小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

220 / 344
カオスで表現不足かもしれませんがお読みいただきありがとうございます。

楽しんで頂ければ幸いです。


第215話 もうひとつの明日へ、□□のまま走る

 斑鳩は奇しくも星刻からの追撃を艦首にある拡散ハドロン砲で無理やり振り切り、歴代の天子を祀る『天帝八十八陵』がある山の中へと避難し、偵察部隊と合流して立てこもる準備を進めていた。

 

「……」

 

「ベニオ!」

 

 そんな中、神虎の襲撃に中華連邦との衝突と撤退援護の連戦を終えた無頼弐型から降りて、トボトボと腫れた目と鼻をしたベニオをサヴィトリが斑鳩の格納庫で抱きしめる。

 

「良かった、無事で────!」

 「────ぜんぜん、よくないよ。」

 

 ベニオはサヴィトリを抱きしめ返し、またも涙腺が緩んで涙が流れる。

 

「カレンさんが敵に捕虜にされたのに、追いかけたくてもあの化け物相手だと負けると分かったから……斑鳩を守らなきゃって思ったけど……私……今更になって“怖いから正当化したんじゃないか?”って────!」

「────バカなことを言わないで。 貴方は、私から見て『最善の選択をした』と思うわ。」

 

「へ。」

 

「だって、下手したら貴方も捕虜になっていたかもしれないのよ?」

 

 サヴィトリはベニオがしたロマンの話や泣きじゃくる彼女の言動で今更ながらようやく気付いた。

 

『あ、カレンさんみたいな子でも普通なんだな』、と。

 

「……」

 

「何、その顔?」

 

「サヴィトリ、何か悪いモノ食べた?」

 

 「失礼ね────」

「────ベニオ、サヴィトリ。 少しいいか?」

 

「「え? ……ええええええ?!」」

 

 ベニオとサヴィトリの二人は声をかけてきた方角を見ると、いつの間にか格納庫に居たゼロを見てびっくりする。

 

「ぜ、ゼロ────?!」

「────辛いのはわかる。 しかし、今は悲しむ時ではない。 ベニオ、次の作戦の為に君の無頼弐型をカレンの機体用パーツで強化を施す。」

 

 「えぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

「カレンがいない今、零番隊にかかる負担は大きくなった────」

「────無理ですよ?! 無理無理無理無理無理無理無理の無茶です! あのパーツ、カレンさんでも扱いきれなかったって聞きますし────!」

「────無論、ああならないようにラクシャータと井上、そして君の操縦を見てきたサヴィトリに君が扱える様な調整(リミッター)を施す。」

 

「ゼロ、次の作戦にこの様な処置は必要なのですか?」

 

「(ヒィィィィィ?! サ()トリィィィィ?!)」

 

「ああ。 次の作戦には『時間』が必要だ。 よって一分一秒でも長く戦いを長引かせることが、次の作戦を成功させる絶対条件の一つだ。」

 

「……わかりました。」

 

 サヴィトリの不満そうな顔を見て、ゼロは通りざまにベニオの肩に手を置く。

 

 「すまない────」

「────へ。」

 

 ベニオの耳に届いたゼロからの謝罪のような小声に呆気に取られて固まり、彼女は無数のハテナマークを頭上に浮かべた。

 

 ゼロはそんな様子のベニオに気付かないまま、エレベータに乗り込んでブリッジへと向かう。

 

「(スヴェンのように、上手く行かないものだな────)」

「────残存する全ナイトメアの修理と配置、完了しました。」

 

「そうか。 (だがまだ策はある、それにこれで条件はほぼクリアしている。)」

 

 ブリッジに着き、オペレーターのいちじくの報告にゼロは短くそう答えながら巨大スクリーンに映る光景を見てホッとする。

 

「(天帝八十八陵(てんていはちじゅうはちりょう)……確かにここなら中華連邦の兵士は躊躇するはず。 その上、出入り口は正面の開けた道のみで敵が集結すれば斑鳩のハドロン砲で一掃できる。 退路が無い分、『籠城戦』になるんだろうな。 ディートハルトは蓬莱島の近くまで来ているインド軍区に通信を送って当てにしているが……)」

 

