小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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ぺ、ペンが止まらなかった! 

実際は携帯のタッチスクリーンでしたけど。 (汗

少し長めの次話です!

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!


第19話 魔神を降臨させない

 俺の名は『ルルーシュ・ランペルージ』。

 しがないブリタニア人で、妹のナナリー・ランペルージとアッシュフォード家の慈悲で居候をしている。

 

 いや、違うな。

 ()()()()()()()()()()()()からだ。

 

 名前も嘘だ。

 本当の名はルルーシュ・()()()()()()()

 第11皇子であり、剥奪されたが元第17皇位継承者だ。

 

 母親を殺され、政治の駒(人質)として日本に送られ、その日本をブリタニアが攻めるまでは。

 

 第二次太平洋戦争で、俺と妹は()()何もかも失い、公的には『死亡』となっている。

 

 その日から、俺は……ずっと嘘の人生を歩んでいた。

 

『生きている』、という嘘を。

 

 名前も、経歴も、何もかもが嘘。

 そして未だに全く変わらない世界に飽き飽きしては『絶望』と言う嘘で、『諦める』事も上手くできなかったが……

 

 今は違う。

 確かな力を感じる。

 圧倒的な、『相手を支配する』力だ!

 

「なあ? ブリタニアを憎むブリタニア人は、どう生きればいいと思う?」

 

 今まで感じたことの無い優越感に思わず笑いたくなる衝動を抑えながら立ち上がり、特に意味のない問いで親衛隊の注意をそらして時間を稼ぐ。

 

 この力を『理解する時間』を。

 

「む? 貴様、主義者か?」

 

「ふ、フフフフフフ。」

 

 相手の間抜け面に思わず、抑えていた笑いがこみ上げてしまう。

 

「どうした? 撃たないのか? お前の言った通り、俺はただの学生だぞ? それとも気づいたか?

 撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだと?!

 

 ついにこの『力』の使い方を『理解した』俺は手を左目から退けると相手は戸惑う。

 恐らくは何か物理的な変化が生じているのだろう。

 

 このことで更なる愉悦感が湧き上がり、俺は思うままの事を口にして()()()

 

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! 貴様達は、死ね!

 

 親衛隊たちの目が奇妙な赤色を帯びて、誰もが喜びの笑顔を浮かべていた。

 

 「「「「「イエス、ユアハイネス!!!」」」」」

 

 明らかに正気ではない表情と、声に親衛隊は指揮官含めて拳銃を自らのこめかみに当てて引き金を────

 

 

 

 

 バスッ!

 

 

 

 

 ────引ける前に、全員がほぼ同時に()()()()脳天を撃ち抜かれて全滅し、それぞれが丸出しになった地面に次々と倒れていく。

 

「…………………………はッ?!」

 

 俺は一瞬呆けそうになるがすぐに状況の整理をして、彼ら親衛隊が背後から()()()()()ことを理解して階段の中に身を隠す。

 

「(親衛隊は自らの銃ではなく背後から頭を撃ち抜かれた。 その返り血が地面に付着した角度とパターンから逆算すると……)」

 

 俺が目にしたのは少し距離がある廃ビルだった。

 

「(狙撃ポイントはあそこか、少し遠いな……従来の狙撃銃であそこからの精密射撃が可能なのか? ……いや、これは狙撃を生業としている者の可能性が高い、ゆえに改造品だろう。 だが……)」

 

 ここでルルーシュに疑問が生じる。

 

「(弾丸の着点時は俺の見たところ、()()()()だった。 そんなことは狙撃のチームが連携を取って初めて可能とする所業、つまり()()()()()……一体どこの組織の者だ? 親衛隊を撃った理由は? 目的はなんだ?)」

 

 ドゴォン!

 

 次に倉庫の中へと無理やり入ってきたのは各パーツが紅い塗料にペンキ塗りされたサザーランドだった。

 

「(さて、さっきの狙撃が俺を狙っているのだったら親衛隊を撃つ前に俺を狙う筈だ。 ならば目的は俺の保護か? ……それにこの際だ、力の再確認をするか。)」

 

『ここで何があった? ブリタニアの学生がなぜこんな所にいる? 答えろ!』

 

 使った力は確かに親衛隊に効いていた。

 そして狙撃者たちは俺を狙わなかった。

 

 ならば、俺自らが出迎えようではないか。

 

「そこのお前、ナイトメアから降りろ。」

 

 


 

 

 

 スヴェンはすぐに狙撃を終えてから移動を開始していた。

 

