不安ながらも次話です!
お、お読みいただきありがとうございます! 楽しんで頂ければ幸いです! <(_"_)>
「ふぅぅぅぅ?! (うわ?!)」
カレンは騎乗した試作型蒼天MKIIをいつも乗っている紅蓮の感じで前進させると予想だにしていない負担と体に圧し掛かるGによって肺から息が無理やり吐き出され、視界も一瞬真っ白になりながら星が散っていく。
『おわぁぁぁ?!』
『アブね!』
『おい、ぶつかるぞぉぉぉぉ?!』
視界と物音もぼやけ、それ等と共に薄れていく意識をカレンはコックピットに入ってくる外部の慌てるような声に集中して無理やりパチパチと瞬きをし、ようやく視界が戻ってきたと思えば格納庫内の壁に衝突しそうだった。
「ふ、う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!! (うわわわわ?!)」
身体を力ませると声なのか息なのかよくわからないものがカレンの口から吐き出され、彼女は操縦桿を操って進路を変更させ、半開きのままだった外部へと繋がるハッチの隙間を縫うように機体をジャンプさせる。
「っは! すぅぅぅぅぅ! (これ、どんな設定されているのよ?!)」
ジャンプした際の浮遊感でようやく一息ついたカレンは空気を欲していた肺の要求のまま息を吸い込み、イラつきが増していく。
以前に彼女は初めて黒の騎士団が紅蓮をキョウトから受け取り、ゼロに紅蓮を託されたあとに試運転として軽~く乗るつもりが何故か『機体の制御』に逆戻りしていた。
その時、カレンが持った第一印象は『じゃじゃ馬』に加え、『
何せ乗る前にOSの設定チェックを済ませてから乗ったというのに、『少しスピードを上げようかな?』と思って機体を動かすと通常時のOSが別の物に切り替わり、『機体性能』に偏り過ぎたままの設定に入ると紅蓮は一気に豹変して大変だった。
余談だが『騎乗センスが無くて下手な奴だったら死んでいるな』とスバルに言わせるまでに危ないOSだった。
そしてその時以上に過激な動きをする機体に乗っていたカレンはムカムカしながら状況の把握をする。
見えるのはところどころ凍り付いた大地とレーダーには『
「(見えた!)」
────カレンが見渡した先には、似た金色の機体たちが相対する戦場だった。
だが『似ている』と言うだけで『完全に一緒』ではない上に
さて。
ここまでカレンは『敵味方の位置』、『地形』、『現状の進行具合』などを含めた『戦場の把握』をハッチから機体をジャンプさせてから要した時間はコンマ0.5秒にも満たっていない。
そのことを考えると機体性能を別にしても、どれだけカレン自身の身体能力が高いか再確認できるだろうか?
少なくともスバルが見ていたのなら『ッパネェ~』と素直に呆けながら感心していただろう。
そんな彼自身も大概だが。
「(さっき、操縦桿を動かした時に見た
カレンは操縦桿のボタンなどを操ってスクリーンに先ほどジャンプするときに映ったと思う項目を探し、『機動補助』というモノにカーソルを合わせる。
ビィィィィィィ!
『
「────はぁぁぁぁぁ?!」
耳障りなブザー音と、無慈悲な文字が浮かび上がりカレンは素っ頓狂な声を出してイラつきがマッハで上昇していく。
何もこのようなことは初めてではないのだが*1、以前よりも切羽詰まった状況の上に────
「うりゃぁぁぁぁぁ!!!」
ガァン!
