お読みいただきありがとうございます、楽しんで頂ければ幸いです!
今回はアマルガム兼合衆国日本SIDEです。 (汗
旧中華連邦の首都である洛陽は国が合衆国中華に変わっても、星刻たちと紅巾党の根回しもあり首都としても国の中心としての機能を残し、継続していた。
新しい国としてまとめられつつあるが、現在の合衆国中華は以前の三分の二ほどの領地を維持しているおかげで人口はさほど低下していない。
が、元々横領や悪質な経費削減など好き勝手やっていた武官や国力低下を気にせず己の欲を通す為だけに動いていた大宦官たちのおかげで衰弱死、問題だらけの国をそのまま引き継いだ形なので未だに騒がしくもあった。
洛陽や
それでも『国』としての機能と体裁を保っているのは星刻たち、そして合衆国日本の亡命政府による働きが大きい。
ドォン……ズズゥン……
戦闘音と崩れる建物の音を背景に、旧中華連邦の
『何故だ?! なぜこうも簡単に第6機甲師団が追い込まれる?!』
『左から高熱源、来ます!』
濃い赤に塗装された無頼改たちは地面から飛ぶと左方向からレーザー光線の様な物が飛ぶタイミングを逃した無頼改たちの足や元々『移動式砲台』としか設計されていない
『クソ! まただ!』
『後は我々三機だけか……』
『少佐────!』
『────やはりあの攻撃は連発が出来ないと見て良い! 建造物の残骸を盾にして散開! 西へ逃げた将軍たちと合流するのだ────!』
────ドゴォン!
三機の無頼改が盾にしていた建物の壁が内側から吹き飛び、一機がそれに巻き込まれて転倒する。
ガァン!
吹き飛んだ瓦礫に当たらずにいた二機の無頼改はモクモクとする砂塵の中から出てきた紅鬼灯と紅蓮のパイルバンカーに腰を貫かれ、脱出機能が自動的に作動する。
『息ぴったりですね、カレンさん!』
『……うん。』
『どうしたの、カレンさん?』
そして今日も元中華連邦の基地を拠点にしている盗賊や領主のようにふんぞり返って民を搾取していた元武官たちの鎮圧を紅蓮・強襲型と紅鬼灯の援護で敵性KMFを押さえ、合衆国中華の機械化歩兵部隊が中心となって作戦を行っていた。
『ハァァァァ……ううん。 ただ、その……“今日も簡単だったなぁ”って思っていただけ。』
『それは単にカレンさんのおかげですよ! こう……バビューン、ドカーンって右から左に千切っては投げ千切っては投げて!』
『そ、そう?』
『そうですよ!
『…………………………………………そう。』
『(あ、あれれれ? カレンさん、余計に気落ちしちゃった?)』
作戦がほぼ終了していることを確認しつつ、明らかに自分の言ったことでドンヨリする紅蓮・強襲型にベニオは困惑した。
ここで彼女が口にした『あの時』とは無論、ほぼ
実際に操縦をしていたのはスバルだが、彼の『目立ちたくない』傾向とゼロの緘口令も出ていたことで『村正・陽炎タイプのパイロットは毒島だった』ということになっている。
『(でも毒島さん、綺麗だったなぁ~。 カレンさんと同い年とは思えないほど凛としていて、大人びていて、落ち着いて……落ち着いて……………………………………)』
後半に考えが近づくにつれ、ベニオが内心と共に体を震わせた。
理由は『村正・陽炎タイプのパイロットは毒島事件』からより彼女を意識し、元々原作の
「(
そして彼女と手合わせした猛者たちの末路はかなり酷かった。
あまりのトラウマの所為か毒島を避けたり、彼女の存在に敏感になっていたり……あとごく少数だけだが毒島の言いなりになっていたりしている男たちもいた。
『……よし! 帰ったら毒島に手合わせを願うとしよう!』
『え、なんで?』
ようやくカレンが復活したと思ったベニオは思わず内心でツッコミを入れたそうな。
『モヤモヤしているときは体を動かすのが一番だから!』
『あ、そう言われてみれば分かるかも!』
「ハァァァァァァ……」
今度は二人のオペレーターを務めていたサヴィトリが顔を両手で覆った。
「(メロンソーダが飲みたい。)」
…………
………
……
…
どの国がどのように栄えていても、領地が広大であればあるほどに『正式な用途のない土地』────またの名を『廃墟』────は存在する。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ!
