小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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……アウト?


第247話 『ムスペルハイム攻略作戦』3

 時を同じくして世界のほぼ反対側にある『新大陸』のダラス州の研究所で、シュナイゼルは日光がガラス越しに照らす室内で、いつもより少々興味深い薄笑いの表情をしながらとある書類等を読み漁っていた。

 

 コン、コン。

 

『殿下、よろしいですか?』

 

「カノンか。 いいよ、入りたまえ。」

 

『では────』

「────もしや、東ユーラシア絡みかい?」

 

「流石は殿下ですね。」

 

 入ってくるカノンに対してシュナイゼルが上記の言葉を間髪入れずに発すると、カノンはビックリすることを内心にだけ留めさせながらニッコリとした笑みを返す。

 

「あそこは明らかな挑発をしていたからね、もうそろそろ事態が動くと思っただけだよ。 ()()()()()、カノンはこの資料に書かれている『フレイヤ』に関してどう思っているんだい?」

 

「……もし理論通りの代物であれば、もう『剣』だの『騎士』だのと言う、現在の『闘争の矜持』を超えた次元の力になるでしょうね。」

 

「フム……これを書いた研究者たちは『好奇心』と『恐怖』が半々の様子だったけれど、カノンはなぜ平然としていられるのかね?」

 

 シュナイゼルが見下ろす資料は予想された『フレイヤ』による災害力で、その比は毒ガス兵器以上のモノだった。

 フレイヤの物理的な破壊力とその効果が表れるまでのタイムラグや効果範囲の調整は群を抜いており、それに比べると毒ガスは原始的にも見えてしまうほどであった。

 

「あら、そう仰る殿下もエリア11でフレイヤの開発具合を聞いてすぐにダラスに戻ってきた熱は見る影もなく、いつも通りですけれど?」

 

「『いつも通り』、か……なら、()()()()()()()と喜ぶべきなのかな?」

 

「???」

 

「確かに私はフレイヤの事を聞き、ここに急遽戻ってきたがそれだけではないよ? 我々は多分、既に例の『謎の勢力』による術中にハマっているからね。」

 

 シュナイゼルがスラスラと、まるでなんともないように言ったセリフに、流石のカノンもとうとう目を見開いてしまう。

 

「例の報告にある()()に、私たちが?! で、ですがそれに対する想定は今まで通り────」

「────そう。 ()()()()()()()()のだよ、カノン。」

 

「……ああ、殿下は独自に私たちとは別の対策を?」

 

「君にも黙っていたことは悪いと思っている。」

 

「では殿下には『何が変わったか』も把握していられるので?」

 

「いや、さすがにそこまでは憶測の域を出ない仮定ばかりだよ。 だがこれで、例の不思議な力は侮れないと再度痛感した……さて、東ユーラシアでは何があったのかな? それとエリア24のマリーにEUと旧中華連邦方面で戦闘を終えたラウンズと親衛隊の部隊が何人かいた筈だよね? 彼女や彼らと連絡を至急取ってくれないかい?」

 

 鼻歌が今にも交じりそうな、どこか若干浮いたシュナイゼルの様子にカノンは内心ウットリホッコリしたそうな。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 スルトや従来型ナイトメアで迎撃を図る東ユーラシアにプルートーン側と思われるガニメデタイプとアマルガムが交戦している影響で、ギアス嚮団がある地下都市のそこかしこに天井から土埃や緩い岩石などが振動と共に落ちてくる。

 

『お、おいやめろ! 撃つな!』

『味方だぞ?!』

『俺じゃない! 体が勝手に動くんだよ!』

『研究員たちも邪魔だ!』

『ナイトメアを生身で登ってくるなんて、正気か?!』

 

『天井の一部が落ちてくるかもしれない』だけでも心配事の元になるのだが、『“超”が付く現象』と呼ぶしかない予想外の事態に陥っている零番隊の大半は、大小なりの動揺────いわゆる『パニック状態』になっていた。

 

『まさか、これってゼロの言っていた人体実験の所為?!』

『う、撃て! 撃つんだ!』

『だ、だけどゼロが捕縛って────ってコックピットが?!』

『う、うわぁぁぁぁぁ?!』

 

 既に察しているかもしれないが、最愛である数少ない心の支えのシャーリーを失った激怒と悲哀からルルーシュがゼロとして零番隊に『人体実験を行っているブリタニアの機関(ギアス嚮団)らしき者は片っ端から殲滅』が変わった時点で、ギアス嚮団に乗り込んだ零番隊はギアス能力者、そしている筈のない敵KMF(プルートーン)の奇襲に混乱が生じていた。

