小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第189話 ちょっと違う『悪を持って巨悪を討つ』

「動きはないか?」

 

「未だ、何も。 中華連邦からは“刑の執行は認める”との連絡があっただけです。」

 

 包囲網の配置を再編成したギルフォードに対し、明日に備えて休んでいたグラストンナイツの一人が答える。

 

「(人質の処刑で相手を引きずり出すなど……我ながら品のない手段だ。)」

 

「ギルフォード卿、果たしてゼロは現れるでしょうか?」

 

「奴は現れる、()()だ。」

 

 力強く断言するギルフォードの返事に、各々仮眠や読書に軽食を口にしていたグラストンナイツが興味を持つ。

 

「ギルフォード卿にしては珍しい物言いですね?」

 

「根拠ならある。」

 

 そう言いながらギルフォードは部屋に飾ってあるコーネリアの肖像画に向けて敬礼し、かつて彼女がサイタマゲットー壊滅作戦時のG1ベース内でゼロに関する感想を思いだす。

 

「(“ゼロは劇場型の犯罪者”、でしたね姫様……)」

 

 「うーん……()()があってもモテるのか、ギルフォード卿は……」

 父上(ダールトン)には“顔がいかついから”だの、“傷が醜い”だのと貴族共は言うし……」

 「ギルフォード卿には恋文、父上には苦情……」

 「そんなのまだマシだ。 顔の傷跡の所為で“傷物”なんて言われたときの父上は“戦士の勲章ものだ!”と笑い飛ばしたが……流石に殺意を相手に抱いたぞ?」

 「「「「「その気持ち、分かる。」」」」」

 

「(姫様……何処へ? ダールトンが一緒にいるのならば大丈夫でしょうが、)」

 

 グラストンナイツが未だに見た目や『ブリタニア人らしくない言動』だけで評価されるダールトンの話で盛り上がり、ギルフォードはアンニュイな気持ちのまま夜を過ごした。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

『かつて“騎士団”を名乗り、エリア11を退化させたテロリストたちの処刑が今日、行われようとしています。 部下の処刑に、果たしてゼロは姿を現すのでしょうか?』

 

 中華連邦の領地の空域ギリギリにまで近づいたブリタニアのヘリの中にいるレポーターによる声と映像を、トウキョウ租界内の住人たちは様々な心境のまま釘付けになっていた。

 

 アッシュフォード学園の生徒はブラックリベリオン時に起きた抗争に巻き込まれたことを思い出し、エリア11に残ったブリタニア人たちは暴徒化したイレヴンや名誉ブリタニア人たちを思い出す。

 

 そして原作とは違って見事なまでに扇との『出会いフラグ』を折られたヴィレッタは────

 

「(……ホッ。)」

 

 ────映し出される黒の騎士団たちの中に拷問跡が目立つ男性(森乃モードのスバル)がいないことで、静かに安堵していた。

 

「(見極めるよ、兄さん────いや、ゼロ。)」

 

 余談だが先行型ヴィンセントに騎乗する予定で後処理を丸投げされたキンメル卿から(またも横から)無断で拝借したロロは静かにそう思いながら、昨日のやり取りを思い出す。

 

「(だから変な動きをすれば、即座に貴方を殺します。)」

 

 即席の処刑場を見渡せる建物の屋上に狙撃手として配置された一人のグラストンナイツはブリタニアの歩兵が一人で接近したことに気が付く。

 

「ん────?」

『────本隊から極秘命令です。 通信の傍受を避けるため、“口頭伝達せよ”とのことです────』

「────そうか、少し待て。 (何か思いついたことがあるのか、ギルフォード卿?)」

 

 狙撃ポイントにいたデイビッドはグロースターの作動キーを外してからロックをかけ、コックピットブロックから姿を現すと同時に口を開けながら腰の拳銃をいつでも抜けるようにする。

 

