小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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…………次、次話です。 (°_°;)ハラハラ

た、楽しんで頂ければ幸いです。 (;´ω`)


第156話 まどろみのひとときを

 場所と時間は静寂な夜の森林の中にとある工場とコオロギが歌う景色に移ろう。

 

「…………………………皆、所定の場所で待機中よ。」

 

 そんな森の中で、黒の騎士団の団服を着たカレンが珍しくやる気を出しているような雰囲気のC.C.に話しかける。

 

「そうか。」

 

 気怠そうな声と、眠たそうな目はいつもの(平常運転)だが。

 

「作戦開始まで……まだ少し時間があるな────」

「────ねぇ? 本当にこんなところが『旧黒の騎士団員の強制労働工場』なの? 静かすぎるのだけれど────?」

「────卜部の調べが確かなら、そうだが?」

 

「卜部さんか……なら救出しないと……これだからブリタニアは! 」

 

 カレンはそう吐き捨てながらも、武器の点検をもう一度する。

 

「そうだな、そしてここにある資材を奪って黒の騎士団の運用資金に変えつつも水面下で存在をアピールする二段構え……悪くないだろ?」

 

「そうだね……武者震いする程度には。」

 

「「…………………………………………………………」」

 

 周りからコオロギの鳴き声しか聞こえない二人の間に言葉は無くなり、ただ静かな時間が過ぎ────

 

「おい、カレン。 (私は)退屈だ、何か話をしろ。」

 

 ────なかった。

 

「はぁぁぁぁぁ? 何で、私が────?」

「────悲壮感を浮かばせているお前の顔は辛気臭すぎる────」

────実際そうなんだから仕方がないでしょうが? 沢山いた仲間や協力者も、残ったのがこれだけの数となるとさぁ……憂鬱にもなるっての────」

「────不景気な女だな────」

 「────アンタこれ絶対にわざとやっているでしょ?」

 

「ツーン。」

 

 C.C.はそっぽを向き、彼女がまったく答える気が無いと察したカレンは自分の手を見る。

 

「もう、アンタのそれ(ちょっかい)が無くてもこちとら肌がカサカサとしているんだから────」

「────そんなことを言う意外なお前は可愛いな────♡」

────こっちは真剣に悩んでいるのだけれど? そう言うアンタこそ同じの筈よ……毎日ピザを食べてはゴロゴログぅすか……よく同じものを毎日食べていられるわね?」

 

「バカかお前は。 タバスコをかけたりしているぞ────?」

「────元がピザなのは変わらないでしょうが?」

 

「それに肌荒れなど、私とは無縁だ。」

 

「それって要するに、『のほほんとしている(苦労していない)』だけでしょうが?! アンタの肌、荒い紙やすりでゴシゴシしてやるわよ?!」

 

「フハハハハハ、私の肌がサンドペーパー(紙やすり)ごときで傷が出来ると思うてか?」

 

 「アンタの肌は軍用プラスチックか、ダイヤモンドで出来ていると言いたいのかしら────?」

「────そこまでせがむのなら仕方がない────」

 「────人の話を────」

「────お前にも私の肌の秘訣を教えてやろう、このゆで卵の様なツルツル美肌は────」

 「────どうせピザがどうこう言うんでしょうが────」

 「────何故わかった貴様────?!」

「────そこで反応するんかい────?!」

「────時間だ、行くぞ────」

 「────だから人の話を聞けぇぇぇぇ!」

 

 ドゴォォォォォォン!!!

 

 工場の周りに建ててある外壁が爆破され、辺りで眠っていた鳥などの動物が一目散に逃げだす中、カレンとC.C.は工場内へと乗り込む。

 

 ババババババババババ!

 

 「動くな! 全員床にうつ伏せになれ!」

 

 カレンはサブマシンガンを天井目掛けて発砲し、C.C.はどよめく警備員たちに冷たい視線で威嚇してから周りを満足げに見渡す。

 

「抵抗しなければ、痛くしないでやる────」

 「────ってちょっと待ったぁぁぁぁぁ!ここ、()()()工場じゃない────?!」

 「────ここの化粧水はすべて頂く! トレーラーとナイトメア突入────!」

 「────↑うぃえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

 C.C.が今まで見せたことの無い手腕でテキパキと指示を出していき、瞬く間に工場内の出荷待ちだった品が入ったコンテナが黒の騎士団の無頼によってトレーラーなどに乗せられ、C.C.は呆けたカレンの腕を無理やり引っ張ってその場から一気に撤収する。

