小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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200話目の次話です!

いつもお読み頂き誠にありがとうございます! m(_ _)m

長めでカオスですが、楽しんで頂ければ幸いです!


第200話 燃えつきるほど熱い正義のヒート(?)

「落ちな!」

 

 ドッドッドッドッドッドッドッド!

 

 アンジュの乗っている機体のライフルから、明らかにナイトメアが使用する従来のコイルガン以上の重い音を放つ。

 

シールド(ブレイズルミナス)はどうした?! なぜこうも簡単に攻撃される?!」

 

「全方位に展開はしていますが、展開時に生じる隙間を────!」

 

 ────ボォン!

 

 次のカールレオン級の機関部から煙と爆発音が出ると、中で混乱していた乗組員は慌てて退艦する準備をする。

 

「これで三つ目!」

 

『クロスアンジュのハイテンションアンジュにヴィ〇キスやんけ!』と叫んでいる者たちがいるかもしれないので『イグザクトリー(その通り)!』……と返したいところだが、実は少々違う。

 

 とはいえ、『クロスアンジュ』を見たことが無い者たちにも理解できるような簡単な説明と変更点を大まかにしたい。

 

 元ネタの機体は『クロスアンジュ』に出てくるDRAGON(ドラゴン)に対抗するために開発された7メートルほどの可変型機動兵器の『パラメイル』とコードギアスのナイトメアより一回り大きく、戦闘機と人型の形態を利用した高速機動戦を前提にされている。

 

『クロスアンジュ』の中では強制的に死ぬまで軍務に使役される『ノーマ用の棺桶兼兵器』という事で戦闘機の形態時はオープンコックピット式の所為で外気や風圧にさらされ、操縦席にパイロットを固定するベルト等の装備もなく、DRAGON(ドラゴン)の物理的攻撃で外に放り出されたり、被弾する危険性もある。

 一応パイロットを装甲が覆う人型形態もあるが、それでも衝撃を受けた際にコクピット内壁(仮)にパイロット自身が叩き付けられて負傷したり構造上気密性は絶無な上、誤って海に落ちればあっという間に浸水してしまう等々、完全にパイロットの安全性を無視したデザインが『クロスアンジュ』の『パラメイル』であるのだが、今作ではそのような搭乗者への危険性がミルビル夫婦博士たち等によって幾分か改善されている。

 

 まずコックピットは密閉型に変えられており、中はグリンダ騎士団から盗んだ 技術を借りたヒッグスコントロールシステムによりパイロットへの負担を大幅に軽減され、ソフィ博士のBRSの応用で搭乗者のヘッドウェア経由でリアルタイムに情報が入り、パイロットスーツはデザインを変えずにラビエ親子によって光ファイバー網技術等を利用し、身体能力の補助と外部からの打撃や斬撃耐性などの機能が追加されている。

 

『パイロットの生存率アップ』だけでも本来のパラメイルからかけ離れているのだが機体自体もウィルバーのおかげでデザインはより現実的なものに変えられ、武装も実体弾兵器で対DRAGON(ドラゴン)用の超硬度斬鱗刀も柄の中にエナジー源が搭載されているアマルガムのマイクロ波誘導加熱ハイブリッドシステムの物に変わっている。

 

 これらの変更があっても機体の速度も推力重量比は原作と大差ない3.7467T/Nと、もはや化け物である。*1

 

 まだまだ変わった個所はあるが、大体はこんな感じでありもはや『見た目だけヴィ〇キスとフリー〇ムを足して2で割った様な機体』が出来上がった。

 

 ちなみに元々頭頂部にあった天使をかたどったエンブレムはウィルバーの“空気力学的にどうなのだ?”という事で『取り付けは保留』となっている。

 

 ただし、全てが良い意味で向上したわけではない。

 

『アンジュさん、戻ってきてください。 それ以上活動を続けると戻れなくなりますよ?』

 

 「あ゛。」

 

 レイラからの通信でアンジュはすっかりKMFの騎乗時に注意事項の一つであるエナジー残量を表示するモニターを見て顔色が青くなっていく。

 

 彼女の機体であるヴィ〇キス『ビルキース』*2は武装がすべて機体のエナジーを使っていないものの、機体の強みである『機動力』を使うだけで莫大なほどのエナジーを消費する所為で主に『短期決戦仕様』になっている。

 

 ……

 …

 

