小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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少し長めで急展開の次話です!

お読みいただきありがとうございます、楽しんで頂ければ幸いです! (シ_ _)シ


第155話 我、敵部隊ト交戦ス2

 グランベリーとの思わぬ接触をしてしまったアマルガムの船リア・ファルは離脱し終えてから迷彩を再び展開し、ウィルバーとアリスの機体を回収したのちに高度を上げながら移動を再開していた。

 

『甲板の異物除外』を(今度こそ)徹底させて。

 

「……」

 

 艦長室内にいたレイラは静かに先ほどの()()接触に関して思うところがあるのか、事が収まってからはラクシャータたちの起こす(プチ)勝利祝いには参加せずただ先の戦闘に関するデータの見直しをしていた。

 

「(『痛み分け』……と呼べないほどの損害や消耗が出なかったものの、これは明らかな不注意による『思わぬ接触』からの『遭遇戦』……ここまでは良いかもしれませんが、我々の事を明かしたことが痛恨のミスですね。)」

 

 レイラは曲がりなりにも正規軍、それも『ブリタニアの最新精鋭』を相手にしたことを考えればかなり最善の結果を出したと言っても過言ではないのだが、彼女は自省していた。

 

「(そもそも『光学迷彩』などという大掛かりな技術を搭載した艦に、『敵拠点の索敵』を頼んだ時点で気付くべきでした……)」

 

 レイラは椅子の背もたれに身を預けながら天井を見上げ、以前にヴァイスボルフ城で毒島との会話を思い出す。*1

 

「私もまだまだ、ですね。」

 

 ピピッ♪

 

 机上にあるコンソールに通信が入り、レイラが了承すると技術者の忍耐力なのか(あるいは流石と言うべきか)先ほどナイトメアで高機動戦をしてもレイラの代わりに艦長代理を務めているウィルバーの顔が映る。

 

『レイラ君、疲れているところ申し訳ないが良いかね?』

 

「大丈夫です。 博士の方が負担も大きいでしょうに……」

 

『なに、先ほどの戦闘は軽いジョスト(小競り合い)の様なものだし……艦長としては初陣だったのだろう? 見事な手腕だったよ。』

 

「……」

 

『それと、スヴェン君から通信が君宛に来ているのだが繋げても良いかい?』

 

「……お願いします。」

 

 ……

 …

 

「フゥ。」

 

 勝利祝いに大多数の者たちが参加、あるいは無理やり引きずられて人気が無くなったブリッジにポツンと立っているウィルバーは小さくため息を出す。

 

「(早速グリンダ騎士団と一戦交えて堪えているか。 彼我の、背景にいる戦力差を考えれば上等なものだが……相手がレオンハルト君だったことで私も()()熱くなってしまったのもあるし────)」

「────ッ。」

 

 ウィルバーは先ほどから自分に視線を送る人物に振り返ると、何かがサッと身を隠すのを辛うじて捉える。

 

「(となると、私とサリアを保護した目的にも『年長者』としての役割も含まれているのだろうな。) そろそろ出てきたらどうだね、アリス君?」

 

 ギクッ。

 

「……………………に、ニャ~────」

「────レイラ君のエリザ()が出す鳴き声は“ミィー”だ。」

 

「「………………………………………………」」

 

 物陰から、気まずい様子のアリスがトボトボとした足取りで姿を現す。

 

「いつから気付いていたの?」

 

「ん? 艦に戻ってからの君の様子が変だったのと、姿が見えないのに視線を感じていた時からかな? 大丈夫、私は誰にも言っていないしあの通信は機体同士の直通回線だったから外部に漏れることは無いよ?」

 

「う。」

 

 ウィルバーのニコニコとする顔に、アリスはタジタジしながら思い出してしまう。

 ウィルバーの知り合いが敵にいると知って、彼に様子を窺ったキャッチボールの様なやり取りの中で思わず口にしたことを。

 

 ウィルバーの『私の翼を信じろ』に対し、アリスの『私が信じるのは、アンタ(ウィルバー)を信じる────』

 

 ────カァァァァァァァァァ。

 

「(うわ?! うわ?! うわぁぁぁぁぁぁ?!)」

 

 アリスの顔は一瞬で赤くなるのを肌で感じては思わず顔を覆いながら今にでも穴を掘って埋まりたいような勢いでしゃがみ込んで頭を膝の間に隠し、これを見たウィルバーは微笑ましい笑みを浮かべた。

