小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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『ペンは止まらなかった』のパート2です。


第253話 ■の世界(?)

 地上のリア・ファル内にいたレイラは戦況とギアス嚮団の把握に気を配りつつ、戦域に向かってくる新たな敵対勢力の速度等を参考に土壇場での戦術を練っていた。

 

「(主砲のエナジー充填率は……いける。 今ギアス嚮団から総員を退避させれば間に合いますが、未だにシュバールさんとゼロは行方不明────)」

 

『────レイラ、そちらはどうだ?』

 

「サエコ? こちらの受け入れ準備はもう整って……サエコ、何かありました?」

 

 レイラがスクリーン越しに見たのは清々しい、肌のツヤがどこか増した毒島だった。

 

『ん? きっと気のせいだ。』

 

「なんだかスッキリとしている様子ですが?」

 

『気の所為だ。 それよりもブリタニアの動き、不味くはないか? 勘だが、これ以上待つと避難が間に合いそうに無いのだが?』

 

「……」

 

『何か困っている様だな────』

 

「────あ、貴方は?!」

 

 レイラと毒島の通信に三人目────コーネリアが割り込む。

 

「コ────?!」

『────ネリスだ。』

 

「……ネリスさんも何かありました? 顔が少し腫れていますけど、凄く清々しい表情────」

『────気の所為だ。』

 

「(さっきも同じやり取りをしたような……)」

 

『それよりも失礼を承知のうえで君たちの通信を聞き、状況は察している。 君は何を気掛かりにしているかは分からないが、今の君は指揮官だ。 大局を見る必要性がある立場だ。』

 

「……」

 

『どんな指揮官でも一度は通る苦難だ、私にもあったよ。 それに今聞くが、君が心配している()()()はそれまでの評価なのか?』

 

「ッ!」

 

『心配はするのはいい。 だが私としては同じ心配をするのなら最悪にならないように最善を尽くす方向に事が進むように心がけることを進める。』

 

「(流石に経験豊富な言葉……これが、『ブリタニアの魔女』と呼ばれる所以。) 分かりました。 助言、ありがとうございます。」

 

『何、借りがあるからな。』

 

「流石はお姉さまです!」

 

『う。』

 

 カァァァァ。

 

 純粋な憧れの眼差しと共に姉の凄さを喜ぶユーフェミアの声に、コーネリアは頬を赤らませて明らかに動揺する様子に毒島とリア・ファルのブリッジクルーはニコニコとした微笑ましい笑顔を浮かべた。

 

「地上の皆、及び地下の零番隊に退却路を、避難し次第に主砲で敵ブリタニア混成部隊を薙ぎ払ってから戦域から離脱します。」

 

『この距離からでも撃てるのか?』

 

「目的は敵艦隊の殲滅ではなく、足を止めてKMF部隊が撤退しつつ施設の破壊の時間稼ぎです。」

 

『それでも届くのか。 少し前に噂で聞いた、メガ・ハドロンランチャー並みの射程距離にエデンバイタル教団での破壊力ともくれば……使いようによっては、KMF部隊を送り出すよりも効果的な運用が出来るな────』

「────助言、ありがとうございます。 しかし主砲の使用目的は先ほど言ったようにあくまで『時間稼ぎ』であり、『敵の殲滅』ではありません。 アンカー射出、準備。」

 

「アンカー射出!」

 

 ガァン!

 

「艦内クルー、および施設内の固定とヒッグスコントロールシステムの作動確認状況は?」

 

「“完了”との報告が8割ほど入ってきています!」

 

「主砲の照準と射線上、敵勢力をマップにオーバーレイ表示。」

 

 リア・ファルのレーダーと、上空にいるウィルバー機、そして偵察機として地上部隊と共に先行させた小型ドローン機による情報が重なり、精密な戦況表示がレイラのコンソールに出てくる。

 

 

 ……

 …

 

 

 汗だくになりながらも少々小太りのガマガエルバトレーは、彼独自の調べによってコーネリアが居ると思われる建物へと走っていた。

 