 アンジュのビルキースから少し離れた場所では、アマルガムのリア・ファル……ではなく、潜水艦のディーナ・シーが海上を進んでいた。

 

「やはり、彼女の機体は凄いですね。」

 

「「だろう?/でしょう?」」

 

 中でレイラの感心する声に、ウィルバーとサリア(ミルビル夫人)は端末に映っているビルキースとパイロットの状態を見て誇らしげに答える。

 

「ただ、エナジー問題がちょっと……」

 

「ああ、それが無ければあの子(アンジュ)は更に成長を見せるだろうね。 何せ彼女、レオンハルト君以来の逸材だからな。」

 

「『レオンハルト』……グリンダ騎士団────いえ、大グリンダ騎士団の『ヴァインベルグの懐刀』の方ですね?」

 

「ああ、あの子と会うまではブラッドフォードなどの試作機のテストパイロットは私ぐらいしか務まらなかったからな。 それもサリアの心配から控えていたし。 (それに……)」

 

 そう言いながら、ウィルバーは敵の対空砲火をよけながら戻ってくるビルキースの様子を見る。

 

「(彼女はユーフェミア皇女殿下のように、ラクロス部だったと聞いたがそれだけでは説明ができないほどの適性だ。 空中戦などの三次元的な行動は素質があっても、『理解』が難しいというのに最初の飛行からこうも……そうだな。 これは『素質がある』と言うより、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……私の考えすぎか?)」

 

「ウィル? どうかしたの?」

 

「うん? ただ、ああも綺麗な空中戦を見せられると『私も歳かな?』と。」

 

「もう! ウィルは全然まだまだよ! 冗談が好きなところもいいけれど……」

 

「サリア……」

 

「ウィル……」

 

 ウィルバーとサリアが発するメタなハートが飛び出ている空間仲睦まじいやり取りに、ディーナ・シーの乗員たちはスヴェンとは違う意味での『またか』の表情となり、レイラはホッコリしながらも作戦の進行具合を端末の画面上で確認する。

 

「(そろそろ、ゼロたちが現れる筈。 これでブリタニアと彼が出る行動は恐らく────)」

 

 ……

 …

 

 ボォン!

 

『のわぁ?!』

『何やってんだ玉城!』

 

 一機の戦闘用ヘリが被弾すると脱出機能が自動的に危機を察知して作動し、ヘリからぶら下がっていた無頼の中にいた杉山も落ちる前にイジェクションレバーを手動で行う。

 

「(クソ! もう既に迎撃態勢になっているとは、さすがに早い!)」

 

 思っていたより早くナナリーを乗せた艦隊がエリア11に向かったことで黒の騎士団を総動員し、原作のように太平洋を渡っていた。

 

 だが『アラスカからの別艦隊の気配』と『新総督の艦隊に異常事態発生の可能性アリ』という事からルルーシュは発進と移動速度を急がせた。

 

 よって原作以上の戦力が黒の騎士団にあったモノの、黒の騎士団は当初考えられていた様にまとまった戦力ではなく自然と戦闘ヘリのパイロットたちの腕によりバラバラになっていた。

 

「いいか?! 作戦目的は、新総督を捕虜とすることにある! いかなることがあろうと、絶対に傷をつけるな! いいな?! 絶対にだ!

 

『ゼロ、アラスカからの艦隊も見えてきた!』

 

「第一グループ、チャフスモーク展開! 第二グループはアラスカ艦隊を落とせ! 新総督を乗せた旗艦以外は用なしだ!」

 

『『『『了解!』』』』

 

『カレンさん、頑張ってください!』

 

『ありがとう、ベニオ!』

 

 後からくる黒の騎士団組は北から来るアラスカからの艦隊を相手しに方向転換をしていく中、黒の騎士団はスモークに紛れて未だに慌てるカールレオン級やログレス級の甲板へと降り立ってから出撃してスモークに集中していたブリタニアの戦闘機やヘリを撃ち落としてからカールレオン級の機関部を攻撃していく。

 

「(よし。 予想より護衛艦が多かったが、おおむね予定通りに進んでいる。 ブリタニアの者たちよ、次はどう出る?)」

 

 ……

 …

 

「アラスカの艦隊とは連絡はまだつかんのか?!」

 

「電波妨害が激しくて応答はありません!」

 

「残った空戦部隊も出せ! 護衛艦にはこの艦を優先させろ!」

 

「しかし、敵は各護衛艦のフロートを狙っています! それに護衛艦もシールドを展開し応戦しているので────」

────この艦を守らずしてどうする! 先の未確認機体は?!」

 

「黒の騎士団が到着する前に、レーダー範囲内から出たので────」

「(────チィ! あれはもしや、前もって我々をかく乱させるための布石か!) もうよい! 護衛艦に離れさせて、退艦命令を出せ! 艦ごと黒の騎士団を葬り去る!」

 

「で、ですが────」

「────アラスカからの艦隊が来るまで持ちこたえるだけだ!