 本当はあのままルルーシュが『寄こせ、お前のナイトメア!』シーンを満喫したかったが、目的の一つを達成できたのですぐにその場から離れていた。

 

 目的とはいたってシンプルなモノ。

 

魔神(ルルーシュ)の降臨を防ぐ』といったもの、あるいは『人間の心を保たせる』。

 

 原作でのルルーシュは自らのギアス経由と怒り任せとはいえ、初めて人を殺めるタイミングが上記での親衛隊たちがCCを撃った報復の『命令』だ。

 

 その後の彼は蠢く心境の渦の中、人を殺したことに対しての『恐怖』や『後悔』などより人生で初めて感じた『達成感』と『充実感』を噛み締めていたような描写があった。

 

「(つまり、彼の手をできるだけ汚させなければ作中の非人道的な行い等をある程度はより良い方向に持っていけるはずだ。 あと彼の事だ、俺の狙撃ポイントを割り出して奪ったサザーランドで俺の正体を暴こうと来るだろう。)」

 

「ッ! そこの貴様、止まれ!」

 

 角を曲がったところで名誉ブリタニア人部隊らしき防護スーツとガスマスクをした歩兵とばったり会ってしまう。

 

 だが()()()だ。

 

 俺は狙撃銃を入れていたギターケースを上に投げると相手の気がそれにそれた一瞬で近づき、むき出しになっていた喉を殴る。

 

ごぶゅ?!

 

 生々しい音と息がガスマスク越しに聞こえ、俺は心の中で謝りながらも防護スーツと(水で洗った)ガスマスクを着用する。

 

『貴様! どこの所属だ?! 部隊名とIDを示せ!』

 

 後ろを見ると本隊より先行したらしきサザーランドが銃をこちらに向けていた。

 俺は『激しく脈を打つ心臓の鼓動から来る震えに気づかないでくれ!』と強く念じながらも堂々と両手を上げる。

 

 仮面(物理含む)が厚くて良かった。

 

「俺は偵察中隊のガレス・ベクトルです。 テロリストと思われる者と遭遇し、身柄を確保したところです。 彼の身からこのようなディスクを押収しました、本部にご送信願えないでしょうか?」

 

『いいだろう。 だがその前にIDの確認をする! 妙な動きをすれば即座に撃つ!』

 

 バシュ!

 

 サザーランドのハッチが開いて、パイロットらしき男性が銃を俺に向けながら降りてくるのを見計らう。

 

「(『“時間”に意味は無い(Time Has No Meaning)』。)」

 

 そう念じると、ピタリと背景音を含めて周りの何もかもが()()()

 

 俺はその中、パイロットの持っていた銃を手に取っては元持ち主である者の脳天にそれを向けて撃ち抜くと時間が『再開』される。

 

 何が起きたのか分からない表情をしながら地面に倒れるパイロットよりも、俺は自分の身体に注意を向けていた。

 

 やはり、()()()()()()()()()()()

 

 俺はそれを未だに不気味と感じながらサザーランドに乗り込んでウィルスを搭載した作動キーを差し込むと違法プログラムが動き出す。

 

“時間”に意味は無い(Time Has No Meaning)』。

 これは俺が自称神様に頼んだ特典の一部を、転生先がコードギアスと知ってから実戦に向けて応用化させた技だ。

 

『時間』と言う概念を一時的に()()()()()()()、『時間の意味を無くした世界』の中を俺だけが行動できる。

 

 まぁ、身も蓋もない言い方をすれば『何某奇妙な冒険』で登場するラスボスたちが使う反則級の能力に似ている。

 

 実際、彼らも同じ能力の保持者と遭遇か油断をしていなければ常時『俺TUEEE!』状態だったし。

 

 え? 『じゃあもっと頻繁に使えよ!』だって?

 

 じゃあ聞くけど、ここをどこだと思っているんだ?

『コードギアス』の世界やぞ?

 

 怖くて乱発したかねぇよ!

 

『コードギアス』を見た奴なら解るかもしれないけど、『ギアス』みたいな超能力は何も『便利なだけの能力』ではない。

 

 作中でも説明はあるがギアスは使えば使うほどに力が増し、能力者が望んでいた方向性から徐々にかけ離れていく。

 

 それこそ本人がその能力を『使いたい、使いたくない』と言った意思を無視するようになるまで。

 

 つまりは何らかの代償を強要されるという事だ。

 それを踏まえてもう一度聞こう。

 

 そんな世界で能力によって捻くれた末路が待っていると知って、その能力を使いまくりたくなるか?

