小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第223話 寝ている間にも世界は動く3

 「「「「「スヴェンが、事故?!」」」」」

 

 「(声がでかすぎるわよ!)」

 

 アッシュフォード学園のクラブハウス内で上記の言葉が響き、久しぶりに復学したアンジュはミレイたちの声に内心ビックリしながら叫び返すことを我慢しながら、この場に居ないマーヤを思い浮かべていた。

 

 というのも、スヴェンの容態を伝えに毒島やレイラやアリスに負けてエリア11に戻ってきたアンジュはマーヤに『学園での出席日数が~』と言われ、今の立場の入れ替わりを提案された。

 

 何ともスヴェンに会うまで新学期早々から不登校気味だったおかげで留年する恐れがあったマーヤと、アマルガムの活動が本格化するまでは律儀にクラスに出席(だけは)していたアンジュの立場が入れ替わったのは『皮肉』というべきか。

 

 そんなアンジュからすれば、『学生である事は今更』というか正直どうでも良かったのだが連絡係の大役を決める際にじゃんけんでアリスに負けた上に他人の言う通りに『ハイそうですか』とすんなり納得することが気に食わなかった。

 

 見事にマーヤに賭け事を煽られ提案されて負けて復学し、補習スケジュールを『なぜこんなにも出席日数が危うい学生が続々と~』と愚痴る教師たちと確認し終えてようやくクラブハウスにいる者たちに(表面上だけでも)スヴェンの欠席理由を伝えに来ていた。

 

 余談ではあるが、色々と察したヴィレッタは過去から体育の成績が良かったことから色々と免除してもらっている。

 

「ええ、それでちょっとの間だけ学園に来れないって伝えに来ただけ。 (まったく……なんでこんなことに……)」

 

「どうしたです、アンジュ先輩?」

 

「ん? ちょっと、補習の話を思い出していただけ。」

 

「そういやアンジュ────って、『アンジュ』でいいよな?」

 

「あー、ハイハイ。 好きに呼んで頂戴リヴァル。」

 

 「なぁライブラ? アンジュ、スゲェ丸くなったと思わないか?」

 「??? アンジュ先輩、太っていないですリヴァル先輩!」

 

そういう意味じゃ……ま、まぁいいや。 それでアンジュはここ最近、どこに居たんだ?」

 

「え? えええええっと────」

「────まぁ、彼女の事だから“自分探し~”辺りとかじゃないかしら? で、スヴェンが相談に乗ったから旅から帰ってきたら事故にあったことを分かったんじゃないかしら?」

 

そうそれそれそれそれ! いや~、私ってばほら? 箱入りだったじゃ~ん────?」

「「「(────『箱入り』ってレベル────?)」」」

「────『せっかくだから旅に出よう』と思って! アッハッハッハ!」

 

 アンジュはミレイの助け舟に乗りかかり、豪快に笑った。

 

「(あれ? そう言えばマーヤも学園に今日は来ていないな? ハッ?! あいつ、もしかしてカレンがいないのをいい事に他の女に手を出していた?! うらやまけしからんッ!)」

 

 リヴァルは割と当たっているようで当たっていないスヴェンの妄想をした。

 

「…………………………」

 

 そんな中、シャーリーはチラチラとルルーシュの方を見ていた。

 

「ん? どうかしたかい、シャーリー?」

 

「へぁ?! う、ううん! なんでもない────!」

「────もしかして疲れた? 肩でも揉もうかい────?」

「────ううん、いいから────!」

「────お腹が空いているなら、軽食でもつくるけど────?」

 「────兄さん、ちょっと良いかな?!」

 

「(ナニアレ。)」

 

 ルルーシュはタジタジになっていくシャーリーからロロにより連れ去られ、これを見たアンジュは内心で呆けながら思わず見ているところをリヴァルに気付かれる。

 

「あー、アレな。 ルルーシュのヤツ、なんか変なモノでも食ったのか急に優しくなるんだよなぁ~。 それに……」

 

「それに?」

 

「……ナンデモナイ。」

 

「(まぁ、今って確か中の人は『自称SP』のあの女だからねぇ~……それでもあの態度はルルーシュ的に『無い』かな?)」

 

