小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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DDOSアタックの所為で生きた心地が割とマジでしなかったのでただいまモバイルバックアップ中。

PIXIVでも投稿する予定ですが、PIXIVは初めての投稿先&バックアップ取りながらなので細々&ゆっくりなアップ速度になると思います。

どちらのサイトでも感想を受け付ける予定です。


第272話 言い方と嫉妬とヤキモチ(?)の裏で

「「「ム/む/あ。」」」

 

 同時刻、ラクシャータのいる場所の近くでゼロ、毒島、そしてレイラの三人がばったりと出会い、それぞれが変な声を出す。

 

「(毒島とレイラの二人がここに来るという事は────)」

「(────おそらく私とレイラの読み通りに────)」

「(────彼に関しての確認に来た様子ね。)」

 

「……ここで君たちと会うとは奇遇だな。」

「ああ、そうだな。」

 

 しばしの間沈黙は続いたがゼロは『偶然』を装い、毒島はそれに乗った。

 

「ええ、まさかのタイミングですね。」

 

「「……」」

 

「え? ……ぁ。」

 

 少々真面目なレイラの微妙な言葉に、ゼロと毒島から気まずい空気が発されたことに彼女はぱちくりと瞬きをしてから気が付き、同じく黙り込んでしまう。

 

 ガチャ。

 

「あら、やっぱアンタたちだったのね。 突っ立っていないで入りな。」

 

「邪魔するぞラクシャータ。」

「では……」

「お邪魔します。」

 

 室内から話声を聞いた様子のラクシャータにそう言われ、三人は中に入っていくとエデンバイタルの孤児たちがせっせとおぼつかない仕草でテーブル周りの椅子を用意する。

 

「珍しい組み合わせね……で、なんの用かしら? もしKMFのことなら、こっちは頼まれてアマルガムと紅蓮の技術を直参仕様の暁に急遽応用中なのだけれど?」

 

「う、うむ。 実は先日の彼と、イカルガに収容されている捕虜に関する話なのだ。」

 

 ラクシャータのジロリとした視線に乗せられた威圧にゼロは少し言い惑うが、彼はそのまま話しを続けた。

 

「……いいの?」

 

「もともと彼女たちの働きがなければここまでスムーズに事が運んでいなかったのは事実だからな。」

 

 するとラクシャータは確認するかのように毒島とレイラを見るが、ゼロが簡単に許可を出したことに彼女はポカンとする。

 

「それに私が聞きに来たのと同じ目的……なんだその顔は。」

 

「いや、一瞬ディートハルトの……何でもないわ。 (“本当にブラックリベリオン前のゼロと同じゼロなの?”ってのは流石にねぇ……こんなことを考えるのは柄じゃないし。)」

 

「それで、血液検査の結果は?」

 

「……結果は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────()()()()()()()()()()()()()()()()()()のハーフね。 つまり()()()()()()()、キョウト六家との繋がりで神楽耶ちゃんや桐原たち側由来の()()()()……と言ったところかしら。」

 

「そうか。」

 

「(つまりは『ほぼ他人』……か。 これでお爺ちゃんの危惧していたことは避けられたが、今度は日本側が少々危ないかもしれんな。)」

 

「(もしシュバールさんの身内であったのならば、どうやって交渉すべきか迷っていましたが……)」

 

 ルルーシュはゼロの仮面の下からラクシャータの言葉を聞いて表情を変えていない毒島と、どこかホッとするレイラを横目で見る。

 

「さて、これで君たちの要件は済んだかね? 私はラクシャータとこれからのことで話したいことがあるのでな。」

 

「そうか────」

「────では行きましょうサエコ────」

「────あ。 でもこれだけ最後に。 捕虜の子、たぶんだけれど体を弄られているわよ。」

 

「なんだと?」

「「え?」」

 

「薬物で身体能力の向上とか手術などで脳を弄られているとか……ま、詳しいことはもっと時間がかかるし、その段階まで進むと『調査』じゃなくて『解剖』になる可能性が出るけれど……本当、あの時を思い出して胸糞悪くなるわぁ~……」

 

 わしゃわしゃわしゃわしゃ。

 

「?」

 

「そう……ですか。 ありがとうございます、ラクシャータさん。」

「追加の情報、感謝する。」

 

「良いってことよ~。 貴方たちもちょっと散歩に出て行ってくれるかしら?」

 

