小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

233 / 344
勢いのまま書いた少々長めの次話です!

ほほ(?)SIDE:アマルガムですが、楽しんで頂ければ幸いです!


第228話 第一回パジャマパーティーの日、来たれり

 少々唐突かも知れないが、ここでアマルガム側の話を少ししたいと思う。

 

 時間は、アッシュフォード学園で『キューピッドの日』となる企画をミレイがスバルから聞いて、原作とは少々違うイベントとなる数日間前にまで戻る。

 

 場所は『合衆国中華』の首都である洛陽。

 

 この頃はまだ、空気が読めない星刻が中華連邦の残骸から洛陽を中心に築いた合衆国中華の体裁を落ち着かせる為に軍方面だけでなく政権の安定にも四六時中付きっ切り状態の所為で、日々寂しがっていた天子の気を紛らわす為に神楽耶は主な女性たちに声をかけては茶会などのイベントを空いている時間に開催していた。

 

「神楽耶様! これが、『ぱじゃまパーティー』なる物なのですね?!」

 

 ちなみに上記の嬉しそうな天子の言葉で察したかもしれないが、今夜はパジャマパーティーである。

 

『パジャマパーティー』といっても、声をかけられてから来る女性の数が数だけに大所帯となってしまったので規模的に『修学旅行』寄りなのだが。

 

 あと『パジャマ』……というか『寝間着』の定義がピンからキリまである様で、とある者たちはオーソドックスな長袖に長ズボンもあれば下着のみの様な物もあり、果ては『本当に(年相応の)パジャマなの?』と聞きたくなるようなネグリジェなどもあった。

 

 しかもそれらが薄着、厚着、薄透明、エトセトラという風に更に細かく分かれてしまうので()()省く。

 

「しかし、なぜ我々もここに?」

 

 千葉(下着オンリー)は場違いを感じているのか、周りを見渡して国の運営や一部隊……というより一組織を指揮したり組織の開発に携わっている重鎮たちを見る。

 

「それは……(香凛)さんが“数が多ければ多いほどいいから”と仰っていたので、勝手ながら私の方でもお声をかけました。」

 

「それにこんな風にお泊り会がまたできるなんて思っていなかったから、つい!」

 

 レイラ(ヒラヒラ薄着ネグリジェ+紐パン+眠たげのエリザ)は他意なく答え、普段は人見知りなアンナ(レイラと同じヒラヒラ薄着ネグリジェ+レースパンツ)が『フンス!』と興奮しながら答える。

 

 多分、『夜食用に』と数々の蓬莱産(仮名)であるお茶に茶菓子や甘味は関係ない……と思いたい。

 

「いや、まぁ……そうだけれど……これって本当に()()()()()()()の規模なのかなぁ~?」

 

 マリエル(半袖丈短くてへそ出し+短パン寝間着)は畏まりながら千葉と同じようにソワソワしていた。

 

 余談ではあるが、神楽耶が声をかけた大半の女性たちは参加者の名を聞いては『恐れ多すぎる!』と辞退していたとここで記しておく。

 

「う~ん……こういう物かも……って、アリス?  私のパジャマって変?」

 

「ジー。」

 

「えっと???」

 

「ウウン。 ナニモ、ナイヨ、アヤノ。」

 

「???」

 

 アヤノ(マリエルと同じ半袖+短パンスタイルの寝間着+パンダぬいぐるみ)は自分をジッと見ていたアリス(長袖+長ズボン+三つ編みポニテ+ペンギンぬいぐるみ)に声をかけるが、アリスはフッとどこか遠くを見るような目をしながら片言とした口調で答える。

 

「まぁ……アリスの気持ちは分からないでもないな。」

「何が、サンチア~?」

「ダルクはまだわからなくていい事ですわ。」

「だよねぇ~?」

「マオ(女)に言われると不愉快!」

 

