小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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前回が短めでしたので今回はちょっと長めです。 (´・ω・`)

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第24話 原作の初回サービスシーンをミスる

 マジでビビった。

 

 なんでルルーシュのギアスが(スヴェン)に効かなかったの?

 いや、こう……『答えたくなる』感じが湧き上がったから効いたのか?

 けど……それだけだぞ?

 え? なんで? え?

 もしかして俺の勘違い?

 ルルーシュのギアスはこの世界では違う効果なのか?

 でもカレンは原作通りに全部ゲロっていたし、ルルーシュの様子だとちゃんと『ナイトメアから降りろ!』も原作通りの流れのまま……

 

 最後もちゃんと原作通りに、シャーリーが二階の窓から彼とカレンの様子を窺っていたし……

 

 なんで?

 分からない。

 

「だから昴はどう思う?」

 

 今思い浮かべられる要因としては、俺には『前世』がある。

 つまり、俺には『前』と『今』があるから?

 

 いやいやいや、それでも変だ。

 以前にも言った通り、ルルーシュのギアスは対象の神経(シナプス)に直接働く力だ。

 だから構造上コードギアスの人間と同じな俺も同じくルルーシュのギアスにかかる筈なんだが……

 

 あともう一つの可能性としては俺の特典だが……こっちは『任意』だった筈だから関係ない……と思いたい。

 

 時間があれば調べてみるか────

 

「────ねぇ昴?! ちょっと聞いているの?!」

 

「ん? いや、全然?」

 

 今俺とカレンが居たのは屋上だ(ちなみにドアのカギはカレンが既にピッキング済み)。

 さっきまでカレンの愚痴に相槌を打ちながら考えていたところだ。

 

「だーかーら! あのルルーシュって奴、明らかに怪しいと思わない?! “シンジュクのことは誰にも言うな”なんて?!」

 

 やっべぇ。

 この展開の方を考えていなか(はノープランだ)った。

 

「そうか? 今でも持ち切りの話題だぞ? 学園内の誰もが────」

「────それでも、“誰にも言うな”なんて変よ! しかも私たちに! あ、肉もーらいっ。」

 

 ヒョイ。 パク!

 

 ああああああああああああ?!

 俺の牛肉サンドがッッッ?!

 

「なら俺はお前のカツサンドをもらおう────」

 

 ヒョイ。 モグ!

 

「────あ!」

 

 俺はお返しとばかりにカレンと同じように、素手で彼女の弁当箱から一番近いカツサンドを取っては一気にそれを頬張る。

 

 はぁ~♡

 ソースがええのぉ~~~~。

 

 「それ……」

 

 前世のタカ〇ソースに似とるやんけ~~~~♡

 

 「食べ……かけ……ブツブツブツブツ……」

 

 流石は留美さん♪

 

「……気にしているの私だけ?」

 

 モグモグゴクン。

 

「何がだ?」

 

「何でもない……それにさ? 昴は思わなかった? アイツの声が無線機で聞こえた例の奴と似ているって?」

 

 ギクッ。

 

 そ、そういえば初期のルルーシュはまだ音質変換ユニットを搭載したマスクをしていなくて生の声だったな。

 

「それはどうかな? 無線機や電話の声は合成されたものだからな、案外同じように聞こえているだけの場合もあるから割と当てにならないぞ。」

 

 鍛えたポーカーフェイス(仮面)がありがてぇぇぇぇ!

 

「そっか……そうだよね……それでも、もし私たちの正体に気がついている様子なら早めに処()をしておかないと……」

 

 やべぇ。

 そういえば原作でのルルーシュが『自分のギアスは一人に一回だけ』と判明した後にあったな。

 疑惑を持ったカレンをクラブハウスへドナドナ→

サービス回(カレンのシャワーシーン)』→

 ルルーシュの策でカレンの中では『ルルーシュ≠無線機の声』だっけ。

 

 ああ、それと『カレンがルルーシュのことが気になるきっかけ(ハプニング)』……だったよな?