 扇はさっき星刻による反撃時とは違って幾分か落ち着いた様子のゼロを見ながらそう思い、正面のスクリーンに視線を移す。

 

「(果たして、()()()()()でも俺たちに協力してくれるのだろうか?)」

 

 扇たちが見ている先では星刻の神虎を先頭に、彼の部下たちを乗せた鋼髏(ガン・ルゥ)の部隊が後方からいわゆる『督戦隊(とくせんたい)』のような動きをする大宦官の私兵たちによって無理やり前進させられていた。

 

 何の気まぐれか原作に似たような景色が広がっていた。

 

「(確かに、中華連邦内でも派閥があるとは聞いていた。 だが────)」

 

 扇は更に大宦官の部隊の後方に控えているブリタニアの浮遊航空艦であるアヴァロンとモルドレッド、トリスタン、ランスロットを見る。

 

「(────ブリタニアが直接的な介入をしてきた上に、ラウンズまで動いたとなると……インド軍区が静観してもおかしくない。)」

 

「ディートハルト、仕掛けの準備を。」

 

「ここで、ですか?」

 

「ああ。 恐らく大宦官はここで我々共々星刻一派を皆殺しにするだろう。」

 

「ちょ、ちょっと待てゼロ! こっちには天子がいるんだぞ?」

 

()()()だよ、扇。」

 

 ……

 …

 

「大宦官! これはどう言う事だ?!」

 

『星刻よ、我々が貴様の目論む反乱に気付いていないと思うてか?』

『聞けば、高亥(がおはい)を殺したのもお前らしいのぉ?』

 

「ッ。」

 

『今までは良い働きぶりであったが所詮、野良犬は野良犬であっただけの事。』

『飼い主の手を噛もうとする犬の末路に、花を添えようとしているのだ。 感謝してもらいたいものだな。』

 

 星刻は大宦官たちの通信、いつも以上に威圧的な言葉、そしてさらに後方で控えているアヴァロンを見て理解してしまう。

 

「(そうか、私のクーデターをブリタニアから────いや、宰相(シュナイゼル)から聞いたか! 恐らくそれと引き換えにブリタニア軍へ援軍要請を出したというのか?! ここまで愚かだったとは誤算だった! 大宦官たちは、相手がユーロ・ブリタニアとEUの半分を短期間でブリタニアの事実上の領地化させた男と理解しているのか?! だがどうする……背後には大宦官と私兵たちに、人質の香凛、そしてブリタニア……前には黒の騎士団……)」

 

 星刻は操縦桿を握る手に力を入れ、覚悟を決める。

 

「(ならば、前進して黒の騎士団と合流する手しかあるまい! たとえ、敵として撃たれても!) 全機、突撃! 黒の騎士団の砲撃をかいくぐれ!」

 

『『『『『臣遵旨!』』』』』

 

 ……

 …

 

「本当ですか、会長?」

 

『ええ。 結婚式から無事にアヴァロンへニーナが避難させてくれたの。』

 

「皆、会長は無事だって────」

「「「────よかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ/です~!」」」

 

 アッシュフォード学園でミレイの安全を心配していたシャーリーにリヴァル、そしてライラがルルーシュの言葉で安堵し、声をハモらせては緊張の糸が切れたのか三人はテーブルに突っ伏す。

 

「……よかったよ~。」

 

「ほらほら、シャーリーも泣かない。」

 

 しくしくとなくシャーリーにルルーシュがほんわかとしたままハンカチで彼女の涙を拭う。

 

「……ルル、なんか変わったね────」

「────え? そ、そうか────?」

「────本国に戻ってからなんか優しくなったというか……」

 

「兄さん、ちょっとこっちに!」

 

 シャーリーの言葉にどぎまぎし始めたルルーシュをロロが無理やり手を取って部屋の外へと出ていく。

 

「じゃあ、私がアナウンスをするわね────?」

「────ライブラがじま゛ずでず!」

 

「……先にその顔と鼻をどうにかした後にね?」

 

「う゛に゛ゅ~……」

 

 マーヤはニッコリしながらロロたちの出たドアをチラッと見る。

 

