パリィン!
「「「???」」」
カフェ兼クラブハウスの中で磁器が割れる音に、物珍しさに準生徒会員たちは作業を中断してキッチンの方を見るとひょっこりとドアから出てきて箒をクローゼットから取り出すシャーリーの様子に『ああ、またか』と納得してしまう。
確かに生徒会の人員が増えたことで事務作業は格段に少なくなった。
だが、別の意味で忙しくなったことと『料理を覚えたい』と願ったシャーリーはこの頃よくキッチンにいることが多くなった。
よって磁器が割れる音は時々するようになったのは事実だが、今回は彼女が原因ではない。
「スヴェン、大丈夫?」
「アハハハ、面目ない。」
箒で割れたお皿を集めるシャーリーが心配するような表情で、塵取りを支える
「そう? なんだかこの頃、ボーっとしている様子だけれど……もしかして、事故の後遺症?」
「……そう、かもしれませんね。」
活発で元気いっぱい少女のシャーリーでもコードギアスの人間、察し能力が半端ないな。
たまに察しが良すぎてそれが仇となり、アニメとかではヘタレる時があったけれど。
「マーヤかアンジュ……あ! ライブラちゃんを呼んだ方がいい?」
「イエ、ダイジョウブデス。」
前者だと今より目立ちかねない。
後者だとたいていの場合、アーニャがセットとしてくる。
つまり『どっちが来ても注目を浴びる』という事だ。
「ルルーシュはまた図書館ですか?」
「え? うん。 ほら、ミレイ会長────じゃなくて先生、が生徒会の顧問になったじゃない? どうもルルを教師にさせたがっている様子なんだよねぇ~……」
「ははは、そうですか。」
俺は『心ここにあらず』の状態のまま、どうにか上辺だけでも『何時も通り』を演じながら話題を変えた。
『誘導』? Ha、ha、ha。 そんなわけないじゃないかジョージィ。
と言っても、俺にとって重要な案件が多数同時に発生したので時々考え込んでしまうことが日々続いているのは事実だ。
まずはいったん訳の分からない東ユーラシアは置いておこう。 ルルーシュには
そもそも俺が『情報屋』なんてやっていたのは黒の騎士団とは別行動をとれるためと、裏方役に徹するためだったし。
俺の場合は『原作知識』に基づいたものばかりだった上に、ここまでくれば正直それももうほぼ当てにしない方がいい。
だからまずは黒の騎士団……いや、彼らだけでなく俺たち側の強化だ。
先ほど『原作知識は当てにも参考にもならない』と言ったが、黒の騎士団が『合衆国日本』の亡命政府を名乗っているからほぼ確実に第二次トウキョウ決戦(もしくはそれに類する大きな作戦)が来るだろう。
蓬莱島を見本として合衆国中華のインフラが急激に整えられているのも、同盟国として恩を売る為だろう。
『
俺の滅茶苦茶なアイデアをラクシャータが独自に再現したおかげで紅蓮可翔式・強襲型なんて化け物KMFが出来たが、見事なまでに『紅蓮聖天八極式』の開発&回収フラグをへし折ったせいでぶっ壊れ性能を持つエナジーウィング技術がブリタニアの専売特許になりかねない。
現在流用しているフロートシステムを遥かに凌ぐ超高速飛行と旋回性能を持つエナジーウィングは要するに、コードギアス版『光の〇』っぽい代物でピーキーな性能の分だけ装備した機体は乗り手を選ぶが、原作アニメでは皇帝ルルーシュに対して反逆したラウンズたちを前にランスロット・アルビオンがモニカにドロテアだけでなく、『未来予知』のギアスを持つビスマルクをも瞬殺している。
例え慢心からくる不意打ちも入っていたとはいえ、それだけフロートシステムとエナジーウィングの性能には雲泥の差がある。
つまり第二次トウキョウ決戦でエナジーウィングを装備したランスロット、下手をすればトリスタンを相手に超合衆国連合軍は大打撃を受けかねない。
俺はセシルの様な稀代の閃きを持つ天才じゃないからな、せいぜい出来ることと言えば技術部の者たちに頼むぐらいだ。
