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ベニオとサヴィトリの二人は桐原の交渉によって事前に与えられた人工島の居住区に引っ越し作業を済ませていた。
「よいっしょ! サビトリ~? この箱、ここで良い?」
「サ『ヴィ』トリよ……それと、そこでいいわ。 それで最後なの?」
今更だが、『正反対同年代だから』という理由でサヴィトリとベニオは同室するようになっている。
「うん、そうだよー。 でも思っていたより、引っ越しする時間ってかからなかったねー?」
本来のコードギアスで人工島────通称『蓬莱島』は従来の巨大ソーラーパネルの代わりとして建造された潮力発電用の島であり、『人が住む』という想定がされていない上プロジェクトも『維持費と費用が掛かり過ぎる』という事から必要最低限のメンテナンスしかされていない『手付かずの島』。
「この島は元々潮力発電用だと聞いたから、人が住める状態になるまで苦労すると思っていたけれど……なんなの、この島? お父さんから聞いた『日本』なんだけれど?!」
「でもでもでも~、私は懐かしい感じがして好きだよ~? 『商店街』とか『和菓子屋』とか、あの“プープー”ってラッパを吹く人たちとか面白いじゃん!」
「あれって“プープー”じゃなくて、“キィキィ”の間違いじゃないの?」
「うわぁ! 海の景色が綺麗だねサヴィトリ!」
「人の話を聞きなさいよ……それに海なんて、日本から来る途中で見飽きたわよ。」
「でも中華連邦の海は見たことないじゃん! あ、そだ! 明日さ、泳ぎに行こうよ!」
「そんな暇なんて無いと思うわ。 日本を離れても、ブリタニアとの戦いや中華連邦の陰謀とかが止まってくれるわけでもないし。」
キラキラと窓の外に広がる新天地の夜景に目を光らせるベニオに、サヴィトリは無慈悲な現実を突き立てた。
「『中華連邦の陰謀』? でも私たちにこの島を渡したじゃん?」
「一つの国が
「例えば?」
「さぁ?」
「う~ん、でもそっか~……そうだよねぇ、これ見たら全然わかんないや!」
カラカラカラ。
ベニオがアパートの窓を開けると夜風が潮の匂いと共にヒンヤリとした空気と共に活気に満ちた賑やかな音がベニオたちの部屋に入ってくる。
「もうこれ、『日本』じゃん!」
「……そうね。 ベニオも箱から荷物を────」
「────ふみゅ~。」
「『寝落ち』って……(まぁ無理もないか。 見るもの聞くもの全部にはしゃいでいたし。)」
サヴィトリはそっと寝るベニオにブランケットをかけては窓の外をもう一度見る。
正確には、江蘇省沖の向こう側にある筈の中華連邦の本土を。
「(平穏そうに見える理由は『交渉した桐原泰三がそれだけ優秀』、そして『一気に人口が100万人増えたから狼狽えている』といった事かしら? まるで嵐の前の静けさみたいで、正直あまり好きじゃないわ。)」
…………
………
……
…
「お久しぶりです、桐原殿。」
蓬莱島の臨時首都の建物内に、ゼロと桐原が腰かけながらテーブル越しに相対していた。
「元気そうで何よりじゃな。 トウキョウ租界奪還作戦────世間では『ブラックリベリオン』と呼んでいるアレの途中で、お主が姿を消したと聞いたときは肝を冷やしたぞ?」
「私こそ、『キョウト六家が捕縛されて処刑された』と聞いたときは焦りました。 よくご無事で。」
「ほっほ、なんの。 ワシが孫に助けられる日が来るとは……歳は取りたくないの。」
「御冗談を。 貴方は当時の、あの頃のままですよ。」
「世辞でもそう言ってくれると助かる。 それと皇の娘には、もう……会ったようじゃな?」
桐原はルルーシュが遠い目になりながら視線をそらす仕草に笑みを浮かべる。
「苦手か? あの子を変えたのが、他でもないお主だったというのに。」
「ッ……さすが桐原殿ですね。」
「何、アレの護衛をしていたのがワシの孫での? 山で出会った『鬼』とやらがお主の特徴に類似していただけじゃ。 あの時の冴子は隠れて行動していた所為か、お主の事はあまり覚えていないようじゃが。」
「(カマをかけたわけか。)」
余談だが、上記の話は枢木神社の土蔵に幼いルルーシュたちが住んでいた頃のモノで、神楽耶が『皇家の跡取り』そして『スザクの婚約者』としての稽古などに明け暮れていた時の話である。
当時の神楽耶は原作のアニメや外伝から想像できないほど『お転婆』、『我儘』、『自己中心的』の三つを兼ねそろえていて、『超』が付くほどのメスガキ腕白な少女だった。
そしてある日、耐えかねた彼女は隙を見て山の中に逃げて食料を確保していた
『お前ごときを攫う
