小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第266話 航空戦inコードギアス

「(あー、なるほど。)」

 

 現在『ピースマークのドロシー』として活躍しているオルドリンはいつものランスロット・グレイルではなく、顔部分を覆う仮面や外付けのパーツによって偽装したヴィンセント・グラムの中からヴァルキリエ隊の量産型ヴィンセントたちと相対しつつ、頭の隅で先ほどの謎通信にスッと合点がいく。

 

「(あのスヴェン────って、今はスバルだっけ? 今なら“対峙したら知人が分かるか”って言葉の意味が分かるかな。 あのヴィンセントの動き、見覚えが……ううん、()()()()()わ。)」

 

 オルドリンが思い浮かべるのはもうすぐ一年前となる、今作でのタレイランの翼がセントラルハレースタジアムで起こしたテロ行動……の前に行われていた、ジョスト&フォーメーションで使われた1機のプライウェンの動きがモニターに映るヴィンセントと重なる。

 

「あのKMFに乗っている子、たぶんマリーカね。」

 

 そう口に出しながらもオルドリンはほかの攻撃を躱したり、弾丸を両手に装備したシュロッター鋼ブレードを払い落としながら敵を誘うかのように背中を見せずに後退していた。

 

 ……

 …

 

『攻撃が当たらない!』

『黒の騎士団の新型?』

『早い!』

『怯まず包囲して一斉射撃!』

『弾を斬った?!』

『化け物か?!』

 

「ッ。」

 

 ヴィンセントの中にいたマリーカは目の前で繰り広げられる、とても同じKMFとは思えない動きをする敵機(オルドリン)に『懐かしさ』という違和感を覚えて戦闘から距離を置きながらも遠距離攻撃を時々しながら思考を走らせた。

 

「(この動き……まさかオルドリンさん? でもなんでここに? もしかしてマリーベル皇女殿下の命令? 黒の騎士団への潜入?)」

 

 あらゆる可能性をそれなりに自分で考えた結果、マリーカはとある結論へと至った。

 

「(どれが正解だとしても、オルドリンさんはこちら側のパイロットを狙うような攻撃は避けている。 ということは非殺傷で私たちの戦力を削りつつ、人命が減らないことを狙っている? ……レオンハルトなら、どうするのだろう?)」

 

 マリーカは脳内にレオンハルト(マリーカ想像による美化100%マシマシ)にそのような問いを投げる。

 

『オズが相手なら、たとえ僕やマリーカ(呼び捨て)が全力で対峙してもその程度で死ぬような相手ではありませんよ。 何せあの皇女殿下が認めている筆頭騎士なのですから、どちらかというと模擬戦に近くなるのではないかな?』

 

 これにてマリーカの自己問答の結果が出て、彼女は操縦桿を握る拳に力を入れながら戦へと身を投じた。

 

 「ちょっと待って?! なんでマリーカの機体が余計にガンガン来るようになったのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」

 

 余談だが同時にヴィンセント・グラムの中でオルドリンが上記を焦り困りながら叫びを上げながらも、仮想訓練で得た『対アヴァロン&ラウンズ』の経験で無意識に三次元的な機動で相手の攻撃を躱しつつ敵が同士討ちしやすい距離へと常にヴィンセント・グラムを維持した。

 

「“これで相手も殺さず自身も死なずなんて守れるか!”、って叫びたいところだけれど────」

 

 ────ビィィィ────!

 

「────何?! 後ろから攻撃?!」

 

 同士討ちの位置をグラムでキープしながらボヤくオルドリンの言葉を背後から飛来してきた砲弾による衝撃波で揺れる機体に舌を噛むことを防ぐため口を噤む。

 

 ゴォォォォガタガタガタガタガタガタガタ

 

「グ、うううぅぅぅぅぅぅ?!」

 

