お読みいただきありがとうございます、楽しんで頂ければ幸いです。 m(_ _)m
追記:
色々なところで色々なハプニングが多発してしまっていますが、なるべく展開を進めようと思っています。 (汗
ガチャ、チャリーン♪
リンリンリンリンリンリン♪
世界を騒がせた『ゼロ復活』と同日に起きたバベルタワー事件後から数カ月たった今、トウキョウ租界の経済を立て直す為────そしてイメージ向上という思惑も兼ねた────新たなカジノの初日はよりクリーンな環境と見た目のおかげかブリタニア人、そして行政特区日本から従業員として働きに来ていた名誉ブリタニア人たちの双方からかなりの人気が出て、活気に満ちていた。
中心には大きな噴水やその周りにルーレットやポーカーテーブルに空気清浄機を様々な緑に偽装したオブジェ。
「賑やかな音……」
「中華連邦でのクーデターなどで世界の緊張感が高まっているからね、人はこの様な時にこそ嗜好品などで心を紛らすのさ。」
「それも兼ねて、経済的にもこちらが助かる……『初日にしては予想通り』だ。」
そんなカジノのオープニング初日にナナリーとシュナイゼルにクロヴィスの三人が視察に来ていた。
「それにしても、少し驚いたよ。 噂ではクロヴィスがあの事件後、まさかエリア11の文化を推すだけでなく名誉ブリタニア人にもこうして手を差し伸べるとはね。 何が君をそこまで変わらせたのだい?」
「『ゼロが引き抜いた100万人を補うためにはこれぐらいしないと』、と思ったまでだよ。」
「はっはっは。 そういう事にしておくよ。」
「昔からクロヴィスお兄様はこうした贈り物が好きでしたし。」
ナナリーの言葉を聞かなかったふりをしてか、クロヴィスの視線は他の場所へと泳いだ。
「そうだね。 ハッキリと言えばいいのにわざわざ回りくどいのも、彼の長所であり短所でもあるのだけれど。 何せナナリーが生きていると知った時、『号泣した』と聞いているしね。」
「本当ですか、クロヴィスお兄様?」
「・ ・ ・ ハテ、イッタイナンノコトデショウカ?」
冷や汗を流し始めたクロヴィスの口調がぎこちなくなったところでシュナイゼルとナナリーが微笑ましい表情を浮かべる。
「そう言えばカノンさんは?」
「カノンなら、ギルフォード卿たちのところだよ。」
シュナイゼルが視線を移し、スロットマシンの近くにいるカノンとギルフォード、そしてスザクとジノと背中がぱっくり露出してムホホなカクテルドレスを着たセシルたちを見る。
「へぇ~、変わったスロットの形だなぁ~。」
「これって……パチスロ?」
「パチスロって何だスザク?」
「エリア11で発達したスロットマシンなんですよ、ヴァインベルグ卿。 回る絵柄を揃える三つのボタンを押すんです。」
「なるほど! やってみようぜスザク!」
「じゃあ取り敢えず同じ絵を三つ揃えるところからだね。」
「ほぉ、これは驚きですね。 まさかセシルさんが賭け事に詳しいとは。」
ガチャ、ガチャ、ガチャ♪
リンリンリンリンリンリン♪
「ストレスがたまる職場にいますから♪」
ガチャ、ガチャ、ガチャ♪
リンリンリンリンリンリン♪
「……ああ、確かに。」
ガチャ、ガチャ、ガチャ♪
リンリンリンリンリンリン♪
セシルの生き生きとした表情に、ウィスキーグラスを持っていたギルフォードはポワポワしながら皇帝を『クルクルちゃん』と称するロイドを思い浮かべては納得した。
「本当にギャンブルって、ストレス解消になるものなのかしら?」
「じゃあ今度、三人でギャンブルしましょうよ!♪」
ガチャ、ガチャ、ガチャ♪
リンリンリンリンリンリン♪
「それは良いわね……私もラウンズや皇族ばかりの周りにいて肌が……」
ガチャ、ガチャ、ガチャ♪
リンリンリンリンリンリン♪
カノンの顔が憂鬱なモノになりかけ、カノンの視線先を見たセシルとギルフォードがギョッとする。
「どうしよう……コインバケツが足りない……」
「スザク~、これ遅すぎてつまんねぇ。」
スザクとジノの足元に大量のコインが入ったバケツが数個あることに、先ほどから聞こえてきた当たりの音がこの二人によるものだったと理解した。
「まぁ、オープニング初日だからきっとワザと遅く回っているんだよ!」
「あ、そうか! 『サービス』ってヤツだな! いくら何でも遅すぎるからな! あはははは!」
「でもどうしよう、これ……換金しても良いのかな?」
「良いんじゃね? 出来なければツケにして貰ってここの下のフロアのモールで何か買いに来て遊ぼうぜ!」
「それもそうだね!」
「……これだからラウンズって……」
「「(うわぁ……)」」
能天気『我が道を行く』ジノとスザクのやり取りを聞いては更に淀むカノンの雰囲気に、セシルとギルフォードは内心で色々と察しては同情した。
