楽しんで頂ければ幸いです!
スバルが(内心で)ギョッとしている間、カレンはまるで時が止まったかのような幻覚の最中一つだけ思ったことがあったそうな。
「(
ドッ!
バシャ!
パリィン!
カレンは内心でスバルと同様にテンパっていた所為か、思わず準備もまだ出来ていないまま誰かとぶつかってしまう弾みにシャンパン(ノンアル)を相手に零してしまう。
「「あっ。」」
更に焦った所為で演技力に拍車がかかったカレンは呆気に取られるルルーシュと目を合わせて気の抜けた声をお互いに出してしまう。
「(あ! やべ! 今の私は腰の低い日本人!腰の低い日本人!腰の低い日本人!) も、申し訳ありません────!」
「────あ、ああ。 いや良い、こちらも前方不注意で────」
カレンがハンカチを出してシャンパンをルルーシュの学生服から拭きとろうとするとルルーシュもどう接したらいいのか分からないドギマギした動作をする。
そしてその様子をスバルは────
「(────ま、まさか?! いや何でここに?!)」
彼が見ていた先では、表の世界でもチェス名人として少々名の知れた褐色で髪を金髪に染めた、悪人趣味の悪そうな顔をした大男が数人のSPを付けながら先ほどシャンパングラスの割れる音でカレンを見てはさっきまで不服そうな顔が一気に満足するようなモノへと変わる。
「(モブA,B,Cによれば
「あの……ディーラーさん?」
「あ、ああ申し訳ございません。」
スバルは緊張で固まっていたところを、客のかけた声によってルーレットを続けながらも横目でさっきの場をそれとなく見ていると、褐色の大男はズカズカと我が物顔でカレンに近づいては顎を横から掴んでは無理やり顔を自分に向けさせた。
「あ?! (しまった! 発信機が────!)」
「────ほほぅ? いい顔の商品ではないか? 全く……近頃は狩場も悪くなり、今日儲ける筈だったホールもボヤ騒ぎになって中止されたがここでようやく良い巡り合わせとぶつかったな。」
満足そうな顔で、嫌がるカレンの身体を値踏みしていた男は舐めずりを────
────ブチッ!
これを見た瞬間、スバルの中で何かが弾けるような音と共にどす黒い
「(下郎が、その舌を引き裂いて────)」
────バキッ────!
「────ちょ、ちょっと君! 大丈夫かい?!」
何か堅いものが砕かれる音に、さっきスバルのミスで大穴を当てた客がヒソヒソ話をするかのような声をかけてスバルはハッとして、ようやく自分の摘まんでいたルーレット球を握り潰してしまったことに気付くとニッコリとした笑顔でジンジンと手から伝う痛みを誤魔化す。
「ああ、これは大変失礼いたしました。
「────黒のキングさんですね? チェスの世界では名の知れた打手と聞いていますが勝負を願えませんか?」
原作でも聞いたようなルルーシュのセリフが聞き耳を立てていたスバルの耳に届くと、自分の痛む手の中から粉々になった球の破片などをハンカチにくるんでからディーラーの交代を申し込むサインを送る。
「あ? 知った上で、俺に挑むのか学生君?」
「無論だ。 そもそも俺が今日出てきたのはアンタと対戦をするためのようなものだよ。」
ルルーシュの言葉に、キングの見下すような眼の色が変わる。
「……なるほど、お前が例の『荒らし屋』か。 まさか学生だったとは────」
「────それで、どうするんです? 受けるんですか? 受けないんですか?」
「チッ……いいだろう。 15分もあれば、事足りるからな。」
「ハッ。」
『黒のキング』と呼ばれた大男がルルーシュの挑発に奥歯を噛み締めながら舌打ちをして挑発をし返すが、ルルーシュは鼻でそれを笑い飛ばす。
「15分? 10分も要らないよ、お前程度。」
毅然とした態度で自分より大きなキングに食い掛るルルーシュ。
この二人のやり取りの所為で戦闘直前に感じ取れるような、ピリピリとした緊張感が漂うと観客の何人かは足が震えだし、あとの何人かはごくりと喉を鳴らす。
そしてスバルは痛み出した胃の所為で胃薬を服用し、ゴクリと飲み込んでから部屋の端にルーレット円盤のスペアなどが置いてある所へ静かに移動する。
……
…
