小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第267話 移民局と受け入れと悶々な苦悩

「この合集国憲章(けんしょう)批准(ひじゅん)することで神聖ブリタニア帝国に匹敵する、巨大な連合国家が誕生する! その名も、“超合集国”!」

 

「「「「「おおおおおお!」」」」」

 

 蓬莱島の一角では合衆国中華の招待を受けた同盟国の代表者などがゼロの演説に感動する声が響く。

 

「すでに我々はブリタニアの植民エリアとなり、ここにいない亡命政権からも参加表明が届いています。」

 

 「なんと、そこまで……」

 「噂ではエリアも入っているそうだ。」

 「必ず静観している国や勢力もこの機に動くだろうな。」

 「既に先の東シナ海の事が広がっている。」

 「だが内容があまりにも……なぁ?」

 「嘘でも、少なくとも“ブリタニア相手に引けを取らなかった”という事実は動かない。」

 「これも各々の国に伝えなければ……」

 「時間が重要だな。」

 

「(よし、このままの勢いで彼らの注目を『時間』に向けれる。)」

 

 シンクーの言葉に代表者たちがヒソヒソと話す内容を聞いたルルーシュはゼロの仮面の下でほくそ笑み、タイミングを見計らって言葉を続ける。

 

「各国を代表する諸君らにも言い分はあるだろうが、ここは大局的見地(けんち)に立った協力をお願いしたい。 全ては、世界の趨勢(すうせい)に決着を付けるために! 詳しいことは後日、ほかの代表者たちが集まり次第まとめて話したい。」

 

 パチパチパチパチパチパチパチパチ!

 

 代表者たちが拍手をする中で、ルルーシュはワザと慌ただしく取り組んでいた仕事の一部が終わったことを感じ、これからすべきことを思い浮かべた。

 

「(さて、本番の式典に藤堂たちは間に合うだろう。 皇帝が不在なこの時期にブリタニアがこれ以上戦力を悪戯に割いてまで隙を狙うことはシュナイゼルもしないだろう。 義勇軍と、彼らと一緒に避難してきた者たちの受け入れと選別もディートハルトとマオたちのチェックよってクリアしたも同然。 ラウンズもアマルガムとシンクーがいれば抑えることも可能だろう。 あとはナナリー……そして……)」

 

 ルルーシュは少しだけ視線を目の前から逸らして、鼓動が早くなる心臓によって震えることを我慢するために握っていた拳に力を入れる。

 

「(これであとは彼との対話次第……か。)」

 

 

 ……

 …

 

 

 ゼロたちがいる場所とは少し離れたところで『100万の奇跡』の要だった海水船が停泊し、『合衆国日本移民局(仮)』として機能していた。

 

 海水船の周りには合衆国中華の護衛艦がエリア11から避難していた艦隊の監視をする中で海水船の甲板は蓬莱島への入国の検査と面接を受けるために列をいくつか作って順番を待っていた。

 

「────では次の方、どうぞ────」

「────入国したい理由は────?」

「────貴方の特技は────?」

「────入国する際、何か前もって言いたいことはございますか────?」

「────趣味は何かありますか────?」

「────入国後、何をするか決まっていますか────?」

 

 面接官の質問はかなりありきたりなモノで、殆どの入国希望者たちはホッとしながら答え終えると立ち上がった面接官に案内されて入国直後にニコニコとする蓬莱島の住人たちに渡される蓬莱島産の飲み物や軽食、食材等を受け取りながら住人たちとの雑談や案内を頼んでいった。

 

()()』、だが。

 

「では、()()()()にご案内しますね?」

 

「は、はぁ……」

 

 面接が終わったと思い、面接官の後を歩いていると時折に一人か二人が海水船内にある個室へと案内される。

 

 個室の中には白髪を垂らしてゴーグル付きのヘッドフォンをした男が既に居た。

 

「いらっしゃ~い♪ 二次面接によ・う・こ・そ♡」

 

「?????」

 

「さぁどうぞどうぞ、座ってよ~♪」

 

「は、はぁ……(なんだこのガキ? とてもじゃないが、面接官に見えねぇ……)」

 

 案内された男は頬を僅かに歪ませながらニタニタとした笑みを向ける面接官の言葉にとトーンに戸惑いながらも表情を変えず、テーブルをはさんで向かい側にある椅子に座った。

 

「アッハハハ! ボクが面接官に見えない、変わり者だということは嫌でも分かったよ!」

 