 コクン。

 

 レイラと毒島が礼を言い、ラクシャータは近くの子供にそう声をかけるとゾロゾロとそれぞれが退室していく。

 

「んで、話って何?」

 

「ああ、実はとある人物について君の意見を聞きたい。 『医者』としての意見で────」

 

 ラクシャータはゼロへと開き直ると彼は語りだし、30分後ほどにラクシャータはキセルから口を離して彼の言葉を遮った。

 

「────その話なら、アイツが適任ね。」

 

「は?」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 場所は蓬莱島のアマルガムに宛がわれた地区でも医療関連の機関が集中している場所にある、ソフィ・ランドルの診療所へと変わる。

 

「珍しいわね、あなたが私に相談なんて。」

 

「だって脳科学はあんたとあんたの旦那の専売特許でしょ?」

 

「(なるほど。 スヴェンが生徒会で言っていた、“モチはモチ屋”というやつか。)」

 

 あの後、ゼロの相談を聞いたラクシャータが半ば強引にここに連れてこられた。

『連れてこられた』と言っても、外で待っていたジェレミアをラクシャータが強引にハイヤー代わりにしたのだが些細な事だろう。

 

 多分。

 

「ちなみに彼のリハビリ具合はどうかしら?」

 

「(『彼』……ああ、ドクターランドルの夫である、タケルとやらか。 確かクラウスとやらの話では実験の副作用で長い間、意識がなかったらしいな。 そしてその実験とやらが、ランドル博士の脳科学によるものだとか。)」

 

 ピクッ。

 

「(ん?)」

 

「ネーハちゃんの義肢を作ったの、あなたじゃない? だったら当然脳科学の事も少しは嗜んでいるでしょう?」

 

 ピクピクッ。

 

「(何やら戦場特有の緊張感が広がっていく……何故だ?)」

 

「ああ、ありゃマッドの下────じゃなくて一緒に────」

「────にしては彼女に色々と教え込んだ結果に、あなたを慕っている様子じゃない────?」

「(────そしてなぜかシャーリーとロロの姿が重なるのは幻覚か────?)」

「────『人望』なのよ、どこかの引きこもりと違って────」

「────コホン! すまんが話を進めて良いだろうか?」

 

 ラクシャータの向かい側に座っていたソフィとの皮肉めいた言葉に煽り文句のやり取りでどんどんとヒートアップしていく会話を、さすがの彼も『これ以上はマズい』と思ったゼロが一刀両断する。

 

「ああ、ごめんなさい。 つい。 で、話は何だったかしら?」

 

「(“つい”で脱線されてたまるか! 何故ラクシャータみたいな技術者連中どもはこうもマウントを取りたが────いや落ち着け俺。 呼吸を整えろ。 このあとに式典のブラッシュアップも控えているんだ。) うむ。 実は私の知り合いについて、医者としての意見が聞きたいと説明し始めたらラクシャータが私をここに連れてきてな。」

 

「……ふ~ん?」

 

「実は────」

 

 ゼロに『医者としての意見』と言われソフィは腕を組み、さっきとは打って違う真剣な表情を浮かべると彼の話を静かに聞いていき、時々質問をしてはまた黙り込む。

 

 これが何度か繰り返され、時間にして一時間ほどが過ぎたところで彼女が開口一番に言ったことは────

 

「────物凄く濃い人生を送っているわね、その人。 というか生存しているのが奇跡的ね?」

 

「……ああ、そうだな。 (いつも綱渡りで、確率的に生きているのが本当に不思議なほどに。)」

 

「それでその『知人』が言っていたのは、“当たり障りのない穏やかな人生を送る”ね……」

 

 ソフィは目をつぶってはしばらくの間沈黙し、考え込んでから再び口を開ける。

 

「……精神病として、『解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)』が一番当てはまるわね。」

 

「『解離性同一性障害』? いわゆる、『多重人格者』とやらか?」

 

「……解離性同一性障害は一人の個が複数の異なる人格、アイデンティティを持つことが特徴よ。 そして、その多くのきっかけは幼少期の虐待や想像を絶するトラウマやストレスに直結している場合が多い。」

 

「解離性同一性と、多重人格は違うのか?」

 