テテーン♪
────まるで『そんなこと知るかボケェェェ!』と続きがあるような音量でカレンは叫びながらコンソールを蹴るとまだまだ空きがあった筈の『機動補助』のインストール時間が一気に短縮されて『完了』が気弱な小さな音と共に表示される。
その姿と一連の動作は、昭和譲りの修理(物理)方法で暴れ馬の躾(物理)のごとく所業であった。
ちなみにリア・ファル内から飛び出てここまで要した時間はわずか数秒未満である。
ッパネェ。
……
…
「(やべぇ。)」
スバルはヴィンセントで自分に襲い掛かる敵ヴィンセントや、たまにアキトたちが奮闘して敷いた陣を抜けてくるGX01の攻撃を躱しながらそう短くかつ簡単な事を思い浮かべた。
先ほど『相手がナイトメア・オブ・ナナリーのロロ枢機卿かもしれない』という仮説をしてから連想した『原作で見せた自滅が無いかもしれない』からさらに『どうにかしてここにいる皆を逃がせないか?』と言う考えから行動を変えていた。
そんなところに僅かにだけとはいえ吐血した際に反応が若干遅くなり、敵のギアスの効果範囲内に数秒間居たことでスバル機の左足の調子は明らかに悪くなっていた。
関節を曲げるたびにビキビキと不安になりそうな音が響き、ランドスピナーも展開から実際に動き出すまでのタイムラグが出来ていた。
何より────
「(────この機体もだが、俺自身もそろそろヤバいかもしれない。)」
コックピット内にいたスバルはじわじわと感覚が麻痺していく自分の左半身に力を入れようとして、動きが鈍くなっていたことに不思議と落ち着いたままそう思う。
「『身体が冷えると感情も冷める』って本当の事だったんだな。」
もう『勝ち筋が見えない』どころではなく、明らかに『ジリ貧』と脳が分かっていてもまるで他人事のように取れるスバルは前世、あるいは今世で聞いたのかよく分からない事をぼそりと口にして息は白い煙のように出てくる。
「(あー、まさかこんな風に『詰む』とは思わなかったな。 やっぱり俺もまだまだってことか……お~い、『死にそう』だぞ~……………………………………あれ? 本気でヤバいな。)」
……
…
「(どういうことだ、これは?)」
スバル機と相対していたギアス伝導回路搭載型ヴィンセント改の中にいたルルーシュ似の少年────『ナイトメア・オブ・ナナリー』ではロロ・ヴィ・ブリタニアと名乗ったのでそう呼称することにする────は疑問を持ちながらも事務的に一般の軍用ヴィンセントを追い込もうとしていた。
『絶妙な距離と立ち回りで概念含め、全ての動きを止まらせることができるギアスである“ジ・アイス”の有効範囲内になかなか入ってこない。』
『だが無視できるほどの距離も空けていないため追撃をせざるを得ない。』
以上のことなどがロロを悩ましているのは建前上だった。
本当の理由は、ここまで能力を展開し続けることと広範囲に使うのは初めてなのに、未だに頭痛や吐き気などを感じていないことだった。
「(本来、ギアスなどは強力になればなるほど反動が強いはずだ。 それは
────ドゴッ!
「ぐぉ?!」
ロロの機体が衝突音とともにひどく揺れては頭を打ち、変な声を出して思わず視線を敵から外してみると────
「────この私を、足蹴にするだとぉぉぉぉぉぉ?!」
お、オイラはありのままの話をするぜよ?!
『掻い摘んでくれ』?
む・り。
『ユーフェミアから皆がGX01に襲われていると聞いてヴィンセントで飛び出てきてみたら別のヴィンセントが周りを氷漬けにしていて“あ、これ、やべぇ”と思いながら応戦したら案の定“ナイトメア・オブ・ナナリー”の漫画でみた“真の魔王である私~”のロロ枢機卿の感じの奴で某奇妙な冒険パート3の
と言うか見事なラ〇ダーと言うかイナズ〇キックが炸裂したぞオイ。
ちなみに敵ヴィンセントに
いやいやいや、ちょっと脱線しすぎじゃないか?
……うん。
見た目がちょっとごつい蒼天だ。
紅蓮型の半身バランスが悪いところを補うためにデザインを変えたのか、上半身はそれほど変えずに下半身だけ強化したような感じだ。
ぶっちゃけていいか?
なんだかアー〇ードコ〇でレッグパーツを細いヤツのLN-502からLNKS1B46Jに変えた感じ。
『うりゃああああああああ!!!』
しかも通信機からはここにいない筈のカレンの声ががガガががががガが?!
いや、考えろ俺。
『両足蹴り』に『試作型蒼天(のパワーアップ版?)』と決め手は『カレンの声』……
そこから導かれる考えは一つだけ!
『どういう経路か知らんがカレンが試作型蒼天に乗って飛び蹴りを敵ヴィンセントに食らわせている』と言う事だ!
*注*現在のスバルは色々なことが心身ともにあり思考力低下中だったのを驚きから無理やり気張っています
『スバル大丈夫ああああああああああああ?!』
そして見事なキックで敵ヴィンセントが吹っ飛び、入れ替わるように着地した試作型蒼天が凍った地面にズコーと昭和風ギャグみたいに滑って慌てる声がする。
うん、カレンだ。
昔から『猪突猛進的で勢いは良いけれどそのままどこか引き締まらない』のは変わらないな。
正直見ていて和むし、俺が助かっているのは本人に黙っているが。
言ったらグーパンが出そうだし。
「ああ、大丈夫かどうかで基準すると
『……あ、うん。』
あれ? 今の間は何ぞや?