 

「(若いな~。)」

 

 余談だがウィルバー自身、まだ(ギリギリ)20代なので若いと言えば若いのだがアリスのこの初々しい反応に年上の者としての心構えをくすぐられた。

 

「(なんで私はあんなことをヲヲををヲヲをおぉぉぉぉぉぉぉ?!)」

 

 アリスと言えばそんなウィルバーを気にしていられる余裕はなく、一人で悶えていたそうな。

 

「(そもそもアイツはああああ゛あ゛あああ゛あ゛あ?!)」

 

「(う~ん、サリア()と私に娘が出来たらこんな感じなのかな?)」

 

 ようやくジタバタし始めるアリスをウィルバーは見て、内心ホクホクしたそうな。

 

 

 


 

 

 (スバル)は中華連邦のぽつぽつとした村などを、『旅商人』を装って立ち寄りながら大地を横断するトレーラーに乗っている。

 

『またか?』と思うかもしれないが敢えて前振りをさせてくれ。

 

「それでグリンダ騎士団のグランベリーと遭遇し、交戦したと?」

 

『ハイ。』

 

 キリキリキリキリキリキリキリ。

 

 無線機からレイラの無意識で無慈悲な返事に最近は落ち着いていた胃から痛みが走る。

 

 というか何でこのタイミングで出会うの?!

 

「なるほど……それで、どうだった?」

 

 一戦交えて、被害とかがどうかありませんように!!!

 

『そうですね……今回は実戦経験が少ないことと、彼らが置かれている状況を逆手に取って注意を逸らしながら無事に離脱出来ましたが……相手は優秀です、同じ策はもう一度使えないかと。』

 

「……………………」

 

 それで被害は?! 損害は?!

 誰も捕獲されていない?!

 続きは?!

 

「そうか……無事か?」

 

 今にも叫びたい、様々な疑問が浮かび上がるが口下手な俺からは短い言葉が発せられる。

 ちくせう。

 

『はい、皆さん無事です。 サエコは未だに気分がすぐれないようですが……』

 

 “気分がすぐれない”? あの毒島が?

 どゆこと?

 

『少々意外ですが、彼女の空への順応が低く────』

 

 ちょっと待て“空への順応が”ってどう言う意味?

 ナニソレ?

 

「……」

 

 俺は静かに目頭を押さえたい衝動を抑えながら────いや、もうぶっちゃけよう。

 

 “俺は呆けていた”、と。

 

『申し訳ないです……せっかくの隠密行動の方針の頼みを、こうも早く発見されてしまうだけでなく情報も────』

「────いや、それは問題ではない。」

 

『え?』

 

「そもそも情報などはいずれ漏れてしまう、特にそれが大きければ大きいほど隠蔽は困難を極める。 むしろ損害と被害がほとんどないことは称賛に値する。 よくやった、()()()。」

 

『ッ……ありがとうございます。』

 

 いや、何その『キョトンとしてからの頬を赤らませた+誇らしい微笑』は?

 

 超可愛いというか抜群の破壊力でマイハートがブレイクしそうだけれどさ。

 

 俺ってば当たり前のことしか言っていないからねレイラ?

 

 何せ、ブリタニアの最新鋭の技術満載であるグリンダ騎士団に、ルルーシュレベルの頭脳を持っているマリーベル、最新艦のグランベリーと『オズ』ではグレイル・エアキャヴァルリー(レオンハルトたち)に負けたミルベル博士が辛勝しただなんて……割と『凄いぞ、スゲェぜ』だぜ?

 

 正直このようなことの為にレイラとwZERO部隊を調略した俺だが……

 初の成果が凄すぎてどう反応したらいいのか単純にわからんぜよ。

 

こういう時でも動じないのがちょっと逞しいというか、不気味というか……頼もしいというか……

 

 「スバル様ですから。」

 

 「……ふーん。」

 

 裏でアンジュたちが何か言って、ミス・エックスなんかからは値踏みする視線が送られているが今はどうでも良い。

 

 問題は先ほどの“空への順応が~”という言葉だ。

 

 それってつまり……『アレ』だよな?

 俺が以前にラクシャータに頼んでおいたフロートシステム&ユニットの事だよな?

 

 ……………………え?

 もしかして、なんだ?