 

「「「「………………………………………………………………え?」」」」

 

 うつ伏せになっていた警備員たちは嵐のように過ぎ去る一連の出来事をポカンとしながら呆気ない声をしてしまう。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 翌日、とある高速道路の防壁の外側にカレンとC.C.は居た。

 

「皆、所定の場所に就いたって……」

 

「そうか。 作戦開始までまだ少し時間があるな……」

 

 先日のやり取りに似た所為か、カレンはジト目でC.C.を見ていた。

 

「“黒の騎士団の団員や協力者が護送される”ってのは、合っているのよね?」

 

「卜部の調査結果からの推測だ。」

 

「卜部のオッサンの調査ねぇ……先日の工場は強制労働なんてデマだったじゃない?! 化粧水も高級すぎて売り先が困ってまだ全部売れていないし────!」

「────我々の肌が潤ったではないか?」

 

「いや、まぁ……それはそうなんだけれどさ……」

 

「女はいついかなる時も『優雅』であるべきだ……フフ、フフフフフフフフフ……」

 

「(ゼロだ。 この笑みと声、悪質な女版ゼロじゃん?!) って、アンタもしかして私利私欲で作戦を立案していない────?!」

「────この防壁の向こう側に、目標(ターゲット)が使う高速道路がある────」

「────スルーするなやお前────」

「────それが通るタイミングを見計らって壁を爆破し護送車を襲い、そのまま離脱する。」

 

「「………………………………」」

 

『言うだけ無駄』と悟ったカレンは黙り込み、またも二人の間に無言の時間が────

 

「おい。 (私が)退屈だ、何か話せ。」

 

 ────またも過ぎなかった。

 

「こ……この……自分勝手すぎる────!」

「────褒めても私の笑いが出るだけだぞ? ハハハハハ────」

 「────フンガァァァァァァァ!!!」

 

 カレンは怒りの籠った叫びを出してから項垂れる。

 

「ハァァァァァァ……マジ疲れる……この間なんて体重計に乗ったら5キロ痩せていたし────」

「────迂闊だな。 その分、体力もスタミナも落ちるぞ────?」

「────その分体形を維持しやすくなるからノー問題よ────!」

「────その痩せた分、紅蓮弐式のコックピットが広くなって良かったな────?」

────そこまで太っていなかったし! というか、あれだけ毎日ピザを食べていながらどうやってその体形を維持できているの?!」

 

「フン、小麦粉とトマトソースとチーズを兼ねそろえたピザ以上の健康食品がこの世にあるとでも────?」

「────そう言う割にちょっっっっっっっとお尻がデカくなったよね? この高飛車女────」

「────バカを言うな。 『高飛車だ』とか、『上から目線』とか、『横柄だ』とか、『人当たりが強すぎだ』とかはともかく────」

「(────自覚しているじゃん────?!)」

「────『尻がでかい』とかは聞き捨てならん。 この数百年の間に、私の体形がそこまで変わったことは無い!」

 

「……………………………………………………“数百年”────?」

「────時間だ。」

 

 ドォォン!

 

 防壁に設置された爆薬が音を上げ、人一人がようやく通れるような穴が出来る。

 

「よ……っと!」

 

 カレンはどうにかして、強引に開いた穴をギリギリ潜り抜ける。

 

 グニュン。

 

「む?」

 

 カレンの後を追おうとしたC.C.は()()()が穴につっかえたのか、身体が半分だけ穴を通過したことに困惑の表情をする。

 

 グググググググググ。

 

「ムムムムムム?」

 

 グニュゥゥゥゥゥ。

 

 「あっるえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」

 

 そんなC.C.が徐々に汗が額に出ては腕に力を入れ、無理やり穴を通ろうとする姿にカレンは気が付くとわざとらしい声を出す。

 

「あっるえぇぇぇぇれれれれれえ~?」

 

「ッ……ちょっと、問題……が────」

 「────どうちたんでしゅか、C.C.さ~~~~ん────?」

「────やむをえまい、以後の作戦はお前が単身で続行しろ────!」

 「────おかしいでしゅね、C.C.さ~~~~ん?」

 

 カレンは愉悦からニヨニヨとした、人を馬鹿にするような笑顔をC.C.に向けていた。

 

