リアルの出来事による怠さでゴリゴリ気力が削られていましたが、『書きたい意欲』が出たたびに書き留めていた投稿です。
楽しんで頂ければ幸いです! m(_ _)m
アッシュフォード学園は初等部、中等部、高等部全てを兼ねそろえているので敷地面積は広大である。
よって前回の『猫探しイベント』などで戦果を挙げられていない部活は基本、『部費予算の見直し』を条件にミレイの指揮下で動いていた。
『こちら園芸部! ルルーシュが消えました!』
『こちら馬術部! スヴェンも同様に姿を消しました!』
「はぁ? (二人が消えた?)」
生徒会室から『キューピッドの日』の進行具合を確認していたミレイは上記を口にしながら、学園の地図と元々マリーベルが視察に来た際に開く予定だったイベント、『バトルロイヤル鬼ごっこ』の為に設置していた監視カメラを確認していく。
基本、この様なことは『ズル』なのだがミレイからすればここまでしないと『ルルーシュとスヴェン相手に学生たちには荷が重い』と判断した。
「(他人の好意に鈍感なルルーシュはともかく、“スヴェンなら私の言葉の意味を分かってくれる~”と思っていたけれどなぁ……やっぱり噂で聞く、カレンとの────)」
『────こちらラグビー部! ポイントKTの01にてルルーシュを発見────!』
「(────っと! 今は二人の内どちらかの確保を優先!) アッシュフォード学園の東全部活メンバーたちに通達! 男子寮と中庭を中心に包囲網を敷き、ラグビー部はそのまま突入!」
『『『『イエス、マム────!』』』』
『────これで部費はわがラグビー部の────』
『────とぅ────!』
『────どわぁ?!────』
『────さらば────!』
『────な、なんだ?!』
「ん?」
『俺を踏み台にしただと?!』
「へ?」
『こ、こちらラグビー部! 対象のルルーシュ、信じられない反射神経を披露して部員を突破しました!』
「……………………………………え。」
『つ、次の指示は?!』
「ッ! 馬術部はホール側面から回りこんでアーチェリー部は援護射撃! 科学部はルルーシュ、あるいはスヴェンを目視でき次第に一斉射!」
『『『『イエス、マム────!』』』』
呆けそうだったミレイはハッと考えを切り替えてはムキになったそうな。
……
…
「咲世子、変な掛け声と動きは止めろ────」
『────そう申されましても、息と同じで思わず出してしまいますので────』
「────俺の人格が疑われるからなるべく控えろ。」
『善処します────たぁぁぁ!』
言われている傍から奇声(?)を上げる咲世子の通信に、機密情報局のアジトの中でルルーシュは両手で顔を覆う。
「(まさか咲世子がここまでの天然だったとは盲点だった……108人の女生徒の約束を平然と受けた時点で想定すべきだったか……仕方がない。 方針だけを定め、これから体育の授業は咲世子に出てもらうとするか! とてもではないが、あのエルとやらもここまでの身体能力を保持していると思えんしな……そう言えば奴の姿が見当たらんが……それに先ほど合衆国中華の国境がきな臭い情報も……えええい! 何故上手く行きそうなときにこうも次々と事が起きるのだ?!)」
……
…
「(ルルーシュの動きがおかしい……流石におかしすぎるぞ、咲世子さん!)」
物陰に潜んでいた
「(アニメでは画面越しに所々しか描写されていないが、こうも実際に目にすると『アレ』だな……アレだ、アレ……変態だ。)」
「ねぇ、あれって……」
「ランスロット仮面?」
「帽子が青いから、中は男子……だよね?」
「帽子を取る?」
「中に誰がいるのか分からないのに?」
「そんなの怖すぎるわよ。」
「そうよねぇ~。」
「(フ。 計画通り────)」
「────キュウゥゥゥゥゥ────!」
「────ん?」
