小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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輻射波動のマイクロウェーブ破を受けたような暑さの中で煮えながらも原作に向けて次話の投稿です。

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!

7/5/2022 21:35
誤字報告、誠にありがとうございますプッコプコさん! <(_ _)>


第17話 マッドは『マッド』でも『狂気』ではない

「ではいってきます、咲世子さん。」

 

「はい。 いってらっしゃいませ、お嬢様。」

 

 アッシュフォード学園の朝、ナナリーはいつものように中等部への登校を咲世子に見送られていた。

 

「ナナリ~!」

 

「アリスちゃん? ……今日()お一人ですの?」

 

「ング……それ、どういう意味?」

 

 いつもと違うことをナナリーが指摘するとアリスが複雑な顔をする。

 

「だっていつもならアリスちゃんとスヴェンさんが仲良く言い合いをしているので……」

 

「な、“仲良く言い合い”って……ただ気に入らないだけよ。」

 

「気に入らないって……何がですか?」

 

「だって高等部と中等部の建物は違う方向なのに、よくナナリーをルルーシュ先輩と共に迎えるなんて絶対に裏があるわ! 頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群、楽器の演奏技術に作法その他諸々……優良物件過ぎてルルーシュ先輩と並んで、学園の裏サイトでは“女生徒たちの付き合いたい男子トップ5”の一人をずっとキープしているのよ? だというのに浮いた話が一つもない! 

 絶っっっっっっっっっっっっっっ対に何かあるわ! ホモとか!」

 

 ナナリーがクスリと笑う。

 

「アリスちゃん、もしかして焼きもちですか?」

 

「はぇ?! ち、違うわよ!」

 

「フフ、冗談ですよ。 スヴェンさんからはどちらかと言うと、咲世子さんやミレイ先輩と似たような感じがして来ますから。 何か知っています?」

 

「高等部の女子たちが噂していたけど、あいつは今日は遅く来るみたいよ?」

 

「珍しいですね?」

 

「あいつの主人であるシュタットフェルト家のご令嬢と関係しているんじゃない? ほら、病弱らしいからさ。」

 

「大丈夫でしょうか……」

 

「アイツなら心配ないわよ、多分。 そこら辺のゴキブリ以上の回避能力持ちだし。 それよりも私、困っているの! 聞いてくれるナナリー?!」

 

「え? あ、はい?」

 

 活発な様子が似合うアリスが何時もとは違う切羽詰まった様子になっていたことにナナリーはびっくりした。

 

「久しぶりにj────()が連絡をして来てね?! “近い内、そっちに来る子の面倒を見ろ”って一方的に言ってきたのよ!」

 

「まぁ……それは急ですね。 アリスちゃんと過ごす時間が減ってしまいますね?」

 

「あ、それは大丈夫かもしれない。 何せその子も中等部に転入してくるらしいから。」

 

「あら、ではその子とも一緒に時間を過ごせますね!」

 

「うん……ただ……」

 

 アリスの浮かない声にナナリーがコテンと頭をかしげる。

 

「“ただ”?」

 

「その来る子……()()()()()()なのよ。」

 

「貴族の方ですか?」

 

「…………………………ナナリー、誰にも言わない? 絶対に?」

 

「はい、アリスちゃんの頼みでしたら例えお兄様にでも言いません。」

 

 「……………………侯爵(マーキス)。」

 

「まぁ! ……それは、とても大変(責任重大)ですね。」

 

 ナナリーがそう言うのも無理はない。

 

『侯爵』とはブリタニア帝国内で皇族を除けば、上から数えたほうが圧倒的に早い貴族階級。

 

 ここまでとなると、先祖の中に皇族との繋がりがあっても全くおかしくはないほどの者たちがほとんどなのだ。

 

「ですが、そのような方が何故アッシュフォード学園に? 本来なら本国での教育機関に通うような気がするのですが……」

 

「それがまっっっっっったく分からないから困っているの! jy────“家”の人からも“深く詮索するな”って念を押されるし!」

 

