小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせしました、少々長めの次話です!

お読みいただきありがとうございます!
楽しんで頂ければ幸いです!


第212話 『連邦の機体は化け物か?!』 (これも同意)

 朱禁城の空域にて待機していたアヴァロンにスザクたち、そして近くで浮いていたオルドリンたちも招集されていた。

 

「マルディーニ卿、オデュッセウス皇子殿下は?」

 

「大丈夫よジヴォン卿、今は部屋で休んでおられるわ。」

 

 オルドリンの質問にカノンが応え、ソワソワしていたソキアは明らかに胸を撫で下ろす。

 

「枢木卿、ランスロットの具合はどうだい?」

 

「フロートユニットがやられただけです殿下。 今、交換されていますのでそのあとの調整さえできればすぐにでも出撃できると思います。」

 

「殿下、トリスタンとブラッドフォードを出しますか? 今ある機体で最も足の速いあれ等ならば容易に後を追えるだけでなく、天子様の────」

「────それは出来ない、ヴァインベルグ卿。 これ以上は『正当防衛』や『支援』の範疇を超えてしまう。 アヴァロンや君たち三人(スザク、ジノ、アーニャ)()中華連邦内で軍事行動を続けるには正式な要請が必要となる。」

 

「で、その様子を見るに宰相閣下はもう既に考えがあると見受けしますが?」

 

「勿論だよエニアグラム卿。 相手は『合衆国』と自称しているが、世界の各国に認められたわけでなはない。 ()()テロリストの集団だ。 つまり────」

 

 シュナイゼルの視線がここでシュバルツァー将軍やオルドリンたちへと向けられる。

 

「────ここは対テロリスト遊撃機甲部隊である、グリンダ騎士団の出番という事さ。 以前、威海衛で始まった『紅巾党の乱』の時、中華連邦と結んだ条約は活きているからね。」

 

「(まさか、シュナイゼル殿下はこんなことをあの時から予期していたと言うの?*1)」

 

 オルドリンは静かに内心で広がる氷のような畏怖や動揺などが表情や仕草に出ないよう必死に我慢した。

 

「(これが、神聖ブリタニア帝国のナンバーツー……そして政に滅多に出ない皇帝に次いで実質的な支配者。 道理であのマリーが『徹底的に隠蔽をしてもバレていると常に思え』と念を押すわけね。)」

 

「と、いうワケだシュバルツァー将軍。 『ブリタニアの猛禽(ヨハン・シュバルツァー)』に『閃光の再来(ノネット・エニアグラム)』……そして対テロリスト遊撃機甲部隊のグリンダ騎士団の活躍に期待しているよ。」

 

「「「「「イエス、ユアハイネス!」」」」」

 

「残る枢木卿、ヴァインベルグ卿とアールストレイム卿は各機体の整備と準備を。 いつでも中華連邦の要請に応えられるようにね。」

 

「「「イエス、ユアハイネス!」」」

 

 シュバルツァー将軍たちは敬礼をしてからグランベリーに乗り移る様子を見ていたシュナイゼルは久しぶりに愉快な気持ちになっていた。

 

「♪~」

 

「……殿下?」

 

「ん? 何だねカノン?」

 

「今のはもしや、モーツァルトでしょうか?」

 

「“モーツァルト”?」

 

「え、ええ。 今、殿下が鼻歌を────」

「────私が、“鼻歌”を?」

 

 カノンの質問に対し、シュナイゼルは珍しくポカンとしたような表情を一瞬だけ浮かべるがすぐに納得するような笑みをする

 

「……いや、他でもない君が言うのだから歌っていたのだろうね。 前に、私は“戦に酔っていた”と言っただろう? それかも知れない。」

 

 

 ……

 …

 

 

「将軍、どうしますか?」

 

 アヴァロンから距離を取っていくグランベリーの中で、シュナイゼルによる事前の布石によって対テロリスト遊撃機甲部隊の行動を期待されたおかげでピリピリとした緊張感が漂うブリッジに居たオルドリンは他の皆の質問を代弁するかのように上記の問いをシュバルツァー将軍に投げた。