 毒島はフロートシステム(ユニット?)を搭載した機体(のシミュレーター?)か何かで『気分が悪くなった』とか言いたいのか?

 

 え?

 え?

 

『それにしてもこのような事態の報告を聞いても動じない姿を見ると、シュバールさんはこれも見越していたのですね……光学迷彩を搭載させた艦など、とても想像が……

 

 ……………………………………………………………………………………はい?

 イマ、ナントイッタ?

 ナントセイケン?

 ナントスイチョウケン?

 ()()()スフィール?

 

 いや、それはミレイ(中の人繋がり)の方だろう。

 

 せや! 『レイ』と『ミレイ』で日向兄弟(ダジャレ)が出来るじゃないか!

 ワイ天才! ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!

 

 ……………………うん、ちょっと落ち着こうか俺?

 

 “原作知識”と言うか俺も想定外の連続だよこれは?

 連続の『オーマイガッ?!』で放心しつつも長年維持してきたポーカーフェイスをかぶっているだけだからね?

 

『それで、シュバールさんたちも私たちのいる場所に向かっているのでしょうか?』

 

「それが……」

 

 ビクッ。

 

 俺が振り返ると、ガタイのいいガナバディの後ろに身を潜める褐色インド少女が『キルロイ参上』のごとく俺の視線にタジタジと見返す。

 

「こちらはピースマークの『ある者の護送の次いで』として共に旅をしている身だ。」

 

 チラッ。

 ビクッ。

 

 俺がまた視線を移すと褐色インド少女がビクつきながら、身を隠してこちらの様子をかの『キルロイ参上』のように窺う。

 

 この褐色インド風少女、名を『ネーハ・シャンカール』と言って元々は飛び級でEUの総合工科大学に入学しては『次世代KMFのOS』の論文を出し、EUとブリタニアの双方から評価されたことが災いしてどちらの国からも()()()な誘いを受けていた。

 

 彼女自身にはなんの後ろ盾もない一般人なので『誘拐&軟禁』、あるいは『幽閉』からの『搾取』とも呼べる()()の類だが。

 

 それ等から逃げる為に、彼女はピースマークにラクシャータの居る場所への護送を頼んでいる。

 

 ここで『意外な接点だなぁ』、あるいは『ああ、インド繋がりかぁ』と思うかもしれないが実はそうでもない。

 

 以前、ルルーシュがゼロとしてラクシャータと会う時の“医療サイバネティック関係の記事を~*2”と言っていたのを覚えているだろうか?

 

 それこそ、このネーハの事である。

 

 幼少の頃にネーハは戦争の所為で両足を失ってしまい、まだほぼ無名の医者であったラクシャータのおかげでコードギアスの世界では初となる、『人工と自然神経の縫合の成功例』としたサクセスストーリーの対象だった。

 

 多分、ルルーシュはナナリーの状況(不自由)が『これで改善されるのではないか?』と興味を持ったのだろうが……ネーハの状態とナナリーの状態はかなり違うので、断念したのだろう。

 

 とまぁ……その経歴もあってかネーハはラクシャータに憧れ、今では医療やサイバネティクスに没頭しては身柄を狙われてどこにいるのかわからなくなったラクシャータを頼るためにピースマークに依頼をした。

 つまり元々中華連邦にいるとされる黒の騎士団の亡命先に移動するところに、俺やアンジュたちは『次いで』として同行している形だ。

 

 何ともまぁ、『渡りに船』というか……『めぐり合い』というか……『繋がり』というか────

 

『────あら? アンタは確か────』

「────あ、ラクシャータ先生!」

 

 ラクシャータがレイラの横からのぞき込んでいる。

 NANDESOKONIIRUNO(何でそこにいるの)ラクちゃん*3

 *注*予想外の連続ハプニングによって語彙(変換)力低下

 

 ラクシャータの姿を見たことで、ネーハは咲く花のように一気に明るくなってはとても義足とは思えない早歩きでスクリーンに駆け寄っては俺の横に座る。

 

 さっきまでの『小鹿のように足プルプル人見知り感MAX』の様子が嘘のようでゴザル。

 

「ご無沙汰しております先生!」

 

『あー、思い出したわ! ネーハね! 久しぶりだねぇ~、元気だったかい? 足の調子はどうだい?』

 

「はい、おかげさまで今日も歩いています!」

 

 ネーハってこんなにパワフルな子だっけ?

