小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせいたしました、次話です!
楽しんで頂ければ幸いです! m(_ _)m


第224話 懐かしきエリア11にて予兆(?)

 キィン! パシッ!

 

 金属音が鳴り、手の甲が叩かれる音がする。

 

「「「表!」」」

 

「ふむ。」

 

 そしてカレンとマーヤにレイラが同時に声を出し、コインを投げたと思われる毒島が顔を崩さないようにする。

 

 「なんだ、あれ?」

 「う~ん……スバルの看病役決めの延長?」

「ハァ?! あんな陰険野郎の?! 何てうらやま────ぐが?!」

 

 蓬莱島にて、杉山の問いに井上が答えると玉城の素っ頓狂な抗議が上がりそうになったところで井上のアイアンクローが彼を無理やり黙らせる。

 

 「どういう意味だ井上?」

 

「うん。 実はラクシャータさんから“大勢で駆け込むのは感心しないから自重しな”って言われたらしく、最初はじゃんけんで決めようとカレンが言い出してマーヤが賛成して他の子たちが猛反対したんだって。」

 

「それがどうしてコイン投げになる?」

 「ぐげげげげ。」

 

「どうやらマーヤちゃん、じゃんけんだと無敵なんだって。 で、試しにカレンとしだしたらエンドレスになっちゃって……ちなみにこれは毒島とレイラちゃんに聞いたのだけれど……どうやらあの二人、手を振り下ろす瞬間に相手が出すものを察して対応しているみたい。

 

「は?」

 「あがががが。」

 

「ほら、よく考えたらグー以外の手を出そうとすると手が開くじゃない? だからグーの場合はパーを出してチョキかパーか分からない場合はチョキを出せば最悪相打ち、良くて勝ちになるって寸法。」

 

「つまり……相手の拳を見て? それに対応していると?」

 「……」

 

「ええ、まぁ……そう言う事になるわね。 で、それだと勝負がつかないからコイン投げになったのだけれどそこでもカレン達はコインが表か裏か落ちてくるのを見ているし……多分レイラ辺りは計算とかしているんじゃない? で、結局()()()誰が一番早くコイン投げの結果を当てられるか競争しているみたい。」

 

なんだその動体視力と才能の無駄遣いは。 って、“今日も”? まさか、あれからずっとか?」

 「ブクブクブクブク……」

 

「そうね。 あの孤児たちが中心になって世話をしているけれど、やっぱり子供だけだと大変みたい。」

 

「孤児たち?」

 

「あ。 あー……中華連邦で保護した子供たちらしいわ。」

 

「……井上はアレに参加したくないのか?」

 

「いやいやいや無理でしょ! 参加しても負けるだけだし。」

 

 杉山の質問に井上は苦笑いを浮かべ、二人は未だに続くアイアンクローの所為で白目になり気を失った玉城を背景景色の一部────ゲフンゲフン、忘れていたそうな。

 

 「よっしゃー!」

 

 数分後、カレンの勝ち誇るような声が出る。

 

「(勝ったどー! 前の時みたいに離れていたり、黒の騎士団案件や事情聴取とかでバタバタしていたけれど今度こそ────!)」

「────そういえばカレンは彼の看病をしたことあるか?」

 

「んぇ? なんで?」

 

 毒島の問いにカレンはハテナマークを浮かべ、さっきまで気落ちしていた様子のマーヤが反応する。

 

「あら、大丈夫かしら? 彼、身動きできないのよ?」

 

「うん、それで?」

 

「えっと……ということはですね、カレンさん? ……~~~~ッ! しょ、少々耳を貸していただけないかしら?」

 

「うん?」

 

 どこかぎこちなくなり、段々と赤くなっていくレイラが小声でカレンに耳打ちするとカレンも徐々に赤くなっていく。

 

 「し、し、し、し、下の世w────むぎゅ?!」

 

「し、シィィィィィ! カレンさん、声が大きいです!」

 

 素っ頓狂な声を出し始めるカレンは自分の口を両手で塞ぐ。

 