ドゴォン!
『私を足蹴にするなど万死に値する! そこの紅蓮型、楽に死ねると思うなよ?!』
『うわぁ、なんか中ボスっぽいセリフ……』
ロロ(仮)機がオープンチャンネルでそう叫ぶとカレンが俺の心境で思っていたことを代弁する。
いや、そんなことよりも────
『カレン、こいつに有効打を与えるのはお前に任せる。』
『わかったよ。 動きはどうする?』
『お前に合わせる。』
────好機だ。 俺一人と言うか初期装備ヴィンセントでは『天地がひっくり返る』でもなければ勝てない。
幸い、装備は以前の試作型蒼天のモノも揃っている上に俺がwZERO部隊で開発した装備も追加されている。
こうやって見るとマジに『武蔵』って感じがするな~。
…………
………
……
…
『うおりゃぁぁぁぁぁ!』
試作型蒼天(強化版?)のパイルバンカー……の予備の杭を投擲すると、質量を持ったそれは弾丸のように大気の氷に弾かれることなくそのままロロ(仮)機へと一直線に飛来する。
見え見えの攻撃なのでロロ(仮)機はそれを躱すが、想定内だったので杭の飛ぶ方向に動いた俺の機体はそれを手に取り、遠心力も追加して投げると敵の機体を掠る。
そしてその杭を避けたタイミングで、カレンの機体は新たな杭を投げては最初のモノを取って俺のように投げ返す。
いわゆる『ひでぶ』とかが代表的な作品でサ〇ザーの部下で噛ませ犬役だった“ハイハイハイ”のナイフ投げの双子がしたような『ハメ技』だ。
これなら一定の距離を保ちながら攻撃もできるし、杭を投げているわけだから凍っても質量が増すだけであまり支障はない。
う~ん、やっぱりコードギアスの『熱血ヒロイン代表』だけあってカレンは凄いな。
まるで俺のやりたいことが伝わっているような動きをするし。
『ふざけるな!』
キィィィン。
ガガ!
ロロ(仮)機から怒りのこもった叫びと共に、耳鳴りのような音が機体の装甲越しに耳朶を震わせると地面の砂がのっぺりとガラス張りのような光を反射し、大気の水分によって洞窟内で見るような鍾乳石のように空中で凍り付いた杭をガッチリと掴む。
『大地が……氷漬けに?!』
『カレン、輻射波動を使え!』
『出力は?!』
『
カレンは見ている間にもドンドンと広がる
すると試作型蒼天は右腕の形態を変える……のではなく、背中に背負われていた紅蓮より大きなクローアームの形状をしたスペア
見た目的には、完全にR2で見た『甲壱型腕』と『徹甲砲撃右腕部』の中間っぽいのはカンガエナイヨウニシヨウ。
ウン、ソノホウガイイネ。
さて、ここで問題です。
大気と地面は冷気によって氷が出来ている。
そして輻射波動は高周波で膨大な熱量を一気に発生させる。
この二つが衝突するとどうなるか?
バキバキバキバキバキバキバキ!!!
答えは『粉塵爆発』だと思っただろうか?
『何────?』
『地面が────!』
────残念、ただ脆くなった地面が崩れてぽっかりと開いていく大穴の闇に機体が飲み込ま
────のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!
