小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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作者:お待たせ致しました、キリの良いところまでの勢いが付いた次話です! 楽しんで頂ければ幸いです!
集合ちゃん:色々と何を入れるか悩んだせいでギリギリだったのは言わないの?
作者:ソレハイワナイヤクソク……ともかく、他は次話で入れようと思います! m(_ _)m


第241話 『君を失えない、だから……』の仮装

 ジ、ジジジ。

 

「チ、やはりこちらもダメか。」

 

 ルルーシュはステーションの裏側にある警備室で稼働しづらくなってノイズの走るモニターを前に舌打ちをした。

 

「(新たな発明や開発は良いが、やはり土壇場での使用は考え物だな。)」

 

 彼は今ステーションモールにいると思われる他のギアス嚮団に関する情報をジェレミアから聞きだし、情報共有をライラと一緒にいるマーヤにしたかった。

 

 元々G列車にゲフィオンディスターバのほかに搭載した電磁パルスジェネレータは異変の原因に気が付いて近寄ってきた者たちの通信機を破壊し、司令塔との連携を取りにくくする微弱な出力の設定だったが電磁パルスの発生源近くに居た所為か、ルルーシュ自身の携帯にも被害が及んでいたことで彼は動けなくなったジェレミアに肩を貸しながら距離も(少々)あって理論上ではある程度電磁パルスも遮断するコンクリートの壁越しにある警備室へと運んで中にあった機材に電源を入れて状況把握を試みていた。

 

「(純血派の『キューエル・ソレイシィ』か……マーヤがあの時にあの場所にいたことも驚きだが、まさかキューエルと彼女に接点があったとはな。)」

 

 ルルーシュがここで思い浮かべたのはジェレミアによる証言で、ナリタ連山でキューエルをマーヤが騙して半殺しにした上にナイトメアを奪った事と、それを発端に改造中やそのあとでもキューエルが異常なほどまでに『イレヴン殺し』に執着を見せ始めたこと。

 

「(だが正確には『イレヴン』ではなく、『マーヤ』だろうな。 今回もジェレミアから聞けば(ルルーシュ)の情報収集を行うだけが、彼女を見ただけで発砲するという暴走で始まったと聞く……執念深いな。 それを言うならば、元エリア11総督の『カラレス将軍』もギアス嚮団の誘いに乗って改造を受けたこともだが────)────ん?」

 

 ルルーシュはノイズが走り続けるモニターを操作してモールの屋上にあるヘリポートを見せるカメラに変えると丁度着陸した機密情報局用のヘリの中から出てくるヴィレッタと咲世子を見ては警備室の通信機の周波数を変える。

 

「(ヴィレッタに咲世子? 丁度いい。) 聞こえるか?」

 

『ルルーシュ様、ご無事でしたか。』

 

「ああ。 今モールの屋上近いフロアの警備室にジェレミアといる。」

 

『ジェレミア……まさか、ジェレミア卿か?!』

 

「……その声、ヴィレッタ、か。 久しい、な。」

 

 無理に体を動かして疲れたのか警備室に入ったきり仮眠していたジェレミアがヴィレッタの声に目を覚ます。

 

『生きてらっしゃったのですか────?!』

「────彼だけではない。 キューエルもだ────」

『────キューエル?! だが彼は確か、本国の療養所にいたと────』

「────彼もジェレミアも同様にギアス嚮団に引き取られてサイボーグ改造されている。 かくいうカラレスもだが────」

『────ちょ、ちょっと待ってくれ……情報量が────』

「────取り敢えず、ジェレミア卿の説得には成功したが彼は動けない。 よってヴィレッタか咲世子のどちらかでもいい、ライラと一緒にいると思われるマーヤの援護に回ってくれ。 (咲世子はもちろんの事だがヴィレッタは恐らく機情からの報告を聞いて来た筈、断る理由がない。)」

 

『それではルルーシュ様、敵となる者たちの情報は?』

 

「ある。 が、俺が口にすれば逆効果になり得るからこれ以上は話せん。」

 

『『は?』』

 

 ……

 …

 

「貴方は、カラレス────?!」

 

 そう言いながらマーヤは手に持っていた銃の引き金を引く。

 

「────え?!」

 

 だがマーヤは手が軽い事と、引き金の感覚がない事で手に持っていた筈の銃がない事に驚愕の声を上げながらケガをしている自分に困惑しだす。

 

「(()()()()?! ()()()()()()()? ()()()()()()()()()()?! いったい何が────)」

 

 カチッ。

 

「────ッ?!」

 

 ガァン!

