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「中華連邦がか?」
『ああ、どうやらあの
アッシュフォード学園のナイトオブセブン歓迎会でのアクシデントの片づけが終わり、ようやく恒例の後夜祭の光景をルルーシュは建物の屋上から見下ろしながら中華連邦の総領事館に戻っていたC.C.から来た現状報告の連絡に焦らず、平然と暗号化された携帯電話でやり取りをする。
「だろうな。」
『まさかお前、知っていたのか?』
「以前お前を中華連邦への使者として送った時があっただろ?*1 その際、軽く調べた時に『中華連邦と言う国にマークされている人物』とリストに上がっていた武将の一人だ。 それで、総領事館からの脱出ルートは?」
『確保できている。 既に撤退する準備した者から順に
「そうか。」
C.C.から『千葉』を聞いた瞬間、ルルーシュは先日黒の騎士団の幹部たちをギルフォードの宣言した公開処刑から救出した夜、『何故ゼロは急に居なくなった』と問い詰めながら一部始終、藤堂や扇からゼロが戦線離脱した理由の弁護をしても自分を睨んでいた千葉を思い出す。
「……」
『そっちの千葉じゃないぞ?』
「分かっている。 というか今のはなんだ?」
『アキト流の“ぎゃぐ”という奴らしい。』
「(意味が解らん。) どちらにせよ、随分と早く行動が出来たな?」
『毒島達が物資の搬入などができやすい様に片づけをしていたらしいからな。』
「(『サエコ・ブスジマ』……確か桐原の孫だったな? 祖父共々、優秀だな。 黒の騎士団への協力者にしておくことが惜しいが、桐原曰く“アレはアレで役割を持っている”と断られたな。) そうか。 状況が変わるようならば、すぐに連絡をして来い。」
『学園の問題は良いのか?』
「ヴィレッタをアイツに任せた。 あとは────」
『────スザクか。』
「ああ。 何故このタイミングで戻ってきたのか、そして何のためにわざわざ理由を『学生としての復学』にしたのかをはっきりしなければ計画の練りようもない。 それに────」
ここでルルーシュが思い出すのは忌々しい、『ジュリアス』としてユーロ・ブリタニアで活躍していた時だった。
「(あの時のジュリアスが『皇帝直属の者』であったことと、スザクが皇帝と繋がっていることを踏まえれば皇帝の命で常に近くいたのは明白だ。 だがあの時のスザク……奴の目は『監視対象』を見るものでは無かった……ような気がする。 どちらかと言うと10年前の日本侵略後に見せた時、悲哀────)」
『────ルルーシュ?』
「ッ。 (何を考えているんだ、俺は。 俺を撃った奴が、そんな────!)」
『────何かあったのか?』
「(落ち着け俺、熱くなるな。) いや、少しスザクの事で考えごとをしていた。
『分かった。 内容は?』
「追ってこちらから連絡をする。」
『いつものように強引だな────?』
────ピッ。
「(さて、これであとは────)」
ルルーシュがC.C.との電話を切るとメッセージが『非通知』と表示される連絡先から入ってくる。
────ピコン♪
内容は『黙認、了』と短いモノだった。
「(スヴェンか? 仕事が早いな。 考えると情報屋だけでなく、整備もこなせ、彼自身も相当の戦力を……それに、ヴィレッタとも繋がりを────)」
────ガチャ。
ルルーシュは建物内に通じるドアが開く音に携帯電話を服の中にしまい直すと、スザクが出てきたことに驚くふりをする。
「スザク? 主役はメインステージにいないとダメだろ?」
「そうなんだけれど僕、どうもこういうのに慣れていなくて。」
「慣れていない? 何にだ?」
スザクはルルーシュが肘を預けている手すりに寄りかかってキャンプファイヤーを中心にカクテルドレスを着た女性たちとスーツ姿の男子たちがダンスをし、そんな者たちから距離を開けて魅入られる学生たちの景色を見下ろす。
「ほら、その……皆
「ん? スザクお前、何かあったか?」
「え?」
「お前今、昔の頃の顔になっていたぞ?」
「昔の顔って────」
「────ああ、お前も楽しそうだったぞ?」
「あー……そうするつもりは無かったんだけれどなぁ~……」
「(何を言っているんだ、こいつ? だが二人きりになったことは好都合だ────)」
「────ねぇルルーシュ?」
「なんだい、スザク?」
「僕、ナイトオブワンになるつもり……
「おいおい、ナイトオブワンと言えば『帝国最高の騎士』だぞ? お前まさか、あのタイムカプセルを埋めるときの宣言を本気で口に────ん? “だった”?」
「うん。 殆んど
────ギリッ!