『き、きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『落ち着いてベニオ!』
廃墟にある一つの高層ビルが崩れ、紅蓮と飛翔滑走翼を付けた紅鬼灯が宙へと飛び出す。
『ベニオ、避けて!』
カァン!
カレンの言葉を半ば本能的に従ったベニオの機体を弾丸が掠る。
『カレンさん────!』
『(────今の弾丸が来た方向は……あそこのビルっぽいね!)』
ベニオ機を掠った弾丸の軌道を予測したカレンは、出力を上げた右腕の輻射波動機構を向ける。
……
…
『どうだ────?』
『────掠っただけです。』
カレンが紅蓮の輻射波動機構を向けていたビルの内部から毒島の村正・陽炎タイプが噴射機を使って飛び出て、レイラは新しい機体────『アレクサンダ
アレクサンダエスペランス────略すれば『エスペランス』────とはシンとの激戦の末に半壊したアシュレイのレッドオーガとアキトのリベルテから得た戦闘データと、スバルが開発した村正シリーズ由来の技術をベースにした機体である。
見た目と大きさはアレクサンダと村正シリーズの中間辺りであり、インセクトモードになる際にはサブアームも展開して村正シリーズの武装やさっき使った可変式電磁
そして複合装甲のせいで排熱量の向上の為、どこかで装甲を削らなければいけなくなった際にはレイラたちの『では顔をむき出しにしましょう/しよう♪』ということから、骸骨に鬼の仮面をつけた様な頭部が出来上がった。
『では私はでるとしよう────』
『────私も位置を変えます。 恐らく、長距離輻射波動が来ます。』
『そうか。 ならば手筈通りに援護を頼む。 相手は二機だけだが、その中に紅月……カレンが居るからな。』
『無論、全力で抑え込んでみます。』
輻射波動が毒島とレイラたちの居たビルに当たるとガラガラと崩壊し、毒島とベニオの廻転刃刀が衝突する。
『(機体のパワー差がこんなにあるの?!)』
だが一回り小さい紅鬼灯は今までの村正シリーズよりは軽いと言っても通常のKMFよりは大きい村正・陽炎タイプに物理的に押され始める。
『度胸は認めるが、真正面から受けるのは感心しないなベニオ君!』
『知っているから大丈夫────!』
『(──── “知っているから大丈夫”? どういう────?)』
『────上ですサエコ!』
レイラの声に毒島が見上げると、アレクサンダ02にブースターなど改良した様子の機体が巨大な斧で切りかかってくる。
『よぉ、毒島!』
『リョウか!』
毒島の思考に反応して、村正・陽炎タイプの腰にある噴射機が向きを変えると機体がリョウ機の攻撃を躱す。
『行きますよ、佐山さん!』
『一歳違いなのに“さん”はいらねぇよチビ助!』
『チビ言うなぁぁぁぁぁぁぁ!』
毒島機はサブアームを展開して空いていた左手に(機能的には)何の変哲もない近接戦用短刀を装備しては二機の相手をし始める。
近接戦用短刀とはエナジーフィラーを元々内蔵している村正シリーズのエナジー負担軽減の為に補助兵装として常備される予定の物である。
なおここで『短刀』と名称されているが、機体のサイズ差から現存するナイトメアからすれば十分『小太刀』のサイズと言え脅威である。
『(リョウにベニオか。 これは少し────)────ん?!』
機体のセンサーのアラームが直に『寒気』として伝わり、彼女はその場から飛ぶと今度はリョウ機のように改良され、フロートユニットの出力を全開にしたレッドオーガがほぼ見えない速度のままヒートサーベルで突いてくる。
『流石リョウたちの評価するブスジマだぜ!』
『(三機も私に宛がったというのか────?!)』
────ガァン!
『うわ?!』
毒島は突然自分の機体の右腕が撃たれたことで外れ、それをBRS越しに感じてはびっくりするような声を出す。
……
…
『あ、当たりました!』
少々距離を置いて毒島達の様子を見ていたのは毒島の機体よりも一回り細く、村正シリーズでも軽量化と共に隠密と機動力に力を入れた村正・月光タイプが電磁電磁
『良い上達ぶりです。』
その隣には黒く塗装されたジャンのグラックスもあり、彼女の長距離キャノン砲は位置を変えていたレイラ機を狙っていた。
ビィー!
