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「すまん、もう一度お願いできるか?」
今、俺は聞き間違いをしたのだろうか?
そう思いながら、もこもこジャケットと帽子を着込んだ姿が様になっていたミス・エックスにもう一度問いかける。
尚なぜ彼女の横にいるかと言うと、何故か最初は余所余所しく一定の距離を取っていたミス・エックスが
内容としては主にオルフェウスがどれだけ彼女に冷たい態度をとるとかなんとかで、アンジュはゲッソリしているが。
「グリンダ騎士団は朱禁城から西へと『紅巾党狩り』に出撃したわ。」
「その前だ。」
「ああ。 だから、ブリタニアと中華連邦の密談は終わってアヴァロンはそのまま太平洋を横断しているわ。」
どうやら聞き間違いではなかったらしい。
……え? どゆこと?
『オズ』でこのタイミングでのグリンダ騎士団の任務は『腹黒虚無感宰相の護衛』だったはず。
つまりオルフェウスの『“シュナイゼル・エル・ブリタニアァァァァ!”』からオルドリンの“ピースマークのオズ!”で始まった『シュナイゼル暗殺未遂』が未遂に終わったと言う事か?
「ミス・エックス、
「なんで? 今はあの冷徹男に通信を送りたくないのだけれど? そもそも“依頼却下なんて”どういう神経しているのよ……私とネーハの扱いなんて雲泥の差ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ。」
ええええええええ。うそーん。
何でオルフェウスが『シュナイゼルの暗殺依頼の却下』をするのでゴザル?
まさか
……いや、考えろ。
オルフェウスは本来、R2で会う筈の彼女と今会っている。
しかもアニメ一期で死亡したはずのダールトン付きで。
ダールトン生存は別にして、コーネリアと彼はかなり優秀だ。 何せコーネリアなんかは、単独でギアス嚮団の本拠地にたどり着いてV.V.と出会っている。
時間はかかったが。
そんな彼女が、恋人のエウリアを殺されたオルフェウスと出会っているとすると……
もしかしてもしかするとオルフェウスは『シュナイゼル暗殺』なんてハイリスクな依頼なんかより、もっと確実で長年探している復讐相手を優先したのか?
「ミス・エックス、
「………………アヴァロンに乗って太平洋を渡っているから、ニューロンドンに帰るんじゃないかしら?」
もしかしていたよコンチクショウめ。
と言うことは?
原作の『オズ』と違って紅巾党はまだいて? グリンダ騎士団が“狩りの時間だze!”な感じで中華連邦を動いていると?
なんでじゃい。
うわぁぁぁぁぁぁ、これはマズい。 超マズい。
下手したらアマルガムとグリンダ騎士団が鉢合わせてしまうかもしれん。
誰のせいだよ?! 俺だよチクショウ!
だってまさか、オルフェウスがピースマークエージェントとしての依頼を蹴って復讐を優先するなんて思わないじゃん?! そしてまさか毒島たちに『クララを生け捕りにしてギアス嚮団の場所をマオに入手してもらって、レイラに指揮執って貰って嚮団の場所の索敵と確認をしておいてくれ』と言った矢先にこんな状況。なんていうのこれ美味しいの、ダレカヘルプミープリーズ。
「あの宰相の動きまで……流石です。」
「いやここまで来ると普通に不気味なんだけれど……」
後ろの席にいるマーヤとアンジュが何か言ったような気がするが気の所為だ。 気のせいにしてそれよりもまずはアマルガムの皆だ。
「マーヤ、アンジュ。 レイラたちとの連絡手段は持っているか?」
「え?」
「一応ありますが────?」
「────索敵の件で連絡したい。」
人手不足である筈のグリンダ騎士団は何とかなるかもしれないが、
どうか、グランベリーと彼女たちが会いませんようにッ!