 

「……ここに『万が一の場合』を記した、姫様の手書きの命令書を預かっておる。」

 

 シュバルツァー将軍は懐から、サクラダイトを縫い込んだ布地に封蝋がされた手紙を出してオルドリンにそれを渡す。

 

「これは……『もしもオズ(魔法使い)を討つことになれば』────?」

「────“専用のレターオープナーはジヴォン卿が持っている”と、姫様から聞いておる。 内容はワシも知らん。」

 

「お嬢様……」

 

「ありがとう、トト。」

 

 オルドリンはおずおずとブリッジに居たトトからレターオープナーを手渡され、それを使って手紙を開ける。

 

「オズ、なんて書いてあるにゃ? ……にゃ?!」

 

 ソキアが頭をオルドリンの肩に乗せて手紙の内容を読むと目が点となって固まってしまう。

 

 マリーベルの実筆で書かれた内容はいたってシンプルで、簡略化すると『もし敵対する時が来たら遠慮はしなくていい』と書かれていた。

 

「……うわぁ。 オズ、これどうするにゃ?」

 

「いや、どうするもこうするも────」

「────恐らくあれでしょうね。 『本気でぶつかって負けるようならばそれまでの事』……ん? 何だい皆?」

 

「「「「ティンクがまともなことを口にしている。」」」」

 

「はっはっは……泣くよ?」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 バララララララララララ!!!

 

 高速道路を走る黒の騎士団のトラックを追う中華連邦の戦闘用ヘリに対して、残月と千葉の暁が無慈悲に内蔵型機銃などを使って撃ち落としていく。

 

『中華連邦だけに、数が多い!』

『とはいえ、紅月君が来るまでの辛抱だ────!』

 

 ────ドゥゥゥゥ!

 

 まるで合図だったかのようにレーザーの様な輻射波動の攻撃が巨大なハエ叩き棒トリモチ棒のように上空を動き、余波や攻撃に掠った戦闘ヘリは落ちていく。

 

 ゴゥゥゥ

 

 トラックの上を何かが飛び越え、時間差と共に轟音が頭上を過ぎ去る。

 

「わわわわわ?! 行き過ぎたぁぁぁぁ?!」

 

 トラックの上を通ったオブジェ────フォートレスモード(戦闘機形態)になっていた紅蓮・強襲型の速度に慌てるカレンは飛行中であるにもかかわらず機体をナイトメアモード(人型形態)とし、無理やり減速をさせてからトラックの横を飛ぶ。

 

『御免、遅くなった!』

 

『いいや、よくやったぞ紅月君。』

 

『……しかしいつ見ても君のそれは“化け物”と呼ぶしかない機体だな。』

 

『スバルの(アイデアを元にデザインした)機体だもんね!♪』

 

 紅蓮の中で誇らしいどや顔を浮かべるカレンだった。

 

『???? (あの何の変哲もない整備士の機体だからなんだと言うのだ??)』

 

『何を言っているんだこいつ?』と聞きたいような千葉は頭上に無数のハテナマークを浮かべた。

 

『フッ(やはり彼にかかわる案件だったか。)』

 

 藤堂は微笑ましい笑みをこぼした。

 

『他の皆は無事?』

 

『ゼロたちならば、トラックの中だ。 先ほど毒島も無事に予定通り合流した。』

 

『……フゥ~ン?』

 

『ん? どうした、紅月?』

 

『ううん、“毒島もいるんだなぁ~”って。』

 

『……(若いな。)』

 

 藤堂は少々不機嫌そうなカレンを見てはさらに内心、微笑ましくそう思ったそうな。

 

 

 

「よし、次は────」

「────右だよね、C.C.!」

 

 トラック内の助手席にいた玉城のガイドする言葉を、マ()が無理やり遮る。

 

「ハイハイ。」

 

 キキキキキキキ!