「IDを見せろ────」

「その前に『お願いしたいことがあります。 ゼロの機体が────』」

 

 ……

 …

 

 領事館内に居た黒の騎士団のカレン、仙波、朝比奈、卜部やアマルガムのサンチア、ダルク、アリス、ルクレティアは指示通りにナイトメアに騎乗し、待機していた。

 

『しかしアマアマガム……じゃなかった、アマルガムに子供兵士が採用されているとはねぇ~?』

『元々はブリタニアの懲罰兵の様なものだ、文句が言いたいのならブリタニアに言え。』

『う~む……ワシとしては複雑な気分だ。』

『とはいえ、彼女たちが今回の作戦の要であることは変わりません。』

 

 卜部、朝比奈、サンチアたちの通信に同じくナイトメアに騎乗したレイラが横から通信をはさむ。

 

「(さてと……アマルガムとやらの軍事、そして政治的手腕のお手並み拝見と行きますか。)」

 

 卜部はそう思いながら、操縦桿を静かに握る。

 

『……』

『緊張しているか、紅月君?』

 

 カレンと毒島も上記の者たち同様にナイトメアに騎乗し、個別の通信でやり取りをしていた。

 

『あ、毒島さ────じゃなくて毒島────』

『────名前で呼んでもいいんだぞ?』

『……ちょっとハードルが高いから()()()パス────』

『(────“今回は”という事は────?!)』

『────大丈夫なのかな?』

『……うん? 何がだ?』

『こっちから手を出せば、多分、問答無用で中華連邦は黒の騎士団を背後から襲ってこないかな?』

『(ふむ?) 君にそう思わせることは何だね?』

『領事館の警備を仕切っているあのシンクーって人、アマルガムを目の敵にしているんでしょ?』

 

 毒島とカレンが思い浮かべるのは先日、スバルが手当を受ける間ずっと親の仇を見るような睨みとチリチリとした殺気を効かせていた中華テリオン星刻だった。

 

『………………あー……彼の場合、目の敵にしているのは私と(主に)スバルだな。』

『え? それって何かあったから?』

『う~む……“何かあった”というか、“何もなかった”というか……』

『え────?』

 

『────さあ、テロリストの残党に正義の裁きがいよいよ下される時間が迫っています!』

 

 でかでかと放送される映像には指定された時間のカウントダウンが秒にまで迫ってきたことで、その場に来た名誉ブリタニア人たちの悲願する様な祈りがそこかしこで出てき始める。

 

「ああ、ゼロさま!」

「お願い! どうか! どうか奇跡を!」

「殺さないで!」

 

「(イレヴンどもの狼狽える様子……演技ではないな。 ゼロ、残念だよ。) イレヴンたちよ! お前たちが信じるゼロは正々堂々の勝負から逃げた! 今からテロリストの処刑を実行する! 総員、構えろ────!」

『────違うな、ギルフォードよ! 貴公が今から手にかけようとしているのはテロリストではない!』

 

「ゼロ?!」

「ゼロの声だ!」

「どこからだ?!」

 

 ブリタニア、そして名誉ブリタニア人たちが周りを見ると指揮官用無頼に乗っているゼロが真正面の大通りからゆっくりと近づく姿にその場にいた者たちの視線が釘付けにされる。

 

「彼ら彼女らは我が合衆国の兵士であり、民でもある!」

 

「(やはり来たか。) その言い分だと、まるで“国際法に則り捕虜として認めよ”と言いたげだなゼロよ?」

 

 ゼロの無頼を通すように合図するギルフォードによってブリタニア軍の包囲網を通された無頼とギルフォードのグロースターは、自然と出来上がったKMFで作られた円の中央に収まる。

 

「お久しぶりです、ギルフォード卿。 ナイトメアから降りて昔話でもいかがですかな?」

 

「遠慮しておこう。 過去の因縁には、ナイトメアでお答えしたい!」

 