「い、いえ。 そのようなことは────」

「────ふ~ん? そうなんだ────ああ! そうだ! まずは自己紹介だったね! ボクの名はマオだ! 覚えなくていいよ、え~っと……ジョン・ケーニッヒさん! それとも先週の金曜日23時の53分の時点でまだ『デヴィッド・ウッド』だった時からデヴィッドと呼んだ方がいいかな?」

 

 面接官────『マオ』と自己紹介した者は考えるそぶりをしてから、目の前の男が申請した書類上の名前と()()を口にすると男────デヴィッドが身構える。

 

「(なんだこいつは? どこから情報が────それよりもどうやって────いや内通者か、あるいはマーク────?!)」

「────う~ん、どうしてでしょうねぇ~? ほらほらほら、早く考えなよ~? 状況打破は潜入部隊には必然的な特技だろ? ああ、前もって言っておくけれど弁解とか嘘は無意味だから。」

 

「な、なにを────?」

「────ボクの仲間たちの中にはね、『憎しみ』や『悪意』……まぁぶっちゃけると『人の動向』が分かっちゃう子が居るんだよね。」

 

「??? (こいつは何を言っているのだ?)」

 

「だーかーらー、言ったことそのままだよ!」

 

「(まさかこいつ、考えを────?!)────ち、違う! 私は協力を強要されているんだ! 家族が人質に、されて────!」

「────なるほどなるほど。 その家族が人質にされたんだね、新大陸のハワイ地区の屋敷に。」

 

「ッ。」

 

「いいねぇ~、ハワイ。 年がら年中暖かいし、海はすぐそこにあるし、金さえあればとても住みやすい場所だよ……へぇ~、使用人付きなんだ。 スゴイ人質待遇だねぇ────」

「────使用人は監視だ! それを、引退した私を現役復帰させるために────!」

「────必死だねぇデヴィッドさん! 確かに家族の高待遇は監視のためだよ! アンタのね。」

 

 マ()の言葉にデヴィッドの体中と額から汗がブワリと噴き出す。

 

「なんてことはないよ! “強要”? ボクは騙せないよ! 個人的なコネとかを使って勝ち馬に乗りたかっただけだ! 誰でもするよねぇ?! アンタは蓬莱島の潜入の建前とは別に、自分可愛さに不倫をするような妻やのほほんと自堕落な生活を送る娘から逃げたかったんだよね~?! “新しい人生”を得るために、情報を流す────!」

「────私だけじゃない!」

 

 ガラン!

 

 次々と胸の奥に仕舞い込んでいた本心が暴露され、ひどく動揺したデヴィッドが立ち上がると彼の座っていた椅子が倒れる。

 

「今の帝国は変わった! 私だけじゃない! 他の者たちの事も────!」

「────うんうん。 でも、残念だったね。」

 

「え?」

 

 デヴィッドが固まり、マオはニタニタとした笑みのまま彼の横にあったバッグから少々ごつめの拳銃を取り出す。

 

「な、なんだそれは────」

「────もう一人のマオだったらよかったのにね♪ 彼女なら、良い夢を見せてから処理出来たけれど……生憎とボクはそこまで器用じゃないし、ちゃっちゃと済ませるよ────!」

「────待っ────!」

 

 ────ドゥ

 

 マオの持っていた拳銃から大気を震わせるほどの音が発されると共にデヴィッドの頭部が顎から上が爆散し、デヴィッドの頭()()()頭蓋骨や血肉が飛び散る。

 

「うぁ?! ……どうしてあっちのマオはこれ(拳銃)が好きなんだろう……兄さん関連だろうけれどもさ。 汚い花火だなぁ、もう~……んじゃ、次の部屋に行くか!」

 

 ……

 …

 

「……慣れないな、この感覚は。」

 

「お疲れ様です、サンチア。 はい、ストローベリーチョコシェークです。」

 

「ッ────コホン、すまない。」

 

 マ()が個室で()()をしている間、移民局の受け入れ場所を見渡せる階にいたサンチアはため息交じりに息を吐きだしながら空を見上げていると、横からルクレティアが差し出したピンク色でホイップクリームマシマシの飲み物に一瞬だけ緩む顔を力ませながら受け取る。

 

「……そういえば、今日は男のマオさんが来ているのでしたね。」

 

「ああ。」

 

「あの方、過激ですから……」

 

「はぁ……ズビビビビビ。」

 

「気にかかりますか?」

 

「何がだ。」

 

「マオの事ですよ。」

 

「…別に。」

 

「いま間がありませんでした?」

 

「気のせいだ……ズビビビ。」

 