 

『落ち着け! あそこにいる奴らが元凶だ!』

『子供が?!』

『まさかゼロの言っていた実験体がそうなのか?!』

『子供たちをカプセルに放り込め! それで止まれば分かる!』

『ナイトメアで子供を……』

『仕方がない、やろう!』

 

 とはいえ散々今までゼロの元でエリア11や中華連邦内などで活動してきた零番隊であり、早くも今の状況に順応する者たちもいた。

 

『黒いサザーランドたちには気を付けろ!』

『は、早い!』

『建物の屋上を道代わりに?!』

 

 これには地下都市内に残ったプルートーンへの対処も含まれていた。

 

『どっせぇぇぇぇぇい!』

 

 最初はセオリーに無い動きをするプルートーンにベニオも同じく戸惑いはしたものの、非常識な機動戦(カレンや毒島たち)を行う者たちとの手合わせなどの経験を活かして、何とか味方機のいる場所へと逃げおおせていた。

 

『うらぁぁぁぁぁ!』

 

 第三者が冷静に見ていれば、ベニオの紅鬼灯がくり出している技等────『輻射波動を中距離でも発生する二次効果を器用に使う』、『近くの物を投げる再利用する』、『パイルバンカー付きのマニュピレーターで殴る』、『ヤクザキックランドスピナーの勢いを利用した蹴り』、『敵を踏み台にする』などは割とコードギアスの世界では異質な『何でもありスタイル』なので、ドン引きしているかもしれないが。

 

『さすがは期待の新人! ……掛け声とかがオッサン臭いけれど……

『すげぇ機動戦だ! どことなくカレンに似ている気がするが。

無茶苦茶すぎる! ベ、ベニオ機を援護しろ!』

 

 皆さん、本音がダダ漏れですよ?

 

『(何が何でも生き抜く! 地上でカレンさんたちも踏ん張っているんだ! ならここは私が活躍する!) 往生、しやがれぇぇぇぇ!』

 

 今の紅鬼灯の姿はどこか、第一次トウキョウ決戦(ブラックリベリオン)時でアッシュフォード学園が紛争地域になったと聞いて突貫した紅蓮に似ていたともここで追記する。

 

 

 ……

 …

 

 

 上記とほぼ同時刻、ゼロの蜃気楼やジェレミアのサザーランド可翔式(純血派仕様)にC.C.の暁(ピンク色)の三機は、建物内から出現したジークフリートと対峙していた。

 

「(まさか明らかな脅威である地上部隊ではなく、地下にジークフリートを残すとは!) ジェレミア! 確かこの機体は神経電位接続で反応を底上げしていたな?!」

 

『はい、それと電磁装甲によって、ほぼすべての実弾やビーム攻撃に対して高い防御力を発現します。』

 

『前以て言っておくが、今回の私はアレごと心中する気はないぞ? 前回と違って周りは砂漠だらけだからな。 ミイラになりたくはない。』

 

 最後に神根島での出来事を言ってきたC.C.をスルー無視したルルーシュは現状の打破の為に並列思考を使い、蜃気楼の中でありとあらゆる状況パターンを脳内でシミュレートしていった。

 

「(ジェレミアのサザーランド可翔式に大型キャノンは装備されているが、従来の火力を持ったナイトメアではジークフリートの電磁装甲には通用しないだろう。 見込みがあるとすれば目標に吸着し輻射波動を直接叩き込む粘着輻射弾、蜃気楼の拡散構造相転移砲。 あとは紅蓮の輻射波動だが彼女は地上に残った。 それに地上での様子からすれば……勝利の条件は見えた!) ジェレミア、ギアスキャンセラーを今から送るルートを移動しながら発動! C.C.は俺と共にジークフリートとの対峙だ!」

 

『何かあるのか?』

 

「条件は既に揃っている、あとは地上の皆が予想通りに動いていればクリアできる!」

 

 ……

 …

 

 地上ではアキトとシンのアレクサンダ・アラクネが濃い青色のヴェルキンゲトリクスと対峙していた。

 

「兄さん、あれってヴェルキンゲトリクスだよね?」

 

『色も変わり、少々の違いもあるが基本はヴェルキンゲトリクスのままだな。』

 

「性能はどう?」

 

『ああ、()()も含めて以前とあまり変わっていない様子だ。』

 