「あの……辛かったらいつでも相談に乗りますから、元気出してアリス?」

 

「な、ナナリ~~~~~~~~~~……ふぇぇぇぇぇぇ。」

 

「よしよし。」

 

 アリスは涙目になりながらナナリーを抱きしめるとナナリーが彼女の頭をなでる。

 

 余談だがその姿は聖母が悩む羊をなだめるそのものである。

 

「ありがとうナナリー! ナナリー成分を十分補充出来たわ!」

 

 数分後、抱きしめ合うのをやめたアリスの言葉に?マークをナナリーが頭上に出す。

 

「“ナナリー成分”???」

 

「(クッソー! マッド中佐のハゲ野郎~~~~!!! こちとらアンタが出した監査命令の為に学園にいるというのに、“さるお方が転入するから護衛もしろ”だなんて~~~~!!! 

 “貴様の能力ならワケない” なんて知るか! クソハゲが! せめてダルク……は口が軽いから無理だとしても、サンチアかルクレティアくらい寄こしなさいよ! 

 一人じゃ無理があるっつーの! “今のエリア5での作戦が控えている”だ~~~? 知らないわよ!)」

 

 そしてアリスは内心でこれ以上ないほど愚痴をイライラしながら零していた。

 

女子学生()の仮面』を必死に維持しながら。

 

 もうすでに察したかも知れないがアリスはただの女子学生を装っている軍人で、ブリタニア帝国の()()()特殊機関の実行部隊の一員である。

 

 その名も『特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)』と呼ばれ、現在エリア11に駐在しているバトレー将軍直属の少数精鋭部隊。

 

 その存在は、ブリタニア帝国でも一握りの上層部たちにしか知らされていない機密情報の塊である。

 

 そんな部隊の一員であるアリスがなぜアッシュフォード学園にいるのかは、またあとで記入しようと思う。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 「私は()()()()・ブリエッラで~~す! これから少しの間だけよろしくお願いしますです~~~~!」

 

「まぁ……想像と違い、かなり元気な方でよかったですねアリス?」

 

「ハ、ハハハ。 ハハハハハ。」

 

 アリスたちのいるクラスには元気よく、笑顔いっぱいで両手を振りながら自己紹介をする金髪碧眼縦ロールの少女に虚ろな目をしてドライな笑いを出すアリスの顔は引きつっていた。

 

 「(“さるお方”が“()()()()”なんて聞いていないわよぉぉぉぉぉぉ?!)」

 

 アリスは怒りを軸にして、何とか気が遠くなる意識を保った。

 

 上記の転入生、『ライブラ・ブリエッラ』に関してアリスは学園門まで見送りに来たSPらしき者から情報の漏洩を防ぐために口頭で彼女の身元を伝えられた。

 

『現総督の実妹だ』、とだけで彼女はその他を悟った。

 

「(現総督と言ったら、クロヴィス殿下の事……でも、彼に『妹がいた』だなんて聞いたことが無い。 ビグロブ(サーチエンジン)に検索を掛けてもヒット数は()()。 もし『直接の命令』も、『口頭で伝える』と言う徹底さが事前に無かったら大きなドッキリとしか思えない冗談みたいな話だわ。)」

 

「ライブラさん、しつもーん!」

 

「ハイです~?」

 

 その時、一人のクラスメイトが手を挙げながら自己紹介をしたライブラに問いをかける。

 

「ブリエッラさんに好きな人とかいますかー?!」

 

「ブフォォォォ?!」

 

「??? どうしたの、アリス?」

 

「……ちょっと、むせただけ……」

 

「私の好きな人は~、お兄様で~す!♡」

 

「「「「“お兄様”?」」」」

 

「(ぎゃあああああああ! この子、ナナリー以上に天然だぁぁぁぁぁ?!)」

 

「あ、ナナリーと一緒だ。」

 

「ふぇ?」

 