これを機に神楽耶の対抗心は燃え上がり、『見返してやらぁ!』と態度とやる気を出したおかげで現在の神楽耶へと変わるきっかけとなった。
結局二人は再会することなく、日本侵略が起きて状況がガラリと変わってしまったが。
「それよりも、この島の事情や設備を一通りまとめた資料をここに集めておいた。」
「感謝する。」
ゼロは渡されたフォルダを開けて、資料を確認していく。
「(……やはり桐原泰三が生きていることは大きいな。)」
ゼロは資料に目を通しながら、100万人の受け入れ先である人工島の事に感心していた。
ルルーシュはプレハブやテントなどの簡易住居で凌ぎながらやりくりをすると計画していたが、いきなり見知っている場所から完全に右も左もわからない場所への引っ越しは実際に問題が精神的にも物理的にも山済みである。
例として、見知らぬ土地に移住するストレスに不安。
今までの生活基準より下がった環境。
空腹への対処に
そして治安の維持。
「(つまるところ『衣食住』と『不便の改善』と『新たな社会の立ち上げ』だ。 最初は配給品や周辺の小国との貿易や日本からの物資で賄いながら軍備を増強させて自立するまでを目指していたが……こうしてみると、考えが甘かった。 インフラが整っていない状態で武力だけを見ていれば、現状のブリタニアと何ら変わりはない事に────)────コホン。」
「どうかしたか、ゼロ?」
「いえ、お気になさらず。」
ゼロは自分への嫌気を感じながら、舌打ちしたい衝動を咳払いでごまかす。
「(島自体が潮力発電用だけに電気には困らない、生活水も中華連邦からブリタニア式に効率化された海水淡水化プラントで補えている。 畑も順調に育っている……我々にとっては良い事尽くしだ。 “たまにEUなまりがひどすぎて何を言っているのかがわからない”という点と……この都市化を『不気味』と俺個人が感じる意外は。)」
ルルーシュは資料に目を通しながら、自然とチェックリストを脳内に浮かべ始める。
「(中華連邦に桐原が人工島を交渉したのがブラックリベリオンの少し後。
そして俺がジュ────『箱舟事件』でEUがパニック状態になっている間、桐原の孫である毒島がEUから日系人やユーロ・ブリタニアの者たちを引き連れて開拓し、農業も『綿』などの高価な物ではなく未来性のある食物である程度の自給自足。
戸籍管理もされ、EUから来た
そして現状のブリタニアの在り方に不満を抱いていた者たちもブリタニアからスカウトし、反ブリタニア支援組織のピースマークとの繋がりも出来上がっている。 これは、まるで────)」
「────どうかしたか、ゼロよ?」
「いえ、ただ『さすがは旧日本政府を陰から支えていた桐原殿』と感傷に浸っていただけです。」
「まぁ、これぐらいは初歩の初歩。 それにEUから来た者たちは皆『自分たちの居場所を作る』という事に憧れてやる気を出しておったのも助かったわい。」
「(確かに……“国を作る”と宣言はしたが俺が計画していたものは理論上のモノであり、その国に住む民衆の意見が含まれていなかった。 『国』とは『
「“国とは個人が集まり、団結して
「それは、桐原殿のお考えですか?」
「はて、どうじゃろうな?」
桐原はニヤニヤしながら窓の外を見る。
「して、これからどうするつもりだ? お主の事だから既に次の行動は決まっておるのだろう?」
「インド軍区から取り寄せる物資の交渉次第……と言いたいところだが、その様子だともう既に成功しているのでしょうな。」
「うむ。 インド軍区のマハラジャ
「『個人』、ですか。」
「ワシが言うのもなんだが、長らく中華連邦からの独立を目論んでいる狸爺じゃからの……果たしてこれが、『漁夫の利』を狙う布石なのか────」
「────あるいは恩を売っているのか、ですな。」
「どちらにしても、黒の騎士団を利用する魂胆に変わりはないがの。」
「そこは、桐原殿たちの働きに期待しますよ。」
数日後、予定通りにインド軍区からナイトメアなどを含めた兵装や物資の確認作業がされている横で、藤堂や四聖剣は今まで使用していた月下の後継機であるType-05『暁』の説明書を読んでいた。
「ラクシャータ、ちょっと聞いていいか?」
「ツーン。」
卜部の質問に対し、不貞腐れながらソファーに寝転んでいたラクシャータがそっぽを向ける。
「……まさかと思うけれど、もしかして僕たちが強化装備を断ったことを根に持っている?」
「そんなことないわよぉ~? 別に私が汗水流してまで再設計した装備を『いらねぇ~』なんて軽~く断られたことを根に持つわけないじゃな~い? ねぇ、ゲロオッサン?」
「い、いや……ワシに話題を振られても……」