「そ、そう言えばもう一人のラウンズの方は?」
「アールストレイム卿なら写真を撮りに────あ。」
「???」
セシルが顔を別方向に向けると固まってしまい、ギルフォードが見るとアーニャがフロア中心にある噴水を上ってその上から写真を撮っていたところを見る。
余談で彼女のラウンズ正装は慌てながらどう対処すればいいのか迷っている従業員たちの服装と違ってまったく水に濡れていなかったとも。
「ハァー……これだからラウンズって……」
ようやく撮れた写真に満足したのか、アーニャは全く怯む様子もなくそのまま噴水の上から一気に飛び降りてはカジノの従業員たちを驚かせる。
そして彼女はそのまま噴水の上から
「??? 私の気の所為かな? あの二人、よく一緒にいるような気がするのだが……」
「きっとアールストレイム卿がナナリー総督との歳が近いからですよ。」
セシルとギルフォードは従業員にアーニャの奇行の
「ナナリー総督、珍しい料理があった。」
「その声、アーニャ? ……あら本当! パンケーキとフルーツのソースが! これは何て言うのですか?」
「カイザーシュマーレン。」*1
「……フ. (次はライラだな。)」
嬉しい顔を浮かべるナナリーを見て(プチ)どや顔を浮かべたクロヴィスだった。
「それと他にもプルプルしたモノとか────」
「(────
「────あと
「……??? “ぴくぴく”? “ウネウネ”?」
「はい。 ピクピクとウネウネ。」
ナナリーはアーニャの表現にハテナマークと共にもやもやとした不確かな想像を頭上に浮かべた。
「(あ、あれは
そしてクロヴィスはアーニャが見ているテーブルに視線を移すと再び冷や汗を流した。
「ではそれも食べてみます!」
「(ノォォォォォォォォォォォ?!)」
クロヴィスは『もしこの流れでライラまでが珍味に興味を示したら』と思い至ると真っ青になり、悲鳴にならない叫びをあげながらナナリーたちの後を追いかけるため頭文字〇並みのドライブ(?)テクを披露した。
「たっだいまぁ~♪」
「あ、ロイドさん。 さっきまで珍味コーナーにいたんじゃ────?」
「────ナナリー皇女殿下とクロヴィス皇子殿下が来ちゃってね、ちょっと面倒なことになりそうだったから逃げてきちゃった♪」
ロイドの言う『逃げてきちゃった♪』にセシルたちが珍味コーナーを見るとやはりクロヴィスがオブラートに包んだ『食べるな!』に対してアーニャの『
「それにしても、アーニャとナナリー皇女殿下ってよく一緒にいるよね? やっぱり年が近いからかな?」
「それ、先ほどセシルさんが言ったことと同じですよロイドさん────」
「────え────」
「────ギ、ギルフォード卿────!」
「────あっは~♪ じゃあ
「(…… “また”?)」
「セシル君やロイドたちが言ったように歳もあるだろうけれど、もしかすると魂の部分で引かれあっているのかもしれないよ?」
「『魂』~? シュナイゼル殿下から、そんな非科学的な言葉が出るなんて────」
「────あらいいじゃない。 『魂』なんて、ちょっとロマンチックで素敵じゃない?」
「ま、心が無くても立派に生きている人間もいることだし♪」
「本当にそうなのよねぇ~……」
「はっはっは。 そこで何故私を見るのかな、カノン?」
一気に温度を下がらせる様なシュナイゼルの雰囲気にセシルとギルフォードは思わず一歩下がりそうになるが、カノンは飄々としたまま言葉をつづけた。
「感心しているのですよ、殿下ほど『私情』を『己の責務』から切り離せる人を私は見たことがないですから。 私たちが初めて会った頃を覚えていますか?」
「勿論だとも。」
「う~ん、ノーサンブリア寄宿舎だねぇ~♪」
「??? 失礼、ロイドさんはその……」
「うん? ああ言っていなかったっけ? ボクとシュナイゼル殿下にマルディーニ卿って同期なんだ♪ あ、もちろん大学は別だったけれど。」
「は、はぁ……」
ギルフォードは知りたかったような、知りたくなかったようなことを初めて聞いてこれをどう脳内処理すれば良いのか迷った。
これから更に迷うこととなるのだが。
「殿下はあの頃から完璧で、監督生としては優しいだけでなく規律を守るためには乗馬用の鞭の使用も厭わないほど容赦がなかった。」
「「え゛。」」
「結果的にあの一件以来、卒業まで他の誰にも鞭を使用せずに済んだけれどね。」
「ええ、あの時点で問題児だった私を見せしめにするのが最良の手段でしたわ。」
「だが聡い君は納得してくれただろ?」
「ええ。 そんな殿下だからこそ、これからの行き先を見届けたいと思ったのです。」
「「………………………………………………」」
セシルとギルフォードは未だに『乗馬用の鞭を体罰にシュナイゼルが使用した』という事に宇宙猫を大量生産呆然として思考が停止しかけていた。