ルルーシュは表情に出しそうになった怒りを鋼の気力で蓋をしながら、思わず奥歯を噛み締めて拳を力強く握ってしまう。
「(『成り行き』、だと?! こいつ……俺を! 友人を皇帝に売り払った、この
「うん。 少し前までは、そう考えていた。 けれど止めることにしたよ。」
「“止めた”? お前らしくないな、あれほど昔は“ブス子に次こそは勝ってやる~”と負けず嫌いなお前が────」
「────ブッ?! お、覚えていたのかいルルーシュ?!」
「あれほどほぼ毎週口にすればいやでも覚えるさ。 “ブス子は~”と、あーだこーだと────」
…………
………
……
…
「ぶえっくしょい?!」
ぶえっくしょい、ぶえっくしょい、ぶえっくしょい、ぶえっくしょい、ぶえっくしょい、……
毒島が出したクシャミが彼女のいたトンネルの様な場所の壁に反響し、やまびこの様な現象に周りの者たちがビックリする。
「大丈夫ですか、サエコ?」
「ズズ……すまん、どこかの脳筋小僧が私の悪口を言っている気配に鼻がムズムズしてしまった。」
「ハンカチ、使います?」
「気にするな、自前のを持っている。」
…………
………
……
…
「────そして毎回勝負を仕掛けては、身体中痣だらけに────」
「────む、昔の話だ! 今の僕なら、
「それもどうかと思うが……そもそもその『ブス子』とやらも、KMFに乗り慣れていなければ勝負にすらならないじゃないか。」
「あ………………………………うん……そうだね。」
「それで? ナイトオブワンになることを止めたお前はどうするつもりなんだ?」
「……………………………………」
さっきまでルルーシュに『ブス子ネタ』でいじられていたスザクの表情は一転し、真剣なモノへと変わる。
「来週、エリア11の新総督が赴任される予定で────」
「────おいそんな情報、ただの学生である俺に言ってしまっても良いのか────?」
「────僕はその新総督の力になることに専念したいと思っている。
「ッ。 (なん……だと?)」
スザクの言葉にルルーシュは息をすることを止めてしまい、身体中の筋肉が硬直すると同時に冷や汗が噴き出しながらも心臓は強く脈を打つ。
「(ルルーシュ……どこまでできるかわからないが、君が記憶を失っている間は君の代わりにナナリーを守る。 ユフィに託されたことでなくとも、それが僕の……)」
後夜祭を見下ろすスザクは天を仰ぐルルーシュに気付かず、ワルツの様な音楽を背景にジノとのダンスを楽しそうにするミレイと、そんな彼女の相手を見てしょんぼりとするリヴァルを見てクスリと笑う。
「(何時か俺も、ああやってユフィと踊れる時が来るかな?)」
……
…
リーン、ゴォーン。 リーン、ゴォーン。
フワフワとどこか少女漫画風な風景に鐘の音が鳴り響き、教会の前にはウェディングドレスを身に纏い、美化されたユーフェミアが居た。
『お姉様! 私、幸せになります!』
突然ユーフェミアは背後からお姫様抱っこにされると、彼女は抱きかかえられた相手と────
「────あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛────!」
「────わ?!」
コーネリアの悲鳴がどこかの荒野内に設置されたキャンプサイト中に響き、目を『3』にさせながらクララが寝袋から飛び起きる。
「ひ、姫様! 落ち着いてください!」
「離せぇぇぇぇぇダールトンンンンンン! ユフィが! ユフィがぁぁぁぁぁぁ!」
「………………………………な~んだ、
寝ぼけながら『何事か』と思った彼女は目をこすりながらテントの外を見ると寝間着のままマントを羽織って鬼の形相をしながら銃剣を手にしていたコーネリアと、そんな彼女を止めようとするダールトンを見て落胆する。