 ここでネタバレをすると、ヴァイスボルフ城の決戦時にボロボロとなったヴェルキンゲトリクスはwZERO部隊のアレクサンダやアシュラ隊のグロースター・ソードマンと違って、リサイクル(再利用)されたガリア・グランデに回収されて蓬莱島へと輸送されていなかった。

 

 無論、ヴェルキンゲトリクスも回収したかったが、置き去りにせざるを得なかった大まかな理由は二つあった。

『ヴェルキンゲトリクスの駆動システムが発する独自の力場が、フロートシステムに干渉して支障をきたす』。そして『回収に要する作業時間』である。

 

 一応苦戦の末に聖ミカエル騎士団を退けたものの、何時ユーロ・ブリタニア正規軍の追撃、あるいはEUの『事故』と称した『証拠隠滅』を図る別動隊が来てもおかしくない状態を危惧し、wZERO部隊は『長居は無用』という判断の元でヴァイスボルフ城から蓬莱島へと撤退した。

 

 そして不幸にもユーロ・ブリタニア軍が聖ミカエル騎士団を追ってヴァイスボルフ城に到着する前に、シンがギアスを得た経歴を調査していたプルートーンの別部隊によってヴェルキンゲトリクスは回収され、ギアス嚮団による誘いを受け入れたカラレスの専用機へと変貌した。

 

 更に元々ラウンズの為の試作機であったヴェルキンゲトリクスとカラレスの発現した広範囲型のギアス────『忘却・短期記憶』*1の相性はよく、『初見殺し』や『遊撃士』としての能力は脅威であった。

 

 しかし、アマルガムでもヴェルキンゲトリクスの癖や動きをよく知っているアキトとシンたちが自ら対峙することで、戦況への影響は最小限に抑えこむことが出来ていた。

 

『それでも、近すぎるのは危険だな。』

 

()()()()()()()()兄さんでも?」

 

『ああ。』

 

 最初はアキトもカラレスのギアスに影響されて苦戦を強いられていたが、カラレスのギアスがジェレミアのギアスキャンセラーと似た性質を持ったせいか『遮蔽物』(この場合『シンの義眼』)がカラレスのギアスを無効化していたことが大きな要因だろう。

 

『何故だ! 何故イレヴンの猿どもに、この私が?!』

 

 ブリタニアの試作機で『サグラモール』と呼ばれていた時期からヴェルキンゲトリクスを熟知しているシン、そして『公式チート人間スザクと良い勝負が出来るかもしれない』疑惑持ちのアキトたち兄弟の前では、さすがのカラレスも焦りを感じていた。

 

「“イレヴン”……少し違うな────」

『────そうだな────』

「『──── “()()人”だ……()()の剣だけに。』」

 

 『意味が分からん!』

 

 カラレスの困惑した叫びを無視し、アキトたちはサクラダイト繊維による人工筋肉がくり出す爆発的なパワーで物理的な長刀(超硬度大太刀)を振るっては、ヴェルキンゲトリクスの四脚の内二つの足を無理やり左右から切り落とす。

 

『きょうも ひゅうがきょうだいは さむくて げんきです』とも。

 

 ……

 …

 

「うぁ?! こんにゃろ!」

 

 別の場所では、ガニメデ・コンセプトの中でアリスはビックリしながら転倒しそうな機体をザ・スピードによる『加重力の操作』を使って機体を空中回転させながら、反撃をするためバスターソードを投げる。

 

「うげ、マジ?!」

 

 しかしまるでアリスの動きを事前に知っているかのように、敵はガニメデ・コンプリートによる投擲を躱すどころか、飛来してきたバスターソードの柄を掴んでは投げ返した。

 

 アリスのガニメデ・コンプリートが投げ返された剣をキャッチし、態勢を整えた直後に敵のヴィンセントが切りかかってくる。

 

「(こいつ、私の戦い方を知っている動きを────)────ッ?!」

 

『……う。』

 

 するとゾワリと、まるで毛が逆立ちする様な感覚にアリスが覆われると、今までどれだけ傍受をしようとしてもダンマリを決めていた相手のヴィンセントからの、直通回線越しの通信が入ってきた。

 

『ようやく、来たか。』

 

「(この声……どこかで────?)」

『────こうして、会うのは、行政特区以来だな、マッドの。』

 

「その声……まさかダールトン将軍?!」

 

 たどたどしい言葉の所為で最初は誰なのか分からなかった声も、“行政特区以来”というキーワードでアリスはハッとする。

 