「非常に似ているけれど解離性同一性障害の場合、一つ一つの人格が独自の名前、年齢、性別、記憶、振る舞い、そして思考パターンを持つことがある。 けれど……あなたが口にした知人は明確な分裂……というよりは成長し、大人びた自分を想定した意識に価値観を寄せて心と精神を保っている様に聞こえるわ。 全部、あなたから聞いた情報に基づいた憶測だけれどね。」

 

「そう、か……治療方法は、あるのか?」

 

「精神病は全て例外なく非常に複雑で、現時点でも誤診や理解不足なものが多いわ。 大抵の場合、薬物療法で不安やうつ症状を緩和することは可能だけれど、直接的な治療方法ではない。 出来ることと言えば、トラウマやストレスが原因で発症することが多いから常に患者への理解とサポートをすることね。」

 

「……なるほど。 (そうか、だからレイラ・マルカルやサエコ・ブスジマたちは出来るだけ彼の身の回りなどの問題や彼の取りそうな行動を先んじて……)」

 

「でも……聞いた限り、少しやばいかもしれないわね。」

 

「(何?) どういう意味だ、ドクターランドル?」

 

「その人、“穏やかに余生を過ごしたい”と言っているのでしょう? だとしたら、限界が来ているかもしれないわ。」

 

「ッ……そうか。 貴重な情報提供、感謝する。 このことは────」

「────わかっているわ。 これでも医者の端くれですもの。」

 

 ゼロはそう言いながら席を立ち、その場から離れていると隣で歩いていたラクシャータが何か言う前にゼロが口を開いた。

 

「ラクシャータ、このことは他言無用……機密事項扱いとする。 良いな?」

 

「……了解。」

 

「それと私はやることがあるから、ここからは別行動ね。」

 

「そうか。 私は一足先に、会場へと行く。」

 

 ラクシャータは足を止め、どこか微小な重い空気を背負いながらも車で待っているジェレミアのいるところまで歩くその姿を見届けると、口にしていたキセルに電源を入れる。

 

「……はぁ~…… (……こりゃ、相当な何かがあるわね。)」

 

 ラクシャータが思い浮かべたのは先日の会談後のほぼすぐ後、自分を秘密裏に訪ねてきたとある人物が懇願する姿と言葉。

 

 それは『もしスバルと捕虜に繋がりがあったり検査結果が異常であれば全力で誤魔化してくれ』だった。

 

「(初めて日本の『土下座』って見たけれど……それよりも震える声でべそをかきながらでも出せるのねぇ~……初めて知ったわ。) はぁ~……若いからかしら?」

 

 ラクシャータはキセルの煙を口いっぱいに含み、味を味わってから自分自身にとっても意味不明な愚痴と一緒に吐き出し、大気と混じってスゥーっと消えていく煙をアンニュイな気持ちで見送る。

 

「どうするかしらねぇ~。 (でもあの様子だと、あの子って絶対に何かを知っているっぽいのよねぇ~……一体、何を知っているのか探求者としては好奇心がくすぐられるけれど、貴重なパイロットだからねぇ……カレンは。)」

 

 ……

 …

 

「(『解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)』、か。)」

 

「如何なされましたか、ゼロ様?」

 

 ガラスも黒塗りされた黒い車の中でゼロは仮面をずらし、籠っていた仮面内の空気の入れ替えをしているとジェレミアがそう尋ねる。

 

「ジェレミアは、その……マリアンヌ……私の母上の死の真相を追っているのだな?」

 

「ええ、そうですが?」

 

「その為ならば、君は何でもするか?」

 

「無論です。」

 

「ではもしもの話だが……例えばその情報を握っている者が良き友人で、その友人が事件の所為などで精神的病を患っているとしよう。 君はどうする?」

 

「私であれば聞き出しますね。 治療を待っていては、せっかく得た手がかりを逃してしまいかねません。」

 

「その病が、命に関わっているとしてもか?」

 

「ッ……それでも、私ならば聞き出します。 私は半生を、事件の真実……そして忠義の為に費やしてきました。 今更貴重な手がかりを『情』で逃してしまえば、あとに残るのは『後悔』しかございません。」

 

「その結果、友人を失うとしてもか?」

 

「……冷たいようですが────」

「────いや、私が問いかけたのだ。 そして君はその問いに答えただけ。 そのまま運転をしてくれ。」

 

「イエス、ユアマジェスティ。」

 

「(『ゼロ』としてならば、彼を最大限に利用すべきだ。 だが『ルルーシュ』からすればそれは彼への恩を仇で返す様な行動……それこそスザクのように。 俺は……俺は……)」