「気になりませんの? お二人が()()()しているのか────?」

「────ぶふ?! ゲホゲホ、ゲホ! ななな()()()だと────?!」

「────あらやだサンチア、クリームが付いていますわよ?」

 

「なんだか生き生きとしていないか?」

 

「だってここ(蓬莱島)での化粧品が充実していますから♪」

 

「そういう意味ではないのだがな。」

 

「あとは食事もですわ。」

 

「同感だな……む。」

 

 サンチアは何か気付いたかのようにハッとする表情を上げると近くの端末に入力する。

 

「今度もブリタニアの間者ですか?」

 

「ああ。 やはり何人か仕込んできたな。 そういえば『ザ・ランド』での開拓土地の調査はどうだ?」

 

「地下水脈や鉄脈を探すのは楽しいですわ。 サンチアこそ、移民局も……って、見ればわかりますわ。」

 

「まぁ……大変だが、ここの治安と生活の向上につながるからな。 やりがいはある。 最初は『戦闘』ではなく、平時でも使える役割に適用させるのは初めてだが。」

 

「……あの人はこれも見越していたと思う?」

 

「スヴェンが? ……あり得るな、技術部もいつも彼の斬新な発想力で盛り上がっている。」

 

「サンチアは、ブリタニアとのことが終わった後はどうしますの?」

 

「“ブリタニアとのことが終わったら”、か……まさかそれを聞ける日が実際に来るとは思わなかったからな……どうだろう。」

 

「ではとりあえず、かつての話を方針にしませんか?」

 

「ルクレティアはそれで良いのか? 私は元々ブリタニアの正規軍だから隠居は別に構わんが────」

「────あら、長女なのに妹の願いを無下にする気?」

 

「……そうか。 ダルクは?」

 

「ダルクちゃんは……」

 

「「…………………………」」

 

 サンチアとルクレティアの頭上にホワホワとした少女漫画風に描かれたダルクが駄々っ子のように『私も一緒にいる~! 。°(°`ω´ °)°。』という想像を思い浮かべると二人は同時に苦笑いをする。

 

「「ダルクだからな/ダルクちゃんですから。」」

 

 その時別の場所で積荷を動かす手伝いをしていたダルクが大きなクシャミを出し、近くにいた南が自身の上着を貸したそうな。

 

「これでアリスちゃんも素直になれば良いのに……」

 

「ん? アリスがどうかしたのか?」

 

「だってアリスちゃん、スヴェンさんの事が好きですし────」

────なん、だと?

 

「(あら?)」

 

 「あ……そ、そうか。 うん。」

 

「(あらあらあら?)」

 

 「てっきりそう言った類のものに興味がないと思ったが……考えてみれば、何も不思議ではないな。 うん。」

 

「(あらあらあらあらあら♡)」

 

 ルクレティアはどこかドギマギしながら独り言をぼそぼそと口にするサンチアを見てホッコリした。

 

 

 ……

 …

 

 

「(このままだと、全面衝突になってしまう。)」

 

 スザクは政庁の屋上にある庭園からトウキョウ租界に次々と招集に応じたブリタニア軍の様子を見下ろしていた。

 

『ナナリーを守る。』

 

 その誓いに嘘はなく、ユーフェミアが生きていることでより一層スザクは自分で考えられる手で彼女の政策とエリア11の平定に力を入れて協力してきた。

 

 結果、ゼロと黒の騎士団にEUとの戦争、中華連邦の花嫁強奪事件に東ユーラシア共和国などが波として世界に影響を与え、勢力図が変わる中でもエリア11はエリア24と同様に比較的な安定を保っていた。

 

 これは黒の騎士団側との衝突によって武力的対峙を避けるためだったがゴトウ租界の騒動が勃発した結果、ゼロの率いる黒の騎士団とブリタニア帝国の間に起きるであろう戦争の準備は着々と進んでしまい、ナイトオブワンを含めたラウンズも招集された。

 

「ニャー♪」

 

「(これでルルーシュがゼロとしての記憶が戻ったと判明してしまえば……“最悪ジノを戸惑わせてアーニャが反応する前に”と思っていたけれど……ヴァルトシュタイン卿も来てしまった────ん?)」

 

 足元によって来てごろごろと喉を鳴らすアーサーを抱きかかえてあやしているとトウキョウ租界の上空に他とは違う形と色をした、見慣れないカールレオン級の航空浮遊艦に彼の目が留まる。

 