 ドォン

 

「うお?!」

 

「将軍、気を付けてください!」

 

 そして落ちてくる瓦礫の着地点からバトレーを部下らしき一人が腕を掴んで避けさせた。

 

「う……すまん、他の者たちは?」

 

「何人かとははぐれたのでわかりません。 ですが、将軍と共に来た者たちは私を置いて……」

 

 ここでバトレーはハッとして、自分一人でズンズンと進んでいたことに気落ち────

 

「(────いや。 それでこそ、ここで止まって何もできずのままではその者たちに申し訳が立たなくなる! 贖罪は後だ!) 例の監禁場所はあともう少しだ! 行くぞ!」

 

「ですが将軍、この辺りはギアス能力者たちが────」

「────ぬ?!」

 

 バトレーたちが角を曲がるとギアス能力を保有する子供たちの集団が居た。

 

 しかし彼らの関心は子供たちではなく、この場に似つかわしくない金髪少女へと向けられていた。

 

『似つかわしくない』と言ったが、それは何も『金髪』や『少女』の所為ではない。

 

 単純に、彼女が着ていたのが『アッシュフォード学園の中等部の制服』だったから。

 

「何故……()()がここに────?」

「────ば、バカな?! 何故ここにライラ皇女殿下が────?!」

「────ライラ皇女殿下?! あの子が────?!」

「────あ! ガマガエルおじさんです!」

 

 ライラの陽気で他意の無い言葉にバトレーは思わずガクッと思わず気が抜けそうになる。

 

「で、ですからワシは────う?!」

「ガッ?!」

 

 子供たちと視線が合うとバトレーたちが苦しむ声を上げ────

 

 「────こらぁぁぁぁぁ! メ、です!」

 

 どこぞのダブルバスターコレダーなアホ毛を決めている金髪赤目淑女(笑)に負けないほどの肺活量で、ライラが叱ると近くの子供たちはビクリと体を震わせては視線をバトレーたちから外し、しょんぼりとして彼女を見る。

 

 この光景にバトレーたちは目を白黒させながら困惑する。

 

「な、なぜ?」

「将軍、この子が────あ。 いや、この方がライラ皇女殿下なのですか?」

 

 バトレーと彼の部下、ウェーブのかかった七三分けの茶髪の男性が信じられないような物を見ているように驚愕する。

 

 ギアス嚮団は『オルフェウスとエウリアの脱走』、エデンバイタル教団で死に間際にギアスユーザーが起こす反乱、クララやトトなどを教訓に育成時の刷り込みに脳手術での洗脳でギアス能力者たちをコントロールしていた。

 

 基本的には『ギアス嚮団には従順』や『反抗は無理』などだが、緊急時や襲撃時には『手段を問わずにギアス嚮団関係者を守れ』や『部外者は全力で排除せよ』などにすり替わる。

 

 無論、刷り込まれた指示(命令)がおおざっぱなのはわざとであり、V.V.やギアス嚮団の主な幹部たちからすれば自分たちさえ無事であれば何度でもやり直しは出来る。

 

「これからはすぐに『それ』を使うのはダメです! 命の危機とかではいいかもですけど……取り敢えず行き当たりばったりで使うのはダメです!」

 

 コクコクコク。

 

 しかしどうだろうか?

 目の前にあるギアス嚮団の能力者(子供)たちは、ライラの言うことを素直に聞いている様子だった。

 

「と、とにかくライラ皇女殿下! ここは危険です、すぐに逃げますぞ! ジョセフ、一番近いイジェクトダートに案内しろ!」

 

「りょ、了解し────!」

「────なら()()逃げるです!」

 

「「え。」」

 

 ライラの行ったことにバトレーと彼の部下────ジョセフが目をパチクリとさせながらライラと彼女の回りにいる10人ほどの子供たちを見る。

 

 地下での暮らしが長かったためにお世辞にも『健康体』や『足並みが速い』と呼べない子供たちを。

 

「「……………………」」

 

「です!」

 