それにいざ最悪の事態となれば、俺が第二次トウキョウ決戦でランスロットたちの相手をしようと思っている。
いや、しなければいけない。
フレイヤ無しでもブリタニア軍は脅威。
なまじフレイヤがない分、第二次トウキョウ決戦が中断される流れもない。
そして連合軍の敗北はラグナレクの接続に繋がり、それは
そう思いながら自分の手を見てゆっくりと拳を作っていき、次第に鈍痛と麻痺感覚が手の先から腕の肘にまでじわじわと伝わってくる。
強化スーツで一応、動くことが出来るのはキューピッドの日で検証済みだ。
ナイトメアの操縦に関しても、以前からミルビル夫婦博士やアンナたちに頼んでいた機体と技術にソフィ博士のBRSを組み込んで修正を加えることを頼んだ。
俺の場合、BRSの適正は『測定不能』であって『無い』というわけではないが少なくとも網膜投影システムによる
新しい装甲の
MVSに対しても、ある程度の強度もある見込みだ。
あとは使える熱核反応炉だな。
随分前にラクシャータに頼んでニーナのフレイヤ開発のフラグをへし折ったから対フレイヤ弾頭の必要が無くなったが、ウィルバー夫婦博士たちが加わったことで未だに『安全面に難アリ』で開発が難航しているとこの前、連絡を取った時に聞いている。
とすれば、やはりKMFは短期決戦仕様になるな。
……それでも『今の俺に出来るだろうか』という不安はぬぐえない。
だが、やるしかない。
結局
「それでさ、スヴェンの方はどうなの?」
「……? “どう”とは?」
やべ、思わず本心からの疑問をそのまま口にしてしまった。
『優男』の仮面、装・着ぅ!
「ほら、ライブラちゃんに帽子を取られたじゃない?」
「はぁ……まぁ、そうですね。」
「その、やっぱり休日はデートとかに出掛けたりする?」
「いえ? 今まで通り、普通に学園内でのやり取りだけですが?」
「え?」
いやそんな意外そうな顔を俺に向けても困る。
15歳とはいえまだまだ成長期。
彼女と一緒に出掛けていたら通報され……いや、俺の事がクロヴィスに伝わって超絶面倒くさい事態になりかね……それ以前にヴィレッタが監視役の代わりとして付いて来てもややこしくなるのは明らかだ。
そもそもライラが俺の帽子を取った理由って、どう考えても俺たちアマルガムの周りに居る為の口実だろ。
キューピッドの日の後夜祭でミレイが感じた『ナナリーの代わりにロロ~』に関する認識の違和感を、ライラもどこか無意識に感じているのかもしれない。
だって普通に考えても見ろ。
認識の食い違い状況は完全にアレだ、『月〇さんに謝れ』並みのホラー現象でしかない。
でもそれを言うとそういえばおれもアー ニャ からの しゃし ん も────
「────ちょっとスヴェン、大丈夫? 顔色悪いよ?」
おっと何時の間にか大量の汗を掻きながら呼吸を乱していた。
呼吸を整えよう。
コーホ────じゃなくてスゥー……大きく息を吸って……
ハァーっとゆっくりと、痛みと共に吐き出す。
「大丈夫です、ただ少し息が苦しかっただけで。」
「そ、そう? 無理、していない────?」
────カード、ドロー! 『話題チェンジ』を使用────!
「────それとライブラさんが帽子を取った理由は恐らく、『面白そうだから』なのでは?」
「そうかな? 私はてっきり……」
今日もシャーリーのボケと俺のツッコミぶりは絶好調というかその“てっきり”はどういう意味なのもっと詳しく話してみ?
「なんですかシャーリー、その“てっきり”は?」
俺の口下手。
「だってスヴェンって他の人たちとも仲が良いけれど、ライブラちゃんとかだと特に接しかたが違うというか……雰囲気が柔らかいというか~……う~ん……まぁ、いっか!」
「????」
『接し方が違う』?
『雰囲気が柔らかい』?
そう……なのか?
俺はずっと同じ『優男』の仮面を維持しているつもりだったが……いつの間にか態度が変わっていたのか?