 

 しかも能力を使った後に異常を感じさせないようなモノを?

 

 コードギアス作内で今すぐ思いつくかつ一番近い能力を持った奴でも、『体感時間の停止』が関の山だぞ?!

 しかも停止出来る範囲は限られている上に『意思』を持った生物にしか効果がないプラス『使用中は自身の心臓も一時停止する』という副作用を負ってまでだぞ?!

 

 俺の場合、一部だけでそいつの能力の上位互換だぞ?!

 

 怖えよ!

 普通に怖えよ!

 一部だけでもヤバそうなのに、怖くて能力をフルに使う気がとことん失せるよ!

 

 それに、今までの試行錯誤で欠点もあることは数個確認できている。

 

 1. 止められる時間は初期状態で一秒ほど(止まった時間で一秒という表現もなんだが、取り敢えず体感的に一秒ほどだ)。

 2. 止められる時間が延びるのは、能力を使わなかった時間の経過によって『充電(リチャージ)』される(数時間で一秒未満ぐらい?)。

 3. 『“時間”に意味は無い』のオンとオフは任意だが明確に意識する必要がある。

 4. 銃や機械などの類は『“時間”に意味は無い』の使用中も動いたり、作動できるが動作で発する熱などの二次効果の負担は能力使用中に減ることは無い。 つまり負担が溜まる一方で不具合が出やすい。

 

 などと言ったものが今のところ確認できている。

 

 そう考えている間に、乗り込んだサザーランドの敵味方識別信号(IFF)をカットすると電子音が聞こえてくる。

 

 ピィー!

 

 スピーカーから違法プログラムが無事にアップロードされた音が出て、画面には俺が待っていた文字が出る。

 

『疑似作動プログラム、完了』

 

 よし、まずはこのサザーランドを────

 

 

 

 


 

 

「無関係の人たちがいそうな建物を! ブリタニアめ!」

 

 クロヴィスの号令でゲットーを包囲し、ブリタニア人ではない者たちを発見次第に射殺するき満々の戦車やヘリは手当たり次第にビルや建物を襲い、それらをカレンは次々と撃破していった。

 

『カレン! 大丈夫か?! グラスゴーはまだ無事か?!』

 

「大丈夫! 扇さんたちは住民たちを逃がして! 彼らは何も関係ない!」

 

 無線機から同じように戦っていると思われる扇の声に、カレンは答えた。

 

『そ、それが……妙なんだ。 ()()()()()()()()()んだ』

 

「…………え? どういう意味?」

 

『そのままの意味だ。 今まで見たところは殆んどがもぬけの殻だった。 まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ような感じで────』

「────それって、まさか……」

 

 扇とカレンの脳裏をよぎったのは朝から音沙汰がなくて別行動をすると宣言した、地味で目立たないように立ち回りをしては戦況が有利に運ぶ努力をする一人の少年の姿。

 

『多分、アイツだろうさ。 道理で何も連絡しなかったと思ったら、こんなことに備えていたのかよ!』

 

「(やっぱり、凄いや!) じゃあ扇さん、私は出来るだけブリタニアの注意を引くから包囲網を────ッ!」

 

 カレンは聞こえてくるアラートの原因を確認する前に回避運動に入り、その場から移動すると彼女の機体がいた場所は飛んできた銃弾によって蜂の巣状態となった。

 

 ビィィィィ!

 

「(やばい! あとエナジーが三十分を切った!) それに、あれは左腕を撃ったサザーランド────!」

『────西口だ! 線路を利用して移動しろ!』

 

「(レジスタンスの無線機から?!) 誰だ、お前は?!」

 

 そこで聞きなれない声が無線機を通じてきたことで、カレンは反射的に疑問を出す。

 

『誰でも良い! 勝ちたければ、私を信じろ!』

 

「勝つ────?」

 

 ────ヴィィィィィ! ヴィィィィィ!

 

 カレンはポケットに入れていたマナーモードにしていた携帯を素早く片手で出して、それを耳にかける。

 

『カレンか? もし聞こえているのなら“うん”とだけ口にしてくれ。』

 

「(す、昴?!) う、うん?」

 

『良し、無言のままでいいから聞いてくれ。 今の男の指示通りに移動し、同じ線路を走っている列車を飛び越えろ!』

 

 カレンは言うとおりにすると、彼女を追っていた純血派のサザーランドも同じく線路の上を走る。

 

 先行していたサザーランドはカレンと初めて交戦した、純血派というグループのリーダー役で辺境伯の爵位を持つジェレミア・ゴットバルトだった。

 

「惰弱なイレヴンめ、逃げるだけでは“狩り”とは呼べんだろうが……ん?」

 

 彼の前では線路の上を走る旧式の列車を紅いグラスゴーが飛び越す場面に、彼は笑いそうになる。

 

「ふん! 子供騙しな作戦だな!」

 

 無論、普通の列車でもナイトメアを押し返すような力は無く、ジェレミアは列車を逆に片手で止める。

 

「おい! お前はグラスゴーを────!」

 

 ────ドドォン!

