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「『ヴァインベルグの懐刀』とは伊達ではないようだな?」
「い、いえ。 こちらこそナイトオブテンと手合わせを出来て光栄です!」
旧日本────すなわちエリア11でゼロが復活したことを好機に想い、ブリタニアへ徹底抗戦をすべしと思うEUの連合国や
ナイトオブテン────ルキアーノと彼の親衛隊である『グラウサム・ヴァルキリエ隊』も途中で補給をする為にエリア24に立ち寄り彼らが待っている間、ラウンズ相手に自分の実力を試したかったレオンハルトとシミュレーターで対戦していた。
『別にヴァルキリエ隊に転属されたマリーカの様子を見たかったわけではない』、とレオンハルトは口にしていたがラウンズのルキアーノより先にマリーカに会いに行った時点で周囲にはモロバレであった。
「なぁに、シミュレーターなんて所詮は遊びだ。 なんの贄にもならない、ナマの殺し合いと違ってな────あ、これパーツと弾薬の受領書ね? ありがとう。」
「……」
エリスは目を点にしながら、『ブリタニアの吸血鬼』の異名を持つルキアーノのどこからどう見ても『健やかな青年の笑顔』を前に固まっていた。
「??? なにか、私の顔についているかい?」
「ハッ?! と、とんでもないです! お手数お掛けしましたナイトオブテン様!」
「ええ! 助かりましたわ!」
グイ。
そんなルキアーノとエリスの間に露出度が高い衣装に強調されるスタイル抜群であり巨乳の金髪ロングヘアーでヴァルキリエ隊の一員、『リーライナ・ヴェルガモン』が横から無理やり割り込むように現れる。
「ヴィンセントタイプの補充物資を備えている基地はエリア24ぐらいですから、これからEU方面の攻略に『KMFの用意が出来ませんでした』では体裁が整いませんもの。」
「おや? ナイトオブテンが
「(ほう、これが噂のティンク・ロックハートか……)」
後から来て、シミュレーターでルキアーノに撃墜されたレオンハルトを慰めていたティンクをルキアーノはチラリと横目で見る。
「ベラルーシ戦線でテストパイロットを兼ねていた。 このリーライナを始め、ラウンズの親衛隊には腕に覚えのあるパイロットたちばかりいるが、それでもあの機体を持て余すどころかあの機体の性能に追いつけなかった。」
「なるほど、そこでナイトオブテン自らが出てきたと言う訳ですね?」
「今の主流であるサザーランドをヴィンセント型に変えるのなら、初期量産試作型辺りと同程度の性能に下げた方が良いだろう。」
「流石はナイトオブテン、ご慧眼を────」
「────しかしだ。」
ここでさっきまで飄々としていたルキアーノの目が細くなり、まるで得物を見つけた野獣の様なモノへと急変するとその場に居たレオンハルト、ティンク、そしてエリスの三人を緊張感が包み込む。
「しかし、何故ヴィンセントの予備パーツがエリア24────それも大グリンダ騎士団のここに、大量に備えられているんだね? 確か
「(『ブリタニアの吸血鬼』、ルキアーノ・ブラッドリー……『血塗られた古の名家の末裔』……)」
「(『帝国への反響』の旗印になり得る度重なる兇状によって、あの皇帝自らがナイトオブワンに成敗を命じて帝国に恭順を誓わせた……)」
「(『ナイトオブテンのブラッドリー卿』と言えば『血に飢えた狂戦士』と世間は評価しているが……その実は冷静な洞察力と嗅覚を持つ狩人だ……)」
ティンクは自分のサイバネテックを使って表情を維持し、エリスはルキアーノの事をかつて面白半分で読んだデータベースの内容を思い出しながら身じろぎ、レオンハルトは冷や汗を流しながらルキアーノへの評価を改めた。
「………………………………ま! 他人の暗闇に手を突っ込むほど野暮でも暇でもない。」
ルキアーノの態度と口調がまた『健やかな青年』へと戻ると同時に、その場に満ちていた圧力がフッと消える。
「ああ、それと私から言えることは “せいぜい
ルキアーノはニカっと笑みを浮かべ、彼にべったりとくっついたリーライナと共にその場を後にする。
「……どう思います? ティンクさん、レオンハルトさん?」
「一応、『私たちの事は秘密にする』という事で間違いないだろうね。」
「“でもその代わりヴィンセントのパーツと武器弾薬は弾め”とも取れましたね。」
「ですよねー────」
バサッ!