 大半の女性が辞退した所為で、『歳が近い』と言う事からC.C.によりほぼ無理やりにアリスたち(サンチア(長袖長ズボン)、ルクレティア(ブラスリップ+団子ヘアー+オルカぬいぐるみ)、ダルク(スポブラ+短パン+イルカぬいぐるみ)、マオ(ブラスリップ)など)は強制参加させられていると更にここで追記しよう。

 

 声はかけられていないがアヤノは単純に『なにそれ面白そう!』といった興味で参加しているとも追記する。

 

「それで、これからどのようなことをするのでしょうか?!」

 

 ウキウキとする天子(長袖+長ズボン)はぬいぐるみを抱きしめながら、眩しいほどに清々しい笑顔を周りの皆に向ける。

 

 「やはり可憐だ……」

 

「……そう言えば天子様、その抱き締めているぬいぐるみは何なのでしょうか? ウサギのように見えますが────?」

「────はい! 『うさ〇ちゃん』と呼んでいます!」

 

「「「ブフォ?! (そのまんま?!)」」」

「「(『プラウスちゃん』なのでは?)」」

「「(ミッ〇ィーちゃんの間違いじゃない???)」」

 

 天子が見慣れないぬいぐるみを抱きしめていることに気付いた香凛(チャイナ風短パン+丈短い半袖)の問いに天子が迷いなく答えるととある者たちは吹き出し、とある者たちはハテナマークを頭上に浮かべ、更にとある者たちはハテナマークを頭上に浮かばせた。

 

『今の絶対に年代で違うリアクションだろ』だって?

 Ha,ha,ha。 そんなわけないだろ?

 だって上の全部、合っているんだぜジョージィ?

 

「は、はぁ。 そうですか……ちなみにいい毛並みですね! どこのブランド物ですか?」

 

 神楽耶(ヒラヒラ薄透明スケスケのブラスリップ+ビキニタイプショーツ)は場の空気を変えようと話を進めた。

 

「えっと、()()()()が編んでくれましたのでその……『ぶらんど』はないかと思います」

 

 「「「「「「(まさかの手作り?!)」」」」」」

 

 余談ではあるが、天子が持っているうさ〇ちゃんぬいぐるみは強化スーツの試運転兼リハビリとしてスバルが編んだもので以下の通りの一連である:

 1、『そう言えばこの頃の天子は寂しかったのだろうか? 詳しい描写なんてないしこの先。』

 2、『せや、久しぶりに本気でぬいぐるみを編もう!』

 3、『天子様にはやっぱりゴ〇ちゃん?』

 4、『でも中華っていうとパンダで、パンダと言えばたれぱんだ』

 5、『でもどちらかと言うと本人の見た目的にはウサギっぽい?』

 6、『ウサギだとロップイヤーが良いか? 髪も白いし目が赤いから白兎?』

 7、『白兎と言えば……デザイン的にはピー〇ーよりシンプルな()()が良いか。』

 8、コードギアスの世界にて『うさ〇ちゃんぬいぐるみ』が天子の手に渡る

 

「ほぉ、それは奇遇だな。 私のも彼が編んだ物なのだ。」

 

 毒島(下着+ツンツンポニテ+すくすく白〇モドキ)はほんの少しだけ誇らしいドヤ顔になった。

 

「まぁ! 冴子のそのカビた大福────」

 「────おはぎちゃんと言います、神楽耶様。」

 

「おはぎ???? ……どこからどう見ても、カビの生えた鏡餅────」

 「────おはぎちゃんですよ神楽耶様?」

 

「は、はぁ……」

 

 毒島のいつにもまして威圧感の出る、ニッコリとした桐原似の笑顔に神楽耶は少々引いた。

 

「おはぎちゃんの小さなおててと小さい目、すっごく可愛いですお姉さん!」

 

 「ン゛。」

 

 キラキラと光を放つ様な笑みをする天子の顔の前に、神楽耶のからかいによりピリピリしていた毒島の胸にグッとくる何かに彼女は目を天子から背ける。

 