『しまった! 飛び降りますよ!』
『え? え? え?』
アラーム音にジャン機はユーフェミア機を半ば無理やり潜んでいた建物内から押し出し、自分も飛び降りると到底人間が騎乗しているとは思えない軌道で彼女たちが居た場所を襲うナイトメアたちが襲撃する。
『(やはり来たか。 流石は『魔女』だな!) 各機、敵はやはりドローン機を使用している!
……
…
『(敵の順応性が早い! やはり相手の指揮を執っているのはジャンさんでしたか。 それに、カレンさんたちの配置に采配が的確────!)』
『────レイラ、ジャンは私に任せろ。』
『では他の方たちはドローンと私の援護射撃で牽制しておきます。』
『もしや流れ弾で私を討つか?』
『まさか。 シュバールさんは貴方を生かしました。 つまり私に貴方を討つ理由がありません。』
『……そうか。』
レイラ機にアレクサンダ・リベルテに似た機体の中に居たシンが皮肉たっぷりの通信を送るが彼女の返信に毒気を抜かれ、シンの機体は噴射機を作動して戦場へと乗り出す。
『さて、義眼の慣らしの次いでにBRSとやらの性能を見せてもらおうか────!』
『────兄さん!』
シンの前に、自分と同じ機体に乗ったアキトと毒島機に似て接近戦特化機に乗ったアヤノが現れる。
『アキトと……アヤノとやらか。』
『兄さんに“無茶するな”なんて言わない。 だから大事になる前に兄さんを止める!』
『うわぁ……こういう時のアキトたちって、真面目だよね。』
『『どう言う意味だ。』』
『こんな時でも息が合うのね……まぁ、最初に会ったときは“近づきすぎると斬るぜ!”みたいなとげとげしい態度だったけれど “本当はどうやって他人と触れ合えば良いのか分からなかったからムスッとしていた”なんて可愛いじゃん。』
『『……』』
ガキィン!
『ちょっと私を無視しないでよ!』
人数や機体の数もあってかなりのカオスな『手合わせ』に廃墟が野原へと変わって行く中、『手合わせ』は参加者たちのコックピット内にアラーム音に何かが焦げる匂いと煙で充満するまで続いた。
………………
……………
…………
………
……
…
ここでコードギアスの世界にある、KMFの仮想訓練用シミュレーターについて少し話したい。
戦場の映像や揺れや機体状況にヒッグスコントロールシステムの応用によるGの再現で機体やパイロットへのフィードバックなどをほぼ忠実に再現するソレは、現在の『VR』を軽く凌駕するハイスペックな代物である。
元々はグラスゴーの初披露とインパクトを世界に与える為に開発されたそれは開発に開発を重ねた結果、ブリタニアの騎士用だった高性能な機材は現在、調節次第であらゆる仮想訓練に応用できるようになっている。
それだけに、高性能になればなるほどシミュレーターはどこの国や組織でも重宝されている。
特にインド軍区など、KMFや兵器の新開発に力を入れて国の経済を潤わせている国は小国とはいえシミュレーターの元祖ブリタニアとほぼ同等なモノを持っていてもおかしくはない。
さて。
“ここまで来てなんでこんな話を~”と思っているかもしれないが、取り敢えず高性能で現実とデータを忠実に再現できるシミュレーターは帝国外では入手方法も値段もメンテナンスも嵩張ると言いたかっただけである────
「────それらを踏まえた上でもう一度聞くけれど……
蓬莱島で桐原の配慮からアマルガム用に切り取った様な一角にある建物内部で、白衣を着たマリエルは腕を組みながら珍しくこめかみをピクピクさせながら正座で畏まっている毒島、カレン、レイラ、アヤノ、アキト、リョウ、ベニオ等々を見下ろしていた。
ちなみにそこには正座を強要されているアンナの姿もあり、マリエルの背後にはモクモクと煙を吹きながら火事でもあったのか所々焦げている数々の仮想訓練用シミュレーター台があった。
「「「「「あー、そのー……」」」」」
「「えっと……煙を吹くシミュレーター?」」
「「「「レイラ/カレンさん、ぶっちゃけ過ぎ!」」」」
「うんうん♪ そうだよね♪ その前までは『火を吹くシミュレーター』だったよねぇ────♪」
「「「「「「────う────」」」」」」
「────私が聞きたいのは、どうしてこうなったの?」
「「「……」」」
皆がアンナ、カレン、毒島、ベニオを見る。
「あ、その、えっと……実はこの間の機体や戦闘データを組み込んで、レイラ用の機体とシステムのテストを────」
「────わ、私は普通に手合わせを申し込んで────」
「────そして手合わせならばこの際にレイラやシンなどのリハビリに丁度いいかと思って声をかけた────」
「────それで“私も~”と思って他の人たちにも声を────」
「────うんうん♪ つまり芋づる式に巨大化した模擬戦だね♪ その気持ちは分からないでもないよ? じゃあ何でここまでなるような設定と模擬戦を行ったの?