「あの艦……確かグリンダ騎士団の? (そういえば……先日、エニアグラム卿が指揮下に置いたと聞いた。 彼女たちもエリア11に呼ばれた────?)」

「────悩み事?」

 

「ニャ!」

 

「あ。」

 

 横からアーニャの声がするとアーサーはすぐにスザクの腕から飛び降り、今度は彼女の周りをクルクルと歩きだす。

 

「ニャ?」

 

 するとアーニャは手の携帯でアーサーの動画を撮り始めると、アーサーは首を傾げる。

 

「何を考えているの?」

 

「“これからの事”、かな?」

 

「未来のこと?」

 

「うん。」

 

「そう……良いわね。」

 

「そういうアーニャは考えないのかい?」

 

「考えても、意味はないから。」

 

「そんなことはないよ。 未来を……“明日”の事を考えられるから、“昨日”や“今日”があるんじゃないか。」

 

「じゃあその“昨日”と“今日”が“明日”に変わって覚えていなかったら、“昨日”と“今日”と“明日”の違いは何?」

 

「え?」

 

「私には日記がある。 でも書いてある内容には覚えがない。 気が付いたら一日丸ごと覚えていない時期もある。」

 

「それは…… (皇帝陛下のギアス? でもなんでアーニャに? それとも別の何か……もしや、僕のことでか? まさか、ユフィの事が────?!)」

「────フシャアァァァァ────!」

「────呑気な日々を過ごして腑抜けましたかな、裏切りのクルルギ卿!」

 

 突然アーサーが毛を逆立てながら威嚇すると、庭園へと続く出入り口から青年の声がする。

 

「ナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー……」

 

ベラルーシ(白ロシア)戦線以来ですね、ブラッドリー卿。」

 

 青年────ルキアーノの方をげんなりするアーニャと驚いたスザクが見るとルキアーノは歩き出す。

 

「フシャアァァァァ────!」

 

 ────ヒュン────!

 

「────ッ!」

 

 威嚇し続けるアーサーに、ルキアーノが顔色を変えず目にも止まらない速度で投げナイフを投擲するとスザクは素早く駆け出して飛来していたナイフを手で掴んで止める。

 

「何だ、その雑種はクルルギ卿のだったのか────?」

「────そうですが、何か?」

 

「ちゃんと躾けておけ……と言いたいところだが、ナンバーズ上がりでは無理な相談か。」

 

「何が言いたいのです、ブラッドリー卿?」

 

「クルルギ卿……先ほど貴方が悩んでいたのは虐殺皇女の事だろう?」

 

「ブラッドリー卿────」

 

 ルキアーノの言葉にさっきまで穏やかだったスザクの周りの空気は一気にピリピリとしだし、彼は自分の手袋を外す準備に入る。

 

「────それ以上は、慎重に言葉を選んでいただきたい。」

 

「ハハハハハッ! そうでなくてはな────!」

「────あ、アールストレイム卿だ────!」

 「────ゲッ。

 

 ルキアーノの声を、ド派手なパイロットスーツとは真逆のちゃんとした軍服を身に着けていたヴァルキリエ隊の一人が遮るとアーニャは明らかにいやそうな顔と声を出す。

 

「アールストレイム卿、いつ見ても可愛い!」

「お菓子持って来ましたよー!」

「私は甘~い飲み物を持ってきました! だから一緒に飲みましょうよ! 私の膝の上で……ハァ、ハァ、ハァ。

 

「スザク────」

「────な、何だいアーニャ────?」

「────アーサー借りる。」

 

 アーニャはアーサーを抱きかかえるとヴァルキリエ隊へと駆け出す。

 

「アールストレイム卿が! 私の方に!」

「いいえ、私よ!」

「あ。 猫ちゃん可愛い────」

「────ニャ────?!」

「────きゃあああああああ────?!」

「────私たちを踏み台に?!」

 

 アーサーはアーニャに投げられるとヴァルキリエ隊と同様にびっくりするが、器用にアーサーはヴァルキリエ隊の女性たちを足場にしたことで彼女たちの列が乱され、アーニャはその隙間をかいくぐってその場から消える。

 

「逃げた!」

「他の皆に気付かれたらアウトよ!」

「追えー!」

 

 バタバタバタバタバタバタ!

