小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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ようやく学園中心の話です!
*略*つまりはカオス。

お読みいただきありがとうございます!
楽しんで頂ければ幸いです!


第229話 ハチャメチャなキューピッドの日

 シュ! スタッ。

 

「(……意外とセキュリティーがザルだったな。)」

 

 アッシュフォード学園の周りを囲う壁を、まったく違和感のないほど男性用の制服を着こんだ褐色の青年────コノエナイツ(スザクの親衛隊)のレドが拍子抜けしながら平然を装い、校内を移動しながら少々乱れた身だしなみを整える。

 

「(さて、『ルルーシュ・ランペルージ』……何故枢木スザクは機密情報局と連絡しつつ一学生である君に接触したのか、その理由を見ようじゃないか。 それにしても……『皇帝直属の機密情報局が学園を根城にしている』と言うから用心して潜入したのに何のアクションも起こさないとは……もしや学園と連携を取っていないのか?)」

 

『レドは親衛隊のコノエナイツであり、シュネーと共にスザクの部下。』

 

 というのは()()()()()()であり、実際はスザクが当初考えていたようにシュナイゼルに付けられた『鈴』である。

 

『鈴』といっても、『ただの監視』と片付けるには少々事情が込み入っているのだが。

 何せレドはシュナイゼル本人だけでなく、カノンからもかなり期待を寄せられるほどに『密偵』や『工作員』としての手腕を買われている。

 

 その証拠に、『スザクの監視はレドだけで十分』と判断させるまでだった。

 

 少し『レド・オフェン』という青年について話そう。

 

 彼はその昔、既に()()()()()()()()から『()()()()()』として活動していた。

 無論、レドは別に貴族でも何でもない庶民なのでそんな彼が『貴族の相手にされる』となると、自ずと彼の職は絞り込まれるが敢えて記入する。

 

 つまりレドは物心ついたときから、『両親』という存在を知らずただ知らない男によって豪華なホテルルームなどに案内されてはドアをくぐった者のあらゆる生々しい欲のはけ口とされてきた。

 

 その貴族が女性であるときもたまにあるが、大半は男である。

 

 そんな生活に嫌気がしたレドは歳のわりに聡く、自分の職を最大限に生かす為『同じ境遇の子供で男娼たちによる情報ネットワークチーム』を自分中心に結成し、次々と貴族の汚職や秘密などの部分的な情報を繋ぎ合わせては仲介者を通し、数々の情報屋などに売って得た報酬は自分と仲間たちの為に使った。

 

 現在の状況からの逃走の為に偽造された身分証や、戸籍だけの親などの手配にその後に不自由なく暮らせる資産。

 

 全てはレドみたくチームの全員が目指す、“嫌なことをはっきりと嫌だ”と言える世界への脱出の為。

 

 ちなみに当時のレドはまだ10代になったばかりの少年である。

 

 みるみると彼の働きにより自分だけでなくチーム全員分の自立が出来る目途がようやく立ったある夜、レドの状況は一転してしまう。

 

「(これでオレとあいつら全員分の金が貯まる。 後は仲介者を通してこの地区から────)」

 

 それはいつもの夜の仕事の筈だった。

 

 ────ガチャ。

 

「?」

 

 何時ものように豪華なホテルルームのベッドにレドは腰かけていると、入ってきたのは貴族風の男ではなくレインコートを着た者だった。

 

 普通の視点からこの時点で『何かおかしい』と思うかもしれないが、そう言った()()()()()を持つ客の相手をレドは文字通り腐るほど見てきたので彼からすれば別段珍しくも何もなかった。

 

「(なんだ? 付き人がいない────?)」

 

 ダァン!

