お嬢様(オルドリン)はあんなに上手くハーケンを使えません!』

 

 ヴィンセントの活躍に注目が行ったことで、マリーカとトトのプライウェンは態勢を整える為に盾と銃器を拾い物陰に潜むながらドライバーインストールを試みていた。

 

「もしや……噂の“英雄皇女”か?」

 

 ヴィンセントの現れ方と、行動にアルハヌスは騎乗者をマリーベルと思い込んだ。

 それは単純に、マリーベルは皇族が一度は受けるナイトメアの訓練を受ける前に皇位継承権をはく奪されて、軍学校のシミュレーターでマリーベルが叩き出した前代未聞の操縦評価(オールA+)が所以である。

 

 少なくとも、マリーベルは『オールS』の化け物スザクに記録を更新されるまでは公式トップランカーだった。

 

「(だがおかしい。 マリーベル皇女ほどの者ならば、声明を出して注目を引かせてから……何かの策か? それとももしやと思うが、交渉の為にまず我々にプレッシャーを与えるつもりか?)」

 

 ヴィンセントは巧みに四つのスラッシュハーケンを使うだけでなく、ナイトポリスや警備用のグラスゴーのランスや銃撃を避けながら地面の競技用の武器などを拾って、投擲して応戦していた。

 

「(やむを得まい────)────エコー隊、ファイヤーボールズと共に捕獲したグリンダ騎士団を────」

『────こ、こちらエコー隊! ブリタニアの潜入部隊と思われる者たちに襲撃を受けている! 人質を再度────』

「────(早いな、ブリタニア?!) ならばベータ、デルタ隊と共にコソコソするプライウェンを人質に取れ! チャーリー隊、エコー隊の援護に回れ! この際ファイヤーボールズなどどうでもいい!」

 

 そうアルハルヌスが通信を送ると、マリーカとトトが居る場所にタレイランの翼機が一気に猛攻を繰り出していく。

 

 別の場所ではマリーベルたちが展示品ホールに到着する前にその場から“独断行動”を装って競技場の状況を見に来たアンジュとマーヤを見たソキアとファイヤーボールズたちが拘束されていない足で警備騎士団に痛い一撃(金的攻撃)を食らわせてアンジュたちの方向に走りながら『助けてにゃー! (^≧▽≦^)』と叫んだ。

 

 世間はそれを『完全なとばっちり』とも呼ぶ。

 

 ダダダダダダダダダダ!

 

「にゃはー! アンたん凄いにゃー!」

 

「叫ばない! 気が散る!」

 

「はい、拘束切れましたよ皆さん。」

 

「サンキュー、綺麗な金色の姉ちゃん!」

 

 アンジュが折り畳み式サブマシンガンで警備騎士団と応戦し、マーヤがナイフでソキアやファイヤーボールズの拘束具を切っていきながらヴィンセントを横目で見ていた。

 

「(この動き方……やはり神様ですね。 私たちが“新型機を強奪できるかな?”と悩んでいたのに、既にそれをなされているとは……流石です!)」

 

「(うっわ……あの変態的な機動、見ただけでまたゲロ吐きそう……)」

 

 そして弾倉を交換するアンジュはヴィンセントの動きに嫌と叫ぶほど見覚えがあることに、少々青ざめながら競技場から他の者たちを会場内へと保護しながらマーヤと共に移動していく。

 

 その間、当のヴィンセントに騎乗していた『とある少年』は────

 

 「何か覚えている原作より敵機がクッソ多いな、オイ?!」

 

 ────前世で(と思われる)『オズ』のSIDE:オルドリンを読んだ際に描写された状況よりはるかに敵が多いことに、愚痴を叫びながらも不思議な高揚感に浸っていた。

 

 

 


 

 

 基本装備だけでも敵を圧倒できるこの反応速度に機動力。

 量産化の先行試作機だが、腐ってもランスロットと言う事か?

 道理で原作アニメの冒頭で、ルルーシュたちが勝てなかった訳だよ、想像以上だ。

 

 まるで乗り慣れた自転車気分のようなまま俺はヴィンセントを操り、銃撃を躱す勢いのまま地面に落ちていた競技用の剣を蹴ると予想通りにそれが敵をくし刺しにする。

 

 こんな物(ヴィンセント)の本家ランスロットから、よく逃げきれたな俺────?

