ご了承くださいますようお願い申し上げます。
お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。
クソ~、仕立て上げるのに少し時間がかかってしまった。
CCめ~!
いや、これからルルーシュが呼んでいたように『ピザ女』に改名じゃい!
俺は両手に焼く前のピザを乗せたトレイを両手で持ちながらクラブハウスへと足を運んでいると。
「あ。 すば────スヴェン?」
おおっと、病弱設定のカレンと遭遇!
「久しぶりに、クラブハウスへ一緒に歩いていかない?」
そして周りの視線からの集中砲火!
これは多分、カレンの後を良くつけている園芸部と写真部の連中だな。
……それにしては数が多くないか?
「ええ、勿論お供いたしますともお嬢様。 (ニコッ)」
本当に久しぶりだな。
何故か『カレンがいるところにスザクあり』だからな……
気まずいのなんの。
「ププ……でもどうしてここに?」
おい、“ププ”なんて笑うなよ。
せめて設定を活かせるように“フフ”にしろよ、『病弱設定おしとやかなお嬢様』。
「丁度ピザを切らしてしまいまして。 今、家庭科室で下ごしらえを終えたところです。 お嬢様の好きな
「本当?!」
ウッ?!
このキラキラ顔の破壊力!
と言うか設定が崩れかけているのだが?!
キンコンカンコ~ン♪
『こちら、生徒会長のミレイ・アッシュフォードです……標的は猫だ!』
「「……猫?」」
俺とカレンが頭を傾げて、ミレイの声が出た近くのスピーカーを見る。
『部活は一時中断! 校内を逃走中の猫を捕まえなさーい! 協力したクラブは予算を優遇するわ!』
おいおい、そこまで重要な猫かよ…………………………
て、あれ?
待てよ?
そう言えば『コードギアスの猫』と言えばよく俺の足をガジガジと噛み付く『アーサー』だよな?
な~んか引っ掛かる────
『猫を捕まえた人にはスーパーデラックスなちょ~うラッキーチャンス到来! なんと! 生徒会メンバーからキスがプレゼントされるのだぁ~~~!!!』
────あ゛。
「え?! ちょっと待ってよ?! 生徒会って……まさか、私たちも?!」
カレンがびっくりしながら『人のいい仮面』をかぶって固まったままの俺を見る。
いや~、確かにあったわ~。
超忘れていた。
ガサガサガサガサガサ!
「「「「「もちろんですよね?!」」」」」
「い゛?!」
おー、おー、おー。
原作通りに園芸部と写真部がいるな。
それに心なしか芸術部に応援団にクッキング部に演劇部に吹奏楽部と軽音楽部まで?
俺が主に手伝いをした部活が何でここに?
……………………イヤマジナンデ?
「二人とも生徒会を出入りしているしカウントされるよね?!」
「という事はライブラちゃんやアリスちゃんも?!」
「キス……」
「“頬に”、とかのオチではないですよね?!」
「いやそれは流石に無いでしょ?!」
「唇?」
「え?! 指定できるのでしょうか?!」
「場所の指定ができるの?!」
「それだったら唇……」
「この際、頬っぺたでも……でも場所を指定できるのなら?!」
「「「「「唇!!!」」」」」
「あ、でも私キスされるならミレイさんが良いな……」
「「「え。」」」
「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
男子たちは闘志を燃え上がらせて両手を上げた!
「「「「「きゃああああああ!!!♡♡♡」」」」」
女子たちは黄色い声を出して身体をくねくねさせた!
ドドドドドドドドド!!!
そしてその場にいたと思われる30名プラスの者たちが猫を探すために走り去る。
どうしてこうなった。
「や、やめてよね?! わた、私たちの初めてが?!」
頬を紅潮させながら慌てるカレン。
う~ん……青春!
「ス、スヴェン! これは
カレン、口調。
設定が崩れとるがな。
『『『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』』』
ゴゴゴゴゴゴゴ。
「うぃえ?! な、なになになになになになに?」
アッシュフォード学園、全体から聞こえる男女の雄叫びと地鳴りがしたことにカレンの身体が子犬のようにビクリと跳ねる。
「悪いが、この様子では冗談ではすまないようだ────」
────ビュン!
カレンがとても病弱とは思えない速度で、その場を走り去る。
「これだからブリタニアはぁぁぁぁ!」
……ブリタニアは関係ないゾ?
ってもう姿が見えないだと?!
は、早えぇぇぇぇ……
俺はそのままクラブハウスの中へ入り、持っていた未完成のピザを冷蔵庫の中へと入れてから外に出る。
『注意! ピザは作りかけ! 食べたら食中毒アリ!』と書いたメモを張ってからな。
ちなみに俺はアーサーを探すつもりはない。
え? 『何で猫を探さない?!』かだって?
実はなんと、このイベントのおかげでルルーシュは高等部を中心に『スザクは自分の友達』と宣言するからだ。
小さな出来事だが、スザクが生徒会の皆を始めに皆と仲良くなるきっかけだ。
つまりは原作通りに事を運ばせる必要がある。
あ!