「それで、『ぱじゃまぱーてぃー』では何をするのですか?!」

 

「うーん……まぁ、定番で言うと恋バナってところかしら?」

 

「『こいばな』???」

 

 ラクシャータ(バインダー水着っぽいトップに超々々ミニスカからの黒のパンツ丸出し)の言ったことに天子は首を横に傾げると、少女の抱き締めていたう〇こちゃんの片耳がぺたんと落ちる。

 

「「「んぐっ。」」」

 

 この様子に何人かの女性は天子と彼女が抱きしめるぬいぐるみの景色に先ほどの毒島のように心を打たれる。

 

「『恋の話』。 略して『恋バナ』で慕っている異性の話だよ、天子様。」

 

 C.C.(ワイシャツ+ショートパンツ+抱き枕代わりのチーズ君ファミリーの巨大輪っか)が飄々としたまま周りの様子に気付かなかった天子の問いにいち早く答える。

 

「まぁ! では皆様には、将来を誓った方がおられるのですか?!」

 

「私にはゼロ様が居られますけれど……ねぇ~?」

 

「そ、それは……」

「む……」

「えっと……」

「あは、あはははは~……」

 

 天子の問いに神楽耶は迷いのない返答をしながら、悪戯っ子の様な表情で周りに居る毒島たちを見渡す。

 

「まぁ、周りの奴らなんてろくでもない選択肢ばかりだからねぇ~。」

 

「黒の騎士団なんて、特にな。」

 

 目が泳ぐ女性メンバーたちに気付かない(あるいは気づかないフリをする)ラクシャータとC.C.が話を続けると千葉達などが徐々に参戦していく。

 

「まぁ……確かに? 扇さんは優しいけれど、それだけだし────」

「────玉城は下品で幼稚────」

「────南はロリコン────」

 

 「────『ろりこん』ってなんですかアヤノさん────?」

 「────う゛……『年下か幼い見た目の女性が趣味』の事、です────」

 「────まるで悪い事のように言われていますけれど────?」

 「────まぁその……えっと……『世間一般的に良くない』からだと思います────」

 

「────ディートハルトは根暗で陰険────」

「────杉山はナンパすぎる────」

「────吉田はチャラい────」

「────仙波は趣味が爺臭いし年もかなり行っている────」

「────こうやって並べると卜部が一番無難だな。 味音痴だと言う事と味噌マニア以外は。」

 

 香凛の言葉にその場に居た誰もが先日、四聖剣たちが話していた料理の中で『特にセミの油揚げは美味かった~』と言っていた卜部に周りがドン引きしたことを思い出す。

 

 ちなみに普段物静かな藤堂は『あくまで極限状態ならば~』と一応のフォローをしたと記しておく。

 

 卜部の『でも美味かったんだよなぁ~』で台無しになったが。

 

「そう言えば、『朝比奈省吾』とやらはどうなんだ?」

 

「あら! (香凛)さんが気になるのなら、取り持って差し上げますわよ?」

 

「あ、いえ。 神楽耶様の提案はありがたいですが、私の趣味は()()()()ですので────」

「────あら! ではちょうど良いかもしれませんわよ? 朝比奈さんも()()()()との話ですし?」

 

「あの……神楽耶様? いくら神楽耶様でも、その……同僚の悪口は────」

「────ああ、私は悪い意味で言ったつもりはありませんよ千葉さん? 実は先日、朝比奈さんに聞いたのです────」

 「「「────え。」」」

 

「それでどうも朝比奈さんは『無性愛者』の様でして、藤堂将軍の事は純粋に憧れる人と言い切りましたわ。」

 

「そ、そ、そうですか────」

「────ですので安心してハッキリしてもよろしくてよ千葉さん?」

 

「んな────?!」

「────だって恐らくバレていないと思っているのは貴方だけですよ────?」

「────ま、待て待て待て待て待て待て! そもそも話は(香凛)の相手だったはずでしょう?!」

 

