小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第207話 『北宋だな』 (違

 ゼロからのブリーフィングが終わると同時に黒の騎士団は早速行動に移るための準備をし始めた。

 

「あ、ベニオちょっと良いかな?」

 

「え? どうしたんですかカレンさん?」

 

「実はベニオに渡したいものがあるの。 あ、スバルも来てくれる?」

 

「ああ。」

 

 スバルはチラッと頷く毒島とレイラの方を見てからベニオと共にカレンの後を追うと、一機の赤い無頼(?)が保管されている倉庫へと行きつく。

 

「これって……無頼?」

 

「まぁ、『元はグラスゴーだった』ところは一緒だけれどね。」

 

「……(おお、この機体は────)」

「────実はこれ、元々私が初めて乗っていたナイトメアなの。」

 

「カレンさんが初めて乗ったナイトメア?!」

 

「うん。 紅蓮が来ると知らなくて、修理していたヤツ。」

 

「(あと、お前の希望で改造していた奴な。 懐かしいような、そうでもないような……)」

 

 カレンはKMFの足にそっと手を添える。

 

「これで、色々あったなぁ……ね、スバル?」

 

「……ああ。 (ナオト義兄さん……)」

 

「この無頼で、カレンさんは出るんですか?」

 

「う~ん、その事なんだけれどさ? “ベニオに乗ってもらえないかな~”と思っていたの。」

 

 「私が?!」

 

「メンテはちゃんとされているから、安心して乗れ。」

 

 「えええええええええええ?!」

 

「(う~ん、この子の反応がカレンみたいに素直。)」

 

「で、でもそんな大切なナイトメアに私が乗っていいのですか?! それにこの右腕……玉城()()()が言っていた『パイルバンカー』ですよね?!」

 

「「『玉城大先輩』。」」

 

 カレンとスバルの声がハモリ、二人はお互いを見ると同時に思いつく。

 

「「(……ああ、あの模擬戦の。)」」

 

「でも私に扱いきれるのかな……玉城大先輩たちも“あんなクソハードル高い武器を~”って言っていましたし。」

 

「いや、朱城(ベニオ)なら案外うまくできると思うぞ?」

 

「「え?」」

 

 コック帽をヘルメットに乗せたスバルの意外な言葉に、カレンとベニオは振り向きながらポカンとする。

 

「訓練データなどをチラッと見たが、カレンに似ているところがあるからな。」

 

 「えへへへへ……カレンさんと似ている……」

 

「スバルのお墨付きなら問題ないわね!」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ? この胡散臭いライダー男のお墨付きって言われても……でもカレンさんだし。

 

「(このモブ子(ベニオ)のアレ、まるで触覚みたいだな。)」

 

 カレンが何故自信満々に宣言したのか理由が良く分かっていないベニオのピクピクと動くアホ毛を見て、スバルは内心そう思ったそうな。

 

 

 


 

 

 

「フゥ……」

 

 で、カレン達を見送った(スバル)は資料とにらめっこしている所為で、シパシパし始めた目頭を指で押さえながら窓を見る。

 

「もうため息か、若いの?」

 

 そして同じ部屋にいる桐原が嬉しそうに話しかけてくる。

 

 せっかくR2の『中華連邦の蓬莱島へおいでませ♪』まで進んできたし、すぐに黒の騎士団が作戦行動に出られるように100万人を受け入れられるように手を回して、島の生活も軌道に乗ってくると思ったのになぜか桐原のじいさんの手伝いをしている。

 

 まぁ正確には『している』というか……『させられている』というか……

 

「必要なら目薬をお使いになられますか?」

 

「いや、そこは首回りに湿布だろう?」

 

「あ~、ワシの肩を誰か揉んでくれんかの~? 湿布でも良いの~。」

 

「あ、えっと……気付かなくてすみません────」

「────気にするなレイラ、コレのアレはただ注目を集めたいだけだ。」

 

「冴子……ワシ、もう歳なんじゃよ? 何時亡くなるか分からないワシを労わる気持ちはないのかえ────?」

「────えっと────」

「────それ、去年も口にしていますよ()()殿────」

「────チッ。」

 

 そしてもう察しの通り(オロオロする)レイラに(桐原に対して毒舌な)毒島もいる。

 

 何故だ?!