「……………………」

 

「しょ、将軍? この人数で逃げるとなると────」

「────わかっておる! 皆まで言うな! やむを得ん、ここを襲っている連中のナイトメアの注意を引くのだ!」

 

「し、しかし奴らは黒の騎士団と名乗り出ています! 保護ではなくここの関係者とみなされて捕虜に────!」

「────そんなことは百も承知! しかし生きていればこそ、未来があるのだジョセフ────!」

 

 ……

 …

 

「────敵混成部隊、エナジー出力増大と共に速度がさらに上がりました!」

 

 リア・ファルの中で、オリビアの報告に苦い顔をレイラは浮かべた。

 

「(もしやすべての艦に、グランベリーと同じブースト仕掛けが施されている? まさかこうも早く実装されるとは────)────避難の進行度は?」

 

「地上部隊の作業は終わりました! 地下都市内の生存者、およびデータの確保はまだ進行中とのことです!」

 

「レイラさん、このままだと主砲が使えず、地下部隊がブリタニア軍に追いつかれてしまいます!」

「ミトメタクナーイ!」

 

「……角度の修正後に主砲を撃ちます!」

 

 レイラが主砲の発射装置を手に取りながら誤差修正する入力に、船体が僅かに傾いてモニター画面の照準が予想の場所に動くと彼女は引き金を引く。

 

 ドゥ

 

 

 ……

 …

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴ

 

「こ、今度はなんです?!」

 

 地鳴りの様な音が地下都市内に響き、ライラや子供たちは周りを見ていると地下都市のいたるところで東ユーラシア軍とプルートーンとの戦闘行為で脆くなっていた建物や地上の基盤などが崩れていく。

 

「将軍、上────!」

「────何ぃぃぃぃぃ?!」

 

 ジョセフの声にバトレーが見上げると瓦礫等がライラたちのいる場所へと落ちていく様子が窺えた。

 

 ライラもバトレーのようにジョセフの叫びに気が付き、自分より展開に戸惑う子供たちを優先して彼らをバトレーたちが居る、安全な方向へと押す。

 

「あう?!」

 

 無理に子供たちを押した拍子にか、あるいは何かに躓いたのかライラは逆の方向へと倒れてしまう。

 

 そしてそれは丁度、落ちてくる瓦礫の影があった場所。

 

「え。」

 

「ライラ皇女殿下ぁぁぁぁぁぁ!」

 

 グシャ。

 

 

 ……

 …

 

 

「良いのか、C.C.?」

 

 場は黄金色の空に浮かんでいるような神殿へと移り、そこではシャルルが消えたルルーシュに関してC.C.に問いかけていた。

 

「何がだ?」

 

「奴とは、契約を結んでいたのだろう? 流れる時の川にお主の知人たちは流されて先に逝った。 そう言えば良かったのでは?」

 

「シャルルにしては珍しく、優しい言葉だな。 (V.V. )が死んで、感情的になったか?」

 

「否定はせぬ……さて、C.C. ────」

「────ああ。 お前が手を汚す必要はない、予想通りならば()()()()()()()。」

 

「なに────?」

 

 ────カチャ。

 

 C.C.はジャケットの中から既存の拳銃ではなく、火薬式のベレッタチータを取り出して自らのこめかみに銃口を当てる。

 

「C.C.、何を────」

「────私の予想通りなら、普通に死ぬことが出来る筈だ────」

 

 カチン。

 

「先に逝っているよ、シャルル。」

 

 C.C.は戸惑うことなく拳銃のハンマーを下ろし、驚愕するシャルルに別れを告げながら引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バキッ!

 

「ッ!」

 

 急に誰かがベレッタチータを掴みながらハンマーとファイアリングピンの間に親指を挟むと、爪が砕く音が発砲音の代わりに鳴る。

 

 「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────!!!」

「────お、お前は?!」

 

 C.C.は急にその場に現れて拳銃を掴み、痛みの声を上げるスヴェンに珍しく表情を驚愕に変えた。

 

 


 

 

 さて、諸君は知っているかな?