「彼女が気になるのは黎星刻だけでしょう?」

 

「……あ、あの『シン』とやらはどうだ?」

 

 明らかに話題を自分から逸らす香凛を微笑ましく思う中、C.C.が口を開けた。

 

「ああ、なるほど。 お前の趣味は『誰かの為に頑張る男性』か?」

 

 ドキーン

 

うぐ。

 

「アイツは()()()と許嫁な上に相思相愛だから難しいぞ?」

 

「「「「え?」」」」

 

 ニヤニヤとするC.C.から、皆の視線がその場に居るアリスに移る。

 

 「言っておくけれど(アリス)じゃないわよ?!」

 

「ああ、あの胸が大きい方の。」

 

 グサッ!

 

 ラクシャータの何気ない一言がその場に居たひん……その場に居た何人かの胸に突き刺さった。

 

「そ、そうか……そう言えばあの……なんだ? 『阿修羅(アシュラ)隊』は意外とよさそうな男子ばかりだな。」

 

 どこかドンヨリとした空気に気まずくなった千葉は話題を戻す。

 

「騎士道精神が根強いから、紳士的だしな。」

 

「それを言うお前はどうなのだC.C.? もしや玉城の言うように、ゼロの愛人なのか?」

 

フハハハハハ、面白い冗談も言えるなお前。 で、どうなんだお前たち?」

 

 C.C.がレイラたちを見渡すと皆の視線が泳ぎ出す。

 

「例えばそうだな……レイラ、とか?」

 

「わ、私ですか? ……そう、ですね……『気になる男性』なら────」

「────やっぱりそうなのレイラ?! よかった~。」

 

「え、ええ……『必要』と言ってくれたのだけれど、アンナが先に仲良くなったので私は────」

「────へ、誰の事レイラ────?」

「────え? だって貴方────」

「────え? でも私はてっきりレイラが……」

 

「「………………………………………………エ?」」

 

 話がかみ合わないことに、レイラとアンナは互いを見ては目をぱちくりさせる。

 

「(『必要』、か……たまにはそうやって、私に言ってくれれば……)」

 

 毒島は微笑ましくも、どこか内心でため息まじりに上記を思い浮かべた。

 

「……………………カレンはどうなんだ?」

 

「うぇ?!」

 

 C.C.はレイラたちや毒島の表情を見ながらニヤリとし、矛先をカレン(タンクトップ+ショートパンツ+タバタッチぬいぐるみ)に向けるとカレンは明らかに慌てだす。

 

「井上から聞いているぞ? お前、昔から仲の良い整備士がいるそうだな?」

 

「なななななななななナンノコトカナー。」

 

「嘘が下手だなお前。 で? 毒島はどうなんだ?」

 

「ん? そうだな……まぁやはりスバルだろうな。」

 

「「「「「…………………………」」」」」

 

 目を泳がせながら顔を背けるカレンからC.C.は黙り込んでいた毒島に話題を振ると、毒島があっけらかんと答えたことで場は静まり返る。

 

「なんだお前たち? そんなに驚くことか?」

 

「う、うぅぅぅぅ……あの冴子が……剣術以外に興味を持つ時が来るなんて────」

「「「「「(────神楽耶が泣くほどってどれだけ?)」」」」」

 

「ほう? アイツか……どこに惹かれた?」

 

「そうだな……幼少の頃、私はその……武術一筋だったのでな? 周りには腕白な小僧とかしかいなかったのだ。 そんな中で初めて会ったスバルは歳に似合わず、大人と同等なほど落ち着いていた。」

 

「あ、それ分かります。 シュバールさんっててっきり年上かと思うほどに大人びていますよね?」

 

「ああ、そうだな。 それでいて強者。 だというのにそれを笠に着ることなく、対等な相手として接する。」

 

「それでなんだかんだ『目立ちたくない~』って口で言っている割に、子供の頃から裏で色々やるからねアイツ。」

 

