小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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作者:注意事項、アンケートへのご協力頂き、誠にありがとうございます。 結果にて後半辺りから残忍and/or残酷な描写が出てきます。 ご了承下さいますようお願い申し上げます。 m(_ _)m

マオ(女):つまりは注意事項その2! 飛ばす選択を取った皆の為に次話は『教えて、マオ先生コーナー』がで~る~よ~♪

スバル:内容が物騒なのに何この『なぜなに』っぽい流れは?


第171話 『深淵に覗きこめば、逆も然り』

 少しだけ時間を遡らせて話をしたいと思う。

 

 それはまだオルドリンの母オリヴィアが健在だった頃。

 

 ジヴォン家にとある()()()()()()()()を頼った一人の褐色少女────トト・トンプソンが新人のハウスメイドとして雇われた。

 

 ()()()()であるオルドリンは年の近いトトとは直ぐに打ち解け、血の繋がっていないどころか名誉ブリタニア人だったトトとブリタニアの貴族令嬢であるオルドリンはまるで本当の姉妹のように共に育っていき、それはオルドリンの親友であるマリーベルが家族を()()()()によって失っても、オイアグロがジヴォン家を簒奪した後でも変わらなかった。

 

 それから月日は過ぎていく中トトはオルドリンの期待に応え、オルドリンはマリーベルの期待に応え、それがグリンダ騎士団へと繋がって『これからの冒険へ旅立つめでたしめでたし』へ……

 

 

 それだけならば当たり障りのない話になるのだが、オルドリンにとって『家族』となったハウスメイドは()()()()()()()()()()()()()()()()()として教育を受けたギアス嚮団のギアス能力者兼エージェント。

 

 理由は至極単純にギアス嚮団とはプルートーン経由で繋がりを持つジヴォン家で『無知』であるオルドリンの監視による嚮団の隠蔽。

 

 プルートーンの団長や精鋭が一緒に住んでいるとはいえ、彼ら彼女らも人間で年も一回り離れているので()は必ずどこかで生じてしまう。

 よってギアス嚮団の嚮主V.V.はオルドリンの側にトトを置いた。

 

 トトを選んだのは、当時のギアス嚮団で育っていた者たちの中で彼女が最適だったから。

『反抗心が薄くて従順』、『大人しい性格』、『歳が対象と近い』、『発現したギアス能力も適任』等々。

 

「(……私は、どうすれば……)」

 

 そんなトトは迷いながらもグランベリーの中を歩いていた。

 

 本来、ギアス嚮団は極秘の研究機関という事と研究の内容も相まって外部から極力意図的に切り離されているいわば『陸内の孤島』。

 

 そんなところで育ったギアス能力者の子供はとてもではないが普通に育てられることはなく、いざ外の世界に出ても上手く馴染めずに必要以上に目立ってしまう。

 

 それも昔ながらの風習で万が一にもギアス能力者が脱走してもすぐに見つけられるようにする為に意図的な環境だったのだが、これでは研究は捗らない上にコミュニケーション方法や技術が加速化していく世界では情報漏洩の危険が段々と増していった。実際に未遂による事故は多発したので『現状維持』とは言っていられなくなった。

 

 そんな時にV.V.の指示によって外部から連れて来られた少年────()()()()()()()()()()()()()()()オルフェウスは渡りに船だった。

 

 現に彼と仲が良くなったギアス能力者たちは全員、外部で活動できる実行員(エージェント)として必要な常識や作法を手に入れた。

 

 ただし、その浸透が速すぎて諸刃の剣になるとギアス嚮団が気付いた頃には、オルフェウスは恋人のエウリアと共に脱走した後だった。

 

 これを教訓に実行員(エージェント)になれる可能性を持った者たちに対して、嚮団は『教育』と同時に支援組織のエデンバイタル教団の成果から得た『呪縛(処置)』が施されるようになった。

 

 V.V.の命令でトトは生き別れた『オルフェウスの代わり』としてオルドリンに付け込んで彼女がオルフェウス、あるいはギアス嚮団の事を知ればその都度にギアスを使ってオルドリンの『記憶の管理』をギアスで────文字通り対象の神経(シナプス)を弄ることで記憶障害を故意に起こす『忘却のギアス』で行ってきた。