ランスロット仮面の中でスヴェンがほくそ笑んでいると、聞こえてくるはずのないタバタッチの鳴き声がした方向に振り返ると、大勢の中等部から涙目になって全速力で逃げている黄色いタバタッチとばったり目が合う。
クル。
「え。」
「キュウゥゥゥゥゥ! (居たぁぁぁぁ!)」
「え。」
そして目が合った瞬間、黄色いタバタッチは急な方向転換をしては真っ直ぐにランスロット仮面の居る場所へと走ってくる。
「キュウゥゥゥゥゥ! (何で逃げるのよぉぉぉぉぉ!)」
「(何でこっちに来るんだぁぁぁぁぁぁぁ?!)」
スヴェンは物陰から脱兎のごとく校内へと走り、彼の後を追うかのようなタバタッチの様子を見たエカトリーナの中で何かがピンと繋がる。
「こちら中等部のエカトリーナです! お姉s────スヴェンさんらしき男子を発見! ターゲットはランスロット仮面に変装している模様!」
『でかしたわ! 中等部部隊はそのままローラー式にスヴェンを追跡!』
スヴェンの状況も悪化した瞬間である。
今の俺の状況を説明しよう。
一行で。
『イベントのルールを逆手にとって中身がわからないランスロット仮面に変装していたら大勢の中等部に追われていた黄色いタバタッチに見つかって擦り付けられた集団に俺も追われるようになった。』
「キュウゥゥゥゥゥ! (助けなさいよぉぉぉぉぉ!)」
ちなみにカッコに入っているのはあくまで俺による解釈だ。
『どうやって』だって?
勘。
「キュウゥゥゥゥゥ?! (待ちなさいよぉぉぉぉぉ?!)」
こっちに来るなぁぁぁぁぁぁぁ!
とんだとばっちりというかアレだ! これってまんま一昔前の『MMO擦り』やんけ!
「ホホホホホホホ!」
というか何気に『ナイトメア・オブ・ナナリー』のエカトリーナがいるのは気のせいじゃなかったんかい。
「来た!」
っと、角を曲がったら中世の大砲の列ががががががががががが。
「総員、
ボボボボボボン!
焦っている場合じゃない。
『受ける』?
確実に帽子を取られる上に身動き取れないからどうなるか分からない。
『避ける』?
その時間はない。
まぁ特典を使えばいいかも知れないがこんな大衆の前で使うにはリスクが大きすぎる。
身体も本調子ではないし。
なら答えは一つ。
ギュ。
「キュ? (え?)」
「とぅ!」
黄色いタバタッチの手を取りながら咲世子さんみたいな掛け声をした俺は強化スーツの出力を全力にして、飛来してくる
ちなみに掛け声は気分だ。
「「「「な、なにぃぃぃぃぃぃ?!」」」」
べちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃ!
「きゃあああああ?!」
「な、何これぇぇぇぇ?!」
「ふ、服が?!」
「ちょっと押さないでよ?!」
「いやぁぁぁぁぁぁ?! お尻を触ったの誰ぇぇぇぇ?!」
「あ♡」
そして背後からは俺(というか黄色いタバタッチ)を追っていた中等部たちの悲鳴が響いてくる。
『ええから振り返って状況の委細をワイらにも教えろ』だと?
……まぁ、きっとアレだ。
『シャラララ~ン☆』と背景音がしたり、どこからともなく花が咲いたり、自主規制の部分とかをタイミングよく見せないように花弁がひらひらと舞うようなちょっぴり成人向け的なアレなサムシング的なハプニングだ。
『女性のツイスターゲームなもみくちゃ状態』とも。
『例が古いwww』だと? ほっとけ。
着地と同時にちょっと複雑そうな表情を浮かべる黄色いタバタッチ。
「キュ?! キュキュキュウウゥゥ?! (で?! これからどうすんのよ?!)」
「何をするかって? そんなの一つしかないだろう?」
「キュ────? (え────?)」
「────逃げるんだよぉぉぉぉ────!」
「────キュウゥゥゥゥゥ?! (えぇぇぇぇぇぇ?!)」
俺が全力で(強化スーツ頼みに)逃げ出すと、黄色いタバタッチも手(フリッパー?)をアタフタと振るい、慌てながらついてくる。
よし、このまま人のいないところに逃げ────ん?