「ん……どうしたクララ?」
「あー、うん。 ネリスがいつもの発作を起こしたみたい。」
「そうか。」
「あ。」
横のテントの中から出てきたオルフェウスにクララが答えると彼は興味が失せたのか、生返事を返しながら自分のテントに戻っていくがクララが呼び止める。
「オルフェウスお兄ちゃ~ん、クララも一緒に寝る~♡」
「一人で寝ろ────」
「────うわ~、お兄ちゃんつれないな~♪ そんなところもす・て・き♡」
クララはシャカシャカと器用に手足を動かし、テントに戻っていくオルフェウスの手を握る。
「じゃあ~、クララをギュ~ってするだけで良いから~────」
ギュウゥゥゥゥゥ!!!
「────あいだだだだだだだだだ!!!」
オルフェウスは器用にクララの手を過剰なほどまでの握力で握り返し、クララのあざとい態度は一変する。
「何するの?!」
「お前が“ギュウしろ”って言ってきたんじゃないか────」
「────オルフェウスお兄ちゃん酷い! クララはか弱い女の子なんだよ────?!」
「────どこが『か弱い女の子』だ────」
「────傷跡が出来たらどうするの────?!」
「────自業自得と言う言葉を知っているか────?」
「────あ。 でもその時はお兄ちゃんに責任取って貰うからいいかも♡────」
「────人の話を聞けよ────」
「────オルフェウスお兄ちゃんは子供の面倒見がいいから最初は♪────」
「────え?! あの鉄仮面の様なオズが?!」
クララのいたテントから、明らかに聞き耳を立てていたミス・エックスが頭を出す。
「ちょっと意外────」
「────どう言う意味だ、ミス・エックス?」
「だってあなた、『そういうことに無頓着そう』というか────」
「────ミス・エックスの知らないところ、話してもいいんだよ~? でもその場合、お兄ちゃんは私がもら────」
「────大・却・下よ! オズは私のだから────!」
「────俺は誰のモノでも────」
「────いつも喧嘩しているのに────?」
「────それはオズが────!」
「────だから聞けよ、お前ら。」
『きょうも ぎあすきょうだんたんさくぐみは げんきです!』と言うテロップが似合う、原作の『オズ』で見るような切羽詰まった状況からほど遠い光景が繰り広げられていた。
つまり『コーネリアたちの安否を毎日祈るギルフォードは泣いていい』とも。
……
…
「(どういう事だ?)」
機密情報局の地下拠点で取り敢えずルルーシュにメッセージを打ったスヴェンはポーカーフェイスを維持しながら、無数のハテナマークを内心で浮かべていた。
「(嚮団が、俺を? どこで『森乃仮面』を見た?)」
スヴェンは座っていたテーブルの上に肘を乗せ、手を組み合わせながら悶々と考え込む。
「(……あ。 行政特区のG1ベースか! 確かにあのときは色々やらかしたからなぁ……)」
「あの、スバル……えっと、スヴェン? 大丈夫か?」
「ん? どうしたヴィレッタ先生?」
「う……」
早速学園で常に見せるよう試みていた『優男』の仮面から、普段の『
「……いやその、お前の……君の顔色が優れないようだったから。」
「そうか────」
────ガタ────
「────え、な、何故上着を────」
────ファサ。
スヴェンはそのまま立ち上がりながら上着を脱ぎ、これを見て慌てるヴィレッタに上着を羽織らせてからまた座る。
「……え? ぁ。」
カァァァァ。
ヴィレッタはここでようやく、自分がまだ露出度の高い水泳部カフェ衣装のまま指令室に来ていたことに気付く。
