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『よし!』
『上手くいったな!』
『ブラックリベリオン後の混乱がまだ続いているからな。 コーネリアや純血派が仕切っていた頃と比べりゃ、要所の警備体制なんて無いようなモノさ!』
『ああ。 それに、団服を着ながら“元黒の騎士団”って言えば人手はいくらでも集まるし、協力や融通もして貰えるからな! “黒の騎士団様万々歳”だぜ!』
『全くだ!』
『『『『『ハハハハハ!』』』』』
無頼に乗っていた者たちは
彼らは先日のような、そこらにいた黒の騎士団の末端………………でも何でもない、ブラックリベリオン時に政庁へと黒の騎士団が進軍した時に『協力者』として合流して騒ぎに便乗したただの野次馬たちだった。
彼らはゼロがいなくなり、連合軍の統率が乱れた際に反撃をしてきたブリタニア軍の手からほかの者たちのように制服を脱ぎ捨てる間もないままほかの者たちを犠牲にして逃れ、『機を窺っている』と称している『元黒の騎士団』を小間使いのように使っては好き放題していた。
そんな彼らが今回のように大きく出たのは『兵装が隠された隠れ家』を見つけ、それらをどう活用するか悩んで手をこまねいている内に先日の『
それだけ、彼らからすれば『ナイトメア』というモノは脅威にも
たとえその『勇気』が実のところ、『蛮勇』だったとしても。
『隊長!』
『おい、お前だ! 呼ばれているぞ!』
『ん? おお、そうだったな。 チャンネルを変えて……どうした?』
『手筈通りに、生徒どもを生徒会室に閉じ込めました!』
『よし! お前たちは見張れ!』
『了解です!』
『しっかし、新しい総督の“カレーライス”だが“カラス”だが知らねぇが……保安局に重装備させるのを避けてくれてありがてぇが早いとこ、身代金なり頂いて軍が出てくる前にずらかろうぜ!』
『『『『おう!』』』』
………
……
…
「チッ!」
彼は『黒の騎士団が大きな作戦の為に人員を募集している』と聞いてはリスクを承知の上で合流し、今では懐かしく感じる無頼と本物の団服を着た者たちを見たときに一瞬安心したのだが────
「(────まさか末端以下の、ブラックリベリオン時に急遽できた『連合軍』の生き残りだったとは! しかも先日の奴らが起こした事件の所為で、何とかなだめようとしていたのがパァになった! 勝手に知らない奴らにも声をかけて事を大きくしてしまい、もう後に引けなくなった!) ええい! お前ら、気合入れてしっかり見張れよ?!」
「「「「応!」」」」
ギリッ。
この様子を見ていたレオンハルトは歯を噛み締める。
「だめですよ、レオン。」
今にも飛び出そうなそんな彼を、マリーベルが念を押す。
「わかっています! 生徒を盾に取っていなければ────!」
「────マリー、政庁はどう動くと思う?」
「……余裕がないわ。 でも、動くのは『今』ではないです。」
もしこれがまだカラレス将軍が以前から続けていた政策ならば、『交渉』も可能だっただろう。
だがそれは今朝、マリーベルたちが見聞きしたギネヴィアとカラレス将軍のやり取りで
政庁にとって『交渉』は
「(先だって、カラレス将軍は強硬路線をギネヴィアお姉さまに念を押されたばかり……よって『交渉』と言うカードは実質上、封印されている。 『要求に応じない』とテロリストどもが知れば、どんな行動を起こすかわからない! 最悪、ホテルジャック時のように……どうすれば……)」
……
…
トウキョウの政庁内ではG1ベースとサザーランド、そしてグリンダ騎士団の新型機が隊列を組んで
『もぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! なんでうちの騎士団長のピンチかもしれないのに“待機”なんだにゃー?!』
ソキアは専用機となったパンケーキ型頭部のアレクサンダ・スカイアイ……によく似た、『サザーランド・アイ』の中で団服に着替えたまま胡坐をかき、盛大な愚痴をこぼしていた。
『サザーランド・アイ』とは電子戦、索敵、指揮機能の向上などを図った実験機であり、『コストダウンされた準ドルイドシステム』────正式名を『ウァテスシステム』と呼ばれる新たな機能と量産試作型VARISを搭載した、『後方支援用のナイトメア』である。
『狼狽えるなシェルパ卿、みっともない!』
『ゲッ。 通信、もしかしてオンだったにゃ?』
『当たり前じゃい! いつでも出撃できるようにな!』
『と言ってもエリア11での軍団運用指揮権がグリンダ騎士団にはないうえに、この地で機密情報満載の機体を迂闊に動かすわけにもいかないですよソキア。』
ゼットランドに乗りながら巨大サイズのおにぎり(昆布入り)を頬張りながらティンクが正論を並べる。
『そんなのわかっているにゃー! 私が言いたいのは、“なんで政庁の対応が遅いのかにゃー”! だ!』
「(確かに、シェルパ卿の言う通りだ。 カラレス、一体どうしたというのだ?!)」
サザーランド・スナイパー内で待機していたシュバルツァー将軍は表面上、冷静に見えていたが内心ではかなり焦っていた。
