「(ん?)」
子供たちのはしゃぐ声と、見守っていたり子供の遊びに参加する親たちの声によってルルーシュはとある変哲もない公園の隅に立っていたことに気が付く。
「(確か俺は、蓬莱島で執り行われる予定の式典のブラッシュアップをしていたはず。)」
現状確認の為に彼は困惑しながらも自分の身だしなみを確認していくと服装はゼロの衣装ではなく、私服であることでさらに表情は怪訝によって深まっていく。
彼が公園から視線を外してさらに周りを見るとどうやら公演は郊外にあるらしく、遠巻きにかなり大きな都市と空へと聳え立つ数々の高層ビルが並んでいる景色が目に入る。
「(あの造り……ブリタニア帝国のものか。 それに基盤が階層構造ではないということは植民地ではなく本国か、あるいは新大陸────ん? 何だあれは?)」
さらに周りを見渡すと周辺視覚が、空からかなり速い速度で落ちてくる小さな何かが彼の視線を引く────
────カッ!
「きゃあああ?!」
「うわぁ?!」
太陽の優しい光に勝る、目がチカチカどころか視界が真っ白に焼き付くほどの光源が辺り一面を覆うと周りから老若男女問わずの悲鳴や叫びが広がる。
とっさにルルーシュは上げた両腕で顔を覆うが閉じた瞼内でも星が散っていく中で急激に上がっていく気温の上昇ぶりに思わず息を止める。
子供たちはその場で身を丸くさせてできるだけ表面積を小さくし、親や近くにいた大人たちはその子たちを覆い被るように身をかがめる。
ジュワッ!
「ゲホッ、ゲホッ!」
「あぶ?!」
「カッ?!」
「ヒュー?!」
「(うわ?!)」
その直後に
ルルーシュは思わず目を開けて周りを見るとさっきまでいた人たちの服装が一気に発火し、体中がまるで火炙り────否、文字通りに肌が焼かれていき人体の油に引火して人が炎に包まれていた。
誰も彼もが無差別に燃えていくその時間は数秒足らずで、今度は光源元である都市からみるみると大気を歪ませるほどの衝撃波が広がっていく。
数々の建物にヒビが入っては粉砕され、ガラスは砂状のような塵と化し、木々は一瞬にして葉っぱは小さな枝ごともぎ取られ、自動車などは爆風でおもちゃのように大気の波に弾き飛ばされる。
大気の熱は既に人間が耐えられるものではなくなり、ほとんどが灰で出来た人型のオブジェと変わっていたが、衝撃波でそれらはすべて剥ぎ取られて中から綺麗な人骨が姿を現したのも束の間で、すぐに衝撃波の後を追う余波でバラバラに散っていく。
晴天の空は赤黒くなり、砂嵐のような暴風が街並みは半壊して焼け焦げた建物を撫でていく。
『阿鼻叫喚』。
ルルーシュが目にした地獄絵図の景色を見て、思い浮かべたものがソレだった。
そんな時、彼の隣から声がした。
「人間の事を、俺はよく理解したよ。」
場違いにも程がある淡々とした口調にルルーシュが視線を逸らすと、そこには今のこの景色に対して何の心境も悟らせない、無表情な様子の
スヴェンがゆっくりと首を回し、視線が合ったルルーシュは思わず背筋が冷たくなっていった。
確かにいつものスヴェンだったが現状ではそれこそが異常であり、ルルーシュが何よりも注目したのは彼の瞳だった。
「やっぱり、滅んだ方がいいよな?」
光が抜けた虚ろな瞳は『諦観』に満ちて濁っており、上記の事をさらりと口にしたスヴェンの姿は────
「────わぁぁぁぁぁ?!」
「きゃ?!」
ルルーシュが叫びながら突っ伏していた机から起き上がると、今まさに毛布を掛けようとしていた様子のC.C.がびっくりしながら尻餅をついてしまう。
「……ここは。」
彼は机の上に散らばっていた書類と毛布を持ったC.C.がいたことでここがゼロの自室だという考えに至ると、脈を力強く打つ心臓を落ち着かせるために深呼吸をしながら嫌な汗を拭きとるためにハンカチを取り出して、オロオロとたじろぐC.C.を見る。
「なぁ────」
「────は、はい?!」
「毛布を掛けようとしていたのか?」
「ご、ご迷惑だったでしょうか?」
「……いや、ありがとう。」
「あの、ご主人様?」
「ん? なんだ?」
そう礼を言うルルーシュに、今のC.C.にしては珍しく呼ばれたことに彼は素直に聞き返した。
「悪い夢を
C.C.がここで『また』と口をして察していると思うがルルーシュはここ最近、寝ているとよく