「そうか、では決闘のルールを決めようではないか!」

 

「良いだろう……この決闘、他の者は手を出すな!」

 

 コーネリアの『ゼロは劇場型の犯罪者』という評価、すなわち()()()()()()と言った部分をギルフォードは利用して自分の土俵(騎士道)である『決闘』に引きずり込めたことに高揚感を感じ、『陶酔』していたのかもしれない。

 

「装備は一つだけというのはどうだろうか?」

 

「よかろう! 私はこのランスで答えよう!」

 

「では私は、そこの盾を貸してもらおう!」

 

 故にゼロの選んだ武器────否、装備にどよめきがブリタニア人やナンバーズ、黒の騎士団たちの間で走った時、ギルフォードの思考は『落胆』という段階で止まってしまった。

 

『何だと?』

『盾を?!』

『しかもナイトポリス用の、暴徒鎮圧の盾だぞ?!』

『まさか……自決か?』

『だが、それだと黒の騎士団たちの処刑はどうするつもりだ?』

 

 ギルフォードは馬鹿にされたかのように、歯を食いしばってから『落胆』したまま言葉を投げる。

 

「ゼロ! 正直、失望したぞ────!」

「────ギルフォード卿。 『正義』が通用しない『悪』がいる時、貴公ならばどうする? 悪に手を染めてでも悪を倒すか? それとも己の正義を貫き、悪に屈するを良しとするか?」

 

「この期に及んで言葉遊びとは……我が正義は姫様のもとに! それだけである!」

 

「私ならば、“悪をなして巨悪を討つ”!」

 

「「「「「…………………………………………………………」」」」」

 

シ~~~~~~~~~~ン。

 

 ゼロの言葉に場は静まり返り、静寂な時間が数秒間ほど過ぎる。

 

「(スヴェン、いやスバル! どうしたというのだ?!)」

 

 そしてゼロは焦り出してダラダラとした大粒の冷や汗を流していた。

 

 ……

 …

 

『私ならば、“悪をなして巨悪を討つ”!』

 

 上記の言葉をゼロが高らかに宣言する同時刻、トウキョウ租界が成り立つ基盤の階層構造を操作する調整室のスピーカーから流れる。

 

「(クソ、タイミングが悪すぎる。)」

 

 その画面を背中に、ライダースーツにフルフェイスヘルメットの姿になっていたスバルはそう思いながら、ホルスターから抜き取った拳銃を出入り口にいるライ(仮)に向けながらゼロ以上の冷や汗を掻いていた。

 

 本来、ここでルルーシュがギアスで洗脳した作業員が階層構造を緊急パージさせていた。

 だが未だに心を完全に鬼にできていないルルーシュの指示で、スバルは作業員たちの気を失わせて避難させてから緊急パージの準備をしていた。

 『これから』というところで背後から気配を感じた彼は振り向くとライ(仮)が居たことで、キョドリならもポーカーフェイスを必死に維持しながら拳銃を抜き取って現在の『一触即発状態』に陥っていた。

 

「ブラックリベリオン……いや、バベルタワー以来だな?」

 

「君に対して僕に渡された命令は変わらない。 お前を連行する、たとえ亡骸となっても。」

 

「今は、取込み中だ────」

「────僕には関係ない。」

 

「……つくづく会うタイミングが最悪だな、ライ────?」

「────『銃を降ろせ』────」

 

 ズッ!

 

「────ウッ?!」

 

 ライ(仮)の命令にスバルは自分の上げていた腕が重くなったことに声を出すとライ(仮)は一瞬で接近し、スバルの拳銃(コルト)へと手を伸ばす。

 

 バンッ!