「何故将軍が敵対を?!」

 

『敵の、ギアス、だ────』

「────何とか機体を無力化します将軍。 ですから────」

『────私の、ことは良い! 姫様を……姫様を、頼む!』

 

 ヴィンセントがアリス機のバスターソードを弾くと同時にがら空きになったガニメデ・コンプリートの脇にタックルを食らわせる。

 

「ぐあ?! しょ、将軍────!」

『────体が、言うことを、聞かないのだ!』

 

「ッ! (この識別反応(シグナル)は……確か『オレンジ』?)」

 

 目を白黒させながらもダールトンの言葉にレーダーを見たアリスはジェレミア機を示すシグナル(識別反応)が映っていたことにピンとくる。

 

「(そうか! 報告で彼は、ギアスキャンセラーとやらを持っている! だとすればこの配置はルルーシュ……ゼロの采配!) ダールトン将軍、もう少しだけ堪えてください!」

 

 ドォン!

 

 近くのスルトによる砲撃による余波がアリス機とダールトンが中にいると思われるヴィンセントの機体たちを震わせた。

 

 ……

 …

 

『こいつ、強い!』

 

「しかし、これで終わらせる!」

 

 アリス達より更にスルトに近い場所ではカレンの紅蓮と毒島の村正一式・武蔵タイプは、器用にフロートシステムだけでなくスラッシュハーケンを駆使して、周りの機体やスルト本体を利用した立体的な機動をするヴィンセントを追い込んでいた。

 

 ピッ♪

 

「ッ?!」

 

『え?!』

 

 今まさに死角である背後からトドメを刺すところでメッセージが入ると毒島の動きは止まり、カレンもそれを読むと目を点にさせる。

 

 この隙に正面の紅蓮にスラッグ弾を装填された散弾銃を撃ちながら、背後の毒島にMVSのランスで反撃するヴィンセントから紅蓮と村正一式・武蔵タイプは余儀なく距離を取る。

 

「なるほど……そう言う事か。」

 

『道理でこの敵の動きを見たことがあると思っていたよ……』

 

「前に対峙したことのある君がそう言うのなら、中に()()がいるのはほぼ間違いないだろうね。」

 

 コックピットの中で毒島は納得する様な表情を浮かべ、カレンは真剣な顔をしたまま操縦桿を握る拳に力を入れた。

 

『本当に厄介だね、ギアスは……』

 

「そうだな……厄介な道具(能力)だ。」

 

 先ほどのメッセージはアリスが地上に居るアマルガムと黒の騎士団に送ったモノであり、内容は簡単なモノだった。

 

『敵の中に洗脳された味方の可能性、大』とだけの内容だが、ルルーシュの『絶対遵守』を知っている者たちはすぐにメッセージの裏の意味が伝わった。

 

『さ~て、どうしようか毒島?』

 

「そうだな……恐らく()の事だから、殺さずに凌げばいずれ解決方法が来るだろうな。 だから君は彼の元へ向かえ。」

 

『……いいの?』

 

「いいも何も、君は彼の援護を考えて力を温存しているだろう?」

 

『ぅ……そこまでその……分かりやすかった?』

 

「(素直ではないところは、似ているな。) まぁな。 それに“相手を殺さず”となると、私も誰かと共に戦うよりは一人の方が()()だ。」

 

 「……ありがとう。」

 

 カレンは消え入るような声で上記の言葉を言い残し、その場から紅蓮をスバル機の反応がある場所へと飛ばす様子を、毒島は横目で見送った。

 

「(まったく、ここまで彼と似ていると少々妬けるな……) さて。 想像していた状況とは違う手合わせ願おうか、ブリタニアの魔女よ?」

 

『……』

 

 毒島の通信に返事はなく、ヴィンセントはただ村正一式・武蔵タイプにランスを無言で向ける。

 

「無言か……果たしてその口からは、どのようなうめき声をあげるのかを想像するだけでぞくぞくするよ。 フフフフフフフ♪

 

 周りに知人が居なくなったことを確認したその時の毒島が浮かべていた表情は、祖父である桐原やよく共に行動したアンジュをも含めて、未だかつて誰も見たことが無い残虐な獣の様なモノだった。

 

 

 


 

 

 右、左、右、また右に上。

 

 蒼天がどこへ動いているのかは体に圧し掛かるGで文字通り、肌で(スバル)は感じていた。

 

