小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第27話 機関銃トーク

 時は過ぎていき、新総督であるコーネリアが『サイタマゲットー壊滅作戦』を実行する少し前のアッシュフォード学園では、ニーナはいつものようにひっそりと人気のなくなった教室で黙々とパソコンと向き合っていた。

 

 ピッ!♪

 

「あ、分裂した? やった!」

 

「上手く熱中性子を吸収したね。」

 

 ひゃあああああああああああああああああああああああ?!」 

 

 急に他に誰もいない筈と思い込んでいたニーナはあまりの驚きに椅子から盛大に転げ落ちてしまう。

 

「スススススススススヴェン君?!」

 

 彼女は目を見開き、早くなった心臓の鼓動からか身体がわずかに震えながら俺を見上げていた。

 

 え? 何この図?

 俺が悪いのか?

 

 ……俺が悪いのか。

 

「おや、驚かせて申し訳ございませんニーナさん。 大丈夫ですか?」

 

 俺はやさしく微笑み(仮面を維持し)ながら手を差し伸べる。

 

「あぅぅぅぅぅ。 お尻が痛いです……」

 

「申し訳ございません、ニーナさん。 まさかそこまでビックリするとは思っていなかったものでしたので。」

 

 ニーナを立ち上がる助けをしながら謝る。

 

 実際は“予想範囲内”だったが。

 

 俺はパソコン画面を見ると案の定、ウラン235のシミュレーションデータが表示されていた。

 

「これは……ウランですね? 質量数235の?」

 

「え? あ、はい! もしかして、スヴェン君もその分野も知っているんですか?! さっきも『熱中性子』と言っていましたし!」

 

 おおおう?

 これは思っていたより凄い食いつきだ。

 

 完全に好奇心をくすぐられた『原作のマッドサイエンティスト組(ロイドたち)』の流れだ。

 

「ええ、()()()()ですが。」

 

『原作で見た受け売りだ』なんていっても何を言っているか分からないし、言わない方が吉。

 

 作中のニーナは他人が信じられないような描写もあってか、一人で悶々と負の感情満載の考えに落ちる。

 

 しかも唯一心から信じられそうな相手が死んでは引きこもりから陰湿キャラへと変身するし。

 

 そして彼女の『核』技術をブリタニアの宰相に目をつけられて利用され、出来上がった『フレイヤ』でトウキョウ租界は文字通り『消えた(消し飛んだ)』。

 

 だから俺が今している行動は秘儀、『事前にニー()と接して、他人と話しやすくさせる橋係作戦』だ。

 

 ……うるせぇ、ネーミングセンスが最悪(そのまま)なのはわかっている。

 

「確かウラン235に熱中性子を吸収させると、2つの原子核と高速中性子に分裂するのでしたよね?」

 

 必死に前に聞きかじった情報(おそらく前世)を口にするとニーナの様子が急変する。

 

 「はい! その通りです! さっきも研究や資料のデータを元に仮想実験プログラムをしていたのですけれど────!」

 

 よしよし、いいぞぉ。

 もっとこの話題経由で元気な君を引き出してやろう。

 

「────ですがウラン235は困ったことに天然ウランの僅か0.7%しかないのがネックですね。 いくらデータがそろっても、試すことができないというこt────」

 

 ────ガシッ!

 

 「はわぁぁぁぁぁぁぁ! まさかスヴェン君がそこまで知っているとは感激ですぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 誰このキラキラ目をさせながら手をガッシリと掴んでグイグイ来る子?!

 

 鼻が! 顔が近い! 荒い息遣いが! 吐息がががガガガが!!!

 

 圧が半端ない!

 

 俺……選択肢を間違えちゃったかな?

 

 え? 『ところでお前、サイタマゲットーに介入はしないのか?』だって?