「(そ、そ、そ、そういえばそうだった! 『身動きできない』ってことは当然『そう言う事』も一人で出来ないワケでででデででデでデデデ! え、え、ええええええええええええええええ?!)」

 

 ゆでだこ状態になりつつカレンの目はグルグルとしだし、妄想がドンドンとはかど────

 

「────あれ? ねぇ? それだと前回と前々回はその……どうしていたの?」

 

 カレンはふと思った疑問を口にするとそこに居る者たち全員の目が泳ぐ。

 

 マーヤ以外。

 

「あら? 今日みたいにじゃんけんで当番制にしたわよ? でも流石に下の世話は自主的な者たちだけで────」

「────え。 ちょっと待って。」

 

「??? 何かしら?」

 

()()()ってどういう意味。」

 

「そのままのことだけれど? ああ、『着替え』は結構人気があったわね。 でも今だとあの子たちもいるから随分とやりやすく────」

 「────は?」

 

 ガシッ。

 

 「ソノハナシ、クワシク。」

 

 カレンの目からハイライトが消え、彼女は力強くマーヤの肩を両手で掴んだ。

 

 

 


 

 

 目が覚めたら病室だった。

 

 え? 『意外と普通な反応だ』って?

 いやもう……この一年間の間に何回もこのように目を覚めたら慣れるがな。

 

『目が覚めたら病室だった』といっても、髪が伸びすぎて右目がチクチクするけどな。

 

 そういや最後に髪を切ったのって、(セルフカットだが)ヴァイスボルフ城以来か?

 

 グゥ~。

 

 腹減ったな……栄養は点滴だけで足りるが、腹は────

 

 ────ガチャ。

 

「ぅ。」

「?」

 

 てってけ、てってけ、てってけ。

 

 考えているとドアが開き、エデンバイタル教団から保護した子の二人が一瞬起きた俺を見てビックリしてから歩いてくる。

 

 手に持っているモノを見ると、多分寝込んだ俺の世話と着替えだろう。

 

 それにしてもこの二人……顔つきも体つきも徐々にだが頭に追いついて来たな。

 あの時に見た、頭のサイズに対して細すぎる体に粗末な服、そして生気の抜けた表情と目。

 

 今でも考えるだけで無性な怒りが沸き上がってきて、それを何かにぶつけたくなる衝動が……

 

「ぁいじょぅぶ?」

 

 っと、いつの間にか考え込んで────「────え?」

 

 ちょっと待て今、喋ったよな?

 不慣れの様子だけれど……声を出したよな?

 

 ふぉぉぉぉぉぉぉぉ

 

 む、胸が……

 感動で思わず天を仰ぎたく────アイテテテテテ!

 

 腕を上げようとしたら痛い!

 時間差で感じ始めたけれど体中が痛い!

 

『ブラックリベリオンかエデンバイタル教団直後のどっち?』って聞かれたら『取り敢えず痛い!』って言い返したくなる!

 

「あぅ。」

 

 ぐぬぬぬぬ!

 気張れ俺!

 痛がったりしたらこいつらを怖がらせてしまう!

 痛覚、邪魔だ!

 

「元気に、していたか?」

 

 コクコク。

 

「そうか。」

 

 ナデナデナデナデナデ。

 

「ぅ~。」

「……」

 

 そう思いながらもう一度よく見ると、二人が持ってきた物の中にラビエ親子たちに随分前に依頼していた強化スーツ(男版)があるではないか!

 

 よし、俺とこの二人の分含めてお粥……はちょっと味気ないから、甘めのパン粥でも作るか。

 

 というわけでリハビリがてら病衣を脱いで強化スーツに着替えて試運転としてキッチンに行くか。

 

 ヌギヌギヌギヌギ。

 

「まて。 なんでお前たちもここに残って手伝う?」

 

「「???」」

 

 いやそんな顔で見ても逆に俺が困るのだが?

 俺一人で、着替えぐらい────イデデデデデデデデデデ!