 轟音のすぐ後にやってきた衝撃波に耐えていると、モニターにアラーム表示が次々と浮き出てきてダメージ個所をオルドリンに訴えてくる。

 どれも致命的な損傷ではないものの通常機より強化されたグラムでも機体の中心に位置し、ヒッグスコントロールシステム(慣性制御装置)が一番強いコックピットがかなり揺れて中にいるオルドリンが眩暈を感じるほど強いモノである。

 

 つまり量産機のヴィンセントだと本体である機体にはかなりのダメージが出るだけに留まらず、特に後付けされたフロートユニットなどはすぐに不具合が出るほどのモノであった。

 

 

 ……

 …

 

 

「ドロシー機を襲っていたヴィンセント、5機の内2機が高度を墜としながら後退していきます!」

 

「ドロシー機の状態は?」

 

「ドロシー機への損傷は軽微!」

 

「では次弾を装填、方位234、0.5度に砲身を展開。」

 

「方位234、0.5度に砲身展開!」

 

 オルドリンやスバルたちがいる戦域から少し離れた場所で浮遊していたリア・ファル内に報告と復唱をするサラとオリビア、そして指示を出すレイラの声が響く。

 

 そんな彼女たちを、ユーフェミアのすぐ傍らで腕を組みながら真剣な顔をしたコーネリアが見ていた。

 

 戦場にリア・ファルが通常速度で着くなりユーフェミアがどこに行くのか聞いたコーネリアは“艦のオペレーターをしに行きに”と言って聞かないユーフェミアの近くに居たいと申し出て、それが通るとCICの見学をしていた。

 

『見学』と言っても『ブリタニアの魔女』としてリア・ファルの性能、乗組員の練度、今までのやり取りなどでレイラがユーロ・ブリタニアで噂されている『魔女』と行き着いて興味が出たなどを込めた様々な思惑を込めた下見調査に似たようなものだった。

 

「各部隊の状況報告と位置をマップに表示。」

 

「各部隊の状況報告と位置をマップに表示します!」

 

「……17秒後に援護射撃、後に長距離砲門二つの次弾を高速徹甲弾に変えて方位237へと展開。」

 

「カウントダウン始めます!」

 

「長距離砲門二つの次弾を高速徹甲弾に装填後、方位237へと展開!」

 

 しかしいざ戦火が開かれると、どうだろうか?

 

 見た目の歳にそぐわぬ、てきぱきとしたリア・ファルの指揮系統に乗組員の熟練度、リア・ファル自体の性能に砲撃の正確さ、そしてゼロ(ルルーシュ)や自分と変わらない戦術家としてのレイラの活躍ぶりにコーネリアは口をつぐみながら逆に今見ているワークフローをどうやって彼女自身が取り込めばいいのか考え込んでいた。

 

 それもCICに着いた瞬間ブリッジクルーの全員が軍服の下に強化スーツのインナーを着用していたことに少々クラっと足がふらつきそうになったり、ユーフェミアも同じような姿をしていることを忘れるほどに立派な『指揮所』に見入るほど。

 

「(お姉さまのキリッとした顔、ナナリーの事で考えるルルーシュにそっくりでかわいい♪)」

 

 ピリピリする約一名、ニコニコしつつ内心で和んでいたユーフェミア(変装中)は器用にオペレーターとして整理したデータを各端末に転送しながら静かになっていた姉のコーネリアを横目で見ていた。

 

()()()()、敵部隊の位置を表示した全体構図もお願いします。」

 

「あ、はい! 敵部隊を表示した全体構図、表示します────!」

 「──── “ユーさん”……だと?」

 

「「「「え?」」」」

 

 CICに居た全員がドスの利いた羨ましがる声に思わず振り向くとまるでギリシャ神話に登場してくるようなメデューサのように髪の毛がざわざわとうごめかせながら嫉妬100%全開の表情をしたコーネリアがワナワナと震えていた。

 

「ユフィを……新たな愛称で……呼ぶ、だと?