忘れる前に、『あの場所』に行かないと!
「(あああ、もう! 病弱設定にしなければ良かった!)」
カレンは焦る気持ちとは裏腹にヌボーっとした表情で歩き、周りに他の学生がいなくなるのを見計らってからまた走る。
「人を! 勝手に商品にしてぇぇぇ────!」
ドスン!
「「────きゃ?!」」
「ご、ごめんなさい!」
カレンが周り角から走ってきた誰かにぶつかって、彼女は『病弱』と『箱入り』の設定から反射神経で謝る言葉を出す。
同じく慌てていた様子である、
「シャ、シャーリー?! なんて格好で走っているの?!」
余りの衝撃にカレンは早速設定を投げ捨てていた。
「だ、だって私たちのキスがかかっているのよ?!」
「同感! で、でもとりあえずは私の上着を羽織ろうね?」
「うん、ありがとうカレン!
そして幸運にも、シャーリーも焦りから
その間、別の場所では中等部と高等部の女子たちがとあるスピーカー付きの柱の元に集まり、それを見上げていた。
「ねぇ、上の方に居るのってスヴェン先輩なんじゃない?」
「あんな高いところに登るなんて……」
「凄い、猫探しに本気なの?!」
「じゃあ何?! スヴェン先輩も生徒会の誰かからキスをもらいたいというわけ?!」
「やっぱり噂のミレイ先輩じゃ……それともやっぱりカレン先輩との禁断の愛?!」
「「「きゃあああああ!」」」
「私としては、スヴェン先輩とルルーシュ先輩の組み合わせが……」
「「「え゛。」」」
スヴェンはアッシュフォード学園でもとても人間が容易に登れないような柱の上に、携帯を出して
『猫を捕まえたら! 所有物は私に! 私に! 渡しなさっ────うぇっほケホッ、ケホッ?!』
『ナナリー、何か猫の特徴とかないの?』
『う~ん……足音がちょっと変だったから、足が悪いと思います。 あ。 それとその猫はこんなふうに鳴きます。 すぅー』
ナナリーが息を大きく吸う音がスピーカー越しに聞こえてくる。
『“にゃあ~”』
ナナリーの猫のモノマネがエコーし、声がスピーカーを経由して学園中に響き渡る。
尚、もし誰かがスヴェンの声を聞こえる範囲内まで近くにいたとしたら、誰もが自分の耳を疑うだろう。
まさか彼が『キタキタキタキタァァァァァァ! ナナリーの“にゃー”物真似、ゲットだぜぇぇぇぇ!!! ついでに! ミレイのむせた声もぉぉぉぉ!』と誰も思わなかっただろう。
またも別の場所では上着を脱いだカレン、そして彼女の上着を代わりに羽織ったシャーリーがアーサーを追い込んでいた。
「これで私たちのキスは安泰ね────」
「────ね、ねぇカレン? もし捕まえたら、ご褒美には誰を指名するの?」
「はぇ?」
シャーリーの突拍子もない問いに、カレンは気の抜けた声と顔をして思わず視線をアーサーのいる場所から外す。
「も、もしかして……ルルに使う気なの?!」
ここでも、原作通りに男装したCCがアッシュフォード学園の中庭で出てきたことでルルーシュは無理やりカレンの顔を手で押さえるようなことが起き、不運にもシャーリーはそれを目撃してしまい、『二人が
「は、はぁ~? なんで、私がアイツなんかと────?」
「────え? だって……その……」
「……な、なによ?」
「「……………………………………」」
どことなく気まずい空気を出す二人の足元を、ゼロの仮面をかぶったアーサーがすり抜けたその時に『ソレ』は出てきた。
ドドドドドドドドド!!!
「「へ?」」
二人がとても女子とは思えない、唸り声のようなものが聞こえて方向を同時に見る。
「「きゃああぁぁぁぁぁ?!」」
そこにいたのは血走った獣の目つきと、
「ネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコォォォォォ!!!!」
アンジュリーゼは猫をラクロスラケットで捕獲しようとそれを鎌のように振り回すが、アーサーは器用に近くの
「逃がさないわ!」
ガッ! シャカシャカシャカシャカシャカシャカ!
バキ! バキバキバキ!
これを見たアンジュリーゼは同じく
ゴッ!