 

 マ()の荒い運転にトラックのタイヤは安いアスファルトの上を滑るそうになり、けたたましい音を出す。

 

「マオ、もう少し優しくドライブしろ。」

 

「必要なら僕に寄りかかっていいんだよC.C.?!」

 

「……あー、次は左だ────!」

「「────違う、真っ直ぐだ。」」

 

「あっはっはっは! 流石は現地ガイド────って、お前(C.C.)はここら辺を知っているのか?!」

 

「………………………………昔に、ちょっとな。」

 

 椅子の背もたれに寄りかかりながらチーズ君ファミリー人形たちをハグしつつ、C.C.はチラッとウキウキしながら()()()()()()()()()()()を横目で見る。

 

「あ! 見てC.C.! あそこの小屋がまだあるよ! 懐かしいねぇ~。」

 

「……そうだな────」

「────ちょっと待て! ガイドじゃなかったのかよ?! それにお前ら、一体どういう関係だ?!」

 

「「一緒に旅をした/寝たことがある。」」

 

 ぬぅわにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」

 

 マ()の全く深い意味も他意もない言葉にC.C.はかつてないほど睨みが効いたジト目顔になり、玉城は文字通り驚愕する。

 

「♪~」

 

 そしてマ()は鼻歌まじりに子供の頃、雨宿りして一夜をC.C.の抱擁の中で過ごした時を思い出していた。

 

『無免許運転』?

 そうとも呼ぶが、果たして下手な運転センスを持った者や初心者以上に巨大トラックを自身の手足のように扱える者を批判出来るだろうか?

 

 

 

「(随分と運転席が騒がしいな?)」

 

 トラックのコンテナ内の端で千葉や藤堂の機体の整備を手伝っていたスバルはそう考えながら、ぼんやりしながらテーブルをはさんでお互い話をしていたゼロと天子たちの居る方を見る。

 

「────私達の国合衆国日本を、更にもっと『大きな合衆国連合の一部である』と考えてくださって構わない────」

「────えっと、つまり中華連邦もその一部に────?」

「────ええ。 ただし『中華連邦』としてでなく、『合衆国中華』としてです。」

 

「え?」

 

 天子は反射神経的にゼロから目を外し、近くにいる神楽耶や毒島を見てしまう。

 

「既に黒の騎士団はインド軍区とは話をつけています。」

 

「それに恐らく、これに乗じてモンゴルやビルマなどの周辺国も動きを見せる。」

 

 視線を送られた神楽耶と毒島の答えに天子は考え込み、ハッとする。

 

「あ。 つ、つまりえっと……今の『連邦制』を刷新させるという事でしょうか────?」

 

 「────その通り(イグザクトリー)────!」

 

 ビクゥ

 

「────ぴゃ?!」

 

 神楽耶だけでなく、スバルや毒島とのやり取りで原作より頭の回転と物分かりが成長した天子との会話がトントン拍子に進んでいったことで興奮した中二病演出家のゼロが立ち上がると天子は畏まりながら驚く声を小さく出してしまう。

 

 「大宦官は己の保身のためだけに、『天子様を売ろう』という浅はかな考えをするまでに現在の中華連邦の政治は寿命が来ているのです────!」

「────えっと、あの、その────」

 「────そのため合衆国中華へと生まれかわり、合衆国連合を作るのです! それはブリタニアに対抗するための枢軸となり、まず第一歩として貴方が必要なのです────む?!」

 

 ゼロはゾクリと背筋が冷たくなるような感覚に体を震わせてしまい、自分に向けられた視線元を見ると整備作業を途中で止めてからジッといつも以上に無表情な顔で見るスバルと目が合う。

 

「……コホン! 天子様? あの礼拝堂に突入してきた方、警備隊員ではないですよね? もしや将来を言い交わしたお方ですか?」

 

「え。(ポッ)」

 

「(ほほぉ、わかりやすいな♪)」

 

 場の空気を和らげようとした神楽耶の質問に天子は頬を赤らませながらもじもじする様子を、毒島は微笑ましい気持ちになった。

 

「そ、その彼は……ただ、約束をしただけです。」

 

「もしかして、許嫁ですか?」

 

「いえ、その……“外に出たい”と6年前に────」

「────まぁ! なんてロマンチックな話!」

 

 天子との会話にキャピキャピし始めた神楽耶の様子にゼロは頭を抱えそうになり、トラックの運転席に────

 