 

 マーヤは前方からする金属音にゾワっとした感覚に対してほぼ条件反射的に体を動かすと自分のいた場所に弾丸が撃ち込まれ、軌道の先にニヤリとするカラレスがいたことで思い出す。

 

「(そうだ、()()()()()()()()()()()()()()()! 銃も攻撃を避けた際に撃たれて()()()()! ならばナイフを使う!)」

 

 マーヤは太ももに暗器として隠し持っていたナイフに手を伸ばし、それをカラレスへと投げながら距離を取るために通路を走る。

 

「ふ、()()か。 無駄なことを。」

 

 カラレスは体をよじってナイフを避け、余裕のまま四脚の足でマーヤの後を追う。

 

「(まさか私へのサイバネティックス化の提供がこの様な好転をするとは……)」

 

 カラレスが思い浮かべるのはバベルタワー事件後、目を覚まして下半身が文字通りに潰されたにも関わらず奇跡的に助かったものの、ゼロ復活のきっかけとブリタニア駐留軍に多大な損害を出した罪で地位も爵位も剥奪されたところで怪しげな組織から接触が来た。

 

 その組織とはギアス嚮団であり、カラレスは原作でのジェレミアと同じ手術と調整を終えたところで『ゼロと何らかの関係がある学生の事を調べ上げるように』との命令がV.V.から下されて『土地勘がある』とキューエル、そしてジェレミアもついて来た。

 

「(それにこのギアスとやら、半信半疑だったが素晴らしい。 人間狩りがより楽しめて僥倖である。)」

 

 ジェレミアが原作で『ギアスキャンセラー』があるようにカラレスもギアスを保有していた。

 いくらカラレスが改造されていたり、装備も充実していないとはいえマーヤが彼相手に苦戦している大部分の理由はこのギアスによるところが大きい。

 

 カラレスが所有するギアスはトトの持つ『忘却』と非常によく似た性質であり、『人の部分的な記憶を消す』と言ったモノ。

 ジェレミアと同じくギアス発動の際に微弱な電波を発し、周りにいる者たちの記憶を消すこと。

 

 こうして記入すれば一見、強力に見えるものの制約などはある。

 例えば『消せる記憶に限度がある』、『術者(カラレス)もそれを指定しなければいけない』、『消せる記憶は短期記憶に類するもの』等々。

 だが暗殺や潜入、周りを誤認させるなどと使い方次第では確実に初見殺しになり得る。

 

 皮肉にもマーヤが未だに生きているのは単に、カラレスの残虐性が普段より()()()()()()所為でもあるのだが今その話は置くとしよう。

 

 ガシャアン!

 

「ぶわ?!」

 

 そんなカラレスの顔を横からガラス瓶が投げつけられ、彼の顔は何らかの液体に覆われる。

 

「な、何だこ────?!」

 

 ボゥ!

 

「────ぐあぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 カラレスは自分の顔がヒンヤリすると思いきや、液体が発火しては顔が燃え始めだし彼は叫びながら火を消そうと顔を両手で覆う。

 

「(これは……なるほど、自然発火性物質の入った瓶を────?!)」

「────マーヤ、離れるぞ────」

「────あ、貴方は!」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「ま、待ってライブラちゃん! いったい何が────」

「────だーかーら! 早く逃げるですシャーリー先輩!」

 

 ライラに手を引かれるままシャーリーは困惑しつつも走り、ライラはやはりロロが危険だったことに過去の自分にグッジョブを感じる余裕もなくただどうにかしてその場から逃げることで頭がいっぱいだった。

 

「ぬわ?! ()()です?! うぎぃぃぃ! お~も~い~で~す~!」

 

 そんなライラは急に止まったシャーリーにつられては驚愕の声を出し、動きの止まったシャーリーを体格的に小さな身で必死に引っ張ろうとする。

 

「(やはり、彼女には効いていない?)」

 

 シャーリーの動きが止まったのは無論、彼女たちの後を追うロロの『絶対停止』によるもの。

 

 さて、ここで何故ロロが急にシャーリー相手にギアスを使ったかを簡単に説明したいと思う。

 