紅蓮可翔式・強襲型の活躍を後の報告書で見たラクシャータは仮眠後、すぐに暁の強化に取り掛かった。
寝ている間に黒の騎士団員たちの操縦データなどを(彼女なりに)配慮していたものなので、紅蓮より過激な瞬発力ではないものの、初めての空中戦で想定された作戦時間中に耐えられたのは黒の騎士団の中でも数人、そして元々軍の厳しい訓練を終えた藤堂や四聖剣だけだった。
それでも装備を上手く扱いきれなかった者が殆どであり『機体を
まるで完成されたプラモに凝ったディテーリングや外装パーツの追加をしてもそれ等が全く評価されない子供の様である。
「ラクシャータ君、一つ良いか?」
「何よ?」
余談だが藤堂だけは暁・強化型を使いこなせられる所為か、ラクシャータは彼だけに対して素直な受け答えをしていた。
「あの戦闘空母────」
「────『
「────この説明書のおまけ部分に、『船体を銃身にする企画』と書かれていることだが────?」
────プイ。
ブッス~。
「……………………」
ラクシャータが一気に不機嫌饅頭顔になったことで藤堂は察した。
「(まぁ……却下されたのだろうな。 小さな部隊の規模ならともかく、戦力の強化を一点に集中するよりも同じ資源を使って組織全体を強化したほうが現実的だからな。) そういえばラクシャータ君、船の名前の由来は何だ?」
「ん? ああ、それは────」
…………
………
……
…
「────
「「キュー!」」
「「「……」」」
斑鳩の見学と仕上げに取り掛かっていたゼロ、カレン、スバル(フルフェイスヘルメット着用状態)がエレベーターからブリッジに出ると腕を組みながら誇らしげに、どこからか調達した艦長っぽい帽子にトレンチコートを着たアンジュと、彼女の背後に様々なポーズを取るタバタッチーズに迎えられる。
「………………………………さて、作業に取り掛かるかお前たち────」
「────ああ、そうしよう────」
「────だよね────」
「────ちょっと無視しないでよ?!」
スバルたちが遠回りまでしてアンジュたちを見なかった振りをすると帽子を突き抜けたアンジュのアホ毛が『((ヾ(≧皿≦;)ノ_))きぃぃぃぃっ!』と訴えるかのようにバタバタする。
「お前が“自分の船”なんて馬鹿げたことを言うからだ。」
「この船を名付けた親、私なんだからね!」
「だったらただの名付け親ではないか。」
「実質『親』になるじゃん! ……………………ってカレンのその顔、何?」
「い、いや~……この間も思ったけれど、“アンジュって思っていたよりサバサバしているなぁ~”って。」
「まぁね。」
「(これが素で、学園のは荒れていただけなんだ。)」
プシュ。
「ゼロ、ここにいら────おや?」
「キュ?」
ディートハルトがエレベーターから降りると、目の前に広がる奇妙な組み合わせに立ち止まってしまう。
「話を続けろ、ディートハルト。」
「……………………新たに再編成される黒の騎士団の幹部候補の選別が終わりましたので報告をと思いましたが、別の機会にリストをお渡ししましょうか?」
「必要ない、寄こせ。」
「畏まりました……当面はやはり、幹部たちは全員この船に配置しますか?」
「そうだな……後は内政担当者か? ならば桐原と話し合え。」
「では彼と共に話すとき、同時に情報管理局も再構築しましょう。」
「ああ、そのように。」
「では、私はこれで。」
「キュー?」
「……」
ディートハルトは自分の近くにいた土色のタバタッチんの『ぽへ』ッとした顔を見てから、無言でその場を後にする。
「ねぇ、ゼロ?」
「なんだ、アンジュリーゼ?」
「アンジュでいいわよ。 私が言うのも違和感ありまくりかもしれないけれど……あの男、胡散臭いわね。」
「どういうところが胡散臭いのだ、アンジュ?」
「う~ん……なんかこう、『背後からグサッ!』って感じ?」
「なんだそれは。」
「勘。」
「素のアンジュってやっぱりこうなんだ。」
「(お前も大概だぞカレン。)」
「……そうだな。 ここだけの話、『信頼』は無理だが『信用』は出来ると私は思っている。」
「根拠は何?」
「奴は『ゼロの神格化』を目論んでいる。 それこそ人種などを超越した『世界的な宗教の象徴』のようにな。 それが奴の行動原理である限り、予測は出来る。」
ゼロの返事にアンジュとタバタッチーズたちの頭上に、狂気の目を宿しながらスバル教(仮)を口にするマーヤの姿が浮かんでそれぞれが納得する様な顔を浮かべる。
「あー、なるほど。」
「「「「
「それより……」
ゼロはそこで言葉を濁すと、スバルがアンジュたちを見る。
「君たち、少し席を外してくれないか?」
「「「「キュ!」」」」
ガシッ!