「ンフフフ~♪ その顔、久しぶりに見るけれどやっぱり良いものだねぇ~♪」
ロイドは愉快な気持ちを表す上機嫌な笑みを浮かべた。
「殿下~!」
「「「「ん?」」」」
ジノの呼ぶ声にシュナイゼルたちは彼の方を見ると、彼はカードゲームのテーブルで独り勝ちをしているかのような絵図を見る。
「ちょっとこっち来てくれませんか~? スザクもここにいる人たちも弱すぎて全然勝負にならないんですよ! あ、ギルフォード卿もどうです~?」
「一応スロットでは勝ったのに……」
スザクは少々(?)いじけながら上記を独り言のように零した。
「私はその……仲間と戦うのはどうも気が引けるので、遠慮します。」
ギルフォードは苦笑いを浮かべた。
「(スザクもギルフォード卿も素直すぎるから……)」
セシルは微笑ましい気持ちになった。
「ほほぉ……これはどうするべきと思うかね、カノン?」
「勝負ごとに弱い指揮官の元で動く部下は、不安になるでしょうね。」
「ロイド君は?」
「いっそボッコボコにしちゃった方がいいんじゃないかなぁ~、マルディーニ卿の時みたいに♪」
サァァァァ。
「あれ? お二人ともどうしたんですか?」
「あ、あとで話すわねスザク君?」
ロイドの言葉にセシルとギルフォードは真っ青になり、これに気付いたスザクの問いにセシルはぎこちなく答えた。
「それと今日も綺麗ですよ、セシルさん。」
「も、も、もう! ちょっとはTPOを弁えて!」
「へ?」
「では副官と同期たちの了承も得たことだし、完璧に叩き潰して見せようかな?
チャーチャララ~♪ チャーチャーチャララ~♪
スザクの携帯電話から今エリア11内で流行っている、ランスロット仮面の特撮番組のオープニングテーマが流れ出すとスザクは困ったような表情を浮かべる。
「あ、すみません。 これ取ります。」
それを最後にスザクは恐る恐るとヒートアップしていくシュナイゼルとジノのバカラ勝負から
スザクは周りに誰もいないことを確認してから彼が個人的に持っている電話ではなく、暗号装置が付いた携帯電話に出る。
「もしもし? 意外だね、君が僕に電話をしてくるなんて。」
『ごめんね、正直いま……誰を信じればいいのかわからなくて……』
「何か、あったのかい?」
……
…
スザクがカジノで電話を受け取るより時間は少しだけさかのぼる。
「シャーリー先輩? リニアカー、一周しちゃったですよ?」
「う、うん。 そうだね、ライブラちゃん。」
「ブティック、行かないのです?」
「うん……」
「ふ~ん……そうですか。」
租界の外縁部地区を沿りながら走るリニアカーの中に同じ人が出入りしていないことと、一周しても降りない人が他にいないことをシャーリーは確認していた。
これは彼女なりに考えた、あるのかどうかも分からない尾行や監視への対策……
あるいは、単純に動転しそうな自分が落ち着く為にワザと租界をぐるぐると回るリニアカーにただ乗っていただけかもしれなかった。
「♪~」
こんな自分勝手な行動に巻き込まれてもリニアカーの中から景色を楽しむライラを見たシャーリーは通常時だと胸がちくりと痛んだ。
だがそれよりも、今の彼女はごちゃ混ぜになっていた記憶の整理をしながら必死に平然とした態度に専念していたためにライラに対しての気持ちは一瞬だけで、シャーリーは車内にある広告を見る。
「(どうしてナナ
そう疑心暗鬼になりそうな瞬間、シャーリーは周りの人間たち全員がオペラなどで見る様なのっぺりとした薄笑いの仮面を『顔』の代わりに付けているのを連想してしまい、彼女の背筋はゾッとした寒気を物理的に振り払うかのように頭を振る。
「(違う。 ルルに限って、ナナちゃんが巻き込まれているのならそんなことはしない筈……だから何らかの事情がきっとある筈。 もしかして、脅迫されている? あの時に……ブラックリベリオンで見たロロやクララを見た後だとこれが一番しっくりと……でも、それだとしても色々と説明がつかないし違和感が残っちゃう……)」
そこでシャーリーは考えた。
『誰に相談できるか』を。
「(ルルは当事者で、ルルの事だから私が心配しないように言いくるめられるような気がする。
リヴァルは……リヴァルだし、ニーナは学園にいないことを考えるともしかしてルル以上に大変なことになっているかも……
スヴェンも倒れちゃったし、アンジュさんは彼の見舞い。 マーヤは……マーヤはどうなんだろう? そう言えば急に学校に来るようになったのも、黒の騎士団が出来たすぐ後……もしかして黒の騎士団が関係している? でも黒の騎士団はブリタニアと対峙しているし……
そう言えば、カレンもアリスちゃんもブラックリベリオン時から行方不明も関係しているの?