 カレンのニタニタした顔をC.C.が見ては無数の汗を浮かべ、いつもの態度からはとても想像できない慌てた顔を浮かべる。

 

「ちょ……ちょ……ちょっと問題が発生しただけだ────!」

 「────なんで上半身だけしかこちら側に来ていないんですk────?」

『────そこのお前たち、何をしている?!』

 

 愉悦感に浸ってカレンと久しぶりに本気で慌てるC.C.の二人にメガホン越しの声が耳に届いて視線を移すと爆発で通報されたのか、ブリタニアのパトカーが数台止まっていた。

 

「げぇぇぇぇぇぇぇ?! け、警察────?!」

 「────本作戦は中止! 撤収だ────!」

 「────良いから早く戻ってよぉぉぉぉぉぉ?!」

 

 グググググググググニュウゥゥゥゥゥ。

 

 C.C.は下半身をバタつかせたり、脚を防壁に付かせて力を入れるが動く気配はなかった。

 

「………………………………」

 

 「C.C.、早く!」

 

 発煙弾を投げながら慌てるカレンは、次第に顔が青くなっていき引きつる笑みと共に汗をダラダラと顔中に出すC.C.を見る。

 

 「……れん。」

 

「え? 今なんて? って、何その顔色────?」

 「────戻れん。」

 

 「うええええぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

『敵はテロリストの黒の騎士団と思われる! 総員、発砲を許可する!』

 

 ぎええええぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

 ババババババババババババババババ!

 

 カレンは雨霰のように自分たちを襲って来る銃弾に慌てながらも、C.C.を押し出そうと力を入れる。

 

 C.()~~~~~~~~~~C.()~~~~~~~~~~!!!」

 

 「明日からはMサイズを三つしか頼まないから頑張れカレン!」

 

「Sサイズにしろやぁぁぁぁぁぁ?!」

 

「わかったから頼む!」

 

 「ファイ! トォォォォォォ!!!」

 

 スポッ。

 

 カレンのゴリラ並みの怪力でC.C.は穴を抜け、その勢いのままカレンも防壁を潜り抜けてはその場を逃げる。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

『高速道路騒動』から数日後、カレンとC.C.はとある変電所近くに潜んでいた。

 

「…………………」

 

「皆、所定の場所に就いたか。」

 

「…………………………………………」

 

「作戦開始までまだ少し時間があるな……」

 

「ハァァァァ……」

 

 ずっと無言だったカレンは長~いため息を出す。

 

「ん? どうした?」

 

「この変電所を爆破して混乱している間にナイトメアとかを都内に移動させるのは分かるけどさ~……例によってこの作戦の下調べって────

「────卜部だ。」

 

 C.C.の答えにカレンは更にどんよりとした、憂鬱な空気を出す。

 

「ハァァァァァァァァァァァァ……卜部()()()()、ちゃんとしてよもぅぅぅぅぅ……この間の護送車も、高級ブランドものドレスを乗せたモノだったし────」

「────さて、(私は)退屈だ────」

「────人の話……ってもういいや。」

 

「良かったな? と言うわけで何か話せ、カレン────」

「────私からの話題はございません!」

 

 カレンはふくれっ面をしながらそっぽを向き、C.C.の言葉を跳ね除ける。

 

「フム……なら何故かここにある手頃な話題を書いたサイコロを振るうとしようか。」

 

 「なんでやねん────?!」

「────何が出るかな♪ 何が出るかな~♪」

 

 コロコロコロコロコロ。

 

 C.C.は一昔前のバラエティ番組などで見たような少々大きめのサイコロを適当に転がしては、『好きな食べ物』が上に出てカレンは鼻で笑う。

 

 余談だが、そのほかの一面に『ビンタ』や『蹴り』と書かれてあったのはキノセイダロウ。

 

 ウン、ソウニチガイナイ。

 

「は。 アンタにとっては超簡単な話題よね? ピザじゃん────」

 「────バカを言うな。 そんな訳はない────」

「────え?! 違うの────?!」

 「────『好き』という小さな枠に入りきる訳がない!」

 

「あー、ハイハイ……」

 

 さっきまでの食いつき具合からまったく興味が無さそうにするカレンの態度が気に食わなかったのか、C.C.の目が細められる。

 

「そう言うお前の好きな食べ物はなんだ?」

 

「ん? ん~~~~……ハンバーグ!