 

「────ぐぁ?!」

 

 レドが反応する暇もなく、男によって床に伏せられるとレドの視線に星が散る。

 

「すまんが、俺を恨むなよ。 恨むのなら甘かった自分を恨め。」

 

 この言葉だけでレドは察した。

『誰かが自分の情報を流した』のだと。

 

「だ、誰に聞いた?! 仲介者か?! それとも貴族の誰かに頼まれた?! 依頼された倍の額を払う────!」

「────()()()()だよ。」

 

「…………………………は?」

 

 自分を床に押し付けている男の言葉にレドは頭が真っ白になる。

 が、それも束の間だけで彼の頭はカッとした怒りでいっぱいになる。

 

「嘘を言うな! 仲間だと?! そんなデマカセを────!」

「────ああ、そうか。 言い直すよ。 ()()()()()()()()()()()()()()()だよ。 そいつらにちょっと金を渡せばすぐにゲロったぜ?」

 

「嘘だ!」

 

「お前が嘘だと言っても、現実は変わらないんだぜ? 冥土の土産に教えてやるよ。 今夜全員トンズラするらしいし、皆が何を口にしたと思う? 『レドによろしく言ってくれ』、だとさ。」

 

「……………………ッ」

 

 ショックでそれまで抵抗しようとしていたレドの体から力は抜け、男は拳銃を出す。

 

「悪く思うなよ、俺のコレも仕事だ。 他人を信じたのが間違っていたな。 ()()()()()()()()()()()()()。」

 

 パン!

 

 乾いた銃声が鳴り、ほぼ時間差が無く男の頭部に穴が開いては詰め込まれていた肉片や頭蓋骨などが飛び出る。

 

「……は? ……え?」

 

「あら、可愛い顔が台無しね。」

 

 レドの上に覆いかぶさった男の亡骸がSPの様な者達によってどかされ、貴族風の者がハンカチでレドの顔に付着した肉片や血をふき取る。

 

「君が、『レド・オフェン』ね? 私はカノン・マルディーニ、お初にお目にかかるわ。」

 

「……何で、オレを?」

 

「あら知らない? 貴方は最近、上流階級の貴族たちの間でかなりの噂になっているのよ? 『貴族の闇を売りさばいては破滅に陥れる幻影が居る』って。 まぁまさか貴方みたいな年端も行かない少年とは私も思っていなかったけれどね。 歳のわりに素性を隠すの、かなり得意ね?」

 

「だから、なんでオレを助けた?」

 

「うーん……素行の悪い貴族の払拭をした謝礼も兼ねて、貴方の能力がここで途絶えるのは良くないと思っただけよ。 どう? その能力、私たちの為に使ってみない?」

 

 これがレドがカノンと初めて出会った夜、そして後にシュナイゼルと出会うきっかけへと繫がる。

 

 ………

 ……

 …

 

「(見栄えのいい建物、キラキラに光るまで磨かれた道、陽光を最大現に受け入れられる大きい窓……『綺麗な学校』、か。 それにしても、今は部活時間中だというのに騒がしいな? 事前に調べたスケジュールではなんの特殊な行事もなかった筈だ。)」

 

 レドは眩しいアッシュフォード学園とそこら中を行き来する生徒たちの景色に思わず自分の過去を思い出しては冷めた内心のまま見渡す。

 

「(……もう少し出会いのタイミングが違っていれば、オレもシュネーの『仲間』になっていただろうか? いや、元々彼を調査の隠れ蓑に仕立て上げるつもりがいつの間にか彼からは本当の仲間と認識させている時点で成功しているか……『成功』……確かに成功はしているのに、なぜこうも胸がイラつく?)」

 

 アッシュフォード学園の景色かあるいは別の理由でレドは最近燻っていたイラつきが蘇りそうになり、彼は深呼吸をして落ち着く。

 

「(落ち着け、今は潜入任務に集中するんだ。 今は『ルルーシュ・ランペルージ』の事だ。 人間、調査をすればするほどに不審な情報が浮かんでくるような生き物。 一切の例外はない。 だというのに、彼は綺麗すぎる。 しかも枢木卿が人の目を気にして密かに会うほどの人物。 彼の裏に何かがある筈だ。)」

 

 そんな確信を持ったままレドが歩いていると後ろから声をかけられてくる。

 

「あれ? 君は────?」

 

 レドが振り返ると変な帽子をかぶった銀髪の少年が居たことに安堵する。

 

「(良し、ヴァインベルグ卿(ジノ)ではない。) ああ、すまない。 この騒ぎは何だ────?」

「────帽子を貰っていないのか?」

 

「(帽子? ………………………………何の事だ?)」

 

 レドはポーカーフェイスを維持したまま、ハテナマークを更に浮かべさせた。

 

 ……

 …

 

 少しだけ時間を戻し、スヴェンにスポットライトを当てようと思う。

 彼はアッシュフォード学園の通路内を歩いて周りを見渡していた。

 

 理由はもちろん、自分同様に青い男性用のポフポフした帽子を参加者がかぶっているかどうかの確認する為である。

 

 そんな彼の後ろを一定の距離を保ちながらじりじりと後を追う女子たち。

『男性の青い帽子もチラホラ見えたのはきっと気のせいだろう』とスヴェンは思っていたそうな。

 

『シンデレラの姉役を演じた時に男子から言い寄られたトラウマを押し付ける気なのだろう』だと?