 人間の指やつま先には刺激を受容する自由神経終末が集中している。

 これは環境による『危険』を、すぐに脳へと伝達させて体を遠ざけるためと言われている。

 

 まぁ、つまり何が言いたいかと言うとクッソペインフル(痛い)

 

『ライ(仮)との戦闘を終えて緊張の糸が切れたからか、そのまま襲ってくる脱力感に身をゆだねて次に気が付いたらC.C.がシャルルの前で自殺しようとしていた。』

 

 ぶっちゃけると俺も何がどうなっているのか分からないが、思わず前世の映画で見た『撃鉄が撃針を叩く前に何かをジャムれば銃は発砲しない』をそのまま実行して親指がただいま遺体でゴザル。

 

 コードギアス世界の電動式じゃなくて、火薬式で良かったぜ。

 

「き、貴様は?!」

 

 おっと横からシャルルの驚く声。

 そう言えばよく見るとここはアーカーシャの剣、『思考エレベーター』の中か。

 

 いや、どうやって俺は蒼天のコックピットからここに来た?

 

 それにしてもC.C.っていつもは無表情やジト目の癖にいざこうやって心が顔に現れると本当に見た目の年相応の女の子だな。

 

「C.C.! スヴェン! こっちに来い!」

 

 おっと背後からルルーシュの声が。

 

 と言うことはこれはきっとあれだな、『ギアス嚮団を襲ってV.V.追いかけたらクルクルパーマ(シャルル)との再会&C.C.の願い暴露シーン』。

 

 というわけでトンズラこくわ。

 

「ルルーシュ! 貴様もここに────?!」

「────きゃ?!」

 

 俺はジンジンと痛む右手とは反対の左手でC.C.の手を取り、蜃気楼へと走る。

 

「ま、待て────!」

「────貴様は引っ込んでいろ!」

 

 ボシュボシュボシュボシュ!

 

 蜃気楼が両手を上げて内蔵されたハドロンショットを撃ち出す────え。

 

 ちょ。

 待っ。

 えええええええ。

 

 俺たち、すぐそこにいるんですけどぉぉぉぉぉぉぉ?!

 

 ドォン、ドドォン!

 

 ほら言わんこっちゃない!

 ハドロンショットが俺とC.C.にシャルルの居る神殿中に当たりまくり、神殿は見た目通りの脆さで崩れていく。

 

 俺は考古学者にして冒険家のジョーンズじゃねぇぞ?!

 

「ぐ?!」

 

 足場にひびが入るのを見て走る速度を上げようとするが、体中が悲鳴をあげる。

 

『────!!!』

 

 いや違う。

 実際に聞こえる。

 

 聞こえてくる。

 

 数多の声にならない悲鳴と、断末魔の叫びが無数の人型の影から発される。

 

「────!」

 

 気付けば崩れていく神殿から落ちながら、俺も共鳴するかのように叫んでいた。

 

 これは……なんだ?

 

 確か『アーカーシャの剣』は思考エレベーター、つまり『Cの世界』と呼ばれる人の無意識集合体へと干渉するシステム。

 

 もしや俺の無意識も、影響を受け────

 

 ────ブツン。

 

 

 …………

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 

「う……」

 

 頭痛と共に目を開けると見知った天井────

 

「────知らない天井だ────」

 

 ────ではなかった。

 

 リア・ファルの医療室でも、蓬莱島の医療室でも、アッシュフォード学園の保健室でも、トウキョウ租界の病室でも、シュタットフェルト家の自室でもない。

 

 それに治療に使う消毒液や薬が発する独自の匂いもしない。

 

 ……こう考えると俺、医療室や病室と縁があり過ぎじゃね?

 

 今更か。

 

「気が付いたか。」

 

 部屋の中からルルーシュの声がして、俺は起き上が────イ゛?!

 首を動かしただけで鋭い痛みが体中に広がる?!

 

「無理はするな、横のままでいい。 お前、蜃気楼でキャッチした時にはもう既に気を失っていたからな。」

 

 何故ルルーシュが? 俺はどうなっている?

