小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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ゴールデンなウィークで時間が出来るはずなのに予定していた投稿が出来なくて申し訳ないです。


第265話 戦乙女隊

「それでは殿下、昨日の書類です。」

 

「……どうかしたのかい、カノン?」

 

 中華連邦や東ユーラシアの事でアジア大陸がもあり、長くトウキョウ租界の政庁に滞在する予測からか、いつの間にか出来ていたシュナイゼル用の執務室では一見いつもと変わらない様子のカノンが書類を手渡すとシュナイゼルが不意に声をかけた。

 

「いえ、特に何も聞いておりません。」

 

「本当にそうかい?」

 

「……」

 

「では君が何に対してよく思っていないか当ててみようか? ()()()が来るからだろう?」

 

「……そう言えばヴァインベルグ卿(ジノ)がボヤいていましたよ? “なぜ自分は待機なのか”と。」

 

「ヴァインベルグ卿と彼の相性はお世辞にも良いとは言えないからね。 それに彼の言動は確かに褒められたものではないけれど、彼と彼の部下である親衛隊は有能だよ? 単身特化型にありがちなラウンズにしては珍しく、広く展開させる戦力としてはもってこいの人材たちばかり。 それは君も理解しているだろうカノン?」

 

「確かに性格はともかく、有用性……有能さは私も認めています。 認めてはいますが、好きにはなれません。」

 

「ここには私と君しかいないから、いつものように呼んでもいいのだよ?」

 

「……()()は仮にもラウンズですので、その類の言葉は控えておきます。」

 

「ハッハッハッハ! ……コホン。」

 

 珍しく声を上げながら笑ったシュナイゼルにカノンの目が点になり、シュナイゼルはそれを隠すかのように咳払いをする。

 

「それでも彼を“アレ”と呼ぶのが君らしいよ。 世間が彼を嫌悪や批判するのは仕方がない。 しかしどのような時代でもああいう輩は一定数存在するし、()()なのだよ。 君自身の部下と同じでその場、その時代での“適材適所”。」

 

「……」

 

 カチャ。

 

 シュナイゼルはティーカップを手に取り、温くなった紅茶を一気に飲み干すと時計を見る。

 

「さて、そろそろだね。」

 

「今度は布石をどこに置かれたのですか?」

 

「うん? “布石”なんて人聞きが悪いね。 常に二手三手先を考えて動くのが上の立場に立つ者としての義務であり、条理だよ? それに……」

 

「???」

 

「いや、“今は言うべきではない”……かな?」

 

「は、はぁ…… (今日の殿下はいつになく饒舌ね……やはり皇帝陛下が居なくなったから、思う存分に帝国を動かせるようになったからかしら?)」

 

「(次の戦場になるエリア11に、戦力を集結する理由は分かる。 ヴァルトシュタイン卿を呼び寄せた理由も彼がナイトオブワンだから。 “ラウンズに序列はない”と言ってもナイトオブワンはほかのラウンズに命令を下せる立場である上に能力は折り紙付き。 しかし、父上(シャルル)が名指しで彼と彼の親衛隊を呼び寄せた理由がわからない。 幽鬼(レヴナント)に当てれば、何らかの反応が出ればいいのだが……)」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

『なんなんだよあの戦闘機は?!』

『警報が鳴りっぱなしだ! 振り切れない!』

『フレアもチャフも通用しない!』

『どんな高性能な誘導ミサイルだよ?!』

 

「(悪いな、ブリタニアの諸君。 君たちの仲間を撃ち落としているのは『ミサイル』ではなく『弾丸』だ。)」

 

 上空から電子線に徹しながら浮遊している『ウィザード』ことオイアグロはアグラヴェインの中から東シナ海で衝突している合衆国中華、義勇軍、黒の騎士団の連合軍とブリタニア軍の様子をリアルタイムでゼロやレイラたち現場の指揮官組に送るため、結果として入ってくるブリタニア側の通信に苦笑いを浮かべていた。

 

「しかし長距離狙撃からの急接近による近距離、さらにはサマセット顔負けの航空戦とくればブリタニア側は冷静ではいられないだろうな。 しかもほかの戦場ではオズ(オルドリン)やリア・ファルの皆が奮闘している中でむしろ敵が逃げていないところを見ると、士気も兵の質もやはり────ん?」

 

 次第にレーダー上に映っているブリタニア軍のIFFが『ALLY(友軍)』の反応から遠ざかっていく。

 