 

 その為にトトは今までかなりの事をやってきた。

 

 ふとしたことでオルドリンが『自分は一人っ子ではない』と感付かれそうになるとトトは『忘却のギアス』でオルドリンの記憶を消したり、あるいは(一例として)日々明け暮れる訓練に関して癇癪を起していたオルドリンを見てジヴォン家の使用人が『母親(オリヴィア)は人を殺すことで家を繁栄させているボンボンのくせに』と愚痴の様な嫌味を漏らしてしまった時には後日その使用人を()()()()()()()()()()()()()などもした。

 

 これだけ見れば、トトは原作アニメのロロに似てなくもないが……彼と違うところは年月が過ぎていく間に監視対象であるオルドリンに情が移ったこと。

 

 よって、アニメのロロと違ってトトは自分に与えられて未だに続く任務は『オルドリンからオルフェウスの記憶を消すこと』と『ギアス嚮団に関する情報の隠蔽』の遂行をしながらも反逆スレスレの行為で、オルドリンから身に降りかかる危険と嚮団を遠ざけていた。

 

 オルドリンとオルフェウスは出会ってしまったが、グランベリーもずっとこの場に滞在するわけが無いのでタイミングを見計らってからグリンダ騎士団の皆にギアスを使えば何とかなる。

 だが、そうするとグランベリーの集めたデータもどうにかしなければいけなくなる。

 

 トトもオペレーターとしての心得を持っているので操作はできるが、本業のエリスほどではないのでどうしてもデータに不自然さが出るだろう。

 そして発見されれば芋づる式に改竄が発覚する可能性があるので、今度はオルドリンに加え本格的な隠ぺいが出来るまでエリスも監視対象となってしまう。更に、主人であるオルドリンと違ってエリスとは『只のオペレーター同士』。

 

 常に傍にいる理由や接点が少なすぎる。

 

 それにもしどうにか出来たとしても、更に問題なのは────

 

「────トト・トンプソンだな?」

 

 トトは背後から来た声にピタリと歩みを止め、いつもの笑顔を顔に出しながらメガネを外して汚れを拭くふりをしながら振り返ると彼女が懸念していた金髪の少年がいた。

 

 セントラルハレースタジアムに現れたヴィンセントの強奪者と思われる疑いにオルフェウスとオルドリンを会わせる等、今までの出来事からの憶測ではあるが『ギアス』のことを知っているだけでなく深くかかわっている人物なのは確か。

 

「はい、どなたでしょう────?」

「────芝居はいい。 俺はただ、言いに来ただけだ。 ()()()()()()()()。」

 

「ッ。」

 

 トトは上記の言葉を聞いただけでそれが何を意味するか察したのか固まってしまう。

 

 普段はポワポワとした子犬系少女メイドを装っている彼女だが、素はかなり聡くて頭の回転が速く比較的に優秀である。

 

 よって、()()()()()()()()傾向があり空回りしやすい。

 

 故に、『最適』であった。

 

 

 

 


 

 

 

 というのを、『双貌のオズ』の設定集で読んだことあるな~。

 

 俺は外側で見せていた見栄とは裏腹に、内心ドキドキしっぱなしでオズの隠れ死亡フラグ────『トト・トンプソン』と対峙している。

 

 彼女はクララと同じでギアス嚮団の実行員であると同時に『良心』でV.V.からオルドリンを守るために動いて代わりに死んだ。

 

 だが原作雑巾(ロロ)のことを考えれば『ギアス嚮団には逆らえない』という考えを何らかの方法で刷り込まれている……と思う。

 

 なら、ルルーシュがやったようにこちら側に引き込める可能性はある。

 

 それ故にさっきの“知っている”のセリフだ。

 

 実はトト、オルドリンの性格を把握したV.V.によって送り込まれて監視対象と仲良くなり過ぎることも利用されて『オルドリンを裏切っている』という事でV.V.に脅されている。

 

 いや……それだけじゃなかったな。

 

 トトはオルフェウスとエウリアの逃亡先の探索にも関わっていて、その所為でエウリアは殺されてオルフェウスはピースマークに所属することになって、オルドリンとオルフェウスは争うことになった。

 

 全ては、V.V.の掌の上(陰謀)