そもそも元と言えば、『優男』はシュタットフェルト家に溶け込みやすいために鍛えていた仮面だ。 アッシュフォード学園でも通用するから維持し続けただけで。
カレンかマーヤか毒島がここにいたら、何が違うのか指摘してくれるのだが居ないしなぁ。
「あ! この間はニーナとも連絡を取ったんだよね! どうだった? 元気?」
ルルーシュ辺りから聞いたのか、シャーリーよ。
「ええ、元気そうでしたよ?」
地味眼鏡ツインテおさげもいいけれど、やっぱ髪を降ろした素のニーナはイイナ。*1 *2
というか時差で寝間着だったし風呂から出たばかりか顔がほんのり赤くなっていたしモジモジしていたし今だから勢いで言うがちょっと色っぽかった。
それにしても、『さて……お前はどう思う?』か。
あの時はビビったが、まぁ東ユーラシアに関しては数件仮説を立てているらしいからそっちはルルーシュたちに任せよう。
「あ、スヴェン? その上に破片があるかもしれないからテーブルクロスを退けてくれる?」
ハイハイっと。
うわぁ、このテーブルクロスの模様と見事な赤茶色は良い気がしないな~。
汚れがあまり目立たなくなるのは分かるが、これを見たら前世の通勤電車を────
ドグン。
────???
ここで強烈な
俺は今、
『通勤電車』か?
ドグン。
違う、これは実家の────
屋敷内の通路か?
今までいくら思い出そうとしても、モヤがかかっているようにうまく見えなかったものが一瞬だけミエタヨウナキガスル。
そう言えば、前世での路線名────違う、ノイズが邪魔だ。
今はハンセン家だ。
思い出せ思い出せ思い出せ思い出せ。
これは駅か────
「スヴェン、大丈夫?」
都会か田舎か────
「スヴェン、どうしたの?」
田舎のどこだ────
「ちょっと、鼻血が!」
これは花か────
ちがう花じゃない、これはジャガイモの畑でこれらは花か────
「誰か、救急車を呼んで!」
そしてこれは線路であそこに見えるのは山────
────ドサッ。
あれ、いつの間に地面が横に?
いや、俺が倒れたのか。
あと少しだ、あともう少しで何かが見えそうなんだ。
ハンセン家のフローリング。 田舎。 花畑と間違える程のジャガイモばたけ。 デンシャのロセンラシきものトヤマににににににににににににに二二二二二二二二二二二二にににににに二二二二二にに二二にに二二にに二二────
「────ガッ?! ガッ?!」
ジメンガユレテイル?
ゆれているのはおれだ。
いやちがう。
ヒザヲツケナガラウツムイテイル?
『汝ら、ここに制約を立て礎となることを願うか? 我らと共に領民を守る剣と盾となることを望むか? 我らの合議を持って□□□□□の意思とすることに賛同するか?』
ダレダ、このこえは?
『『『『承りました、□□□□□□□。』』』』
イマノハ、なんだ?
『なぁ、■.■.? あんたもさ、居場所が欲しかったんだろ? 鳥も、魚も、人も
このこえはだれだ?
『お前は……優しすぎるよ。 それを私は受け入れられるほど、器量が出来ていない。』
コノコエハキイタことがある。
これをおれは
『長生きしているクセにか?』
『長生きしているからだよ
────そうか。 これは『漆黒の────
「(“どう思う”、か。 我ながら、人を試すのが癖になってしまったな。)」
ルルーシュは仏頂面なスヴェンに問いかけた時を、合衆国中華の領土を広げる算段を行いつつトウキョウ租界内の仕掛けの確認を、ギアスのかけた公安部の者たちからのレポートを読みながら平行思考の一つとして思い返していた。
「(しかし奴の検査結果が
彼は自分自身が得られる情報とラクシャータたち技術者からの見解による仮説を内心で既に東ユーラシアへ向かった鎮圧部隊を襲った現象についていくつかの仮説を立てて
「(────このタイミングと有効範囲や立ち位置から考えればあの周辺────『ギアス嚮団がある』と思わしき地域の守りを固める為として知らずの内に利用されている可能性が高い。
だが、何故だ? 理由は? ここまで『隠蔽』に力を入れていたのに何だ、この手のひら返しは? これではまるで、嚮団の居場所を宣伝しているとしか思えない。 位置の特定に迫った俺やピースマークに対する威嚇? あるいは罠か?