「え────?」
「「「「────
「────ちょちょちょちょっと放しなさーい!」
敬礼をしたタバタッチーズがそれぞれアンジュの手足を掴み、ジタバタする彼女と共にブリッジから退室していく。
「「ふぅ……」」
ルルーシュとスバルはそれぞれヘルメットを外して、楽になってからそれぞれがカレンと共に作業をし始める。
「賑やかな連中だな、スバル。」
「まぁな。」
「お前やお前の知人たち含め、これからも黒の騎士団活動に協力するスタンスなのか?」
「俺個人として協力するつもりだが、まだ皆に話していないので何とも言えんな。 それに事情が事情だけに、公に協力するのは難しい。 それにギアス関連の件も────」
「────いや、それで十分すぎるぐらいだ。 それに元々お前たちがいなくとも、黒の騎士団だけで中華連邦を落とすつもりだった。」
「ちゅ、中華連邦を?!」
「なんだカレン、出来ないとでも思うのか?」
「いや、まぁ……今の紅蓮があるし、出来るとは思うけれど……中華連邦、結構広いわよ────?」
「────首都の洛陽を落とせばいいだけの事だ。 それも『侵略者』としてではなく、『解放者』としてな。」
「『解放者』???」
「なるほど、民衆を味方に付けるつもりか。」
「理解が速いな……って、どうしたカレン?」
「え? ううん……その、“なんだか二人は気が合うな~”って思っていただけ。」
「そうか────?」
「────コホン! それよりもカレン、こうやって俺たちに付き合うのは良いが今は休んでいた方がいい。 これから夜間中の作戦を連日、予定しているからな。」
「俺は?」
「スバルはまだ知人たちと、今後の事を話し合っていないのだろう? ならばそっちを優先しろ。」
「あとスバルも休んだら?」
「カレン────?」
「────
「……じゃあ言葉に甘えるとしよう。」
………
……
…
サヴィトリはその日、ラクシャータと自分とあまり年が変わらないアンナたちに驚きながらも手伝いを終えてから部屋の中でゆっくりしているとドアが乱暴に開けられる。
バァン!
「サヴィトリィィィィィィィィィィィィ────!」
「────ベニオ────?」
ガシッ!!