角を曲がった先にあるあれは……確かアニメでルルーシュの足止めを試みた『幻惑部隊』とやらか?
フ、だが悲しいかな?
俺は既に前世で(多分)大変お世話になったことで鮮明にイメージは覚えている!
確か左からミレイが以前に着たミニスカエロナース、『あかいいなずま』ならぬ『えめらるどいなずま』にハイヒール、殆んど両面テープ頼りに着物兼巫女服を大胆にはだけさせた女生徒、鞭を持ったSっぽい女王、スカートをギリギリまでたくし上げた控えめのゴスロリっ子。
……ムホホホホ♡
やっぱええもんはええわ~♡
ボフ!
「キュウゥゥゥゥゥ! (何ボケっとしているのよ?!)」
ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカ!
足を止めた俺の背中に黄色いタバタッチが乗っかっては、頭や首をポカポカと叩き始める。
いてててて!
可愛らしい効果音なのに地味に痛いぞ?!
どういう理屈だべ。
俺は黄色いタバタッチをおんぶし、そのまま校舎裏に駆け込む────
「────おりゃあああああああああああああ!!!」
ブゥン!
い、いま眼前で起きたことをそのまま思い浮かべるぞ?!
『角を曲がったら鬼の様な形相をしたアンジュがラクロスラケットを全力で振りかぶってきた。』
イミガワカラナイヨ。
「ちょっと待てアンジュ!
「────取り敢えず帽子を寄こせスヴェン!」
よし。 逃げよう。
「逃げるなぁぁぁぁぁぁぁ!」
無理。
最初は『アンジュに帽子を取らせてもいいかな~?』と少しだけ思っていたが『顔が狩り人』というか『血走った目』というか尋常じゃない気迫が俺の本能に『
「キュウ! (てりゃあ!)」
ドゴ!
「ごぇ?!」
おおおおお?
黄色いタバタッチが俺の背中から飛んではアンジュにイナズマキックをお見舞いしたぞ?!
「キュ!」
そして今度はキリっとしながら俺を見てサムズアップする。
これはあれだ、『ここは私に任せなさい!』的なアレだ。
じゃあ、お言葉に甘えるとしよう!
「恩に着る、
「ギュ? (あ゛?)」
なんか知らんがスゴイ睨まれた……ような気がする。
ん?
二人の動きがピタリと止まったぞ?
「キュキュウ。 (一時停戦にしない?)」
「……良い考えね。」
んんんんんん?
なんだか雲行きが怪しくなったぞ?
ガシッ!
アンジュと黄色いタバタッチが止まったと思ったら、今度はアンジュが黄色いタバタッチの頭部を掴んで無理やり引きはがそうとする。
「それより誰なのよアンタ?! いい加減ソレを取りなさいよ!」
「キュウゥゥゥゥゥ! (取ったら色々とマズイのよ!)」
「そんなの知らないわよ!」
「キュキュキュウゥゥゥゥゥ! (それに取ったら私だってバレちゃうじゃない!)」
「それこそ知らないわよ!」
……………………なんかこの二人のやり取り、似ているな。
ちなみに黄色いタバタッチの中身はアリスだとこれで確信を持てた。
さっきの『見知らぬ人~』のセリフは彼女の事を思っての物だ。
何せ『ナイトメア・オブ・ナナリー』の事と、ライブラの転入の後も考えると恐らく彼女はイレギュラーズの依頼でミレイやアッシュフォード家辺りの監視とライラの護衛も兼ねていたと思う。
当時は『イレギュラーズ』という後ろ盾も、その時からの偽造工作が活きていたから何とか学園に居座ることも出来たがその時と今では色々と事情が違う。
「スヴェン、こっちよ!」
俺が考えながら走っていると、手を振りながら声をかけてくるマーヤによって意識が引き戻される。
周りを見れば、ここら辺は高等部でもあまり人気がないエリア。
マーヤが誘っているのは空き部屋か何かか?