「────まぁまぁ良いじゃないか諸君にエリスたん────!」
「────きゃ?! ソキアさん────?!」
「────目的だった『ナイトオブテンの戦闘データ』は入手できたんだし、それで良しとしようぜい────!」
「────ちょっとソキアさん、どこ触っているんですか?!」
「ま、ソキアの言う通りですね────」
「────いい。」
「ん? レオン、何か言ったかい?」
「じゃれる女子の景色はやはりいい。」
「あー、うん。 聞いた僕が野暮だったね。」
ティンクはレオンハルトと共に(ソキアが一方的に)じゃれる女子二人の光景を脳内に焼き付けながら、今日の事をどうマリーベルに説明しようか考えた。
……
…
「朱禁城に確認もせず、独断でなぜ“合衆国日本をお認めになる”などとブリタニアに宣言なさったのですか?」
中華連邦の総領事館内で、
今までの行動は『黒の騎士団を利用する』という体で大宦官たちが進めていたことと
よって、『この一連は
以前から天子の政略結婚の密談は続いているが、『もし黒の騎士団を分配せずに丸ごと手柄とすれば約束されている地位はより向上する』。
傍からすればアホみたいなこと狂気の沙汰でしかないのだが
今回はただようやく、中々尻尾を出さない大宦官だけの事だった。
「いかに大宦官の1人とはいえ、許されることではありません。 ゼロを利用するにせよ、いかなる目算があって────」
「────ゼロを利用するなどあってはならぬ!」
「「「「????」」」」
声を上げながら
「ゼロ! ゼロこそが幸せ!」
「(何を言っているのだこいつ? この変わり様、まるで────)────天子様の御意向は────?」
「────あんな小娘よりゼロよ!」
「(やはり、まるで優先順位を変えられたかのような豹変ぶりだ。 もしや麻薬か何か術の類か?)」
「ゼロこそ私を幸せにしてくれるということが絶対の法則────!」
「(────もうここまででいいだろう。)」
ドシュ!
「ぐあぁぁぁ?!」
まるで絶対的な存在のようにゼロを崇拝する大宦官に狼狽える部下たちを見て
喉から出る血を両手で抑え、『無理』と分かっていながらも止血を試みる大宦官が絶命するまで
「『紅天、既に死す』……お前たち、黒の騎士団に与えられた領地に通じる橋を一つだけ残し、ほかは全て落とせ。」
「「「ハッ!」」」
「この寄生虫が……」
ドゴゴゴォォォン!!!
それはまるで、状況がまた動き出す合図の鐘の音の様だった。
………
……
…
「状況は?」
謎の爆発で飛び起きた毒島は下着姿のまま、レイラ(薄いヒラヒラ寝間着姿)のいる個室に入るなり説明を求めた。
「監視カメラの映像を見たユキヤたちによるとつい先ほど、この領事館の周りにあった橋や道が一つを残して全て爆破されたようです。」
「なるほどな……
「ええ。」
レイラや毒島とは別の部屋では同じように飛び起きて急遽現状把握をし終えたC.C.とカレン、そして報告をまとめに来た井上の三人は銃の点検をしていた。
「橋や道が塞がれた。 これでここは『陸の孤島』状態となった。」
「ええ、アオモリを思い出すわ。*1」
「でも皆、服を着ているからあの時よりは全然マシじゃないかしら?」
「まぁ、井上さんの言う通りなんだけれど……そう言えば井上さんはあの時、誰と一緒に無頼に乗ったんですか?」
「本当に知りたい?」
「イエゼンゼンゴメンナサイ……それにしても、総領事はゼロにその……
「さぁな。」
カレンは無言の威圧を放つ井上に対してカタコトになってからふと気づいたことを口にし、井上が居たことで敢えて『ギアス』と言わなかったが、察したC.C.はぶっきらぼうに返事をする。
「……それよりもお前、変わった銃を持っているな?」
C.C.は自分で点検しようとした銃から、井上が肩のベルトからぶら下げていた機関銃に視線を移す。
「ん? ああ、これ? スバル君が後方支援部隊の部隊長用に提案した短機関銃なの。」
「そうなのか? 私は初めて見たぞ。」
「ああ、うん。 これ、
「じゃあ何でお前はそれを使っている?」
「多少の水に濡れたり泥が付いたりしても使えるし、部品も少ないから点検は割と簡単だし────」
「────見せろ。」
「…………………………………………」
井上は弾倉を外してからC.C.に銃を渡すと、C.C.はまじまじと渡された短機関銃をあらゆる角度から観たりパーツを引っ張ったりする。
「あの、大丈夫? 点検の仕方、見せるわよ────?」
「────バカにするな。 これぐらい何とも────」
ツル。
「「────あ。」」
ガシャ! パァン!