「────どどどどどどどどどうしよう?!」
「落ち着きなさい! それに肩が痛い────!」
「────カレンさんと一緒に出撃するって! 零番隊に、私編入された────!」
「────あらよかったじゃない、昇格じゃん────」
「────サヴィトリも一緒に編入────!」
「────え────」
「────そしてこれからブリーフィングなの────!」
「────そっちを先に言いなさいよ?!」
ベニオとサヴィトリは急いで私服から制服に着替えてから黒の騎士団の本部(仮)に走り、ブリーフィングルームの中に入ると炊き立てのご飯が出す独自の匂いに気付く。
「何この匂い────?」
「────白米だぁぁぁぁぁぁぁ!」
目をキラキラさせるベニオはウキウキしながら早歩きで匂いの元にサヴィトリと共に到着すると、フルフェイスヘルメットの上にコック帽を付けたスバルがいた。
そして両手にはラッピングされたおにぎりが載せられたトレイ。
「「ナニコレ。」」
「
「「知っている。」」
「お前たちから見た右からシャケ、おかか、ツナマヨ、梅干し、沢庵、そしてサプライズの具入りだ。 選べ。」
「「“さぷらいず”?」」
「四聖剣が作ったからな。」
「「…………………………………………」」
「飲み物なら、あっちにいる者が配っているので貰え。」
スバル(のヘルメット)の視線先には割烹着姿の毒島とレイラだった。
「おおおお! ラムネがある!」
「……蜜柑水って聞いたことがないわね。」
余談だがこれ等日本文化的な品揃いは日本マニア(ソフィ等)のおかげである。
配給されているおにぎりや飲み物に対してのショックや驚き(あと毒島やレイラへのナンパの玉砕)から回復した者たちで次第にブリーフィングルームの中がいっぱいになっていき、やがてカレンが慌てた様子で入ってくる。
「ま、間に合った────!」
「────カレン、アラームはどうした────?」
「────
「────あとで片づける。 それと寝癖があるぞ────」
「────え、嘘────?!」
「────ジッとしていろ、すぐ直す────」
「────あ、うん。」
「ナニアレサヴィトリ。」
「……………………………………保護者と子供?」
カッ、カッ、カッ、カッ。
ゼロがマントをなびかせながら入室すると部屋の中に緊張感が生まれ、自然と皆が黙り込んでいく。
「諸君、まずは急な招集に答えてくれて感謝する。 ディートハルトの情報部から得たこの動画を見てほしい────」
ゼロの合図で部屋の明かりが暗くなり、彼の背後にある巨大スクリーンに中華連邦の辺境と思われる景色が映し出される。
そこはエリア11のどのゲットーよりも貧しい場所で、中華連邦の兵士の指示により馬車馬のように無理やり働かされる者たちが写っていた。
隣人が急に倒れても誰も見向きもせずにただ延々と働く景色、病によって働きぶりが悪くなった者の『治療』と称した処刑シーンや、処刑された者の家族に対して『代わりに働く者を後日用意しなければ家族への配給は無し』と一方的に告げられる残酷な映像などだった。
「見ての通り、人民は貧困と中華連邦の政府の停滞や領主のように配置されたエリアを我が物顔で支配している軍部に圧政を敷かれ、活力を奪われている。 我々黒の騎士団はその様な場所へ行き、村人たちを解放する。」
「え。」
「でもそれって……」
ゼロの宣言により、部屋の中にいた黒の騎士団員たちの間にどよめきが走る。
理由は単純に────
「────ゼロ、いいですか?」
「なにかね?」
「『現在の黒の騎士団は中華連邦の庇護下にある』という状況の中、何故わざわざ敵対するような行動をとるのですか? 納得がいきません。」
サヴィトリが周りの皆が思っているであろう疑問をはっきりとゼロに告げたことで、室内はもう一度静まり返る。
「ちょ、ちょっとサヴィトリ?!」
そんなサヴィトリの隣にいたベニオはハラハラしながら汗をダラダラと掻いた。
「『中華連邦の庇護下』? その認識は間違っているぞ、サヴィトリ。 確かにこの人工島は元々彼らの物であったが、正式な手順を踏んで既に所有権を買い取っている。 ここに移住する際にした進言はあくまで海域を通るための認知であり、中華連邦と我々合衆国日本は対等の関係にある。 そして黒の騎士団は理不尽な暴力に虐げられる者たちの味方だ。 よって、中華連邦が非道を行うのならばそれを正す! 『合衆国日本』という国の黒の騎士団として!」
「「「「おおおおお!」」」」
ゼロの自信満々な答えに、一気に部屋の中の雰囲気が前向きなモノへと変わる。
「……口をはさんで申し訳ありませんでした。」
「問題ない、君は当然の疑問を口にしただけだ。」
「(なるほど、これがゼロ。 口八丁で圧倒的なカリスマ性を生まれさせ、その言葉を肯定させるだけの知略を持つ存在……)」
「(さすがは“ブリタニアを壊す”と宣言しただけはある。)」
「(やはりスケールが大きくなる分、大義名分や政治も絡んできますね。)」
サヴィトリ、毒島、レイラは冷静にゼロの立ち振る舞いなどを分析していた。
「(やっぱ生ゼロかっけぇ!)」
スバルはアニメで描写されていない、細かい部分を目に出来たことに(静かに)感動していた。
「(握り飯に、辛みそだと?!)」
ちなみにどこからか現れたC.C.は『サプライズ具入り』を口にして珍しく複雑な顔を浮かべていた。
ちなみにC.C.が口にしたのは卜部のおにぎりです。
他の人たちは以下の通りです:
朝比奈、醤油をかけた焼きおにぎり。
仙波、沢庵入り。
千葉、唐揚げ入り。
藤堂、肉巻き。
余談でレイラと毒島は髪をアップにしていました。