 

『────そこまでだ、新型。 グリンダ騎士団の者たちを見殺しにしたく無ければ、ナイトメアから降りたまえ。』

 

 スタジアムのスピーカーからアルハヌスの声が出るとスバルは周りを見渡し、これ見よがしにナイトメアのランスに即死一歩手前の攻撃を加えられたグリンダ騎士団用のプライウェンが目に入る。

 

 あ。

 そういや『オズ』で褐色犬耳眼鏡っ子メイドの属性盛り合わせ少女(トト)の貴重な『団服が電磁ランスの所為で殆んど破れて無くなる』からの『エロい人質シーン』だったわ。

 

 忘れてたよ、F〇ck(クソッタレが)

 

『どうした、()()()()()? ナイトメアから降りるのか? 降りないのか?』

 

 え? 俺もしかして『テロは三親等ならぬ全員抹消すべき皇女』と間違われている?

 

 『答えは否である、アレクセイ・アーザル・アルハヌス!』

 

 少女の声がすると、人質に取られていたプライウェンの周りにいた警備用グラスゴーが上空から来たスラッシュハーケンによって撃破され、今度は赤いランスロットが競技場に降り立って誇らしいポーズを決める。

 

『なぜならば、私たちグリンダ騎士団はテロに対する剣であり! 如何なる犠牲を払おうともテロをこの世から駆逐するために存在しているからです! さぁ懺悔の時間ですよ、テロリストども!』

 

 マリーベルの演説に観客から燻っていた応援と期待が波のように押し寄せ、会場内が彼らの声に満たされる。

 

 俺はと言うと、何故だか『オズ』にアニメはない筈なのにマリーベルの声を聞いていたら『少し成長した天真爛漫で純粋とナニカな二重人格を持つゾルディッ〇』を思い出すと言いたい。*2

 

『ヴィンセントに乗っているのは誰ですか? 将軍……ではないですね? それとも新たな団員────?』

 

 ────マリーベルが直通通信を繋ぎ、画像と共に送る。

 

 どうしよう。

 

 それ以外、何を言えと?

 幸いなのは俺のほうはカメラにテープを貼ったからこっち側は彼女に見えない────ムオッホッホッホッホッホッホォォォォォォォォォォ?!♡

 

 マリーベルの団服はプライウェン搭乗時に攻撃を受けたからかボロボロで、そのおかげでたわわな胸がポロリと零れそう零れそう♡────って違うだろうが、俺?!

 

『『『『英雄皇女、覚悟────!』』』』

『『『『新型機でも、畳みかければ────!』』』』

 

 ────グシャ!

 

 ランスロット・トライアルを四方から攻撃しようとしたタレイランの翼機をヴィンセントのスラッシュハーケンで撃墜するとほぼ同時にランスロット・トライアルもスラッシュハーケンで上空からダイブしてきた可変型のグラスゴーを撃破する。

 

 いかん、思わず機体を動かしてしまった

 

『────やはり、まずはテロの鎮圧が先ですね! 新しい団員は良い志をお持ちのようですね!』

 

 いや、俺は団員じゃないだけど……

 

 まぁ良いか!

 

 

 ……

 …

 

「そんな……そんな馬鹿な?!」

「外の部隊は何をしている?!」

「ペンドラゴンの駐留軍と未だに交戦中です!」

こちら(スタジアム)に戦力を呼び寄せすぎたか!」

()()()()()なんだぞ?! たった二機に……たった二機に!」

 

 管制室にいたタレイランの翼の団員たちはヴィンセントとランスロット・トライアルによって次々と味方が撃破されるのを見て慌て、アルハヌスは放心しそうになりながら背後へと体をよろけさせる。

 

「……(我々は何を見せられているのだ?)」

 

 ランスロット・トライアルがランスで前方の敵を薙ぎ払い、その隙に後方から突撃する機体をヴィンセントが拾い上げたコイルガンで撃ち、そのヴィンセントの背後に忍び寄った警備用グラスゴーをランスロット・トライアルがランスを投げて撃破し、ヴィンセントがコイルガンを投げ渡して二機は弾倉が空になるまで撃っては次の武装や戦術に移る。

 

『『『『うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!』』』』

 

 競技場の二機はお互いの死角を補うように動き、地面に散らばった警備と競技用の武装や残骸を使って警備用グラスゴーやナイトポリスの識別信号が『LOST』となり次々と沈黙していくその様は、一種の『芸術』と呼べるもので観客たちは目の前で行われる実戦に興奮を感じていた。

 

 アルハヌスたち(タレイランの翼)にとっては悪夢でしかなかったが。

 