確かに『タイムリミットまで人気のないところでやり過ごす』という案はものすごくいいが────ちょっと待て。
なぜ君はダイアル式じゃなくて鍵式の南京錠を取り出し────『“時間”に意味はない』。
マーヤは目の前から文字通りに消えたランスロット仮面に戸惑う事はなく、取り出し始めた南京錠を元に戻し始める。
「(うーん、どうして慌てて逃げたのかしら? 御身を囮にしてここに厄介な者たちを閉じ込めたら一気にハードルが下がるというのに……ハッ?! もしや既にお考えが────?!)」
「────あ! マーヤ先輩です!」
「え? あ、ああ。 どうしたのライブラさん?」
「さっきスヴェン先輩、ここにいなかったです?」
「そう? 見間違いじゃないかしら?」
「ふーん……あ! シャーリー先輩です!」
ライラが窓の外を見ると騒がしい学園の中で一人だけポツンと困ったように周りを見るシャーリーが居た。
「ええ、そうね。 (あの様子だと、ルルーシュに扮した咲世子の行動に違和感を覚えているようね……無理もないわね。 まさかおっとりとしている咲世子があれだけ非常識だなんてあの方もビックリしていたぐらいだし。)」
「あ! 今度は泣きながらバイクに乗っているリヴァル先輩です!」
「ええ、そうね。 (うわぁ……あれだけ泣いてよく走行できるわね? 一種の才能よね……それだけミレイ会長のことを────)」
「────あ!
「ええ、そうね────
ライラが見上げている視線先をマーヤが辿ると確かに
「ハ?」
マーヤは気が付いた他の生徒たちみたいにポカンとした。
「(あ。 マーヤ先輩たち、驚いた猫みたいな顔してるです。)」
………
……
…
「ぜはぁ……ぜはぁ……ぜはぁ……ぜはぁ……」
スヴェンは体育館と繋がっている薄暗い地下倉庫の中で仮面を取り外し、過呼吸気味の息を正そうとしていた。
「その……災難でしたね?」
そんな彼は濡れたタオルと水筒をぎこちない様子のヴィレッタに手渡され、彼は汗を拭きとる。
「ま、まぁな。 (まさかマーヤから逃げるために思わず特典を使って窓から飛び出たところで気を失うとは思わなかったな。)」
それもその筈。
スヴェンは気が付いていないが、気を失った理由は単純に今まで無理をして動かせていた体で全力疾走しただけでなく、元々行動の補助をする為に着込んだ強化スーツのブーストをかけた急な動きをした所為と特典の反動による激痛とショックで彼は無意識に気を失った。
またの名を『気絶』とも。
そして彼が痛みをそこまで感じていないのは着ている強化スーツが微弱な電気を流して痛覚をマヒしつつ、光ファイバー網技術が体内の各臓器を圧迫して機能促進と保護も図っていた。
「ハアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…… (なんだか胸の奥底から強烈な憂鬱感がにじみ出始めたぞ……)」
「その……やはり大丈夫そうではないようだな? 体調不良による倦怠感か?」
「(やべ、声にしていたのか俺。) ……そうかもしれん。 最近、
「聞きましたよ?」
「何をだ?」
「……アヴァロンの事を。 緘口令を敷かれていましたが、ブリタニア側ではかなりの噂になっていますよ?」
「そうか。」
「(普通なら、ここで威張らないのも彼らしいと言えばそうだが……何故かもっとドンヨリとしだした?) それで聞きたいのですが……やはり貴方が今回『逃げる』と言う事は、
「ん? (それってどゆこと、
「えっと……こう言っては何だが、ミレイに帽子を取られればルルーシュが大変になるからか? それとも、ミレイに帽子を取られたくない理由は別の
「(ああ、なるほど。) どちらかと問われると、
「そ、そうか。」
「(なんだかヴィちゃん、嬉しくなっていない?) 嬉しそうだな?」
「へぁ?! そ、それはその────」
「────まぁ以前、
「────約束────?」
────ドゴォン! バキバキバキバキバキ!
