楽しんで頂ければ幸いです。
「黒の騎士団、全軍戦闘準備! 地形は高低差が少なく、地理的優位は望めない上に数では敵が勝っている!! しかし、ナイトメアの性能ではこちらが上だ! よって、敵は神虎での一点突破を図る筈だ! 藤堂、奴の相手を任せられるか?」
『足止めなら。』
「十分すぎる。」
ゼロの命令によって斑鳩は反転し始め、格納庫から次々と待機や急ピッチで修理を終えた暁等が出てくる。
「(ゼロ……確かにこの選択を取れば今この場にいる者たちの不信感を抱かせることを阻止できますが、今現在の『前例』のような局面にまたも対峙して同じ判断を下さなければ『偏愛』、あるいは『贔屓』と取られて組織内であらぬ噂や軋轢が生まれるのは自明の理……何故です、ゼロ?)」
ゼロの命令によってやる気を出す中で、ディートハルトは一人だけそう思っていたそうな。
社会────あるいは組織────の規模が大きくなればなるほどに、そして判断をする上層部が狭ければ狭いほどに一つ一つの言動は全体を影響しかねない。
良くも悪くも、『人の集まり』である『社会』が大きいほどに選択の良し悪しは人間のように千変万化となってしまう。
ガキィン!
神虎の巨大な中国刀と斬月の制動刃吶喊衝角刀が空中で弾き合う間に中華連邦の
「ゼロ、敵の機体が中央を突破しました!」
「さすがに数が多いな……良し、反撃開始だ! 右翼、千葉と仙波! 左翼、朝比奈と卜部! 後方射撃に警戒しながら敵本陣に弾幕を張りつつ、先行部隊をたたけ! 神虎のスペック上、カレン機との交戦でエナジーはそこまで持たない筈だ! (そして彼の身柄と神虎を捕獲して、カレンとの交換を────)」
……
…
「なんということよ?!」
「これでは星刻に神虎を与えた意味がないではないか?!」
「ここまで猪突猛進的な武官だったとは!」
中華連邦のピラミッドの様な形をした陸上戦艦である『
「いいえ。 これも星刻様の作戦の内です。」
一連の流れが少々違ったことでどう見ても『クッ殺!』的なエロい縛り方で胸が強調される拘束をされていない香凛は大宦官の狼狽え様に愉悦を感じる涼しい表情のまま上記を宣言する。
『
「ん? どうした?」
『それが、報告より水量が減っていて────』
「────構わん、こちらへと水を流せ。」
『は、はぁ……』
香凛の指示により近くにある運河の流れが操作され、陸上戦艦の中から大宦官たちはみるみると横から浸すだけほどの水量が戦場の地面を覆う景色を見て内心呆れ、この様子を見た香凛はただ黙って見送る。
「(“取るに足らない水量”、“なんのために?”とこいつらは考えているだろうな。 だが今作戦はお前たちの傲慢が故に可能となったモノだ────)」
「────み、見よ!」
「黒の騎士団の機体たちが────!」
「────沈んでいくぞ?!」
水に浸ったことで乾いた大地が一気に沼へと変わり、大宦官や彼らの私兵たちが驚きの声を上げる。
「ええ。 ここは『灌漑干拓地』ですよ────?」
「────バカな────?!」
「────だったら尚更、こんなことには────!」
「────癒着による手抜き工事の結果、この様な大地となりました。 さすがのゼロも、短期間でここの土地勘までは把握できていない筈。 全部隊、進軍開始! 敵の機体は無視して敵艦動力部に砲撃を集中!」
『『『『『臣遵旨!』』』』』
……
…
「ラクシャータ! 輻射障壁の展開を急がせろ!」
「ゼロといると全く暇が無いね!」
一気にどんでん返しを食らったルルーシュはゼロの仮面の下で冷や汗を流しながら、後手に回ったことで次の一手を張り巡らせながら停止した思考を切り捨てる。
「扇、例の場所の偵察は済んだか?!」
「え? あ、ああ。」
「よし! 艦首の拡散ハドロン重砲で敵を一掃し、各ナイトメアの回収! 動力部を守りつつ後退! プランデルタ!」
「ッ。」
「りょ、了解。」
ゼロの視線先を(多分?)感じたディートハルトや扇は戸惑いながら出された指示を実行に移していく。
…………
………
……
…
時間は黒の騎士団が星刻率いる中華連邦と衝突する少し前へと戻る。
「ねぇ、エリスさん?」
「何、エリシア?」
「どう、思います?」
「“どう”、って────」
