小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第213話 『初歩的なマキャベリズム? 断る』

「ハァ~……」

 

 少々時間は戻り、神虎が斑鳩の前を先行していたナイトメアたちを大破させる前となる。

 

「結婚を嫌う花嫁の強奪なんて……ロマンあるなぁ~♪」

 

 シェンチョン渓谷の奇襲を終えて斑鳩の側面を護衛するため、地面を無頼弐型のランドスピナーで走らせていたベニオはうっとりしていた。

 

『“ロマン”って────』

「────やっぱりゼロはロマンチストなんだよサヴィトリ!」

 

 「ハ?」

 

「だってだって! 本人の望まない政略結婚をこうやって乱入するなんて素敵じゃない? 良いなぁ~♡」

 

『別にゼロは天子を救おうとしているわけじゃないと思うわよ? 単純に世界三大勢力のうち二つであるブリタニアと中華連邦が同盟関係になったら合衆国日本が袋叩きになるのを防ぐために、天子を横取りしたのよ。』

 

「サヴィトリ、夢が無いなぁ~。 そんなことなら、別に花嫁を攫うよりほかの方法があるんじゃない?」

 

『例えば?』

 

「私が分かる訳ないじゃん!」

 

『(こいつにちょっとでも期待した私って……) でもそうね、ゼロの事だから何らかの意味があると思うけれど────』

「────だよね?! やっぱりゼロは正義の味方なんだよ!」

 

 『どうすればそうなるのよ。』

 

「よ~し! やる気がモリモリ湧いてくるよ~!」

 

 ベニオの能天気単純な性格にサヴィトリは毒気を抜かれ、『ベニオだから』と自分に言い聞かせる。

 

 ……

 …

 

「どう、井上さん? 紅蓮、何とかなりそう?」

 

 斑鳩の格納庫内ではパイロットスーツに着替えたカレンは難しい顔をする井上にそう問いかける。

 

「う~ん……この機体、戦力的にも性能も申し分ないほど凄いけれど……主要部分が三つに分かれていたり、複雑な構造とかをしているから整備側としては『悪質』としか言い様がないわね。 このソフトウェアのリミッター、多分スバルが付けた奴でしょ?」

 

「う、うん……ってなんで井上さんが知っているの?」

 

「う~ん……」

 

 井上の頭上にカレン用に奪取したグラスゴーについていたOSロックを解除するため、カレンがシミュレーターに乗っている間にプログラムのハッキングをしていたスバルが思い浮かべられる。*1

 

「どうしてでしょうね?」

 

「あ! 井上さん絶対なんでか知っているよね────?!」

「────でも現状ではやっぱり彼の付けた『出力を押さえて現状維持』が一番かなぁ?」

 

「え? そうなの?」

 

「この場合、悪くなったパーツを丸ごと交換した方が早いけれど流石に斑鳩にはスペアパーツ積んでいないわ。 そもそもそのスペアの制作も間に合っていないわけだし。」

 

「どこが悪いの?」

 

「……負担がかかった背中にあるフロートユニットに、関節部全部。 これ、絶対カレンが相当無茶をさせたでしょ? いったい何をすればこうなるの?」

 

「……く、『空中変形で表面積を増やした減速』?」

 

 フッと井上の目からハイライトが消える。

 

「あ?! や! だって想像以上に機体の加速力が────!」

 「────ウン、ソレハムチャヲシタワネ?」

 

「ゴ、ゴメンナサイ……じゃあ、何かで代用できないかな?」

 

「パーツ交換ならできるわ。 よくも悪くも、ナイトメアの接続部は殆どユニバーサルデザインらしいからね。」

 

「“ユニバーサルデザイン”? じゃあ────!」

「────斑鳩には暁型の予備しか無かったと思うけれど────」

「────うん、それでお願い!」

 

 「だから貴方も手伝うよね、カ・レ・ン?☆」

 

「あ、ハイ。」

 

「やぁ、僕も手伝うよ?」

 

「あ、あんたは……えっと────?」

「────ンフフ~、マオだよ。」

 

「……あれ? マオって────?」

「────あー、あの子(女のマオ)と僕は別人だよ。 名前だけが同じさ♪」

 