「カレンさんもサエコみたいに?」

 

「ん? というか子供の頃からアイツと一緒に住んでいたよ?」

 

「……なるほど、君はやはりナオトの妹だったか。」

 

「あ! ようやく分かった! お兄ちゃんがたまにブツブツ言っていた『ブスジマ』ってやっぱり毒島の事だったんだ!」

 

「そう言うカレンさんはシュバールさんの事はどう思っているのですか────?」

「────う────」

「────察するからに『単なる馴染み』といった軽い思いだけでもないだろうに。」

 

 他意のないレイラ、そして毒島の挟み撃ちにカレンはタジタジになりながら赤くなり、言を並べていくと徐々にそこに居る女性陣が便乗していく。

 

「そ、そうかな~? ま、まぁその……スバルって誰にでも優しいからさ? よく周りを見ていて気遣いも出来る凄いヤツだしさ? それで色々できるのも単純に才能だけじゃなくて、実は努力家でいてさ────?」

「────ああ、とても分かるな。 彼は口ではあまり語らないが、誠実だし────」

「────それに予期せぬ事態で危険が迫っても慌てたりせず、冷静に対処をする態度が────」

 

 余談だが次々と盛り上がる『恋バナ』は一晩中続いた。

 

 レイラとカレンによって、一時は盛り上がりが止まってしまうまで。

 

「────でもさ、たまに怖い時もあるんだよね。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 カレンのぽつりとこぼした言葉に、周りの者たちはしんみりとするカレンを見る。

 

「カレンさん……それは、シュバールさんの心強い態度に関してでしょうか?」

 

「うん……なんかさ? 昔から色々簡単に出来ちゃうような感じだから忘れちゃうけれど、一人で何でもかんでもやっちゃうから。」

 

「そうですね……確かに彼は、自ら重荷を課す節があります……その所為で、『彼はいつか壊れてしまうのではないか?』と……」

 

「二人の危惧していることは分かるぞ。 だがだからこそ、私たちが彼を裏から全力で支えるべきなのだと考えている。 男のプライドを守ると言えばいいか。 それこそが、『女たる矜持だ』と考えている。」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「ん? なんだ、お前たちのその意外そうな顔は?」

 

「冴子が……冴子が普通の人みたいな事を口にしていますわ────!」

「────神楽耶様がそれを言うのですか? 幼少の頃、貴方も非常識だったと────?」

「────あら冴子は約束(誓い)を破るというのですか────?」

「────う────」

「────あれだけ“約束は命がけで守る”と仰っていたのに────?」

「────んぐぐぐぐ……」

 

「(『約束を守る』って……もしかして────?)」

「────でも、『それだけ一人で頑張る』ということはその人にとって『周りの人たちをそれだけ大事に思っている』ということではないしょうか?」

 

 神楽耶と毒島のやり取りを見て、カレンはふとしたことを思い浮かべるが天子の声によってさえぎられる。

 

「……」

「アッハッハッハ!」

「確かに……」

「天子様も良い事を言いますね?」

「御慧眼ですわ天子様!」

「大人の女たちがそろって教えられたな?」

「(『無茶をする大事ほどに思っている』、か……)」

「あ、アリスが赤くなったー。」

「ウフフフフ♪」

「(……私も入っているのだろうか?)」

「あ。 今度はサンチアが────むぎゅ。」

「天子様って良いわぁ~♪ お願いだから変な男に捕まらないでねぇ?」

「大丈夫ですラクシャータさん! この朱禁城の壁と防衛は見直しされたので賊が入ることは────!」

「────あー、そういうことじゃないわ。」

 

「え? ではどういう意味ですか?」

 

「んー……天子様がもう少し大きくなったら説明するわ。 ねぇ香凛さん────?」

「────そこで私に振るのか────?!」

「────釘を刺しただけよ────?」

「──── “大きくなったら”って、何時ですかラクシャータさん?!」

 