どちらにせよ、東ユーラシアなぞ結局誰かの掌の上で踊らされている烏合の衆。 今の段階で計画の障害物に成り得ない。 それに、ギアス嚮団にはピースマークがそろそろ当たりを付ける筈だ────)」
「────なぁ、少し良いか────?」
「────んな?! お、お前! こんな真っ昼間に堂々と!」
ルルーシュは動揺をイラつきで塗りつぶしながら、物陰から声をかけてきたエルに怒鳴りつける。
「そう慌てるな、ここに居る者たちは全員お前のギアスにかかっているのだろう────?」
「────ええい! 俺の顔でそんなに軽く物事を言うな!」
「フハハハハハ。 私の顔は別に好みでしているわけではない。 呪うのなら……そうだな、ブリタニアを呪え。 ああ失礼、もう呪っているか。 ククク────」
「────この────!」
「────ああ、怒る前に私から話がある。 ロロの事だが────」
────ピリリ、ピリリ。
「ん? 少し待ってくれ。」
「チッ。 (なんと間の悪いタイミングだ。)」
ルルーシュの携帯電話が鳴り、話が中断されるとエルは舌打ちをする。
「もしもし? すまんが、今は────何? それは……そうか、すぐに向かう。」
一瞬驚く表情をルルーシュは浮かべてエルの横を過ぎ通る。
「お、おい! 私の────!」
「────すまんが、お前のロロに関する話は後にしてくれ。 ククク。」
ルルーシュは先ほどエルが浮かべていた表情そっくりなものを浮かべてそれをエルに向けながらその場を後にした。
「おかえり、兄さん。 学園にもう戻る?」
「いや、このまま病院に行ってくれ。」
ルルーシュは待っているロロのバイクのサイドカーに乗り込むと、ロロの予想していた移動先とは違う場所が返ってきたことにロロは眉間にしわを寄せながらもバイクをくり出す。
「病院?」
「ああ、少し用事が出来た。」
……
…
「まぁ! ミレイさんが、先生に?」
「そうなんです!」
総督の自室内で今夜もライラはナナリー自身が総督となって通えないことを察してか、
アッシュフォード学園の様子を彼女に話していた。
「もう皆ビックリしたですよ~。」
「それは……私もビックリです。」
「です!」
「でもどうして急に? 確かライラちゃんの話だと、レポーターになると思っていたのに……」
「う~ん……どうもアッシュフォード家の再建の為みたいです。 あ! あと“その方が面白そうだから♡”とも言っていました!」
「(ミレイさん、変わりなくて良かった)────」
────“愛も絶望も羽根になり~♪ 不死なる翼へと~♪ 蘇れボクの鼓動~♪”────
「────歌?」
「あ、着メロです。 ハイもしもしアンジュ先輩、どうしたですか? ……え。」
ガタッ。
「ライラちゃん?」
「あ、えっと……」
ライラの纏う空気が揺らいで彼女が突然立ち上がったことでナナリーは不安になり、ライラは自分の携帯電話とナナリーを見る。
「その……“スヴェン先輩が倒れた”って。」
「え。」
「えっと、ええええと────!」
「────行っても良いですよ、ライラちゃん。 私の分もスヴェンさんの容態を見てきてください────」
「────ありがとうです!」
タジタジになりながらもライラは通路へと通じるドアとナナリーを見比べ、察したナナリーの後押しによってライラはその部屋を後にする。
「……」
部屋に残されたナナリーは祈るかのように手を合わせ、ただただ静かにもどかしさからか手をギュッと力強く握り合った。
ザァァァァ。
「「「「“過労”?」」」」
外で雨が降る中、病院に担ぎ込まれたスヴェンについての容態を医師から聞いたリヴァルやマーヤたちが復唱していた。
「正確にはケガも完治していないにもかかわらず、無理をしたツケで体が更に弱ってしまった状態ですね。」
医師のあっけらかんな言葉にリヴァルやシャーリーたちはホッとしたり、様々な反応を示していた。
「(咲世子によると、こいつのスケジュールはハードだ。 だというのに中華連邦でカレンを取り戻した負担が残っていても学園に来ていたという事か?)」
ルルーシュは咲世子によってスヴェンの事情を以前より更に把握できたことに、珍しく『同情』染みた考えをしていた。