「“悪い夢”……ああ、確かにアレは悪夢だったな。 (『ジュリアス』と『方舟事変』が混ざった結果のな。)」
ルルーシュ自身は『時々悪夢を見る』としか認識していないが、物音に敏感な今のC.C.はこのようなことが自分の知っている限りずっと続いていて彼がほとんど熟睡できていないことを気にかけていた。
最初は『
「体を冷やして寝ると、悪い夢をよく見る……えっと、
「ああ、ありがとう。 何か変わったことはなかったか?」
ルルーシュは冷えた汗を頬や首回りからふき取っていきながらC.C.にそう問う。
スバルによる前回のわけのわからない演劇のセリフ(とルルーシュが納得するまでスバルが力説し続けた)事件から、C.C.も以前ほど周りのものすべてに対しておっかなびっくりな様子ではなくなったことで、彼女は何か自分でもできないかと様子を窺うようになっていた。
そんなC.C.に、ルルーシュは電子機器などの使い方や伝言の受け取りなどを一通り教えていた。
『そこまで暇なら何かをさせよう』とした気持ちであり、決してソワソワしながらうろうろするC.C.に対して『記憶がなくなっても鬱陶しい奴だな』だけが理由ではない。
「え、えええっと……あ! そう言えばご主人様の友人の方から連絡がありました!」
「友人?」
「はい。 真っ白な髪の毛の方です。
『人間の事を、俺はよく理解した。 やっぱり絶滅した方がいいよな?』
夢で見たその言葉がルルーシュの脳内に響くが、彼は息を大きく吸って悪い考えとともにそれらを吐息として吐き出す。
「あの……もしかして、友人ではなかったですか?」
「いや、友人……うん。 そうだな、スヴェンは……友人だ。 彼は、なんて?」
C.C.は汚いたどたどしい歪な文字で書いたメモ用紙を取り出す。
「えっと……“ひがしゆーらしあでかくほしたほりょとめんかいしたい”、だそうです。」
「(“東ユーラシアで確保した捕虜と面会したい”、か。 やはり来たか。)」
ここでルルーシュはイカルガ内部でもごく少数の者しか存在を知らされていない、厳重に秘匿されたとある捕虜を思い浮かべた。
「(いつもの彼らしくない、直球な申し入れだな。 まぁ、あれだけ容姿が似ていれば、冷静沈着な彼でも自然と好奇心が沸くか。)」
ルルーシュがここで思い浮かべたのは河口湖のホテルジャックや行政特区時などの、いついかなる時でも戸惑いや動揺を人前で見せなかったスヴェンや
後は彼が『シュゼット』としてのノリノリな振る舞いという例もあるのだが、ルルーシュ自身が女装に対して多少のトラウマを持っているため、無意識に彼の別の並列思考がこれを削除したとここで追記する。
更に余談だが、スヴェンが冷静沈着に見えているのは、単純にルルーシュみたいに観察眼や洞察力などに長けた者たちに心の中を悟らせないために、徹底したポーカーフェイスを維持しているからである。
「そうか、わかった。 俺から返事を入れておこう。」
ルルーシュはふと、先ほどC.C.が口にした言葉を思い出した。
「なぁ?」
「は、はい?」
「さっきお前は、スヴェンが“悲しそう”と言っていたがどういう事だ?」
「え? えっと……“悲しそうな目をした方だな”と……」
「(“悲しそうな目”、か。 記憶がなくとも『変なところで目ざといC.C. 』だということか。) そうか、感謝するぞC.C.。」
「は、はぁ。 (うーん……『せら』と『しいつう』、どっちなんだろう?)」
そういいながらルルーシュは立ち上がり、再びゼロの仮面をかぶる。
「(さて、この接触で『進展』があるといいのだが。 それも良い傾向だと尚更……)」
…………
………
……
…
「おお、スゲェ。」
「見たことないKMF……ってKMF、だよな?」
「飛行機じゃね?」
「というよりはロケットに似ていないか?」
「空飛ぶバイクかもな。」
イカルガ内にビルキースが着陸すると、格納庫に居た黒の騎士団側の者たちから様様な感想が所々から出てくるが、中から出てきたライダースーツのスバルと黒の騎士団制服を身にまとったカレンは、それらに気付いていないフリをしながら、そのままゼロが待っている独房区へと歩き出す。
「(これを見れば、やっぱり毒島たちが来ることに反対したのは正解だったな────)」
「────待っていたぞ、スバル。」