 

 どれだけこの内政業務を却下したくとも、桐原のじいさんとか毒島からの視線が増すだけだし……

 

「あの、桐原さん? ここはどれを優先すれば────?」

「────フム……のぅ、スバルよ? 領土の経営で何をすべきかの?」

 

 何故俺に話題を振るのだ、桐原のじっちゃんよ?

 

 まぁ、いいか。

 聞かれたのは初めてじゃないし、前回言ったことをもう一度言えばいいだけか。

 

「そうだな。 基本的に領土の治安維持、密偵などからの防衛、領土自体外敵からの防衛、住民の不満や意見を取り入れて環境の改善、民に生産の職を与えることだ。」

 

「それで税はどうするのですか、シュバールさん?」

 

 「おい冴ちゃん、遅れておるぞ。 お主も早くあだ名を付けんかい。」

 「アレはあだ名というより、単純にEU語なまりですおじい様。」

 

 何か聞こえてきたような気がするが今はとりあえず無視。

 

「何をするにも『対価』は必要だ。 それを『税』とするならまず、合衆国日本に資金────つまり交換の媒介の価値が保証出来るまでの基盤が必要だ。」

 

「では、領土の防衛は?」

 

「幸い、ハメルやクラウスたちのおかげで領内養成がはかどっていることもあって助かっている。」

 

「あ。 あの二人なら丁度いいですわね。 でも、黒の騎士団は使わないのですか?」

 

黒の騎士団(軍隊)に依存するのは少しな……元々『軍隊』と『警備隊』の違いは分かるか?」

 

「えっと……前者が外敵からの守り、後者が治安維持?」

 

「……大まかにその解釈で間違っていない。 ただ『軍隊』は主に『制圧』を生業としているので今は警備隊に専念している。 だから今のところ住民全員を鍛えてその中から特に優秀な者たちを家業と兵役の兼業をさせれば繋いでいける。 今の合衆国日本に、黒の騎士団以外の常備兵を大量に維持する余裕はあまりないからな。」

 

 まぁ、これはアレだ。

『国民皆兵式』に『交代制』を加えてみた。

 兵歴が終わっても民衆の自衛手段にもなるし他人からの暴力の抑止力となる。

『自分だけが戦う術を持っている』という認識を一部が持てば治安は自然と低下する。

 人間は誘惑などの『欲』に弱い生き物だからな。

 

 だから極端な話、『全員が戦う術を持っている』か『誰も持っていない』状態でなければ保安局への負担は大きくなるばかりだ。

 

 そして現在の世界はいわゆる、『乱世の時代』だ。

『平和主義』なんてものを貫き通せるほど甘くはない。

 

 それにいざとなれば、黒の騎士団が居なくてもある程度の対処は出来る。

『暴力への対処』をある程度心得ているからな。

 

「お金が必要でしたら、畑の一部を綿花にして他国に売れるのでは? 需要も高いですし───」

「───確かに金()得られるだろう。 だが代わりに民が()()()。」

 

「え?」

 

「もし農家たちが金に目がくらめば食物を育てることを止めて、畑は商品作物に偏るだろうな。 人間、誰もが贅沢を覚えれば欲が出てしまう。 だがそうすれば輸入するコストも上がるうえに、農家たちは自分たちへの負担を補おうとして食料品の価値が上がり、最悪景気低迷に繋がってしまう。 そうすれば国内問題が次々と出てきてしまい、国民の支持は下がるだろう。」

 

「で、ですが……合衆国日本の民は、全てを捨ててまでここに来たのですよ? 国民愛があれば────」

「────残念だが、それは理想論だレイラ。 それに裕福かつ善政で長い歴史を持つ国ならともかく、新しい国の民に結束力などが生まれるのは『様子見』の発足時当初から上層部が代替わりした時期からだ。」

 

「確かにの。 お腹を空かせていれば道徳心や愛国心を投げ捨ててでも生きていこうとするのが『人間』じゃからな。」

 

「それでキョウトは日本がブリタニアの侵略後でも、食に困らないように手配しておいたのか。」

 

「まぁの。」

 

 “まるで餌付けだな”。

 と言いたいところだが実際問題、食糧難で『どうせ死ぬなら~』という感じで暴動を起こしたり、精神的に追い詰められて宗教の狂信者になったりするのを前世で見た(ような気がする)からな。

 

 戦国時代風に言うと『一向宗の一向一揆』とか、数百年単位で近くのアラブ国から略奪行為に晒されていたヨーロッパの『あ、これは自分たちへの献上品が減っている?』状態を察した法王が『じゃあこっちも“聖戦”という大義名分で団結して略奪しようze☆』とか、中国の紅巾────じゃなくて黄巾党とか。

 

「……………………」

 

 あれ? 何故だかレイラがちょっと複雑そうな顔をしているぞ?