「「「「「「「……」」」」」」」
今度はカレンたち四人が部屋の端でバケツを頭に乗せたまま立たされているラクシャータを見る。
「あー……一応言うけれどこの人数のシミュレーションって────」
「────ラクシャータさんはシミュレーターが火を吹き始めても面白がってデータを得るためにずっと黙認していましたよね? ですから同罪です。 この子が匂いに気付いて様子を見て、被害が出る前に慌てて私に連絡をいれてきたからいいけれど……そう言えばアシュレイ君は何でここに?」
「ん? んー……最初は巡回のさb────散歩に出ていたんだけれどよ? 焚き火の様な匂いがしてみたらこいつらがオロオロと慌てていたんだよ。」
「ぅ?」
クラウスが視線をマリエルから離し、横でエデンバイタル教団から保護した無表情な孤児の一人を見る。
「しっかし、シミュレーターをこう何台も一気にオジャンにするとはおっかねぇな! はっはっは!」
「笑いごとじゃないよ、もぉー……元々ミルビルさんたちが伝手で得ただけに現役物で数が少ないのに……」
「んなの、横流しされているヤツを買って直せばいいじゃない。 ピースマークとかガナバティとかから。」
「ラクシャータさんは粗悪品を扱ったことがないから、そう気軽に言えるんですよ!」
「「「「(シミュレーターで粗悪品なんてあるの?)」」」」
「変な癖がハードウェアに密着しているわ、煙草やパイプを吸った奴が中に居た所為で匂いが沁みついているわ、Gや機体のデータの再現力が欠落しているやつとかあるわでぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ。」
「じゃあ聞くけどさ、マリエル? あんたは技術者として、アンナちゃんの開発した新しいシステムとかシンちゃんの義眼の調子とかが気にならないわけ?」
「「「「「(『シンちゃん』……だと?)」」」」」
「めちゃんこ気になります。 まさかシンプルな動作やプログラムしかできないドローンの複雑化と応用力をここまで引き出せるなんて思わなかったし、これの大規模な運用化が出来たら『戦争』自体が変わっちゃうしブツブツブツブツブツブツブツブツ……」
「アンタやレナルドが作っているスーツや義手とかや、ネーハの様な者が出ないようになるんだからいいじゃない?」
「……私はラクシャータさんみたいに楽観視できません。」
ここでずっと黙っていたレイラが口を開けると毒島も彼女に続いた。
「そうだな……皮肉だが、『戦闘行為による被害』が出るということ自体が一種の抑止力となっている。 それが無くなれば、戦争が頻繁に行われるかもしれん。」
「あ、あれでしょ? 弓矢や機関銃を作った人の“これで戦争が終わる”というヤツ……って、なんです? そのビックリする目は?」
「いや~、皆
「「「「ラクシャータさんッッッ!!!!」」」」
「えへへ~、照れちゃうな~。」
照れるベニオの様子に、誰もが『本人が良いならそれで良いか』と思ったそうな。
一人を除いて。
「(う~ん、このモヤモヤとイライラは……スバルが何かやらかしている様な気がする……)」
作者:野生の勘、恐るべし。
ピンクちゃん:オマエモナー。
おはぎちゃん:ユフィちゃんが生きていることを知った人たちの反応は~?
次話はアッシュフォード学園SIDE……の予定です。 (;^ω^)ゞ