 彼のギアスは『周りの生物の体感時間を停止させる』もので、幼少期からはギアス嚮団の任務で潜入や暗殺任務を()()()延々とこなしてきた。

 

 行動はいたってシンプルであり、『対象に近づいて周りの体感時間を停止させて暗殺か情報を抜き取ってからその場から居なくなってから能力を解除する』。

 

 対象の護衛や周りの者が気付いたころには暗殺は完了しており、印象に残らないように動いていた犯人(ロロ)は既に現場から居ない。

 疑似的な『完全犯罪』だがロロのギアスには欠点があり、その所為で長時間そのギアス能力の維持が出来ない。

 欠点とは『能力の発動中は自身の心臓が停止する』というモノ。

 

 そんな彼の操作を容易くするため、V.V.はクララやトトたちの脳手術とは少々違う方法────精神的な洗脳を施した。

 

 洗脳は『他人に必要とされる事イコール己の存在意義』。

 

 クララ達という前例があったために、脳手術は手駒にする方法として確かだが結果は微妙であったために別の方法の試行錯誤で『洗脳』が選ばれた。

 

 大人や自我が強くなった時期だと洗脳の効果はほぼないに等しいのだが物心がつく幼い頃からされ続けると思考が洗脳を中心に固まっていき、ほかの思考が()()()()()()()()

 

 この精神的弱点をV.V.に利用され続け、看破したルルーシュにも利用されてねじ伏せられていた。

 

 主がV.V.からルルーシュに変わっても無意識に積もらせたフラストレーションか、自分をもっと頼らないルルーシュへの疑念か、ゼロなどとしての記憶が戻るまでは自分だけを見ていた時期への嫉妬か、口では『兄弟』といいながらも未だにナナリーへの未練を表するルルーシュへの独占欲か、あるいは別の何か。

 

 それ等が重なり、原作でロロは自分からルルーシュを取るかもしれないシャーリーを殺していた。

 

 色々と違う今作でもその様な負の感情をロロはシャーリーに対して積もらせていたのだが、『殺したい』というレベルまでではなかった。

 

 何せ原作より幾分か人間味のあるルルーシュに口では嫌々と言いながらもジノに振り回され、よそよそしくも自分を『ロロちゃん』と呼ぶ同年代のライラ。

 

 毎日が充実していた。

 

 ではなぜ、ロロはシャーリーを殺そうとしたのか。

 

 その話に、『人間の脳』という少々込み入った話が関わってくるが簡潔にまとめると人間は複雑な思考や行動を起こせる生き物であるが極端な話、彼らは脳内の神経細胞を駆け巡る電圧によって稼働や思考をし、記憶などが出来る。

 

 それらの正体は、ごく僅かな電圧である。

 

 もし、ピンポイントで感情などを司る『大脳辺縁』の電圧を直接刺激できれば?

 

 どんな人間でも『感情的』になり、『理屈』ではなく感じるがままに行動をし始めるだろう。

 

「(それが私のギアス、か。)」

 

 ロロから逃げるシャーリーたちを、上のフロアにあるテラスからキューエルが涼しいまま見下ろしながら思い浮かべていた。

 

「(初めはこの様なギアスなど、使い物にならないと思ったが……どうにも面白いではないか。 しかし話に聞いたロロとやらも、不便な能力を抱えたものだな。)」

 

 キューエルが視線を動かしたのはずるずるとシャーリーを背負って逃げようとするライラの様子を窺っているロロだった。

 

 ロロは今まで、『ルルーシュ(ゼロ)の弟役』の任務に就くまでは殆ど短期的な任務しか遂行していなかった。

 

 それは彼のギアスが強力な事もあったかもしれないが、ギアス使用時の副作用(欠点)に大きく由来しており、その所為かロロの体は『病弱』と呼ぶほどではないが年齢的に育ちが遅い理由でもある。

 

 つまり彼が感情の赴くままに『ギアス能力の目撃者(シャーリー)』という足かせを利用して不確定要素(ライラ)などをさっさと処理(始末)しない理由(は慕う兄(ルルーシュ)ほどではないが)もやし『不健康』な所為でスタミナがあまり無いからである。

 

「(しかし聞いていた話以上にロロとか言う小僧、欠陥品だな。)」

 

 後はロロのギアスが発動(心停止)中にライラが放った初撃(飛び蹴り)がd20のクリティカルのごとく非常に効いていたことも大きい理由であるが、その場を見ていないキューエルは知る由もない。