 

 相手の急接近を見たスバルは威嚇に発砲するが、ライ(仮)は銃口の向きから弾丸の軌道を読み取って当たらない確率の方が高いことを察してそのまま走って銃のスライドを掴み、レバーを押しながらスライドを抜き始めると同時に弾倉取り出しボタンが押されると弾倉が重力によって下に落ちていく。

 

 「(ぬわにぅいぃぃぃぃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛?!)」

 

 これを見たスバルは盛大に驚愕する。

 

 一昔前のアクション映画などでこの様な『銃撃戦中に相手の武器を分解する』という演出は珍しくも何もない。

 

 ただしコードギアスの世界で銃などの類は『火薬式』ではなく『電動式』を主流にしてある所為で、燃焼ガスの圧力で後退する薬莢の運動を利用した自動装填式銃器の作動方式────いわゆる『ブローバックシステム』を活用するスライドなどを銃に使ったりなどしていない。

 

 つまりライ(仮)は以前の接触と、ついさっきの出来事(発砲)でスバルが(コードギアスの世界で)復活させた火薬式の銃の構造と動作を理解し、瞬時に無効化させる手段を見抜いたという事になる。

 

 スバルは分解された拳銃から手を放し、ライ(仮)が出す拳銃を握った手首を掴む流れで肘内を食らわせながらライ(仮)がしたように弾倉取り出しボタンを押す。

 

 ガチン

 

 ガチチチチチチチチ!!!

 

 二人は手に持っていた拳銃の部品(弾倉やスライド)などをお互いの顔面目掛けて投げてはもう片手でナイフを取り出し様に切りかかると金属同士が当たった時に出す独自の耳鳴りがするような音共にチリチリとした火花を放つ。

 

「(ラビエ親子のスーツを着用していなければ、今ので負けていた────)」

 

 グィィィィィィ!!!

 

「(────うおぉぉぉ?!)」

 

 スバルは盛大にテンパりながらもレナルドとマリエルが開発していた歩兵用強化スーツをライダースーツのインナー代わりに着ていたことに感謝していたが、すぐに相手の入れる力が増加したことに冷や汗を掻き始める。

 

「(ぬおおおおお! 力強いぃぃぃぃぃ?! どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう?!) ら、ライ! 待て!」

 

 バベルタワーからの傷が全快していないからか、徐々に力負けするスバルは焦ってどうにかして注意をそらそうとした。

 

 「……それは、ボクの────?」

「(────いまだ!)」

 

 ボソリと声を出したライ(仮)の隙を狙い、後ろに押されていたことを逆手に取ったスバルはそのまま素早く横に避けるとライ(仮)は前のめりに転びそうになることを何とかつま先で踏ん張る。

 

 そのままライ(仮)めがけてスバルが拳を振り下ろすのを横目で見て、ライ(仮)はそれを避けると重い音でスバルの拳が階層構造管理室のコンソールに直撃する。

 

 ピー!

 

 電子音と共に画面には『*注意*階層構造パージ確認』と書かれていた。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「(『時間に意味はない』!)」

 

 フッ。

 

「……消えた? それに……」

 

 体中に響く轟音が始まるとほぼ同時に姿を消したスバルに対し、ライ(仮)は崩れる周りを見ながら平然とした口調のまま独り言を発してからその場から走り出す。

 

 ……

 …

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

『地震?!』

『いや、この地鳴りはブラックリベリオンの────?!』

『────マズい! 総員、散開せよ!』

 

 本国から来たブリタニア軍は狼狽え、ブラックリベリオン時に活躍したグラストンナイツやヴィンセントの中に居たロロやギルフォードはすぐに今の状況に気が付いては共倒れになることを避けるために十分な距離をお互いから取る。

 

 ドォォォォォォォォン!!!

 

 ブリタニア軍と人質にされていた黒の騎士団を載せたトレーラーが突然上昇しながら傾き、次第に中華連邦領事館の手前に衝突し、トレーラーやナイトメアに装甲車などが投げ出される。

 

「フハハハハハハハハハハハ!!! (時間差はあったが、想定内だ!)」

 

 ルルーシュ────否、ゼロは今にも鼻歌を歌いたくなる安堵に内心ほっとしながら、ナイトポリスから借りた盾で『スノボー』ならぬ『シールドサーフィング』で傾いた地形を滑り出す。

 

 ガリッ!!