……分からない……誰に話せばいいの? 誰なら話せるの? 他に誰か今の状況を不自然に思っていないの?)」
そこでシャーリーは意を決してから、同じリニアカーに人が居なくなってから
判断条件は『ナナリーを以前から知っている人』、『彼女とルルーシュとも仲が良い人』、『それなりの地位や権力を持ちつつ自由に動ける人』、『すぐに連絡が付ける人』、そして『密談に乗ってくれそうな人』。
シャーリーにしてはかなりしっかりとした判断な上に普段はしない警戒ではあるが、無理もない。
彼女からすれば自分はほぼ『孤立状態』な上に『危険な状況下』で『想い人の危機(かもしれない)』。
用心するに越したことは無いと彼女は感じていた。
『もしもし?』
「……スザク君、今いいかな?」
シャーリーが電話したのはナイトオブラウンズであり、今トウキョウ租界に居て、ルルーシュとナナリーとは昔から仲がいいスザクだった。
『意外だね、君が僕に電話をしてくるなんて。』
「ごめんね、正直いま……誰を信じればいいのかわからなくて……」
『何か、あったのかい?』
「その、出来れば会えるかな? 時間、大丈夫?」
『……時間? 大丈夫だと思う……多分。 どこで落ち合う?』
シャーリーが次にリニアカーが止まる駅を見る。
「オオクボステーションで、良いかな?」
『大久保? いいよ────』
「────それと、出来れば内密に話したいところで。」
『……わかった。 駅の近くに中央公園があるから、駅で合ったらそこで話そう。』
「うん……ありがとう。」
ピ♪。
シャーリーは電話を切り、ホッと息を吐きだす。
「今のって、スザク先輩です?」
「ひゃ?!」
ガシャ!
そこでシャーリーの横から来たライラの声に思わず携帯電話を落としてしまう。
「ら、ら、ライブラちゃん?! ど、ど、どうしてここに?! なんでもっと早く声をかけなかったの?!」
「だってシャーリー先輩、声をかけても全然見てくれなかったです。」
「どこに行っていたの?!」
「隣のコンパートメントです! それで今の、スザク先輩だったです?」
ここでシャーリーはライラの事をすっかり忘れてしまったことに焦った。
「(どうしよう……もしライブラちゃんも関わっていたら……ううん、関わらなかったとしてもこれからスザク君と会うことをどうやって説明すれば────ハッ?!)」
ここでシャーリーの脳裏を過ぎったのは、ブラックリベリオン後の騒動と共に租界内の治安が落ち着いてから学園に戻ってきたライラが『ロロ』と
「(そう言えばライブラちゃんって入学時からずっとナナリーの傍にいたのに、戻ってきたあの時からずっとスヴェンやアンジュさんやマーヤさんの近くに居ようとしていた? だったらもしかして……)」
「どうしたです~?」
「……ねぇ、ライブラちゃんって
シャーリーは胸の高鳴りと共に慎重に言葉を選びながら、小声となけなしの
「(ライブラなら『不敬罪』とかうるさくないし、最悪でも“ナナリー総督の事?”とか聞き返して来る筈)」
「────シャーリー先輩……もしかして、
「え?」
シャーリーは予想していなかったライラのホッとしつつもどこか不安がる表情と言葉に戸惑った。
余談でシュナイゼルはカジノの出禁にならなかったものの、『遊び』にストップがかかりました。 (;´ω`)