 

 はっはっは……何の事だか。

 

 キンコンカンコ~ン♪

 

『みなさ~ん、今日で最後の生徒会長のミレイ・アッシュフォードで~す♪ まもなく私の卒業イベント、キューピッドの日を開始する前に簡単なルールのおさらいをしますねぇ~?』

 

 校内にあるスピーカー全てからミレイの声が響き渡り、誰もが臨戦態勢に入ったことでピリピリとした緊張感が普段ホワホワした学園中に広がっていきいかに今回のイベントが大掛かりなものなのか窺えた。

 

 とある女子は普段はしないメイクで自分を磨き、とある男子は普段外さない上着のボタンを外して自己アピールをしたり、またとある者たちは狩り対象の捕獲用の小道具を手に持っていた。

 

「♪~」

 

 階段にはジノを文字通りに上下から狙う女子たち。

 

「……」

 

 そしてボーっとしたどこか上の空状態のアーニャの周りにはクラウチングスタートダッシュを決めているラグビー部、巨大な虫取り網を構える昆虫採集部、どこからどう見てもバズーカ砲としか見えないネットガンを作った手芸部の男子たちなど。

 

「(いやあの光景、普通に犯罪臭しか匂わないのだが良いのか? セーフ? というか何気に『ユーフェミアの爆弾(行政特区)宣言』以来の大規模なイベントだな今回?!)」

 

 そんなスヴェンは帽子の渡し忘れの確認だけでなく、ルルーシュと事前に交わした不干渉条約の布石として女子たちをお互いから遠ざけるためになるべく学園の反対側を歩いていた。

 

「(さて……後はスタート宣言と共に、俺がこいつらを適当に撒いて後はマーヤかアンジュかヴィレッタを見つけてお互いの帽子をタイムリミットまで死守するだけだが……ルルーシュは知る由もないだろうな。 最後の最後にミレイがする爆弾宣言によって男女双方から全生徒と教師の注目の的になるだなんて。 まさに『血に飢えた獣の群れに投げられる餌』だ。 フハハハハハ。)」

 

『では始める前に私から一言~!』

 

「(お。 イベントスタート前のスピーチがキタ♪)」

 

 スヴェンは優男の仮面を維持しながら内心愉悦に浸っていると、中庭で見慣れぬ褐色の男子生徒を見かける。

 

「(お? 帽子忘れ発見。) あれ? 君は────?」

「────ああ、すまない。 この騒ぎは何だ────?」

「(────ふぉ?! なんだこいつ?! 男?! 女?! ……いや、男か。) 帽子を貰っていないのか?」

 

「?」

 

 スヴェンは見慣れぬ男子生徒────レドに声をかけてからスペアの帽子をレドの頭に乗せた。

 

 ポス。

 

「???」

 

「その様子だと、もしやミレイ会長のイベントは初参加か?」

 

「ええ、まぁ。」

 

「そうか……災難だったな。」

 

「???」

 

「君は多分、()()()()ぞ?」

 

「(こいつ、まさかオレが部外者だと勘付いている?!) ……“狙われる”、だと?」

 

「(あれ、こいつ……キューピッドの日を本気で知らなさそうだぞ? もしや真面目そうに見えてボーっとするタイプか?)」

 

 「ねぇ見てあの子。」

 「誰?」

 「知らない子ね……」

 「でも────」

 「────うん────」

 「「「「「良い感じね♡」」」」」

 

『では始める前に私から一言~! ……3年B組、ルルーシュ・ランペルージ! または()()()()()()()()の帽子を私のところに持ってきた部活は部費を10倍ずつ上げます! 両方であれば部費20倍というデラックスでスーパーなラッキーチャンス到来ということです!』