「んで、シャーリーもシャーリーで戸惑いながらも満更じゃないんだろ?」

 

「へ?! あ……その……」

 

 カァァァァ。

 

 「う、うん。」

 

「(くわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 甘酸っぱぇぇぇぇぇぇぇ! ……分からないでもないけれど。)」

 

「……」

 

 頬をほんのりと赤らませながらモジモジとするシャーリーを見てホッコリしながらも微笑ましい気持ちになるアンジュの横で、ミレイは学園に帰る途中でようやく未読メッセージが既読に変わったルルーシュからのぶっきらぼうな返信等を思い浮かべていた。

 

 あと別件で、()()()()()()()()についても。

 

「(はぁ~……相手方の立場上もあるし、『断る(ノー)』なんて返せるわけないけれど……どうしよう?)」

 

 ……

 …

 

「ふぅー……(これで一応、『合衆国中華』と亡命政府の『合衆国日本』の体制は整えられた筈だ。)」

 

 蓬莱島にある、『合衆国日本政庁(仮)』に居たルルーシュはようやく終えた事務作業の書類を横にしながらため息を出す。

 

「豪快な溜息だな坊や? ただの書類審査と確認ではないか?」

 

「黙れピザ女。 お前に俺の苦労が分かってたまるか。 というか手伝え。

 

「その気になったらな……それにしても、かなり早いな? 中華連邦が『国』からバラバラの『州』となったというのに。」

 

「星刻とその側近たちが紅巾党の手綱を握っていたおかげで、元々彼のクーデターに応じて大宦官の中華連邦から独立を目論んでいた領土がそのまま合衆国中華になったからな。 と言っても信用できる文官が少ない上にブリタニアとユーロ・ブリタニアの動きが怪しい中、星刻たちはよくやっている……なぁC.C.?」

 

「なんだ?」

 

「お前のそのぬいぐるみ、増えていないか?」

 

 ルルーシュが横目で見たのは最早両手で抱きかかえられる量を超え、手と手を繋ぎ合わせられるような仕組みで輪っか────いわゆる『ハワイアンレイ』ならぬ『チーズ君ファミリーレイ』を抱き枕代わりに寝転がるC.C.の様子だった。

 

「何がだ────?」

「────だからその────」

「────あげんぞ────」

────いらん。 それよりも、星刻の側近(香凛)たちに任せられる筈だ。 合衆国中華と日本が落ち着き次第、俺はエリア11に戻る。」

 

「学園にか? 早いな? 合衆国中華は一応まとまったかに見えるようだが、まだまだ『盤石』と呼べないんじゃないか? それともやはり、合衆国日本をバックに付けるのか?」

 

「今まで好き勝手にやってきた州の反抗勢力の事ならばどうとでもなる。 軍を境界線に張り藤堂や星刻に任せれば、戦闘行為など必要なく交渉だけで調略できるだろう。」

 

「もしかして民衆たちが立ち上がった時にお前が言った『思いは力』を利用するのか?」

 

「まぁな。 きっかけが無ければ行動をしない民衆たちなぞ、常に『指導』を心の奥底で求めている奴ばかりだからな。 それが『人』であっても『隣国』であっても、『天子や星刻がいる』ということだけでも民衆はなびくだろう。」

 

「成長したな? ……これであのシャーリーとかいう女もとうとう報われるというわけか。」

 

「??? なぜそこでシャーリーの名がお前の口から出てくる?」

 

「……」

 

 冗談無しにハテナマークを浮かべながら不思議に思うルルーシュの顔を見たC.C.は特大の『マジかこいつ?』のジト目になる。

 

「はぁ~。 前言撤回、お前はやっぱり何も成長しちゃいなかったよ。」

 

「(時々こいつ(C.C.)が何を言っているのか分からんが、まぁいいだろう。) それよりもC.C.、嚮団に関する情報が手に入れば連絡しろ。」

 

「まだ嚮団を探すつもりだったのか?」

 

「当たり前だ。 皇帝側にギアス能力者を生み出せる組織がある限り、対ギアス能力者も踏まえた作戦をし続けるのにも限度がある。 それが無くとも、奴には『ブリタニア』という軍事国家(アドバンテージ)がある。 強大な敵を部分的に切り崩すのは常識だ。」