「うん? そうねぇ……ぶっちゃけるけれど、天子様って生理きている────?」

「「「「「────ふぁ────?!」」」」」

「────ドクターラクシャータ?! なんてことを聞くのですか────?!」

「────“せいり”? お部屋ならちゃんときちんとお片付けしていますけれど────」

「────うんうん♪ やっぱり天子様っていいわぁ~♪」

 

「パジャマパーティー、面白いですね神楽耶様!」

 

「あ、あはははははは……」

 

 果たしてこの会談のような集会を『パジャマパーティー』の一言で片づけていいのか分からなくなった集会のきっかけを作った張本人の神楽耶なのだった。

 

 後にこういった『パジャマパーティー』が再び行われて波乱が起きるのだが……それは少々後の話となる。

 

「(やっぱり、『約束』なの?)」

 

 ワイワイと続くパジャマパーティーの中で一人だけカレンは表面上では笑いながらも、内心では憂鬱な気持ちになっていた。

 

「(……やはりもっとアピールするべきだろうか?)」

 

 そんな彼女の様子に気が付いたのは、幸運にも同じように憂う千葉だったとか。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 時はアッシュフォード学園で『キューピッドの日』が始まる先日にまで進み、場所は『合衆国日本』の亡命政府が拠点としている蓬莱島にある合衆国日本政庁(仮)へと変わる。

 

 その中で桐原は中華連邦が合衆国中華に変わったことで神楽耶と共に隣国との交渉の場に出払い、ようやく以前から任されていた内政をする為に今までの資料チェックをしていた。

 

「……ん?」

 

 そんな彼が声に出してまでハテナマークを頭上に浮かべるほどの案件が書かれた情報が目に留まったのは蓬莱島の経営が100万人ほどの受け入れをしてからようやく軌道に乗り戻したことが予想より早くなっていたことにより、黒の騎士団に深く調べるように頼んだ資料が原因だった。

 

 普通、いきなり100万人の住人が一か所に移り住むことで人口が一期に膨れ上がった反動にトラブルなどや治安その他諸々の低下などが起きて回復するまでに時間は必要である。

 

 これは単純に大勢の人間が移り住んだ先のインフラが人口に追いついていないからであり、本来はどれだけ改善に力を入れて頑張っても数週間から数年はかかる。

 

 しかも『数週間』とはそれだけの財産や作業に割ける人員、そしてあらゆる過程を飛ばせるような迅速な対応が可能な政治国家を想定した時間。

 

 ()()()()()が無い限り不可能な短縮である。

 

「(『埋蔵金発掘の進行』??? 『横領確定の官僚からの私有財産』???) あー、レイラ? 少々聞いていいか?」

 

 桐原はそれらを見て、同じ部屋の中で事務作業をしていたレイラに声をかける。

 

「何でしょう、桐原さん?」

 

「これらはどういうことかね?」

 

「ああ。 それは先の『天子様とブリタニアの婚約』をよく思っていない紅の乱(紅巾党)と共に立ち上がった民衆たちが得た自治権の保証と引き換えに引き渡されてきた県令たちや領主気取りの武官たちがため込んでいた財産や横領していた国宝などを見つけ出しては他国に売りました。」

 

「 “国宝を売る”などと……かなり思い切ったことをよく星刻たちが了承したの?」

 

「人口は大国と引けを取りませんが、現在の合衆国中華は国としてあらゆる問題を抱えています。 そしてその多くは金銭で解決できることを説明しました。 あ! 勿論、『国宝』と言っても文化や歴史的価値のある物は合衆国中華内の博物館などで展示できるようにあげています。 逆に資産として価値ある物、例えば翡翠や装飾品などを他国に売ってその何割かを仲介手数料として合衆国日本の取り分としています。」

 

「よく売り先が見つかったの?」

 

「そういった資産家などには()()()()心当たりがありましたので♪ フフフフフフ♪」

 