「(それにしても、メモで描いていた通りに篠崎咲世子の変装術は凄いわね。 見た目()()ならエルとルルーシュ本人のように見分けがつかないほどに……問題は変装時の性格だけれど、彼女は黒の騎士団側だからここはロロに任せていいかしら?)」

 

 後にマーヤがする上記の考えが原因で大変なことと繋がるのだが、彼女含めて誰も知る由は無いだろう。

 

 

 

「兄さんは、()()()()です。」

 

 ロロは図書室にある隠し扉をルルーシュ(?)と共にくぐってエレベータに乗ると、ルルーシュは仮面を取ると下から咲世子が現れる。

 

「ですが、この振る舞いはエル様を基準にしたモノでルルーシュ様からもお墨付き────」

「────それとさっきのアレは別です。」

 

「はぁ……」

 

「兄さんが優しいのは、気の許している人だけ……基本、『家族』だけなんです。」

 

「ですから先ほどのような振る舞いをしたのですが────」

「────僕が言いたいのは“自重して()()()”という事です。」

 

「畏まりました。 (なるほど、『平等に』でしたら『問題ない』と。)」

 

 

 ……

 …

 

 

「『バーレイ』と『チピング』、高度維持不能! 指示通りに退却していきます!」

 

「天空騎士団のカールレオン級の艦隊にここまで痛手を負わせるとはね……やるねぇ────」

 「────おかしい。」

 

 戦闘配備の号令によりブリッジにオペレーターとしてエリスと場所を交代したトトの被害報告を聞いたノネットの呟きに、シュバルツァー将軍は不満そうに上記を漏らす。

 

「(ん~? 将軍のそれはどういう意味だい? たった一隻でこちらの艦を戦闘続行不可に陥れるのは相当性能の良い艦と、それの能力を十分に引き出せる艦長がそろって初めて出来る芸当だ。 何が不満なんだい?)」

 

「(おかしい……セントラルハレースタジアムで姫様(マリーベル)と同等の操縦技術と遜色ない様な知略を持っていると踏んで初手から畳みかけたが、この手応えは何だ?)」

 

「ん? 将軍────」

「────何かねエニアグラム卿?」

 

「これを敵艦に送れば状況は変わるんじゃないかな?」

 

「……確かに。」

 

 ノネットの端末にアヴァロンから送られてきたこの何気ない行動で、状況は大きく動くこととなる。

 

 ……

 …

 

 ここで突然だがナイトオブトゥエルブの専用機となった『フローレンス』に関しての開発経歴を簡単におさらいをしたいと思う。

 

 元々はユーロ・ブリタニアがスロニムをEUから再奪還時に鹵獲したアレクサンダ・ドローンを献上品としてブリタニアに渡し、それに目を付けたトロモ機関がシュナイゼルの許可で有人機に修理&改造したものをモニカの専用機とした。

 

 原作の『オズ』ではフローレンスが試運転出来る直前に、ピースマークを経由して『ブリタニアの開発している新型機の破壊』の依頼を承ったオルフェウスが潜入した際、近くの町で酒酔っ払って暴れてはストレスのはけ口にブリタニアの軍人がナンバーズに当たり散らしていた場面を見過ごせず介入する彼の姿にオフ(休暇)中だったモニカが興味を持ち、彼と出会うきっかけとなった。

 

 そしてオルフェウスは、彼女のブリタニア帝国らしくない思想を聞いて共感しては興味を持つだけどころか、再会の約束を取り付けた。

 

 世間でいう『デート』であり、SIDE:オルフェウスでもSIDE:オルドリンでも彼がこのような約束を女性に取り付けた例は今回だけである。

 

 恋愛小説に興味がないどころか苦手だったモニカは、彼からの誘いを単純な『お礼』と思っていたがフローレンスの調整と試行錯誤中、次第に彼を無自覚に『異性』として気に入っていたことに気付く。

 

 デート直前、フローレンスの試運転中にモニカはピースマークの『一本角(白炎)』に襲われて見事退けることに成功するが機体を大破させてしまい、モニカ自身も意識がもうろうとするほどの重傷を負ったことで結局デートには間に合わず、同じように重症でも無理やり待ち合わせの場所に来てオルフェウスはギリギリタイムリミットまで待ち続けた。*1

 