スバルがそう思っていると乗ったエレベーターの扉が開いた向こう側にロロとジェレミアを左右に控えたゼロが声をかけてくる。
「急な頼みですまんな、ゼロ。 (って、
「何、君にしては随分と珍しい直球な申し入れだからな……この二人は私の護衛だ。 彼らがいることに異論は?」
「ない。」
「ほかの者たちは?」
「連れて来れば良かったか?」
「君が話したい捕虜は少々特別な事情でな、接触する人数は最小限に抑えたい。」
「そうか。 (よっしゃあああああ!)」
「ではこちらに……彼女は?」
スバルは内心でガッツポーズを浮かべながらジェレミアの後を歩くと、先ほどから気まずい様子のロロがチラチラと自分を見ていることにスバルは気付きながらも、敢えて何も言わない代わりにソワソワするカレンの方へと振り返る。
「カレン、すまないが立ち会うだけにしてくれないか?」
「え? う、うん……いいけど。」
やがてゼロたちがイカルガ内でも厳重そうな区に設置されたとある独房室の前で止まる。
「ここに、例の捕虜がいる。 必要なら、ジェレミアを付けて────」
「────いや、俺一人でいい。」
「そうか、しかし部屋のすぐ外には彼とロロを置いておく。 何かあれば叫べ。 それと15分後に君が出で来なければ室内に睡眠ガスを放出する。 いいな?」
「ああ。 (ロスカラとかの事を考えると、やっぱりラクシャータ辺りとかにライの体は調べられているよなぁ~。)」
プシュ。
圧力モーターによって開いた扉をスバルがくぐるとすぐに背後で閉まるも、彼は気にせずそのまま部屋の中で拘束衣によって身動き一つとれない様子のライ(仮)へ向かった。
向かい合いように設置された反対側の椅子にスバルが腰かけても、ライ(仮)はただじっと反応せずにただ目を床に向けたままだった。
「(やっぱり、あれだな。 見た目がロスカラ攻略の本にあったスケッチと酷似している。少し違うのは、髪の毛がちょっと長いところか?)」
「……」
「(まぁ、ロスカラといろいろ違うからずっとギアス嚮団に居たことを考えれば髪の毛を切っていないだけか。)」
「……」
「(しっかし、俺が言うのもなんだが灰色を通り越した銀髪に超イケメンだ。 『幻の美形』と原作でのアッシュフォード学生たちにあだ名を付けられるぐらいに容姿が整っているな。)」
……
…
「ねぇ?」
近くの部屋では、スバルとライ(仮)がいる独房の様子を監視カメラ越しに見ていたカレンがルルーシュに声をかける。
「あの二人、な~んにも喋らないんだけど?」
「おそらく、スバルは観察しているのだ。」
「ふ~ん。」
「それで、どうだカレン? 神根島で見た奴か?」
「え? う、う~ん……正直、神根島の時は洞窟だったからなぁ……どうだろ?」
「そうか。」
ルルーシュとカレンが見ていると、スバルはフルフェイスヘルメットを両手で掴んでそれを取ると、再度声をかける。
『こっちを見ろ、
「「ッ?!」」
カレンたちはそれを聞いて、息を飲んだ。
別にスバルが不用心にヘルメットを取ったことではなく、あたかも当然のように平然と捕虜の名前らしきものを口にしたからである。
「ほぉ。 (“ライ”。 それが奴の名か。)」
「……」
ルルーシュは興味深そうに関心を示しながら息を吐きだし、カレンは胸に置いた拳にギュッと力を入れた。
実はというと、ルルーシュはリア・ファルから送られてきた嚮団のデータコピーを一通り閲覧したのだが、どれだけ探しても肝心な部分などに暗証キーが必要なファイルなどが多数在った上に、ライ(仮)に関しては完全にデータが削除された様子だった。
「(アマルガムのユキヤ曰く、嚮団の端末以外で開いた場合作動する自爆ウィルスとやらの影響と言っていたが……いや、今更悔いても無駄だ。 あれだけの量を復元できたことに感謝しよう。)」
『……ッ。』
画面の中でライ(仮)が言われたように見上げて
『君はよほど俺に執着している様子だが────?』
『────貴方の身柄を確保するように言われている。』
「喋っただと?!」
「え?」
「い、いやその……今まで捕虜は何一つとして反応を示さなかったのでな……少しその、驚いただけだ。」
ライ(仮)が出した中性的な声にルルーシュが思わず声を出してしまい、目を点にしたカレンに気まずそうな弁明をする。