「ちょっと! その短機関銃、オープンボルト式らしいから気をつけてよ?!」
C.C.の卵のような肌をした手からするりと銃が抜け出して床に衝突すると短機関銃が装填されていた弾丸を発砲して壁にめり込むと、すごい剣幕でカレンが怒鳴る。
「あ、うん。 ゴメンカレン……」
「『オープンボルト』? それにこの匂い……火薬?」
「あ、C.C.には分かるんだ。」
「フ、歳は伊達ではないぞ?」
「(歳って、この子は何を言っているのかしら?)」
何とかどや顔を出してマウントを取ろうとするC.C.の言葉に井上は(内心で)ジト目になる。
「うーんと、スバルの受け売りなんだけれどね? 『オープンボルト』は部品が少ないから点検も作るのも簡単なんだって。」
「なんだその曖昧な説明は?」
「いやだって、私もよくわかんないし。 あ! でもスバルはウキウキしていたよ────!」
「────私はそこまで聞いていない。」
「あ、うん……そうだね……」
「(畏まるカレン、何だか叱られた猫みたい……)」
ガチャ。
カレンたちがいる部屋に、険しい表情を浮かべた
「一人?」
「意外だな。」
「何? 文句でもある? 中華連邦の総領事は、ここを合衆国日本と承認した筈だ────」
「────その方にはつい先ほど亡くなってもらった。」
「「「ッ?!」」」
カレン、C.C.、そして井上の三人は驚愕の目で
「して、お前たちはどうする? ここでついえる道を選ぶか?」
「なるほど、我々は思わずきっかけを作ったようだな? お前たち、ここから出るぞ。」
C.C.は何かを察したのか、そう言いながら
「(さて。 これが高邁なる野望か、俗なる野心か、あるいは他の何かだろうか?)」
……
…
「ハァァァァ……」
アッシュフォード学園の『ナイトオブセブンの歓迎会』兼イベントに半ば無理やり巻き込まれ、水泳部カフェの一番の見世物に決められ、『世界一の巨大ピザ』で起きたアクシデントの所為で芝生に密着した消火剤の後片付けにヴィレッタは自分のセクシーで恥ずかしい衣装が気に無くなる程心身ともに疲れていた。
「ハァァァァァァァァァァァァァァ……飲みたい。」
彼女はトボトボとした足取りで、その日の報告を聞くためそのまま機密情報局がある地下の拠点に向かう為のエレベーター中で、酒を飲みたい衝動のまま上記を口にする。
プシュ。
「久しぶりだな、
エレベーターから降りて、そのまま指令室の中に入ると久しぶりに聞く声と呼び名にヴィレッタは目を見開く。
「スバル……さん……」
指令室のテーブルには包みに入ったモノ等と、ライダースーツに『森乃モード』の仮面をしたスバルだった。
ぶっつけ本番にオラの胃がキリキリすっぞ。
俺、考えたんだけれど……『扇フラグ』を折れさせたのは良いけれど肝心の俺がルルーシュに人質にされてヴィレッタを無理やり従わせるフラグも立てていたんだな?
そう捉えれば、この結果は『良好』かも知れない。
さてと。
こうやって久しぶりの『ライダースーツ』に『森乃仮面』を付けているわけだがどのような説明をして、どのタイミングで『スバル(森乃)=スヴェン』と────
「────無事、だったんですね?」
およ?
思わず『罵倒される』、あるいは『脅される』の行動を予想していたのになぜかヴィレッタがホッと安堵しているぞい?
「その、お変わりなくお過ごしでしょうか?」
「ああ、俺は元気だ。 ベルマも……いや、ヌゥ男爵も元気で何よりだ。」
「ヌゥ男爵なんて……ベルマで良いですよ。 あの子も、元気にしていますか?」
『あの子』ってマオ(女)の事か。
「ああ、マオも元気にしている。」
「そうですか、それは良かったです。」
しおらしくホッとするヴィレッタ!