 

「だがギアス嚮団の拠点は周到に秘匿され、嚮主の指示一つで本拠地を移動できる。」

 

「しかし現嚮団員のロロ、そしてピースマークのオルフェウスも『中華連邦のどこかにある』と確信している。 それだけでもかなり捜索範囲は絞り込められた。」

 

「と言っても、ここの土地の範囲は広大。 どうやって探す?」

 

「一応オルフェウスを泳がし、奴の動きを見る……と言っても、俺の探し方とあまり変わらない様子だがな。」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。 人と物資の流通、電力の流れに、通信記録を読み取っている。 かなりのやり手だ。」

 

 

 ……

 …

 

 

「……」

 

 ディートハルトは難しい顔をしながら読み終えた資料をテーブルの上に置くと肘をテーブルに着き、手で顎を支える。

 

 資料には『スバル』に関しての行動や判明している情報に、ディートハルト自らが築き上げた情報網で『スバル』らしき者と出会った人たちの証言などが書かれていた。

 

 そしてそれらを一つにまとめた、ディートハルトは『スバル』という人物の行動原理を理解しようとしていた。

 

『人間』という生き物は、周りの環境や育った社会に世界の価値観によって影響される為にたいていの場合はその人物の周りをある程度調査し終えれば自ずと行動原理や思想などの予測ができる。

 

 現に原作でもルルーシュにシュナイゼルや、『亡国のアキト』のスマイラスやシンもこの様な洞察力を用いて他人や部下たちの心境を誘導したり、大衆の誘導などをしている。

 

 そして人間は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、これはコードギアスでも現在でも変わらない()()()()である。

 

「(だというのに、この『スバル』とやらの行動は不明な点が多すぎる……『扇要』がレジスタンスの指揮を執る前、『紅月ナオト』が後にレジスタンスとなるグループの立ち上げから身を置いているが目立った功績は見当たらない。 せいぜいが、『手先が器用で整備士の真似事が出来る』と言ったところ。

 ゼロが初めて指示を行ったシンジュク事変では姿を消しながら扇要の指示による別行動で、シンジュクゲットーからイレヴンたちを事前に逃がしている。 そしてゼロが初めて姿を現し、動じるどころか平然としていたことから扇要の推薦により、クロヴィス殿下殺人未遂の()()オレンジ事件に参加……

 次に黒の騎士団宣言時の河口湖で起きたホテルジャック事件は不参加……にも関わらず、その後も黒の騎士団の整備班の一員として活動し、実質紅月カレンのグラスゴーの整備士に収まる……だが────)」

 

 ディートハルトは横目で、とあるゴテゴテで通常より一回り大きい『槍』の様なものが映されている写真を見る

 

「(────リフレイン事件にて、()()()人質を取ったナイトポリスを沈黙化させるという所業を成し遂げ、彼の戦力として評価が上がると共にゼロからの警戒も上がり、結果的に接近戦用のパイルバンカーが開発された。 使用者の技量が試されるが、使いこなせば敵機の誘爆も少ない上に周りへの被害も最小限に抑えれる兵装……この件から、ブリタニア兵士の連続殺人も始まったな、そう言えば……関係があるのか?)」

 

 ナリタ連山と、ナリタ市の写真、そして紅蓮に似た機体の写真にディートハルトは視線を移す。

 

「(そして日本解放戦線を囮に行われたナリタ事変。 別動隊と称してゼロはスバルをナリタ市に配置し、『未確認機と交戦している』という通信を送って生還……)」

 

 彼は更に資料を見直していく。

 

『キョウトとは別に行動し始める桐原泰三。』

『日本解放戦線がヨコスカ港区にて逃げ出した際の乱戦にて姿を消す。』

『のちに黒の騎士団と合流した藤堂と知りあいの様子。』

『式根島で枢木スザク捕獲作戦の予備戦力として神根島にて待機、何らかの理由で飛ばされたゼロと紅月カレンを神根島の捜索中だったブリタニア軍から逃がす手伝いを行う。』

『フクオカ事変では片瀬少将を紅蓮と共に追い、それなりの技量を見せて複数の無頼改などを無頼で撃破。』

 