頭上からくる轟音がヴィレッタの言葉を遮り、天井が崩れると急に薄暗かった倉庫が陽光によって照らされる。
落ちてきた瓦礫によって巻き起こる砂塵と眩しい太陽の光がヴィレッタとスヴェンの視界を奪い、KMFのマニュピレータがスヴェンを掴む。
「おわ?!」
『────やっと見つけた────』
「(ま、マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! というかこれってまるっきり『キ〇グ・コ〇グ』のワンシーンじゃねぇか?! たぁぁぁしけてぇぇぇぇぇぇ!)」
下半身が動かないことで予想はついていたが、目が慣れたスヴェンが見たのは自分を掴んだモルドレッド。
『これで────』
「(────流石というか、ラウンズなだけに操縦技術が高いな! 痛くはないが全く抜ける気がしない────!)」
「────な、ナイトオブシックス様────!」
『────ん?』
モルドレッドの中に居たアーニャは地上から来る声に機体のメインカメラの景色を移すと、通信用のインカムを付けたヴィレッタが居た。
「ナイトオブシックス様! ここは機密情報局の作戦地域です! どうか、ナイトメアを速やかにお引きください!」
『……ダメなの?』
「ダメです!」
『……………………ダメ……』
「(た、助かったぁ~……ん? アレは咲世子さん?)」
「(すみませんスヴェンさん。)」
この様子を近くの図書館内から、ルルーシュに変装中の咲世子が申し訳なく窺っていた。
流石の彼女もナイトメアが出てきては追跡を撒くのは無理と感じたのか、どういうワケかあまりアーニャと関わりを持たないようにしながらも世話を遠目から見ているスヴェンにモルドレッドを擦り付けていた。
『不利な立場に陥った獲物が自分を狩ろうとするモノへの対処として、最も使われる手は他のエサで見逃して貰う。』
これは何も自然界の動物たちに限定された行動ではなく、人間もよく使っている手である。
物理的にも、社会的にも。
「よ────グッ。」
モルドレッドの手から降ろされたスヴェンは興奮状態の緊張が解れていくほど、体中が上げる悲鳴に思わず尻餅をその場で付きそうになるのを踏ん張っていると、学園の外から警察のサイレンが近づいてくる。
「(そう言えばアニメでも、モルドレッドの出撃で政庁は慌てていたな……)」
……
…
「咲世子……よくやった。」
「いえ、ルルーシュ様もお疲れ様です。」
「(さて、アクシデントは色々とあったが計画を最終段階にしようか。) ……ハァァァァ。」
図書館の本棚の奥にある秘密のエレベーター内でルルーシュは咲世子と入れ替わり、本棚が閉まるとルルーシュは頭を抱える代わりに似合わないため息を出す。
「(たかが学園のイベントに軍用KMFを持ち出すとは……ジノはともかく、まさかアーニャまでが一般の常識に欠けていたとは誤算────)」
「────ルル?」
「うあ?! シャシャシャーリー?!」
窓からトボトボした様子のモルドレッドを見ていたルルーシュは背後からくる声に振り返ると、困ったような笑みを浮かべたシャーリーにビックリする。
「(な、なぜここに?! いや、本棚の陰に隠れていたのか?! その前にまさか機密情報局の隠し本棚を見てしまったのか────?!)」
「────大丈夫? 完全に遊びモードになった会長の相手って、大変でしょ?