 

 「(え。)」

 

 キリキリキリキリキリキリ。

 

 ミレイの言葉にまるで氷柱が背中にぶっ困れたような冷たい感覚がスヴェンの背筋を伝い、一瞬だけ世界が止まったかのような静寂と共に彼の胃に痛みが走り始めた。

 

「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」

 

「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」

 

「ッ?!」

 

 ルルーシュ、そしてスヴェンの叫びが同時に響き渡るとレドはポーカーフェイスのままビックリする。

 

 「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」

 

 そして飢えた猛獣のごとくそこかしこで男女が一気にスヴェンとルルーシュの捕獲、そしてとばっちりでレドに一気に襲い掛かる。

 *注*深い意味(?)は特に無し。

 

「(うあああああああああああああ?! ウッッッソやろ会長ぉぉぉぉぉぉ────?!)」

「(なんだこの学園は?! 付き合いきれん────!)」

 

「「(────とにかく人気がないところへ!)」」

 

 優男の仮面とポーカーフェイスをしたスヴェンとレドは思わず同じことを思った所為か、二人は同じ方向に逃げ出し始めた。

 

「「(こいつ! なぜ同じ方向に?! 俺/オレを道連れ/囮にするつもりか?!)」」

 

 周りの女生徒たちの包囲を抜け出したスヴェンとレドは全速力で走り出そうとすると急にピタリと止まる。

 

「うおっとっとっとっとっと?!」

 

 スヴェンは足をつっかえそうになり、必死に悲鳴をあげる体に鞭を打っては気合で周りの皆のように動きを止まる。

 

「(これはロロがルルーシュを逃がしたアレだな、すっかり忘れていたぜ……()()でさえも俺には効かねぇのな。 つくづくチート過ぎて代償が怖すぎる……というか今考えたら、『無意識的なギアスの無効化にも代償が付く』とかじゃないよね?)」

 

 神のみぞ答えを知る考えにスヴェンは更に冷や汗を掻いた。

 

「(ヤバくね? 色々と。)」

 

 今更である。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 「ナハハハハハ! ここまでお・い・でぇ~♪」

 

 「「「「「ジノ様~♡」」」」」

 

 中庭の一つの中であっけらかんと余裕を持って手加減して走るジノの後を、何人か目をハートやシイタケマークに変えた女性たちが追いかける。

 

「……」

 

 そんな様子を、青い帽子をかぶったランスロット仮面がひっそりと物陰から見ていた。

 

「(よし、誰も俺がランスロット仮面だとは思っていないようだな……計画通り!)」

 

 ちなみにランスロット仮面の中はスヴェンである。

 

 普通はランスロット仮面でも十分に捕獲対象になるのだが実はこの行動、『キューピッドの日』のルールを逆手に取っていた。

 

 ミレイがルールのおさらいとして四つ目に口にしたルールを覚えているだろうか?

 

 ルールは『相手の帽子を奪ってもタイムリミット内に他人に取られれば、最終的に帽子を換えた人同士が学園公認の恋人同士』となる。

 

 つまり相思相愛のカップルならば帽子を取り換えて死守すればいい……と聞こえるが、その逆だとどうなるのだろうか?

 

 例えば、『誰が中に居るのか分からない着ぐるみや仮面に帽子を取られてタイムリミットまでに帽子を取り返していなければ』……となると、素性や見知らぬ相手と学園公認のカップルとして成立してしまう。

 

 そしてランスロット仮面は全身を覆うコスチュームデザインである為、中に誰が着込んでいるのか分からない。

 

 性別は帽子で示しているので、()()()()()()()()()()()()

 

「(『考え方がゲスイ』だと? 以前にも言ったがこれ、戦争なのよね!)」

 

 ……

 …

 

 

キュゥゥゥゥゥ(ハァァァァァァ)……」

 

 学園のとある通路で赤い帽子を着用した黄色いタバタッチがポテポテと若干ダウン気味に歩いていた。

 

「(なんで私来ちゃったのかしら?)」

 

 タバタッチの中に居たアリスは今更ながら自分が学園に来たことに自己不信に陥っていた。

 