中華連邦の広大な大地は何もすべてが無人と言うわけではなく、川や湖を中心に村などがぽつぽつと存在する。
ただこれらは規模が小さいのか、あるいは関心が向けられていないため中華連邦の国内地図には載っておらず、人口の把握もされていない。
そこに住む人たちも別に不便に思っているわけでもなく、互いに自分たちで交易をして細々と昔から暮らしているのが殆どだった。
だが中華連邦の経済の傾きと大宦官のいい加減な政治、そして軍人が領主のような振舞いをし始めた途端にまるでタガが外れた暴君のごとき圧政のせいで『地図に載っていない集落』は徐々に数が増えていった。
そんな遊牧民族のように大地を横断する一族の牛や馬などの、今でこそ『財産』とも言い換えられる家畜が突然一斉に騒ぎ出し、一族の子供たちは妙な耳鳴りに顔をしかめる。
騒ぐ家畜たちが逃げ出さない様に手綱を取ったり、泣き出す子供たちをなだめるなどの騒動の中で、一人の青年は空を見上げては困惑するような表情をしながら口が半開きになっていた。
何故なら丁度頭上の大気がまるで水溜まりのようにごく僅かに
「おー! やっぱり見えていないみたいだね!」
「スッゲェな、おい! 見ろよお前ら! 人が小さく見えっぞ!」
「「「「「た、隊長……」」」」」」
「わかる。 わかるぞお前ら……けどアレの方がアシュレイらしくね?」
「「「「「アンタが言うな!」」」」」
マオ(女)は遊牧民風の者たちを上空から映していたスクリーンを見ては興奮し、彼女と同じようにキラキラしていたアシュレイとリョウがアシュラ隊にツッコミを入れられる。
「それでもやはり動物や、幼い子供などには聞こえてしまうみたいですね────」
「────こんなの、想定内よ────」
「────まるで君が全てを作ったような言い方は良くないな、ラクシャータ。」
「はいはい、“ウィルバーもいたから~”……これで満足かしら?」
「「………………………………」」
より後方で立っていたレイラは艦長用のコンソールで画像の拡大化をしながら詳細を見て、彼女の独り言に近くの台に寄りかかっていたラクシャータの言葉にウィルバーがカチンと来ては(メタな)火花が飛び散る。
「アワワワワワ────」
「────あー、皇女殿下様? あれって割と普通だから大丈夫ですよ?」
「あ、そうなんですね。」
「「「「「(順応が早い! ……さすがは皇女殿下様?)」」」」」
「オマエモナー。」
この様子をハラハラと見ていたユーフェミアに、マリエルが気休め(?)の言葉を投げかけると、すぐにホッとするユーフェミアの豹変ぶりにアシュラ隊はビックリしながらも感心(?)する横でピンクちゃんがコロコロと転がる。
レイラたちが今いるのはアマルガムが初めて……否、恐らくブリタニアと言う大国以外での一組織が保有するのは世界初かつ
「う~ん、急造だから仕方がないけれど……このアイデア、地味に凄いわね~。」
「それは私もラクシャータに賛成だな。 まさかあの子がこのような発想
「ウィルと……ラクシャータさんが……」
「ウィルおじさんとラクシャータさん、成長したねぇ~。」
ウィルバーの妻サリアとマリエル・ラビエは今さっき見聞きしたことに、ゆるくなった涙腺にハンカチを添える。
全長230メートルと、190.9メートルのグランベリーより一回り大きかったがラクシャータ、ミルベル夫婦博士、ラビエ親子にアンナ・クレマンと言う人材たちは、ラクシャータにスバルが言い残した『
スバルがこのことを聞いたとき、彼のポーカーフェイスは崩れそうだった。
『浮遊航空艦』だけでもびっくりモノだが、さすがに可視光線や赤外線を含む電磁波などの探知だけでなく、肉眼に対しても『ほぼ不可視』になるような光学迷彩が出来あがってしまっては仕方がないだろう。
尚、この事を聞かされたスバルの内心は『なにその電磁〇彩シス〇ムだかミラー〇ュ・コ〇イドだか良く分からんものは?』、というような疑問でいっぱいだった。
「アリス、
ブリッジにいそうで居なかった毒島の居所を。レイラはソワソワしてスクリーンの方角をチラチラと見るアリスに尋ねる。
「サエコなら、まだ気分が悪いみたい。 回転性めまい用の薬を飲んで寝込んでいるわ。」