 

「………………………………………………」

 

「昴? どうかした?」

 

 このキョトンとして頷く俺を覗き込むカレンがなぁ~。

 

 後々ルルーシュと……

 

 知ってはいたけれど、いざ対面するとちょっと凹む。

 

「何でも、ない。」

 

 いや、ここは割り切っていこう。

 俺はどうせ『コードギアス』の世界にとっては『イレギュラー』なんだ。

 だから必要以上に関与はしないつもりだし、裏方仕事で良い。

 

「そ、そう?」

 

「ああ。」

 

 だから、俺は何が何でも生き残って人生を満喫する。

 

 その為ならば、俺は脇役でいい。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「あ、ルル! この後────」

「────すまん、シャーリー。」

 

 ああ、やっぱり……

 

「スヴェン、カレンの時間は大丈夫か? 彼女と話したい事があるのだが。」

 

「へ?」

 

「そう来ると思ったわ。 いいでしょ、スヴェン?」

 

 来たか、『サービス回(カレンのシャワーシーン)』と『ルルーシュ≠無線機の声』。

 

「畏まりました、こちらで時間の調整を致します。」

 

「へえ?!」

 

「「「きゃ~~~~!♡」」」

「ルルーシュが……赤バラ攻略に挑戦しただと?!」

「俺はフラれる方に一票。」

「上手くいくことに一票。」

 

 シャーリーをそっちのけでカレンと俺に近づいたルルーシュに黄色い声(そして男子の妬む声その他)が出る。

 

 あとシャーリーの呆気にとられた声も。

 

 う~ん、分かっていたけれどルルーシュって『押し』が強いな。

 

 というか周りをガン無視かよ。

 どこぞのゲイボルカーに乗るランサー(香車)かよ。

 

 道理で原作の彼とCCはソリが最初は合わなかったわけだ。

 二人とも周りを気にせずにやりたいことをやるからな、『同族嫌悪』って奴だ。

 

 ルルーシュが歩いている方向に付いていくと予想通り、クラブハウスへと招かれた。

 

「すまないスヴェン、少し彼女と二人だけで話したいんだ。 いいかな?」

 

「お嬢様、すぐにでも悲鳴などの不穏な音などしましたら飛び込みますから。」

 

 そう言いながらニッコリするとカレンがアイコンタクトを取る。

 

『え? いいの? 私、こいつが危険なら()るよ?』

『間違いでやったらダメだ。 まずは確信に変えてから────』

『────分かった! いざとなったら尋問してから()るね!』

 

 なんで『尋問』で更にウキウキになるの?

 

 カレン、おまん……そんな子とちゃうかったやろ?

 

 バターン

 

 クラブハウスのドアが重い音をしてピッタリと閉まる。

 さっきはカレンにああ言ったが、正直に言うとクラブハウスはアッシュフォード家がルルーシュとナナリーを守るために(限度はあるが)小型の要塞化している。

 

 防弾ガラスに鉄骨入りの壁造りに建物の部屋一つ一つが防音仕様。

 名目上は『舞踏会などを開いて招いた要人などが安心して使える為の改装』。

 

 警備上の基本的な改装だが、学園に使うはずだった予算の二割をクラブハウスに回したらしいからな~。

 

 やっぱりあの噂、本当なのかな?

 前世でいつか見た“没落前はミレイの婚約者候補の一人がルルーシュだった”説。

 

 ありかもしれないな、割と。

 

 ……さて。

 今頃はリヴァルが自分のバイト先から入手したシャンパンで乾杯しようとして、シャーリーとドタバタしている頃かな?

 

 んで転んだはずみで緩んだコルクが飛び出てカレンは頭からシャンパンを浴びて────

 

 ────ガチャ!

 

「あ、スヴェン先輩を発見です!」

 

 あれ? ライブラ?

 今日は来ていたのか。

 

 仮面(愛想よい)仮面(優男)

 

「慌ててどうしたのですか、ブリエッラさん? (ニコッ)」

 

「カレン先輩がシャンパンを浴びちゃったのです! 着替え、持っていないですか?」

 

 ……元気そうでよかった。

 あとで君とナナリーの好物であるチーズケーキを出すとしよう。

 

 アリスがまた勝手に食ってなきゃな。

 

「それは大変だ。 着替えとなると、教室のカバンの中にジャージ────」

「────分かったです! では私が持ってくるです!」

 

 そしてそのままピュ~っと走る縦ロールライブラ。

 

 う~ん、やっぱり元気で素直でええ子や。

 

「す、スヴェ~~~ン?」

 