 イメージと『オズ』のSIDE:オルフェウス描写からかけ離れているのだが?

 

「先生は今、どこに────?」

『────そこの面白いの(スバル)が以前から頼んでいた()()艦にいるけど?』

 

 NANNDESUTO(なんですと)

 

「「「………………………………………………」」」

 

 俺に突き刺さる、周りの視線、ゲロ吐きそう。

 

 ってちょっと待ってぇぇぇぇぇい!

 今『浮遊艦』って言わなかったか、こいつ(ラクシャータ)?!

 

 え?

『艦』ってさっきレイラが言ったからてっきり『亡国のアキト』や『R2』や『アニメ一期』で見た陸上戦艦だと思っていたのだが?

 

 ゑ?

 

『まぁ、試運転にしちゃ結構いいんじゃないかしら?』

 

 そんな『浮遊航空艦の試運転でギアス嚮団のアジトを探していたらグリンダ騎士団と一戦しちゃったよてへぺろ☆』みたいに言われても……

 

 いや、ポジティブに考えよう。

 

 でないとマジ吐く。

 

 さて、ここにラクシャータに保護を求めているネーハがいます。

 そしてラクシャータは何故か浮遊k────

 ────キリキリキリキリキリ────

 ────レイラたちといる。

 

 つまりは『1+1=2』だ。

 

「ミス・エックス────」

「────はいはい、彼女をラクシャータ博士の元に送り届けるのがピースマークの受けた依頼だからね。 それにこれで見極m────

 『────ハロー、スバル────!』

『────あ、ピンクちゃん邪魔しちゃダメです────!』

 ────ドキーン

 

 ミス・エックスに『どうせならこのまま合流しちゃおうze☆』と俺が言い終える前に、向こう側(レイラサイド)から聞こえてきた声に心臓が跳ねる。

 

『浮遊航空艦』と『ラクちゃん』と『我グリンダ騎士団ト遭遇ス』だけでもハートアタック(心臓発作)モノなのに『ポヤポヤ天然ピンクヘアー皇女(ユーフェミア)』もいると?

 

 そろそろ吐いていいガネ?

 

 「ゑ。」

 

 ん?

 隣から変な声が出たような────

 

「────何でしょうか?」

 

 違和感を持ちながらも、声がしたと思った方角を見るとニコニコしているいつものミス・エックスがいた。

 気のせい……じゃないよな?

 

 それならますます早くレイラたちと合流してギアス嚮団の根城も探してR2に向けて準備をしてその前にグリンダ騎士団が本格的に動き出す前に『ギアス嚮団の手先』というか『ブイブイの超能力の誘惑』に乗って『原作ブラックリベリオン時のスザク』並みの猪突猛進的に騎士団のトップであるマリーベルがならないように────ってなんでいつの間にかこんなに忙しくなっているの?!

 

 これを免れるために毒島とかレイラとかに頼みごとをしたのに……

 

 早く裏方に戻りたい! 隠居したい!

 

 そういやオルフェウスとコーネリアは……無事だろうな、多分。

 何せギアス嚮団自体にはナイトメアの戦力はV.V.のジークフリートだけの筈だし、プルートーンがいたとしても原作と違ってコーネリアたちにはダールトンも一緒にいる。

 

 それだけで大分違うはずだし、いざとなったら逃げきれる筈だ。

 

 うんうん、そう考えればなんだか気が楽になったぞ!

 ワハハハハハハハハハハ!

 

 

 


 

 

『何なんだこいつは?!』

 

 思わずそんなことを口にしながら、コーネリアのソードマンがヒートソードで敵機と思われるナイトメアを切り伏せる姿を見ながらもオルフェウスも思わずそう叫びたかった。

 

『ギアス饗団自体にナイトメアに敵対できる戦力はない』とスバルが思っているように、かつて饗団に身を置いていたオルフェウスも同じ見解だった。

 

 何故ならギアス饗団は昔ながらの『あくまで研究機関』という体からか、最小限の対人防衛機能と『存在の秘匿』だけを持っていた。

 

 しかも対人防衛機能は『外敵から守る』ものではなく、『内部の鎮圧』が主な目的とされている。

 

 よって『現在のプルートーン』の在り方や、コードギアスR2で姿を見せたジークフリートなどはV.V.がギアス饗団の現嚮主になってから、彼が独自の目的や物欲しさで秘密裏で集めた戦力などである。