 

 ニコニコニコニコニコニコ。

 

 桐原に至っては不気味なほどまでに清々しい笑顔を浮かべている。

 

「フフフフフ。」

 

 出たよ。

 満足そうな笑みをしながらの『フ』が少し多い毒島の笑いが。

 

 あ、腕を組んでいる所為で立派なサイズ詐欺Dカップのお胸が丁度いいぐらいに圧迫されて目の保養でザンス♪

 

 ムヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ♡

 

 って、なんで『ゆっくり出来る』と思ったのにこれほどまでに書類に忙殺されているのだ俺は。

 これじゃあ、アッシュフォード学園の二の舞じゃねぇか?!

 

 しかも今回は『カレンお嬢様の容態が~』という逃げ技(言い訳)も使えねぇし!

 

「……お主は黒の騎士団の動向が気にならんのか?」

 

「ある程度の予想は出来ている。」

 

 アニメでこの時期の描写が飛ばされているから気になる。

 とは言えないし、先日ルルーシュにカマをかけたが多分『死ぬ死ぬマン』こと『星刻』が企画しているクーデターを利用する根回しをしているんだろ。

 

 「……さすがですね。」

 

 レイラよ、何が『さすが』ですかな?

 

 ………

 ……

 …

 

 次の日、朝起きたらラジオ体操をしてから炊飯器をセットし、朝シャンでさっぱり。

 朝食には卵ご飯、味噌汁、魚と醤油たっぷりの大根おろしに鰹節。

 

 う~ん……日本!

 

 まさか卜部と朝比奈のマニアックなまでの味噌と醤油好きでこうもレベルが変わるとはなぁ~。

 

 それ等を俺は静かに食する────

 

「ご飯に、生の卵だと?」

「お腹、壊さないのかしら?」

「「「「ジー。」」」」

「なんでそこで皆私を見るの?!」

「「「「ダルクだから。」」」」

「その言い方、まるで私が何でもかんでも拾い食いするみたいじゃない!」

「お前の『三秒ルール』なんて拾い食いではないか。」

「違うやい!」

「その三秒も自分を納得させるだけの言い訳────」

「────だから違うって!」

 

「「「「えぇぇぇ?」」」」

 

「なんでこういう時に限ってサンチアたちが仲良くなるの?!」

 

 ────うん。

 俺はともかく周りは全然静かじゃない。

 

 理由は単純に、何故かサンチアたちとマオ(女)も俺の居る寮に泊まっているからだ。

 

 最初は『何故よりにもよってここなんだ?』、と思ったが考えてみれば結構理にかなっている……気がする。

 

 アマルガムのメンバーたちは合衆国日本にとって『黒の騎士団の一部か協力者』、そして黒の騎士団にとってはピースマークっぽい『支援組織』。

 

 まぁ要するに『アマルガム=黒の騎士団(?)』という曖昧な立場で未成年(ぶっちゃけ子供)が兵士として活躍する場とかを目撃されたら『気まずい』以前に彼女のたちの事情も話さないと色々と誤解とかが生じる。

 

 というわけで、『100万人の受け入れの時に移住したEUの孤児たち』という感じに俺が仮住まいにしているひっそりとした住居地区に来ている。

 

「う~ん、さすがお兄さんの手作りだね!」

 

「「「「……あ、美味しい。」」」」

 

 俺のマネをしてみた平気なマオ(女)を見て、(恐らく)人生で初めて卵ご飯をしたサンチアたちの感想に思わず顔がニヤニヤしそうになる。

 

 ハァ~、これだよこれ!

 こういう、のんびりとした雰囲気を俺は求めていたのだよ!

 

 ……まぁ、これからちょっとしんみりするところに行くのだけれど。

 

「ん? 今日も行くの?」

 

 そう思いながら俺が席を立つと、つい先ほどまで大根おろし+魚のコンビを静かに楽しんでいたアリスが声をかけてくる。

 

「ああ。」

 

「そ。」

 

 ……いつもながらこいつ(アリス)のそっけない態度はむかつくな。

 

「疲れているのなら寝たら? 散歩がてらで良いのなら、代わりに行くけれど?」

 

「……???」

 

 こいつは今、何を言った?