俺はヴィンセントのスラッシュハーケンを崩れていない地面めがけて打ち出し、何とか機体の制御────
『お、お、落ちる?!』
────は諦めて、ヴィンセントの足で壁を蹴って焦るカレンが騎乗している試作型蒼天が落ちている方へと機体を動かす。
『スバル────?!』
『────喋るな、舌を噛むぞ。』
“我ながら口下手が憎い”と思いながらも、スラッシュハーケンをまた打ち出して崩れていない壁────
ガラガラガラガラガラ。
────あ。
崩れていない壁が崩れ、浮遊感が体を襲ったと思えば落下が徐々にスピードアップしていくことに実感が追いつく。
『ほぎゃああああああああああああああ?!』
「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ?!」
目の前が真っ白になって気を失いそうになるがカレンの叫び声で何とか意識を繋ぎとめるも、俺自身も叫んだ。
「…………………………」
場は移ろい、ブリタニアの本国から来た者たちの拠点としてユーロ・ブリタニアが提供している場所の一つでスザクは一人でいつものように彼用にあてがわれた執務室で事後報告や事務作業を続けていた。
未だにEUの断固抗戦を口にする強硬派の手綱は講和を求めている者たちに握られず、小競り合いは日々続いていた。
「(それだけならいいが……)」
それは別にスザクや、シュナイゼルが半ば彼に押し付けたコノエナイツのレドやシュネーにとっては重荷ではなく、むしろ有用性を示すにはいい機会と思いながら鎮圧に励んでいた。
「ふぅー。 (問題は……)」
ため息を出しながら窓の外を見るスザクは先日、ユーロ・ブリタニアの元軍部の鎮圧から様子が明らかに変わったシュネーだった。
「(後から知ったけれど……あの時シュネーが上手く反撃できなかった男、ヘンリックは彼の友人と聞いた……)」
レドから話を聞いたスザクはそれとなく気にかけたのだが、日にちが過ぎていくほどにユーロ・ブリタニア軍の『暴徒鎮圧』の命は増えていき、シュネーは戦場であるにも関わらず放心状態が目立つようになって来ていた。
「(シュネーは良くも悪くも生粋の『貴族精神』を持っている。 今までは何とか後衛にいたから支障は出ていないが最悪、動きがこれ以上鈍くなる状態にでもなれば命を落としかねない。)」
ピピー♪
スザクは電子音の下端末を見ると、またも出撃要請が来ていた。
題名は『
「(────相手はまたユーロ・ブリタニアか。) ……よし。」
彼は依頼の受信を承諾してから机から立ち上がり、少し前にカノンに頼んで作成した紙を棚から取り出す。
…………
………
……
…
「た、待機でございますか?」
「そうだ。」
G1ベースの格納庫で出撃用意をしていたシュネーに、スザクは先ほど手に持った紙を手渡す。
「シュネー、君はここで待機するんだ。 シュナイゼル殿下の了承も得ている────」
「────そ、そんな! 私は大丈夫です! お願いです、参戦させてください────!」
「────今の君は危うい状態だ、許可できないよ。」
スザクの言葉に困惑するシュネーを見ているとかつての自分を連想してしまう。
今では『キュウシュウ戦役』と呼ばれる戦場で、自分で自分を嫌いだったことを気付かせてくれた人を思い出す。*2
「(そうだよね。 こういうモノは意外と本人はわからないことだよな。) シュネー。 君は気付いていないかもしれないけれど最近は戦闘中に、考え事に没頭しているようなことがある。 それと同時に、さっきみたいに焦るのは君らしくもない。 何がそうさせている?」
「……………………」
「前に戦った“ヘンリック・ゲーラー”と言う者と相対して、上手く攻撃できなかったことと関係しているのかい?」
シュネーはスザクの問いに黙り込みながら目を泳がすが、スザクの口にした名前でハッとして目を合わせてしまう。
「話に聞いたところ、君と彼は知人だったそうだね?」
「……ええ、そうです。 私はあの時、何度もヘンリックを撃墜できるチャンスがあったのに出来なかったのです……だって、相手は同じ主君を持つ仲間の筈なのですよ?! それに、“自国民を守るという信念は同じ同胞の筈なのにどうして戦う必要がある”と思うと……枢木卿は、どうして黒の騎士団と戦えるのです?」
シュネーは最後に口にしたことを自分でも信じられないのか、その場にいたレドのように血の気が顔から引いていくのを感じた。
逆に『不敬罪』にも取れるようなシュネーの『どうして
「(『どうして戦える』、か。 まさか『ユフィの所為』と口が裂けても言えないかな?)」
スザクは一瞬考えてから落ち着いたまま、再び口を開ける。
「戦っていられるのは、『願い』があるからだよ。」
「『願い』、ですか?」
「うん。 僕は、“その為に割り切れ”と自分に言い聞かせている。」
「その……枢木卿の願いとは?」
「……」
『ここにいる皆がその時でも笑顔でいられますように』
一瞬、今では懐かしいとも思えるアッシュフォード学園で友人の一人がタイムカプセルを埋めるときに言った言葉が脳内をよぎり、スザクは思わず微笑を浮かべる。
「もう少ししたら、賢いシュネーの事だからたどり着くんじゃないかな?」
そうスザクは言いながらはぐらかしてランスロットへ騎乗し、シュネーは更にハテナマークを浮かべているとレドがシュネーに近づく。
「要するに、『甘ったれないで自分で考えて理由を見つけて納得しろ』だと思うよ?」
レドの言い方はその通りなのだが、少々辛辣味が増していたのでシュネーは彼に馬鹿にされたと思ったそうな。
丁重な誤字報告、誠にありがとうございます。 お手数をお掛けになっております。 m(_ _)m