 

 ……すまん、それは流石に管轄外と割り切っている。

 

 シンジュクは既に『毒島』と言う要因(ファクター)があったから根回しが比較的にしやすかったし、作中の冒頭で大勢の無残な死体や殺され方をされた日本人(イレヴン)を見たルルーシュは『人の命は軽い』と錯覚し、そのまま魔神となる一途を辿ろうとしたから介入した。

 それに、見知った奴(カレン)が大勢死んだ日本人を間近に見て(取り敢えずアニメでは)泣いていたからな。

 

 殆んど自分にノーリスクで出来るのなら、するさ。

 それにいくら俺が手を回したとしても、何もシンジュクゲットーの被害が『ゼロ』だったわけじゃない。

 死亡者は何人か出ていると聞いた。

 

 その中には男も、女も、老人や子供たちも含まれていた。

 

 やはり、全部の人を救うのは無理だったよ。

 

 だから俺ができることと言えば、情報屋たちに“近いうち、サイタマゲットーもシンジュクのように壊滅される動きがある”と言う噂を流す程度だ。

 

 それよりもさっきから手を放さずにマシンガントークするニーナを誰か何とかしてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

 ガチャ。

 

「あら、ここにいたのニー……ナ?」

 

 教室のドアが開いて入ってきたのはミレイだった。

 

 神様! ナイスです!

 

 彼女ならこの場面を何とかできる筈!

 

「あら? あらあらあら~? ごゆっくり~♡」

 

 急にニヨニヨしたと思ったら退出した?!

 なんで?

 

「へぇぇぇ?! ここここここれは違うのミレイちゃん! まままま待ってぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

「オホホホホホホホホホホホホホホホ~♪」

 

 ニーナが悪魔のような笑いを出すミレイを追い、俺はウラン235のデータが表示されたパソコンにフラッシュドライブを差し込んでデータを丸コピーする。

 

 データは幾らあっても困らないし、腐らせることは無いからな。

 

 それはそうと、待ち受けている次のイベントに気が重くなる。

 

 あと胃が荒れる。

 

 何せランスロットの時の『偶然』とは違い、今度は俺自らが選んで『意図的』に身を危険に晒す『時』が着々と近づいている筈なのだから。

 

 

 

 

 その『時』は俺が思っていたよりかなり早かった。

 

 クラブハウスで(準会員の俺やアリスにライブラを含めた)猫祭り衣装を着た生徒会たちにミレイが猫球をポムっと合わせて注目を集める。

 

「さ~て皆の衆! 実は私から楽しい~お知らせがありま~す! なんと来週、生徒会メンバーの親交を深めるために河口湖のコンべーションセンターホテルで行なわれるサクラダイト分配会議に! 二泊三日の親睦旅行を予定しているので~す!」

 

 これだ、俺の胃を荒れさせていた原因は。

 

『河口湖のホテルジャック事件』。

 その物々しい名前から、想像は既につくだろうか?

 

(黒猫ハイレグレオタード風衣装を着た)ミレイの言ったように、河口湖のコンべーションセンターホテルで行なわれるサクラダイト分配会議はサクラダイトの国際分配レートを決定する会議だ。

 ブリタニア帝国だけでなくサクラダイトを主流にしている国、つまりは『世界』のパワーバランスを決定するといっても過言ではないほどのビッグイベントだ。

 

 そしてそこを狙った日本解放戦線でも過激派である草壁中佐が人質を取り、立て篭もるという話が原作で行われた。

 

 しかも胸糞悪いことに、建前上は『ブリタニアに囚われた人質交換』だが草壁は相手が絶対に交渉に応じないコーネリアと知っていた為、真の目的は『日本はまだ反抗する意識を持っている』という馬鹿げたモノ。

 

 実質な将来性皆無の特攻に加えて、彼らは見せしめにブリタニアの人質をホテルの屋上から突き落とすといった下劣な行動をわざわざ報道されるように行っていた。

 

 原作で草壁と相対したゼロは彼のことを『古い考え方』、『救えない』と言っていたが100%同感だ。

 

「へぇ~! 河口湖ですか!」

 

「あ、でもサクラダイト分配会議は招待状式ではなかったですか?」

 

「ふふ~ん。 良いところに気付いたわねライブラちゃん♪ 落ちぶれたとはいえアッシュフォード家、コネを使えばなんてことないわ♪」

 

「会長! 私参加します!」

 

「あ~、俺はちょうどその日を欠席する店長に変わって仕事が入っているな……ったく、店長も休暇を取る日のタイミング悪すぎるだろ。」

 

(ブチネコ風着ぐるみ衣装を着た)リヴァル、安心しろ。

 

 お前の店長はルルーシュのギアスによって大型キャンプカーを改装したトラックを黒の騎士団初の『動く司令塔』を確保するためにその日はちゃんと(裏仕事で)働いている。

 