 

 なら、俺は真正面の正攻法でぶちのめすだけだ。

 

「ぁ……ぇ?」

 

 おっと、考えすぎて無言の威圧でトトがヨロヨロし出した。

 

「オルフェウスとオルドリン、双方は“トトの所為じゃない”と“トトは(オルドリン)の家族だから許す” が開口一番だったぞ?」

 

「………………………………え。」

 

「二人はお前の思っているように似ていて、不器用ながらも優しいという事だ。」

 

「あ────」

「────っと。」

 

 気を張り詰めていたトトは脱力したのか、ホッとしすぎたのか足から力が抜けて倒れそうなところを支える。

 

 ……軽いな。

 

「大丈夫か────?」

「────そんな……私……なんで……どうして……え────」

「────二人にとって、お前はそれほど大事な存在で許しているという事だ。」

 

 トトは顔を俺に向けて、泣きそうな彼女の目と俺の目が合う。

 

 う~ん、褐色銀髪赤目少女と幼さを残す童顔に反して大きくて素晴らしい餅をお持ちですな♪

 

 実はさっき、オズオズとオイアグロたちに色々と暴露した時にギアス嚮団とトトのことも話したが、意外にもオルフェウスとオルドリンは怒るどころかトトも同じ被害者として憐れんでいた。

 

 オイアグロは“オズ(オルドリン)の近くに刺客がいたとは……”とブツブツ言ってショックを受けていたが。

 

 それにしても、コードギアスの闇ってマジに8割ぐらいがクソショタジジイのモノだな。

 陰謀は6割ぐらいか?

 

 どっちにしても高いがなコンチクショウめ。

 

「それと、俺にギアスは効かん────」

「────ッ。」

 

 やっぱり俺をじ~ッと見ているのはギアスか。

 

「信じないのなら、使い続けるといい。 ただ、これから主人とオルフェウスと隠し事なしで話して辻褄を合わせて、今まで通りの『異常無し』と報告をしていればいい。」

 

 トトを通路の壁に寄りかけさせてから、俺は歩き出す────

 

「────嚮団の人ですか?」

 

 そして声を掛けられた。

 

 う~ん、『違う』って言ったらうさん臭さが100%ぐらい増すな。

 ……よし。

 

「……お前やオルフェウス……いや、どちらかというと()()()()()()()()だ。」

 

 それを最後にトトに()()()()()()()歩きだす。

 

 半分、賭けだ。

 

 もしここでトトに背後から襲われるのなら、彼女は『任務』を優先することになる。

 余程のことがない限り……あれ? でもトトってブリタニアの名誉騎士証を持つぐらい優秀だったような……

 

 それに『半分賭け』って、普段の俺ならばこんなことをしないのに……思っていたよりかなり疲れているのかもしれない。

 

 どちらにせよ、とっととエデンバイタル教団方面の事を片付けてからコーネリアたちとも話をして、グリンダ騎士団とも交渉の場を────ああああ面倒クセェ。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「あ、お兄さんヤッホー♪」

 

 で、リア・ファルの方に向かったら何故か嬉しそうなマオ(女)が出てきた。

 

 そしてそんな彼女の来た場所からはどう見てもお通夜状態のように顔色を悪くした毒島の手下部下がいた。

 

「聞いてよ! 1()0()()()()()()()()()()よ! やったね♪」

 

 ???

 

 ハテナマークだけが内心を埋め尽くす俺の様子にマオ(女)はキョトンとしてはニヤニヤし始める。

 

「……あれれれ~? もしかしてお兄さんでも知らないことなのかな~?」

 

「どういう意味だ、マオ?」

 

「そっかそっか~♪ じゃあさ、一緒に見ようよ♪」

 

 そう言われてマオ(女)に腕を掴まれて半ば無理やり引きずられて、思ったよりヘロヘロだったのか何度か足を踏み外す。

 

「お兄さん大丈夫? 肩貸すよ────?」

「────それよりも俺をどこに連れていく?」

 

 俺はそのままマオ(女)に連れられたのはリア・ファルの空き部屋の一つだった。

 

 え。

 

 ガチャ

 

 そしてカギがかけられる音────え。

 

「ンフフフフフフフ♪ ボク、頑張ったと思うんだよねぇ~?」

 

 ナニコレ。

 

「ちょっと待てマオ────」

「────そこでこれの出番だよ!」

 

 そこで俺の顔の前に出されたのは少し汚れた()()だっt────え?