 

 ルルーシュは目をつぶり、外見を取り繕いながら胸の奥でモヤモヤとした気持ちを切り替えようとした。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「き、君は?!」

 

 トウキョウ租界の政庁敷地内にある滑走路でスザクは予期していなかった顔を見たことで素っ頓狂な声を上げた。

 

「あ! スザク、久しぶり!」

 

「ニ、ニーナ?! なんで、君がここに?!」

 

「それを言うのなら、なんでスザクが迎えに?」

 

「あ、ああ……ロイドさんがその……“ちょっと面白い子が来るから迎えに行ってくれる?”って頼んできて。」

 

「……えええっと……スザクは、ラウンズなんだよね?」

 

「う、うん。 そうだけど、特派の頃からの付き合いだからどうも断るのは苦手で……」

 

「そっか……その……学園の皆は元気?」

 

「うん、元気だよ。」

 

「あの、主任? クルルギ卿とはお知り合いで?」

 

「あ、うん。 学生の時に、少しね。」

 

 ニーナとスザクのやり取りを見ていたインヴォークの一人がそうニーナに問いかけると彼女は平然と答えると、他の者たちがざわめつく。

 

 インヴォークの設立と立ち上げ当初の人見知りな勘所を見てきた者たちからすればあまりのフランクさを目のあたりにしていれば、無理もないが。

 

「あ! ところでロイドさんたちは?」

 

「宰相閣下のご命令でキャメロットはグリンダ騎士団たちのナイトメアの仕上げ作業に入っているよ。 ロイドさんとセシルさんはエニアグラム卿に連行……連れていかれてランスロット・クラブの調整中。」

 

「……いま、“連行”って言わ────?」

「────さ、さぁ! 立ち話もなんだし行こうか!」

 

 スザクの様子からこれ以上ツッコんではならないと察したのか、ニーナたちは彼の後を追うかのように滑走路からKMF用ハンガーの中へと歩く。

 

 そこには装備も機体の外装も一新されたグリンダ騎士団のKMFがそろっていた。

 

「しかし、なんでニーナはここに?」

 

「えっと、シュナイゼル殿下に呼ばれて。 ほら、例の電力源をここに設置することで。」

 

「え? もしかして実装できる段階まで来ているのかい?」

 

「シミュレーション上と小規模のスケールだけの話だけど……中華連邦の事もあったからだと思う。」

 

「へぇー……すごいね、ニーナは。」

 

「ううん。 私はこれぐらいしか、出来ないから。 思いついたのも違う人のおかげだったし。」

 

「それって、例の電力源を?」

 

「あ。 えっと────」

「────しかしキャメロットも作業スピードが尋常じゃないね。」

 

 スザクの質問にニーナは気まずく目を泳がせていると近くにいたティンクの声が遮る。

 

「ここに来てから間もないのに、僕たちの機体をここまで強化するなんてねぇ~。」

 

「実家のシュタイナー・コンツェルンが蓄積していたデータを使って各機が今まで使っていたプラズマ推進モーターから問題なくフロートシステムに変えることが出来ました。 それに装備も試作段階から正式に正規の物へグレードアップしています!」

 

「でも『迷走の産物』と呼ばれて埃を被っていた第6世代型の装備をそのまま転用したって噂も聞いているけれど?」

 

 グサッ!

 

「うぐ。」

 

 高らかに自分の家の功績を説明していたレオンハルトの心がティンクの何気ない一言によって深く抉られる。

 

「それにブラッドフォードもどちらかというと元々は第6世代に担当される機体だし。」

 

 グサグサッ!

 

「ぐは?!」

 

「でもさぁ~? お金はかかっているから捨てられないモノの再利用は良いことじゃん!」

 

「ソ、ソキアさんッ!」

 

 そこに慰めるかのようなソキアの言葉にレオンハルトは涙目で彼女を見────

 

「────あ、今日も短パンなんですね。」

 

「レオンの変態。」

 

「え?!」

 

「レオン……君ねぇ……せっかくソキア君が取り持っていたのに……」

 

「え?! え?! え?!」

 

「んじゃ、ミーハーなレオンとなんだかカカシみたいな機体はほっといて……私のアイたんは?」

 

「え? そこにあるカカシみたいなKMFがソキアのだけれど?」

 