 

「(饗団にあるナイトメアとすると、『プルートーン』の筈だ! )」

 

 オルフェウスの白炎はランドスピナーで地面を巧妙にスライドしながらバズーカを敵機に打ち込む。

 

「(だとしたら、()()()()()()()?!)」

 

 オルフェウスの見ている前で()()()()()()()()()()()()()()()がオルフェウスの攻撃の直撃をものともせず、イノシシのように一直線に走ってくる姿に彼は焦った。

 

 どうすればこのような状況になるのか簡単に説明すると少しだけ時間を遡ることとなる。

 この頃日課のようにオルフェウスたちはギアス饗団らしき組織の動きを逆算して移動していたところを突然攻撃され、応戦するために各々がナイトメアに騎乗し素早く起動させて転倒するトレーラーから飛び出ると数機の人型のナイトメアが地面を走って近づいてくるのを見ては即座に白炎とダールトンのグロースターはバズーカで攻撃をしたが、相手はそれらをとてもナイトメアとは思えない躱し方で持っていたアサルトライフルで応戦した。

 

 ここでコーネリアのソードマンとズィーの新型、黒の騎士団の月下を反ブリタニア組織用に量産化を目的とした『月下・望型』をベースにしたズィー用に改造された『月下紫電』が一気に距離を詰めて接近戦で畳みかけていた。

 

 ソードマンのヒートソードと、月下紫電の熱斬竜刀は熱を持ったナイフがバターを斬るように敵機を斬っていった……のだが────

 

『おいぃぃぃぃ?! 何時からこの世界に“ゾンビ”属性が追加されたんだぁぁぁぁ?!』

 

 ────ズィーが叫んだように、切り裂かれた敵の人型ナイトメアは目の前でまるで巻き戻る動画を見ているかのように切られた部分が引っ付いていく。

 

『姫様────!』

『────なるほど、これがイレギュラーズの秘密か!』

 

 これを見てオルフェウスはすぐに、それが何らかのギアス能力と当たりを付けていた時にダールトンとコーネリアの会話に意識が引き戻される。

 

「(『イレギュラーズ』?)」

 

 オルフェウスの耳に届いたその単語は、どこかで聞いたようなモノだったことに考えを巡らせながらもナイトメアの操縦を続けていた。

 

『どわぁぁぁぁぁぁ?! タンマタンマタンマタンマタンマタンマタンマァァァァ?!』

 

『ぼやくんじゃねぇ! (タイガー)の根性を見せろ!』

 

『ダールトン、攻撃の手を決して緩めるな!』

 

 普通、『切り裂かれても無限に再生する敵』を前にすれば上記のズィーのように取り乱すものだがコーネリアとダールトンは襲ってくる人型ナイトメア────GX01を昔に何度か戦場で味方として見ていること、『イレギュラーズの任務成功率100%』、そしてオルフェウスと共に旅をして『ギアス』を知っていたことで、四機のうち三機が奇襲と超現象の動揺からすぐに立ち直ったのが幸運だった。

 

 さもなければ、とてもナイトメアと思えない機動をするGX01たちの行動に『後手』に回っていたのかもしれない。

 

 それでも現在の状況はかなり悪いことに変わりはないが。

 

『ネリス、こいつらをさっきイレギュラーズと呼んでいたが知っているのか?!』

 

『ああ! あの機体は過去に何度か味方機として見た! カニングハム教授────マッド大佐が率いていた特殊部隊『イレギュラーズ』のモノだ────!』

「(────そうか、こいつらは!)」

 

 オルフェウスの中でコーネリアの放った言葉で漠然とした違和感と点と点が結び付き始め、彼はクララともう()()を思い出す。

 

「こいつら、エデンバイタル()()の者たちか!」

 

『エデンバイタル教団』とオルフェウスは口にしたが、彼も名前と()()()()()()()()()()()()()としか分からなかった。

 

 それも、過去にクララやトトのような脳手術(処置)を施す為に見慣れない(部外者の)男性が白髪の少女を連れてきたていたのが印象に残っていたのでそれとなく嚮団でかなりギリギリまでの調べをしてようやく手に入れた情報が、『エデンバイタル教団』という組織名だった。

*1
131話より

*2
53話より

*3
呼び名、ありがとうございますちゅうんさん!




(;゜○゜)アワワワワ

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