「────ププー。 年下にしてやられてんのー。 ゼ・ロ・ちゃん♪」

 

「何故貴様がここに居る、マ()。」

 

「私が呼んだ。」

 

「お前────」

「────まぁまぁそうカッカしないしない!♪ 髪、白くて天然パーマ付きで伸びちゃうよ────?」

 「────大きなお世話だ貴様!」

 

 マ()はケタケタと笑い、玉城は珍しく本気で怒るようなゼロを珍妙なものを見るかのような目で見た。

 

 

 

「これはかなりガタが機体中にきているな。」

 

「え、嘘?!」

 

 トラックのコンテナ内で補給が終わった藤堂機の次にカレンの紅蓮・強襲型の整備をしていたスバルの言葉に水分補給していたカレンはビックリする。

 

「そもそもさっきデータを見たが、高速移動中に無理やり変形をするなんて無茶があるぞ?」

 

「う……だって、そうでもしないと敏感過ぎるし……それにカッコイイじゃん?! 空中変形の機動戦!」

 

 「お前はどこぞのグラ〇ムか。」

 

「??? グラ〇ムって、あのビスケットの?」

 

「何でもない。 取り敢えず、応急処置にリミッターをかけておくぞ。 (OSが蒼天に似ていて良かった。)」

 

「(そういやグラ〇ムビスケット、最近食べていないなぁ~。)」

 

「紅月、少し彼を借りていいか?」

 

「毒島? うん、いいけれど────」

「────どうした毒島?」

 

 スバルの問いに毒島は周りに居る黒の騎士団の幹部たちをチラッと見る。

 

「ここでは少し、な。」

 

「……わかった────」

「────あ、スバル────」

「────カレン、水分補給も良いが機体の補給もしておけよ? こいつは高出力だがその反面エナジーの消費が半端ない────」

「────ぁ。」

 

 スバルはそれだけ言い残し、毒島の後を追ってトラックコンテナの甲板で座っている村正・陽炎タイプがある場所へと出る。

 

「さきほど、艦に戻ったレイラから連絡があった。 『グリンダ騎士団に動きアリ』、と。」

 

「もしや────」

「────ああ。 君の思う通り、恐らく前回中華連邦内での活動を許された条約を利用しているのだろう。」

 

「(いや、俺、全然そんなん思ってへんがな。 それにいつの間にレイラたちって洛陽を脱出しているの?)」

 

 実は警備隊隊長たちの無力化をした後、レイラたちはゼロとは別のルートで洛陽の外延部で光学迷彩を起動しながら待機していたリア・ファルへと帰還し、小沛から移動する黒の騎士団の斑鳩と後で落ち合う航路を取っていた。

 

『ここで腹黒皇子ごとアヴァロンを落とせばよかったのでは?』と思うかもしれないが、アヴァロンにもブレイズルミナスもある所為で確実に落とすには主砲を使わざるを得なくなり、さらに落とせばシュナイゼルだけでなくオデュッセウスも葬り去ることにもなる上にアヴァロンの残骸が洛陽に落ちて被害が広がってしまう。

 

 

 主砲を使わずにナイトメアでアヴァロンに乗り込み、中に居るシュナイゼルを殺せばいいのだが『スバルのメモに書かれていなかった』ことと『手綱(宰相)を失くした帝国の出方が分からなくなる』等といった懸念によってアヴァロン(引いてはシュナイゼルとの衝突)は後となった。

 

 

「それに彼女(レイラ)の読みだと……“恐らく(グリンダ騎士団は)渓谷の襲撃後に虚をつく”とも。」

 

「なるほど、このままいけば黒の騎士団の襲撃直後を狙われる可能性があるか……相手は?」

 

「将軍だそうだ。」

 

「よし。 少々早いが、ここからは黒の騎士団とは別行動だ。」

 

「天子様の事は良いのか?」

 

「神楽耶もいるから、ゼロも上手くはやれるだろう。 レイラたちのいる場所にいけるか、毒島?」

 

「そのために私はここに居る。」

 