「…………………………ティンク隊員。 私のアイたんはどうしたのサ?」

 

「分解されてそこのカカシとかのパーツとして再利用されたよ?」

 

「そんにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! アイたんカムバァァァァァック!」

 

「まぁまぁ、このカカシ────シェフィールドは元々エニアグラム卿の専用機として開発されていた機体だよ? それをソキアは貰い受けるのだから────」

「────そんなラウンズ用のピーキーな機体、私に操れるわけがないじゃないか! 私にとっては無理難題だよ!」

 

「何を言っているんだいソキア。 シェフィールドは状況把握や通信妨害等の電子戦と指揮伝達に特化した機体だよ?」

 

「にゃ? 機体性能のごり押しとかじゃなくて?」

 

「じゃなくて。」

 

「……………………なんで?」

 

「だって元々はエニアグラム卿の専用機だったから?」

 

「ティンク隊員。 ちょっと今一つわからないニャ。」

 

「だから元々エニアグラム卿の戦闘スタイルは外界の状況や両軍の配置等の情報を把握し分析しつつ指揮を執るような指揮官スタイルなんだ。」

 

「……一騎打ちとかじゃなくて?」

 

「一騎打ちとかじゃなくて。」

 

 「(???ΦωΦ???)」

 

 ティンクの言葉に宇宙猫を生産中のソキアは更なる宇宙猫大量生産機械と化していた。

 

「ティ、ティンク……その話、本当ですか?」

 

「ああ、本当だともレオン。 それとコーネリア皇女殿下の『部下と共に前線で戦う指揮官』スタイルの由来は士官学校で先輩だったエニアグラム卿の影響だとも言われている。」

 

「でもそんなエニアグラム卿が部下を持っていないって、なんだか変な話じゃありませんかティンク?」

 

「うん。 それなのだけれど、どうもエリア11にコーネリア皇女殿下が新たな総督に就くときに部下を部隊ごと転属させたみたいだ。 ギルフォード卿と同じ、近衛騎士部隊としてね。」

 

「……いつも思うのですが、ティンクのその情報は一体どこから仕入れているのですか?」

 

「寝物話にちょっとね。」

 

「「え。」」

 

「ん?」

 

「(エニアグラム卿が、指揮官に向いている? 本人のあの実力で?)」

 

 ティンクのカミングアウトにレオンハルトとソキアは固まり、スザクは先日ノネットに半ば強引に仮想訓練に付き合わされて彼女に負かされた日を思い浮かべた。

 

 ポッ。

 

 「ね、『寝物話』……」

 

 そしてニーナは両手を紅潮した頬に手を添え、小声で上記を言いながらモジモジと身じろいだ。

 

「……」

 

 いち早く回復したソキアはとりあえず自分用の機体となったシェフィールド────正確には型式番号RZX-9ED-EP2『シェフィールド・アイ』────の詳細を持っていたタブレットで見ていく。

 

 元々高い機体性能を保有する前提に開発されていたシェフィールドに、サザーランド・アイの特徴だったウァテスシステムが移植されたことで電子戦特化型に加えて機体自体も後方からの遠距離支援攻撃が可能となり、さらには各機が搭載した相互情報リンクシステム────通称『VTDS』により、リアルタイムで地形や敵機の位置を立体的に把握し解析しつつ友軍機にデータ共有して超高精度の射撃管制を可能とさせる。

 

 早い話が某MMOの『遠距離攻撃が出来るバッファー』である。

 

 ティンクのゼットランドも新しくRZX-6DD-EP3、『ゼットランド・ハート』に改良されてVTDSに加えて問題だったエナジー不足がユグドラシルドライブを応用し、さらに圧縮されたサクラダイトを使う高密度のエナジーパック────『マルチエナジーデバイス』によって解消され、単機でもメガハドロンランチャーを使えるようになっていた。

 

 そのメガハドロンランチャーも、より強力なギガハドロンランチャーに強化されたので実質『二歩前進、一歩後退』なのだがゼットランドは元々拠点防衛を前提にデザインされたので友軍艦などからエナジー供給される予定であった。

 

 レオンハルトのブラッドフォードもRZX-3F7-EP1『ブラッドフォード・ブレイブ』と名称を変え、先ほどレオンハルトが言ったように飛行機構は電力駆動プラズマ推進モーターからフロートシステムへと変更され、その上VTDSも搭載したことでメギドハーケンは近距離と遠距離双方に対応可能なメギドデュアルハーケンへと改良され、さらには本人の強い希望でブレイズルミナスもつけられた。