 

 無理!

 筋肉痛がガガがガガガがががががががが

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 う~ん、モチモチとしたパンを蜂蜜牛乳に浸したパン粥が美味い!

 

 モシャ、モシャ、モシャ、モシャ。

 

「美味いか?」

 

 コクコクコクコクコク。

 

 うむ、ワイも満足である。

 流動食だけれど(多分)長い間何も口にしていない(多分)からお腹にきつくないかつ栄養たっぷりなモノを作ってみた。

 

 強化スーツの評価だが、さすが『反攻のスザク』でセシルキャラの代わりを務めたマリエルにロイドの元上司であるレナルドのラビエ親子たちというしかない。

 

 元々体が不自由な人たちが普通の生活を送れるようにと開発していただけに、まるで皮膚の上から外骨格……敢えて言うのならパワードスーツが脳波を察して動きの補助をしている。

 

 良かった、BRSの相性テストで『測定不能』と出た俺でも使えると言う事は使える人たちの範囲は大きい。

 

 多分。

 

 こりゃ、特許を取れば全部終わってからバカ売れするな。

 

 あ。 あとでラクシャータにエルと、ロロの血液検査結果の事を話さなくちゃな。

 

 しかし……考えが甘かったな。

 紅蓮も黒の騎士団もパワーアップさせるために俺も一期あたりから散々、機体の魔改造やコードギアス以外のネタ等を出して『これでカレンの捕縛フラグは無くなった』と安心していた。

 

 慢心だ。

 

 いままで『コードギアス』の大まかな流れが続いているのに、何故カレンの捕虜フラグも折れたと思ったのだろう俺は。

 

 現に、ブラックリベリオンも起きた。

 偽物のユーフェミアもゼロに殺されて、その所為でスザクとは対立した。

 外伝やSSもあるが、原作通り……

 原作も、大体の細かい部分などは違うが。

 

 その中で一番違うのは、紅蓮がロイドたちの手に渡っていないことだ。

 つまり、『トウキョウ決戦でカレンを咲世子たちが助け出してパワーアップされた紅蓮聖天八極式が無くなった=トウキョウ決戦で紅蓮聖天八極式が活躍するフラグが無くなった=エナジーウィングの技術が黒の騎士団側に流れてこなくなった』。

 

 明らかに、不利だ。

 

 ドサッ。

 

「ん?」

 

 食べながら考えているとキッチンから通路へと繋がるドアから何かが落ちる音が出て、見上げるとポカンとするカレンが立っていた。

 

「カレン?」

 

 彼女の足元には着替えとかが────

 

 ────タッタッタッタッタ! ドシッ!

 

 「ぐぇ。」

 

 突然カレンが走り出したと思うと、自分の首に何かが圧し掛かってきた感覚に目を白黒させながら潰れたカエルの様な声が圧迫感によって口から出てしまう。

 

 ぐ、ぐるじぃぃぃぃ

 

 ドサッ。

 

 すかさずパン粥を近くのテーブルに置くと、そのまま飛び込みハグをお見舞いしてきたカレンを支え切られずに押し倒される。

 

「グハッ……か、カレン────」

「────よかった……よかった!」

 

 とても切ない声で、俺を抱擁しながらカレンは何度もただ“よかった”と口にする。

 

「俺も……カレンが無事で良かった。」

 

 自然と上記を口にすると同時に、俺は真横にあるカレンの頭をただ優しくなでる。

 その……変な意味とか無しでうまく表現できないが、彼女の体の重みによって俺の体は悲鳴をあげる。

 だが、それと同じくらいに心地いいと感じている。

 

 「もう、ばかぁぁぁあぁぁ……」

 

 カレンのその言葉と消え入りそうな声で、さっきまで感じていた不安や痛みや暗い気持ちが全て吹き飛ぶ。

 

「グスン……一人で無茶しちゃって、どれだけわ……皆が、心配したと思っているの……」

 

「そんなつもりは、無かった────」

「────知っているよぉぉぉぉぉもう~……グスン。」

 

 グリグリグリグリグリグリ。

 

 イデデデデデデデデデデデデデデデ!!!