 

「ゼロ?! 私を踏み台に?!」

 

「ヒャッホウー!」

 

 一瞬だけ『波乗り電気ネズミ』ならぬ『ギルギル顔面乗りゼロ』であった。

 

「うわぁぁぁ!」

「G,G1ベースが?!」

 

 配置されたG1ベースもとうとう傾いた地形に抗えず、滑り出すと逃げ遅れたグラストンナイツ含むブリタニア軍に迫る。

 

 「どっせぇぇぇぇぇぇい!」

 

 ガッ!

 ガリガリガリガリガリガリガリ!

 

「黒の騎士団機────?!」

「た、助かった────?」

「何故俺たちを────?」

 

『────今です! 総員、()()()()に基づき()()()()()()()をこれより行います!』

 

 一回りサイズが大きい月下(に偽装されたガニメデ・コンセプト)に乗ったダルクがG1ベースを止める行動を合図に、レイラの掛け声に黒の騎士団とアマルガムの者たちが『人命救助』という大義名分の下で一斉に動き出す。

 

『『『『『了解!』』』』』

 

「(なるほどな。 治外法権区内での『人命救助』ならば『国際問題』どころか政治的に利用できる……考えたな、レイラ・マルカル。)」

 

 実はこの案、一連の予測をしたレイラから聞いた毒島が付け加えたものである。

 桐原辺りが聞いていればきっと手拭いで涙を拭きとりながら『やはりワシの冴ちゃんは世界一ィィィィ!!!』と年甲斐もなく高らかに叫んでいただろう。

 

「黒の騎士団! 聞いての通りだ! 我等が同志を救うぞ! (その間に────!)」

 

 こうして黒の騎士団の歩兵が人質を解放していく間、アマルガムと黒の騎士団のナイトメアたちは()()()()()()()()()を行っていった。

 

『貴様! イレヴンごときが────』

『────はいはいはいはい、危ないから武器は手放そうね~ねぇ~────?』

『────こ、子供の声────って、うわぁぁぁぁぁ?! ちょ?! 待っ?! は、放せ!』

 

 ちなみにその『人命救助』の中に、パイルバンカーなどによる『物理的な武装解除』が果たして入るかどうかは微妙なところである。

 

「ゼロ、やっぱり逃げるんだな。」

 

 その間、ゼロの操る無頼は人命救助どころかそのまま領事館内に駆け込むような動作をしたことでロロは冷静にヴィンセントで追う。

 

「やはり追って来たか! (もう少し! あともう少しなんだ!)」

 

 ダァン!

 

 逃げるような移動をするゼロの無頼を狙ったグラストンナイツが狙撃銃を撃つ。

 

「え?!」

 

 放たれた弾丸はちょうど無頼を追っていたロロのヴィンセントへと一直線に向かう。

 

 軽いおさらいだが、他者に対して圧倒的なほど効果的なギアスのおかげ(あるいは所為)でロロは暗殺者として破格の能力を保有している。

 

 故に彼自身の技術や操縦能力は中の上辺りであり、ロロのギアスはあくまで『体感』を止めるモノでありエルのジ・アイスやスバルが使用する特典の一部の様に『物理現象』までは干渉できない。

 

「(ダメだ、直撃する?!)」

 

 ロロがここまで考えるのに要した時間、僅か3秒であった。

 

ガァン

 

 そしてゼロの無頼が反転してヴィンセントにあたる筈だった弾丸を代わりに受けたのも3秒である。

 

「おわぁ────?!」

「────兄さん?!」

 

 腕を文字通りに撃ち抜かれた無頼は転倒し、ゼロの周りにあるスクリーンは全てエラー表示に変わり自動で発動するはずの脱出機能にも支障が出るほど被弾していた。

 