大グリンダ騎士団の主力とも呼べる浮遊航空艦隊の天空騎士団の先頭を飛ぶ準旗艦となったグランベリーのブリッジに居たエリシアとエリスの二人は険しい顔のまま無言で立っているシュバルツァー将軍と、どこかウキウキしているノネットを見る。
「(────多分、エリシアが聞きたいのは“本当に敵対するの?”でしょうけれど────)────エリシア? 私たちは軍の人よ? 命令があるのならば、それに従うまでよ。」
「で、でも……」
「(正直、彼女の気持ちは分かる。 けれどマリーベル殿下はこれを見越していた。 ならば、彼女と彼らを信じて行動をするしかない。)」
そんな彼女たちのヒソヒソ話をシュバルツァー将軍は無視しながら、考えをまとめていた。
「エリス、各艦からのレーダー表示をグランベリーに繋げてくれ。」
「え? あ、はい。」
「(さて……姫様が『全力を出してもいい』と言ったからには、恐らくワシが持っていた疑心をお見通しだったというわけか。)」
実はシュバルツァー将軍、トントン拍子でグリンダ騎士団の持っていた懸念や闇を一気に払ったスバルと彼の部隊に対していい気持ちを持っていなかった。
これは何も桐原泰三の孫である毒島との会談の所為ではなく、ただ単純に『良い感じがしなかった』という違和感のせいだった。
普通、元気づけられることは良い事で誰も深く考えないのだが『ヨハン・シュバルツァー』個人ではなく、『ブリタニアの猛禽』としての勘が『あまりにも出来過ぎている』という警告を本能レベルで告げていた。
彼もまさか、『自分の居る世界や人物の過去や内心が様々なアングルやメディアで描写されている』とは思ってもいないだろうが。
「各艦からのレーダー情報、グランベリーに繋げられました。」
「よし、このまま指向性レーダーをなるべく広範囲に前へ向けて定期的に発信するように伝えろ。」
「え────?」
「────何かね、エリス君?」
「い、いえ。」
「ふ~ん? 何か考えがあるのかい、将軍?」
「エニアグラム卿……貴方ほどの者ならば、薄々気付いているのでは?」
「まぁね。 この陣形……
「左様です。」
「(それだけじゃないね。 指向性レーダーも使っていると言う事は、『仮想敵がレーダー網をかいくぐれる』という事……こりゃ黒の騎士団じゃないね。 ここまでとなると────)────んじゃ、私はいつでも出られるようにランスロット・クラブで待機するとしよう。」
「ナイトメア戦にまで発展しないよう、初撃で終わらせる……フフフフ。」
「(う~ん、『ブリタニアの猛禽』の表情に戻っているね。 あと10年若くて妻子が無けりゃ、周りからまたキャーキャー言われているね。)」
「各艦、戦闘配置。 いつでも迎撃準備に入れと通達しろ。 (さて、『リア・ファル』……ワシの全力に、どう答える?)」
……
…
「『対潜水艦陣形』?」
光学迷彩を付けながら大地をアマルガムの浮遊航空艦、『リア・ファル』が大きく中華連邦のレーダー網を迂回しながら進んでいるとリア・ファルに天空騎士団の電波が感知されて地図を見たレイラは思わずそう呟いた。
「……確かに、これは合理的かもしれないな。」
「ミルビル博士?」
「ああ、突然横からすまないね。 ただ君の思ったことを肯定しただけさ。 ただこの陣形を見ると、明らかに我々を相手にすることを想定しているね。」
「マリーベルさんの事ですから。」
「ああ。 恐らくだが、総督の彼女自身があの艦隊を動かしているのではなく、副官のヨハン・シュバルツァー将軍だな。」
「『我々と彼をぶつけさせて、彼を納得させるため』……との解釈でよろしいでしょうか?」
「だな。 将軍は実績と人望、共に豊かな老練の名将。 現ブリタニア軍としてはかなり珍しく、良くも悪くも着実な用兵を行う人物だ。 だが以前の戦闘で彼は知っている筈だ、この艦が単純なレーダーに引っ掛からないことを────」
「────ッ! サラ、艦の光学迷彩の純度を
「え? 落とす?」
「早く!」
ウィルバーの独り言の様な語りにレイラは目を見開かせながら、慌てた様子で
……
…
「未だに何も出ないねぇ……」
ノネットの呟きにシュバルツァー将軍は反応せず、ただレーダーから得た情報を表示するスクリーンを見る。
「エリス、今までの索敵で
「……“綺麗すぎるポイント”、ですか?」
「うむ。 今から30分ほど前から各センサーのどの感度でもまったく反応が出ていないところだ。 出来るかね?」