 

 ジェレミアが部下に追うように命令を下す前に、横から来たスラッシュハーケンが部下の機体を戦闘不能にさせる。

 

「な?!」

 

 彼がメインカメラをスラッシュハーケンの出所に向けると、同じ純血派仕様のサザーランドがあった。

 

「ど、同士討ちだと?! 貴様! どこの部隊の者だ?! 敵は片腕を失くしたグラス────!

 

 ────ダダダダダダダダ!

 

 だが味方と思っていたサザーランドが自分を襲ってきたことで、ジェレミアに最悪の事態が脳裏をよぎる。

 

「ま、まさかテロリストが────ハっ?! ク、クソ!」

 

 中破したジェレミアのサザーランドの前方から、カレンのグラスゴーが迫ってくるのを見たジェレミアは脱出装置のレバーを引いてその場からコックピットごと離脱する。

 

「か、勝った! ありがとう! でも、サザーランドをどこで────あ、あれ? (居ない?)」

 

 カレンが見たビルからすでに自分を助けたサザーランドの姿は無かった。

 

「お~い! カレン!」

 

「扇さん! それにみんなも!」

 

 彼女は無事である扇たちを見てやっと安心する。

 

「さっきの通信はなんだ?!」

 

「え? 扇さんたちにも聞こえたっていう事は────」

 

 ────ジ、ジジジ!

 

『お前がリーダーか? そこの列車には私からのプレゼントが入っている。 勝つ為の道具だ。』

 

「ア、アンタは誰だ? 名前ぐらい────」

「────扇、そこまでにしておけ。」

 

 さっき聞いた声に、カレンは線路へと出てきた(ブリタニアの防護服からフルフェイスヘルメット&ライダースーツに着替えた)スヴェンを見て笑顔になる。

 

「スバル!」

 

「スバル、今のはどういう意味だ────?」

「────どうもこうも、相手が誰だろうと今は関係ない。 列車の中を見てみろ。」

 

 彼がそう言いながら列車を開けると────

 

「────ッ!」

 

 カレンたち全員が息を飲み込む。

 

 列車の中には正規軍が使う、サザーランドが何機も待機状態で入っていた。

 

「す、スゲェ。」

「こっちにも武器弾薬があるわ!」

「これ全部が俺たちの……話を聞いてもいいんじゃねぇか、おい?!」

 

『グラスゴーの女! お前はその機体のままでいい! 目立つからかく乱に向いている。 エナジーフィラーの交換だけはしておけ。 十分後に新たな指示を出す。 その間に武器装備の点検などを済ませろ。』

 

 

 

 喜ぶカレンたちから少し距離の空いた廃ビルの中から彼らを監視していたルルーシュは制服の襟を緩め、興奮で火照った身体を涼ませる。

 

「フゥー……思っていたより疲れるな、命がけのゲーム(指揮)は。」

 

 ルルーシュはファクトスフィアから得た情報を元に、作戦を練りながら並行で別のことを考える。

 

「(しかしあのグラスゴーの女パイロット、見どころがある。 俺が指示を出さなくてもこちらの作戦の意図を理解し、即座に行動へと移った。 

 それよりも親衛隊を撃った組織、またはチームだ。 これまで俺は幾度となくわざと隙を作りながら移動したのになぜ何もしてこない? それとも何か別の目的があったのか? もしくは既に達成してこの地区から撤退した?

 ……まぁいい、俺の邪魔さえしなければどうでも良い。 それにしても、レジスタンスがまさかゲットーの住人を前もって逃がすとは用意周到だな。 多少見どころがあるじゃないか、あのもじゃもじゃ頭。)」

 

 余談だがルルーシュが『もじゃもじゃ頭』と呼んだのは天然パーマの扇である。

 

「(……よし、条件はクリアしつつある。 ゲーム(指揮)を再開するか。)」




ではおやすみなさいませです。 (*´0`)ゞoO オヤスミィ~
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