「(わ、私は今までなんて格好で?!)」
『もしこのままだったら部下にどう思われていたのか』と思うヴィレッタは、ただ静かに考え事をするスヴェンを見る。
「(嚮団が見たのが『森乃仮面』だけでよかった。 もし、俺の素顔も知られていたらきっと絶対殺すマンモードになったロロにザ・ワー〇ドされていたかもしれん……そう言えば────)────ヴィレッタ先生────」
「────グ────」
「────のご家族は、本国ですか?」
「……だ、男爵になってからは新大陸に家を建てて皆そこで住んでいる。 元居た本国の家はそのままだが売り出そうか迷っているが────」
「────でしたら、万が一の為に新大陸の……………………そうですね、
「万が一……確かにそういわれると良い手かもしれませんね。 それで、機密情報局の部下たちにはやはり説明が必要ですか?」
「それには及ばない……と言うよりも、既にゼロが対処済みだ。」
「『絶対服従のギアス』、か……お前は、大丈夫なのか?」
「(やっぱそう聞くよね? だがさっきの話のおかげで想定済みだ。) ああ、
実は上記の言葉は、さっきヴィレッタが言った『嚮団にスバル(森乃モード)が狙われている』ことでスヴェンが思いついたものである。
「(フ、これで『何で嚮団に狙われているか』を自己完結すれば完璧だ。)」
完全なウソでもない言い訳に、スヴェンは内心満足した。
「(この姿で一人称が『俺』の破壊力……侮れん。 これがなくとも女生徒たちの間で『学園内で付き合いたい男子トップファイブ』をキープしているというのか。)」
そんな彼でも、ヴィレッタが水泳部の顧問や担任教師として聞く乙女な噂話を思い浮かべていたとは知る由もないだろう。
……
…
「これが、対テロリスト遊撃機甲軍団『大グリンダ騎士団』。」
エリア24政庁の上空から着陸する、カールレオン級のシュナイゼル直属の要人護送艦『ハイシュナイゼン』の中からノネットが滑走路の上で五十機ほどが見事な隊列を組みながらずらりと並ぶ赤いグロースターを見下ろす。
「(なるほどねぇ。 カノンはいつも『化粧は女のウォーペイント』と例えて言うが……第88皇女マリーベル・メル・ブリタニア、これが貴方の『化粧』と言うのかい。) さてと、皇女殿下に挨拶をしに行きますか────」
「────ノネット、貴方ちゃんとハンカチとモバイルは持った?」
そんなノネットをカノンが呼び止める。
「ああ、ちゃんと持っているよ────」
「────それにまさか貴方、そのタヌキ顔のまま出るつもり?」
「『タヌキ顔』って────」
「────ほらちょっとこっち向きなさい、簡単にブラッシュアップするから。」
カノンはてきぱきとノネットに化粧を施し、ノネットはいつもと違って素直にそれを受け入れた。
と言うのも、エリア11に密入国したことをカノンが知っていることが仄めかされた電話が来てその件に黙っていることを条件に『宰相のお願い』とやらをするためにほぼとんぼ返りの様にエリア11からエリア24へとカノンと共に移動した。
「大体貴方、素材はいいのにガサツ過ぎなのよ……ハイ、完成。」
「あ、ああ。」
カノンに見送られる中でノネットは渡されたコンパクトの鏡を見て、キラキラする自分の顔に戸惑いながらもハイシュナイゼンから降りていく。
「ようこそ、ノネット・エニアグラム卿。 歓迎いたします。」
「マリーベル皇女殿下自らお出迎えとは恐縮しちゃうよ。」
「ラウンズとなれば、礼を失するわけにはまいりませんから……と言っても、貴方を寄こしたのは恐らくシュナイゼルお兄様でしょうけれど────」
「────さすが、短期間で統治領を持つだけでなく平定も驚くスピードで行う皇女様だね。 (お、スタジアムの若造たちだ。)」