「(そうかなぁ? 雰囲気も飄々としたところも、見た目もどことなく似ているなぁ────)」

「────ハァァァ?! どこがだよ?!」

 

「わ?! ごめ────(ってあれ? 私、今の声に出していた?)」

 

「チッ……で? 何をすればいい?」

 

「えっと……そうね、取り敢えず背中のユニットを飛翔滑走翼に変えてから脚部も────」

 

 井上の指示に紅蓮・強襲型のパーツ交換をカレンはマオと共にしはじめ、昔からスバルの手伝いをしていたことで手慣れた作業をし始めたカレンは()()()()()で思わず周りを見て見慣れた黒の騎士団の整備班にスバルがいないことでため息を出す。

 

「ハァ~。 (そういやスバルは毒島と一緒にどっかで別行動だった……私、何やっているんだろ。)」

 

 カレンは動かされるクレーンの誘導をし、新たなパーツの接続を確認してからシステム上のエラーが出ていないかをコックピット内の画面からチェックをする。

 

「(皆、彼を頼りにするのも無理ないか。 目立つのは超嫌だけれど、やったことが評価されなくても自然と裏で動いていろんな助けになることを人知れずにやって、それで威張ったり上から見下すこともなく……整備だけじゃなくて開発も、それにパイロットとしても個人での戦闘も凄いし……そんなんで、大勢の女の子が自然と惹かれるのも無理ないよ……うん、無理ないよね。)」

 

 今度は紅蓮のコンピューターに自己チェックプログラムを走らせて待っている間にも、カレンの心は更に沈んでいく。

 

「(『スバルにしか出来ないこと』。 彼だけの特別な『価値』……私は……私には、何があるんだろ? アイツなら答えてくれるかもしれないけれど、聞くのが怖い。 もし聞いて戸惑うこととかあったり、考え込んだりすれば今の関係が拗れて気まずくなるのが怖い……それに────)」

 

 カレンが思い出すのは先日の新宿再開発地区でスバルが気落ちして八つ当たりをしていたルルーシュに対して言った言葉だった。

 

『俺は約束を反故にするつもりはない』。

 

「(…………………………………………………………スバr────)」

「────なぁ────?」

「────どひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 開いていたコックピットハッチから首を突っ込みながら声をかけてくるマ()にカレンは変な声を出してしまう。

 

「ななななななに?!」

 

「お前、兄さん(スバル)とは昔からの知り合いなんだってな? なんつーか『幼馴染』?」

 

「へ?! い、いやぁ~、そんな大したもんじゃないよ! “腐れ縁”ってやつ~?」

 

「ふぅ~ん……悩んでいるみたいだけれどさ? 大方、アイツに認められたいのか?」

 

 ドキィ

 

 マ()の言葉によりカレンの心臓は脈を強く打ち、彼女の動きが一瞬止まる。

 

「でもアンタ、相当強いんだろ? 腕が立つって聞いたぜ?」

 

 ホッ。

 

「あ! でもあの毒島って奴には敵わないんだっけ?」*2

 

 ドキィ

 

「でも君って、『戦力』以外に何かある?」

 

「………………」

 

 ゴゴォン

 

「な、なに?!」

 

 外部からくる爆音が格納庫内に響き、カレンはビックリする声を出すとほぼ同時に外が騒がしくなる。

 

「あららら。 なんか大変みたいだね。」

 

アンタ(マオ)、何か知っているの?」

 

「うん、敵襲みたいだね。」

 

「へ────?!」

 

 ザザ、ザ。

 

『────同じ可翔型でも────!』

『────卜部、朝比奈、仙波! 千葉に続いて斬撃包囲陣!』

『『『了解!』』』

 

『仙波さん、僕の────』

『────早い────?!』

『────よけろ朝比奈────!』

『────捕まった────?!』

『────朝比奈を放せ────!』

『────卜部、上昇しろ────!』

『────うわ────?!』

 

 カレンの機体に藤堂や四聖剣たちの通信が入り、どれだけ戦況が苦しいかを伝えていた。

 

「そこを降りな! 私も出る!」

 

「はいは~い。」

 

「(ここにアイツはいない。 だったら────!)」

 

 カレンは紅蓮のコックピットハッチを閉めて、セルフチェック結果の『問題なし』という表示を見てから紅蓮を動かす。

 