マリーベルたちの身の安全も理由の一つだが、実はシュバルツァー将軍はカラレス将軍のことを以前から知っていた。
と言っても、噂される、“皇族への忠義も厚い軍人でありながらブリタニアの市民だけでなく原住民の一般人たちの損害も配慮した作戦を早急にくり出す”、近年では『意外な軍人』としてのカラレス将軍だが。
「(何故だ? 何故このタイミングで……私は、一体どうすれば……)」
そしてそのカラレス将軍は今朝の説教で傷んだ膝のままヨロヨロと、頭を抱えるのを必死に我慢しながらギネヴィアとの通信を開いていた。
『帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが常々、アッシュフォード学園内での軍事行動を避けよと黙示している。』
「で、ですがマリーベル皇女殿下が────」
『────マリーのことを伝えても、その方針は変わらないそうだ。』
「(しかも、
『カラレス将軍、気を遣わずとも良い。 恐らく、“この世は所詮、弱肉強食”と言う事なのでしょう。 ですがあくまでも“避けよ”と言う事。 いざとなれば大兵力を持って包囲殲滅すれば良いだけのことです。』
「(そう簡単であれば、苦労は……)」
カラレスは頭痛をできるだけ無視しながら、悶々と思考を張り巡らせた。
…………
………
……
…
「ハァァァァァァ……」
黒の騎士団(仮)の一人、が窮屈で元となったグラスゴーの『居住性に難あり』を受け継いだ無頼から出ては一服していた。
「思ったより暇だな~……ブリタニア貴族の学校から金取るって聞いたのに────」
「────お~い!」
「ん?! 誰だ?! ……ってなんだ、仲間かよ。」
無頼のパイロットは突然聞こえてきた声に煙草を吐き捨てて、サブマシンガンを構えた先にいた黒の騎士団の団服を着た少女が歩いてきていたのを見てはホッとする。
「交替の時間です。 今のうちに用を────」
「(────うお?! デケェ!)」
少女は言葉を続けるが、無頼のパイロットはそれらに耳を貸すどころか団服の下からでも存在を主張する立派な双丘に集中していた。
「(あれ? こんなやつ、居たっけ────?)」
「────あの? 大丈夫ですか?」
「う……あ、ああ。」
少女の心配そうにする仕草と上目遣いに、黒の騎士団(仮)は戸惑いながら生返事を返す。
「それと、起動キーのパスはまだ“11922960”でしょうか?」
「あ、ああそうだ。 まだ
「────うん。 やっぱ無理────」
「────え────?」
ゴッ!
「────ガッ────?!」
ドッ!
「────おひぃ────?!」
────ヒュン、ドスン!
黒の騎士団(仮)のパイロットは表情が視線と同じ、下品なモノへと変わるとさっきまでよそよそしくしていた少女が纏う雰囲気が一気に『イラつき』と『激怒』へと変わり、彼女はアッパー気味の掌打を食らわせてパイロットを仰け反りにさせてから股間を力一杯に蹴り上げ、パイロットの体がくの字になる勢いを利用した一本背負いをする。
「ブクブクブクブクブクブクブク……」
頭部と股間への刺激、そして力の入った投げで地面に叩きつけられたパイロットは白目をむきながら意識を失う。
「聞こえていないだろうけど……命があるだけマシと思いな、このゲス野郎。」
意識だけでなく、
「ユキヤ、聞こえている? クラブハウスの様子は?」
『フゥ~ン? カレンさんって、他の皆なんかよりそっちを優先するんだ?』
「茶化さないで。 スバルが認めている皆なら、心配なんて不要でしょ? 特にこんな雑な相手なんかに。」
『アハハハハハ! そうだね! いや~、一本取られたね。 それとクラブハウスは、金髪で“会長”って呼ばれた人が相手の一人と言い合いをしているよ?』
「(うわぁ……それって絶対────)」
……
…
「────言っておくけどね?! うちってあまりお金ないからね────?!」
「────あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛?! 嘘をつくなよ!」
「嘘でこんなことを言うワケないでしょうが?!」
クラブハウスでは、何を要求すべきか揉めていた黒の騎士団(仮)の声を聞いたミレイが逆ギレ気味に叫び、彼らの注目を集めながら言い合い議論をしていた。
「ちょっと会長────?!」
「────男は座れ────!」
「────わぁぁぁ?!」
リヴァルはおっかなビックリなまま立ち上がるが、黒の騎士団(仮)が向けた銃口の前に尻もちをついてしまう。
「マリー、まだなの? このままだと────」
「────ダメです、オルドリン。 現状は極めて不利です。 無為に無関係な者たちを危険にさらすわけにはいきません。」
その隙を狙い、マリーベルたちはひそひそ話で作戦を立て始める。
「ですが、カワグチ湖では『犠牲者が出た』と────」
「────いよいよとなれば、私が皇女と名乗り出て陽動を行います。 その隙に、レオンとオズが付け込めばまだやりようはありますわ。」
そしてその作戦とは、皮肉にも原作でユーフェミアがホテルジャック事件で取った行動と酷似していた。
「やめてよ!