「は、はぁ……」
エリスは意味不明の命令通りにデータ操作をしたものをシュバルツァー将軍の端末へと送る。
「……見事に空白のスペースがあるねこりゃ。」
「確か……ここをこうすれば……あれ……うーむむむむ────」
「────ちょっといいかい将軍? これはこうして────」
端末の操作に苦戦するシュバルツァー将軍を見かねたのか、ノネットの頭上に電球(メタ)が光って彼女は横から助言し始める。
そしてエリシアとエリスは『ブリタニアの猛禽でも老眼になるんだなぁ~』と思ったそうな。
「ほい、出たよ……って何も無いね?」
ノネットの手伝いもあり、シュバルツァー将軍の画面に映し出されたのは
「いや、この地図を他の地図と照らし合わせると────」
「────って、何だいこりゃ?!」
ノネットが珍しく声を上げながら見たのは、感度を上げたセンサーに広がるノイズや雑音の中で蛇の様な
「良し。 各艦のナイトメア、発艦準備。 および、各艦の艦砲の
「は、はい!」
……
…
「総員、第一種戦闘配置! 非戦闘員は避難ブロックに移動!」
「何かね、レイラ────?」
「────ミルビル博士が先ほど言ったことで気付きました! 『完璧すぎる隠蔽も考え物』と────」
「────ッ! そうか────!」
「────敵艦隊からの砲撃! 着弾まであと10秒!」
艦内クルー用の強化スーツを身に纏ったレイラはシートベルトを着用しながら一瞬考え込む。
「……着弾と同時に光学迷彩を解除してその分のエナジーをブレイズルミナスに回し、各KMF部隊の出撃用意!」
「しゅ、主砲の準備をしますか────?!」
「────ダメです!
「────着弾の衝撃、来ます!」
状況の急変に慌てるユーフェミアの脳筋物理的な思い付きをレイラは却下しながら来るべき衝撃に備える。
……
…
「所属不明の艦、レーダーに出ました!」
「良し。 艦砲射撃を続けろ、ナイトメア部隊に発進準備。」
「(なるほどねぇ……敵さんの艦が強力なECMを持っていることを配慮した陣形だったんだね。 最悪、何もなくても中華連邦は広大だから迷惑にならない────)────私もクラブ・エアで出るよ!」
ノネットはウキウキ気分になりながらブリッジを後にして、シュバルツァー将軍は地図を拡大化させて艦隊の位置を確認する。
「(フム。 サエコ・ブスジマで見当はついていたが黒の騎士団がいると思われる方向の中間あたりに陣取れば、以前に見た砲撃を行えんだろう。)」
……
…
「まさかこちらの高性能な光学迷彩を逆手に取るとは、敵ながらあっぱれな考えだなシュバルツァー将軍!」
姿を現したことで徐々にリア・ファルが受ける砲撃の数が増していく中で揺れるブリッジ内にある端末スタンドにしがみつきながらミルビル博士は感心を示す。
「(敵は主にカールレオン級とはいえこちらは一隻。 それに相手はグリンダ騎士団の天空騎士団とはいえ手を抜くわけにもいかない……) ならば応戦するまで! 太陽を艦の背後に移動! オリビア、リア・ファルのカンタベリー級砲で応戦! 確実に敵艦を落とすことより、高度の維持を不可能にするための機関部を狙ってください! 砲火は敵の先頭に集中! 全ナイトメア部隊は発進可能になり次第、隙を見てこちらから発艦指示をします!」
前回の主砲に頼ったことで艦自体に負担が出たことを教訓に、リア・ファルの副砲は更に充実されていた。
散弾銃の様な弾頭を発射できることから
……
…
「敵艦からの砲撃! 『ドンキャスター』と『セルビー』、共にフロートユニットに被弾! 高度維持と操舵不能!」
「(やるな、アマルガム。 それに太陽を背後に位置させるとは……こちらが
元々攻城兵器として開発されたカンタベリーの砲台の威力は、現ブリタニア帝国の航空浮遊艦が主に実弾系の反撃を想定されたブレイズルミナスを容易に貫通してはフロートユニットや機関部にダメージを与えていく。
「(実に良いところに攻撃をしてくる。 それに確実に『撃沈』するのではなく、『戦闘不能』にさせる兵装をこうも当ててくるとは……) 艦隊、両翼をのばして包囲陣を敷け! 固まれば敵の思うつぼだ! ナイトメア部隊も準備が出来しだい発進!」
ここで(多対一ではあるが)浮遊航空艦を利用した、本格的な艦隊戦が幕を上げることとなった。
『あれ? スバル/スヴェンは?』、ですか?