『お、おい! 見ろよ!』

『ブリタニアが逃げていくぞ!』

『お……おおおおお?!』

『やった? やったのか?!』

 

 友軍側の通信を無視し、レーダーの範囲を広げて見るとオイアグロは通信をゼロの蜃気楼と繋げる。

 

『……ゼロ、こちらウィザードだ。 少々マズイ情報をキャッチした、今データをそちらに送る────』

 

 ……

 …

 

『(────む、この反応と方角は……なるほど、そういう事か!) 総員、この場から遠ざかっている敵だが方位230から新たに来る部隊と合流しつつ転換している。 恐らく後退は攻勢の為だ。』

 

 ゼロの通信と、戦闘による煙などが晴れていくと残った合衆国中華と義勇軍たちがざわめく。

 

『え。』

『すごい数だ……』

『なんてことはない! こちらにはゼロたちがいるんだ! 来やがれ、ブリタニアの負け犬どもが!』

『ちょっとまて……このIFF……まさか────』

『────ラウンズ機だ! ラウンズ()()が来やがった!』

 

 ファクトスフィアより性能が劣る通常のレーダー探知にブリタニアの新たな信号が表示される。

 

 色は敵を示す赤色で統一されているが、横には『FOE()』という文字のほかに騎士を示す『KNIGHT(ナイト)』や『SQUIRE(騎士の従者)』も複数あった。

 

 これは無論ブリタニア皇帝直属の騎士の事を指しており、『帝国最強の精鋭』という肩書によるプロパガンダ効果に自軍の士気向上、仮想敵国に圧力や反乱分子への牽制、畏怖などと言った効果等を狙うために帝国は現役ラウンズたちや彼ら彼女ら親衛隊たちの識別反応を隠すどころか意図的に全世界へと配布している。

 

 よってラウンズが出て来れば敵味方に関係無く、すぐに分かるような『告知システム』が出来上がっていた。

 

『こんな戦場に出てきたのか?!』

『しかもこれ、親衛隊だけじゃない! 複数いるぞ?!』

『“ここからが本番”ってかよ?!』

『あぁ、くそ!』

 

「(ラウンズが出てくる可能性は確かにあった。 親衛隊たちが付いてくることも。 しかし、()()とはな……)」

 

 レーダーの反応を見ながら仮面の下でルルーシュは歯を食いしばり、緊張によって強張った体を無理やり動かしてほかの戦場の進み具合を見る。

 

「(一機や二機だけならばいざ知らず……まさかここに現ラウンズの半分を呼び寄せていたとは! しかもご丁寧にブリタニア軍を誘導し、東シナ海へ更に殺到させたか! 流石だな、シュナイゼル。)」

 

 ルルーシュはゼロの仮面の下で冷や冷やしながらも深呼吸で息を整えつつ、バクバクと脈を打つ心臓を落ち着かせる。

 

『(しかし、俺もそれは予測できた。 そのために俺も現段階で動かせる戦力を全て投入し、ほかの勢力も誘導して巻き込み、周辺のブリタニア軍を大幅に削った。 この東シナ海を確保しなければ、エリア11の奪還のハードルは高くなる……ふ、まさか俺が『勝てれば』などと弱腰になるとはな。 覚悟をナリタ連山で決めた筈なのにな。) 総員、こちらにシンクー達の部隊が到着するまでだ! それまで持ちこたえれば良い!』

 

 

 ……

 …

 

 

「ふむ……」

 

 方位230からゼロたちがいる戦場に移動していた、隻眼の男────ナイトオブワンのビスマルクが通常より一回りサイズが大きい大型KMFの中で興味深そうな声を出していた。

 

 彼の騎乗しているKMFは試作機であったガウェインの後継機に当たり、形式番号RZA-1A『ギャラハッド』という。

 

 その機体は『ナイトオブワンの専用機』と呼ぶにはふさわしいほどに、性能は大型KMFであるにも関わらず『現段階で第八世代相当に当たる機体でも最高峰の性能を誇る』と言われている。

 

 無論、これはブリタニア側の機体等を基準にしているのだがその中にジノのトリスタンやアーニャのモルドレッド等も含まれていることを考慮すれば、『多少大げさ』と考えてもギャラハッドの凄まじさが窺える。

 

『どうかされましたか、ヴァルトシュタイン卿?』

 

『いや、“()()()()()()()()”と思っただけだ。』

 