 

「ッ!」

 

 ギィン

 

 キューエルは何かに気付いたのか、すぐさま背後に振り返っては自分へと迫ってくるクナイを腕で払い落とす。

 

「やはり機械────!」

「────女で、しかもイレヴン!」

 

 クナイを投げてきた張本人と思われるメイド服の女性────咲世子を見たキューエルの表情は驚きから歪んだ笑みに変わる。

 

 キューエルの両腕からスティレットの様な細長い刃が出て、二人の間に激しい攻防が繰り広げられる。

 

 サイボーグ化により一撃でも食らえば『致命傷』になり得る攻撃と強化された防御力任せのキューエルと、俊敏性と防御力が薄いと思われる僅かな生体部分の隙間を狙う咲世子。

 

「たとえ機械でも、生体部分を狙えば────!」

「────ぬ?!」

 

 原作で彼女がジェレミアとほぼ拮抗した攻防を広げたのは伊達ではなく、ジェレミアより荒々しい戦い方をするキューエルは徐々にダメージを備蓄していき圧されていく。

 

 ドゥ!

 

「う?!」

 

『このままいけば攻撃を当てなくとも勝敗はいずれ決まる』と咲世子が思った矢先に、キューエルの腕から刃とは別に筒────銃口が飛び出てほぼ同時に射出した散弾が咲世子の右上半身に命中する。

 

「ふむ。 仕込み銃の具合は上々……」

 

「ブリタニアの騎士だった方が、暗器など────」

「────私はオレンジのように『矜持』にこだわる理由はない。 奴の言っていた言葉を借りるのなら“結果が全て”なのだ。」

 

 ダァン!

 ギィン

 

「弾かれた────?!」

 

 ────ドゥ!

 

 別方向からヴィレッタの撃った弾丸がキューエルの頭部に当たるが予想通りに貫通しなかったことにヴィレッタが声を上げ、キューエルの反撃に身を物陰に隠してこの隙に咲世子も消える。

 

「その声、ヴィレッタか……フゥ、またも女か。」

 

「キューエル、何故こんなことをしているかは聞かん! その代わりに見なかったことにするから去れ! (確か咲世子に渡された銃に、フルメタルジャケットの弾丸が入った弾倉が有った筈……)」

 

「“見なかったことにする”、か。 男爵位になっただけで、大きく出るようになったなヴィレッタ。 いや、トウキョウ租界機密情報局支部長?」

 

「そういう貴様は、体の改造とギアスごときで機を窺うだけの小心な男から威張り散らす猟犬に退化したか────?」

 

 ────バスバスバスバスバス────!

 

「────クッ?!」

 

 キューエルが連射して放ったスラッグ弾はヴィレッタの潜んでいた壁を貫通しなかったが大きな衝撃にヴィレッタは苦い表情を浮かべる。

 

「私は変わったのだよ、君と同じでね。 最も、君の所属する機密情報局はギアス嚮団の隠れ蓑だがね────」

 

 ────ダダダダダダダダダダァン!

 

 ヴィレッタは壁の向う側からギリギリ身を乗り出した体勢で狙いをほぼ定めずに拳銃を連射し、キューエルは頭部を両腕で守る。

 

 ボォン!

 

「これは……スモーク(煙幕)か。」

 

 銃声とは違う音がするとキューエルの周りにモクモクと煙が立ちこみ始め、彼は義眼の視界設定を変えていく。

 

 赤外線に変えたところで自分の方へ瓶の様な物が投げつけられるのを見て、キューエルは一瞬払い落とそうと腕を上げるが嫌な予感がして彼は瓶を避けながら投げた人型を仕込み銃で撃つ。

 

 バス!

 

 「ぐぁ?!」

 

「(男……ルルーシュとやらか────)────何?!」

 

 苦しむ声を聴いたキューエルの予想に反し、赤外線で見えた相手は怯むどころか一直線に自分へ走ったことに驚きの声を出す。

 

 バスバスバスバスバスバスバス!

 

 今度はキューエルが狙いを定めずに連射し、何発かは確実に当たったがそのようなそぶりを見せない相手はキューエルへと迫り続けた。

 

 キューエルは腕のスティレットを突くと腕が掴まれ、ここでようやくキューエルは相手を目視する。

 

「き、貴様は?!」

 

 森乃モードっぽいスバルを見たキューエルが驚愕し、反射的にフリーの腕からスティレットを相手の胴体めがけて射出する。

 

 グサッ!