「グェ?!」
これが某ゲーム(またはアニメ)だと、『アンジュリーゼ、頭を強打してリタイヤ!』とテロップで出ていただろう。
あと、アンジュリーゼの頭にメタなひよこか星が回っていたのかもしれない(または巨大なたんこぶが浮き出るなど)。
「「(痛そう……)」」
そして肉体派の二人は呆気にとられながらも自分たちの頭を覆った。
スザクはアーサーを追い詰めるも、自分を蔑ろにするような行動をとって屋根から落ちそうだったルルーシュを救っては(ゼロの仮面を脱いだ)アーサーを保護し、仲良しそうにルルーシュと喋っていた。
「ねぇ……二人は知り合いなの?」
「「え?」」
カレンが恐らく、その場にいた皆の疑問を代弁する問いを掛けるとルルーシュとスザクは固まる。
「「……あ。」」
今まで『他人のフリ』をしていたのをド忘れしていたのだ。
「でも……その子はイレ────」
「────ミレイ会長、クルルギさんを生徒会に入れてみてはいかがでしょうか?」
「「「え?」」」
ニーナの恐怖が混じった言葉を遮るように、スヴェンが口を開けたことに当事者たちがわずかに目を見開いた。
「この学園ではどこかのクラブに所属しなければいけないのですが、彼は軍人。 いつ不在になるか分からないのなら、生徒会がいいのでは? それに自分の身を挺してまでルルーシュを助ける彼は悪い人ではないようですし。」
無論、これをスヴェンは意図的にニーナの言葉を遮り、彼の人となりを知ってもらおうと原作でのルルーシュのアイデアを使った。
少しだけ、時間をくれないだろうか?
『ニーナ・
この世界に憑依したから原作では語られなかった事情などを聴くことが出来て一ファンとしては嬉しい反面、かなり黒い裏事情もあったことに落ち込んだこともある。
かなり隠蔽されていたが、ニーナと彼女の家族はミレイとアッシュフォード家とは子供のころからの知り合い(いわゆる幼馴染)で、家同士も懇意にしている。
これは原作でも描写があったが、その理由は結局設定資料にも出てこなかった。
俺がかき集めた情報ではニーナの祖父が没落した家の為に知恵を振り絞って後にナイトメアフレームとなる『人型ロボット』の設計図を手に、手当たり次第にスポンサーになりそうな家を回っては笑われて門前払いされていたところをアッシュフォード家が支援したところから始まる。
瞬く間にシンプルなデザインで文字通りに『手足のついたコクピット機』はアッシュフォード、そしてそれまで落ちぶれていたアインシュタイン家の双方の株をグングンと右肩上がりさせていき、アインシュタイン家はかつての栄光を取り戻した。
突然周りからちやほやされるニーナにとっては両親や文献などから聞いた家の昔話、『夢』が実現したかのように思えたのだろう。
だが全ていいことばかりでなく、甘い汁を吸おう(または利用しよう)と思う輩も当然出てくる。
昔から裕福だったアッシュフォードならいざ知らず、彼らからすれば成金のアインシュタイン家の方が圧倒的にカモにしやすいと目を付けた。
実際ニーナの祖父はそのような者たちに騙され、命を落とすばかりかブリタニアの機密事項である『ナイトメアフレームの基本設計図』がブラックマーケットを通して各国へと出回ってしまった。
さらに追い打ちをかけるように数年後、『マリアンヌ暗殺事件』が起きて当時開発中だった第三世代KMFのガニメデはブリタニア政府の後ろ盾を失い、アッシュフォード家は没落。
そしてニーナ本人と両親も今まで『友』と思っていた者たちから相手にされない、または邪険にされることで隠遁生活を始めていく。
そこからはかなり曖昧で噂話が元になるが、逃げるようにエリア11に引っ越したときにさらにイザコザがあってニーナの両親は死亡したという記録があった。
情報屋の輪を利用して裏ルートにて入手した当時の警察資料によると死因は『毒殺』。
そしてその犯人である元日本人男性も
彼の死因は『刺殺』。
当時、両親よりさらに人見知りになっていたニーナはその頃は引きこもりのような生活を送っていたらしく、両親たちとは顔もあまり合わせていなかったらしい。
証言によると、いつも父親が毎日その時間帯にかける音楽が無かったことから部屋から出て様子を見ると死んだ両親たちと、彼らの所持品を漁る犯人を目にして犯人に気付かれてしまい、焦った相手は子供だったニーナに顔を見られたことからか扼殺を試みた。
焦ったニーナは近くに落ちていたステーキナイフで犯人を刺し、いつもは静かな彼女の悲鳴を聞いた近所の人間が警察へと連絡をした。
この時のアッシュフォード家が学園の立ち上げや根回しなどに忙しく、ミレイたちがニーナと会ったのは事件後でニーナの身柄を引き取ったころとなる。
とまぁ、ニーナがなぜ作中でイレヴンを極端に怖がるのかこれを知った身としては分からなくもない。
ダークな内容だったよ。
とてもテレビに描写出来ねぇよ。
クロスアンジュのように、『夜の時間アニメ』ならまだ……………………可能性はあったのか?
と言う訳で、俺は『ニーナのイレヴンへの恐怖が憎しみに変わって
次回予告:
機関銃トーク
『ブリタニア絶対殺す狂犬』を加入させますか? *注意事項*作者はロストストーリーズ未プレイでゲームが完結していないので『高い可能性(ほぼ確定)でキャラ崩壊アリ』とだけ前もってここに書きます
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