 

「子供か貴様は?!」

 

 ビキッ。

 

「い、良いじゃんハンバーグ! カレーの中に入れて~、上に半熟の目玉焼きを乗せて~、更にウスターソースをかけて~────」

 

 C.C.の言葉にカレンはイライラする気持ちが刺激されてムキになるどころかそのまま言葉を続け、C.C.の目は更に見開いていく。

 

 「────目玉焼きにウスターソースだと?! カレーがあるのにか?!」

 

 珍しく声を荒げるC.C.に、カレンはキョトンとしながらも言葉を返す。

 

「え? そりゃ、カレーにはウスターソースでしょ────?」

 「────バカかお前は?! そんなものをかけたらせっかくの卵がダメになるではないか?! 食物への冒涜だ────!」

「────普通じゃん────!」

「────どこがだ?! 信じられん! ダメにした食物たちに謝れ! 今すぐ謝れ!」

 

 ビキビキビキッ。

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛?! なら証明してやるわよ!」

 

 流石にカチンときたのか、カレンは更なる青筋を浮かばせながらゴソゴソと無線機を出す。

 

「おいバカやめろ、無線封鎖中だぞ────?!」

「────卜部さん?! 卜部さ~ん?!

 

『ん? カレン、どうかしたのか?! 何かあったのか────?!』

 「────卜部さんの家では目玉焼きに何をかけているの?!」

 

 カレンの手に持っていた無線機から卜部の慌てたような声が返ってきて、彼女は間髪入れずに上記の問いを叫びこむ。

 

『……………………………………………………………………は?』

 

 「だ・か・ら! 卜部さんの家では! 目玉焼きに何をかけてい・る・の?! ちなみに私はウスターソース!」

 

『ウスターソースって、お前────』

「────“下町の味”がするじゃない────!」

『────まぁ、俺の家では普通に()()()()()()()()を────』

「────ハァァァァァァ?! アンタそれでも日本人なの────?!」

『────それは家の味付けで、俺自身は()()を普通に塗────』

 

 ────ガチャ。

 

 カレンは無線機を切っては頭を抱えだす。

 

「作戦の時間だ。」

 

 ドォォン!

 

 変電所への防壁が爆破されると向こう側に隊列を組んでいたブリタニア軍の姿があり、指揮官と思われる男がニヤリと笑顔を浮かべる。

 

「そこまでだ、黒のき────」

 

 ドゴッ!

 

「────ぶぇ?!

 

 指揮官の男をイラつきMAXだったカレンが顔面を殴っては、C.C.と共に周りの兵士たちを顔や腹へのグーパンやヤクザキック()()()()体術でバッタバッタと制圧していく。

 

「たった二人に……たった二人に歩兵部隊、一個小隊が────?!」

「「────目玉焼きには何をかけている?!」」

 

 目を白黒させながら驚愕する指揮官に、カレンとC.C.が上記の問いを投げつけると男はハテナマークを浮かべる。

 

「……は? え────?」

「────塩コショウか────?」

「────それともケチャップ────?!」

「────マヨネーズか────?!」

「────それとも醤油?! 勿論ウスターソースよね────?!」

「────もしくはメープルシロップ?!」

 

「…………………………いや、私は────」

 

 男が呆けながら答えだすとC.C.が彼の言葉を遮る。

 

「────それとも、私のように麻婆風マンゴソースか?」

 

 

 


 

 

 『麻婆風マンゴソース』ってなんやねん?!

 

 そう俺は強くツッコみたい心を持つと共に目を覚ますと“夢か” 、と言う呆気ない気持ちと連動するように早まっていた心拍数が徐々に落ち着きだす。

 

 ビクッ。

 

 そして、横では何故か目を覚ました俺にビクつく仏頂面のマーヤ。

 

 ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ!

 

 ナリタで初めて出会った時から未だにちょっと苦手意識と言うか時たま何を考えているのかというか何をしでかすかわからない彼女の反応に早速収まりつつあった心拍数が高まる。

 

「どうした?」

 

 とはいえ、このまま放置するのもなんだか気が悪いので声だけはかけておこう。

 

「いえ、その……」

 

 え? 何でそんなにしおらしいの?

 正直、グッとくるのだが?