 残念な気持ちと共にオルフェウスは洛陽内にある朱銀城を目指し、『シュナイゼルの暗殺依頼』を決行するがその結果彼は『記憶喪失』となってしまう。

 

 対するモニカは目を覚ました直後、オルフェウスと約束した待ち合わせの場所へと赴くが既に彼が去った後という事から残念がりながら、次の機会の為に彼と話し合った『力があれば裕福であり、力による弱者へのいじめや不平等を好まない』と言った信念を貫こうと決意する。

 

 モニカとオルフェウスはその後に何度もニアミスを続けるが終ぞ再会することなく、モニカはスザクが騎乗するランスロット・アルビオンによって亡くなってしまう。

 

 コードギアス特有の、『すれ違いによる悲惨な恋愛』である。

 

 少しだけネタバレをここですると今作では色々と順序や状況が狂ってしまい、上記の様な『ボーイミーツガール』が起きなかった。

 

 シュナイゼルが()()でユーロ・ブリタニアから献上品としてアレクサンダ・ドローンの機体だけでなくガリア・グランデに使われた『大型フロートシステム』、『無人機(ドローン)技術のノウハウ』、『シュロッター鋼』、そして『アフラマズダ』*2を得ていた。

 

 原作では『大型フロートシステム』は後に『ダモクレス』、『シュロッター鋼』は次世代の機体たちに流用され、『アフラマズダ』はナイトオブフォーのドロテアの『パロミデス』として応用された。

 

 だが原作に無かった『無人機(ドローン)技術』はすこぶる(元の機体を考えれば当たり前だが)フローレンスと相性が良く、ソキアのサザーランド・アイと並行してモニカ機には『ドローン制御用OS』が組み込まれていった。

 

 アレクサンダ・ドローンが元々各種性能の安定化&向上と量産化の為にデザインが見直されたアレクサンダType-02を更に簡略化しただけに、モニカのフローレンスを中心にしたドローン部隊が出来上がってしまった。

 

 元々オルフェウスがシュナイゼルの暗殺依頼を拒否したことで彼とモニカが会うきっかけは無くなっているのだが、上記の開発経歴によりフローレンスの試運転時期は大幅にズレているだけでなく機体も運用化も強化されていた。

 

 それが今、彼と毒島が乗っている村正・陽炎タイプを追い詰めていた。

 

 ぶっちゃけると、『スバルの所為(介入)によるバタフライエフェクト』である。

 

 

「これは……果たして『戦い』と呼ぶべきかしら?」

 

 そんなことを知らず、アニメでも見せたパン2〇見え際どいパイロットスーツを身に纏ったモニカはグリンダ騎士団や自分の実戦データを元に戦闘行動が最適化されたフローレンス・ドローンの攻撃を避けながら(近接戦闘装備しかないのか)距離を詰めようとするアンノウン(毒島)の機体をドローンたちの映像越しに見ていた。

 

「(まさかフローレンスの『バード(準ドルイド)システム』の試運転フィールドに、黒の騎士団と思われる機体と遭遇するとは────)」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ウッ。」

 

「(吐くなよ吐くなよ吐くなよ吐くなよ吐くなよ吐くなよ吐くなよ吐くなよ、絶対に吐くなよ?!)」

 

 村正・陽炎タイプの中で毒島が普段出さない声で顔色が悪くなっていくことを察してスバルは必死にポーカーフェイスを維持しながら内心でそう願っていた。

 

「(スバルが『アポロンの馬車』を応用させた『噴射跳躍システム』でも十分にフロートユニットを搭載したKMFに対抗できる。 問題は私の機体と、私自身が得意とする間合いか。 長刀の方が得意だが、こんな状況になるのなら銃系を一丁でも装備してくればよかった。)」

 

 毒島の機体はその瞬発力で、一時的に攻撃が緩んだフローレンス・ドローンのハドロンブラスターにスラッシュハーケンを再度よけ始める。

 

 カァンカカァンン、チリチリチリチリ!