 

 もうどこから質問したらいいのか分からないまま、俺は口を開ける。

 

「ここは?」

 

 俺の口下手、嫌いでゴザルよ。

 

「ここはイカルガの……俺の部屋だ。 ムスペルハイム(ギアス嚮団の強襲)作戦はおおむね成功したと言っていい。」

 

 グッド!

 それはグッドなニュースだぜ!

 

「だが途中でブリタニアとユーロ・ブリタニアの混成部隊が、俺たちの襲撃に合わせてスルトの確保に動いた。」

 

 Oh。

 それは大変よくないニュースね。

 

「それに便乗するかのように東ユーラシアや旧中華連邦の、ブリタニアでも合衆国連合の勢力に属していない領土に進軍を開始している。」

 

 おぅふ。

 それはとっても悪い。

 

 けど、気になることがもう一つある。

 

「被害は?」

 

「ナイトメアに多少の被害は出た。 だがこちら側の者たちに死者は出ていない。」

 

 ホ、それは良かった。

 

「嚮団は?」

 

 さっき俺は“気になることが一つある”と言ったな?

 アレは嘘だ。

 

「……予期せぬ敵の襲撃があったからな、ある程度の人命救助は出来た。 捕虜にされていたコーネリアたちや……ロロも救えた。」

 

 よっしゃ!

 

「しかし大半の研究者たちと、何か重大な情報を持っていたとコーネリアが言っていたバトレーは死んだ。」

 

 あー。 そういやバトレー、R2でも生きていたことが描写されていたな。

 確か囚われたコーネリアを救う為、逃げずに走り回っていたか。

 

「しかし、バトレーのおかげで……」

 

 歯切れの悪いルルーシュに俺は首を回して彼へと向くと、ルルーシュは神妙な表情で頬図絵をしながら俺を見ていた。

 

「スヴェン。 率直に聞くがお前、シャーリーの父親について何を知っている?」

 

 ……シャーリーパパについて?

 えーと、確か夫婦共々よく出張に出払っていて?

 家はそこそこ裕福だけれど大富豪と言うわけでもないから、シャーリーが寂しくならないようにアッシュフォード学園の寮に入れていることぐらいだけれど?

 

 あ、あと原作だとシャーリーパパは成田への出張中にナリタ連山の『ゼロによる黒の騎士団ウハウハぶっちゃけ実戦作戦』に巻き込まれて生き埋めにされた。

 だがシャーリーパパ死亡フラグは俺がへし折ったから生存している筈だ。

 

「俺が知っているのは、夫婦共々よく出張に出がちということぐらいだ。 何故だ?」

 

「いや、いい。」

 

「あ、あの……」

 

 それを最後に、ルルーシュは椅子から立ちあがるところで、おずおずとどこかおっかなびっくり状態のC.C.が眉毛をハの字にしながら声を出す。

 

「私は、どうすれば良いのですか?」

 

「うん? そうだな、取り敢えず服を裏返しにしてその場で回転しながら歌え────」

 

 あ゛。

 ルルーシュの馬鹿!

 

「────畏まりました、ご主人様。」

 

 シュル。

 

「────おわ────?!」

 

 ────って色白で肌もスベスベもっちりでええのぉぉぉぉ~。♡

 

 じゃなくて!

 

 ノーブラだとぉぉぉぉぉぉ?!

 

「おいバカやめろ────!」

「────きゃあああ?! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

 

 まさか自分の言葉をそのまま受け取るとは思わなかったルルーシュの荒げる声と近づく勢いにC.C.は尻餅をつきながら頭を両手で覆い、ただ謝り出す。

 

「ちょ、ちょっと待てC.C.……一体どうしたと言うのだ、お前?」

 

 あれ?

 ルルーシュお前確か、アーカーシャの剣から退去された時にC.C.の記憶を観覧しているだろ?