『なんで、僕を庇った?!』

 

 ロロは直通通信で思わずそう問いかけた。

 

 彼からすれば、ゼロは『わざわざ敵である自分を排除する絶好のチャンスを自ら潰す』と言った奇怪な行動でしかなかった。

 

『お前が、弟だからだ……備え付けられた嘘の記憶が元だったとしても、共に過ごした時間は本物だ。』

 

 流石に破損具合が酷かったのか、ゼロからの通信にはノイズが混じっていたが上記の言葉はロロに確かに伝わっていた。

 

『そんな……そんなくだらない理由で?!』

 

『昨日、言ったはずだ……“新しい未来の為”だと────』

『────ゼロ! 貴様の命、もらい受ける!』

 

 オープンチャンネルで放たれたギルフォードの声に、ヴィンセントが見ると彼のグロースターは持っていたランスを横たわっていたゼロの無頼へと投げていた。

 

 ガッ!

 

「ぁ。」

 

 気が付けば、ロロは訳が分からないままヴィンセントでギルフォードの攻撃を阻止していた。

 

『な?! キンメル卿! どういうつもりだ?! まさか、ゼロの仲間────?!』

「────あ。 いや。 こ、これは! 彼が死んだら任務に支障が────!」

 

 ────プルルルル。 プルルルル。

 

 丁度その時、ロロの携帯電話が鳴り彼が横目で見ると着信相手がヴィレッタだと見てさらにパニックに陥る。

 

『ロロ、ヴィレッタからの連絡を受けている。 とりあえず、出るぞ────』

「────あ、えっと────」

『────もしもし、なんですかヴィレッタ先生?』

 

『ルルーシュ、今どこにいる?』

 

『ロロと映画館に連れていく約束をしていましたので、映画館ですが?』

 

『ロロはどうした?』

 

『彼はトイレですよ。 それで、どうしたんですか? 様子を聞くなんて珍しいですね?』

 

『中華連邦の総領事館の事は知っているか?』

 

『ああ、そう言えば周りの人たちが何か言っていましたね。 何かあったんですか?』

 

『……黒の騎士団とブリタニア軍が睨み合いする中でゼロが現れた。』

 

『わかりました、じゃあロロがトイレから出たら俺たちは真っ先に学園に戻りますよ。』

 

『ほぉ? いつも思うが、弟想いなんだな?』

 

『そんなの当たり前じゃないですか。』

 

 ロロはパニックから思考停止する一歩手前で何とか踏みとどまるが、あれよあれよ進んでいく周りの状況に流されて脳内がぐちゃぐちゃになっていく。

 

「ボ、ボクは! ボクは! ボクは────?!」

『────俺が、俺たちの未来を手に入れる────』

「────ボクはぁぁぁぁぁぁ────!!!」

『────ロロ、安心しろ。 俺がいる。』

 

 中華連邦からの正式な外交的抗議にヴィンセントの中に居たロロは頭を抱えて、母体の中にいる胎児がするように体を丸め、通信から三つのように甘い言葉をゼロが送る。

 

「(……やはりギアス()()が取り柄だったことを無自覚にとはいえ存在意義にしていたのが仇となったな。 俺そっくりの奴に渡された紙に“ロロは実の弟の疑いあり”などと書かれたから取り敢えずは()便()におとしたが……ナナリーがいるべき場所に平然と居座る貴様などさんざん使い倒して、ボロ雑巾のようにあっさりと捨ててくれるわ! フハハハハハハハハハハハハハハ!!!)」

 

 ゼロの仮面の中で、静かに今作で一番の愉悦に浸りながら『悪い顔(悪人面)』をするルルーシュだった。

 

『原作で見飽きるほどしていたじゃん』?

 それは言わない約束というモノである。




次話であの子たちが出る予定です。 (´ε`;)♪~
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