「ベニオ、聞こえる?! 応答して!」

 

 斑鳩の格納庫で整備の手伝いをしていたサヴィトリは慌てだす人たちと外部からの音に焦りながら通信を飛ばす。

 

『さ、サヴィトリ! 私は大丈夫だけれど、先行していた人たちがやられた!』

 

「敵のKMFは見える?! ならカメラを繋げて! (おかしい、ゼロの予測だとあと一時間ぐらいの余裕はあった筈!)」

 

 サヴィトリはインカムと端末を繋げ、ベニオからの映像を出すと神虎を見て血の気が引いていく。

 

「バカな?! 神虎?!」

 

『サヴィトリは知っているの?! あ! 藤堂さんたちが!』

 

「(間違いない! アレは正真正銘の神虎! ラクシャータ先生たちがあまりにも機体性能を追求した所為で何人もテストパイロットが死亡して『危険物』認定されたモンスターマシン!) ベニオ、逃げて! あの機体にパイロットがいるとなると、死ぬわ!」

 

『御免サヴィトリ! 逃げるなんてできない!』

 

「なんでよ?!」

 

『カレンさんが戦っているのに、私だけ逃げられない!』

 

 ……

 …

 

「これで本来の3()()程度の性能か、恐ろしいな。」

 

 神虎の中にいた星刻は驚きと共に感心の言葉を漏らしていた。

 

 原作で彼は前から計画していたクーデターを前倒しにまでして天子とオデュッセウスの政略結婚に割り込み、これを逆に利用して混乱に乗じた黒の騎士団の所為で星刻は部下たちと共に大宦官の私兵たちに捕まり、反逆罪で死刑になるところを『天子を取り戻す為』という名目で彼と彼の部下たちは監視の下で行動を起こした。

 

 だが今作でルルーシュはゼロとして星刻を彼なりに分析した結果『一方的な利用』ではなく『合同作戦』という前提で、黒の騎士団を動かせていた。

 

『星刻ほどの男ならばこちら(黒の騎士団)の意図を読んで動くだろう』と踏んで。

 

 ただルルーシュにとって誤算だったのは星刻自身、『黒の騎士団を信用していなかったこと』、誰も知る筈もない『天子と交えた永続調和の契り』、そして『己の計画を利用された』と思い込んだ星刻の『黒の騎士団を利用する』という意趣返しに似た行動だった。

 

 よって、身柄を拘束されながら大宦官から警戒されるどころか星刻は原作以上に装備が充実した神虎に騎乗していた。

 

『ゼロ! 天子様は返してもらうぞ────!』

『────星刻!』

 

 神虎は紅蓮からの輻射波動をよけ、二機がお互いの攻撃を弾くと火花が飛び散る。

 

『その声、紅月カレンか────!』

『────そこをどけぇ!』

 

 カレンは力任せに、そしていつも以上に荒々しい操縦で星刻の神虎を戦闘不能にさせようとした。

 

「(情報によると『ラウンズと渡り合える実力者』と聞いたが、なるほど。 確かにこの戦闘能力は脅威的だ!)」

 

「(私だって! 私だってやれるんだ!)」

 

『損傷が激しい機体は斑鳩に戻れ! 自力で戻れない者は近くの機体に通信を飛ばせ! 残った者たちは、私と共に紅月の機体を援護しろ!』

 

 地面に居た残月内にいた藤堂はそう通信を飛ばし、暁たちやベニオの無頼弐型と共に機関銃やアサルトライフル等を神虎めがけて撃つ。

 

 更に紅蓮の体中からミサイルが発射され、神虎はこれ等をよけて攻撃が中断した隙に胸部分にあるパーツを展開させる。

 

「天愕覇王荷電粒子重砲を食らえ!」

 

「(大技が来る?!) ()()()()輻射波動をなめるなぁぁぁぁ!」

 

 神虎の動きが止まり、首の付け根がザワザワしたカレンは本能的に今の紅蓮で出せる最大火力を作動して撃ち出す。

 

「「「「うわぁぁぁぁ?!」」」」

「バランサーが! なんて凄い威力なの?!」

 

 紅蓮のレーザーと神虎のビームが空中で衝突してはお互いの攻撃が大気と共に歪み、衝突の余波と科学反応に暁や無頼弐型は歪んだ地形と共にまるで嵐の風に当てられるかのように吹き飛ばされていく。