 

「あ、あの~……『ユーちゃん』は外部────」

「────く、悔しい! このコー────」

「────わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛────!!!」

「────アの思考をもってしても考えが至らなかった!」

 

 危うく『コーネリア』と言いそうだった(というか言った)コーネリアの言葉を近くのユーフェミアは大声を出してはかき消し、当の本人である『ブリタニアの魔女』は項垂れながら悔しがっていた。

 

 そもそもコーネリアが『ユフィ』と口にした時点で手遅れな気がするのだが、これ以上の追記は藪蛇を突きかねないのでここまでにしようと思う。

 

「(カレン機にナイトオブテン、シュバール機にナイトオブワン、そして広範囲に展開されたヴァルキリエ隊……シュバールさんの『敵を殺すな』ということを考えれば────)」

 

 

 ……

 …

 

『まだ戦う気のある生存者は我々に続け!』

『こいつら、本当に傭兵か?!』

『傭兵なんて、危なくなったら尻尾を巻いて逃げるような奴らばっかりなのに!』

『今までノーマークだったなんて、ちょっと信じられない!』

『さっき、上空の敵影と遭遇した奴が言うにはピースマークのウィザードらしき機体が居たとさ!』

『ピースマーク……道理で……』

『一本角は居ないよな?!』

『紅蓮と紅蓮タイプしか目撃されていない!』

『ヴァルキリエ隊と合流して、ようやくいい勝負になるだなんて……』

『敵のワイドレンジ攻撃、来る!』

『回避!』

『だめだ! フロートがやられた!』

『操縦系統がイカれた! 後退します!』

『黒の騎士団の艦隊が来る前に、こいつら落とせ!』

『紅蓮はともかく、何故ナイトオブラウンズが傭兵を集中的に攻撃しているんだ?』

『東シナ海の司令部によると、フクエジマエリアで義勇軍の脱出に手を貸した奴ららしい。』

『俺は着任前のナナリー皇女殿下を護衛していた艦隊の半分を墜とした機体と聞いた。』

『敵の航空浮遊艦からの援護射撃に気をつけろ! ユーラシアの“スルト”のような攻撃が飛んでくるぞ!』

『なるほど、そりゃあ危険視されるわけだ。』

 

 ラウンズとヴァルキリエ隊が現れたことでブリタニア軍は盛り返していたが、リア・ファルが攻撃できる範囲に届いたところで今度は戦域外からの攻撃にも警戒をせざるを得ない状態に陥っていた。

 

 無論、それだけではなかったが。

 

『それよりもさっきから()()()、ナイトオブワンから逃げているばかりとは言えどうやってまだ飛んでいるんだ?! ただの戦闘機だろ?!』

『あれ? 見間違いか……今戦闘機がKMFに変形したような……』

『可変型のKMF?! まさか、例のブラッドフォードか?!』

『だがブラッドフォードはエリア24に戻ったはず……傭兵ごときが、帝国のKMF技術を凌駕したというのか?』

『あり得ない! それよりも、時々ヴァルトシュタイン卿の攻撃を弾いているように見えるが……俺の見間違いか?』

『それよりも巻き込まれないように距離を取れ!』

『気が付いたら二機ともすぐそこにまで近づいている上に外部からの攻撃で狭い! “距離を取れ”だなんて、どうやってだ?!』

『下の海上の奴らは撤退した! 要するに生き残るんだよ!』

『ここで先に撤退すれば、東シナ海を黒の騎士団に使われてエリア11に攻め込まれるぞ!』

 

 上記で察せるとは思うが合衆国中華と脱出した義勇軍の艦隊が合流し、駆け付けたブリタニア海軍と一戦交え上空からの攻撃などでお互いが消耗した末に後退した今ではこの一帯の主な戦場は空中戦へと移った。

 その空中もミサイルのエンジンから排出された水蒸気が冷えては凝結し、空中に残る線状の雲が重なり視界が悪くなる一方でリア・ファルの攻撃によって移動範囲がより狭くなった上に以前以上よりインストールされたOSに頼らない、マニュアル(手作動)操作を使う操作をより要求される機動戦によって戦況は均衡した。

 