 ギャラハッドの隣にはヴィンセントをベースにした機体────形式番号RZA-10JS、通称『パーシヴァル』の中に居るルキアーノの通信にビスマルクは答えると、ルキアーノは二チャッとした笑みを浮かべる。

 

『そうですか。 私にとっては喜ばしいことですよ、ヴァルトシュタイン卿。』

 

『深入りは無用だぞルキアーノ、我々は……ん?』

 

 ビスマルクはファクトスフィアを展開し、紅蓮を映し出している画像を拡大する。

 

『(なるほど、そういう事か。) ルキアーノ卿、敵戦力に紅蓮がいる。』

 

『……ほぉ? 卿は私に何をしろと?』

 

『紅蓮をルキアーノ卿に任せたい。』

 

『そうですか。 ちなみに周りの雑魚は如何様に処理してもよろしいでしょうか?』

 

『……構わん。』

 

『そうですか、そうですか……グラウサム・ヴァルキリエ隊、各自の判断で小隊を組み、散開し敵を確実に討て。』

『『『『『イエス、マイロード!』』』』』

 

『ヴァルトシュタイン卿は?』

 

『私は……そうだな、手始めに傭兵とIFFを出している機体から討つ。』

 

『ではご武運を、ヴァルトシュタイン卿。』

 

 ルキアーノは全く気持ちのこめていない社交辞令を言い放つと紅蓮がいる方面へと速度を上げて急行する。

 

「さて……あの傭兵機の中に枢木卿が居ないといいのだが。」

 

 ……

 …

 

「スー……ハー……」

 

『大丈夫、マリーカ?』

『私たちの後方から援護するのでいいわよ?』

『胃薬、ちゃんと飲んだ?』

『やっぱり地面がないのは緊張するわよねぇ~。』

 

 ヴァルキリエ隊に転属されたマリーカが深呼吸をすると次々と彼女の心配をするほかの隊員たちからの通信が入ってくる。

 

「い、いえ。 自分は大丈夫です。 先輩方の手を煩わせるともちゃんとできます!」

 

『もう本当にマリーカちゃんは頑張り屋ねぇ~。』

『うん、“本当に14歳か”って疑うよねぇ?』

『ヴァルキリエ隊に居る他の子たち以上にしっかりしているし~?』

『あ、帰ったらパイを作ってよマリーカ! ミートパイ以外ならいいんでしょ? 私も手伝うからさ~!』

『あ、私も!』

『私も~♪』

『私もー!』

 

「は、はぁ……先輩たちがいいのなら、もう一度作りますけれど……」

 

 ヴァルキリエ隊とは『ブリタニアの吸血鬼』ことナイトオブテンのルキアーノ直属の親衛隊であり、『ヴァルキリエ(戦乙女)』の名にちなんでか隊員は全員大変けしからん&露出度がダントツで一位なパイロットスーツを着用した10代の半ばから20代の女性のみで結成されている。

 

 少し前に突然な転属命令を受けたマリーカはルキアーノの二つ名と彼の親衛隊の結成員の噂しか知らなかったのでかなり焦ったのだが、マリーカは自分以上に慌てふためくレオンハルトが居たので冷静なまま、“元々反対しようにも正式な転属なので断ることはできない”と彼をなだめた。

 

 そう口では言いながら気丈に振る舞っていたマリーカは移動中ずっと身構えていたが、いざルキアーノとヴァルキリエ隊が配属されていたユーロ・ブリタニアに着くと想像していた殺伐とした雰囲気ではなくグリンダ騎士団とどこか似た、アットホームなウェルカムパーティーが彼女を待っていた。

 

『油断させて私を~!』と、どこか思いながらも警戒してはいたがヴァルキリエ隊の中で最年少に当たるマリーカ(14歳)は転属後も周りから『妹』のように大変可愛がられた。

 

 余談だがこれは深い意味などなく、()()()()()()()()の様である。

 

 しかもルキアーノに至っては(『戦場や公の場所ではない限り』という前提が付くが)噂とは程遠い紳士的な振る舞いで、それこそまるで別人であるかのような豹変ぶりであった。

 

 もしマリーカがグリンダ騎士団の空気に当てられず、慣れがないままシュタイナーコンツェルンのテストパイロットからヴァルキリエ隊に配属されていれば想像と現実の間にある、あまりのギャップに醜態をさらしていただろう。

 