上記のバベルタワーから租界の中心にある政庁寄りで、一握りの人間にしか場所や存在が明かされていない地中深くにある場所は重要な囚人が集められた留置所内ではブラックリベリオン時に捕まった藤堂や彼を助けようとした千葉、アッシュフォード学園から逃げ遅れた扇や南などの黒の騎士団の幹部などが今日も退屈そうにただ静かに各々が独自の方法で暇つぶしをしていた。
これらは原作通りに物事が運んでいれば、もっとゼロを疑う(あるいは非難する)ような光景が広がっていたところである。
何せ
実質、原作アニメでは失敗したブラックリベリオン時に中華連邦に亡命できたのは以前から万が一の為に逃走ルートを準備していたディートハルト、ラクシャータ、神楽耶、そして咲世子に数人の団員のみ。
エリア11に至っては、ブリタニアの追っ手から逃げ続ける毎日の末にR2が始まる頃にはカレンとC.C.、卜部と彼に付いてきた数十人の黒の騎士団たちしか生き残っておらず、その上多くの主要幹部や卜部以外の四聖剣などはことごとくブリタニアに捕まっていた。
全ては、ゼロが『あとは任せる』と一言だけを藤堂たちに言い残したために。
何も知らされていないまま、獄中生活を送っていた黒の騎士団がゼロを疑ったり、憎んだりするのは仕方がない事だったが────
『命に代えても、やらねばならない事が出来た!』*1
────原作と違って、今作でゼロがトウキョウ租界を去り際に黒の騎士団幹部たちに送った最後の通信が上記である。
“あとは任せる”と“やらねばならない事が出来た”は最近の日常会話では、さほど違いがない様に良く使われるがブラックリベリオンの様な切羽詰まった状況などでは明確な違いがある。
『あとは任せる』はよく言えば『信頼を置いている』、悪く見れば『一方的な放任』。
逆に『やらねばならない事が出来た』は『何事よりも優先しなければいけない事案』としか聞こえない。
それにより、留置所では『余程ゼロの様な者を揺るがせるような事件が起きたとしか思えん。 だがその『事件』とは一体……』と藤堂たちの考えは概ね固まったいた。
これもあったことでブラックリベリオン後に生き残った黒の騎士団は散り散りとなってもゼロへの不信感はかなり抑えられていた。
後にこれがどのような結果を出すかは、神のみぞ知ることだろうが。
…………
………
……
…
コン。
「────チェックメイト。」
「なッ?!」
「どうやら、俺の勝ちみたいだな。」
キングの驚愕するような顔に、ルルーシュはギリギリ隠せていない勝ち誇ったどや顔を返す。
「(ルルーシュ……何で今日に限って、しかもマフィアと繋がっていると知っている相手にそこまで攻勢に……)」
何時もは相手の立場も考えながら絶妙な勝ち方をするルルーシュだったが、今日に限っては腹の虫が悪かったのか初手から相手を完膚なきまで追い詰めるかのような態度にロロは不思議に思っていた。
「(何故、俺はここまでイライラ……いや、腹を立てているのか俺は────?)」
「────困るな~、君?」
「「「「「???」」」」」
突然キングがニタニタとした顔を浮かべて手を上げるとルルーシュが彼のSPたちによって羽交い締めにされる。
「な、何を?!」
「“何を”って、イカサマをしたのなら
「チェスでイカサマだと?! この薄汚い大人が────!」
「────正しいことに価値はないんだよ、学生君。 『
「ッ。」
ドキッ! ズキッ!
キングの言葉を聞いた瞬間、ルルーシュの心臓が大きく跳ねると同時に鋭い痛みが走る。
「(な,なんだ今のは? どういうことだ?)」
アキトと同じようにバーテンダーになりすましたアヤノは、周りの者たちの注目がルルーシュたちに注がれているのを確認してから胸の谷間に仕込んでいたインカムを取り出しては数回指で叩く。
……
…
トットットッ。
「Bプランです!」
『総員、出撃!』
アヤノのインカムと繋がっていた通信機からのノイズを合図に、レイラがそう黒の騎士団に告げると卜部が騎乗している月下を先頭に黒の騎士団のナイトメアたちがバベルタワーの屋上に降り立つ。
『朝比奈と井上は各警備室の占拠、吉田は下の階に移動しながら地上部隊と合流! 仙波は外部の敵の露払い!』
『『『『了解!』』』』
「敵の空中戦力が近づけば、私はスモークチャフを散布してから他の皆と共に突入します。 皆さん、ご武運を。」
……
…
ドゴォォォン!