「ッ。」
シャーリーが口にした言葉にルルーシュはヒュッと息を飲み込み、血の気が引いていくことで冷たくなっていく彼の体は冷や汗を掻きだす。
「(やばい……『見られた』、だと? どう説明すれば……ギアスを使うか? だが彼女の記憶を弄るなど、それこそあの男がやったことと同じだ! だ、だが────!)」
「────まぁ、そう彼を焦らさないでくれ。」
「「へ/何?!」」
ルルーシュとシャーリーが横の本棚の上を見ると、そこにニヤつくエルが座っていた。
「え? え?! ルルが二人────?!」
「────んな?! (こここここいつは何で今この時に姿を現す────?!)」
「────シャーリーさんとこうやって会うのは
「へ?」
「(は?)」
「もっとも、両親とかがちょっと古い考え方だったからさ? 『双子は忌み子』、ということから
「(────な、何を言っているんだこいつは?! そんな突拍子もない、胡散臭い作り話をいくらシャーリーでも信じるわけが────!)」
「────あ! だから最近のルルってば
「…………………………(通じた……だと?)」
エルのそれっぽい話に頷きながらホッとするシャーリーの姿にルルーシュが必死に言い訳を考えていた所為で感じていた緊張感が全て脱力感へと転換していく。
「ハハハ。 まぁそう言う事だからさ、
「へ────」
「────ちょっと待て貴様! 何を勝手に口走っている?」
「なんだ、だったら彼女は
「────グッ────」
「────そもそも鈍感な兄さんでも、薄々気が付いているのでは? 無意識的に恥ずかしくて避けていたことに────?」
「────ちょっと待て────!」
「────ねぇルル……それって本当?」
「あ……えっと……その……」
シャーリーの問いに、ルルーシュは目を泳がせるといつの間にかエルの姿が消えていた。
「(あ、あの薄情者が! ここぞというところで逃げるとは!)」
「ルルは、いや?」
「は?! な、何をだ?!」
「私が一緒に居ると、迷惑?」
「そ、そんなことは……」
「じゃあ、嫌い?」
「それはない。 それどころか……」
「“それどころか”?」
「(正直、シャーリーのひたむきな明るい性格には何度も助けられている。 部活と生徒会の掛け持ちをしつつ彼女なりにナナリーの世話や相手をしたり、スザクが転入した時も偏見なく第一に声をかけた。 バベルタワーで真の過去を思い出して荒む心を時々忘れさせるくらい、昔の元気のまま接してくれた……それに咲世子による滅茶苦茶なスケジュールの所為で映画に行く約束に遅れてもイラついてはいたものの、許してはくれた……だがこれ以上、彼女の周りに居ればいずれ巻き込んでしまかねない。) ……シャーリー、俺は君のことを嫌いでも迷惑とも思っていない……ただ、その……えっと────」
「────いいよ。」
「え?」
「こういうとき、ルルが言い淀むって言えないこととかがあるからでしょ? だから説明とかは、今はいいよ。 だからさ────」
シャーリーはそのまま自分とルルーシュの帽子を取り換える。
「────待っているから。 話せるときまで、待つから。 いつまでも。」
「……ああ。 いつか、全てを話すよ。 約束する、絶対だ。」
「……うん。」
リーンゴーン、リーンゴーン。
『キューピッドの日』の終わりを告げる為、アッシュフォード学園内にある礼拝堂の鐘が鳴る中でルルーシュとシャーリーは完全にさっきまでの出来事が綺麗さっぱりなかったように自分たちの世界に入り込んでいた。
リーンゴーン、リーンゴーン。
鳴り響く鐘はどこか、二人を祝福する様な音色で続いた。
どこぞの℃じゃない軍人:いつ『スヴェンに何事もなかった』と錯覚した?
作者:まぁ……その……うん、彼の帽子も……ハイ…… (;´д`)ゞ ←汗ダラダラ+目が泳ぐ
おはぎちゃん:次回は戦闘パートがあると思うよ! (多分
追記:
どうでもいいかもしれませんが、後編のイメソンは『With you』でした。 ( ・д-☆