 

 なんだか気遣いの言葉が来た幻覚が────

 

「────何よその顔?」

 

「いや、今お前が……何でもない。」

 

「私が何よ?」

 

 いや、気の所為だ。 そうに違いない。

 初期のまだ出会って間もなくて猫をかぶっていた頃ならいざ知らず、アリスが優しいだなんて────あ、わかった。

 

 こいつ(アリス)、からかっているんだ。

 

 フゥ、思わず騙されるところだったぜ。

 

「そうか────」

 

 クシャ。

 

「────んな?!」

 

 近くを通るついでに頭を撫でると素っ頓狂な声がアリスから出てくる。

 

 フハハハハハ!

 そっちがその気なら、俺もやったるわぁぁぁぁ!

 

 ……あー、虚しい気持ち以前に元気ねぇわ、俺。

 

 さっさとエデンバイタル教団の孤児たちの居るところに行って、見舞いして寝ようかな?

 

 ……いや、ダメだ。

 今日も桐原のじいさんとかとミーティングだったな。

 新たに受け入れた日本人たちの人口調査に、背景の調査────ってこれはマオとサンチアのギアスが的確だな。

 

 そういやマオはまだC.C.を追いかけているのかな?

 

 それに税収とかの事もあるし。

 ()()合衆国日本という国だから……ま、手始めに『収穫などの一割』に『労役』と言ったところか?

 

 他の税は取り敢えず、国としての規模と安定感が大きくなってからじゃないと民衆への負担が大きすぎて不満が出る。

 

 後は『(小指上げながらの)シ~ン~クー!』とかもこれからあるだろうし、それにクソショタブイブイのギアス嚮団やシャーリー死亡フラグも完全に折ったと思うけれど下手したら不器用なルルーシュの事だからロロの暴走とかで代わりにヴィレッタとかに危害が……

 

 あ、あと学園のライラにエリア24のマリーベルたちとかピースマークのオイアグロとかも────って、こう考えたらなんだかクッソ忙しいなオイ?!

 

 ルルーシュやレイラたちにこれからの事を丸投げしたはずなのにどうしてこんなに忙───ああ、いや。

 

 国としての基盤が固まるまでの辛抱だ。

 

 つまり未だに(引継ぎの)正・念・場!

 

 今度こそは倒れないように気を付けながら(ほどほどに)張り切ろう!

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 今俺がいるのはウィルバー博士たち技術部がいる場所。

 

「元気にしているか?」

 

「……ぅ。」

「……?」

 

 そして何人かは喉を潰されてただキョトンと見ていたり、言語になっていない息を出したり、目の前には生気の籠っていない目で視線を返す様々な状態の孤児たち。

 これでも全員じゃなく、目の前にいるのは()()()()()()()()()()()()()()()

 

 他はベッドの上か、車椅子だ。

 

 ラビエ親子たちがそういう子たち用のスーツなどを作っているが……やっぱ、空気がクッソ重い。

 

 それでも────

 

「────生きていてくれて、ありがとう。」

 

 毎度のことながら、こいつらを見ると自然に上記の言葉が口から出てきてしまう。

 

 さて、湿っぽいのはここまでにしてこいつらが嬉しくなる(と思う)料理とかを振る舞おうか!

 

 

 


 

 

「やぁ、すまない二人とも。 待たせたかね?」

 

 ブリタニア帝国の首都ペンドラゴンにて、これからの事などで公務に忙殺されかけていたオデュッセウスはギネヴィアとカリーヌに呼ばれていた。

 

 内容は知らされず、要件はただ『帝国の問題について』だった。

 

「兄上、よく多忙のところ来てくれました。 これから中華連邦に向かう準備はもう済ませているのですか?」

 

「いやぁ、これから披露宴の衣装の選定に迷っていたんだ。」

 

「それで兄様、良い物は見つかりました?」

 

「うん? いいや、君たちに呼ばれてすぐに来たからまだだよカリーヌ。 あ! でも式で着る服とかはもう決まっているよ────!」

「────兄上、実は少々捨て置けない問題が浮上────」

「────そう言えば聞きましたよ兄様?! お相手である天子様はまだ13歳だとか! 兄様に()()()()()()がおありとは盲点だったわ! 道理で今まで縁などに興味が無かったワケね!」