 ライブラは『ナナリー』と聞き、クラスの何人かが見ていた目線を追う。

 

「あ、申し遅れました。 私がナナリー・ランペルージです。 始めまして、ブリエッラさん。」

 

「……うん! 初めましてです!♪」

 

「(何、今の間と顔?)」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ライブラちゃん可愛い~~~~!♡」

 

「く、く、苦しいです~。」

 

「懐かしいですね、アリスちゃんもよくミレイさんにああやって抱きしめられていましたね?」

 

「ウン、ソウデスネ。」

 

 何時もよりゲッソリとしたアリスは生気の抜けた生返事をナナリーに返す。

 

 場所はクラブハウス。

 

 あの教室での自己紹介以後、アリスは気を引き締めていざという時すぐにフォローが入れるようにしていたため精神的に疲れていた。

 

 今まで何もなかったとはいえ、ライブラ(と名乗って姿も多少変えているライラ)の行動と発言はどこか危うく、彼女と話し合う時間もなかったので気が一瞬も緩められなかった。

 

「フゥー、いつにも増してクラブハウスは騒がしい────ッ?!」

 

「ってあれ? ミレイ会長、新しい子ですか?」

 

「あら、良いところに来たわねルルーシュにスヴェン。 この子はライブラ・ブリエッラちゃん! 今日ナナリーのクラスに転入してきたばかりな素直な子よ~!」

 

「ミレイさんの胸が苦しいです~。」

 

 

 


 

 

 クラブハウスにスヴェンと一緒に入ってきたルルーシュはライブラの姿を見ては玄関で一瞬だけ固まっていた。

 

 その間、彼の脳内は以下のような思考が張り巡らされていた。

 

「(『ライブラ』、だと? 違う! そいつの名はライラ! ライラ・ラ・ブリタニアだ! 現エリア11総督であるクロヴィス・ラ・ブリタニアの妹がなぜここに? 子供のころから容姿が多少変わったところで見間違うものか! だがなぜここにいる? 分からん。 まさか俺とナナリーの事がバレた?! いやそれにしてはミレイ会長は平然とし過ぎている、それに────!)」

 

 ────ここから彼は何個もif等を類推してからついには『様子見(確認)』に徹することに決めた。

 

 幸い、何個かの要因が彼を過激な行動に今すぐ出ることを止めていた。

 

 ライラがナナリーや彼の事を覚えていない行動をしていること。

 次に学園長の孫であるミレイが事前に何も言ってこなかったことから彼女はライラがルルーシュたちに気付いていない様子、そしてミレイが何時もの調子であるという事はライラも素性を隠していると推測できた。

 

「(大丈夫だ、この様子だと奴は俺やナナリーの事を覚えていないみたいだ。 ここでまさか、奴の母親であるガブリエッラ・ラ・ブリタニアが俺とナナリーに極力接触させなかったことが幸運に転じるとはな! 

 もし上手く出来るのなら、一方的にクロヴィスの情報をこいつから引き出せるまたとないチャンスだ!)」

 

 ここまで考えることに要した時間、一秒未満である。

 

「(だが遠目とはいえ、俺とナナリーを見たことがあるかもしれん……仕掛けるか。) やぁ、()()()()()ブリエッラさん。 俺はルルーシュ・()()()()()()。」

 

「ブハァ! 初めましてです! ライブラ・ブリエッラです~!」

 

 ミレイの抱擁から自分を解放したライラが満面の笑みで挨拶をルルーシュに返す。

 

「(本当に俺やナナリーを覚えていないみたいだな。 それとも演技か?)」

 

「初めまして、ブリエッラさん、スヴェン・ハンセンです。」

 

「…………………………」

 

「ブリエッラさん?」

 

「凄くキラキラしているのです~!!! もしかしてどこかの王子様ですか?!」

 

「……いえいえ、一介の学生でございます。 (ニコッ&歯がキラッ)」

 

「そうですか?」

 