 見た目だけで言うのならかなり俺の好みドストライクなんだからそういうのをやられると『良いかも♡』とか本気で考え初めちゃうぞ?☆

 

 俺の知っているアニメや外伝とかで見た覚えはないからモブ子だとは思うがどう考えてもハイスペック過ぎてとても『ただのモブ子』とは思えないけどな。

 

 やっぱコードギアスの世界には至る所化け物だらけだな。

 

「そろそろオズたちと合流する場所に着くから起こしに行ったんじゃない?」

 

 トレーラーの助手席に座っていたミス・エックスが振り返りざまにそう俺に話しかけると思考がようやく状況に追いつく。

 

 なるほど、ネーハの護送にオズたちと合流している間に仮眠を取っていた俺を起こしにマーヤは近づいていたのか。

 

「そうか。」

 

 短くそう言いながらいまだに重い体を俺は起こし、腕を伸ばして体をほぐす。

 

 さて。 これでコーネリアがミス・エックス、あるいはミス・エックスがコーネリアを見て何か変化があれば俺の推測が当たっていると言う事になるな。

 

 そうなれば……いや、まずは合流してから考えよう。

 

 最悪、グリンダ騎士団との接触を別方法でしないといけないからな。

 

 

 


 

 グッと腕や体を平然としながらほぐすスバルの様子は、さっきまでうなされていたとはとても思えないものだった。

 

「(何が、御身をあれほどまでに騒がせたのでしょうか……いえ、今までほぼ身一つで為されたことと期間を考えれば不調の所為でうなされるのも不思議ではないわ。)」

 

 マーヤはそう考えながら頭を切り替える。

 

「(だからこそ、今回の『ギアス嚮団の場所の索敵と確認』はおそらくかつての『天誅』も含まれているのでしょう……*1)」

 

 マーヤが思うような行動をする気はスバルにないのだがそんな可能性を彼女は考えず、ただ『敵の本拠地、あるいは敵部隊と遭遇すればどう動こうか』と言ったモノだけだった。

 

 スバルたちを乗せたトレーラーが事前にオルフェウスと連絡を取っていたミス・エックスとの指定された場所についてもオルフェウスたちは着いた様子はなかった。

『遅れているかもしれない』ということを考え、スバルたちはその場に潜んで日が暮れるまで待ったが一向にオルフェウスたちが姿を現す気配はなかった。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 明らかに別の場所である、地下都市の中でも高い高層ビルのようなところで一人の人物が街(?)並みを見下ろしていた。

 

「フム……それで、ギアス伝導回路搭載型ヴィンセント改の調子はどうだ?」

 

 人物が────機械化した両目にスキンヘッドのマッド・カニングハムがガラスに向いたままそう背後にいる者へ問いかける。

 

「アレはすこぶる良いものです。 今までのGX01以上に、私が力を更に発揮しても素直に応えてくれる良い機体ですよ。」

 

「元がロイドの趣味全開の機体だったからな。 そこに私の技術を更に組み込めばあのランスロット以上の戦力は確実にある。 しかし、相手がまさかコーネリアとギアス嚮団の者だったとはな……お前の機体が間に合ったことが幸運だった────」

「────ギアス嚮団の者は“元”らしいですが……この際なので、父上に連絡を入れますか?」

 

 マッドは背後の人物が出した提案を一瞬だけ考慮したのちに首を横に振る。

 

「……いや。 元とはいえギアス嚮団の関係者がこうも直接絡んでいるとなると恐らく、V.V.が裏で糸を引いているのだろうが……もしや…………………………」

 

 マッドはいつもの高圧的な態度が嘘のような態度のまま黙り込んでから再び口を開ける。

 

「厄介なことになったかもしれん、また慣れない機体での出撃になるが────」

「────私の前ではどんな相手も蟻を潰すようなモノ、他愛もないことです。 それと、捕らえた者たちは如何なさいますか?」

 

「コーネリア皇女殿下とは言え、この場所を知ったからには口封じしかあるまい────」

「────ならば、会ってきますよ。 よろしいですかな?」

 

「……好きにしろ。」

 

 マッドから遠ざかる足音がドアを潜り抜けてから、マッドは地下都市を再び見下ろす。

 

「(クソ! 『()の下準備がこれから整う』と言った、このタイミングで!)」

 

 マッドはただ握る手に力を入れて、忌々しく外の景色を見る。

 

「(ここまで来たのだ! 『諦めなさい』と挑発されて引き下がれるか!)」

*1
44話より




卜部の“ちゃん呼び”、参上。 (汗

余談の追伸:
今年の花粉はヤバイ。
急な温度変化もあって現在ダブル特攻、ギャ〇ドスに〇ンダー。
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