 

 頭! 頭を?! 頭を擦らないで?!

 痛いから~!!!

 

「あれから、何日経った?」

 

「グスン……まるまる二週間。」

 

 Oh。

 それはちょっと色々とマズいな。

 

「そうか、ル────ゼロはどこに居る? エリア11に戻ったか?」

 

「ううん……でも近いうちに戻るって言ってた……」

 

 よし良かった。

 

「俺も、気になることがあるからもd────」

「────やだ。」

 

 『やだ』って、子供かお前は。

 

「罰として、このまま頭撫でて。」

 

「……ああ、分かった。」

 

 ナデナデナデナデナデナデナデ。

 

 カレンの頭がすぐ横にある所為で、彼女の表情は見えない。

 

 でも不思議と『どんな顔をしているのだろう?』と思うより、ただこうして幼馴染を安心させたい衝動が込み上げてくる。

 

 優しくて、周りをよく見ていてその都度表面上の態度を改めたり時には敢えて自分が被害者になって気遣いをしたり、実は努力家だけれど決して周りに悟られないように隠そうとするし、家族や友人や親しい人に誠実な、ただの普通の女の子だからな────

 

 ────きゅぅぅぅくるるる。

 

 今の、俺の腹じゃない。

 と、言う事はカレンか。

 

「パン粥、食べるか?」

「ハンバーグが食べたい。」

「流石にカレーやシチューの作り置きは無いぞ?」

「じゃあ目玉焼き乗せでいい。」

「半熟?」

「後たっぷりチーズ入れて。 中からとろけるヤツ。*1

「ウスターソースもか?」

「うん。」

 

 ……よし。 少し早いが、カレンや孤児たちにも手伝ってもらえば早く出来上がるだろ。

 

 そして今夜の献立はカレーかシチュー付きハンバーグ(チーズ入りに半熟卵乗せ)で決まりだ。

 

 

 


 

 

 トウキョウ租界のはずれにある、クロヴィスシーライフパークは名の通りクロヴィスがエリア11の経済対策の一環として新しく建てられた水族館である。

 

 規模だけで言えばトウキョウ租界の中でも一二を争うほどのサイズであり、予定ではイルカの群れでショーを容易に開けるほどの大きさ。

 

 そして搬入の為に海に直接繫がっているトンネルもそれなりのサイズ。

 

 つまり水中を進める、通常サイズのKMFにとって人目を盗める格好の出入り口となる。

 

 ザパァン!

 

 例えばガウェイン(7メートル)からサイズダウンした蜃気楼(4.7メートル)など。

 

「おかえりなさいませ、ルルーシュさま。」

 

 蜃気楼のコックピットハッチが開くと、ルルーシュの影武者として活動している咲世子が彼を迎えた。

 

「咲世子か。 報告は読んでいたが、直接会うのは人工島……蓬莱島以来だな。」

 

「はい……密入国ルートはどうですか?」

 

「悪くない。 指定されたこの場所が、機密情報局の所有物と聞いたときは驚いたが……こうして君が堂々と来ていると言う事は、問題なかったのだな?」

 

「はい。 この建物の出入り口、土地に周辺の海を先程チェックしましたが問題ございませんでした。 ですので、ルルーシュ様の出入りに的確かと思われます。」

 

「そうか……ロロはどうした?」

 

「ロロ様はお疲れの様子でしたので、私が一人で来ました。」

 

「???」

 

 ルルーシュは蜃気楼から出ながら、ハテナマークを浮かべる。

 

「(疲れる? アイツが? てっきり俺が来るから、死んでも迎えに来ると思っていたが……) 何か、学園で変わったこととか無いか?」

 

「はい。 実はナイトオブスリーのジノ・ヴァインベルグ、並びにナイトオブシックスのアーニャ・アールストレハイムが臨時入学されました。」

 