ノネットはグロースターとは違うブラッドフォードとゼットランドを見て、マリーベルの後を歩きながら手を振るう。
『あ、ティンク! エニアグラム卿がこっちに手を振っていますよ! やっぱり美人だな~。』
『レオン、ブラッドフォードで手を振るのはやめた方がいいよ?』
『やっぱり私たちの事を覚えていてくれたんだ! まいったなー!』
『……うん……まいったなぁ……』
ブラッドフォードの中でウキウキするレオンハルトの隣にいたゼットランドのティンクはここでようやく自分がレオンハルトに与えていた悪影響に罪の意識を感じた。
「それにしても、エリア24の平和は見事だね。」
「恐縮です、エニアグラム卿。」
「ゼロの復活で反ブリタニア勢力が活発になっている上に、噂では軍人たちが混乱に乗じて好き勝手していると聞いているし。」
「少なくともエリア24内や周辺での略奪行為はEU
「やれやれ、その話し方だと
予想外であるノネットの意味深い言い回しにマリーベルは歩みを思わず止めそうになるが、長年鍛えた愛想笑いを維持しながら彼女は歩く速度が落ちたことを誤魔化すようににっこりとしたままノネットへと振り返る。
「あらエニアグラム卿、物々しいですわね?」
「ま、これでもラウンズだからね。
「そうですか、大変ですね。」
「まぁね。」
「フフフ。」
「ははは。」
「(ひ、ひ、姫様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!)」
キリキリキリキリキリキリキリキリ!
ノネットとマリーベルのやり取りを近くで冷や冷やしながら聞いていたシュバルツァー将軍の胃痛は一層激しくなった。
……
…
様々な者たちの思惑が進行中────あるいは行われようとされているエリア11や中華連邦、そしてヨーロッパ方面だけではない。
「え? ほ、本当ですか?」
「はい。 ナナリー様がエリア11の次の総督になる申し出が通ったと連絡が今朝ありました。」
新大陸にて、ブリタニア本国にあるペンドラゴンの離宮などを模範したとある場所の中で一人の目が不自由な少女────第87皇女のナナリー・ヴィ・ブリタニア────に上記の言葉を補佐官である『アリシア・ローマイヤ』が告げるとナナリーは明らかに驚く表情を浮かべる。
「……如何なされましたか?」
「い、いえ……申し出はしたものの……その……それより、お兄さまは────?」
「────ルルーシュ様は以前と変わらず、未だ『
「……では、シュタットフェルト家のご令嬢に関しては?」
「???」
一瞬『何の事だ?』と思ったローマイヤは、いつも持ち歩いている手帳を取り出して素早く『シュタットフェルト家』の項目を読む。
「………………ああ、確か病弱である『カレン・シュタットフェルト』ですね? 依然、『ブラックリベリオン時から行方不明』とのことで家が総力を挙げて検索を行っているそうです。 彼女の世話係である者も探す旅から無事帰還し、勉学に励んでいるという報告が来ておりました。」
「そうですか……では、赴任の準備をしましょう。」
「既に行っております。 あとはナナリー様の確認と署名が必要なだけです。 いま、書類をお部屋までもっていきます。」
ローマイヤはそのまま踵を返すかのように立ち去ると、先ほどシュタットフェルト家に関して“世話係である者も探す旅から無事帰還した”と聞き安堵しながら複雑な心境になっていたナナリーはエリア11の方角と思われる空へと顔を向けて込み上がてくる気持ちをぐっと抑える。
「(……未だに見つからないカレンさんには大変申し訳ないですが、スヴェンさんがご無事で本当に……本当に良かった。)」
。゚(゚´Д`゚)゚。