 それとも、もしや……

 

「ルルーシュ。」

 

「なんだスヴェン……いやこの場合、お前をどう呼べば────?」

「────お互い、素性を知っている者同士。 スヴェンでいい。 あの変な神殿で、何があった? そもそも、アレは何だ?」

 

「……俺も詳しくは知らない。 ギアス嚮団の、最奥に逃げたV.V.を追ったら扉が合ってその向こう側に、あの空間があった。」

 

 ルルーシュが一瞬悩んでから短く答える。

 やっぱり渋るよな。

 

 ……よし。

 

「ルルーシュは、()()()()()()()()()?」

 

「それは、()()()()()()だ?」

 

「どういう意味も何も────」

「────そもそもスヴェン、お前は地上にいた筈だ。 いつギアス嚮団の扉をくぐった?」

 

 俺も知らんがな。

 

「知らん。 気が付いたら訳の分からないまま、俺はあの変な空間でC.C.が自殺しようとしたところに居合わせただけだ。」

 

「自殺? C.C.がか?」

 

 いや、俺もビックリだわさ。

 ポーカーフェイスは維持しているので顔には出ないが。

 

「ああ。 その“訳の分からない”と言った時に、俺は何かを見たような気がした。 だからルルーシュも何かを見たのか聞いただけだ。」

 

「……俺は気が付いたら、あの変な空間にいて皇帝と相対していた。」

 

 お、そこは原作通りなのね。

 

「そして……奴を殺そうとしたが……ヤツはV.V.からC.C.と同じ不老不死の能力を受け取った後だった。」

 

 うんうん、良好だな。

 

「そして……C.C.が現れて俺は次の瞬間、気が付いたら蜃気楼の中でお前とC.C.たちを見た。」

 

 あり?

 ルルーシュ、やっぱりC.C.の過去を見ていない?

 だったらあのビクビクしながら俺たちの顔色を窺うC.C.の状態を知らないということか。

 ……仕方ない、原作アニメで見たC.C.の素性を俺が見たことにして話すか。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「なるほど……そう言うことだったのか。」

 

 俺からC.C.の話を聞き、今の様子にルルーシュは納得するかのような独り言を出す。

 

 そしてC.C.のことを話している間に俺の意識は覚醒し、聞きたいことが次々と浮かび上がっていた。

 

 例えば『今の状況は』とか『何故急にシャーリーパパの事を』とか『カレン達は全員無事か』とか『ライ(仮)はどうなった』とか。

 

 とかとかとか。

 

 だがそれよりも今、緊急に聞きたいことは────

 

「────ルルーシュ。 考え込んでいる様子ですまないがその……アマルガムの誰かを呼んでくれないか?」

 

「ん? どうした? ああ、アマルガムならば全員無事だ。」

 

 それは良かったけど、それじゃあないのだよ。

 

「いや、その……俺がどのくらい意識を失っていなかったのか分からないが、その……人間は生物であり、生きている限り生理現象がだな────」

 「────ハ?」

 

 ルルーシュがポカンと、呆気に取られた表情を浮かべてはハッとする。

 

「あ。 ああ、そう言うことか。 その……あー……」

 

 ルルーシュの目が泳ぎ、未だにハテナマークを浮かばせるC.C.で止ま────ゑ゛。

 

 ま、まさかこいつ────

 

「────あー、こいつの世話をしてくれるか?」

 

「畏まりました、ご主人様。」

 

 おおおおおおおヲをヲをいいいいいいいいいいいいいいい?!

 

「ま、待てルルーシュ。 人は言葉と言うコミュニケーションの道具が────話し合えばわかる筈だ。 C.C.もだ、嫌なら別に────あ、ちょ、待って────ア゛────」

 

 

 


 

 

 ___________

 

 ルルーシュ 視点

 ___________

 

「フー……」

 

 自室からイカルガ内へと通じるエレベーターの中に乗り、ゼロの仮面を両手に持ちながら力ませていた表情筋を緩ませ、肺いっぱいに留めておいたため息を一気に出す。

 

 ……ちゃんと騙せただろうか?