 」

 

 ……

 …

 

「この動きは……なんと愚かな。」

 

 ディーナ・シーの中でウィルバーはブリタニア側の動きに驚愕で目を見開かせてから、目頭を落胆から押さえる。

 

「ミルビル博士────?」

「────ブリタニアの指揮官は、自らの護衛艦ごと黒の騎士団を落とす気だ……『援軍が到着するまでの時間稼ぎ』と言ったところだが、これはあまりにも……」

 

「そうですね。 こちらとしては乱戦になることは望ましい事ですが、護衛艦の乗員たちは……」

 

「いや、君は気にしなくていい。 元々、一兵士や民たちなどを気にもかけていないブリタニアの上層部が悪い。 このまま作戦続行だ。」

 

「……では、ダルクさんたちに号令をかけます。 総員、対ショック準備を。」

 

 ……

 …

 

「自分の護衛艦を犠牲にしたか。 愚策だな、ブリタニア。」

 

 ルルーシュは涼しい顔のまま、ログレス級の甲板から侵入を────

 

 ────ドォン!

 

「↑うおぉぉぉぉ?!」

 

 ルルーシュが丁度ナイトメアからログレス級の甲板にあるハッチに降りようとしたとき、突然衝突のような音とともに艦が激しく揺れて彼はあまりにもゼロらしくない慌て方をしながらバタバタとオートバランサー機能が起動した無頼にしがみつく。

 

「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ、ぜぇはぁ?!」

 

 ルルーシュは体中から冷やりとした汗を吹き出せながら深呼吸(?)を繰り返してバクバクと脈を打つ心臓を落ち着かせようとする。

 

「(い、今のは誰だ?! 誰が旗艦に攻撃した?! いや、今はそれよりも────)────今の衝撃はなんだ?! 誰か何か見たか?!」

 

『ゼロ! こちら卜部、北から何か飛んできたような感じだった!』

 

「もしや長距離ミサイルか?!」

 

『どうだろう、ファクトスフィアにはなんの反応もなかったからな……だが見たところ、不発の様だ。』

 

「(北からだとするとアラスカ艦隊か? だが意味が分からん……もしや『新総督が乗っている』と言うのは囮で、本命はアラスカか?! ……確認する方法は一つだけ。 待っていろ、ナナリー!)」

 

 ……

 …

 

 アプソン将軍が乗っているログレス級の内部は黒の騎士団、そして先ほどの未確認物体の衝突で警備隊と救護班が負傷者の保護を行っていた。

 

「なぁ、トウキョウ租界から援軍が来るとしても一時間はかかるよな?」

 

「ナイトメアが中にでも入ってきたら墜落待ったなしだよ。」

 

 救護班とその護衛である警備員は緊張をほぐす話をしながらもログレス級が被弾したところへと早歩きで移動する。

 

「それより、生存者がいるかどうか見つけてさっさと────」

 

 ────プシュ。

 

 ヒュ! ドドッ!

 

「「ぐぁ!」」

 

 彼ら二人組が今まさに開けようとしたドアのロックが解除されると同時に影の様なものが横過ぎると重い打撃音にブリタニアの二人組は気を失い、更にもう一つの人影が彼らのいた部屋に銃を構えながら入る。

 

『クリア?』

『クリア。』

 

 ガスマスクに似たフルフェイスヘルメットに、何らかのインナー式スーツに装甲板を足した様な装備をした二人組の声がガスマスクにより外部に漏れることはなく、マスクに内蔵された通信で話し合うとぞろぞろと同じような装備や銃を構えた者たちがお互いの死角や部屋の構造、ドアの向こう側などを想定した上での見事な連携を見せる。

 

 その動きからその者たちがどれだけお互いを信頼、そして役割などを熟知しているかを容易に想像できるほどだった。

 

「お、おい!」

「クソ、警備隊に────!」

「────それよりも総督だ! ナナリー総督、謎の者たちが────!」

 

 ────ガシャン!