 

「あ、ごめんごめん! これじゃ分からないよね!」

 

 マオ(女)が『てへぺろ☆』とともに目玉を弄り────え゛。

 

「えーっと……開け方は……」

 

 パカッ。

 

 ってなんだ、義眼か。

 

 見た目が本物っぽい上に絵面がグロくてビックリしたぞおい。

 

「これ、()()()()()()()()()()♪」

 

 ンンンンンンンソンンンンンンンンンンンンンンンン????

 

 ワケモワカラナイヨ?

 

 

 


 

 

 

 少しだけ、エデンバイタル教団に関して書きたいと思う。

 

『宗教に興味はない』、あるいは『何だその怪しさ満点なグループ名は?』などと思うかもしれないが……付き合って欲しい。

 

 コードギアスの外伝、『ナイトメア・オブ・ナナリー』ではV.V.とギアス嚮団はなく、代わりにエデンバイタル教団がギアスの研究機関として在ったことは以前にも話したと思う。

 

 ここから先は、とある平凡な研究員の話となる。

 

『平凡』と言うが、その研究員は戦が絶えない世界の中で『人助け』に繋げられる医療とその過程で携わっていた遺伝学が他の同期たちよりも少々出来る程度だったが、論文など地道な功績がとある者の目に留まったことで、彼はスカウトされてブリタニア内の医療機器業界でもかなり名の知れた会社に勤めることが出来た。

 

 だが数年後、彼は身に覚えのない様々な疑惑や冤罪を着せられて職を失う。

『少々才能のある若手が調子に乗って独断先行』という事に利用するために期待の新人を雇う話はなんてことはなく、世界のどこにでもよくある話。

 

 ただここから違ってくるのは、極秘裏にブリタニア皇族直属の部下と称する者からコンタクトと提案が来ることだろうか。

 

『研究を続ける気はないか?』、と。

 

 まだ若いのに仕事を失くし、事件の汚名で行く当ても居場所もなく彷徨っていた彼にとっては喉から手が出るほどの案件だった。

 

 普通、胡散臭さが滲んで出るようなものだがヤケクソ気味になっていた男は過度のアルコール摂取に睡眠不足と白い目で見られるストレスから思考は鈍っていて既に承諾しながら機密保持契約書への同意するサインを求められていて、気が付いたころにはトントン拍子に()()()()へと旅立つ用意の途中だった。

 

 すでになけなしの金などを使った後なので、男はそのまま空路から陸路のバスに乗り、中華連邦内にある都市と町と村を転々と言伝頼りに旅をしていると、とうとう徒歩で数日後とある洞窟へと案内をされた。

 

 彼は迷宮の様な洞窟を進んでようやく着いた先には見たことも聞いたことも無い規模の、『地下都市』と呼ぶしかない場所を見てビックリしながらも期待が膨らんだ。

 

『これだけ大きな研究施設、きっとすごいことをしているのだろう』と。

 

 勿論、これだけ『機密』に固執するので大っぴらにできないこともしているのだろうという事は後になって想像できたが……ここにたどり着いた時点で『時すでに遅し』である。

 

 

 

 あれから研究員は聞いたことも無い、『エデンバイタル教団』とまるでドマイナーな宗教を元にしたふざけたネーミングセンスをした組織の一員となって半年後。

 

 施設で新人だった彼はその間に全く理解が及ばない細胞データの処理などの雑用をしていたがある日ようやく彼は中央施設の『予備員』として呼ばれ、身体検査とフル装備の術衣を強いられてからある部屋に入っては固まって困惑していた。

 

 彼は目の前の出来事が信じられず、ただ立ち尽くしながら己に問い続けていた。

 

 部屋の中は手術室らしき場所で、物々しい機器がずらりと設置されており中央の台の上には年端もいかない子供らしき()()がベルトの固定具で拘束されていた。

 

 ()()が辛うじて瞼を開いていた右目は死んだ魚のような視線で天井をボーっと見ており、左目は()()どころか頭の左半分はまるで硬質化した皮膚に無理やり穴をあけられ、機器から伸びたチューブが繋げてられていた。