 

「3割で互角だと?! (やはり紅蓮は侮れん!)」

 

 星刻は胸をヒヤリとさせながら紅蓮とカレンに対する評価を脳内で改めた。

 

「今の輻射波動と同じ出力?! (やっぱりリミッターがついていちゃダメなの?!)」

 

 そしてカレンは逆に焦りを感じていた。

 

 ……

 …

 

「おお!」

「凄い!」

「あの神虎と、互角?!」

「お前たち、データは取っているんだろうね?!」

 

「(マズい。)」

 

 斑鳩のブリッジに居たクルーはラクシャータ含めて思わず画面上で繰り広げられる激闘に感心の声を出すが、ルルーシュはゼロの仮面の下で一人だけ冷や汗を掻いていた。

 

 彼のコンソールには現在の紅蓮のスペックに交換されたパーツに補給具合、そしてラクシャータが開発していた神虎の性能が映し出されていた。

 

「(このままでは紅蓮は────!)────斑鳩のハドロン重砲は使えるか?!」

 

「まだ調整中よ? あと30分でもあればゲフィオンコントロールを────」

「────20分だ! いや、15分ですませろ────!」

「────ちょっとゼロ、何をそんなに────?」

 「────黙って言う通りにしろラクシャータ! どれだけ人員を割いても構わん! シールドも機関部も後回しでいい!」

 

 ゼロの慌て様にラクシャータや扇たちはビックリして面食らう中で、ディートハルトだけは険しい表情浮かべていた。

 

 ……

 …

 

「「(このままでは埒が明かん/明かない。)」」

 

 神虎と紅蓮の中にいた星刻とカレンは数回の衝突でそれを察し、すぐに次の手へと移った。

 

「ならば、機体の性能を5()()に戻して決着を────!」

「リミッターを解除して、一気にケリを────!」

 

 星刻とカレンはそれぞれの機体に付けられた縛りを外し、二機の攻防はさらに過激なモノとなった。

 

「「(これでもまだか?!)」」

 

 

 余談だが、ラクシャータがゼロたちに言った『(神虎は)今のランスロットと同等』という宣言は何も神虎の100%状態を示した言葉ではない。

 

 シミュレーション上で『100%状態の神虎は生物的に無理』と既に出ていたため、最初は性能を8割にカットして試運転されたが、死人が出るにつれて徐々に機体のリミッターは強くされた。

 

 4割でようやく『機体が帰還するまでテストパイロットが死亡しない』と言ったところでインド軍区のマハラジャは神虎を『金食い虫の失敗作』と印を押して死蔵されることとなった。

 それでも『機体があるから~』と、スバルが以前に売った『ランスロットと繰り広げた命の鬼ごっこデータ』も反映されて原作より性能アップしてしまっていた。

 

 皮肉にも、『神虎を扱えるパイロットが世界に存在する』ということがラクシャータに伝わったために神虎は原作以上の性能と乗りやすさが向上していた。

 

 

「ぐ?! かァ!」

 

「う?! うううううう!!!」

 

 二人はお互いの機体に相手がついて来られることに驚愕しながら体を襲うGに耐えながら、無理やり吐き出しそうになる息を出来るだけ肺の中に引きとどめようとする。

 

「「(取った!)」」

 

 そしてようやく神虎のスラッシュハーケンが一瞬、動きが遅くなった紅蓮の左腕に絡められるとそれぞれのパイロットはこれを好機とみなした。

 

 神虎のワイヤーを高電力が伝い、紅蓮が輻射波動でワイヤーの内部にある配線を焼き切る。

 

「何?!」

 

「これでアンタも逃げられないでしょ?! くたばりな────!」

『────やめろカレン! ()()()()()使()()()────!』

「────え?!」

 

「もう遅い!」

 

 ボォン

 

 勝利を確信したカレンは出力を最大にして輻射波動を神虎に向けるとゼロから慌てたような通信が入るが、既に引き金を引きながら驚く声を出すと輻射波動機構が付いていた右腕が暴発して全システムがシャットダウンしてしまう。

 

「うわぁ?! どうしちゃったの、紅蓮?!」

 