 それこそセントラルハレースタジアムでソキアやトト相手に『グリンダ騎士団って本当に皇族直属の騎士団なの?! ドッキリとかじゃないよね?!』と困惑していた時以上に。*1

 

『そういえばマリーカの婚約者、レオンハルト君だっけ? この間、会いに来たんでしょ?』

『え? 誰誰誰?!』

『ほら、あの赤髪の人。』

『えええええええ?! あの背の高いイケメンがマリーカちゃんの婚約者?!』

『うっそ?! 私、連絡先を交換しちゃったよ~……はぁ~……』

『えーと、確か“レオンハルト・シュタイナー”だっけ?』

『シュタイナーって……もしかしてあのシュタイナー・コンツェルンのシュタイナー?!』

『うわ、すごい! 流石はソレイシィ家!』

『う~ん、この場合は“流石はシュタイナー家”になるんじゃないかな~?』

 

「先輩方、もうすぐ戦域に突入しますので私語は慎んでください。」

 

『『『『『は~い。』』』』』

 

「それとさっきレオンの連絡先を聞いたジョゼフィーヌさんにはあとで個人的な話があります。

 

『えええええええええええええええええええええ?!』

 

「“ええええ”じゃ・な・い・で・す。」

 

『“レオン”だってぇ~!』

『きゃああああ!♡』

『じゃあレオンハルト君からは“マリーカ”って呼び捨てなのかしら────?』

 

 「────私・語・は・つ・つ・し・ん・で・く・だ・さ・い。」

 

 最近、マリーカはちょっとだけ『これがシュバルツァー将軍の苦労か~』と思い浮かべた。

 

 ほんの少しだけ。

 

 ……

 …

 

『さぁこい! ナイトオブテンの私を殺せるのなら殺してみせろぉぉぉぉぉぉぉ!』

 

 ルキアーノはパーシヴァルの大腿部に搭載されている二つの小型ハドロン砲や左腕に装備された盾に内蔵された徹甲弾式ミサイルで合衆国中華の航空機や黒の騎士団の暁を通り様に攻撃していきながら紅蓮へと飛来する。

 

『そこまでだよ────ッ?!』

 

 これを見たカレンは紅蓮を前に出させワイドレンジの輻射波動を撃つ態勢に入るが、まるでそれを予測していたかのようにパーシヴァルは怯むことなくさらに速度を上げて急接近しながら右腕のクローで攻撃する。

 

 ガキィン!

 

 パーシヴァルのクローと紅蓮の飛燕爪牙が辺り、お互いのコックピット内に金属が当たる独自の音が響く。

 

 『ほぉ! まさか紅蓮のパイロットが女だったとはなぁぁぁぁ?!』

 『女で悪いかぁぁぁぁぁぁぁ────?!』

 

『────カレン!』

 

『え?! スバル、何?!』

 

()()()()()()()()()()()()()()!』

 

『スバル、ゼロだ。 理由は?』

 

『時間がない。 ウィザード(オイアグロ)、俺の通信をドロシー(オルドリン)につなげてくれ。』

 

『繋げたぞ。』

 

『ドロシー、こちらスバルだ────』

『────え?! ちょっと急に何?! こっちはモニターが敵だらけなのだけれど何このヴィンセントの大軍────?!』

『────もし敵側に()()()()()がいれば動きでわかるか?!』

 

『・ ・ ・ は?』

 

「(うん、やっぱ急に言われてもそうなるよね。)」

 

 スバルはビルキースの速度を維持しながらそのまま敵のヴィンセントやサマセットの様子を見る。

 

 

「(俺だってパニック中だったのが大量の敵機の中になんだかアニメから見覚えのあるヴィンセントが居てパニックメーターがMAX限界突破してちょっと冷静になったもん。)」

 

 これは何も彼が冷静だからではなく、ただ単純に混乱して呆けていたからである。

 

「(え? 『パニックメーターって何』だって? 今さっき俺が思いついた例だが何か問題でも? あー、くそ。 まさかここでルキアーノとかが来るなんて予想外────おっとごめんよヴィンセント。 アンタのフロートユニットに風穴を一丁プレゼント。)」

 

『な?!』

『早い!』

『マニューバ中に?!』

 

 スバルはビルキースの推力偏向ノズルを使い、ダブルクルビットの回転途中に先頭を飛んでいたヴィンセントのフロートユニットめがけてアサルトライフルを乱射しつつ、焦りが一周回って冷静になった頭で夢見心地に考えを走らせていた。

 

「(そういえばヴァルキリエ隊ってマリーカとリーライナ以外描写されていなかったけれど予想以上に多いな。 まぁいいか。 しかしルキアーノがここにいるということは、アニメで見たシンクー対ビスマルク(アンド)ヒャッハー(ルキアーノ)の対峙が変化するのか?