 

 先ほど『固定』と記入したが左腕は肩から無い代わりに義腕を付けていたような跡があり、右腕は肘から先は無く、足の股から下の義肢は取り外されていたので実質()()で固定されているのは胴体と首だけだった。

 

 これだけならば『ああ、何かの事情で四肢が無いんだな』と思うだけなのだが……入室して棒立ちしていた研究員の男にとっておぞましかったのは()()の胸辺りがぽっかりと開いた()があったことと、周りの機器から数々のチューブや配線などがその()の中にまで伸びていたことだろう。

 

 時々弱々しく頭部が痙攣するかのように震える()()の動作と半開きだった口から息の様な音が吐きだされる音が、()()が辛うじて生かされていたことを悟らせてくれていた。

 

 ぽっかりと開いた穴から何かの塊のようなものを周りの者たちが出してようやくぐちゃぐちゃとした音のほかに人の声が混じる。

 

「よし、出てきたぞ。」

「C.C.細胞の中核、これで摘出完了か。」

「状態は?」

「損傷無し、NC-205号からの影響は軽度に見えます。」

「よし、208号への置換は予定通りに行うと中央に伝えてあとは次の班に任せる……おい!」

 

「ッ?! は、はい?!」

 

 棒立ちしていた研究員は声にビクつきながらも、生返事を返す。

 

()()()()を頼む。」

 

「処分────?」

「────簡単だ。 ()()をダストシュートに入れてスイッチを押すだけだ。 あとはシステムが勝手に()()してくれる。」

 

「………………………………は?」

 

()()()()()()だよ、やったことがないのか?」

 

 新人も医療に携わっている過程で、『有害物の処理』はしたことがあるがさすがに『人体』の経験はなかった。

 

「ハァ~……取り敢えず、早く処理することをお勧めするぞ。 生命維持を切るから排泄物が漏れ出してくるぞ? でないと、お前が大変なんだからな?」

 

 その間にも他の者たちはゾロゾロと動き出し、通りざまに他愛のない会話が研究員の耳に届く。

 

「いや~、疲れた!」

「けど今日のは早い方だったぞ?」

「手足を失くしても、酷い時は胴体だけでも動くからな。」

「首だけで噛み付くとか?」

「思い出させるなよ!」

「どうでも良いが、早く帰りたいよ。」

「まだ朝なのにハッスルしすぎだぞ、お前……ほかにどこにも行けないから気持ちは分からなくもないけどさ。」

 

「ああ、新人。 コレの処理が終わったら着替えて隣の部屋に入れ。 今度は元気なヤツへの移植だから長引くぞ~?」

 

「………………………………え?」

 

 新人研究員はただ唖然としていたが、声をまたもかけられて無理やり注意が引かれる。

 

「ま、せいぜい早く失神することを祈りな。 キーキーうるさくて耳鳴りがするけど、最初だけだ……直にお前も慣れるさ。」

 

「………………………………は?」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 それから研究員はどっぷりと知りたくもなかった『闇』へとズルズル引きずられていき、徐々に感じていた戸惑いは『超現象』と呼ぶほかに無い、良く分からない『ギアス』という物にも触れて次第に麻痺していった。

 

『夢だ』と、そう考えるほかになかった。

 

 例え『ガン以上に増殖能力の長けた細胞』や『研究が進んでいくうちに物言わぬオブジェ』と変わっていく子供や『姿形がとても元は人間とは思えない不適合者』や、『それ等の溶解した成分は氷漬けにされた謎の巨人(クリストファー)とやらに補給されては肉片を切り取って研究に使われている』などの出来事に研究員は徐々に驚くことに疲れていった。

 

 周りの者たちは慣れているどころか理由を聞いても『世界を救うためだ』と訳の分からないことを口にし、どこかに通報しようにも文字通り場所は陸の孤島(監獄)だった。

 

 故に『夢だ』と思えば幾分か楽になり、現実感のない毎日が繰り返されていった。

 

 やがて悪魔のささやきが彼にも届く。

 

 ……

 …

 

 

『幸い』と言ったらいいのか、彼が初めて()()することとなったのは気弱な少女だった。

 