 

「な?!」

「ど、ドアにはロックをかけていた筈────!」

 

 ────バスバスバスバスバスバスバス!

 

 この様子を警備室から見ていた者たちが通信機器を手に取ろうとしたとき、彼らの背後にあるドアが開かれると画面上の同じガスマスクに黒ずくめの全身ボディーアーマーをした者が構えていたライフルの銃口から、ゴム弾がフルオートで次々警備員の二人に襲い掛かる。

 

「ぐえ?!」

「ごが?!」

 

『ゴム弾』と言っても、従来の銃より大きめの口径である12ゲージのスラッグ弾であるそれ等が首や胸などに連続で直撃すれば軍人でも気を失うだろうが。

 

『いや~、凄いねマリエルさんたちのスーツにアンナたちの銃は。 』

 

『バカだなユキヤ、凄いのはそいつらに依頼したシュバールだよ。 さっさとここのシステムを乗っ取れ。』

 

『ハイハイ。 シュバールさんに対するリョウの評価は相変わらずだな。』

 

『ち、ちげぇよ!』

 

『ハイハイハイ。』

 

 ……

 …

 

 ガコォン。

 

 ログレス級内の庭園エリアへと続くドアが開かれると中にいたナナリーは車椅子の上で身構える。

 

「(数人分の足音に、このカチャカチャとしたのは銃? でも、吐息が聞こえない。 マスクをしている? それに先ほどからの振動……もしや────)────そこにいるのは、ゼロですか?」

 

 ナナリーの問いに、ぞろぞろと入ってきていた全身黒ずくめのガスマスク達は足を止める。

 

「私も、殺すのですか? ユフィ姉様のように? なら、少しだけ待っていただけませんか? 貴方のやり方は間違っていると私は思うのです────」

 

 ────カッカッカッカッカッカ。

 

 ナナリーの耳に聞こえたのはただ無言で近づいてくる足音だった。

 

「(ダメ。 話を聞いてくれない、どうすれば────あれ? でもこの足音と足幅────)────きゃ?!」

 

 ナナリーは突然手の甲を掴まれたことに声をあげるが次の瞬間、掌にトントンと前にいると思われる指が優しく押されていくことに戸惑う。

 

「(な、なんで? これは、ブライユ? ……………………『ス』、『ヴェ』、『ン』、『で』、『す』?) ………………………………………………え?」

 

 ナナリーの手を取っていた者が、手袋を外していたもう片手を他の者たちへと向けると次々と腕が掴まれて全員が何らかの接触をすると装甲越しの音が────否、周りのすべての音が静まり返る。

 

 先ほどまで聞こえていた戦闘や爆発音、庭園の中で川を模倣した水の流れる音でさえもピタリと止まったことに、ナナリーは不安を感じた。

 

 プシュゥ。 カチャカチャ。

 

 だが静寂の中で空気が抜けるような音と、金属とベルトの様なものが擦るような音がしたのも束の間、次は予想外の声が聞こえてきた。

 

「怖がらせてすまない、ナナリー。」

 

「……………………………………………………」

 

 ナナリーは返事せずに、自分の手を握っているスヴェンの手を握り返して確認するかのように触り出す。

 

「本物……なんですね?」

 

「ああ。 あまり時間が無い────いや、こんな時に“時間が無い”のも変な言い方だが────」

 

 ────プシュゥ、ガチャ、ガコン────

 

 「────ナ゛ナ゛リ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!!!」

 

「え? アリスちゃ────?」

 

 ────ガシッ!

 

 ガスマスクを脱ぎ捨てたアリスは涙目でナナリーの名を呼びながら戸惑う彼女に飛びついた。

 

 無事でよ゛がっだぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

 

「な、なんでここにスヴェンさんだけでなくアリスちゃんまで?」

 

「それは私から説明するわね、ナナリー?」

 

 自分の問いに帰ってきた声に、ナナリーは固まった。

 

「…………………………………………え? その、声は────」

「────久しぶり……と言っても一年ぶりだから“どうかな~”と思うのだけれど────」

「────手……手を握らせてください!」

 

 閉じられた目が潤い、『まさか』と思ったナナリーの両手に新たな手が置かれるとポロポロと涙が流れ出る。

 

「ユフィ……お姉さま────」

「────うん────」

 「────ユフィお姉さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ガバッ!