 レイラが笑いながら思い浮かべたのは何時かのナルヴァ帰還祝賀パーティーで、軍服を着ていた自分やワイバーン隊をコケにした者たちの面々であり頭のいいレイラはほぼ全員の顔を覚えていた。*1

 

 つまりちょっとしたwZERO部隊をコケにした者たちへの、レイラなりのリベンジである。

 

「しかし資産価値のある物全てを売り払う必要はあったのか? これから先、何が起きるか分からないときの貯えに備えてもよかったのでは?」

 

「それも考えましたが、そのような『後の為』に取って置くより『今の改善』にした方が国民にとっていいと思いますし、その『後の為』を未然に防ぐ力として国民の支持を活用できます。 物を持っても、すぐに金銭に変えられるとは限りませんから。」

 

「フム……理屈に適っているな。」

 

 ちなみにこの考えかたはスバルがヴァイスボルフ城に招かれた後、普段は『もしもの為に限りなく何でも節約する』といった方針を彼がぶっ壊した影響から来ている。

 

 当時のスバルからすればヴァイスボルフ城の状態が予想より良くて『あれ? 思っていた以上に物資があるじゃんか! ラッキー♪』といった軽い考えなのは知る由もないだろうが。

 

「『合格』、でしょうか?」

 

「今のところはな……ところで、先の考えはスバルから聞いたのか?」

 

「半分はそうですね。」

 

「半分?」

 

「もう半分はサエコと話して『誰もが住める場所』の延長線にある、『誰もが快適に住める居場所』に基づいた、私なりに出した考えの一環です。」

 

「ほほぉ?」

 

「金銀財産を保有するのは必要でしょうが……それは国の在り方として余裕のある時でいいのです。 それに……」

 

「それに?」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

 レイラが思い浮かべたのはウキウキと『『C.C./お兄さんの為に頑張るよ!』』と掛け声をかけ乍ら横領などの疑いがある官僚などの尋問に乗り出すマオーズたちだった。

 

 (マ男)彼女(マオ(女))そしてサンチアの三人は100万人の受け入れ時に簡単な入国審査を終えた者たちにギアスを使い、更なる『面接』を受けさせた。

 

 マ男は文字通りに相手の考えを読み取り、マオ(女)は相手の記憶を再現させて『観る』ことが可能である。

 サンチアの能力は上記の二人とは少々違うがジ・オドで相手の動向や感情で『悪意』やうしろめたさから来る『負』を感知できる分、マオーズより作業スピードが速い場合もあった。

 

 つまりこの三人により蓬莱島を訪れる者たちの察知と選抜が事前にされていたこともあったことで、治安が(大きく)乱されることは稀な出来事となっていた。

 

「(まさかエデンバイタル教団の惨状を知ってから、後に提案した『平時のギアス運用』がここまで功を奏すとは自分でも驚きましたが……それに本人たちも嬉しがっているようですし────)────え?」

 

 次は携帯端末に着信したメッセージをチェックしていたレイラが声を出す番で、見たページにはアッシュフォード学園で次の日に開かれる予定の『キューピッドの日』に関することが書かれていた。

 

 ちなみに送り主はアンジュではなくマーヤ。

 

「……」

 

 そしてそのアンジュから何の音沙汰も無かった時点で、レイラは思考を巡らせてから電話をかける。

 

「もしもし、サンチアさんですか? 実は────」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 その夜、黒の騎士団の斑鳩とは別の場所で停泊しているリア・ファルへ物音を出さずに走って近づく黒ずくめの人物が物陰に潜み、周りの様子を暗視ゴーグル越しに見渡す。

 

「(……良し。)」

 

 黒ずくめの人物────毒島は変わっていない様子に再び走り出す。

 

 シュパッ!