 

「ッ?!」

 

 だが余裕で攻撃をよけきれていた先ほどと違い、今度繰り出される攻撃は更に毒島の機体を当たっていき、ハドロンブラスターのビームは装甲を掠る。

 

「(さっきより明らかに攻撃の精度が上がっている。 それにこの動き方……とても『人』が乗っているとは思えん。 リョウたちの機体データで見た『ドローン(無人機)』とやらならば少々……いや、かなり不味いな。)」

 

 網膜投影システムで外の様子をより実感していることで内心ヒヤッとしながら、毒島はコックピット内を写すカメラ越しにスンと表情を変えないスバルを見る。

 

「(流石にこのこともメモに書いていなかったとなると、予想外の展開か。 それでも思考停止をするのではなく、何か考えている様子だな。 流石だ。)」

 

 さて、毒島は現在スバルの案で村正型の機体用に開発された強化スーツを着用している。

 これには様々な機能が付いているだけでなくパイロットの補助も兼ねていて、今ここで話したいのは『頸部プロテクター』であり、これのおかげで着用者は高機動戦によるむち打ちや揺さぶられる頭部の衝撃が大幅に緩和される。

 

「(グガギギギガガガガガガガ────)」

 

 つまり強化スーツではなく『ネモ』としての衣装を着たスバルはもろに機体の機動の影響に晒され、己の筋肉や毒島と共有しているシートベルトを使ってギリギリ意識を保っていた。

 

 ────ゴリッ。

 

 如何に鍛えていても、人間の頭部を支えている胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋が強靭であっても限度はある。

 

 通常、『人間の首の骨が折れたら即死』と言われているが実はこれには八つのうちどの頸髄が損傷したのかで後遺症は変わってくる。 簡単にまとめると第5から第8頸髄は手足の動き、第2から第4頸髄は主に自発呼吸などの横隔(おうかく)神経がある。

 つまり位置が高い脳髄であればあるほど人体への影響が出てくる。

 

「(??? 何だ、今の音は────?)」

『────所属不明の機体へ、私はナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフスキーです。 先ほど、黒の騎士団のエースである紅蓮のパイロットが機体と共にアヴァロンに連行されました。 武装解除をし、投降すれば────』

 

 全神経を網膜投影によって映し出されている外部の状況に集中していた毒島は文字通りにスバルから出てきた音による疑問からモニカからの通信によって考えが遮られる。

 

 

 


 

 

 ゴリッ。

 

 なに、今の不穏な音は?

 

 あれれ? (スバル)の視界がかな~り斜めになっているぞ?

 何故に────って、首が?! 首が全く動かんぞぉぉぉぉ?!

 フ、どうよ俺の田〇信〇氏風のセリフは?

 

『所属不明の機体へ、私はナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフスキーです────』

 

 って、やっぱりモニカたんだったか。

 

『先ほど、黒の騎士団のエースである紅蓮のパイロットが機体と共にアヴァロンに連行されました────』

 

 なん…………………………だと?

 

 ()()()()……()()()()

 

 『────武装解除をし、投降すれば────』

 

 

 

 

 周りの景色と音が同時にぼやけ、代わりにセミが真夏に出すミーンミーンとして音が聞こえてくる。

 

 大気の匂いも空調とフィルターが効いた物から変わる。

 

 夏独自の蒸した、重苦しい空気。

 そこに混じる汚臭に、焼け焦げた腐臭と放置された死体が出す死臭。

 

 そんな中、ボロボロでところどころ焦げた衣類を身に纏いながらブランケットの様なボロ布を羽織った少女のところどころ腫れた顔と、嫌悪感を露わにした視線と────

 

 『大丈夫って言ったじゃん、この□□□□!』

 

 そうだ。

『首が動かない』?

 

 それがどうしたと言うのだ。

 

 動け。

 動けよ俺の体!

 動けってんだよ、俺の体ぁぁぁぁぁ!!!

 

 ピシッ!

 

 俺ががむしゃらに力むとガラスにひびが入るような音と共に、鼻からドロリと何かが流れ落ちてようやくピクリと体からの手ごたえと、痛みが首と四肢全てに走る。

 

『紅蓮聖天八極式』?

『エナジーウィング』?

 

 知ったことか。

 

 俺は!

 

 あいつを────!

*1
双貌のオズ SIDE:オルフェウスの25を参照

*2
129話より




決して焦って約束をしてはならない。

-マハトマ・ガンジー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。