 

 察しの良いスヴェンだ、俺の表情だけでなく声だけでも俺の動揺がと複雑な心境を悟られていてもおかしくはない。

 

『アーカーシャの剣』と呼ばれたあの空間で、彼の過去らしき断片を見た。

 そして彼は多くは語らなかったが、まるで第三者による()()()()()()()から察する恐らくはC.C.の過去を彼は見たのだろう。*1

 

 ならば、C.C.は俺の過去を見たのか? もしそうだとしても彼女が記憶を失くすことと何の関係がある。

 彼女とシャルルの関係は、親しい者同士なのか? あの短いやり取りで少なくとも顔見知り以上だということは確かだ。

 スヴェンはあれほどの過去を持ちながら、何故他人に優しく居られる? 彼なりの理由が……動機があるとすればなんだ?

 スヴェンがアリエスの離宮にいたとして、何故俺やナナリーは覚えていない? 皇帝によるギアスか? 後でジェレミアにギアスキャンセラーを違和感なく受ける状況を作る。

 

 並列思考による自問自答が続き、エレベーターが下の階を指し始めると俺はゼロの仮面をかぶって気持ちを切り替える。

 

 扉が開き、ブリッジにいるラクシャータがクルリと振り返り、彼女の近くにある端末にレイラが映っていた。

 

『お疲れ様です、ゼロ。』

 

「私のいない間の指揮、大変助かったよレイラ・マルカル。」

 

『ゼロ』として、珍しく俺は本心からの感謝の気持ちを送る。

『アーカーシャの剣』とあの変な空間、外部との時間の流れが少々異なっていた。 それでも、あの空間に居た俺がいなかった間は彼女が全体の指揮を執ってくれたことで被害は最小限に抑えることが出来た。

 

「追っ手は?」

 

『爆破したスルトとギアス嚮団に部隊の半分を置き、もう半分は私たちの追跡に割いたようです。』

 

「追跡と言ってもせいぜい私たちの後を追い、我々が迎撃したところで引きながら他の部隊たちが着くまで時間を稼ぐつもりだろうがな。 君たちはどう思う?」

 

『我々も同意見です。』

 

「そうか……彼が動かせる状態になれば、そちらの艦に移そう。」

 

『それまでアキトたちをよろしくお願いします。』

 

「ああ。」

 

 通信を切り、ラクシャータに仮面()を向ける。

 

「というわけだが、例の捕虜はどうだ?」

 

「カレンちゃんが連れ帰ってから一言も喋っていないわ。」

 

「そうか。 もう一度言うが、カレンを奴に近付かせるな。」

 

「わかっているけれど……そこまで重要かしら? 血液を摂取した時も反応しなかったし、ちょっと拍子抜けってところかしら?」

 

「予想通りならば……」

 

「???」

 

「いや、忘れてくれ。 調査の結果が出次第、私に直接送ってくれ。 私はこれからギアス嚮団の捕虜たちを尋問しに行く。」

 

 ラクシャータの応えが返ってくる前に、俺はそのままブリッジを後にしてイカルガ内の収容エリアへと歩く。

 

 早足で目的の部屋の前へと立つとここで自分の動揺が表に出ていることに気がつき、呼吸を整えてから扉を潜り抜ける。

 部屋の中では零番隊でも身体能力に優れた者たちが威圧をかけていることで落ち着かない様子の白衣を着た男性が俺を見てはギョッとする。

 

「私はゼロ。」

 

 内心とは裏腹に威厳と自信がたっぷり入った自己紹介を口にしながら、男性の向かい側にある椅子に座って手を組む。

 

 落ち着け俺。

 落ち着くんだ。

 動揺を悟られるな。

 

 これはただの尋問だ。

 手荒な真似はしないのだ。

 

 そう思いながら、俺は肺を空気たっぷりにしてから目の前の男に挨拶をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして、()()()()()()()()()君。」

*1
*注*原作アニメ知識です




“スバルの黒歴史が、また一ページ。”




……堪えられませんでした。 (汗
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