 

「き────~~~~?!」

 

 リア・ファルにあと少しといったところまで毒島が近づくと足に()()が引っかかる様な違和感とほぼ同時に、彼女は自分の体が逆さまに宙を自身の意思とは関係なく猛スピードで舞う感覚に叫ぼうとした瞬間に肺から空気が無理やり吐き出されて声にならない叫びへと変わる。

 

「あ、ぶっちゃんも捕まったんだ♪」

 

「うぅぅぅぅ……ま、マオ?」

 

「そだよー。」

 

 暗闇の中で目を回したままようやく動きが止まると横からマオ(女)の呑気な声がする。

 

『うぎゃああああああああ?! お、お、落とし穴ぁぁぁぁぁぁ?!』

『な、なにこのベトベトしたヤツ?! ゴキ〇リホ〇ホ〇?!』

『『ボスぅぅぅぅ?!』』

 

 夜の蓬莱島のリア・ファル近辺で、そこかしこから悲鳴や驚愕の声が次々と上がってくる。

 

「うーん、これは一本取られたねぇぶっちゃん?」

 

「……」

 

「ぶっちゃん────?」

「────うぷ……」

 

「え?!」

 

「せ、先日スバルと一緒に乗った時の後遺症が……き、気持ち悪い……」

 

「吐かないで! 吐かないで! 今絶対に吐かないで?!

 

 阿鼻叫喚なそのカオスの状況を、レイラはリア・ファル付近にある建物の屋上から空を飛んでいる暗視機能付き小型無人機(ドローン)経由でレイラ、サンチア、ルクレティア、ダルクが見下ろしていた。

 

「うっわ……エグいトラップばっかり。」

 

「サンチアさん、他にも動いている気配はありますか?」

 

「い、いや……ないが……その……」

 

「???」

 

「この様な数々のブービートラップを、EUの正規軍の士官が知っていたのは意外だったので。 ねぇサンチア?」

 

「あ、ああ。 すまないが、その……EUの士官などは『世間知らず』や『温室育ち』などといった、あまり良くない噂が纏わりついていたからな。」

 

 サンチアのどこか余所余所しい態度にハテナマークを浮かべたレイラに、苦笑いをしていたルクレティアが言葉を付け足す。

 

「レイラがそうでないことは、分かっていたが……」

 

「ああ。 これらはシュバールさんが城の防衛の時に設置していた罠を真似たものですので、厳密には発案者は私ではありません。」

 

「なるほど~……あの人なら納得!」

 

「その……三人に手伝って貰って今更ですが、ありがとうございます。」

 

「ん? 良いって良いって! どうせ多分、あのスヴェンって人にゆっくりとした時間を与えたいんでしょ?」

 

「相変わらずダルクは直球的だな。」

 

「ダルクちゃんですから♪」

 

「だがそう言うレイラもエリア11に行きたくはないのか?」

 

「……正直、行きたいですが……このままエリア11に行けば、更なる迷惑が彼に掛かるのは見えています。」

 

「……まぁそうだろうな。」

 

「それに彼が私を信じてくれている様に、私も彼を信じていますから。」

 

 レイラは夜空を見上げる。

 

 空の色も、時間帯もあの時と違うが、胸の中に感じるものはかつて『停戦条約』と称された、シンによって仕組まれた奇襲の時と同じ確固たる気持ちだった。

 

「(あ。 そう言えばマーヤは国歌と新たな部隊名の事をシュバールさんにもう提案したのかしら?)」

 

 次の日、シュバールがそれどころではなくなることをレイラはまだ知らない。

*1
95話より




後書きEXTRA:
レイラ:そう言えば、アリスさんの姿が見当たりませんね?
サンチア:そうだな……罠を設置した後だというのに。
ダルク:え? アリスならレイラの指示通りにエリア11に飛ばしたよ?
ルクレティア:指示? ありましたっけ?
ダルク:え?
サンチア:……これは嵌められたな。
レイラ:(恐ろしい子!)



余談:
作者:『書きたい意欲』には抗えなかったよスバラッシュ……
スバル:誰がスバラッシュやねん。
おはぎちゃん:次回は『キューピッドの日』だよね?
集合ちゃん:(9割の確率で)そうだね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。