『そうか。 身柄を確保するように言ったのはV.V.か?』
『ああ。』
『V.V.は死んだぞ。』
『そうか。』
『……それよりも元気がなさそうだが、ちゃんと食事はしているのか?』
『“敵から何も受け取るな”と命令されている。』
『……まさか何も口にしていないのか?』
『……』
「え?! 嘘だよね?!」
「い、いや。 本当だ。 捕まってから出されたものを全て無視している。」
……
…
「(“何も口にしていない”って断食ダイエットとかラマ〇ンとかじゃあるまいし、さすがにダメだろ。)」
スバルは部屋の中を見渡すと、確かにまったく減っていない携帯食とペットボトルに入った水が目に付く。
「(そういえば今思いだしたけれど、原作アニメでもブリタニアに捕まってエロ拘束衣のカレンも『クッ殺』の睨んだシーンに携帯レーションが近くにあったけれど……どうやってカレンに食べさせる気だったんだろ? ……あ、そうか。)」
スバルの頭にとある考えが浮かぶと彼は立ち上がって携帯食を手に取り、ペットボトルの水と付いてきたカトラリーのスプーンに携帯食を温める発熱剤の入った板を使って食べやすい即席の粥(のようなもの)を作る。
「これならば食うか?」
「……」
「俺は『敵』ではなく『捕獲対象』だぞ。」
「……」
「食べなければ衰弱していく一方だぞ、ライ。」
「……」
「(うーん……なんだかナナリーっぽいな、これ。)」
まるでスバルの屁理屈が通ったように、ライ(仮)は静かに出されたスプーンを咥えて食べるそれは親鳥から餌を分けられるひなのような様子だったことにスバルは一年前、活発に活動し始めた黒の騎士団につきっきりになったルルーシュとその対処(正確には紅蓮への対策)としてよく駆り出されるスザクの二人がよくアッシュフォード学園を休みがちにしていた時期に、一人で寂しさに耐えるナナリーを思い出した。
「(……トウキョウ決戦で、ナナリーの確保にルルーシュは動き出すだろうけれどこっちでもやっぱり保険をかけておくべきかな────?)」
「────僕の名前。」
「ん?」
食べ終えて喉が潤ったのか、今度はライ(仮)からの言葉にスバルは動きを止める。
「僕の、名前。」
「ああ、『ライ』がどうか────?)」
「────それが、
「ッ。 ああ。」
スバルは固まったまま、息を飲んで思わず問いに対して頷く。
「なぜ僕を殺さなかった。」
「……とりあえず、先に食え。」
コードギアス外伝作のビジュアルノベルアドベンチャーゲームということから、ロストカラーズの主人公は
しかしゲームを進めていく内に、ライの決して幸せではない過去と境遇が明らかになっていきその中で彼は数々の人体実験により人工的な『
それにはライの『
「(つまり、今目の前にいるライは『もしロストカラーズの流れが来ず、そのままギアス嚮団に身柄を拘束されていたら』という事か。 それにクララやエデンバイタル教団の事を考えると、恐らくロストカラーズ以上に自我の希薄さは……)」
「モグモグモグ。」
「(やっぱり、『俺』の所為なのか?)」
「モグモグモグ。」
「(様々なコードギアス内容が闇鍋以上のぐちゃ混ぜ状態なここで……)」
「モグ……モグ……モグ……」
「(さらに『俺』という『異物』の混入で……)」
「………………グプ。」
「(“グプ”?) うおおおおおお?!」
不穏な声にスバルが考えに耽っていた意識を戻すと、先ほどからずっと懸命にも次々と差し出された粥を食べ続けていたライ(仮)が真っ青な顔色でプルプルと震えていた場面に珍しい驚きの声を上げた。
「ウプ────」
「────待て待て待て待て待て待て! (何か、何か器みたいな物は────!)」
「────ゴブェ────!」
「────あ゛。」
……
…
「「うわぁ……」」
ピリリ♪ ピリリ♪
別の部屋で一連を監視カメラ越しに見ていたカレンとルルーシュは同情するような声を同時に出したその時、ルルーシュの端末から着信音が出てくる。
「む……」
「どうしたの?」
「……君も読むといい。」
端末を見ては表情をしかめるルルーシュに気付いたカレンの問いに、彼は静かに立ち上がりながらゼロの仮面をかぶってカレンに端末の画面を見るように答える。
「ええと……え?!」
はぁ……
今起こったことを語るぞ。
え、『嫌やそんなん知りとうない』?