「「「「「キャアアアア?!」」」」」
「「「「「ワァァァ?!」」」」」
バベルタワーの上空から爆発音と共に建物が揺れ、照明がチカチカと点滅すると会場内は一気に驚く悲鳴が呼び水となってパニックが広がる。
「「「(今だ!)」」」
そうカジノの中で数名が上記の出来事を好機と思いながら一気に行動に出た。
カレンは近くのキングを張り倒し、これを見た彼のSPたちが銃を懐から抜いて構えると横からルーレット円盤がフリスビーのように飛来してきては銃を払い落とし、その隙にアキトとアヤノが息の合った連携でSPたちを倒していく。
「兄さん、こっち────!」
「────あ?!」
そして、肝心のルルーシュは
「カレン────」
「────す、スバルだよねやっぱり────?!」
「────大丈夫か────?」
「────あ、うん。 でもルルーシュを追いかけないと────!」
「────いや、上々だ。 後は紅蓮まで────」
「────シュバールさん。」
いつの間にか尻餅をついていたカレンに声をかけながらディーラーの上着を羽織らせるスバルは、横から来るアキトの声に首を回すとナイトメアの作動キーが手渡される。
「屋上間近のエレベーターシャフト内に折りたたんである。」
「そうか。 (どう言うこっちゃ。)」
「俺とアヤノたちは客を避難させる。」
「なるほど。 (意味が分からん。)」
「アンタの専用機は物資搬入用エレベータで来るはずだ。」
「あ。 えっと────?」
「────俺たちはシュバールさんの仲間だ。」
「(『シュバール』って……それにこの訛り具合は
スバルは必死にポーカーフェイスを維持し、アキトとカレンのやり取りを見守りながら『胃薬飲んどいてよかったぁぁぁぁぁ!』と内心叫んでいた。
…………
………
……
…
ロロによってカジノから窓ガラスから差し込む陽光によって明るいデパートエリアに出てきたものの、ブリタニアと黒の騎士団のナイトメアの交戦に巻き込まれそうになり、二人は更に建設中のエリアに逃げ込んだところで落ちてきた瓦礫によって離れ離れになってしまった。
「(早く、ロロを見つけてここから脱出しないと! 一人の!たった一人の家族なんだ────!)」
「────あ。 ラッキー♪ ボクの方に来たんだ♪」
ルルーシュはそんな焦る気持ちのまま、ロロと最後に出会った地区まで必死に戻るところでがらんとした通路の端で軍服に身を包み、座り込んでいた一人の白髪の少女が
「────お兄さんに褒めてもらえるかな~? ニヘヘヘ────♪」
「(────誰だ? 一般人……にしては落ち着きがあり過ぎる。 まさか、テロリストの一員────?!)」
「────ああああっと! 敵じゃないよ! むしろ味方だよ!」
「(味方?! 分からん……何が一体、どうなって────ウッ?!)」
白髪の少女が目からコンタクトを外して二人の目が合った途端、走馬灯のように『ただのルルーシュ・ランページ』としての記憶が、次第に『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』として記憶に併合されていく。
「(なんだ、これは?! これは、俺なのか?!)」
白髪の少女────マオ(女)が言い渡されたのは『ルルーシュの保護』であるので本来なら、彼女はそのまま彼を黒の騎士団の元に連れて行くだけで済むのだがルルーシュの言動が余りにも『ゼロ』の想像からかけ離れていた所為で
さて、シャルルのギアスはあくまで『記憶の改竄』であり『忘却』ではないので、記憶は本人の中に残ったまま封印されているだけである。
「(これを、俺はしら────いや……
なので理論上、マオ(女)の『ザ・リフレイン』で記憶を思い出させることは『可能』の上に対象は彼女と共に閲覧が出来てしまう。