『おい、今近距離でナイトオブワンの攻撃を()()避けやがったぞ?!』

『接近戦が得意なヴァルトシュタイン卿の攻撃を避けるだなんて……』

『もしや、空中戦だからか?』

 

 

 ……

 …

 

 

 そんな中で、ビスマルク本人は困惑していた。

 

「(なぜだ。)」

 

 彼の疑惑は特にビルキースが現存のKMFでも珍しいブラッドフォードやトリスタンと同じ可変型であることでも、思っていた以上に手こずっていることでもなかった。

 

『可変型KMF』は確かに珍しいがサマセットも過去に何度か技術の差を見せつつ他国への牽制で行った軍事パレードや曲技飛行などで披露しているのでサマセットをベースにした機体が出ていても何らおかしくはない。

 

 まぁ、技術的に他国が()()()開発していればそれはそれで問題なのだがブリタニア帝国のような大国の規模となると一枚岩でなくなるので技術者の買収や物欲しさによるリークはある程度覚悟しなければいけなくなる。 人間が『欲』を持つ限り、避けられない結果である。

 

 次にビスマルクが手こずる理由だが、実は彼のギャラハッドは現存で可能かつ最先端な技術を詰め込んだ『コンセプトカー』ならぬ『コンセプトKMF』である為に、現状で彼のKMFは未完成である上に専用武器もまだキャメロットが生産中なので代わりに大型ランスを装備している。

 ちなみに武装は両指に10基もあるスラッシュハーケン(拳?)、ランスロットと同じブレイズルミナス、そしてギャラハッドと同じ全長7.20メートルをも超える大剣エクスカリバー。

 

 尚このエクスカリバーはビーム砲ではないが、原作ではシンクーが乗る神虎の天愕覇王荷電粒子重砲を真正面から斬り伏せている。

 

 更に余談で言うとギャラハッドの完成度は現段階で『ようやく7割に達してビスマルクの無茶ぶりに付いてこられる&最終調整のブラッシュアップはエリア11のアヴァロンで終わらせる』と言ったところである。

 

 これらをビスマルクは大局的に物を見て考慮すれば理解ができる……できるのだが、彼が解せないのは────

 

「(────私はこの戦い方を()()()()()。)」

 

 ビスマルクの疑問は、スバルのスピードを重視したヒット&アウェイの戦い方……に見える、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が彼の元同僚を連想させていたことから由来していた。

 

「(これは────)」

 

 ビスマルクが思い浮かべた景色は21年前の皇暦1997年、まだナイトオブファイブだった自分が経験したブリタニア帝国史上最大規模の内紛。

 

 当時シャルルがほぼ無理やりに皇帝として即位した直後、そんな彼に対してシャルルの叔父は多くの皇族と名門貴族たちの私兵、果ては9人のラウンズまでもを味方につけて新皇帝シャルルに反旗を翻した。

 

 シャルルの狙い通りに事は運び、彼は大粛清の大義名分と共に確固たる権力と圧倒的発言力を掌握した。

 

 その時ビスマルクが人生で初めて『勝てない』と直感で感じさせた、味方のラウンズの動きと目の前の機体が重なり────

 

「(────()()()()()。 あの方が弟子を取っていた話なぞ聞いたこともない。 真似事ならばまだわかるが、()()()ことは私でも不可能────)」

 

 そこでビスマルクは何かに思い当たったのか、ハッとして戦いの最中だというのに思わず動きを止めてしまう。

 

「(────いや。 一つだけ思い当たりはあるが、10年前に消息を絶ってから活動が掴めていない。 それにもし、アレだとすれば……)」

 

「……………………」

 

 ビスマルクが静かに内心で感じていた違和感に考えを走らせている反面、スバルも静かに機体の出力やその他の方面で劣るビルキースの操縦桿とステップ兼フットペダルをただ操作していた。

 

 急接近しつつランスを投げてきたギャラハッドに対してハイヨーヨーによる回避からのアフターバーナーをかけたスプリットSで方向転換してKMF形態になって反撃し、ギャラハッドがブレイズルミナスを展開して防ぎながらスラッシュハーケンを撃ち出す。