「そうか、なら天子様に別れの言葉を言い残してから行こう。」

 

 

 ……

 …

 

 

 「え?! 二人とも行ってしまわれるのですか?!」

 

「「フグッ!」」

 

 涙腺をウルウルしながら悲しそうな天子の声と顔にスバルと毒島は思わず胸に手を置きながら顔を背けてしまう。

 

「い、一時の別れです天子様────」

「────そんな! こうしてせっかくまた会えたのに……グスン。」

 

「「グォ?!」」

 

 とうとう静かにポロポロと泣き出す天子を前にスバルと毒島は物理的な痛みに身悶えそうになる。

 

「か、必ずや戻ってきますので……ど、どうか気を強く持ってください。」

 

「…………………………うん。 グスン。」

 

「……」

 

 毒島は自分の気遣いの言葉に対して泣く天子を前に両手で顔を覆い、そんな彼女の方にスバルが手を置く。

 

「毒島、気持ちは分かるが────」

≪────スバル、彼女を持って帰ってはだめだろうか────?≫

 「────ダメに決まっている。」

 

「えっと……お、お兄さん。 お姉さん……も、戻ってきてね?」

 

 「「……行って、来ます。」」

 

 天子の言葉に二人は黙り込み、数秒後に動きを再開しながら明らかに『行きたくねぇなぁ』と訴える悔しい顔になる。

 

「……」

 

 尚このやり取りを見たカレンは複雑そうな気持になり、そんな彼女に反応してかマ()がにやりとした笑みを浮かべる。

 

「(ふーん……なるほどねぇ。)」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「それで? 筋書き通りかい?」

 

「今まではな。 先方から多少のフライングは起きたが、予想以上にスムーズに事は進んでいる。」

 

 天子たちを乗せたトラックは原作通りに竿中渓谷を渡るための橋が崩落で落ちていた手前で足を止め、大宦官たちは警備隊に追撃を命じた。

 

 だが逆にゼロの策略により警備隊はベニオを含めた黒の騎士団の本隊により左右からの挟み撃ちにより壊滅し、無くなった橋の代わりに飛翔滑走翼の整備が終わった機体によりトラックは向こう岸の小沛(シャオペイ)で待機していた斑鳩へと無事に移動できていた。

 

 そんな斑鳩の中で事の運び方に感心していたゼロにC.C.がブリッジへと続くエレベーターの中で話し合っていた。

 

黎星刻(リー・シンクー)とやらの計画はそこまで織り込み済みだったというわけか。」

 

「ああ。 非常に優秀で、己の政府から『要注意人物』と目を付けられていたのは伊達ではない。 今回の作戦も、彼の練っていたクーデターを我々の目的に応用させたところが大きい。」

 

「先日の兵士にギアスを使ったのか?」

 

「効率的に最も確実だからな。 だが奴は我々と協力することを拒んだ。 それは野心か、果たして────」

「────お前はこういう時に限って鈍感だな。 さっき天子が言っていたじゃないか? “外に出たい”という約束を。」

 

「バカな。 そんな小さなことの為に、国を────」

 

 ゼロはここで、自分も『ナナリーが幸せになれる世界』という名目で黒の騎士団やゼロとして立ち上がった自分を思い出しては口をつぐむ。

 

「……天子は神楽耶に任せるとして、なぜここにアイツがいる?」

 

「だから言っただろう? 私が運転したくなかったからだよ。 使えるものは使わなければ損だからな……まだ苦手か?」

 

「奴は俺の事とナナリーの事も知っている。 それに────」

「────安心しろ。 それに関しては私から厳しく言っている。 あれはあれで、余程の事が無い限り私との約束を守るからな。」

 

 ゴゴォン

 

 エレベーターがブリッジに着くと、開く寸前だったドアの向こう側からくぐもった爆音が響いてくる。

 

「状況は?!」

 

 そして『ただ事ではない』と悟ったルルーシュはゼロの仮面をかぶると同時に思考をすぐに『戦略家』へとシフトさせて近くの扇に問いかける。

 

「あ、ゼロ! 先行のナイトメア部隊が破壊されて、恐らくは敵襲かと!」

 