 

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ただただ流れ出る涙を気にすることも、拭うことも忘れてナナリーは車椅子から飛び出るような勢いでただユーフェミアを抱きしめる。

 

「う゛う゛う゛う゛う゛う゛、よ゛がっだねぇナナリー────?」

「────感動的な再会を濁すようで悪いが、どれだけこの状態を維持できるか()にも正確に把握できていない。」

 

「なるほど……『時を止める能力』とは流石にびっくりですね?」

 

「すご~い! 水が氷みたいー! 蝶も作りものみたい~!」

 

「……確かに。 道理で『強い』わけだ。」

 

 ガスマスクを取り外して周りを物珍しく見るルクレティア、はしゃぐダルク、そして感慨深くなったサンチアがそれぞれスヴェンの『“時間”に意味はない』で止まった景色に対しての思惑を口にしてしまう。

 

「はぁぁぁ……」

 

「あれ? そう言うアリスはビックリしないんだね? と言うか、なんでため息?」

 

「あ。 それはですね? アリスちゃんと私は、ブラックリベリオンの時に『これ』を経験していましたから。*3

 

 「「「え゛。」」」

 「((´・_・`)(ゑ゛)。)」

 

 ユーフェミアのニコニコした顔と返答にサンチアたちは口をあんぐりとしてしまい、スヴェンは(内心で)目を点にしてしまう。

 

「えっと……これ────?」

「────は、話を進めよう────」

 

 スヴェンはナナリーの問いを(焦って)遮るかのように口をはさむ。

 

 ……

 …

 

 時間はちょうど、謎の飛行物体────種明かしをすると『タオ〇イパ〇輸送システム』────がログレス級に衝突した直後に戻る。

 

 この時、ナナリーの艦隊の後を静かに追っていたアヴァロンからフロートユニット付きのヴィンセントに騎乗したギルフォードたちの奇襲によって黒の騎士団たちは苦戦を強いられていた。

 

 フロートユニットを使った三次元的な攻撃を相手に無頼は早々に殲滅され、今なおも反撃を行うのは四聖剣の月下たちとカレンの紅蓮だけだった。

 

 だが流石は黒の騎士団でも猛者である彼女たちは『空が飛べない相手』と言うギルフォードやグラストンナイツの思い込みを逆手に取り、打ち込んだスラッシュハーケンをロープウェイ代わりに使ったりなどをして互角に戦って()()

 

「おかしな戦闘機だねぇ、でもさ────ナイトメア?!」

 

 過去形である理由は単純に、『トウキョウ租界方面から新型機が現れた所為』である。

 

 黒の騎士団用の作戦指揮官(潜水艦)はこの新たに現れた機体たちに慌てていた。

 

「サヴィトリさん! カレンさんたちは?!」

 

 戦闘用ヘリから降りて、乗員たちの慌てる様子から『何か起こっている』と察したベニオもその一人である。

 

「フロートユニットを搭載したブリタニアのKMFが現れた────」

 「────えええええええ────?!」

「────でも四聖剣とカレンさんたちも互角の戦いを見せた────」

「────流石カレンさん────!」

「────で、今度はナイトオブラウンズの機体が出てきた────」

 「────えええええええ?!」

 

 余談だが、切羽詰まった状況なのにコロコロと表情と様子が変わるベニオに対してホッコリしてしまった者たちが数人いたとかいないとか。

 

『こ、このままじゃ────!』

『────焦るな紅月君! 我々の勝利条件はゼロが新総督を捕獲できるまでの時間稼ぎだ!』

『は、はい!』

『(とはいえ、この戦力差はまずい。)』

 

 フロートユニットを搭載したヴィンセントたちと、それ以上の機動力を持ったトリスタンを相手に藤堂は冷静沈着を装っていたが、内心は焦っていた。

 

 何故ならば確かに彼らの目的は『時間稼ぎ』だが、フロートユニットを付けたヴィンセントたちだけならともかくラウンズ機────それも()()ともなれば難易度は跳ねあがってしまう。

 

『カレン────!』

『────スザク?!』

『────今のゼロは、ルルーシュか?!』

 

 その一機────ランスロット・コンクエスターが直通回線を紅蓮に開く。

 

『そんな問いに、私が素直に答えると思う?! 馬鹿にしないで!』

『そうか……僕は、ラウンズ────いや。 一人の人間としてナナリーを守ると決めた────』

 

 ランスロットはMVSごと紅蓮弐式の輻射波動で無理やり押し返されると、調整が終わってフロートユニットの上部に取り付けられた追加装備であるハドロンブラスターの照準を紅蓮に定める。

 

『ごめん、これ以上ナナリーのいる艦にダメージを負わせるわけにはいかないんだ。』

 

 ドゥ!