 ギャラハッドのスラッシュハーケンをKMF形態から戦闘機になりつつ推力偏向ブースターで機体をピッチアップさせながら急上昇し、ギャラハッドのスラッシュハーケンは先ほど投擲したランスを回収してビルキースを追う。

 

「……………………」

 

 それでもなおスバルはビルキースの中でただ機体のアラート音に気を付けつつそのまま上昇し、ギャラハッドから距離を置くと向いている方向をまたもや180度急転換しながらKMF形態に戻して出力を上げたアサルトライフルで迎撃する。

 

 余談だが、ここでスバルが黙り込んでいたネタバレをすると────

 

「(────あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃぃぃ! 体の自由は効かないしいつもの“うるさい”とか“黙れ”とかのツッコみも自己問答も初っ端から全ッッッッ然ナッシングで黙り込んだまま淡々と棒アイス並みに冷え切っている体中から汗をダラダラ流しながら瞬きもせずにビスマルクのナイトメア相手に器用にライフルのカートリッジ交換をしながらゲリラ戦法を取りつつこれまた器用に流れ弾がヴァルキリエ隊とかブリタニアの機体に当たるような狙いをををヲヲヲをヲをををををを────?!?!?!?!?!)」

 

 ────彼は単純に、焦り過ぎて盛大に(内心)叫び続けていた。

 

……クソ。 (うん? 何この匂い? 何か焼けている?! え?!)」

 

 ギャラハッドとビルキースが対峙して数分後、スバルが初めて上記の言葉を小さく口にしたのはコックピット内に何かが焦げる匂いが鼻をくすぐり始めて網膜投影システムに、次々とビルキースの不具合が表示された時だった。

 

機体が……勝負に出るか。(これってもしかすると配線が焼き切れているんですかぁぁぁ────って、“勝負”とはなんぞやぁぁぁぁぁぁ?!)」

 

 そうスバルが(内心で)叫んでいた次の瞬間、ビルキースの姿が()()()()()ギャラハッドの前から消えた。

 

「「「「「「「は?」」」」」」」

 

 敵味方に関係なく、この現象を見た周りのKMFの騎乗者たちは思わず唖然とした声を出した。

 

「消えた? (いや、違うな────)」

 

 しかし唖然とするその場の中で約一名だけは即座に反応していた。

 

「(────これは攻撃の為の隙作りか!)」

 

 ビスマルクは躊躇なく閉ざしていた左目の縫い目を手で引っ張り、左目を開けながら機体のカメラで360度全てを見渡せるように起動し、映る画像を見渡した。

 

「ほぉ?!」

 

 すると奇妙な光景が目に入り、ビスマルクは思わず関心と驚愕が混じった声を出しつつもギャラハッドを180度回転させて()()姿()()()()()ビルキースの折り畳み式廻転刃刀をランスで受け流す。

 

 ガリリリリリリリ!

 

「受け止められた?! (アイエエエ?! 光学迷彩の奇襲を防いだ?! これ、ビスマルクちゃん絶対にギアスを使っているよね?! ね?! ね?!)」

 

 ビルキースの廻転刃刀が受け流され始めた直後に狙いを定めていたアサルトライフルの銃口が光り、ギャラハッドもブレイズルミナスで攻撃を防ぐどころか指のスラッシュハーケンでアサルトライフルを損傷させてビルキースの攻撃手段を一つ潰す。

 

「そこだ! (ちょっと待て! ここで()()を使っちゃうの?!)」

 

「何?!」

 

 ビスマルクが見た光景は敵のKMF(ビルキース)はアサルトライフルを持っていた前腕部から出てきた円筒形の柄を手にしてそれでギャラハッドに斬りかかる。

 

 ザァン!