「ルルーシュは────」

「────俺はちょっと外せない先約があるから、無理だな。 ナナリーは?」

 

「行っても、皆さんにご迷惑をかけると思いますから……」

 

「ランペルージ兄妹はアウトかぁ~。 う~ん……じゃあ他には────」

「────はいは~い! じゃあ私は行くです~!」

 

 元気よく手を挙げたライブラ(トラ柄ネコの着ぐるみ風衣装)を、(ミニスカヘソ出し三毛猫衣装を着た)アリスがギョッと何故かする。

 

「え゛?! ら、ライブラさm────さん?! 何を────?!」

「────ナナリーたちの代わりに行って楽しんでお話を聞かせるです~!」

 

「ありがとうございます、ライブラさん。」

 

「私に任せなさいです!」

 

 そしてどや顔と可愛らしい『フフン!』を決める。

 

 う~ん、ライブラってば今日も元気だな。

 お兄さんと上手くいっている証拠なのかな?

 

 「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ。」

 

 アリス、喜ぶべきだろ? 

 なんで俯きながらブツブツ不服そうに独り言を言うんだ?

 

 別に来たくなければナナリーのようにきっぱり断ってもいいんだぞ?

 

「僕は、軍の勤務が入っていて……」

 

 そしてスザクもアウトと。

 

「私は……」

 

「あー、カレンちゃんは難しい? やっぱり、家が反対しそう?」

 

「……まだ聞いていないけど、多分。」

 

「そっか~……ならその様子だとスヴェンも────」

「────お嬢様。 身勝手ながら、私もその旅行に参加してもよろしいでしょうか?」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 俺の突然な申し出にミレイやカレン達がポカンとする。

 

 すまんが、このイベントだけは無理やりにでも参加しなくちゃいけない。

 

 より良い結末の為に。

 

「どう、カレン? 大丈夫そう?」

 

「えっと……」

 

「お嬢様。 ()()()()()()()()()()()でしょうか?」

 

「ッ……」

 

 うん、ちょっと言い方が卑怯だったのは認める。

 それに今の言葉遣いはナオトさんがいなくなってから、俺とカレンだけがわかる『隠語』だ。

 

 基本、『見習い従者』に休暇はない。

 だが子供の頃からの付き合いで『多少の我儘』として周りに見られているが、今使った『隠語』の意味は『別行動を取りたい』。

 

「……そうね。 少しぐらいなら大丈夫、かな?」

 

 気のせいか、(ミレイと同じ衣装をした)カレンの猫耳がへにゃっと沈んだような……

 作り物だろ、それ?

 

 そしてシャーリー、何故視線を俺とルルーシュを互いに合わせながら?マークを出す?

 言っておくが俺はノーマルだからな?

 

 

 


 

 

 当日、河口湖へと向かう装甲列車付きの車両の中で準会員たちも含む生徒会のメンバーたちはくつろいでいた。

 

「フンフフ~ン♪」

 

 その一室の中ではスカッツにシャツとトップスにブーツ服装をしたライブラが顔を窓にくっつけそうな勢いで揺れ動く景色を見ながら鼻歌を歌っていた。

 

「ライブラさん? 羊羹などどうですか?」

 

「“ヨウカン”とはなんです?」

 

「エリア11の名物だそうです。 餡子に砂糖と寒天を加えた甘菓子です。」

 

『甘菓子』と聞いて?マークが!マークへと変わるように、彼女の目は光りだした。

 

「食べまーす! です!」

 

 う~ん、このハムハムする仕草がハムスターのような、小動物のような。

『無邪気』だな。

 

「なんで寄りにもよって貴方と一緒の車両なのよ……しかもいつの間にか名前呼びになっているし……ブツブツブツ……

 

 そして俺の隣にはいつもは口うるさいチワワアリスが私服姿でブツブツ独り言を続けていた。

 

「あ! あれが“フジサン”ですね!」

 

 ライブラの声に窓の外を見ると、俺が思い浮かべた景色とは程遠い山が窓の向こう側に広がっていた。

 

『フジサン』。

 別名『サクラダイト採掘鉱山施設』。

 変わり果てたその姿を俺は見て、胸の中に何かモヤモヤしたものを感じるまま他の皆とコンベンションホールを楽しむフリをしていた。

 