「己の機体性能を見誤ったな、紅月カレン。」

 

 ……

 …

 

「ゼロ、ハドロン重砲の調整が終わっ────!」

 

 ダァン

 

「────もう遅い!」

 

 ルルーシュは思わず声を上げながらイラついた気持ちのまま近くのコンソールに拳を振り下ろす。

 

「カレンが!」

 

 画面上の紅蓮の右腕は爆発からボロボロになり、エナジー切れでぐったりとしたまま神虎のスラッシュハーケンにコックピットブロックごとグルグル巻きにされながら盾にされていた。

 

「(くそ! まさか星刻がカレンの性格から、短時間でこの一連を導き出せていたとは────!)」

『────黒の騎士団。 いや、ゼロよ。 武装解除し、天子様を────』

 

 ドゴォン!

 

「なんだ?! 早すぎるぞ大宦官────ウッ?! ゴホッ、ゴホッ!

 

 星刻が言い終える前に斑鳩の周りを雨のような砲撃が着弾して砂塵や石を辺りにまき散らしていくと彼は怒りのこもった声で上記のセリフを出すと咳をし始め、唾液と共に血が混じっていることに焦る星刻。

 

「(先ほど無理をし過ぎたか! だがまだだ! まだここで倒れるわけにはいかん!)」

 

 

 

「後方より、中華連邦軍大部隊!」

 

「チィ────!」

「────イカルガを回頭させろ!」

「────動かせるナイトメアは斑鳩に残っているか?! 飛翔滑走翼が無くてもいい!」

 

 斑鳩のオペレーターであるイチジクの報告にゼロは舌打ちをすると、周りが慌ただしくどうやってカレンを取り戻すかを議論し始める。

 

「ゼロ、私は撤退を進言します。」

 

 戦闘中に珍しく口を開けたディートハルトの言葉に、ブリッジは静まり返るが徐々に気持ちを押さえられなくなった扇が沈黙を破った。

 

「何故だ?! カレンをとりもどさないと────!」

「────彼女は確かに優秀ですが、()()()()()のパイロットです────」

「────“見捨てろ”って言うのかブリキ野郎?!」

 

 たまに玉城が未だにディートハルトなどの協力的なブリタニア人に出す差別的な名称を普段は温厚な扇が口にしたことで、ブリッジに居た者たちは唖然とした。

 

「扇さん、これは()()()()()選択です。 『ここで一人の為に黒の騎士団をかけるのか』、あるいは『次の機会の為に兵力を温存するのか』。 ゼロ、ご決断を。」

 

「私に選べというのか、ディートハルト。」

 

「貴方の様な方ならば、比べるまでもないでしょう。 大局の為に、時には一部を犠牲に────」

 「────全軍反転せよ!」

 

 ディートハルトの言葉をゼロは遮ると旧日本人たちはホッとする。

 

「な、何故ですゼロ?! 組織のためにも、ここは引いてインド軍区などからの援軍を────!」

「────先ほどの神虎を見る前ならば私も撤退していたかもしれん。 だがあれが中華連邦に渡されている以上、『インド軍区が一部始終を静観しない』という保証はどこにもない!」

 

「ゼロ────!」

────くどいぞディートハルト! 四聖剣たちの機体修理が出来次第、鶴翼の陣を敷かせろ! (それに『大を生かす為に小を切り捨てる』など、それではまるでブリタニアのやり方ではないか?! 俺は認めん!)」

 

 ……

 …

 

「ハッ、ハッ、ヒッ、ハッ、ハッ?!」

 

 エナジー切れになったおかげで暗く静まり返ったコックピット内に居たカレンの目の焦点は合っていなく、瞳孔は大きくなっており、息は過呼吸気味になっていた。

 

 完全にパニック寸前の恐怖状態に陥っていた。

 

「(そ、そんな! このままじゃ、捕虜になる?! ()()?! いやだ! いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ────────いやだぁぁぁぁぁぁ! お母さん! お兄ちゃん! 昴!うわぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 訂正。

 カレンは過去のトラウマと記憶が蘇ったことでパニック状態となり、錯乱し出した。

*1
16話より

*2
145話より




今回は殆どSIDE:黒の騎士団風になってしまいました。 (汗

尚、最後の方は独自設定(過去への介入?)に関連しています。
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