 これが漫画ならばトボトボと歩きながら青い雲を頭上に浮かべているコマである。

 

「……やはり可愛い。」

 

「キュ? (ん?)」

 

 着ぐるみの中に居たアリスが見上げると、自分が思わず中等部の方に足を運んでいたことに気が付く。

 

「キュ?! (え?!)」

 

 そして恐らく『可愛い』を口にしたと思われるエカトリーナがキラキラした目で見ていたことと、彼女の背後にずらりと相手の捕獲用のネットガンや黐竿(もちざお)などを装備した群れにアリスはギョッと目を見開かせる。

 

「皆さん、作戦変更ですわ! 異議は?!」

 

「「「「「ありません!」」」」」

 

「では第一に『お姉さま捕獲』! 第二にあの子の捕獲よ!」

 

「「「「「イエス、マム!」」」」」

 

 「キュウゥゥゥゥゥ?! (なんでじゃああああああ?!)」

 

 アリスにとっての鬼ごっこ、スタートの合図である。

 

 ………

 ……

 …

 

「ふうぅぅ……何だこの学園は。

 

 ブラックリベリオン後に改装したアッシュフォード学園が誇る巨大な図書館にたどり着いたレドは思わずため息まじりに本心を口にしていた。

 

「(っと、いけない……思っていた以上に精神的ストレスを受けたようだ。 だがこの様な場所に来られたのは幸いだ。 本棚などで入り組んでいる場所にわざわざ帽子の奪い合いをする者好きなどいない筈────)」

 

 コツ、コツ、コツ。

 

「(────物好きが居ただとぉぉぉぉぉ?!)」

 

 レドはビックリしながら足音がした正反対の方角にある本棚の陰に隠れて様子窺っているとルルーシュが歩いてきていることに驚愕した。

 

「(よりによって『ルルーシュ・ランペルージ』?! ……いや、これはこれで好都合だ!)」

 

 レドは携帯を出しては静かに録画機能のスイッチを入れる。

 

 ……

 …

 

「(さっき様子を見たが、ジノは本当に『庶民の学園』を満喫しているようにしか見えなかった。 アーニャは俺の素性に引っ掛かっている様だが、そこまで重要視するほどではない。 これでナイトオブラウンズの件はクリアしたも同然……後は機密情報局のアジトで待機している咲世子と入れ替われば問題は無くなる。 ミレイ会長の悪ふざけで俺だけでなく、スヴェンにも迷惑がかかったことは予想外だが、これで────)」

 

 パッ!

 

「────やったぁぁぁぁぁぁ!♪」

 

 考えに耽っていたルルーシュの油断を最大限利用したミーヤはルルーシュの帽子をハグしながらクルクルとご機嫌良くその場で回る。

 

「これでルルーシュ君とカップルだー! アハハハハハハ♪」

 

 イラッ。

 

「あ、ああミーヤ君……ちょっと良いかな?」

 

「なーにー、マイハニー?♡」

 

「『その帽子を返してくれないかな?』」

 

「……はーい。」

 

 ……

 …

 

 「(いやちょっと待て! 何だ今のやり取りは?! 明らかに不自然すぎるぞおい?!)」

 

 レドはさっきからバクバクと力強く脈を打つ心臓を鎮めようとしながら、さっきまでキャピキャピしていた態度から平然と帽子をルルーシュに返すミーヤに内心で盛大なツッコミを入れた。

 

「(い、今起きたことを言葉にして整理しよう! 『ルルーシュの背後からミーヤという女生徒が帽子を取ったと思ったらルルーシュが“返してくれ”と言っただけで素直にミーヤが帽子を返した』…… な、何を意味するのか分からないが、明らかにおかしいモノの片鱗を見たのは確かだ!)」

 

 そして次に『ルルーシュが本棚の奥に入ってはすぐに出てくる』といった奇妙な景色を遠目に目撃しては脱力感が体中に広がっていく。

 

「(この学園、長居は不要だ……俺の頭がどうにかなりそうだ……さっさと脱出して、マルディーニ卿に報告を……どうにかなりそうだ。)」




ちなみにレドは設定資料によると『クール』ではなく、『感情が出にくいポーカーフェイスなだけ』らしいです。

『どこかの誰かに似ている』?

……シラナイコデスネ。
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