「だ、脱出だ! 作戦は失敗だ! 競技場から撤退だ! 隔壁を使って観衆たちを閉じ込め、我々の時間稼ぎに使う! 外部の部隊にも連絡を付けろ! 生き延びれば再戦のチャンスはあるのだ!」

 

 こうしてタレイランの翼は、目論んだ『英雄皇女の抹殺』を諦め、事前に確保していた逃走ルートを使ってスタジアムから脱出しようと準備を始める。

 

 これにより、スタジアムのビル周りに陣を張っていたタレイランの翼機が攻勢に出てオルドリンはプライウェンを限界まで使った後に管制室に一人で突入するが、既にもぬけの殻だったことに一瞬驚きながらも首謀者(アルハヌス)たちが使ったと思われる通路を“首謀者どもを見逃すわけにはいかない”と考えながらそのまま駆け出す。

 

 競技場では『流石ランスロットの技術系統の機体』とも言えるような、目まぐるしい動きと活躍でタレイランの翼機は一掃されその場が終息し始めたときに観客たちは違和感に気付き、どよめきが走る。

 

『あれ?』

『え?』

『あの機体は?』

 

 その違和感とは、マリーベル皇女殿下のフォローをしていたもう一つの機体が()()()()()()姿()()()()()()()ことだった。

 

 『……………………もしかして、“リーグ選手の()()だった”……とか?』

 

 この最後の言葉を誰かがボヤいたことで、後に『マリーベル皇女殿下には幽霊でさえも味方する』という噂が流れることとなるが、それは少し後の話である。

 

 ………

 ……

 …

 

 「あれ? この通路の構造が────?」

 「────おそらく隔壁が下ろされたのだろう────」

 「────第一皇子殿下のチームも襲撃に────」

「────どうしたです~?」

 

 スタジアムがタレイランの翼に占拠される前に席を外したライラに付いたSPたちはインカムを通して他グループの様子を聞きながら皇族であるライラを避難させようとして、会場の隔壁が下ろされたことで構造が変わったことに戸惑い、そこに(態度がとても)皇族らしくないライラがキョトンとした顔で尋ねる。

 

「いえ、少々予期せぬ事態がおきまして────」

「────もしかして迷ったです?」

 

「いえ、ただ隔壁が下ろされて構造が変わっているだけです。」

 

 「じゃあやっぱり迷ったです!」

 

「「「……」」」

 

 不安どころか楽しそうなライラを見てSPたちは何とも言えない心境に────

 

『────あれは?!』

『VIP護衛用のSPだ!』

『撃て、撃て!』

 

「姫様────」

「────うぴゃ。」

 

 脱出するタレイランの翼の者たちにSPたちが発見されると、一人はライラの肩をつかんで無理やり伏せさせると同時に発砲音が次々と周りから響く。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 パァン!

 

「グワァ?!」

 

 パァン!

 

 タレイランの翼の一味らしき警備騎士の肩が撃ち抜かれ、隠れていた壁際から身を乗り出すとすかさず二発目が彼の脳天に当たり、中身が頭蓋骨の破片と共に飛び散る。

 

「……クリア。」

「次の角に行くわよ。」

 

「うぷ……アンたんたち、平気過g────むぎゅ。」

「叫ばない、位置がバレる。」

「ええ、もうそろそろ会場の外に出てもおかしくない距離よ。」

 

 この場面を平然と銃を構えながら移動するアンジュとマーヤに青ざめていたソキアが叫びそうになる前に、二人がソキアの口を塞ぐ。

 

「うわぁ、ソキアが手玉に取られている。」

「珍しい景色だぜ。」

「これはこれで新鮮だな。」

 

 流れ的にソキアたちに付いて行くしかなかったファイヤーボールズがこの様子を見て、ヒソヒソと話しているときに少し離れた場所から荒々しい声が聞こえてくる。

 

『近づくなぁぁぁぁ! 近づけば撃つぞぉぉぉ!』

 

 ……

 …

 

 「はーなーすーでーすー!」

 

 ビチビチビチビチビチビチビチ!!!

 

 スタジアムの外側にあるレストランのオープンテラスに、SPに追い込まれたからかボロボロで流血しながら今にも倒れそうな警備騎士団員が陸に釣り上げられた魚のようにジタバタと暴れるライラの胴体に腕を回し、彼女を人質に取っていた。

 

「もう逃げ場はない!」

「銃を捨てて、大人しく子供を放せ────!」

 「────放した瞬間、貴様らに銃殺されるだろうがぁぁぁぁぁ?!