「な、何ィィィィ?! (は?)」

 

 ルルーシュは思わず滑りそうになるが反射神経となけなしの筋肉で体勢を立ち直させる。

 

「待て、何時だ? 何時、学園に?」

 

「今朝です。 アッシュフォード家も二人が学園についてから知らされたので報告が遅れて申し訳ありません。」

 

「そ、そうか。 (スザク……ランスロットがエリア11に居るというだけでも厄介だというのに、トリスタンやモルドレッドまでもがここに……しかも、学園に学生として来るだと? 意味が分からん! ゼロである俺と学園をリンクする証拠は何もない筈……しかし、これで何故ロロが疲れているのかが見当がついた。)」

 

 ……

 …

 

 ヒュン!

 

 ルルーシュがエリア11に海路から密入国し、咲世子と共にアッシュフォード学園に戻っている頃とほぼ同時刻、旧地下鉄の中を『見えない何か』が通る音と一緒に風によってほこりや土がそのあとに撒き上がる。

 

 フォン。

 

 旧地下鉄内を、ほんのりと緑色の光を放つ発光塗料の目印を目安にその『見えない何か』は殆ど無音のまま進んでいき『とある場所』まで飛ぶと空中で止まる。

 

 ヴン、プシュー。

 

 お腹に来るような電子音に、気圧的な何かが排出される音と共に地面に降り立った戦闘機形態であるビルキースが姿を現す。

 

 ガコォン。

 

「すまんなアンジュ、お前の専用機を足代わりにして。」

 

「フフン、『一つ貸し』ってことでいいわ!」

 

 中からスヴェンと誇らしげなアンジュが出てくる。

 

「そもそも『貸し』と言っても貴方の機体が光学迷彩の取り付けにもサイズ的にも適合していただけでしょう?」

 

 相変わらず辛辣なマーヤも時間差でビルキース内から出てくる。

 

「細かい事は良いのよ! ……んじゃ、また学園でね────?」

「────隠し場所は分かっているのでしょうねアンジュ────?」

「────階層構造────!」

「────光学迷彩も完全ではないのよ────?」

「────つけっぱなしにしないわよ────」

「(────何だこれ。)」

 

 辛辣ながらもどこか『ウザ~』と感じていそうなアンジュに確認を取るマーヤのやり取りはどこか以前のスタジアムで見せた様な『委員長と不良』と呼ぶより、『長女と次女』のような雰囲気だった。

 

「(まぁ、さらに以前と比べれば雲泥の差なんだが。)」

 

 

「分かった────?」

「────まるで姉妹だな────」

「────うっさいわよエル?! 徒歩で歩きたいの?!」

 

 ヴォン!

 

「(律儀。)」

 

 スヴェンはそのまま背景景色とほぼ同化したように消えながら飛び去るビルキース内でイラつき先をマーヤから同乗していたエルに向ける様をマーヤと共に見送る。

 

「フゥ……では、行きましょうか?」

 

「(ん?)」

 

「??? シュタットフェルト家に戻らないの?」

 

 「(何故に当たり前のように『じゃあ帰りましょうか?』な勢いでニッコリとするの。)」

 

「あ、私は『貴方の見舞い』という体でアンジュと交代で出入りしているから。」

 

 「(俺、やっぱりこの子が怖いでヤンス。)」

 

 「それともご自身の状況の把握が先かしら?」

 

「(“ご自身の状況の把握”とはなんぞや?)」

 

「貴方の事は『交通事故にあった』と言うことで休学届をシュタットフェルト家が出しているわ。」

 

「………………………………………………………………そうか。 (お・れ・の・く・ち・へ・たぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」

 

 ……

 …

 

 ドカッ!