「────ですが、外的干渉なしに現状を打開するには多少の
「────“あまり金がない”ってどういうことだよ────?!」
「────そのまんまの意味よ────!」
「────ブリタニアの貴族だろうが────?!」
「────だったら何よ────?!」
「────だったらもっとこう……なんかあるだろ────?!」
「────うちはね! “
「………………………………………………ふ、古?」
そんな中、ミレイは黒の騎士団(仮)に負けない態度と肺活量でどんどんとヒートアップしていく言い合いをしてはとうとう勝ってしまう。
「(よっし! 時々生徒会の手伝いに来たスヴェンに学園がらみの書類を見て愚痴っていた『コトワザ』ってヤツが効いているみたいね♪」」
ミレイは内心ドキドキしながらもガッツポーズを決めそうになる。
「って、なんだそれ?」
「さぁ?」
「誰か知っているか?」
「暗号か、合言葉か?」
「さ、さぁ……」
「(狼狽えなさい、狼狽えなさい♡ ムフフフ────♡)」
「────ええええい! 御託はもういい!」
ガシャコ!
「もとはと言えば、その口で貴様らブリタニアは、富士の
一人の黒の騎士団(仮)が銃を構えてミレイに向けると生徒たちの間にどよめきが走るだけでなく、様々な叫びが出る。
「きゃああああ?!」
「かかかか会長ぉぉぉぉぉ?!」
「スザクはなんでこんな時にいないんだよぉぉぉぉぉぉ?!」
ヒュ! スタ。
「な────?!」
「上から────?」
「────流石にそれは見過ごせんな。」
カチャ。
「う────?!」
「────何かをするために、武器を手に取るのは結構だが……武器を向ける相手をはき違えるな。」
ミレイへ銃を構えていた黒の騎士団(仮)の背後に、天井にあるシャンデリアから飛び降りてきた女子学生は手に持っていた日本刀の柄頭を押し付ける。
「討たれる覚悟が無いのなら、銃を下ろせ。」
「だ────!」
────ズバッ!
銃を構えたまま振り返る黒の騎士団(仮)は視界の端で見た動きを本能的に追うと、肘から先が亡くなった己の腕を見る。
「……は────?」
────グッ! ブシャァァァァ────
「────うぎゃぁぁぁぁぁぁ?!」
黒の騎士団(仮)は胸倉を強引に引かれてミレイから遠ざけられると、まるで止まった時間が再び動き出したかのように転ぶ彼の腕から新血が出る。
「な、何をすr────?!」
「────何を? 忘れたか? 確か“撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ”だったな────?」
「────ぶっ殺す────!」
「────『黒の騎士団』の看板はお前たち荷が重すぎる。 より大きなモノの威光を使い、個人では何もできない……どこにでもいるテロリスト────いや、“俗物”だな。」
黒の騎士団(仮)────テロリストたちは泣き叫ぶ仲間を無視して女子学生に銃を向ける。
「「「「「え?! ええええええええ?!」」」」」
「「「「なんで?! なんで?! なんで?!」」」」
アッシュフォードの生徒たちが示した反応にテロリストたちの注意が逸れそうになるが、やはり
「て、テメェ誰だ?!」
「『毒島冴子』だ。」
「は?」
「誰?」
「いや、どっかで聞いたような……」
「あれじゃね? “見かけたら保安局まで”の?」
「(やはり知らないか。) 『桐原泰三の孫』、と言い換えればわかるか?」
刀を持った女子学生────毒島の言葉に今度はテロリストたちに動揺が走る。
「え?!」
「『あの』?!」
「生きていたのか?!」
「
「(──── “本当に黒の騎士団”ですって? それはどう────いえ、今は気を取られているすきに生徒たちの安全を────!)」
「(────なるほど。 よく見ればユーフェミアとどことなく似ているな。) 私は
「「「「────『とある人物』────?」」」」
「────ああ……“正義の味方を騙る賊の排除”、をな────」
────ドォォォォン!
以前に『クラブハウスは小型要塞化されている』*1とスヴェンは言ったが、流石にナイトメア相手は想定されていない横壁はショルダータックルで割り込んで強引に入ってくる無頼の前で脆く崩れていく。
「な、ナイトm────?!」
テロリストたちは呆気にとられ、何人かは先ほどのリヴァルのように腰を抜かす。
ドガガガガガガガ!
無頼に取り付けられた対人機銃が火を噴き、テロリストたちの体が爆散していく。
「さて、狩りの……いや、『
毒島はこの光景を前に、上記の言葉を涼しく口にしながら耳に取り付けていたインカムから入ってくる通信を聞きながら行動に出る。
カリ ノ ジカンダ。