 そして、黒の騎士団にとって『黒歴史』とも呼べるブラックリベリオン。

 

「(ここだ。 ここから彼は雇われの身────()()()()としての手腕を見せ始めている。 ブラックリベリオンでゼロが事情により突如として姿を消し、欲望と我欲のまま暴徒化した者たちの見切りを黒の騎士団員たちに付けさせ、残存戦力の誘導を桐原の孫と共に開始し、桐原自身が蓬莱島を受け皿として中華連邦と交渉……後にEUからの難民や兵士、ユーロ・ブリタニアからも亡命者が来訪。

 ()()()()で、人工島の開拓を進めた……更に時間が経過し、ウィルバーとサリア・ミルビル博士にマリエルとレナルド・ラビエ博士たちが着き、ラクシャータと共に様々な技術開発に携わる……後にサルベージしたガウェインの解析に解体をし、斑鳩と蜃気楼……そして黒の騎士団の傘下に無い、あの例の部隊専用の航空浮遊艦が建造されたと言う事か。)」

 

 ギシッ。

 

 ディートハルトは背もたれに身を預け、椅子が軋む音だけが室内に響く。

 

「(そして先の『天子強奪計画』は、ブリタニアが突然仕掛けてきた電光石火の策だというのに、動じるどころか()()()()()()()()()()()()()()()()()()で紅月カレンの奪還を大勢の前で成し遂げている……)」

 

 ギシッ。

 

 またも椅子が軋み、ディートハルトは頬杖で頭を支える。

 

「(極めつけはラクシャータの血液検査だ。 ()()が本物で、本人に自覚があると仮定し、今までの行動がワザと意味不明な『自身にメリットのない行動』や『他人の為に自身をなげうつ』動きがこの為の布石だとすれば……黒の騎士団は……ゼロは……)」

 

 ……

 …

 

「はぁ~……」

 

「どうしたの、サヴィトリ?」

 

「……ベニオは気楽でいいわよね?」

 

「うん?」

 

「だってさ、考えられる? 単機でブリタニアに特攻かけて、ラウンズをあしらって、()()ブリタニア帝国宰相から紅蓮とカレンさんをもぎ取るなんて……普通、無理でしょ?」

 

 蓬莱島でディートハルトが自分の部屋の中で悶々と考え事をしている間、サヴィトリとベニオはカレンが目を覚ましたことと、井上が彼女にアマルガム側(スバルたち)の話をして未だに夢を見聞きしているかのような感じだった。

 

「う~ん……そうかな? 逆だったら、カレンさんも出来ちゃう気がする。 こう、『バビューン!』とか『ドカーン!』とか『ガオー!』って感じで。」

 

 「何その絶妙な語彙力低下は?」

 

「う~ん……フィーリング?」

 

「……そう言う物なの?」

 

「きっとそうだよ!」

 

「(……パイルバンカー、衝撃吸収能力が高くてコストの抑えにも効く装甲(アーマー)、廃れたと思っていた火薬式の兵装にまさかフロートシステムに頼らない大気圏離脱式超長距離輸送機の小型化に成功した物と燃料エンジンのハイブリッド、KMFに似て全く違う人型兵器にファクトスフィアの簡略化、より人馬一体化を追求したヒューマンマシンインターフェイス、そしてパイロットの生命維持と動体視力強化を追及したスーツにその他もろもろ……まっっっっっっっっっっっっっっっっっったくもって非常識もほどがあるのに、最後は一心不乱にカレンさんを助けるなんて……)」

 

「サヴィトリー? そんなにしわを寄せたら余計に老け顔になるよ~?」

 

 「誰のせいだと思っているのよ。」

 

 ガチャ。

 

「あら、そんなにカリカリしてはだめよ? ビッグモナカ、食べる?」

 

 パァァァァ。

 

「え、あるの────じゃなくてノックも無しに入ってきた貴方は誰ですか。

 

 サヴィトリは一瞬だけ嬉しそうになるがノックも無しにショッピングバッグを見せながら部屋に入ってくる私服姿のマーヤを威嚇にびっくりする。

 

「えっと……鍵、かけていたよね私?」

 

「ええ。 ノックするのも悪いかと思ってピッキングしましたけれど何か?」

 