 そして雨に濡れた猫……じゃなくてカレンが申し訳なさそうな声を出してびしょ濡れのままこちらを開けたままのドアからひょっこりと頭だけを出して見る。

 

「あの子、大丈夫かな?」

 

「???」

 

「私たちのカバンどころか、教室の場所を知っているの? あの子、中等部でしょ?」

 

あ。

 

 カレンに気付かせられたすぐ後に、俺はライブラの走った方向にBボタン長押し方向キーダッシュした。

 

 シャカシャカシャカシャカシャカ~。

 

 片手をあげて、ピョ~ン。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ありがとうですスヴェン先輩!」

 

「いやいや、こちらこそ。 元気いっぱいな君から元気を分けられた気分だよ。」

 

 これは嘘でも何でもなく、俺の本心からの言葉だ。

 

「ん~~~? 先輩って実は寂しがり屋ですか~?」

 

 ライブラが(彼女なりに考えたと思われる)小悪魔的な笑みをしながらこっちを見上げる。

 

「私だけじゃないさ。 皆、ブリエッラさんがいなくてミレイ会長がいつもより張りきっていました。」

 

 高等部の建物内を調べ潰す勢いのまま『ここはスヴェン先輩のクラスですかー?! 違いましたですかー!』と走り回るライブラにやっと追いつき、今はカレンと俺のカバンが置いてあった教室から取った帰り中だ。

 

「そうですか?」

 

「ああ、そうさ。」

 

 時間的にはもう、ルルーシュがミレイとシャーリーがカレンの制服を洗うために共同洗濯場へと出て、咲世子さんがクラブハウスの一室からルルーシュの服を取って、それをルルーシュが『自分が謝りたいから直接渡す』の後だろう。

 

 つまり、俺は見事にサービス回(カレンのシャワーシーン)をミスったわけだ。

 

「ねぇ、スヴェン先輩?」

 

 おっと、ライブラが心配そうにこっちを見ている。

『人のいい仮面』を再度着用っと。

 

「なんでしょうか?」

 

「スヴェン先輩は、カレン先輩の世話係をしていると聞きましたです。 そこで、頼みがあるです。」

 

 お?

 なんか真剣な顔になった?

 珍しいな。

 

 というかキリっとしたからか、純粋に大人びて綺麗だ。

 

 10年……いや、5年後は確実に化けるな。

 

「私にも、人の世話の仕方を教えて欲しいです!」

 

 急だな、おい。

 

「ええっと……何でか聞いても良いかな?」

 

「その……えっと……他の人に言いません?」

 

「ええ。 お望みとあらば、カレンお嬢様にも言いません。」

 

「…………………………お兄様の、世話をしたいのです。」

 

 ……んんん?

 どういうことだ?

 

 疑問に思っている雰囲気を出す俺に気付いたのか、ライブラが補足をする。

 

「えっとですね? お兄様、この間のシンジュクで怪我をしたのです………………脊髄損傷です。」

 

「ッ。 」

 

 それは……重いな。

 

 うわぁ。

 道理でライブラ、学園を休んでいたわけだ。

 想像しただけで俺まで憂鬱になるよ。

 

「その……お医者様はなんて?」

 

「……………………“治る可能性はある”、と言っただけです。」

 

 それって遠回りに、“回復の見込みは限りなくゼロに近い”に言われているんじゃね?

 

 ……キツイ。

 

 いや、それよりも当事者であるライブラだ。

 よく見ると、彼女は普段より少し化粧をしてクマを隠している。

 

 それに……今にでも泣きそうな様子だ。

 

「……………………」

 

「スヴェン先輩? どうしたです?」

 

 俺が急に立ち止まったことでライブラがこちらに振り向く。

 

 その笑顔も、どこか俺の仮面と雰囲気が似ていた。

 

「……()()()()さん。」

 

「は、ハイです?」

 

「出来ることは決して多くはないかもしれません。 ですが、私に頼みたいことがあればいつでもお申し付けください。」

 

「……………………ありがとうです!」

 

 彼女はさっきより軽い感じの笑顔を浮かべる。

 

 ……………………うん。

 この子はナナリーやカレンや留美さんとは色々違うけど、なんとなく純粋に力になりたいな。

 

 