 

 ルルーシュは咲世子と共に学園のクラブハウス……ではなく、人払いをされた機密情報局の地下アジトの椅子にゲッソリとした様子で重力任せに座る。

 

「(まったく……咲世子からナイトオブラウンズが入学したと聞いて心構えはしたが、まさか生徒会にまで入り込むとは厄介極まりない……しかし何なのだあの男は?! 本当に名門貴族出身のナイトオブラウンズか?!)」

 

 ルルーシュが腕を組みながら悶々と考えだすのはジノの事だった。

 

「(ラウンズと言えば『ブリタニア帝国でも屈指の実力者』、つまりは『認められている強者』。 その上『名門貴族』とくれば……だがあの男の振る舞いは何だ?! 自由奔放すぎる上に貴族としての意識自体が低いどころかまるで口癖のように『庶民~』とすべてを物珍しそうに見聞きしながら、慣れていない所為か『庶民の出』の設定である俺の事も“年上だからランペルージ卿でいいだろ?”なんて……ある意味、スザク以上に扱いにくい!)」

 

 実のところ、臨時入学したジノの世話をルルーシュは半ば巻き込まれ気味にしていたことで一日中動き回っていた所為で疲れていた。

 

「フ、だがよかったな? 代わりとなったロロに労う言葉をかけるのはどうだ?」

 

 ちなみにそれまでジノに引きずり回されていたロロが疲れていたのもジノたちの所為であり、嫌味が含まれたエルの言葉に対してルルーシュは聞こえないふりをする。

 

「(まったく、何が“社会的立場は学校では無視してくれたまえ”だ! 何が“人生の先輩”だ?! 俺はまだ18だぞ! 誰かの世話をするのはナナリーだけだ!) ハァァァァァァ……もしやこれがスヴェンの感じていたことか。

 

「ルルーシュ様?」

 

「ああいや。 今のは忘れてくれ……詳細が書かれた報告書を────って何だ、その憐れむような目はヴィレッタ?」

 

 ルルーシュは(スヴェンの名を使って)機密情報局権限でジノとアーニャの情報を探るように頼んでいたヴィレッタの視線に気付く。

 

 余談だがスヴェンは全くそのようなことを頼んでいないことを追加する、つまりはルルーシュの独断である。

 

「いや……それを読めば分かると思うぞ。」

 

「(??? 報告書を読めば分か────)────↑ひょ?! な、なんだこれは?!」

 

「スケジュール帳です、ルルーシュ様────」

────そんなことは見れば分かる! だ、だが……これは……これは何だ咲世子?!」

 

 ルルーシュがギョッとして見上げたのは以下の様な物が書かれた報告書だった:

 午前:

 7:00、マリー(高等部)と手作り弁当の朝食デート

 9:00、ジゼル(高等部)とクロヴィス美術ギャラリーのデート

 10:30、アリス(教師)とモールデート

 12:00、ドーナ(教師)と水族館の視察と称したデート

 12:45、水族館から蜃気楼で移動

 13:30、ゼロとして上海で合衆国中華とインドの貿易の交渉に立ち会う

 14:30、エリア11の水族館でモナ(中等部)とイルカショーデート

 

 等々(エトセトラ)

 

「はい。 以前、ロロ様から注意されたので『平等に優しく』と言うことから教師、高等部、中等部を含めて合計108人の女性との約束を承りました。」

 

は? いや、その……待ってくれ。 このスケジュールは無理があるのでは?」

 

「??? スヴェン様が以前からご活動されているスケジュールを元に作成したものですが?」

 

 「睡眠時間が今夜だけでたったの三時間なのだが?」

 

「はい。 明日は休日ですのでスヴェン様と同じように24時間中ずっと活動する体制ですが……何か、おかしかったでしょうか?」

 

「……」

 

 ルルーシュは立ち眩みをしたのか、足がクラッとふらつく。

 

「(スヴェン……多分、スバルの事だろうな。 『24時間中ずっと活動する体制』とは……)」

 

 ヴィレッタは咲世子の言ったことに、考え込んだ。

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

 エルはお腹を抱えながらただ笑った。

*1
チーズアイデア、誠にありがとうございます剣BLADEさん! (*ゝω・*)ノ




(;´ω`)
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