 いや、するだろうな。 そもそも前提としていろいろな要素が変わっているし。 俺の所為で。

 でも確かにここでブリタニア側が更に弱体化すれば後程に起きるであろうトウキョウ決戦がルルーシュや超合衆国側にとって有利に進んで被害も少なく……それはそれでちょっとやばいかな?

 やっぱりもし間違ってレオンハルトの許嫁であるマリーカが死んだりしたら後味が悪すぎる。

 何より『オズ』の醍醐味である“不運によるすれ違い”や“誤解による悩み事”は確かに読者的に美味しい展開があるけれど、いざ『亡国のアキト』への介入前にオルフェウスと接触して目の前の現実(リアル)になったら痛々しくて展開が雪だるま式に止められなくなる前に回避させたのに、下手したら原作以上の『どんよりブラックな展開』に戻ってしまう。

 なんだかんだでグリンダ騎士団は微妙~なバランスの上で成り立っているのよ。

 例えばレオンハルトは『イケメン堅物一途な少年貴族』、いわゆる『グループの安定枠』だ。

 ちなみに今の流れで言うとソキアは『心の赴くまま深く考えずに口に出す天才とバカは紙一重枠』で、ティンクは『一番人間に見えて振る舞っているけれど常人とはどこかズレている変人枠』。

 で、オルドリン言うまでもなく『箱入り娘のビッグドリーマーだけれど現実に理想がガラガラと打ち砕かれていくけれど仲間のおかげで立ち上がれるヒロイン枠』。

 逆にマリーベルは『理想を確実に現実化させるためには自分の感情を殺しながらどんなことでもやるペダルベタ踏みフルスロットルの暴走ゲイボ〇カーな一見平和そうで一番ヤヴァイ奴枠』。 一言でまとめると“マリーベル、ずんがずんがなヤンデレ”。)」

 

 なお先ほど“一周回って冷静になった”と言付けをしたが、あくまで“冷静に現実逃避をし始めた” である事を追記する。

 

 しかし現実逃避中でも人間は視界の中で動いているモノに注意が行きやすく、スバルがかぶっているヘッドセットの網膜投影システムの端にアラート音と共に背後カメラの画像が入ってくる。

 

「(う~ん、ヴィンセント四機ほどが俺を追い掛け回しておる。 俺、モテるのはいいけれどこういった強引な迫り方をする子に対しては引いちゃうタイプなのよね。 よし、ピッチアップからのコブ────)────ラ゛あああぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

 戦闘機形態のビルキースのノーズ(先端)をスバルは再び上げると急速に速度ゲージが三桁から二桁にガクッと落ち、急ブレーキによって発生したGが肺から空気を無理やり吐き出される過程で彼の喉から潰れた猫のような声が出てしまう。

 

 血の流れが変になり、彼はまるで自分の顔が焼けていくような感覚と共に視界が暗闇に包まれていくが網膜投影システムの補助によってヴィンセントたちがビルキースを追い越したことを、ビルキースのセンサーで『観た』彼は操縦桿とペダルを操作し始める。

 

 チカチカチカチカチカチカ!

 

「(って、視界が赤く点滅してデンジャーゾーンが再び後ろから表示?!)」

 

 今からまさに自分を追い越したヴィンセントたちに攻撃を食らわせようとしたところにアラートが鳴り響き、彼の現実逃避は無理やり中断される。

 

「(背後からでかいKMF急接近中というかどこか見たことがあると思えばアニメでそれまでのKMFをあらゆる性能面で圧倒的に凌駕するランスロット・アルビオンに乗った公式チート身体能力人間スザクと互角に渡り合ったビスマルクことナイトオブワン様のガウェインンンンンンンンンン?! え? なんでここにビスちゃんいるの? おまんの出番、まだまだ先やったんとちゃうんか? なに急に出てきおんの、ワレ?)」

 

 ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ

 

 再びスバルのパニックメーター(笑)が胃痛とともにぐんぐんと許容範囲の上限外へと迫った瞬間であった。

*1
137話より




今更かもしれませんが、ヴァルキリエ隊&その他に関しては独自設定&解釈がもりもり入っています。
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