「「(何こいつ。)」」

 

「ああ、ごめんなさい。 貴方たちからすれば“初めまして”になるわね。 私はアマルガム所属のマーヤ・ガーフィールド。 少し、お話を聞いてもいいかしら?」

 

 

 ……

 …

 

 

「ふあっくち!」

 

 旧中華連邦となった領土内のどこかにある、ギアス嚮団の拠点で『ネリス』と名乗っているコーネリアはくしゃみをする。

 

「大丈夫ですか、姫様?」

 

「ズズ……遺跡だけに、ほこりの所為か鼻がな? ()()()はどうだ?」

 

「順調の様ですな……果たしてそう呼ぶべきかどうか、何度見ても怪しいですが。」

 

 コーネリアとダールトンは遺跡の様な場所の中に近代的な電子機器などが設置された、研究所らしい見た目に改造された場所を歩く。

 

 周りには白衣を着た者たちやブリタニア正規軍とは違う装備をした者たちの亡骸があり、二人が行きついたのは一つのサーバールームの様な場所だった。

 

 カタ、カタカタ、カタカタカタ。

 

「フッ……グッ……」

 

 中からは指がキーボードをたたく音に、くぐもった声が聞こえてくる。

 

「遅いなぁ……『もっと早く作業』できないの~?」

 

 カタ、カタカタ、カタカタカタ。

 

「お、お前たち……ギアス嚮団を裏切って逃げていると思えば……こんなことを……」

 

 コーネリアたちが見たのは、近くに立っていたクララに対して上記の問いを口でしながら必死にパソコンを操る研究者らしき男と、その様子を黙りながら見ていたオルフェウスたちだった。

 

「はぁ~……ねぇお兄ちゃ~ん? 次にこいつが不愉快な事言ったらお仕置きしていい~?」

 

「……好きにしろクララ。 だけど殺すなよ?」

 

「大丈夫、だいじょう~ぶ! 尋問なら任して!♡」

 

「本当に、ギアス嚮団の本拠地を探しているとはな……助っ人がいるようだが、無事でいられると思っているのかお前ら────?」

「────そう思っているから、貴方を生かしておいてこうやって探っているんじゃない♪ お? あったあった────♪」

 

 ────ヒュン、ザク!

 

 クララは近くの救急箱の中からハサミを取り出すと研究者の左腕を掴み、テーブルに左手を押し付けながら手に持っていたハサミを振り下ろすと研究者の小指と薬指が半分になる。

 

あっ?! あげぁ?! あがぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛────?!

「────うんうん、『作業に戻ろう』ねぇ~? 次は中指と人差し指だよ? 何なら右手と右目だけになる────?」

────おおおおおおお前! お前も知っている筈だ! 逃げ続けるならともかく、嚮団に歯向か────?!

「────今考えたら、口もいらないよね────?」

「────へぁ、ちょっと待ってく────!」

「────『動かないで』ねぇ~?」

 

 バチン、バチン、バチンバチンバチンバチンバチン!

 

 「むぐおぉぉぉぉぉぉぉ?!」

 

 クララが次に取り出したのは医療用のステープラーで、彼女は躊躇なく研究者の口を縫い付ける。

 

「ほらほら♪ 早く言われたとおりに作業しないとどんどんいくよ~?♪ アッハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

 「止めなくて、良いのか?」

 「……いや?」

 

 クララがウキウキに行使する過激(?)な拷問にダールトンは小声でオルフェウスに話しかけると彼は小声かつ淡泊に答える。

 

 「彼女は、先があまり長くないかも知れないからな。 俺はできるだけ、彼女の行動を大目に見るようにしている。」

 

「オズ、それは一体どういう────?」

「────すまんネリス。 これ以上は、俺の口から言うべきことではない。」

 

 オルフェウスはそう言いながら、常に頭に巻き付けているミサンガの様な物────最愛の人の形見であるエウリアの遺髪で編んだ髪紐にそっと触れる。

 

「(エウリア、もう少しだけ待ってくれ……俺は必ず、命を懸けてもV.V.と嚮団を……そうしたら、俺も……君の元に……)」




きょうも ぎあすきょうだんたんさくぐみは げんきです!
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