只今『鬼ごっこ』を堪能していますが何か?
誰か助けて。
俺はただそう叫びたい衝動を必死に我慢しながら毒島は村正一式・陽炎タイプの機体を、HOTAS式の操縦桿で操りながら
ムニ。
「ん♡」
アフン♡。
またも(多分)ドローンがくり出す攻撃を躱す
ムニュン。
「ぁ♡」
ア♡。
俺たちの乗っている機体が揺れるごとに、毒島の体と俺の体が自然と密着するというか押し付けられる。
これは完全にアレだ。
『漬物石の感じ』だ。
『ナチュラルクッション』とも。
え? 『なんてうらやまけしからんどうやってそうなったか説明プリーズ!。°(°`ω´ °)°。』だって?
良いだろう! 教えてやるとも!
1、 毒島と共にリア・ファルの予想ルートへ向かう。
2、 どうやって天子のところに戻れるか悶々と考えて村正・陽炎タイプがジャンプとブーストを繰り返す
3、 ここで『そう言えばカレンはどうなるんだろう?』と思い、原作以上に強化された紅蓮でホッとする
4、 急に毒島が俺の胸倉をつかんで自分の体に俺を押し付け無理やり席に座らせる
a. 余談で頬っぺたに押し付けられるマシュマロに銀河を見るような錯覚に陥る
5、 レーダーに敵の攻撃っぽい反応が出るとほぼ同時に機体が横に
a. また余談だがここで俺の視界が一瞬暗くなって内心ヒヤッとする
6、 戦術機モドキの所為か、実際のモノより大きい画面でハドロンブラスターの閃光が通り過ぎるのを見てびっくりする(ポーカーフェイス維持したまま)
7、 毒島が無理やりシートベルトを俺と自分にかけなおして波状攻撃の様なハドロンブラスターを避ける ←今ここ
な、何が何だか……
中華連邦に『ハドロンブラスターが多数』なんて、俺は知らない。
そもそもハドロンブラスターなんて、この時期では最先端技術を誇るブリタニア軍と雖も使用できる機体は限られている。
試作機や装備のモルモット部隊であるグリンダ騎士団でもだ。
後はラウンズだが……彼らが表舞台に堂々と出てくるのは天帝八十八陵に黒の騎士団が立てこもって正式な介入要請を大宦官から受けてからの筈だ。
「「………………………………」」
俺と毒島の間に言葉はなく、ただ無言の時間が過ぎていく。
『無言』であって、決して『無音』ではないが。
ビィー、ビィー、ビィー、ビィー!
コックピット内で耳をつんざくようなロックオンアラームの音が前と左右からのスピーカーから出て、毒島が空中戦闘機動で避けたハドロンブラスター特有の赤い光線がスクリーンを通り過ぎていく。
心なしか、彼女の顔色はあまり良くないような気がす────
────ヒュン!
その時、敵機と思われる
今の……もしかしてもしかすると『フローレンス』か?!
「敵の陣を突破する、もう少し
もっと荒くなるんかい。
ヒュン! ヒュヒュン! ヒュン!
毒島の呟きの少しあとに、フロートユニットを搭載したフローレンス
なんで……なんでフローレンスがこんなにいるの?!
『ラウンズ専用機のオンリーワン』じゃなかったんかいワレぇぇぇぇぇぇぇ?!
カァン!
ヒィィィ!?
いいいいいいい今! 今何か当たった?!
攻撃が掠ったぁぁぁぁぁぁ?!
「……ウプッ。」
毒島の顔色ががががががががが。
「すまんスバル、チョットメガマワッテ────ウッ。」
こいつの飛行適性、もしかして標準のBとかより下のCなの?
あるいは『ザ・ビッグ』系のようにDとか?
Dはその立派な胸部装甲だけにしてくれ!
ムニ~。
あ♡
ええ柔らかいボディですなぁ────って、あああああああああ?!
機体がさかさま!
さかさまのままシャンデルターンはヤメテェェェェェ?!
いや、そもそもなんでフローレンスが?!
意味が分からない!
どうしてこうなった?!
タイトルのアイデア、誠にありがとうございますぬま沼さん! m(_ _)m
作者:それと殆どスバルの所為です。 (;^ω^)
スバル:……ちゃうねん! ( >Д<;)