 

 といっても、エナジー消費が激しい機体なのでブレイズルミナスを常時展開するのは厳しい状態なのだが『無いよりはマシ』という事で装備された。

 

 最後にオルドリンのZ-01/T-EP0『ランスロット・ハイグレイル』は両肩にフロートユニットが内蔵されたことで単騎飛行ができるようになり、シュロッター鋼ソードもより幅が広くなり、ソードハーケンの機能を用いて蛇腹状の剣として扱うことも可能な『シュロッター鋼トランスソード』へと本格的に強化された。

 

「こうしても見ると、『過剰戦力』として危険視されるのは仕方のないことかもだにゃ~。」

 

「まぁ、アスプルンド博士が提案したからね。」

 

「“アスプー”って、誰にゃティンク?」

 

「「ほら、あのクラゲ/テナガサルみたいな人だよ。」」

 

 ソキアの質問にレオンハルトとティンクはそれぞれデフォルメされたロイドの想像()を思い浮かべながら答えた。

 

「ブフ……テナガサル。」

「クラゲ……確かに……」

 

 スザクは噴き出しながら特派時代から飄々とした言動のロイドを思い浮かべ、ニーナはアッシュフォード学園で初めてロイドと会った時を思い出す。

 

「にゃー、にゃー、にゃー!!!」

 

 カリカリカリカリカリカリカリカリ。

 

 尚この間、アーサーはずっとスザクのブーツを爪とぎポールのように引っかきながら彼の注意を引こうと鳴いていたと追記する。

 

 余談だがこの為にスザクは何足もブーツをスペアとして支給されているとも付け足そう。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ふぇぇぇっぇくしょい!」

 

 ラウンズ用のハンガーにて、少々(?)疲れ気味なロイドが盛大なクシャミを出す横では肌がつやつやしているノネットが満足そうに自分の新たな専用機を見上げていた。

 

「うん! さすがはロイ坊にセシルだね! 全く期待を裏切らないよ! ハッハッハ!」

 

「う、う~ん……今更だけれど、これでいいのかしら?」

 

「そういうセシルもロイ坊並みにノリノリだったじゃないか! 本当に今更だよ。」

 

「う……だってその……趣味レベルの改良ですし……」

 

「まぁ、セシル君はとことん自分の探求心に納得がいくまで暴走列車のようにズンズンと進むタイプだからねぇ~?」

 

「ロイドさん、『礼儀』というものを教えて差し上げましょうか?」

 

「エンリョシマス……でもエニちゃん、流石の君が乗っても大丈夫なのかな?」

 

「おやおや~? 人の心配ができるなんてどういう風の吹きまわしだい?」

 

「いやね、中華連邦から得たラクシャータの神虎と紅蓮から借り────得たデータをベースにした再設計だからさ? ペースト状になったエニちゃんの後片付けを想像したら、ちょっとだけ億劫になってねぇ~?」

 

「ちょ、ちょっとロイドさん!」

 

「ま、そこはグリンダ騎士団のヒッグスコントロールシステムと気合とド根性で乗り切るさ!」

 

「エニアグラム卿も軽すぎですよ!」

 

「ンフフフ、君はそういう人だったねぇ~♪ 嫌いじゃないよ~?」

 

 三人が見上げるのはランスロット・クラブ。

 

 ランスロット・クラブの形状を知っていれば『ギリギリ元の機体が分かる』レベルにまでの変貌で、さらにフロートユニットに似た装備やら数々の兵装などによってサイズが一回り大きくなっていた。

 

「この子の名前、どうしようか?」

 

「もうそのままでいいんじゃない? 改名しちゃうと、報告の義務とか申告書とかが発生しちゃうし。」

 

「う~ん、いつも通りだと味気が……じゃなくて大変だからねぇ~……」

 

「あの……『ベディヴィア』というニックネームなんてどうでしょうか?」

 

「『ベディヴィア』……いいあだ名だね!」

 

 ここにて原作になかったランスロット・クラブ────戦術上のニック(TAC)ネーム『ベディヴィア』が誕生したのであった。




『ランスロット・クラブは ベディヴィアに進化しました!』 (;´ω`)

追記:
PIXIV作りました、https://www.pixiv.net/novel/series/12128869
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