 ライブラは首をかしげて数秒後に同い年のアリスたちの元へと駆け寄り、今度はシャーリーたちも加えて元気よく挨拶をしていく。

 

「(……すこし想定外な行動を起こしたが問題はない。 次の確認だ。) 急な転入ですね会長? 何か聞いていますか?」

 

 ルルーシュはその様子を見ながらライブラ(玩具)を取り逃がして残念がるミレイに問う。

 

「ん~、何か今朝のお爺ちゃんも驚いていた。 あの子、あれでも()()()()()なんですって。」

 

「ブリエッラ侯爵家の?」

 

「(やはり素性を隠蔽しているか、しかもその様子ではかなり高度に。)」

 

「ミレイ会長……流石に私に“彼女の面倒を見ろ”なんてまた言わないですよね、ミスルギ嬢の時のように?」

 

「(スヴェン、まだあのすれ違いの事を根に持っているのか……無理もないが。)」

 

「い、言わないわよ……あの時は本当にごめんってスヴェン……」

 

「(そう言えばスヴェンは従者見習いをしていたな。) スヴェン、ブリエッラ侯爵家の事を知っているか?」

 

 ルルーシュの質問にスヴェンはいつもの笑みを浮かべながら口を開ける。

 

「ええ。 と言っても『偏屈者で世間嫌い』で有名な家で、他家との交流なども最小限と聞いています。  ですがその昔からの功績が認められて未だにその爵位を維持しているとか。 ブリエッラ嬢を見る限り、『世間嫌い』を反面教師にしているみたいですが。」

 

「ねぇねぇスヴェン! ブリエッラ家に、男の子は居るか分かる?」

 

「私が知る限り、()()()だと聞いております。」

 

「なぁ~んだ。 ライブラちゃんみたいな男の子がいたら、生徒会の空気────コホン! 男女比率が丁度いいぐらいになるのにな~。」

 

「今“空気”と言っていませんでしたか、ミレイ会長?」

 

「気のせい、気のせい♪」

 

 ミレイとスヴェンのやり取りを横に、ルルーシュは内心ほくそ笑んでいた。

 

「(こいつ(ライラ)を使えば、今まで考えていたいくつかの計画の前倒しも夢ではない!)」

 

「そっかぁ! じゃあブリエッラちゃんには憧れているお兄さんがこのエリアに配属されているのね!」

 

「ハイですシャーリーさん!」

 

「ブリエッラ家に嫡男? ……これは何か事情が匂いますね。」

 

 これを聞いたアリスの顔色は悪くなり、スヴェンは考え込むような仕草をするがルルーシュの中では容疑が確信へと変わった瞬間だった。

 

「(やはりか。 しかも存在している戸籍を使うとは……だが何の目的でライラをここに送ったのか知らんが人選をミスったな、クロヴィス。 ライラを上手く利用すれば、貴様らも俺やナナリーの味わった────)」

「────それで、家族と一緒にブリエッラちゃんはエリア11に来たの?」

 

「いいえ! 大好きなお兄様と一緒にいたいからです!」

 

「へぇー、本当にナナちゃんみたい!」

 

「えへへへ、来たのは私一人だけですけど……」

 

「ッ。」

 

 ライブラの言ったことに、ルルーシュは一瞬だけ今の彼女とかつて、目と足がまだ正常だった頃のナナリーを連想してしまう。

 

「(………………クソ! 何を考えているんだ俺は!)」

 

 

 

 余談であるが、その時のスヴェンはライブラたちのやり取りを見聞きして内心ほっこりしていたそうな。

 

『アリスみたいに原作では登場しなかったキャラの一人や二人の追加、もう俺は驚かないよ。 俺や毒島やアンジュリーゼと言う前例がいるし、何より素直で元気で良い子じゃないか……何故かイライラさせるアリスと違って。 それにしても立派なDRILLたちだなぁ~、頼んだら天元突破セリフをノリノリで言ったりして』と考え(のほほんとし)ながら。




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