 

 「い゛?!」

 

 スティレットの刃は森乃モードっぽいスバルの胴体ではなく、手を貫く。

 

「ぬあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

 だがそのままスバルはキューエルの拳を掴むと今度は力任せにキューエルを強引にテラスのバルコニーへと押し始める。

 

「こ、こ、こいつ?!」

 

 流石に強化されたキューエルを押すのは困難……とキューエル自身も思っていたのは束の間で、スバルによってキューエルはバルコニーへと瞬く間に押されてはバルコニーの手すりで止まらずそのままキューエルとスバルは宙を舞う。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「どこに、こんな力がぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 キューエルはスバルの胴体を蹴って離れ、来る衝撃に備える。

 

「スバルさん!」

 

 スバルの方へと縄付きのクナイを咲世子が投げるも、彼は気を失っているかのようにそのまま落ちていく。

 

「(あ、やべ。)」

 

 そう冷静に思ったスバルは受け身を取る姿勢になり、来る衝撃と痛みに背筋を氷が伝うような感覚のまま身構えた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 ……………………………………………………『痛い』。

 

 最初に(スバル)が思ったのは取り敢えず『痛い』。

 

 もう全身の痛覚が叫び続ける感覚のみで構成されているかのような痛みに意識ははっきりとしていく。

 

 モール内にあった化粧品売り場でちゃちゃっとした簡素『森乃変装』の見た目みたいにしたが、とにかく全身が『痛い』。

 

 だがはっきりとしていく意識とは裏腹に体中は怠く、瞼が開ける気が全くしない。

 

 周りが騒がしいのは理解するし、これが人の声だという事も分かる。

 

 

 だが不思議と耳に届いてくる声は周りの者たちではなく、どこか遠いようで近い距離にいる少年と少女のモノだった。

 

「私の、私の所為だ!」

「違う! 君の所為じゃない、俺のだ!」

「ち、違うです! 先輩の所為じゃなくて、助けを求めた私です!」

 

 すすり泣く少女と、そんな少女を慰めるような少年と、悲痛に満ちた声が聞こえてくる。

 

 聞いたことのある声たちだ。

 

「君も悪くない! 俺が甘かったせいだ……その所為で、君たちにまで被害が……」

 

「でも、元はと言えば私が勝手に────!」

「────いいんだ、もう。 やはり、君と現を抜かすべき時期ではなかったんだ……俺と関わっている所為で、こんな怖い思いをして……君は今まで通りに……忘れれば────」

「────こんなの……こんなのどうやって忘れるのよ────!」

「────出来る。 俺ならば、出来る────」

「────な、なに急に────?」

「────俺は、失いたくない……君を。 だから────」

「────へ────?」

「────もし、全てが終わった後で俺が生きているのならば……平和な世界になった後で、もう一度君と会って……俺を許してくれると言うのなら────!」

「────ルル、待って! ダメェェェェ!」

 

 悲痛に満ちた静かな少年の声と少女の叫びを最後に、(スバル)の意識は途切れる直前にふと俺はこう思った。

 

『こんな声が聞きたく無いが為に来たのに』、と。

 

 

 


 

 

「シャーリー!」

 

 スザクはオオクボステーションモール内に軍警察を送り、自分も乗り込むところでフラフラとしながら歩くシャーリーを見かけては驚きながら声をかけて制止する。

 

「ぁ……スザク、君……」

 

「無事だったかい?! 保安部から、君が急に中に入ったって聞いて……ううん、君が無事ならばそれでいい。 それでその……君からの相談話はまた今度にしようか? ほら、君を送る車も待機させて────」

「────“相談話”って、何のこと?」

 

「…………………………え?」




後書きEXTRA:
ダルク:ほわあぁぁぁぁぁ?!
マオちゃん:え?! え?! え?!
ルクレティア:なんですのダルクちゃん、急に?
ダルク:なんだか今、ビビッて来た!
アリス+サンチア+ルクレティア:………………『ビビ』??
ダルク:こう……アレだよ! アレアレアレアレアレ! 電気ショックみたいで違うビビッて奴! アヤノさんなら分かるよね?!
アヤノ:いや、分かんないわよ。 (『さん』って……)
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