 

 そのままランスごと視界が発光する刃のような物で切断される光景に寒気を感じながらビルマルクは機体を急遽後退させるとランスとランスを持っていた右腕を二の腕から下がビルキースの持つ光の剣によって切り離される。

 

「これは……」

 

 ビスマルクは目を見開きながらすぐに戦場把握をすると紅蓮相手に苦戦している様子のパーシヴァルに通信を繋げる。

 

「ルキアーノ卿、部隊を引くぞ。」

 

『何?!』

 

「もう十分だと言っている、このままでは多大な損害を受けたままエリア11に移動することとなる。 来るべき防衛線が難しくなるだろう。」

 

『何を申すのか、ヴァルトシュタイン卿────?!』

「────東シナ海司令部、こちらビスマルク・ヴァルトシュタインだ。 戦闘区域の全友軍にエリア11への退却を命じる。」

 

『まだですヴァルトシュタイン卿! もっと援軍を要請して、ここで黒の騎士団のエースたちを墜とせば────!』

「────そのあとに合衆国中華の軍も控えている。 敵の艦隊も援軍と合流したことを見て我々の海軍も後退を済ましている、これ以上は無用だ。 万全の状態ならば防衛線で敵を完膚なきまでに叩いて勝ち、その勢いで一気に攻め込むこともできる。 退却は頼みではない、命令である! 大局を見失うな。」

 

 ギャラハッドの通信が一方的に切られ、パーシヴァルの中にいたルキアーノはワナワナと体を震わせながらこめかみに青筋が浮かばせる。

 

「くッ……イレヴンごときのKMFが、ラウンズの私と対等に渡り合うなど在ってたまるか!」

 

 その時、ルキアーノの脳内に浮かび上がったのはイレヴンでありながら名誉ブリタニア人からラウンズに昇格したスザク。

 

 そしてそのスザクを全面的にサポートしつつラウンズ機の開発にかかわった特派────今では『キャメロット』と改名した研究開発組織────のロイド達を思い浮かべた。

 

「……グラッサム・ヴァルキリエ隊、友軍を援護しつつ退却せよ。」

『『『『イエス、マイロード。』』』』

 

 バキッ!

 

 ルキアーノはあまりの怒りにか、サイドモニターを力の限りに殴っていた。

 

「(私の……私の戦はまだ始まってもいないというのに! これで終わらせてたまるか!)」

 

 ……

 …

 

 

『お、おい!』

『敵が退却してる?!』

『夢……じゃないよな?』

『頬が痛い……夢じゃねぇ!』

『生きてる……生きてる! 生きてる!』

『やった! やったぞチクショウ! やっちまったぞ俺たち!』

『勝った……勝っちまったよ、オイ?!』

『おいおいおいおいおいおい! これでこのままどんちゃん騒ぎをするなよ! ブリタニアに勝った時のために胸の奥にしまっておけ!』

 

 ギャラハッドとパーシヴァルの後を追うかのようにブリタニア軍が引いていく景色に黒の騎士団側から次から次へと歓声の通信が上がっていく。

 

『ふぅぅ~……ベニオもお疲れ様。』

 

『カレンさん、お見事です!』

 

『そ、そう?』

 

『でもでもこう……ガーっとバビューン(どんどん攻め込んで飛んでい)って“ドォン!”って(輻射波動ぶっ放)していたし!』

 *注*ここでのルビはカレンイヤーを通して自動通訳されたものです

 

『ううん、私のはただ我流とスバルの見様見真似(戦い方の想像)を混ぜて前回の事もあって、パワー(出力)も控えめにした。』

 *注その2*ここでのルビはベニオイヤーを通して自動通訳されたものです

 

『あれ? カレンさん、あの落ちていっているのがスバルさんの機体じゃないの?』

 

『え? ……ぎゃああああああああああああああああああああ?!』

 

 カレンが紅蓮のレーダーでスバル機のIFFがフリーフォール中だったことに叫んだ。

 

 


 

後書きEXTRA:

 

スバル:エ、エナジー残量がダンチ────あ、体が動かせる────じゃない! 重力に魂────じゃなかった────KMFが引かれる────あいだだだだだ!!! かかかか体が痛いぃぃぃぃぃああああ゛あ゛あ゛がガガガがガガが?!

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