最高ンンンンンンンンンンンソンンンンンンン!!!
そういや今思ったんだが『ヴィレッタ』って、『扇』を抜けばR2でそれほど大きな役割を持っていなかったよな?
つまり……モブ子に近いよな?
それに『ロストカラーズ』からの情報だと、何気に女子力が高いし。
でも、肝心な『スバル(森乃)=スヴェン』が大変なんだよなー。
「スバルさんは、やはり黒の騎士団なのでしょうか?」
「何故そう思う?」
「その、イレ……旧日本の方ですし、隠れ家に────」
「────“以前のアジトなどの設備を考えれば自ずとそう思ってしまう”か? 概ね間違ってはいない。」
「そう、ですか。」
え、まさかそれだけ?
もっとこう、根掘り葉掘り聞かれる覚悟だったんだけれど俺?
「「……………………………………………………………………」」
き、気まずい沈黙が続くのは嫌いだがどうしよう?
「あの────」
ん?
「────以前、学園で伝えたことを覚えていますか?」
“イゼン、ガクエンデツタエタコトヲオボエテイマスカ”ッテドウイウコト?
マ
「……???」
やばい、俺の返事がない事にヴィレッタが不思議に思っている!
「あの時の返事────」
「────すまない。 続きを言う前に、君に聞きたいことがある。 ブリタニアの男爵である君は、俺を捕まえて手柄にしようと思わなかったのか?」
って、思わず焦って口を開けたけれど何言ってんの俺ぇぇぇぇぇ?!
「ぁ。 その……考えもしていなかった、です。 それに命の恩人でもあり、右も左も分からない私に深く検索せずに居場所を提供してくれた恩もありましたし。」
……割と本気でアニメの印象よりかなりしおらしいし口調も違うが、これが彼女の『素』なんだろうな。
前世の現代社会で『男女平等』は結構最近なモノだが、何だかんだでコードギアスの世界は『性別が女』というだけで不利なスタートだ。
まるっきり20世紀前半の様な男女差別がまだまだ活きている。
そんな中、ヴィレッタは年下の兄妹を養うためにブリタニア軍に入ってのし上がってきたんだ。
性格もキリキリときつく、跳ね詰まったモノになるのは仕方がない。
「先ほどの、君の質問に答える前に知って欲しいものがある。」
「私に知って欲しいもの?」
俺は傷跡などが絶えない仮面に手をかけて、それを外すと空調の効いた空気が俺の顔に当たる。
「ッ?!」
「事情があって、俺はこの姿で通っていた。 それを踏まえた上で、君と話がしたいが……聞く気はあるかね?」
「なるほど。 だから
ちょいまち。 『あの時』っていつ?!
というか何でバレた?!
バレる要素はゼロの筈だ!
「あ、その……二人の『目』が一緒だったので────」
────オーマイガッ?!
俺、もしかして考えていたことを口にしていた?!
「あ、別に“口にした”とかではなくその……『雰囲気からなんとなく』そう感じてだけで。」
何この圧倒的『包容力』と『理解』はぁぁぁぁぁ?!
流石は原作の扇が一日の会話を『うん』、『ああ』、『そうだな』で済ませてもなんとか夫婦をやっていけていただけはある!
「それにしても、驚かないんだな?」
「ええ、まぁ────」
「────ゼロの事があったからか?」
「え?」
よし、ここでゴリ押しに出よう。
「先ほど俺が『事情があった』とは、ゼロの……ルルーシュの事だ。」
「まさか、スバルさん……ああいや、スヴェンも?」
「まぁな。 ゼロとルルーシュの繋がりに行きつくまでさっきの仮面を対策として
「────待ってくれ!」
ん?
「その……変装はしない方が良いと思う。 ロロに手渡された資料に、お前の────じゃなくて『スバル』がC.C.同様の『捕獲対象』となっていたのですが。」
なんでじゃい。
余談:
色々あって、後編のスバルは『森乃モードをV.V.に見られた』ことをど忘れしています。 (;´ω`)
余談2:
ちなみヴィレッタの誕生日プレゼントに用意されたモノ等は原作同様にルルーシュ&水泳部から胃に優しいタイプの健康ドリンクと、キーホルダーサイズの『角の生えたデフォルメ狼(犬?)』です。 |ω・`) ノ