残念だったな。
『今にでも吐きそうな様子のライ(仮)の顔色が信号みたいにコロコロ変わっていたから急いで
で、今では向かいに激しくむせながら空気を吸うライ(仮)を他所に、俺は携帯食のカトラリーについてきたおしぼりで自分の服などを拭いていきながら内心でため息を出す俺がいる。
はぁ……
「ぜぇ……ぜぇ……」
っと、ライ(仮)が苦しそうに息をしておるのでここで水を飲ませる。
胃液によって喉をやられたらダメだからな。
はぁ……
「……」
そして俺とほとんど寸分変わりのないポーカーフェイスになるライ(仮)である。
「楽になったか?」
「ああ。」
さいですか。
はぁ……
ちなみにどうでもいいがおしぼりだけじゃ足りないので、今では水で濡らしたナプキンを使っている。
あとこのツンとする胃液の匂い、たぶんだけど森乃モードの仮面にも
ほぼ拭き終わったところで今更だけれど。
ああ、もう脱いじゃえ。
「ふぅ……」
ぷはぁ! 娑婆の空気はうめぇぜ!
うん、森乃モードの仮面の頬にしっかりと付いているな。
「……」
水で洗い流してからアルコール消毒液────ん?
ふと空気が変わり、視線を感じて見上げるとさっきのポーカーフェイスのままどこかぼんやりとした様子で俺を見つめていたライ(仮)がいた。
「どうした?」
「……」
いや、俺が言うのもなんだが黙り込むなよ。
俺はマオーズやサンチアじゃないんだから。
あ、もしかしてゲロまみれな俺にびっくりしているとか?
しかーし! そこは汚れに強いライダースーツなのだよ諸君!
ナプキンでふき取ればほらこの通り、綺麗に取れるのだぁぁぁ!
はーはははははは!
……あー、カラ元気が虚しい。
うん、現実逃避はやめよう。
多分ライ(仮)────もうこれからは『ライ』でいいか────は容姿がかなり似ている素顔の俺にびっくりしているんだろう。
目の色とセミロングな髪以外は本当に瓜二つだなぁ……
プシュ。
「スバルとやら、ゼロ様がお呼びです。」
おっと、開いたドアから
「そうか、すぐに行く。」
よっこらせ、っと。
「……」
ああ、なんだかジーッと俺を見ているライが居たか。
「また来る。」
それだけを言い残して俺はジェレミアの後を歩く。
「……」
そういえば原作の
超バリ忘れていたよ。
「「「……」」」
通路の中でジェレミア、俺、ロロの足音が響くだけで気まずい沈黙が続く。
まぁ、アレだよなこれって。
『ロロの寝返り行為がなぁなぁな感じでルルーシュとジェレミアから釘を刺された』とか。
多分。
う~ん……義理も何もないけれど、一応声をかけるか。
「ロロ。」
ビクッ。
「俺から一言だ。 “失敗は成功で塗り替えせ”。 以上だ。」
「……え?」
なんだこの意外そうな顔は?
ま、いいか。
ルルーシュに呼ばれている案件は何だろうな。
“雄々しく~立った、若者は~♪”
“愛する人を~♪ かばいつつ~♪”
“旅立つ日々を~、戦いひらく~♪”
今回は間に合わなかったので、次回こそは…… (;´∀`)