 

「「「ッ。」」」

 

 「あんにゃろ、子供を────!」

 「ゲスだな────」

 「「────ファ────?!」」

「「「「────え?」」」」

 

 近くの物陰に映ってその場を目撃したソキアやファイヤーボールズのジェイミーが怒りをあらわにすると、ライラを見たアンジュとマーヤから今までの活躍から想像ができない素っ頓狂な大声を出して注目を集める。

 

 「バグッ!」

 

 勿論この中には追い込まれた警備騎士団員も含まれ、このことを見たライラは自分を掴んでいた者の腕を力いっぱいに噛み付いた。

 

 イダァァァァ?!」

 

 パパパパーン!!!

 

 警備騎士団員はライラを本能的に振りほどき、二人の体が離れると彼は即座にハチの巣にされた。

 

「ぁ────」

 

 振りほどかれたライラの体は宙を舞い、そのままオープンテラスのレールの外に投げ出されていた。

 

 その場に近かったSPたちが動き出すより先に、長い金色の髪をなびかせた誰かがすでに落ちていくライラの元へと走っていた。

 

 その者は一心不乱に全力で走ったため履いていたパンプスは無理やり脱ぎ捨てられ────

 

だぁぁぁぁぁ?! もおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ────そして二人目が上記を叫びながら動き出し、持っていたモノから釣り糸のようなモノを出す。

 

 

 

 マーヤは気づけば、すでに落ちていくライラへと走っていた。

 

 彼女はもしかすると落ちていくライラを救えるかもしれないことと、シンジュクゲットーでかつて偽善から養っていた孤児たちを無残にも亡くしたことをどこかで連想したのかもしれない。

 あるいは、『SPが付くほどのブリタニア人』ということから動いたのかもしれない。

 

 ただ一つだけ言えることは最近の彼女にしては珍しく、考えもないまま行動に出たと言う事である。

 

 ライラへと手を伸ばしたものの『届かない』と悟った彼女は躊躇せずに後を追い、ライラの体に左腕を回して右腕で飛び越えたレールを掴み取ろうとして振り返ったところで気付く。

 

『このままでは二人とも助からない』、と。

 

 地球でも、コードギアスの世界でも物体の落下速度────いわゆる『重力加速度』は自然の力の中ではかなり強固で『物体はすべて惑星の中心に引かれる』と言われる世の理の一つである。

 

 ガシッ!

 

「キャァァァァァァッチ!」

 

 ギリギリギリギリッ!

 

 落ちるマーヤ(と彼女の掴んだライラ)の腕をガッシリとアンジュは右手で掴み、左手のスーツケースから伸びていたワイヤーアタッチメントは、オープンテラスに固定設置された一つのテーブル脚に回され軋む音を出していた。

 

 「重! 二人ともおっも!」

 

 体の筋肉を力ませ、アンジュの顔は赤くなりながらも上記の言葉を出し────

 

「失礼ね、これでもダイエット管理しているのよ?」

 

 ────マーヤはマイペースに返しをして────

 

「はぇ~……」

 

 ブチ。

 

 ────ライラが目を点にさせながら自分が陥っていた宙ぶらりん状態に気が抜けるような息を出すと不穏な音が出て三人は落下を再開する。

 

「ぴゃああああああああああ?!」

 

 ライラは叫んだ。

 

「きゃああああああああああ?!」

 

 マーヤも叫んだ。

 

うぎゃああああああああああああああああああ?! (ってあれ? 落下はそれほど怖くないわね? ……怖いのはマーヤたちの安否? それに今のは海? なんで????)」

 

 アンジュはほかの二人とは少々違う叫びをし、一周回って冷静である部分がその時に感じた小さな違和感にハテナマークを浮かべて、一瞬だけ目の前に広がる海の景色に更なるハテナマークを出す。

 

 ガシャーン!!!

 

 高層ビルの巨大な窓ガラスが割れて中からヴィンセントが落ちる三人を両手でキャッチし、機体の操縦者であるスバルは目を見開いて思わず叫んだ。

 

なんでここにライブラがおんねん?! ウッ?! 胃、胃が…………』、と。

*1
アキト:上手いな。

*2
注:ドラマCDから中の人繋がりです




(;´・ω・`) ←何故かサブタイトル元ネタの中の人が、クレヨンしんちゃんのとあるエピソードで超ドマイナーな役で出てきたことを思い出した作者の心境
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