「そうですか……(まさかサエコが『アレ』で気分を悪くするなんて、意外でした……)」
「………………」
「どうしたの、サンチア?」
お祭りムード気味のブリッジの様子を静かに真剣な表情をしながら端から見ていたサンチアに、ルクレティアが声をかける。
「ん? ああ。 少し、考えごとをな……“もしあの時アリスの提案に乗っていなかったらこのような光景は見ていないだろう”、と思っただけだ。」
「確かに……私たちがイレギュラーズから抜け出せたのもあれがきっかけでしたわね。」
サンチアの言葉にルクレティアが思い浮かべるのは、今でははるか昔のように感じ取れる記憶。
昔『自由』を求めてマオ(女)が悪ふざけ半分で作った隠語を使ったアリスから、スバルとの接触とC.C.細胞の(ほぼ)解決に死の偽装。
そして────
「────抜け出したのもそうだが……そんな私たちがこのような出来事の一部になるとはな。」
「小さな一歩に見えるかもしれませんが、現在ではブリタニア以外の勢力では初の浮遊航空艦、『リア・ファル』ですものね。」
『リア・ファル』。 レイラたちアマルガムが搭乗している船の名前だった。
『ディーナ・シー』と元ネタを共通しているその名前は、ケルト神話内のダーナ神族にとって『エリンの四秘宝』と呼ばれているアイテムの一つ。
別名『運命の石』、『聖なる石』、『フォールの聖石』と呼ばれてもいる。
或いは、『
────ビー!
「えっと……レーダーに反応?」
リア・ファルのブリッジにアラート音が鳴り、ピリピリとした緊張感が響き渡ると、さっきまでマオ(女)たちの言動に振り回されていたユーフェミアが近くのコンソールに表示された情報を見る。
「ッ! 総員、戦闘配備! ラクシャータさんにミルベルさん、迷彩の出力は?」
「ん~? 安定して……いない?」
「この数値は……何か異物のようなモノが接触している?」
「つまり、甲板に何かが付着して迷彩の邪魔をしている?!」
「だが砂嵐も雨も何もない晴天だぞ?!」
「だったらこのデータは何なのさ?!」
「知っていたら聞いていないだろうが、この露出狂!」
「現実主義者ロマンチスト!」
レイラの問いにラクシャータとウィルバーは次第に焦りがヒートアップしていくと、ブリッジのドアが開いてはホクホクする満足げのダルクが入室する。
「ああああ、良い日向ぼっこ日和だねぇ────!」
「「────
「え?! え?! え?! な、なになになになになになになになになに?!」
鬼の形相で攻めよるラクシャータとウィルバーに、いつもは出来事に動じずマイペースで
「ダルクゥゥゥゥ……」
「これはさすがに駄目だな。」
「『甲板で日向ぼっこ』って……」
「フライパン?! “飛んで火に入る夏の虫”?!」
アリスの呆れ顔、目頭を手で押さえるサンチア、引きつる笑顔のルクレティアに楽しそうなマオ(女)に、レイラたちは複雑な気持ちになった。
「総員、準備を。 戦闘は避けて見ますが、いざとなればいつでも出撃できるようにしてください。」
「やっぱここに来て正解だろお前ら!」
レイラの言葉にキラキラするアシュレイの呑気な声に、冷や汗を流すアシュラ隊は今日も振り回されて苦労していた。
………
……
…
グリンダ騎士団のグランベリーは、先日のシュナイゼルが提案した『紅巾党狩り』のために中華連邦の空を横断していた。
「両舷全速前進ヨーソーロー! キャプテン代理のソキア様のお通りだー!」
そして先日、あれだけ落ち込んでいたソキアは夜会の珍味(というか主に人参やポテトで鳥や動物の形をしたデコレーション)に舌鼓を打ちつつ周りの者たちが珍獣のようにソキアにアレよコレよとちやほやされてご機嫌のまま、翌日は夜会で(ソキアの所為で)疲れたマリーベルやシュバルツァー将軍の代わりにグランベリーのブリッジに立っていた。
艦長の帽子の形をしたタオルをかぶって。
「な、なんでソキアさんが艦長代理を? シュバルツァー将軍に
「────一応『戦略指揮官』の位ではシュバルツァー将軍と
「そしてそのシュバルツァー将軍は頭痛で医務室。 殿下は仮眠中です。」