 来るべき時に備えて。

 

 ……今の内に胃薬を飲もう。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 後に黒の騎士団となるグループのキャンピングカー式アジトを扇達がおっかなびっくりに見ているとがっちりした体格で眼鏡をかけていた南がテレビをつけるとちょうど『河口湖畔ホテルジャック事件』の報道が映っていた。

 

『ホテルジャック犯は日本解放戦線を名乗っており、サクラダイト分配会議のメンバーとその場に居合わせた観光客や従業員を人質にとっています。』

 

 それをふんぞり返っていたルルーシュが、ほかの見入り始めていた者たちと違って平然とした態度で見ていた。

 

「(孤立したホテルに立て籠もって人質を取っただと? 何か別の大きな作戦の陽動か?)」

 

『これが内部から犯人が送ってきた映像です。 御覧の通り、議長の他に学生らしきモノたちの姿も見受けられます。』

 

「み、皆?!」

 

「(ん────ファ?!)」

 

 カレンの驚く声にルルーシュがゼロのマスクの下で画面越しに見た光景に素っ頓狂な(内側の)声を出しては固まる。

 

 カレンの言った通り、生徒会のメンバーたちが画像の中にいた。

 

 ミレイ、シャーリー、ニーナはもちろんのこと、準会員たちのスヴェンにアリスと“ライブラ”と名乗っているライラ。

 

 そして、眼鏡をかけた()()()()()()()()()()()()も。

 

「(あ、あれは! まさか?! いいいいいや、見間違いか?! 他人の空似という線も……いや待て。 待て待て待て待て待て!  待つのだ俺! たとえ皇女が()()がいるかもしれないとしてもだ! おおおおお落ち着け俺! ブリタニアと敵対するには組織が必要だ! 日本解放戦線はその意味では魅力的な組織だ! だが早すぎるし、作戦の意図が掴めん! それに時間がガガガがががが?!)」

 

 ルルーシュは盛大に(テンパ)っていた。

 

 

 

 

 

 ドン!

 

「あのバカ者が!」

 

 別の場所では日本解放戦線の軍服を着た藤堂が珍しく、怒りを露わにしながら拳を床にたたきつけていた。

 

 彼は過激な行動をとった草壁だけでなく、己の不甲斐なさにも腹を立てていた。

 

『シンジュクゲットー』で軍属でもないレジスタンスがブリタニア正規軍に勝ったこと。

 そして名誉ブリタニア人である枢木スザクを救出したことで今まで『烏合の衆』と思われていた扇グループが名を広げていたことに、草壁は『この来ている波に便乗せねば日本解放戦線の名が泣く!』と、組織のトップである片瀬少将に草壁が訴えていたのを、藤堂は殆ど理由も言わずに『今は動くべきではない』と言ったのだ。

 

 理由を並べなかったのは自分と同じ中佐であると共に、『草壁ならばそんな功を焦る愚行に先走る人物ではない』と踏んでいたから。

 

 だが誤算だったのは、片瀬少将が自分に話をそらしたことで草壁は更なる劣等感を感じていたこと。

 ()()()『同じ中佐だというのに、なぜ片瀬少将は自分より藤堂の言葉を仰ぐ?!』という負の感情が今まで積もりに積もってついに草壁を独断で動く決意を実らせていたのだ。

 

「ん?」

 

 そこで藤堂が目にして違和感を覚えたのはとある少年の姿だった。

 

「(……誰だ? 私はこの子をどこかで……)」

 

『昔にどこかで見た』という引っ掛かりを感じながらも、この騒動をどう利用(あるいは救済)するかを考える藤堂だった。




久しぶりに藤堂を出せました。 (;^ω^)

規約違反に当たるかもしれませんので『狂犬加入』のアンケートを取りたいと思います!

お手数をおかけしますが何卒ご協力をお願い申し上げます!

尚ヴィレッタ姐さんの方はもうスバルを介入させる予定です。 (;・∀・)

『ブリタニア絶対殺す狂犬』を加入させますか? *注意事項*作者はロストストーリーズ未プレイでゲームが完結していないので『高い可能性(ほぼ確定)でキャラ崩壊アリ』とだけ前もってここに書きます

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