人間の脳には何千億個もの神経細胞が複雑な神経回路網を形成し、神経線維の太さによってばらつきがあるもののその全てを100%使えば人一人の10と数年分などの記憶など文字通りの『一瞬の出来事』でしかない。
「……………………なるほど、そういう事か。」
「ふわぁ~……」
ルルーシュはゼロとしての笑みを浮かべ、マオ(女)はコンタクトを付けなおしながら感心の息を吐き出す。
「お前はさっき、“敵ではない”と言ったな? 誰の差し金だ────?」
「────スヴェン────」
「────なるほど。」
「それにしても、すごく濃い人生送っているね、君?!」
「まぁ、そうだな。 偽りとはいえ、今の俺には二人分の────いや。
「う~ん、理解するの早いね! 噂以上だよ!」
「何をバカなことを。 自分がゼロだと思い出したばかりで思考の約3割を使って整理している所だ……それよりも、スヴェンの仲間と言うのなら状況を説明しろ。」
「(うっわ。 大人しそうに見えてすぐにマウントを取りたがる『オラオラ系陰険インテリ』か~、
……
…
「なぜこうも手こずる?! 我々の配置は完璧だったはずだ!」
バベルタワー内に潜伏し、ナイトメアに騎乗していた機密情報局の部隊長が恨めしそうに上記の言葉を吐き捨てる。
上空の気球から襲撃した黒の騎士団を租界の駐留部隊に任せ、機密情報局は直ぐにルルーシュの周りに居られるような包囲網を組めるような陣を取っていた。
だがまるで自分たちの事を知っていたような、別の部隊が物資搬入用のエレベーターなどから出てきた見たことの無いナイトメアの乱入で
機密情報局は皇帝直属の機関なので優秀な人材ばかりなのだが、元々は情報収集や奇襲などの『暗躍作業』に長けている人間がほとんどで、真っ向からの勝負には慣れていない。
ヴィレッタの場合、『彼女がブリタニアの貴族になる努力をしている』、『監視対象のルルーシュの正体を知っている』、『彼のギアスが効かない』、『いざとなれば指揮を執って物理的に取り押さえることが出来る』などと言った条件を兼ねそろえていたからこそ選ばれた『少数の例外』とも言えた。
そんな機密情報局が今相手をしているのは無人化された
「(ドローンの改善、上手くいっているわね。)」
レイラは以前のアレクサンダ・スカイアイに似た機体に乗りながら、ファクトスフィアと無人機などから入ってくる様々な情報がバベルタワーの設計図の上に表示されている地図を操作していた。
「(アンナたちに感謝をしないと。)」
レイラがそこで思い浮かべるのは焦っていたラクシャータにがっしりと腕を掴まれて半ば無理やり引きずられ、涙目になりながら『あ~れ~』と連れ去られたアンナたちだった。
「(……『リア・ファル』の様な艦になると、流石にあの島に残してきた人員では無理がありそうな────)」
『────君が、マルカル司令かね?』
「(この声、それに威圧的────いえ、自信にあふれた口調……なるほど、思っていたより少々若い声でしたが────)────ええ、貴方がゼロですね?」
アマルガム用の周波数から聞き慣れていない声の通信を聞き、レイラは直ぐに相手が誰なのかをすぐに察した。
……
…
「(すぐにそこまで思い当たるとは、流石だな。)」
一通りの事をマオ(女)から聞き、彼女の指揮官と話す為に無線機を借りていたルルーシュは素直に関心を内心で示す。
「そうだ────」
『────あ。 少々待って下さい、今貴方を包囲しようとした者たちを生け捕りにしますので────』
「(────しかも理解が早い上に、的確……スヴェンの仲間……それにブラックリベリオン時の言動を考えれば……)」
ルルーシュの『
作者:忘れがちだった『アレクサンダの変形機能が元々収納用』設定の活用。 (;´ω`)ゞ
アキト:『かんしん』したぞ。
アヤノ:(ㆆωㆆ)ジー
アキト:関心と寒心と感心。
アヤノ:(゜゜()☆○=(-"-)バキッ!