 この後、クラブハウスに戻るとカレンはルルーシュの私服に着替えていたことで原作の進行を確認できた。

 

 そこで二階にあるパソコンを使い、日課になりつつある使用人用裏サイトに新たな書き込みがあった。

 

『第三皇子、クロヴィス・ラ・ブリタニアは名誉ブリタニア人である元枢木ゲンブの息子に撃たれた! 名誉ブリタニア人制度の支持者、立場が危うい?!』

 

 それを見ると同時にクラブハウスにいた皆がザワつく。

 

 恐らく、俺の今見たことのニュース発表を見たのだろう。

 

 来たか、『オレンジ事件』。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「“明後日の16時、旧トウキョウタワーの展望室に1人で来い”、か……スバルはどう思う?」

 

 あれから二日後、カレンはゼロ(を名乗る前のルルーシュ)のアリバイ工作の言葉の意味を俺に聞いてきていた。

 

 場所は他のレジスタンスから借りている拠点。

 

 先日ブリタニア正規軍に勝ったところを一部始終見られて尊敬されたらしい。

 

「恐らく、そのままの“接触しよう”なんじゃないのか?」

 

 その中で俺は、火薬式狙撃銃のアタッチメント(取り付けパーツ)を調整している最中だった。

 

 火薬のにおいが思いの他きつかったからか、ここにいるのはカレンとそれに慣れていた扇グループの幹部たちだけ。

 

「う~ん……でも理由が────」

「────理由ならあるさ。 『機密兵器である毒ガス奪還』、『旧式のグラスゴーでの活躍』、そして『命令を実行に移せる力量』。」

 

「スバル、それは────」

「────扇さんの言いたいことは分かる。 “全部ナオトが考えた作戦のおかげ”、“幸運だった”、“無我夢中だった”。 だがこうも考えられないか? 無線機の声は『()()()()』だったと。」

 

「人手不足?」

 

「あれだけの装備を揃えられたんだ。 なぜ自分で動かさない?」

 

「あれは……そうも、言えるのか?」

 

「後の可能性は単純に、“お前たち(レジスタンス)を試していた”とも言える。」

 

「「「「「……………………」」」」」

 

「相変わらず辛辣だね、スバル君?」

 

「俺は現実主義者(リアリスト)なだけだ、井上さん。 それで? どうする扇さん?」

 

「え?! お、俺か?」

 

「ほかに“扇”はいないだろ? まさか俺が玉城にでも聞いていると思ったか?」

 

「おい?! 可愛げのない奴だな!」

 

「お前に可愛いと言われると鳥肌が立つ。」

 

 「おい?!」

 

「杉山、吉田。 お前たち二人の予定は空いているか?」

 

「扇?! お、俺もフリーだぜ?!」

 

 だからお前はお呼びじゃねぇんだよ玉城。

 

「明日、俺と一緒にカレンの尾行をする。 カレン、明日はその男の言うとおりにしてみよう。 いざとなったら俺たちが何とかしてお前だけでも逃がす。」

 

「扇さん……」

 

 うん、これで原作の図が出来あ────

 

「でも、私はスバルにも来て欲しいかな?」

 

 ────が……る………………………………………………は?

 

 俺のように?マークを浮かべた者たち数人の視線を集めていたことに、カレンはハッとしたような顔を上げて両手を自分の前で振るう。

 

「だってこの中で私と同い年ぐらいなのって彼だけじゃん?! だから尾行者として気付かれにくいと言うか、なんというか!」

 

 なるほど、一理………………あるのか?

 

 ほら扇達も?マーク出しているじゃねぇか。

 

 仕方ない、助け船を出すか。

 

「そうか、それもそうだな。 扇さんたち大男三人なんて、明らかにストーカーにしか見えないからな。」

 

 「「「おい?!」」」

 

 てかそもそも同じ赤とデザインのヘッドバンドをしている時点でアウトだ、このトンチキ共が。

 

 さて、どうやって原作通りに動か(進行さ)せるか……

 




次話投稿、少し遅れるかも知れません。 申し訳ございません。 _○/|_

『ブリタニア絶対殺す狂犬』を加入させますか? *注意事項*作者はロストストーリーズ未プレイでゲームが完結していないので『高い可能性(ほぼ確定)でキャラ崩壊アリ』とだけ前もってここに書きます

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