 ただ『不幸』だったのはCC細胞の移植が上手く身体に馴染まなかったことだろう。

 

「また失敗か……」

 

「……いえ、僕の技術不足です。」

 

「次の監査日までに移植と能力の発症が出来なかったら溶解するか、あるいは解体か……いや、コレの場合は再利用が平等か……」

 

「見た目は良い方ですからね、栄養不足気味ですけれど。」

 

「ま、CC細胞自体にも相性がある。 気にすることは無い。」

 

 同僚たちの諦めるような言葉に対して、研究員は当り障りのない生返事を返して慰めの様な言葉を最後に同僚たちはどんどんと退室していく。

 

 最後にぐったりとベッドに横たわる少女と研究員だけが残ると、少女はぼんやりとしたまま口を開ける。

 

「……ねぇ。」

 

 この場所に運び込まれる以前から()()()()()()()()()()()()ことが幸いし、少女の声帯は取り除かれていなかったので音声での意思疎通は可能だった。

 

「“ようかい”や“りさいくる”って、なぁに?」

 

「ッ。」

 

 少女の純粋な質問に、研究員はどう答えたらいいのか迷った。

 ここ最近、彼の感覚が麻痺してきたと言っても目の前の少女は他の()()()()()()と違って『性格』や『知能』に『諦め気味の態度』などの様々な要因から『人工ギアスユーザー』として能力を開花しても『脅威度は低い』と判断され、無気力でも『言葉が出せる』という点で比較的に『人間味』が濃かった。

 

「えっと……その……()()()()()()だよ。」

 

「そっかぁ……じゃあわたし、()()()()()()()()()()()んだ。」

 

 研究員は近くの資料を見て、『入手方法』と書かれた欄の横に『売り』、そして『注意事項』の横にあった『暴行経験アリ』を見て久しぶりに胸がざわついた。

 

「……一緒に、頑張ろうな?」

 

「??? うん?」

 

 ………

 ……

 …

 

 監査日が近づくに釣れ、移植が成功しても能力の発現がすることはなかったので細胞のサンプルを次々と変えた過激な手術は続いて既に不健康気味だった少女はさらにやつれていった。

 

「ッ……ッ……」

 

 彼女は研究員と二人きりになったところでデータ上では初めての『すすり泣き』をし始めた。

 

「お、おい────」

「────ほんとは……わたしに“てきせい”がないからうまくいかないんでしょ?」

 

『人工ギアスユーザー』とはそう簡単に作れるものではないらしく、別の場所で手術を終えて『成功』したとしても、『能力が使えない』あるいは『不適合者』と認定されればC.C.細胞を取り除くためにエデンバイタル教団の中枢に送られてくる。

 

 この様な移植行為は正直、『くじ引き』のような感覚で行われているので成功例は極めて少ない。

 

 そして少女の様な()()()な対象は更に稀である。

 

「明日もある。 次はその……麻酔無しでやってみるよ。 痛いけれど、痛がることで成功したというケースもあるから。」

 

「……うん。」

 

 ……

 …

 

 それから監査日まで研究員は出来る限りの事をしていき、少女もこの狂った世界(地下都市)でそれに応えようとした。

 

 研究員は急ピッチで出来るだけ成功例のC.C.細胞の種類や薬物などを調べ上げて出来るだけ移植の成功率が高くなるよう移植を試みた。

 

 少女のあらゆる感覚に自我までもギリギリに低下させてようやくC.C.細胞は定着したが、ギアス能力の開花とその発覚は監査日までには間に合わず、生きているのか死んでいるのかわからない状態の少女は不良品の再利用処置場所へと送られた。

 

「ごめんなさい。」

 

 それが連れ出されていく少女が口にした言葉だった。




スバル:……ナニコノ後半のC計画?
マオ(女):CC細胞だけに?
集合ちゃん:コードギアスだけに?
スバル:本編ワイのSAN値示すd100ロール、危うし。
作者:そんなこと言ったらリアルで『ゴールデンウイーク中もスタンバイ』と言われた自分の身にもなってくれ。
スバル:おい。
作者:やけくそに後でオールでゲームプレイしてきます…… (;へ:)グスン
スバル:オイ! (# ゜Д゜)
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