 

「「………………………………」」

 

 バタバタとしつつもアーニャの後をヴァルキリエ隊が追うと庭園に残されたスザクとルキアーノの間に気まずい沈黙が流れる。

 

 が、意外にもルキアーノが口を開けてこれを先に壊す。

 

「……クルルギ卿、一つ訪ねたいことがある。 卿は紅蓮のパイロットが女だと知っていたか? 確か中華連邦で引き渡しの任に就いていたのは卿だった筈だが?」

 

「(もしやこの間の東シナ海でカレンの声を聴いたのか? だとしても、アヴァロンの事*1は話せない。) ブラッドリー卿、あの時に関してはお答え出来ません。」

 

「“宰相閣下の命によって”、かな?」

 

「……」

 

「なるほど。 ではな、裏切りのクルルギ卿……ああ、それと────」

 

 ルキアーノは踵を返し、その場を後にしようとしたところで止まる。

 

「────例の幽鬼とやらの噂を卿は知っているかな?」

 

「……」

 

「先の東シナ海戦で、黒の騎士団が雇った傭兵がギャラハッドの右腕を“光の剣”で斬り落としたそうだ────」

「────ヴァルトシュタイン卿の?! それに、“光の剣”とは一体────?」

「────そのままの言葉だ。 “刀身がまるで輝いているかのような剣”、と呼ぶほかになかった光景だった。」

 

「……なぜ、それを僕に?」

 

()()()()()()()だ。」

 

 ルキアーノは振り返ることなくその場を後にして数分後、スザクは再び空へと視線を戻す。

 

「(スヴェン……君は一体何を……)」

 

 

 ……

 …

 

 

「ブリタニア帝国領エリア11、元日本か。」

 

 グランベリーのブリッジ内からノネットは基地の滑走路の景色に独り言を零した。

 

「つくづく因果が続く土地だねぇ……それにこれだけいれば防衛にしろ攻勢にしろ、大きな対戦になる……オズは?」

 

「オズならば、()()()()()()()()。」

 

「ご苦労だったね、ソキア────」

「────エニアグラム卿、通信が入っています。」

 

「よっしゃ! エリス、メインスクリーンに繋げな!」

 

「……ちなみに相手は────」

「────宰相閣下なんだろう?」

 

「……はい。」

 

 「まぁまぁ、エリス。 ドンマイなの。 エニアグラム卿ですから。」

 

 「……確かに。」

 

「二人とも何か私に言いたいことがあるのかい?」

 

「「いいえ! 何もございません!」」 

 

 オペレーターのエリスは少々不服そうに通信を繋げていき、隣のエリシアが慰めてともに愚痴っていると地獄耳なノネットに注意される。

 

『やぁノネット、随分と到着が早かったね?』

 

「まぁね。 帝国でも一、二を争う足の速いグランベリーで向かったからね。 皇子のお気に入りたちも一緒さ。」

 

『グリンダ騎士団の主要騎士たち……君たちにはナナリーの護衛を任せたい、引き受けられるかね?』

 

「(こりゃあ、何かあるね。) ナナリー皇女殿下の護衛? 皇女殿下にはクルルギが付いていると聞いたが?」

 

『どんな局面でも幾つか先を読んで、最良の手を用意しているだけだよ。』

 

「(うん、絶ッッッッッッッッッ対にロクなことがないね。) 分かったよ。 それを引き受ける前にキャメロットに寄ってもいいかい?」

 

『勿論。 それと君の専用機の仕上がりが終わっていると聞いている。』

 

「専用機……ああ、シェフィールドの事だね。」

 

『そろそろクラブのような試作機から乗り換えてみたらどうだい?』

 

「シェフィールドを見てから考えるよ。 いくらロイ坊が開発したとしても、私は愛馬を慎重に選ぶタイプなんでね。」

 

『そうかい、それ()楽しみだね。 では、後程。 ♪~』

 

 プツン。

 

「(あの坊やが鼻歌をした……だと? 初めて聞いたぞ。 いや、それは後だ。 今はこの子たちの機体のオーバーホールと、クラブの改良だ。 ああ忙しい、忙しい、忙しい~!) ♪~」

 

「ねぇティンク隊員?」

「なんだねソキア隊員?」

「エニアグラム卿、滅茶苦茶ウキウキしていませんでしょうか~?」

「浮足立っているね~……レオンもだけれど。」

「愛しのマリーカたんが近くにいるからねぇ。」

「同じ戦場に配置されるかどうかはわからないけれどね。」

 

 ノネット並みにウキウキしていたレオンハルトは正論を耳にして静かに項垂れた。

 

「(さ・て・と♪ 東シナ海で少年らしいKMFの目撃もあったことだし、対決はいつになるのかなぁ~♪)」

 

 

 

 そして少年(スヴェン)は────

*1
219話より

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