 

「いやぁ~、若いのに一国の重責を背負ていると思うと心が痛むよ────」

「────まったまた~! 誤魔化しちゃって! これで行き遅れないわね────?!」

 「────カリーヌ? 話の最中です。 お黙り。

 

 ギネヴィアのキツイ口調にカリーヌは固まり、萎縮する。

 

「まぁまぁ、ギネヴィアも肩を凝らせているみたいだしここはリラックス────」

「────兄上。 内々にそれなりの規模の予算の個人運用をされていませんでしょうか────?」

「────ギクッ────」

「────例えばナイトメアの運用や開発など────?」

「────ギクギク。」

 

「……」

 

 静かに圧力をかけるギネヴィアを前に、オデュッセウスは静かに汗を出す。

 

「あ、あれかな~? 南米の領主たちに重機としてMR-1を貸与したことかい? そ、そ、それともチャリティーイベントやツアーでPDR13(アイドルグループ)に紛れてグロースターでダンスした件かな? あ! そう言えばこの間アイダホで新しく『コメ』というモノの栽培に、投資したこととかな?! それとも黙ってエリア24のマリーベルに挨拶しに行くついでに観光をしたこと?! やややややややっぱり前もって相談した方がよかったかな?!」

 

「白だわ。」

「白ですねお姉様。」

 

 慌てだすオデュッセウスが次々と暴露する可愛い皇族らしくない行動にギネヴィアとカリーヌは呆れながらジト目で彼を見る。

 

「え? どういうことだい?」

 

「事の発端はカリーヌの申請でした。」

 

「実は私もマリーベルに見習って近衛騎士団を持とうと思いましたの。 それでお姉様や財務長官たちに相談して、構造的に帝国への負担なく計上を整理していったの。」

 

「そして、その調査で私たち皇位継承権を持つ皇族にしか使えない予算の一部が使途不明のままいくつかの銀行や産業などを通していることが判明したのです。」

 

「え。 それは……う~ん、シュナイゼルの移動要塞の建造じゃないかな? 工期の短縮にさ?」

 

「実はフロートシステムの関係で、軍時研究開発機関の予算内で作業は進められています。 帝国は第七世代型のナイトメアへの機種転換とフロートシステムの導入、そして近年の領土拡大化により軍事予算は2割にまで届きました。 例外を除き、各エリアの生産能力も頭打ちの現状で貴重な臣民と名誉ブリタニア人による血税の漏れは些細なモノでも重大です。」

 

「確かにね……」

 

「それでね兄様? 予算の中抜きはここ数年どころか、遥か昔からの様ですの。」

 

「えっと……シュナイゼルは、このことを知っているのかな? というか、彼がこのことに対してどう動くのだい?」

 

 表情の曇るオデュッセウスの問いに、ギネヴィアとカリーヌの目からハイライトが消えていく。

 

「「“ダラスで良いツボが見つかった”らしい、と。」」

 

「………………………………あー、ご愁傷様? こ、今度カリーヌとギネヴィアの好きなプディングとエクレアを買って来るよ。」

 

 シュナイゼルにより大役を押し付けられた任されたと察したオデュッセウスは苦笑いを浮かべた。

 

 ……

 …

 

 チーン♪

 

 新大陸のテキサス内で最も栄えているダラスにある、一つのお店の中で心地よい音が鳴り響く。

 

「うん、いい音色だね。 これも購入するよ。」

 

 シュナイゼルはいつもの笑いを浮かべ、SPたちが放つ威圧にハラハラドキドキする店内の作業員たちを無視しながら歩いては次のツボにデコピンの様な仕草で出る音色を楽しんだ。

 

 如何にも『今の私はオフの行動中デスヨ~』と、大々的に宣言する様な光景だった。

 

「(『仕事人間』である殿下にも、こんな趣味が?!)」

 

 尚カノンたちなど同行した側近たちはこのような景色を見て内心、驚愕したそうな。




果たして何人が見ただけでサブタイの元ネタを……

それはそうと猛暑が続く中先日ダウンしそうな作者でした。 (;´д`)ゞ アチィ
読者の皆様もお身体にはお気をつけくださいませ。
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