 左、左、下、右に上。

 

 センサーに五感を繋いだおかげか、目を瞑っても外部の様子を見られるのは奇妙な感覚だ。

 

 正直『目が回る』を一周して単純に吐き気が絶えずに俺を襲う。

 吐こうとしても吐けないのは難点だが、今この交戦状態で吐けば一発でゲームオーバーに繋がるだろう。

 

 下、下、上、後ろ、後ろ。

 

 黒ランとの鬼ごっこの『追う者』と『追われる者』の役割が何度も交差し、交わるその都度に黒ランと蒼天がお互いの兵装を潰しあう。

 

 黒ランとの間合いは常に近距離か中距離。

 

 決して俺のホッと実家の様な安心感がする様な遠距離になることは無く、無理やりにでも距離を空けようとすれば黒ランは必ず空けた距離の二倍は接近してくる。

 

 おかげさまでスナイパーライフルや電磁砲はこん棒替わり、あるいはバレル(銃身)を外したままでの使用ばかり。

 

 アサルトライフルは盾代わりにした所為で真っ二つ、長刀も敵のMVSとの斬り合いでボロボロ。

 

 輻射波動用のカートリッジも、さっきから攻防に使っている所為でそろそろ例の原動力を使用する時間が来ている。

 

『BBS』? ほぼ最初からキャストオフされて黒ランに特攻を強要されましたが何か?

 

「……」

 

 それもこれもさっきから無言で怖くてヤヴァイ高機動戦を行っている『俺』の所為なんだけどな?!

 

 だから脳内での妄想アンナたんにウィルバーちゃんにラクちゃんにウハウハ白衣の姉(ランドル博士)ちゃんたち?

 

 血涙を流しながら俺をリンチにかけるのは止めてくださいでゴザルヨ。

 

 上、上、前、下、左、広範囲設定の殺虫剤で黒いGならぬ輻射波動で黒ランを追い返す。

 

 え?

 

『なんだか冷静だな』だって?

 

 だって俺が騒ぐと『俺』がキッッッッッッッツイ一言のツッコミとか虚しくなるようなスルーを決めるんだもん。

 

 ピッ!

 

「……ようやく来たか。」

 

 レーダーに反応が出てようやく『俺』が────ってこのシグナルはカレン機じゃん。

 

 この時から『俺』が蒼天を更に無理な機動を強いる周りからミシミシとした嫌な音が装甲越しに聞こえ、蒼天の大振りを黒ランが避けると丁度その場に飛来してきた紅蓮の突進に会う。

 

『うおおおおりゃあああああああ!!!』

 

 ドゴォ!

 

 黒ランをサンドイッチにするかのように蒼天も体当たりをすると紅蓮が既に黒ランのエナジーフィラーの蓋を開けていたところに、『俺』は蒼天で黒ランのエナジーフィラーを抜く。

 

「流石だな、カレン。」

 

『ううん! スバルの誘い方が上手かったから出来た!』

 

「そうか。」

 

 なにこの息がぴったりな淡々としたやり取り。

 

 普通に羨ましいのだが。

 

 

 


 

 

「おや、もうこんな時間か。」

 

 蓬莱島でもアマルガムの技術部用に取ってある倉庫の中にいる男性が、腕時計を見ては上記の独り言を漏らす。

 

「(あの人……誰です?)」

 

 泣き腫らして未だにモヤモヤとする心を整理させるために散歩をして、偶然にもその男性が突然誰もいないと思った横道から出てくる瞬間を目撃したライラは、隠れながら我が物顔で技術部の資料を読み漁っていた男性を物陰から見張っていた。

 

「さて、彼の最期を見届けようか。」

 

 どこからどう見ても『不審者』極まりないのだが、ライラが皇族として生き抜くために磨いた観察眼が彼女に訴えていた。

 

『この男を見張れ』、と。

 

 彼女自身、何故この様な衝動が浮き上がって来たのかは分からない。

 だがあまりにも色々起きた所為で、冷静な判断が下せる状態ではなかったのは確かだろう。

 

 

 

 

 

 後に原因が彼女の()()によるものとは、現時点で本人含めて誰も思わないだろう。

*1
誠にありがとうございますカザユキさん! 命名を採用させていただきました!




『そして展開は動き出す。』 (((( ;゚д゚))))アワワ

尚、リアルの所為で投稿が週一の速度に変わるかもしれません。 大変申し訳ないです。 。゚゚(*´□`*。)°゚。
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