「(まーたこいつは無茶をして……EUやブリタニアの時もちょっとは周りに頼りなさいよ……もう。)」
アンジュはジト目になりながら肌色が更に真っ白になりながらベッドで寝ているスヴェンを見下ろす。
「(神様が倒れるほどの無茶をしてまで学園に通っていた……つまり、『近いうちに何かが起きる』とも捉えられる。 今、学園でここにいる皆のそばに居られる人の数が少ない。 危険を承知でアリスたちを呼ぶ? ヴィレッタや機密情報局を押さえているからある程度の隠蔽が出来るけれど学園にはラウンズがいる。 それに、彼をブリタニアの病院に連れられるのを阻止できなかった……)」
マーヤは後悔をしながらも、スヴェンがこのような状態になるまで無理をしていた行動の意味を見出そうとした。
「…… (やっぱり、普通の男の子だよね?)」
ミレイは(彼女から見て)初めて倒れたスヴェンに対してマーヤ以上に複雑な感情を抱いた。
「一応確認しますが、彼はシュタットフェルト家の方ですよね? でしたら、病院から連絡をしますが────」
病院から出たルルーシュたちはそれぞれの傘をさしてからそれぞれの帰り道へと出て、リヴァルなどの別方向の者たちと別れていく。
「あ! その前に会長! じゃなかったミレイ先生! 庭園にハーブを備えたいのですけれど良いですか?」
「ん? 良いわよぉ? もしかして栄養満点スープとか?」
「そうなのか、シャーリー?」
「だってルル、去年ずっっっっっっっとピザばかりだったでしょ?」
「いや、アレは……その…… (ええい! あのピザ女め!)」
「ふ~ん? じゃ、シャーリーは胃袋を掴もうとしているの?」
「胃袋を掴む???」
「あー、さすがにこの『ことわざ』は分からないか。」
「取り敢えず、ハーブの苗を買ってくる!」
「じゃあ私も一緒に買うです!」
「ハーブなら園芸部に話せばわかると思うわよ? ……あ。」
「「……」」
「それじゃあ、俺から話すよ。 雨も止みそうに無いから二人は帰った方がいい。 体を冷やすのは、良くないからな。 スヴェンの見舞いに来て、俺たちが風邪を引いて寝込んでみろ。 知った彼は嫌がるだろうよ」
「あー、確かに。」
「確かに言いそうです……」
ウキウキしていたシャーリーとライラの『お出かけ』を一刀両断してしまったミレイはバツが悪そうな顔をしてしまうが、ルルーシュの気転によって何とか回復した。
「ライブラちゃん、アレってもしかして迎え?」
ミレイが見た先には地味な自動車のわりに黒いコーティングをされた窓と、黒いスーツを着ながら雨だというのに傘を差さずに立っているSPたち。
「ハイ、ムカエデス。」
「そ、そぉ。 ……また学園でね?」
「ハイデス。」
少々ドンヨリとするライラの肩に、貴族令嬢だった若い頃の息苦しさを思い出しながら苦笑いを浮かべながらミレイは手を置く。
「ルル? 一緒に駅まで行く?」
「ああ、実はロロが待っているんだ。」
「ロロが?」
「“雨が降るから先に帰れ”って言ったのに地下の駐車場で待っているらしくて。」
「もう、ロロってば足が治ってもべったり引っ付くなんて本当にお兄ちゃんっ子ね!」
「ははは。 だからすまないシャーリー。」
「ううん、良いよ。 ルルのその顔で充分だから。」
「は?」
「♪~」
シャーリーは鼻歌をしながらハテナマークを浮かべるルルーシュを後にして、スキップするのを我慢しながら傘をさして雨の中を歩く。
「(あーあ、出会った頃からルルってずっとロロのそばに居たから今度はロロが中々────)」
車椅子に乗っていたロロの顔を思い出そうとすると────
「────あ、れ────?」
────
「────あ、ああああああ────?!」
────とめどなく湧き出る水脈のように、シャーリーの頭は『現状』と『以前』の食い違いに頭が割れるような頭痛がしだして頭を両手で抱えた。
そんなシャーリーから少し離れたところでレインコートに身を包んだジェレミア卿と、もう一人の男がトウキョウ租界内を徘徊しながら体の調子に気を使っていた。
いわゆる『リハビリ』とも。
東ユーラシアのアレが間に合いませんでした…… (;´д`)ゞ