苦笑いをするトトが同じく苦笑いをしていたエリシアの問いかけに、何とも単純な理由がハイライトの消えたジト目のエリスから返ってくる。
「くぉぉぉら、そこぉぉぉ! 聞こえているぞー!」
『機関部より通信! “ザ・クラッシャーソキア”は浮遊航空艦も
「ちょっとぉぉぉぉぉ?! 前回で私の
『こちら整備班! 頼みますから“新記録の為にゃー”とか
「
「それで“
「「ハァ……」」
グランベリーのブリッジにいた者たちはソキアに振り回されることにため息を出す。
ピッ♪
すると、『レーダーに残影の反応アリ』のアラート音がスピーカーから出る。
「うん? エリシアたん、今の何? もしかして旅客機にゃ?」
「えっと……いま確認中なの……」
「旅客機はないと思いますシェルパ卿。 そのような行き違いがない様に、我々の活動範囲は民間の旅客機が通らない空域の筈です。」
「むむむ! と言うことは敵?!」
「あ、反応消えました。」
「レーダーの機能不良かしら?」
「グランベリーのレーダーも、今日の朝からずっと“アクティブで探信音を発射にゃー”で疲れているんでしょう……元々戦闘の間だけに使用する高出力な代物なのに────」
「────総員、戦闘配備に付いて警戒レベルを上げていつでも戦闘に入れる準備をするにゃ!」
「「「え。」」」
ソキアの力強く、かつハッキリとした命令にトト、エリシア、エリスの三人がポカンとする。
「あ、はい! 伝達します────!」
「────シェルパ卿、一応確認ですが戦闘の警戒ですね────?!」
「────そうよ────!」
「────一応報告の為に、先ほどの反応が根拠でしょうか────?!」
「────それと“何かある”と感じる! 私のウァテスシステムがそう告げている!」
「……つまりは“勘”と言う事ですよね?」
「そうとも言うね、トトちゃん! 文句があるのなら『モフモフの刑』に処するよ?!」
「それで将軍と殿下に迷惑をかけるなんて……」
「まぁ責任はシェルパ卿が取ってくれるでしょう。」
これにより、グランベリーは艦長代理のソキアの『
…………
………
……
…
ブリタニア島のハレースタジアムは『タレイランの翼』のテロとブラックリベリオン前から少々不人気気味になったとは言え、ペンドラゴンの良い金ヅル娯楽施設なので早急な復旧作業が続き、その作業もほとんど終わっていた。
スタジアムの近くにある駐屯地から、仮装パーティなどで見るような仮面とマント(ケープ?)のようなものを付けたとある男が満足げに出ては歩いていた。
そんな少々(?)不気味な男を基地の兵士が奇怪なモノを見るような目で見送るのを、横の兵士が気付いては小声で話しかける。
「おい、そんなにジロジロ見るなよ。 目が合ったらどうする?」
「どこの神話怪物ですか、それ?」
「『機密情報局』というヤツだ。」
「あ、あれが?! ……なんだか思っていたのと違う。」
「同感だ。」
「……ふん。」
兵士たちの小声は仮装パーティ男の耳に届いていたが、鼻で笑いながら気に留めずただ歩く。
「(凡骨どもが。 他人の見た目がどうこう言う前に、その形式の見回りやずぼらな警備体制を見直したらどうだ? まさか帝都近くのここにテロが起きるとは……やはり
仮装パーティ男は自分に向けられる数多の視線の中で、『監視』に似た感じに立ち止まる。
「(この視線、時折EUとユーロ・ブリタニアで感じた同じもの……やはり教団か。 だがまぁいい。 貴様と違って、私の標的抹殺の任はブリタニア帝国から了承を得ているモノだ。 コソコソと、せいぜい犬のように嗅ぎまわっているがいい。 そしてこの私の活躍をせいぜい報告しろ! この、キューエル・ソレイシィの!)」
仮装パーティ男────キューエルはほくそ笑みながら、港方面へと再び歩きだす。
「……」
そんなキューエルの様子を、遠くから双眼鏡で見ていたのは肩まで伸ばした銀髪の
『“ライ”、か?』*1
「(……あれはもしかして、ボクのことか? いや、今は任務に専念しなくては。)」
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
尚余談ですが『ここすき機能』があることに今更ながら気付いた作者でした。 (;´ω`)