「全軍停止だ! (おかしい……こんなに早く迎撃を中華連邦が出来るわけが────)」

「────敵影の映像、出ます!」

 

「拡大しろ!」

 

 斑鳩のスクリーンに映ったのは────

 

「────げぇぇぇぇ?!」

 

 ブリッジに居たラクシャータが今まで出したことのないような声を出して注目を集める。

 

 ……

 …

 

『こいつ、同じ可翔型でも────!』

『────卜部、朝比奈、仙波! 千葉に続いて斬撃包囲陣!』

『『『了解!』』』

 

 藤堂と四聖剣の機体たちが神虎の周りを囲むかのように回り、錯乱させる機動戦を仕掛ける。

 

『斬撃包囲陣』とは藤堂達がナリタ連山でコーネリアたちと相対した際に使った戦術で、ナイトメアの機動力をフルに活かし、敵を中心に円を描くように回りながらそれぞれの機体が隙を見て接近戦を挑むと言ったモノ。

 

 元々は第二次太平洋戦争で、ブリタニアのグラスゴーが既存兵器を機動力で翻弄しているため『強みである機動力を封じ、間合いを詰めた距離から一気に火力をKMFに叩きこむ』という戦法で『厳島の奇跡』と世間で呼ばれていることからナイトメア専用に改良された戦術である。

 

「(相手は一機! そして人である限り、必ず付け入る隙が生じる筈!)」

 

『死角のない知的生物』など例が無いので、そう藤堂が思うのも無理はないだろう。

 

 相手が()()()()()ならば。

 

 ……

 …

 

「「「「「……」」」」」

 

 斑鳩のブリッジは静寂に包まれていた。

 

 藤堂と四聖剣が敵機と思われる相手へ陣を敷きながら飛来したと思えば、流れるような動作で初手の廻転刃刀のチェーンソー部分ではない芯を狙って受け流しながらスラッシュハーケンで次の二機に絡めて無理やりぶつかるように軌道を捻じ曲げ、そのまま他の三機にスラッシュハーケンに絡まった二機をモーニングスターのように投げつけた。

 

 流石に『大破』とまでは行かなかったが飛翔滑走翼が作動せず、それぞれの機体は文字通りに『翼をもがれた鷹』のように地面で距離を取りながら警戒していた。

 

 誰から見ても、彼らが神虎と戦闘を続行するのは困難を極める様子だった。

 

「(一瞬……一瞬で藤堂達を? スザクじゃあるまいし! ランスロットじゃあるまいし! ええええい! なぜこうも『ここ一番』でイレギュラーが発生するのだ?!) ラクシャータ、アレは何だ? 先ほど君が声を上げたからには知っているのだろう?」

 

「……『神虎(シェンフー)』、紅蓮ちゃんと同時期に開発した機体で取り敢えず搭乗者の事を考えずにスペックだけを追求した化け物よ。」

 

「そうか。 そのスペックは?」

 

「ま、『()()()ランスロットと互角』……ってところかしら?」

 

「(紅蓮と同時期に開発してそれか?!) 弱点は無いのか?」

 

「強いて言うのなら、試運転中にテストパイロットを17人ぐらい死なせたから『命を惜しんで誰も乗りたくない機体だった』……かしら?」

 

「(なんだその自殺願望者を前提にした機体は? いや、そもそもあれがここにあるという事はインド軍区由来だろうな。 クソ、マハラジャの狸爺め。)」

 

 「う~ん……こうなることを予測できたのなら、蒼天ちゃんのパイロットに手錠をかけてでも引きとどめるべきだったかしら────?」

「────ぐ、紅蓮が?!」

 

「何?!」

 

 斑鳩のオペレーターである左右紫セミロング双葉が慌てるような声を出すと格納庫と思われる場所から()()()()()を装備した紅蓮が出るのを見て、ゼロは思わず驚く声を出してしまう。

*1
150話より




毎日 暑い
頭痛がするほど 暑い
蒸し 暑い

byこの頃の暑さと天気にやられ気味の作者 _(X3」∠)_
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