 バキバキバキバキ!

 

「な、何これ?!」

 

 VARISに連結されたそれは今まで以上の出力と貫通力で今まで輻射波動で防ぐことが出来ていた容量を容易く上回り、紅蓮の右腕を無理やりもぎ取るだけでなく紅蓮本体もログレス級の甲板から吹き飛ばされる。

 

「(お、落ちる!)」

 

『紅月! 脱出しろ! 脱出レバーだ!』

 

 ガチャ!

 

「え?!」

 

 ガチャ! ガチャ! ガチャ!

 

『だ、ダメ! 作動しない!』

 

 この通信と様子を、黒の騎士団の潜水艦内から見ていた者たちの間にどよめきが走る。

 

「カレンさん、脱出できないってなんで?!」

 

「(まさか……整備不良? いえ、出発前にした点検は完璧だった筈。 ならダメージによる故障?!)」

 

 サヴィトリも、表面上はいつもの仏頂面だったが今すぐにでも駆け出したい衝動を抑え込んだ。

 

 

 ビィィィィ! ビィィィィ! ビィィィィ!

 

「ハァ、ハァ、ハァ! ご、御免ね紅蓮?!」

 

 フリーフォール中の紅蓮内にいたカレンは焦り、過呼吸発作に似た息遣いを押さえようとしながら紅蓮に謝るとひたすら言葉を続ける。

 

「こ、このままじゃ! このままじゃ! お母さん! お兄ちゃん! スバル────!

『────カレン!』

 

「スバル?! ど、どこにいるの?!」

 

 カレンはスバルの声が聞こえたことにびっくりしながら周りをキョロキョロとしてからコックピット内にガムテープで固定した携帯電話を見る。

 

「スバル、どうすれば良い────?!」

『────右端の赤いレバーだ! 引け────!』

「────え?! で、でも! 『絶対引くな!byスバル』って────!」

 『────良いから引け────!』

 「────う、うん!」

 

 ガチャ!

 

 バスン、バスン、バスン!

 

 カレンが言われた通りにすると紅蓮の負傷した右腕だけでなく、左腕と足もパージ(解除)されて本体から離れていく。

 

 

 

 ピィィィィィィィィィィィィ!!!

 

「な、なんですこの音?!」

 

 潜水艦内ではけたたましい音が鳴り響き、画面が落ちていく紅蓮からデカデカと『CODE(コード)MAVERICK(マーヴェリック)』と言ったモノが表示される。

 すると潜水艦発射型弾道ミサイルの二つから、明らかにミサイルではない何かが発射される。

 

 二つのパーツは吸い寄せられるかのように落ちていく紅蓮の前方と後方に飛んでいき、挟むかのように連結し始めると落ちる方向が徐々に変わっていき海上スレスレを飛ぶと今度は上昇していく。

 

「え?! え?! え?! へ、変形するの?!」

 

 訳が分からないカレンは目まぐるしい速度で紅蓮のOSやドライバーが更新されていくことに戸惑い、先ほど連結したパーツが新たな上半身(腕付き)と下半身(足つき)に変形していくことでさらにビックリする。

 

 テッテレー♪

 

 コックピット内に愉快な(?)機械音が鳴ると、以下の文字がスラスラと紅蓮のモニターに映っていく。

 

『空中戦OSアップデート、および新装備のドライバーインストール完了。 Welcome to the Next Stage(次のステージにようこそ)。』

*1
余談でSR-71のジェットエンジン推力重量比は約5.319で、F-15は約1.04です

*2
元ネタはイスラーム世界の文学や歴史書などにおいての『シバの女王』

*3
75話より




『合体』と『機体が赤』ですのでサブタイトル。 +。゚φ(ゝω・`○)+。゚ ←暑さでテンションおかしくなっている作者
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